※この作品はR-18です。

蛇獣書房   作:ヘビとマングース

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例のごとくリョナ表現があります。ご注意を。


饗宴(KOF)

 猿ぐつわのせいで声を出すことができず、不知火舞にはもはやどうしようもなかった。

 目の前で繰り広げられる地獄絵図のような光景、彼女たちにとっては苦痛でしかないそれは妙に遅々として続けられ、いまだ終わる様子は見せない。彼女の体感ではそれどころではないため理解できていないが、すべてが始まっておよそ二時間が経とうとしている。一人目に一時間、二人目もそろそろ一時間が経つ頃である。

 壁に張り付けられた状態で拘束される彼女の目の前、闘技場のような円形のステージの上で、二人の女が戦っている。だがそれは戦いなどという形式からは程遠く、言ってみれば形を変えた一方的な拷問だ。

 薄く透ける素材の上下の下着のみを纏い、肌の大部分を衆人環視の下へ晒して拳を構える姿。普通の人間なら羞恥を感じて当然、その上で良いようにいたぶられているのでは精神に変貌があったとしてもおかしくはない。

 拳を構える片割れ、いまだ余裕そうな顔色なのは頭の後ろで髪を丸く結った、ユーリという女だ。鍛えられた美しい肢体に薄いピンクの下着を身につけ、若干頬を赤く染め、凛とした表情で対戦相手を見ている。ただ一番目についたのは彼女の下着の下に仕込まれていたそれだった。

 彼女は、ショーツがぐっと張りだすほどのバイブを膣に突っ込み、わずかに上下して動くそれは傍目から見て明確に存在を確認できた。ブラジャーの下からもコードが伸び、乳首があるだろう部分は通常よりも張りだしているため、そこにもローターが仕込まれていることがわかるだろう。

 現在行われている試合、というよりも興行は、特殊な条件を加えた上での格闘戦である。ユーリは絶えず振動を続ける道具によって強制的に快感を与えながら戦っているのだ。

 しかしそれは相手も同じこと。ユーリの前には一方的に攻撃を加えられた対戦相手、舞の仲間がひどく疲弊した様子で倒れている。薄い紫の下着、その下には同じく専用の道具が仕込まれていて、しかしユーリとは違ってブラジャーの下には何もなく、ショーツの内側で膣へバイブが挿入されているのみ。彼女にはハンデが与えられているようだ。

 興行の審判を務めるジュリは倒れたまま動かない女に近寄り、しゃがみ込むと、楽しそうな笑みを浮かべて話し始めた。

 

 「ほらほらぁ、どうしたんだよ。もっと頑張らないといつまで経っても終わらないぜ。もっと頑張れよ」

 

 倒れた女性、キングは悶えながらもわずかに顔を上げ、頬を上気させて荒く息をついた。

 短く切った金色の髪は汗でびっしょりと濡れ、普段とは違ってひどく乱れた状態。無駄な贅肉のない体にも汗は噴き出し、股間を覆うショーツはまた違う体液で濡れて、他人に見られたくはないだろう姿であった。

 受けた攻撃は何発か、もはや数える方が面倒だろう。腕や脚、腹にも痣が残っており、一体一でありながらリンチのような戦いの激しさが、彼女の全身へ証拠となって残っている。

 痛みだけでなく疲労も激しく、キングは立ち上がることすらできず、気を抜けば目を閉じて諦めてしまいそうだった。しかしそれを許さないのが審判を務めるジュリである。

 ともすれば気絶してしまいそうなキングの髪を掴み、無理やり顔を上げさせると、耳元でやさしく囁きかける。それだけでキングの視線は必ずそちらへ向くはずだった。

 

 「なんだよ、もうギブアップか? 別にいいけどさぁ、ルールを忘れたわけじゃねぇだろ? 勝者にはご褒美、敗者には罰ゲーム。最初に説明したよなぁ。勝負に負けたら、あんたもああなっちまうんだぞ?」

 「あっ――」

 

 疲れ切っていたキングの目が揺らぎ、再び感情が戻ってくる。それはステージの傍、会場となるその場所の端で行われいた遊びを見たせいだった。

 

 「あっ、はぁっ、はぁぁっ! ゼロ様っ、ゼロ様ぁ……!」

 

 一つだけ用意された豪華なイスに座り、正面から抱きつく前の試合の勝者、ユーニを抱いているのはこの場における唯一の男、ゼロと呼ばれる者。彼は無表情で淡々と、ユーニへ褒美を与えるが如く彼女の膣へペニスを突き立て、激しく腰を振っている。

 一度上へ動く度、ユーニの膣からは嬉しがるかのようにびゅっと潮が噴き出し、休まる間もなくペニスが引かれ、再び強く奥へ進む。その繰り返しであった。媚薬にも似たカウパー液を出しながら動く亀頭が膣を抉ればその分だけ、ユーニは声も甲高く表情を変え、必死に彼へ抱きつこうと腕に力を込め、あられもなく喘ぎ続けていた。

 その声だけがよく耳に残り、決して騒ごうとしない静かな観衆に見られながら、キングは辛そうに目をそむけようとする。だがジュリの手が無理やり方向を指定するため、それは敵わない。

 問題なのは彼ら二人ではなく、そのすぐ隣。二人の女たちに嬲られ、辱められる少女のことだった。

 

 「誰が寝ていいって言った? さっさとイスになりなさいよ、負け犬。私が座ってあげるって言ってるの。惨めったらしくケツを上げて、ゆるゆるマンコ見せつけながら四つん這いになりなさい」

 「ふむぅっ、んぐぅぅっ……!」

 

 試合の後に裸に剥かれ、ステージの隅で拷問に等しい行為を強要されているのは前の試合の敗者、キングの知り合いでもある、ユリ・サカザキという少女。舞と同様に猿ぐつわを噛まされ、さらには目隠しまでされて、涙を流しているというのに徹底的に嬲られている。これが、敗者としての振る舞い、彼女たちから与えられる扱いだ。

 与えられた痛みか、恐怖か、それとも快楽のせいなのか。ユリは言われるがままに四つん這いになり、鞭で打たれた痣がある背へ無遠慮に尻を置かれる。それでもくぐもった声を出すだけ、決して反抗しようとはしなかった。

 彼女をそうして扱う一人は、女王様然とした雰囲気を漂わせて鞭を持つデキシーである。いつものようにサングラスをかけ、署長を表す帽子をかぶり、乳輪や女陰がはみ出す水着を身につけて澄ました様子。二試合目の間中、一試合目で敗北したユリへ鞭で打たれる痛みを教え込み、自分に逆らうとどうなるかを理解させた後、とにかく徹底的に調教していたのが彼女の仕事だ。

 その傍ではもう一人、遊ぶような態度でユリの膣へ指を突っ込み、無遠慮な様子で乱暴に掻きまわす零子がいた。彼女は以前に渡された局部の布を切り取った競泳水着に身を包み、片手では自らの股を弄りながらユリを虐めている。その様は女王様たるデキシーとは違い、せいぜい悪ガキと言った方が正しい。

 

 「おお、すんごい濡れ濡れ。ケツ叩かれて感じちゃったかな? それとも、試合中にうんこ漏らしてみんなに見られちゃったせい? あれは惨めだったなぁ。腹殴られてブリブリブリィって、試合開始早々に一発目だもん。全部で何回出したかわかんないし」

 「フフフ、これだからユルイ女は嫌いなのよね。浣腸に慣れてないユーニでさえ一試合もったのに、腹殴られたからってあっさり出しちゃう普通?」

 「んんっ、んんっ、んごぉっ……!?」

 「アハハ、ケツ穴もずっぽり指入っちゃうね。これじゃあんなに出るのも当然かぁ」

 

 執拗なまでにねちねちと、二人はユリの体で遊ぶように体を動かし、言葉を投げかける。零子は彼女の下半身、前も後ろも穴へ指を突っ込んで乱暴に掻き混ぜ、デキシーはユリをイスにして背に座りながら、まるで太鼓を叩くかのように強弱をつけて尻を叩いている。おかげで彼女の尻は真っ赤に染まり、快感と痛みの両方で四肢はがくがくと震えていた。

 だがもしも腕と膝を折って体勢を崩し、上にいるデキシーを落としてしまうえばどうなるか、この状況下でわからぬ彼女ではなかった。よってユリは屈辱を感じる暇もなくただ必死に耐え、イスであり続けることにのみ従事していた。一刻も早く解放されたいのは山々だが、それ以上に鞭で打たれることが恐怖だったのである。

 そう思っていた時に、彼女からは見えない位置、零子がにやりと笑う。彼女は明確な狙いを持ってユリのクリトリスを指で強く捻り、同時に震えを隠せていない太ももを叩いた。

 それだけで結果は明らか。凄まじい快感が襲い掛かり、力が抜けるのと同時で足の支えがなくなって、ユリはくぐもった悲鳴を発しながら倒れ込んでしまう。当然その上に居たデキシーは転げ落ち、珍しくも無様な様子で股を開いて、倒れ込む。

 

 「あらら、デキシーってば転んじゃった。はっずかしー」

 「うるさいっ。……あんた、イスの代わりすらできないなんて、ほんと使えない女ね。そんなんじゃゼロ様に献上するなんて程遠い。根本から鍛え直す必要があるわ――零子」

 「はいはい、わかってますよー」

 

 キングが見ている前で、デキシーは鞭を構え、零子は両手に蝋燭を持った。これから何が始められるかは、火を見るより明らかだ。

 ジュリはキングの頬へ軽く口づけし、またしても囁く。

 

 「今度はよぉく見えただろ? あんたが負けたらああなるばかりか、あんたが勝たない限りあいつはずうっといじめられてるんだ。しかもさぁ、こっちはかなりハンデやってるんだぜ。三回勝負であんたらが一回でも勝てば全員解放してやるってんだから、これ以上の譲歩はないじゃんか。それなのに負けそうになってんだもん、興がそがれるってこのことだな」

 「くっ、まだ、負けてない……!」

 「あぁそう、そう言ってくれるんだ。それじゃあ試合再開、邪魔して悪かったよ」

 

 ジュリがそう言って離れると、キングはちらりとユリの姿を確認し、よろめきながらも立ち上がった。

 猿ぐつわをはめていても悲鳴は嫌と言うほど聞こえてくる。このまま無視することなどできはしない。

 再び拳を構えて、キングは深呼吸を繰り返した。確かに膣内で震えるバイブによる快感はあるものの、全身が痛む今の状況なら我慢できないほどではない。加えて、相手へのハンデは確実に効果が出ている。キングが倒れている間、羨ましそうにユーニが抱かれる姿を見ていたせいか、ユーリは自らの手でバイブを掴んで動かしていた。発情しきった表情は初対面であってもよくわかる。

 今度はキングが先に前へ出た。対戦相手を倒し、ユリを救うため、自分たちが逃げるため、思いのたけを拳に乗せて思い切り前へ突き出す。

 しかし、悦に入っていたはずのユーリの姿は掻き消えるように彼女の視界から消え、一瞬とはいえキングは呆然自失の状態となった。

 

 「なっ――!」

 

 ユーリは膝を折り曲げてその場へしゃがみ、キングの懐へ入っていた。気付いたのはすでにユーリが拳を構えている時で、一瞬の油断が体を上手く動かさない。

 ユーリの拳は勢いよくキングの腹へ叩きこまれ、鈍い音を立てて肌が打たれると、彼女は呼吸ができずに妙な声を発していた。

 

 「ガハッ……!?」

 「あっはっは、またクリーンヒットぉ。そこで休むとあとが危ないよ?」

 

 一旦離れなければ、と思考するものの、腹の痛みが動きを鈍くする。その間にユーリは高く足を振り上げていて、腰の回転を利用して回し蹴りを放とうとしていた。

 鋭く振るわれる足先が風の音と共に襲い掛かり、キングの頬へ蹴りが入る。裸足ではあったが痛みは強く、卓越した技術のせいか、靴を履いた状態とさほど変わるわけでもなかったようだ。

 キングは受け身も取れずにステージの上を転がり、そのまま頬を押さえて起き上がれなかった。痛み、屈辱、歓声が上がることへの怒り。または自分を取り巻く環境への憎悪。彼女を変える要因は多いが、彼女を捕える現状は何一つ変わっていない。

 親衛隊の筆頭、ユーニとユーリは確実に彼女たちよりも強い。どれほどのハンデをつけたところで、勝ち目がないのは明らかだった。それでも審判は試合を止めようとはせず、けたけたと子供のように楽しそうな笑みを見せている。

 

 「まだハンデが足りないのか? 仕方ねぇなぁ……じゃあ特別にもう一つだけだぞ。もうこれ以上は場所がねぇんだから」

 

 ジュリがユーリへ近付き、彼女の下着へ手をかける。ぐいと前の部分を降ろし、与えられる快感と興奮のせいで肥大したクリトリスを確認すると、新たに持ち出したローターを触れさせる。そこへテープで離れないよう固定すると、スイッチを下着へ挟みこみ、一番強い状態で振動させた。

 

 「よし、もう一つおまけだ。これならなんとかなるだろ」

 「あっ、んっ――」

 

 さらにもう一つ、同じ型のローターを尻の穴へ差し込み、他と同じく最も強いレベルで振動させる。さすがにユーリも我慢できなかった様子で、控えめな態度だが思わずジュリへ声をかけていた。

 

 「あの、ジュリ様、さすがにこれは――んぅっ……」

 「仕方ねぇだろ、こうでもしないと勝てないんだから。その代わりおまえが勝ったら三日間ぶっ続けでゼロに犯させてやるよ。どうだ?」

 「あぁっ、そんな――う、嬉しいです。ゼロ様に満足していただけるよう、頑張ります……」

 「くっくっく、いい子だ」

 

 もじもじと体を揺らしながらだが、ユーリはゆっくりと構えを取る。頬は赤く染まり、瞳は潤み、唇は疲労とはまた違った色の吐息を発する。彼女が何かを期待しているのは明らかで、もはやこの試合に興味を持ってはいない。

 キングはまだ立ち上がらない。否、立ち上がることができないのだ。今、彼女に襲い掛かるのは自分が相手に勝てないという敗北感、痛みによる恐怖、そしてずっと付きまとって離れない微弱な快感。精神力は限界に達し、今や体を丸めて更なる暴力から逃れるばかり。

 格闘家として、あまりにも情けない姿である。勝利を求める姿勢ではなく、だからと言って敗北を認めているわけでもない。負けたくない、だけど勝てないから戦いたくない。らしくもなく、キングはそんな態度を見せていた。

 思わずジュリはため息をつき、面倒そうにキングへと向かって歩き出した。それが理由となってびくりと震えるほど、キングの様子はおかしい。先程固めた決意もどこへやら、すっかり心を折られたようである。

 

 「そろそろはっきりしろよ。降参ならはっきりそう言えばいいんだ。そんな中途半端な状態でいつまで黙りこんでんだよ。それともあれか? そういう趣味でも持ってんのか?」

 「う、ぐっ、まだ……」

 「あぁはいはい、聞き飽きたよその発言。悪いけどこれ以上それ続けるつもりなら、強制的にあんたの負けってことに――」

 「ま、待って、もう少しだけ待って。そうすれば戦えるから」

 「おまえバカだなぁ。試合中に堂々と休憩する奴がどこにいんだよ。あんまり面倒なこと言ってると、あたしが直々に手ぇ出しちまうぜ、あ?」

 

 しゃがみ込み、至近距離からそう言われてしまっては、キングには返す言葉もない。彼女とて理解している。もはや自分に勝ち目はないことくらい。

 だがそれを認めてしまえばユリの状況は変わらない。自分が勝たなくては、いつまで経っても彼女は救われない。舞も何もされていないとはいえ拘束されたまま、助けたい気持ちは止まらなかった。

 そうして思い悩んでいると、ジュリが話し始める。それはまるで悪魔の囁き、彼女が想いもしないようなことだった。

 

 「なぁに、心配しなくてももう一人いる。あんたが勝てなくたって最後の一人が勝負に勝てば、あんたとあっちでよがってる女は解放されるんだ。だったら無理に戦う必要なんてないだろ? もう諦めて降参すればいい、あとはあのエロい格好した女に任せるのさ。大丈夫、きっとあんたらを助けてくれる。あんたがこれだけ頑張ったのを見てたんだ、その想いを引き継いで頑張ってくれるさ」

 「う……で、でも、それじゃあ――」

 「少しだけの辛抱だ。確かにあんたも色々されちまうかもしれないけど、考え方を変えればただで気持ちいいことしてもらえる。今までずっと痛かっただろ? でも今度はそんなことされない、殴ったり蹴ったりなんて野蛮な時間は終わりだ。あとはやさしく丁寧に肌を撫でられて、気持ちよぉくなってくんだよ。ほんとにそれだけ」

 「ほ、本当に?」

 「ああ。その証拠に見てみろよ。ずいぶん気持ちよさそうに声出してるぜ、あんたのチームメイト」

 

 促されるままユリを見る。鞭と蝋燭を使われて悲鳴を上げていたはずの彼女は、今は零子に股間をまさぐられ、猿ぐつわを外されデキシーの股を舐めさせられつつ、くぐもりながらも明らかに先程とは違う声を発している。まるで快感にむせび泣く様な、少なくともキングの耳にはそう聞こえたようだ。

 

 「あたしらだって鬼じゃない。素直な態度を見せてくれれば、ちゃぁんと素直に気持ちよくしてやる。どうだ? まだ痛い目に会いたいのか?」

 「う、くっ――」

 

 キングは咄嗟に首を振っていた。幼い子供が嫌だと伝えるかのよう、考える間もなく体が勝手に反応し、髪を揺らしながら左右に振っていたのである。

 それを見て口元がにんまりと笑い、ジュリはキングの顎へ手を添えると頬へ触れるだけのキスを与える。ちゅっと小さな音が鳴る、やさしいと感じられる力だ。

 

 「あんたは今までよく頑張った。仲間を救おうとして、痛い想いして限界まで努力したんだ。誰も責めることなんてできねぇさ。大丈夫、仲間はもう一人いるだろう? そいつに任せておけば万事解決するからさぁ、ちょっとだけあいつらのところで我慢しときな」

 「うん――舞、ごめんなさい……」

 

 囁くような小さな声だったが、不思議と舞にははっきりと聞き取れた。視線を合わせた彼女は泣いているのか、微笑んでいるのか、どちらともわからない、しかしどちらとも言える表情だった。

 ジュリの宣言により、キングの敗北が確定、ユーリの勝利が告げられる。これにより観客は二人の選手へ向けて盛大な拍手を送り、場内は大きな音で埋め尽くされた。

 しかしそれで終わりというわけではない。座りこんだまま項垂れていたキングへ手を差し出し、ジュリは楽しげに声をかける。

 

 「さぁお譲さん、あたしがエスコートしてやるよ。ここからは楽しい楽しい第二ラウンドだぜ」

 

 そう言われて、もう一度ちらりとユリを見る。彼女はやはり二人に全身を弄ばれ、喘いでいるように見て取れた。

 ルールはルール。自分の心の中でそう告げ、キングはもたもたとジュリの手を取り、やけに遅い歩調でそちらへ向けて歩き出す。遠いようで近い、いっそのこともっと遠くであったなら、と思わずにはいられなかったが、到着してしまった後では逃れようもない。

 試合を始める前なら、舞と同じように張り付けにされてユリの試合を見せられていた時は、絶対に嫌だと思っていた。しかし今もそう思っているのかと問われれば、キングは返答する言葉は持っていない。疲労、痛み、屈辱、それらは彼女の中に大きな存在として残っており、怒りや殺意が擦り切れて減ってしまった今、以前のように牙を剥くことはなんとも難しい。今となっては何が正しいのかなど何もわからず、まごつく思考は何の答えも持っていなかった。

 ついに到着し、嬉しそうな零子に出迎えられたキングは俯き、抵抗する素振りもなく彼女に手を引かれて足を動かした。そこは地獄か天国か、判断するには体感するしかないのかもしれないが、少なくとも今のキングにも理解できていたことがある。一度入ってしまえば、もう二度と出られはしないのだと。

 

 「さて、それじゃあ最後の一人だ。おまえはもうちょっと面白い試合をしろよ、くの一」

 

 キングを見送ったジュリはその足で舞の下へ向かい、ようやく彼女の拘束が外される。その時に猿ぐつわも外されていた。

 自由になってまず彼女はこの状況の原因たるジュリを睨みつけ、混乱して上手く口が動かないことに気付きつつも、一言言ってやらねば気が済まなかったようだ。

 手錠を掛けられていた手首を擦りつつ、怒りが込められた声がジュリを打つ。

 

 「あんたたちどうかしてる……! 今すぐ二人を解放して! あんなのひどすぎるわ!」

 「おいおい、まだなんにもしてねぇ内からヒス起こしてんじゃねぇよ。最初にルール説明はしたはずだ、解放して欲しけりゃ自分の力で勝ってみな。おまえの相手はあいつだよ」

 

 指で指し示されたことにより、舞の目がステージの上へ向かう。怒りで血走り、普段よりも狭まっている視界に一人の人物が映った。

 その瞬間に驚いてしまう。彼女の目に映ったのは、美しい女ではあったが格好がひどすぎた。観衆の下、立っていたのは全裸の女だったのである。

 強靭ながらしなやかな筋肉で覆われた全身を惜しげなく晒し、三つ編みにした金髪を揺らす、キャミィの姿は堂々としていていっそかっこよくすら見える。さすがに羞恥を感じているのか、頬は赤くなっているものの、それすらも女としての魅力に見えて美しい。

 だが荒れた精神状態の舞から見れば、やはり狂っているとしか見えない。戦えとは言われるが、勝てば解放するとは言われるが、まさかあの人物と戦わなければいけないのか。かつてない空間に怯え、未知なる恐怖を感じた彼女は一瞬怒りを忘れ、息を呑んで黙り込んだ。

 

 「おまえも見てたろ? 試合ごとにルールは変わる。だから今回は、全裸で戦ってもらおうか」

 「はぁっ!? あんた、バカじゃないの! そんなことできるわけ――!」

 「あぁもちろん、嫌ならリタイアしてもいいぜ。あっちの二人と仲良くするだけだ。別に大した罰ゲームが待ってるわけでもねぇし、解放されるって選択肢を捨てれば、簡単なことだろ」

 

 にやけたジュリに促され、見たくはなかった現実を、試合に敗北した二人の姿を見る。デキシーに鞭を打たれるユリ、零子に全身を弄ばれるキング、彼女たちを救えるのは今や舞だけになってしまった。

 その事実が、彼女の肩へ重くのしかかり、逃れられない現実として再度強烈に認識される。ぐっと歯を食いしばり、悔しい気持ちを抑えるも、もはや選択肢など一つしか残されていない現実からは逃れられなかった。

 裸になって敵と戦い、勝利する。そして二人を救出し、自分も含めて解放してもらう。どこともわからぬ場所に連れて来られた以上、逃れられるならそこに居る人間から解放してもらわなければならないのだ。

 舞は小さく頷く。目の前に立つ女を今すぐ殺してやりたい気持ちすらあったが、そんなことをすれば自分たちの身が危なくなると、暴走しそうになる自分を必死に律して。

 

 「わかったわ……戦って、勝てばいいんでしょ」

 「物わかりがよくて助かるぜ。それじゃあ、自分で脱いでもらおうか。下着まで残らず全部な」

 「くっ、わかってるわよ……」

 

 さらに強く歯を食いしばりながら、自らが纏う赤い装束を脱いでいく。言われた通り下着まで残さず、自らのすべてを衆人環視の下へ晒すように。

 裸になった舞は恥ずかしそうに体を抱きしめ、少しでも肌を隠そうと苦心する。大きく張り出した胸を腕でぎゅっと抱え、黒々とした茂みが見える股に手をやり、妙に遅々とした調子でステージへ向かって歩き始めるのだが、やはり羞恥心は大きく、歯を食いしばる様子から怒りを感じていることは明白だった。

 しかしステージの端に上がったところで焦れた様子のジュリが迫り、背中を蹴られてみっともなく転倒してしまう。受け身を取ったせいで隠していた部分まで露わになって、観客のくすくすという小さな笑い声が聞こえ、凄まじい怒りが沸いてきたせいかようやく覚悟が決まった。

 立ち上がった彼女はもはや自分の肌を隠そうとはせず、腕を広げて堂々と仁王立ちする。見たいなら見ろ、と言わんばかりの立ち姿だ。

 今この場において重要なのは羞恥心などではなく、対戦相手を負かして、勝利を掴み取ること。幸い観客のすべてが女性であることも知っていたため、腹をくくれば羞恥心を捨てるのはさほど難しくもなかった。

 舞とキャミィが全裸で向かい合い、拳を強く握り締める。すでに戦闘が始まる気配は漂っていた。

 

 「せいぜい頑張れよくの一。つまんねぇ試合なんかしちまったら、あっちの二人が怒って何するかわからねぇからな」

 

 ジュリが開始の合図を出すと、途端に舞は前へ飛びだした。早期決着を考えてのことだ。

 彼女の中にある考えはただ一つ、この馬鹿げた試合をさっさと終わらせて、元の生活に戻る。ただそれだけを考えて拳を握っていた。

 二人はすぐに接近し、駆けだした舞が思い切り拳を突き出す。狙うのは相手の顔、冷静な面持ちで慌てもしないキャミィの顔面を真っ正面へまっすぐに向かっていた。

 だが拳が届く前、舞は自身の視界がぐらりとブレたことに気付く。腹部には強烈な痛みが走っていて、気付いた時には体が後方へと飛んでいたようだ。

 視線で確認してみれば、キャミィの左足が伸ばされていた。それでようやく、自分の腹が蹴られたのだと理解する。

 衝撃と痛み、それから驚愕によって我を忘れていたせいか、彼女は受け身を取ることすらできず、背中を強く地面へ打ちつける。一瞬とはいえ呼吸が止まり、途方もない痛みが上半身の両側から広がった。

 

 「あーあー、おまえらの悪い癖だな。焦って勝負を急ぎすぎて、相手の力量を確かめようともしねぇんだから。言っとくけど、こいつはゼロの親衛隊の中で一番強い。さっきのユーリも越える奴だぜ」

 「ぐぅ、あぁっ……!?」

 

 腹を抱えて強烈な痛みに悶え苦しみ、舞はすぐに立つことができなかった。ジュリはそれを見てケタケタと笑い、キャミィは追撃することもなくその場で立ちつくす。

 ひどい侮辱である。それなりに自分の力量に自信を持っていた彼女のすべてを否定するような、嘲笑って侮蔑するかのような態度だ。忘れかけた怒りが猛烈な勢いで沸き上がってくる。

 怒りを原動力に立ち上がり、舞は再びキャミィへ目を向ける。彼女は肌を隠そうともせず立ち、待ちかまえる様子で舞を見ていた。

 その余裕の態度も、今では嫌みにしか感じられない。舞は明確な殺意を表情へ浮かべて、再び自分から攻撃を始めた。

 拳を突き出し、蹴りを繰り出し、驚くほどの速度で連続して攻撃を繰り出す。しかしそれらすべてが華麗に避けられ、ただの一発も当たりはしない。

 まるで子供をあやすかのような姿だ。キャミィはただ黙々と攻撃を避け続け、舞はそれでも動きを止めない。攻めているのは舞のはずなのに、傍から見ていれば優勢に立っているのは明らかにキャミィなのである。

 ジュリの笑いはますます大きくなり、審判でありながら腹を抱えて笑う始末だ。

 

 「あっはっはっは! 当たらねぇ、当たらねぇ! ほらほら、もっと速くしないとあいつは止められないよぉ。もっと気合い入れて動けよ、ほらぁ」

 「くっ、うるさい! 気が散るから黙ってなさ――!」

 

 視線はそのままだったが、舞の注意が一瞬逸れた。ジュリに返答を返したせいで注意力が散漫になり、そのほんの一瞬でキャミィが動いた。

 低く這いつくばるような体勢から繰り出される蹴りは凄まじい勢いで、彼女の姿を見失った舞の足を払い、体勢が崩れる。しかも倒れそうになる舞へ向け、コンマ数秒の判断の上、更なる追撃が送られたのだ。

 下から上へ突き上げる蹴りが大ぶりの胸へ直撃し、舞の体は軽々と宙を飛んだ。その上地面に落ちることは許されず、軽やかに飛んだキャミィは舞の背後を取り、受け身を取ることもできずに地に落ちた。

 関節を決められ、体が自由に動かせない。しかし締めつけられる痛みは確実に骨の髄まで響いてきて、声も出せずに呼吸だけで喘いだ。

 今一度冷静になれたことで、舞は他の二人同様、一つの真実に辿り着く。自分ではこの相手に勝てない。理屈ではなく本能で、数度のやり取りで嫌と言うほど理解させられた。

 それでも試合は終わらない。絡み合いながら地に寝そべる二人を見下ろし、楽しげに笑うジュリが止めない限り、彼女に与えられる苦痛は続けられそうだ。

 

 「くくくくっ、あっはっはっは! 無様だねぇくの一! 手も足も出ねぇとはこのことじゃねぇか!」

 「うぅ、あっ、がぁっ……!?」

 「でもあんまり一方的でもつまんねぇよなぁ。じゃあ、一つハンデでもつけてやるか」

 

 そう言うとジュリはキャミィをどかして舞に自由を与える。しかしまだ彼女は動けず、むせび泣くようにしながら自分を抱きしめ、横たわったまま。

 その間にジュリはどこからか持ちだしたバイブを手に、キャミィの膣へとそれを差し込んだ。目に見える場所でゼロがユーリを抱いているためか、すでに湿り気は十分、キャミィの膣は慣れた様子で彼のとサイズが変わらないバイブを呑みこんでいく。

 舞はなんとか立ち上がろうと腕を突っ張るが、やはりすぐには立てずに、キャミィとジュリによって見下ろされた。屈辱を感じ、怒りが沸き上がり、今すぐどうにかしてやりたい衝動に駆られるが体が上手く言うことを聞かない。

 もどかしさを感じながらそれでもなんとか立ち上がり、ふらつく足に気合いを入れて二人を見る。目に浮かぶ闘志に変化はない様子だが、肉体的な疲労は目に見えて大きかった。

 

 「ほらよ、これなら充分だろ。簡単に蹴り飛ばされずに済むんじゃねぇか、股のバイブでよがってるんだから」

 「あんたたち、どんな神経してるの……イカレてる。こんなの普通じゃないわ。どうしてこんなことができるの……?」

 「どうして? そんなもん決まってる。人間の欲望を満たそうとする行動の結果だろ。誰だって願うことだ。連中を見てみろよ」

 

 ジュリの指先が伸び、片隅で翻弄される二人の姿を舞へ見せた。

 どちらもデキシーと零子に体中を遊びつくされ、猿ぐつわを外された今、羞恥心すらかなぐり捨ててあられもない嬌声を上げている。人間が持つ動物としての欲望、性欲を満たそうと躍起になっている姿だ。

 そちらを指さし、顔を赤く染めながらも怒りに満たされていく舞を見やりつつ、ジュリは言う。あれこそが人間のあるべき姿だと。

 

 「人間ってのはいつだって自分の欲望に忠実で、だから今の世界が作られてる。金が欲しいからあくどいことして、人気が欲しいから心にもねぇ嘘ついて、権力が欲しいから他人を蹴り落として、自分の思い通りに動かせる世界が欲しいから戦争する。あたしらだってそうさ、セックスしてぇ男と女がセックスして生まれてきたんだろ? ここにあるのは人間のあるべき姿ばかりだ。誰も体験したことのない快楽が欲しくて女同志でレズって、一人の男にかしずくことの何がおかしい。ここにあるものこそ、人間らしく生きてるって実感だよ」

 「狂ってる……人間すべてがこんなことを望んでるとでも思ってるの?」

 「ああ、思ってるね。人間不信もインポもヒスもガキも老人も、自分をだましてようが心のどっかじゃ思ってる。セックスしたいとか気持ちよくなりたいとか、度合いが違っても欲望を止めることなんざできねぇさ。だってそれが人間だろ?」

 「あんたは、おかしい。ここの人たちも、みんな……どうかしてる!」

 「見ろよ」

 

 呟くジュリがキャミィを背後から抱きしめ、彼女の胸へ、股へ手を伸ばす。力強く乳房を揉み、膣へ挿入したバイブを握り、ますます表情を蕩かせるキャミィを虐めるのである。

 彼女は舞に見つめられ、観客たちが見守るステージの中央で、恥ずかしげもなく与えられる快感を享受する。その姿は人間というより、本能に従う獣にも近いだろう。

 やはりますます、舞の中で不信感ばかりが大きくなった。こんなのはおかしい、この場のすべてを否定する想いばかりが強くなるのだ。

 

 「こいつもちょっと前はあんたと同じだった。他人の前でセックスするなんてどうかしてるって。でも今じゃ、よぉく見てみろよ。こんだけの人数に見られながら感じて、アヘ顔晒して潮吹くのもためらわねぇ。あんただってすぐにこうなる」

 「バカにして……! あんたたちといっしょにしないで!」

 「口ではなんとでも言えるよなぁ。そうだ、いいこと思いついた。なんならあんたも弄ってみるか? こいつの体は敏感だ。気持ちよさそうなとこ見たらちょっとは考え変わるかもしれないぜ」

 「んぁっ、はぁっ……」

 

 キャミィが喘ぎ声をこぼし、観客たちは誰もがその声に聞き入っていた。すぐ近くから聞こえるよほど大きな二人の声すら気にせず、滅多に見れない親衛隊長の痴態へ集中している。

 その空気がひどく気持ちの悪いものに感じられ、舞は建物内を見回すと苛立ちを抑えきれずにため息をついた。

 直後には言葉もなく歩き出して、二人へ近付く。ジュリはにやりと笑い、舞は真剣な眼差しで二人を見つめたまま、目の前へと立った。

 

 「さぁ、バイブを動かしてみろ、前と後ろに。やる方の気持ちがわかれば、やられたいって思うはずだぜ」

 

 ジュリの片手がキャミィの股間から離れ、大きく振動するバイブが独りでに暴れ出す。舞の視線がちらり、そちらへ向かう。

 そっと、手を差し出した。だがジュリがさらに笑みを深めたその瞬間、舞の右手は固く拳を握りしめ、思い切り振りかぶった後に前へと突き出す。

 彼女の拳はまっすぐにジュリの顔面を目指し、だが触れる間近で左手によって受け止められ、視線がぶつかったまま二人は至近距離で対峙した。

 

 「思うわけないでしょ……あんたたち相手に!」

 「ああ、そう、そうなっちゃうか……だったらしょうがねぇよなぁ」

 

 キャミィの体が軽く押され、彼女だけが二人の間から抜け出て離れる。すでにその場の雰囲気は理解しているようで、自らの手で抜けそうになったバイブを抑えながらも、自分の足でステージ脇まで歩いていく。

 二人は手を合わせたまま、さらに顔を近づけて向かいあった。

 

 「審判に手を出すのはルール違反だ。だから、せっかくハンデをやったとこだがペナルティを与えないとなぁ……ついでに、相応の罰ゲームも」

 「くっ、好きにすれば? あたしはあんたになんか負けない――最初からこうしておけばよかったのよ。性根の悪いあんたをぶっ飛ばして、他の二人も今すぐ――」

 「そんなこと、できればいいなぁ」

 

 突如、ぐらりと視界が揺れた。何が起きたかもわからず体が飛び、気付けば自分が空中に居たのである。

 腹の側面へ蹴りを喰らったのだと理解できたのは勢いよく地面の上を転がってから。遅れてやってきた痛みが至るところへ現れ、舞は目を白黒とさせて息を吐いた。

 思考が追いつかず、呼吸が上手くできずに、立ち上がることすらままならない。まるで赤ん坊のよう、手足を地面へつけるものの体勢を立て直すことができずにいる。

 目の前を見ることすら困難な状況の中、ゆっくり歩いて近付いてきたジュリが足を上げ、地べたに這いつくばる舞の顔を踏みつけた。痛みに苦しむ彼女は抵抗もできずにさらに痛みを感じ、ただうめき声だけを発する。

 

 「あははっ、全然大したことねぇな。そんなんで大口叩いてんの? くっだらねぇ、こんなんじゃ全ッ然気持ちよくなんねぇよ。それともなに、ウケでも狙ってた? 悪いけど全ッ然笑えねぇ。もっと本気でやれよ。ほらほらぁ、あたしの足をどかして立ちあがって。今なら半分くらいの力で踏んでやるからさぁ」

 「がふっ、がはっ、あぁっ……!?」

 「あっはっは、そんなんじゃ全然無理無理無理ィ! おまえみたいな奴があたしらに勝てるわけがねぇだろ! 身の程わきまえろよ、このザコが!」

 

 今度は顔面を思い切り蹴られ、舞の体が軽々と舞う。どすんと音を立ててステージの上を転がった時、衝撃で鼻血を噴き出したまま、彼女はすでに気絶していたようだ。

 けらけらと笑うジュリは腰に手を当て、やれやれと首を振って辺りを見回した。観客席からはパチパチと惜しみない拍手が送られ、ステージの端では今も甲高い嬌声が響いている。与える者と、与えられる者。この場における真理の中、人間たちは純粋に快楽を楽しんでいた。

 

 「あーあー、いまいち締まんない終わり方だったなぁ……まぁいいや。手を焼かされた分、こいつらはじっくり躾けてやるとするか」

 

 ジュリはにやりと笑いながら気絶した舞へ歩み寄り、露わになった乳房を強く鷲掴みにする。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 彼女たちが本拠地とする場所、大きな屋敷と闘技場の間にある中庭。裸に剥かれた三人はそこへ連れて来られていた。

 何をしたという気もない。なのにある日無理やり連れ去られ、理由もなくステージの上で殴られ、突然外気に肌を晒して繋がれているのである。当人たちにとっては全くわけがわからなかった。

 三人は全裸の状態に目隠しをされ、屋根もないそこへぽつんと立つ一本の支柱、そこから伸びる鎖の首輪を装着されて、ひどく情けない姿で立っていた。両手も背中側で拘束されたため自由はなく、まるで飼われた犬のようですらある。

 何をされるかはなんとなく想像できるものの、目隠しをされている以上、武器や凶器を持ってこられても逃げることもできなければ回避することもできない。三人は怯え、わずかに体を震わせて荒く呼吸を続けていた。

 そのまわりには哀れな飼い犬を見つめる観衆の姿。そのどれもが女で、中には豪華な服を纏っている者、メイドのような服装の者、裸に近い格好の者がいる。そしてすべての服を脱ぎ捨て、裸になっている者もいた。

 円を描いて三人を見つめる観衆たち、一番三人に近い場所へ立っていたのは普段着姿のジュリだった。彼女は腰に手を当て、楽しげに三人の裸を見つめ、くつくつと笑う。

 

 「ゲームに負けたあんたたちには罰ゲームだ――ここには、ゼロを満足させるために集められた女たちがいる。数十じゃきかねぇ、今じゃもう数百人単位でな。だがあたしらのボスがどれだけ精力が旺盛でも、一度に相手できる人数は限られてくる。そのせいで欲求不満な連中も多くてな。そこでだ」

 

 前へ踏み出し、びくりと体を震わせる舞の顎を掴んで顔を寄せると、妖艶な声で小さく囁く。

 

 「おまえらは今日から、ここにいるすべての女たちの性奴隷だ。欲求不満で喘いでる奴らに股開いて、好き放題されな。もちろんたまにはゼロも抱いてくれる。ただ奴は気まぐれだから、そう頻繁に相手してもらえるとは思わない方がいい」

 「う、うぅ……」

 「そうだなぁ、一ヶ月もすれば解放してやるよ。それまで、おまえらはここから離れることはできない。四六時中女たちに犯されながら、屋根のないここですべてを晒して生きろ。そうすりゃあたしに楯突いたことがどれほど愚かだったかよぉくわかるだろ」

 

 べろりと涙で濡れた頬を舐め、一旦離れる。それからジュリは後ろに控えていた男、ゼロへと寄り添い、裸のまま立つ彼の下腹部へ手を伸ばす。

 先程から何度も射精し、さらに背後へ立つユーニとユーリの膣からごぽりと大量の精液が噴き出すほど絶頂したにも関わらず、いまだ治まる気のない肉棒。それを手で扱きながら、彼女は彼の耳元へ唇を寄せて話す。

 ゼロは彼女が触れてきた途端、服の内側へ納められた大きな乳房を揉み、尻を撫でて、少しばかり表情を緩めて微笑んだ。

 

 「さぁゼロ、最初はあんたに任せるよ。どいつからでもいい、三人ともあんたのこれで犯してやんな。それがスタートの合図になるから」

 「ああ、わかった」

 

 小さく返し、今度はゼロが前へ出る。最初に目をつけ、真っ先に向かうのは一試合目の敗者であるユリだ。

 怯えたように身を縮め、立つことすらできずにしゃがみ込む彼女はとても弱弱しい印象。見る人が見れば、加虐心を刺激させる姿でもあった。

 だがゼロにとって、さほど気にする部分ではない。彼にとってはサディズムもマゾヒズムもさしたる問題ではなく、それよりももっと大事なのは荒々しく女を抱き、そのすべてを服従させることにある。

 よって彼は遠慮のない力でユリの脇へ手を滑り込ませ、無理やり彼女を立たせると背後に立ち、勃起したままのペニスをすぐさま濡れそぼった膣へと触れさせた。

 

 「あっ、あぁっ、いやっ……」

 「いくぞ」

 

 ユリの膣は、先程までデキシーや零子から弄ばれていたせいであられもないほど濡れていて、いつでも男を受け入れられる態勢にあった。

 か細い否定も虚しく、ゼロは思い切りよく腰を突き出し、挿入はあっさりと成功する。大きく反りかえった彼のペニスはずるりと膣の中へ入り込み、迷う素振りもなく奥へ進む。

 勢いは強く、ゴツンと子宮口へ亀頭が当たり、ユリは舌を伸ばして悲鳴を上げた。だがそれは決して嫌がるための悲鳴ではなく、むしろ喜んでいるように聞こえる声だったのだ。

 

 「あっ、かっ……ひぎぃぃっ」

 

 腰の振りは大きく、ゼロはユリを責め始める。立ったまま後ろから犯されるその体位は、彼女の弱い部分を刺激していたようだ。

 バチンバチンと音が鳴るほど激しく下腹部と尻がぶつかり合い、荒々しく膣内を犯されるユリは極度の快感で我を失っているように見える。たった数度、亀頭で子宮口を叩かれ、カリ首で内壁を抉られて、彼女の声には悦びが混じり、浅ましい姿で舌を伸ばしているのである。

 今まで築き上げてきたすべてが壊されていくかのよう。すでにユリは何も考えられなくなっており、自ら腰を振りながら、思うがままに声を出していた。

 

 「あぁっ、はぁっ、ひぃぃんっ。す、ごいっ、なにこれぇ……きもち、よすぎ、よすぎちゃううっ」

 

 尻を掴まれ、乱暴に腰を叩きつけ、激しい興奮に包まれながら高みへ昇っていく。凄まじい快感が全身を刺激していて、これが快楽なのだと、嫌でも教え込まれて記憶する。

 ユリはもはや、冷静な思考など持っていなかった。自分ではない誰かに、自分自身を根底から変えられていく感覚。強すぎる快感と相まって、そんな感覚は今まで生きてきて初めてのことだ。

 気付けば彼女自身、ゼロのそれを肯定する考えを持つようになっていた。もっとして欲しい、まだ足りない、心がそう囁いてくるのである。

 抗えるはずがない。自分自身の体でそう教え込まれ、ユリの中で確かな変貌が起こる。

 

 「うくぅ、きもちい、きもちいいよぉ……! あはぁ、すごい、こんなの初めてっ……あぁぁ、だめだめっ、イッちゃう、こんなにすごいの、すぐイッちゃうっ」

 「イッてもいいんだぞ。俺も合わせて中に注ぎこんでやる」

 「んんっ、んんぅ、あぁぁ無理無理、こんなのだめ、あっ――」

 

 襲い掛かる波に負けてユリの体がぶるりと震え、直後にゼロは一際強く腰を打ちつけた。痛そうにも思えるほど肉がぶつかる音が聞こえて、その時にゼロは射精していたようである。

 膣内へ思い切りぶちまけられる精液は凄まじい量、入りきらずについには外へ飛び出し、緑の芝生へボタボタと垂れていくほど。観衆の女たちはそれを見てため息をつき、羨ましそうに股をすり合わせた。

 だが本人であるユリはその状況がわからぬ様子で、がくがくと膝を震わせながら倒れることを許されず、尻を掴まれたまま、最後の一滴まで注ぎこまれる。この時すでに彼女は絶頂を感じていて、これまで感じたことがないほど大きな快感に唇を震わせ、歯をカチカチと打ち鳴らしていた。

 

 「あっ、あっ、あっ――」

 「ふぅ。中々だったな」

 

 射精が止まるとすぐに腰を引き、いまだ萎えない彼のペニスが外へ出てくる。その途端に彼女の膣からはさらに大量の精液が噴き出し、辺りを白く染めた。

 ユリは自らの足で立っていることができず、ゼロに解放された途端にその場へ膝をつき、地面へ手をつくこともなく顔から倒れ込んだ。目隠しをしているせいでわからないが、ひょっとしたらその下では白目を剥いていたのかもしれない。気絶するかしないかのギリギリ、傍から見ればそんな風に見えた。

 他の二人も目隠しをされた状態のため、何が行われているか確認することはできない。聞こえてくる音と声によって状況を判断するしかないのだが、不思議とそれはあまりにも簡単だった。

 自分はこの後犯される。考えるまでもなく理解できることである。

 そして次に狙われたのは、キングだった。後ろから腰のあたりを掴まれた瞬間、驚きでびくりと震えてしまうが、逃げようはない。

 すでに大量の愛液で濡れる膣へペニスの先端が触れた時、キングはもう、抗えない現実を知った。

 見てはいないが、悦びの嬌声を聞かせたユリの気持ちがよくわかる。これには逆らえないと、触れただけで本能が伝えていた。

 ずるりと亀頭が押し込まれ、焦らすようにゆっくりと奥へ進んでくる。キングはうめき声を発し、歯を強く食いしばった。そうしながらも全身へ広がるのはやはり想像した通り、否、それよりも強力な力を持つ快楽である。

 

 「うぅぅ、うぅっ……くぅ、はぁっ」

 「気持ちいいか? 俺もだ」

 「あっ、はっ――」

 

 ゼロの囁きに答えを返す暇もなく腰が動かされ、内部を縦横無尽に掻きまわされる。想像していたよりよっぽど速度は遅く、円を描くような動き、徐々に女を蕩かせるための動作だ。

 犯されることへの覚悟はできていたものの、これほどやさしくされるとは思っておらず、一突きごとに嫌がる気持ちは溶かされていって、首を逸らすキングは徐々に抵抗する気持ちを失くしていった。

 だが真実を言えば、彼女が与えられる快感を享受し、更なる快感を求めるようになるまでかかった時間は一分にも満たない。以前に二人の女によって快感を教え込まされたせいか、それともゼロの動きが巧みだったためか、彼女はあっという間に考えを変えたのだ。

 

 「はぁぁっ、あぁぁぁっ……きもちいい、きもちいいです、ゼロ様ぁっ。もっと、もっと強く突いてくださ――くひぃっ」

 「あっはっは、いい態度じゃねぇか。言う通りにしてやれよ、ゼロ」

 「よし、わかった」

 「んっ、んっ、んんっ、うぅぅぅ……これ、が、これがすごいのぉっ!」

 

 噴き出す汗を気にすることなく、突かれるままに喘ぐ。キングは堕ちた。それは誰の目から見ても明らかである。

 ゼロは腰の動きを速くして彼女を激しく責め立て、キングはそれを抵抗なく受け入れ、全身をぶるぶると震わせる。どうやら軽い絶頂を連続して感じているようで、髪を振り乱し、喉を震わせる姿は必死だった。

 

 「あぁっ、くぅぅ、あっ――!」

 「もう、イクぞ」

 

 ゼロが射精したことにより、亀頭が押し付けられていた子宮口へ大量の精液が発射され、それらは彼女の子宮を満たして尚も止まらない。これにより与えられる熱が、彼女へ最後の一押しを与えたようだ。

 キングは膝を震わせ、倒れそうになるのをなんとか堪えながら、激しく絶頂を感じる。ドクドクと竿が律動し、精液が注がれることから逃げないよう、自らの意思ですべてを受け止めようと必死に立ち続けていた。

 

 「あぁぁっ、あぁぁぁっ……!」

 「くっ、はぁ。よくやったぞキング。最後までちゃんと受け止めたな」

 

 射精が終わると同時にキングの膝は折れ、地面に倒れ込むものの、ゼロはすぐにはペニスを抜かなかった。まるで褒美を与えるかのように数度弱く腰を振り、彼女の膣内を掻き混ぜてから抜く。

 ぐったりと倒れ込み、尻を掲げた状態で脱力する彼女はそれ以降動こうとはせず、わずかに体を震わせるばかり。それを見た後、ゼロは移動し、最後の一人の体へ触れる。

 重そうなほど大きな乳房を両手で掴み、荒々しく揉み、怯えていた舞へ自分の接近を伝えるのである。すると、快感より痛みの方が大きかったようで舞は表情を歪め、痛みに耐えるため歯を食いしばる。

 揉み潰すようにして力を込めて揉み、握り、ゼロの手は遠慮もなく舞の胸を遊ぶ。彼女はそれを受け入れようとはせず、嫌な気持ちだけを感じ、明らかに敵対意思を持っていた。

 それでも、手を拘束されて首輪へ繋がれ、目隠しされた状態ではできることもない。ついには彼女も背後を取られて、自らの膣にペニスを当てられた。

 

 「くっ、こんなことして、ただで済むと思ってるの? 今に見てなさい……私の婚約者が必ず助けに来てくれる。力ずくで私を犯したって、私は絶対あんたなんかに――」

 「うるせぇぞくの一」

 

 挿入の瞬間になっても口を閉じようとしない舞へ、ジュリが思い切り足を振り上げる。鈍い音が鳴り、拘束された状態の舞の左頬が蹴られたのだ。

 彼女は、止まったはずの鼻血をまたしても垂らし、言葉を呑んで黙り込む。衝撃で脳が揺れたか、上手く口を動かせないようで、落ち着いたはずの呼吸も一気に乱れた様子である。

 

 「がふっ、がはっ……」

 「つまんねぇこと言ってんな。罰ゲームだ、黙って犯されてろよ。それともその婚約者とやらの目の前でぐちゃぐちゃにされてぇのか? ご所望なら今すぐにでも連れてくるぜ。ま、ここには男なんざいらねぇから使った後にどうなるかわかんねぇけどな」

 「う、うぅぅ……」

 

 強烈な痛みによってすっかり気持ちは折られてしまい、舞は思わず反論の言葉を失くした。たった一撃で怒りすら消されたようで、今はただこれ以上の暴力を受けないようにと口を閉ざすばかり。

 ゼロが己のペニスを掴んで、舞のそこへ擦りつける。だが先の二人と違って彼女はデキシーや零子に遊ばれていない。しっとりと濡れてはいるものの、挿入できるかどうかは考えてしまうほどの状態だ。

 だがゼロは気にせず、思い切り腰を突きだす。膨らんだ亀頭が肉を押し分け、初めてではなさそうなそこにぐいと押しこまれ、すぐに肉によって包まれる。

 水気が足りないせいか痛いほどに締めつけられ、ゼロは思わずうめき声を発する。かなりきついその場所だが、快感を感じないわけでもない、むしろ味が変わって嬉しいというくらいの感想だった。

 

 「あぁぁ、いや、いやぁぁ……」

 「くぅ、すごい締め付けだ。これは無理すると裂けるかな」

 「気にすることねぇさ。ここにいる女は全部あんた専用のオナホだ。どうせいつ緩くなるマンコかもわかんねぇんだし、今だけの締まりを楽しんどけよ」

 「そうだな、わかった。それじゃあ――んっ」

 「あっ、あっ、あっ!」

 

 気遣うことなく腰が振られ始め、ペニスが前へ後ろへと動きだす。痛みと快感が入り混じるものの、今は痛みの方が強いらしく、舞は子供のように泣きじゃくり始めた。

 目隠しの下から溢れ出る涙が頬を濡らし、しかし誰も助ける者などおらず、彼女は屈辱にまみれて泣き続ける。悲痛な声は、誰の耳にも届きはしなかった。

 

 「いやっ、いやぁっ、うぅ、痛いよぉ……アンディ、アンディッ」

 「あははは、アンディってのがおまえの婚約者か? 助けてほしいんだな? でもそんな小せぇ声じゃ誰にも聞こえないだろ。ほら、もっと大声出せよ。アンディって叫べ。さっきと違って今は外だ、ひょっとしたら聞こえるかもしれないぞ、愛しの婚約者様に」

 「うぅ、あんっ、あぁっ――アンディ、アンディッ! アンディ、助けてっ!」

 「どうしたよほら、もっと大きく! 聞こえるように叫べ、もっと!」

 「アンディ、アンディ! 助けてぇ、アンディィ!」

 「あはははは、あっはっはっはっは!」

 

 犯されながら舞が大口を開けて叫び、ジュリが背を反らせて笑っているその瞬間、彼女の膣内にあったペニスがどぷりと精液を吐き出した。量は多く、凄まじい熱を持つそれが彼女の体内を一瞬で満たし、独特の感触が先程までの痛みと違って確かな快感をもたらす。まるで強力な媚薬だ。

 舞は自分の根幹から来る快感に驚き、中出しされたのだと気付くと、頭を振って悲鳴を上げた。脳裏には婚約者の姿、子宮へ子種を吐き出されたという事実が、強烈な嫌悪感となって彼の姿を思い出させる。

 それなのにその射精が気持ちいいと思ってしまっていることも、舞の心をかき乱していた。

 

 「いやぁ、いやぁぁぁっ! やめて、中に出さないで! 外に、お願いだから外に出してぇぇっ!」

 「あははははは! こりゃいいや! 最高にいい顔になったじゃねぇか! 初めっからその顔で鳴き叫んでりゃ許してやったのに!」

 「うぅぅ、うぅぅぅっ。いやだ、きもち、よくない、こんなの違う……アンディ、アンディ……」

 

 竿の律動が止まったことすら感じ取れ、改めて腹の中にある固い感触を認識してしまうと、繋ぎとめようとしていた気持ちはぽっきりと折れた。

 繋がったまま、舞はだらりと体から力を抜き、すべてをゼロへと預ける。その様子を見て笑うジュリは何かを思いつき、舞の前へ立つと彼女の乳房を強く鷲掴みにしながら口を開いた。

 

 「いっ、た……!?」

 「良いこと思いついた。おまえは罰ゲームを免除してやるよ。くくくっ、代わりに、何がなんでも孕ませてやる。ゼロの子種でガキが出来た後、膨らんだ腹をそのアンディって奴に見せてやろうぜ。それまでおまえ、アンディのことを覚えてられるかなぁ?」

 「なっ、い、いやだ……お願い、なんでもする。命令されたことなんでもするから、それだけは――」

 「なんでも? こりゃいいや。なら、一刻も早くゼロのガキを孕め。できないんならアンディをここへ連れてきておまえの姿を見せた後、その辺の谷底にでも捨ててやる。……わかったな?」

 「……わ、わかり、ました……」

 

 ジュリが鍵を使って舞の首輪を取ってやる。その瞬間にゼロは彼女の膝の裏を持ち、がばりと大股を広げさせた状態で持ちあげ、繋がったまま歩き出す。いきり立つペニスは彼が一歩を歩む度に膣の中へ突きたてられ、精液で塗りたくられたそこを強く抉る。

 今度は滑りが良くなったせいか、舞も快感を感じずにはいられなかった。彼女はゼロが一歩を踏み出す度、先程とは違う甘い声を発し、股から頭まで突きぬける電流を感じている。

 

 「あんっ、あっ、あっ――」

 「ゼロ、そいつはスペシャルメニューだ。最優先で孕ませるぞ。ユーリ、ユーニ、キャミィ、おまえらも褒美だ。いっしょにゼロに抱かれてこい」

 

 ゼロはわざと大股で歩き、衝撃を大きくしながら屋敷へ向け、全裸だというのに恥ずかしげもなく歩き出した。それに続いてゼロに抱かれるため裸で待機していたユーリ、ユーニ、キャミィも続き、四人はその場を後にする。

 その間にジュリはユリとキングの目隠しのみを外し、彼女たち二人に現状を確認された。まわりには興奮しきった表情の女たちが大勢、食い入るように二人を見ている。さながら、餌を前にして待たされる獣。二人はひっと小さく息を呑んだ。

 

 「おまえら、もういいぞ。こいつらで欲求不満を解消しな。ああそれと、飯とクソの世話は忘れんなよ」

 

 その場を離れながらジュリが言えば、女たちはこぞって二人へ殺到した。自らの服を脱ぎながら、膣に指を差し込む者、自分の膣へ指を差し込ませる者、唇を塞ぐ者、乳房を揉む者、尻の穴へバイブを突っ込む者、誰もが抑えの利かない動物のように二人を乱暴に扱った。

 ゆっくりと歩き、幾重にも重なる嬌声を耳にしながらその場を離れるジュリは、さほど大きくもない声でぽつりと呟く。すると直後に彼女の背後へ、どこからともなく人影が現れる。

 

 「ディカープリ。あのくの一からアンディとかいう男の情報を吐かせる。親衛隊から二人ほど引き連れて、そいつを連れてこい――面白いショーができそうだ」

 

 現れたのは仮面をつけた、キャミィそっくりの髪型を持つ女。彼女はこくりと頷き、来た時と同じく素早い動きでその場を離れる。

 従順な部下の動きに満足し、ジュリはくつくつと笑みをこぼした。

 彼女たちは今、挫折を感じることもなく、すべてを思うがままに操っている。これでは世界征服すら簡単にできてしまうのかもしれない。別段興味があるわけでもないのだが、なんとなくそんなことを思うのだ。

 

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