「ルツ。起きなよ」
声をかけられて近くに誰かが居ることに気付き、青年は意識を浮上させて目を覚ました。
寝ぼけ眼で辺りに目をやる。
眠る前と変わらない景色だ。たまたま見つけて入った安いホテルの一室。せいぜいが寝るためのスペースしかなく、ベッドは一人用。他にあるのは小さな椅子とテーブルが一組のみ。ベッドの傍には窓があって、そこから日差しが差し込んでいた。
暖かい光を浴びる青年は大きなあくびを一つ。
警戒心もなく、冷静に室内を見回すことができたのはそれからで、さっきも見えていたはずだが、ようやく昨日にはいなかったはずの人物を見つけた。
「あんたはいつもここまで近付かないと起きないね。ちょっと不用心すぎるんじゃない?」
「マチか……なんでここに居んだ」
ピンク色の髪を縛った、和装の少女がベッドの脇に立っている。
マチ、と彼は名を呼んだ。
以前からの仲間でこうした状況も初めてではなく、警戒しなかったのは入って来たのが彼女だとわかっていたためだ。気配は感じていたものの睡魔には勝てなかった。だから声をかけられるまでずっと睡眠の中に留まっていたのである。
声をかけられた後も、寝ていたら叩き起こされると知っている。それも肩を叩く程度ではなく、本気で、腹を殴られる。嘔吐さえしかねないほど強く。
声をかけられれば起きるのは間違いなく過去のトラウマ故だろう。
上体を起こして、ベッドに座った状態で話を聞く姿勢になる。
冷ややかな視線のマチはどことなく不機嫌そうに、静かな声で語り出した。
「最近姿見せなかったじゃないか。悪巧み?」
「ただの旅行。しばらく大人しくしてた」
「ふぅん。大人しく、ねぇ」
「なんだよ。あーそうか、オークションの件か? あれは手が足りてたから――」
「そんなのはどうでもいい」
「じゃあ何。言ってもらわねぇとわからねぇぞ」
納得がいってない顔でマチが声を冷たくする。
それに合わせて青年は表情を歪める。
「別にいいけどね。アタシはあんたとは何の関係もないし」
「ひどい言い草だな。何怒ってんだよ」
「怒ってない」
「とりあえず何考えてんのか言ってみろよ。怒ってるかどうかは別として」
「……ジェシカって女と仲良くしてたそうだね」
反射的に青年の顔色が変わり、そっぽを向いて視線を逸らす。
いつしかマチの目は睨むような形となっていた。
「情報屋だよ。そりゃ仲良くしてないともらえるもんもらえねぇだろ」
「何をもらってるのか定かじゃないけどね。他にもそういう話は聞いてるんだ」
「それより、今日はどうした? なんか用事でもあったか?」
「ティナ、アリス、ユノ、メンチ。探ればいくらでも名前が出てくるけど、ただの旅行、ねぇ。単独行動が多いと思ってたけど案外社交的なんだね」
「あー、それはほら、あれだ。ただの友達で、久しく会ってなかったんでちょっとな」
「別にいいけどね。アタシとあんたは、何の関係もないわけだから」
表情と声色で相当怒っていると簡単に理解できた。
青年は気まずそうに頭を掻き、言葉を失くして視線をあちこちへ飛ばす。
彼女が怒ると中々に厄介だ。しばらくへそを曲げたままの可能性が高くて、しかも放置してしまうと怒りが拳となって襲い掛かってくる。なんとか機嫌を直してもらわないと、数日は腹の痛みのせいで食事するのも億劫になるだろう。
果たしてどうした物かと思うのだが、先にマチが次の言葉を吐いた。
「団長が呼んでるよ。いつもの場所で会って話したいってさ」
マチを見た目が驚きを表す。
焦りを消して疑念を見せ、わからないといった表情で尋ねる。
「団長が? なんで呼ばれるんだよ。オレに直接言ってこねぇし」
「あんたが携帯持ってないのが悪いんだろ。おかげでアタシがいちいち探さなきゃならないんだ。女と遊んでる暇あったらいい加減買いなよ」
「オレは縛られたくないの。たとえ相手が団長でもな」
「カッコつけてるつもりかもしれないけどダサいからね」
「それにおまえがオレ探してるのはいつものことだろうが。だから団長が頼むんだろ」
「うっさい。死ね」
マチは彼に背を向けて、無遠慮にベッドへ腰掛けた。
まだ青年が動き出す様子はない。
眠たげな目で彼女の背を見た後、再び寝転んでしまう。
「なんであんただけなんだろうね。団長の居場所を知ってるのは」
「羨ましいか?」
「別に。アタシは命令が来れば従うだけだから。それまでは好きに行動する」
「じゃあ好きでオレを追い回してるわけだ」
「死ね」
長い付き合いだ。軽口を叩くのも呼吸のように当然な物。
ふと起き上がった青年は慣れた様子で彼女の肩へ触れ、ベッドへ押し倒す。
マチは驚いていない。少し不機嫌そうな顔でじっと青年の顔を見ているだけだ。
覆いかぶさって顔が近付き、至近距離から目が合う。
互いの呼吸すら感じる距離で、表情を変えずにマチが唇を動かした。
「用件は伝えたはずだけど」
「知ってるよ。でも出て行かないのは理由があってのことだろ?」
「自惚れるのも大概にしな。さっきも言ったけどさ、あんたに興味なんてないんだ」
「あっそ。じゃいいよ、もうちょっと寝てから行くから」
覆いかぶさるようにしていた青年が彼女から離れ、隣に寝転ぶと背を向けて目を閉じた。体を丸めてもう一度眠り始めようとしてしまう。
無視される結果となったマチはそのままの姿勢、しばし無言で動かなかった。
一分以上の沈黙があって。
いよいよ青年が眠ろうかという頃、天井を見つめたままマチが呟く。
「ヘタレ」
「おまえ……どうしろってんだ。言ってること滅茶苦茶だぞ」
「うるさいバカ。死ね」
「ほんっとに口悪ぃ。団長の前じゃそんな言葉遣いじゃねぇだろ」
「なんでかくらいすぐわかるだろ、バカ」
「おまっ、またバカって」
口汚い罵りを受けて流石に無視はできず、がばりと起きた青年は再びマチへ覆いかぶさった。
先程同様に至近距離まで顔を近付け、鼻先が触れ合うほど近くから声をかける。
上がった口角はわずかにひくついてどうやら怒っているらしい。その距離から青年は恨み言をぶつけ、マチはぴくりとも表情を動かさず睨み返す。
「おまえはおまえで好き勝手言ってんな。犯すぞ、コラ」
「上等だよ、早漏が。ふにゃちんだったら噛み切ってやる」
「そ、そんなこと言うなよ……それだけはだめだろ」
彼女の言葉には若干怯んだものの、いそいそと青年が彼女の服へ手を伸ばす。嫌な想像のせいかすっかり勢いは失っていた。妙に落ち着いた態度である。
上着が取られて胸の谷間が露わになり、乳頭はさらしを巻いて隠されている。
それすらも取っ払って桃色の乳首が露わになった。
掌からこぼれそうな乳房を両手で掴み、口を近付ける。そのまま乳首に吸い付き、舌で転がし始めてもマチの抵抗はなかった。両腕から力を抜いてされるがままになっている。
丹念に舐めながらもその顔を見て青年が言った。
「ほら見ろ。なんだかんだ期待してんじゃねぇか」
「ん、うるさい。期待なんて、してないだろ」
「抵抗しないくせにか?」
「はぁ、面倒になっただけだ。んっ……」
「はいはい」
その後も丹念に乳首をしゃぶって乳房を揉む。
ずいぶん手慣れた動きだった。女体の扱い方を知った力加減と触り方で、決して少なくはない経験が見え、触れられているだけでマチの呼吸が乱れてくる。
そうは言っても快感は大きくない。平静を失うほどではないし、せいぜい気分が高まる程度。
徐々に乳首が勃起してくるが、いつまでも舐められていたところで満足はできない。
頬を紅潮させ、もどかしそうに動き、マチが彼の頬を掴んで目線を上げさせた。
「ねぇ。そこはいいから、下舐めなよ」
「いやあのさ、オレが命令される側みたいになってるけど、おかしくない?」
「細かいこといいから。舐めるの? 舐めないの?」
「いや舐めるけど」
「ならさっさとしな」
「なんかおかしいけどなぁ……」
ぶつぶつと文句を言いながらも青年は従い、彼女の下半身を前にする。
投げ出された脚からスパッツと下着を脱がしてやり、靴下はそのままで開かせる。多少恥じらう素振りも見られたが抵抗はなかった。
マチの秘所が露わになる。
陰毛は整えられて少量見受けられ、多少の経験があるだろう外見だ。
見慣れたそこはやはり期待しているらしいと思われたが、もし口に出せば蹴られると知っているため敢えて言わない。無言でほくそ笑みながら青年が顔を寄せる。
無遠慮に口がつけられた。
反射的に腰が跳ねるものの、押さえつけて唇をぐっと押し付ける。
舌を伸ばして水音が立てられるまで長くはなかった。期待からかすでに潤みを帯びている膣口の周りを舐めて、勃起したクリトリスの包皮を剥いてやる。
今度こそはっきりとマチの息が乱れた。感じている様子で目を閉じ、甘い声を漏らし始める。はっきりした声ではないが青年の耳にくらいは届くため、彼の口角が得意げに上がった。
「どうだ? ちょっとは認める気になったか」
「ん、別に……はぁ」
「強情なヤツ。セックスしてる時くらい素直になればいいものを」
指で陰唇を開きながら周辺を舐め回す。初めは戸惑いがちに声が漏れていたものを、徐々に体が反応し始め、意識せずにかもどかしそうに足先が動く。
柔らかい肉を押し広げて膣の中にまで舌先を埋め込もうとした。
潤んだそこは愛液を垂らしているため、時折唇を尖らせてずずっと吸い込む。
マチも声を抑えられないようになっていき、悶えながらも恥じらいが捨てられず、強くシーツを掴んでいた。今日まで何度彼に抱かれてきたのか。それも関係ないらしく、身を捩る様はあまり慣れている素振りには見えない。
「あっ……んんっ」
「はぁっ、すんげー出てくる。エロっ」
「う、るさい」
「なぁ、ひょっとして何回かイってる? 妙にうねってる気がすんだけど」
「バカっ。イってない」
「ほんとかねぇ。まぁどっちにしたってイクのは時間の問題だよな」
「あっ、バカっ、んんっ……!」
さらに舌先へ力を入れて舐められた。
この時マチは、すでに何度か軽い絶頂の波を味わっていた。まだ如実な反応を見せるほどではないが、確実に気持ち良さが全身へ浸透していて、青年が言う通りその時は遠くないと自覚している。同時にその瞬間を、彼の愛撫によって達するのを待っている節すらあるだろう。
そのせいであったか、青年の頭に手を置いて話しかけた。
柔らかい栗色の髪を撫でると、秘所を舐め続ける彼と目が合う。
「あんたのも、寄こしな。舐めてやるから」
「お、いいの? 噛み千切んなよ」
「ふん。それはあんた次第」
「や、やめろって、怖いから……言っとくけどこれ弱点なんだぞ」
「知るか。だったらほいほい人に見せてんじゃないよ」
「妬いてる?」
「食い千切るっ」
「おいっ、バカ、やめろって! 冗談でも言うな!」
青年が恐る恐るズボンと下着を脱ぎ、目の前に秘所を置いたまま、体勢を変えて彼女の顔を跨いだ。戸惑っていたが仕方ない。あまり時間をかければ余計に怒りを買うからだ。
いきり立ったペニスがマチの顔に突きつけられる。
ずいぶん遊んでいる割にはご立派に立っていた。呆れて物も言えないが溜息をついた後、躊躇いもなくマチの口が亀頭を含む。すぐにじゅるりと唾液を絡ませながら吸い付いた。
尻を震わせた青年は心地よさそうで、自身も再び膣へ舌を伸ばす。
「んんっ、んふぅ、んほぉ――」
「はぁぁ、やっぱ上手いなマチ。それ、すげっ……!」
強く吸い付いて来る刺激には抗えず声が大きくなる。負けじと彼もマチの股に口をつけた。互いに水音を立てて激しく相手を刺激する。
しばらく無言だった。相手の味に陶酔するかのように舌を動かし続ける。
青年は解きほぐすように。
マチは首を振って根元まで苛めるように。
時折彼女の体が小刻みに震えて、わずかに達していた様子だが青年は敢えて指摘せず、自分が射精するまで何度震えるだろうかと遊びのつもりで試していた。
余裕があるのも相手が彼女だからか。
なんだかんだと言いながら安心して体を預けられる。そう思うのはマチの性格を理解し、よく支えてくれているからだと理解している。
かといってそれで女性関係が縮小されるかと言えばそうでもないのだが。
遊びというより生き残るための立派な術。彼はそう考えて人に会っている。
マチも多少は理解しつつ、やはり素直な感情には逆らえないのか、時折こうして怒りを爆発させようと襲いに来るのだ。
時間をかけて互いに愛撫を続けていれば、やがて青年の限界も近付いて来る。
それまでは静止したままだった腰が動き始めた頃、マチはおもむろに髪に忍ばせた糸を取り、素早くペニスの根元にきつく巻き付けてしまう。彼に射精させないためだった。
もう少しだと思っていた矢先の行動には驚かずにはいられず、腰が止まって妙な声が出る。
青年は思わずマチを振り返った。
彼女もペニスから口を離し、手で扱きながら微笑む。
「うぉっ!? おぉっ……!」
「ん、どうかしたかい?」
「お、まえ……なんて残酷なことを」
「残酷? それってどんなことかな」
「いやもうちょっとだったのに、なんでこのタイミングで――」
左手で竿を押さえながら、右手の指先がぐりぐりと亀頭を強く押す。射精を目前にしてパンパンに膨らんだそこが弄ばれていた。さらには円を描くように表面を撫でられる。
急激に態度は強きとなって、自分が上だと主張するかのような力強さ。
マチは不敵に笑ってペニスを弄り、今度は青年が余裕を失くして低く声を出す。
彼女がイっているのだからと我慢するつもりがなかった。それだけに射精を抑制されることは非常に辛い。しかも射精間近のタイミングが、余計に彼の精神を追い詰めていたらしい。これでは一種の苦行となっただろう。
苦しむように呻く青年の声に、マチは一気に上機嫌となった。
「うぐっ、くぅ……!」
「さぁて、なんのことだか」
「おまえぇ……あとで、覚えとけよ、うっ」
「偉そうな口叩くじゃないか。言っとくけど主導権握るのはアタシだからね」
「あ、おいっ」
唐突にマチが青年の体を持ち上げ、体をひっくり返して力ずくで押し倒した。
彼女は細身だが男にも負けない腕力がある。
油断しきった青年を押さえ込むのは時間も必要なく、あっという間に下腹部の上へ跨る。秘所がペニスへ触れてぐっと押し、腹にぺたりと押さえつけた。
「ふふ、これでもうどれだけ刺激しても出せない――んんっ」
腰を揺らして、ペニスに秘所を擦り付ける。
勝ち誇った顔のマチは楽しそうに責めており、青年は体の力を抜いてそれを眺めた。
くちゅくちゅと音が鳴っている。二人の体液が混じっていて、肌に擦り付けられるせいで卑猥な音を奏でた。独特の光景が嫌でも彼らの興奮を高める。
一方的に腰を振るマチは表情を緩ませて、主導権を握れたことを喜んでいた。では青年は無理やりされて嫌がっているかと思えば、そうではない。今も楽しんでいる節がある。笑みを浮かべる訳ではないが表情は柔らかく、マチの胸を掴んでやわやわと揉み始めており、上に乗られた姿を全く気にしていない。
性器の擦り付け合いに感度はさらに良くなっていく。
今すぐ射精したい心地にあるとはいえ、青年は思いのほか落ち着いた表情で彼女を見ており、対するマチは嬉しそうに腰を振る一方、動きの最中に何度か軽い絶頂を感じていたようだった。
「んっ、はっ、はっ――」
「なぁマチ、オレもうイキたいんだけど。外してくんない?」
「ふっ、うっ、だめだよ。はぁ、どうせ出すなら――」
その一言をきっかけに、片手でペニスを押さえたマチがわずかに腰を上げた。
「ん、こっちで……」
亀頭が膣へ触れ、ずるりと入り込む。
腰は躊躇わずに落とされて一気に奥まで到達した。肉を掻き分けて奥にぶつかり、柔らかい感触に包まれながら、喜ぶひだが巧みに動く。
背筋が伸びてびくびく震えて数秒。マチの動きが止まる。
青年もまた眉間に皺を寄せて呻いており、今の一瞬で達してもおかしくなかっただろうに、縛られているせいで上手くイケない。
彼女の異変に気付くより先、マチが平静を装って表情を変えた。それでも膣内の様子は一変しているためバレそうなものだが、幸いにも射精を禁じられて余裕がない青年に気付く素振りはない。
腹に手をついて、マチが淫らに腰を振り始めた。
喜色満面でペニスを弄り、彼の形に慣れた膣で扱く。
「あんっ、はぁっ、はっ――!」
「はぁ、エロい腰だな……もう出したいんだけどなぁ」
「うんんっ、まだ、まだぁ……!」
激しく動いて尻が跳ね、さほど時間も経たずにマチが背を反らせる。
ぎゅうっと膣の中が一気に狭くなり、ペニスがきつく握られるようだった。
青年もまたそれを機に喉を震わせて達しかけるのだが、如何せんペニスの根元を縛られているため、今にも発射されそうな精液が出てこない。
結局マチだけが気持ちよくなっていた。
彼女の動きが止まった途端、へたり込んで胸の上へ倒れてくる。
もどかしいだけの青年は苦しげに歯噛みし、思わずマチを抱きしめた。辛さが重なってなぜか、まるで寂しがるかのような仕草だ。
「ぐっ、お、おい。オレまだイってないんだが……」
「はっ、ふっ……甘えんじゃないよ。イキたかったら自分で腰振りな。得意なんだろ?」
「おまえは、ほんっとに、ここぞとばかりに言ってくるな」
「はぁ、ほら、早くしないとどんどん辛く――あっ!」
両手が尻を掴んでぐんっと腰が動く。膣の中ではペニスが反り返って肉壁を擦り上げ、余すところなく刺激し、敏感になったままだったそこが満たされる。手前から奥まで、すべてが彼で満たされていた。我慢できずに声が大きくなるのも無理はない。
マチの顔から余裕は完全に消えてしまい、後はもうされるがままに叫ぶのみだった。
「あっ! はっ、はぅ、あぁっ!」
「ふん、ふんっ。人を舐めやがって。どうだ、このっ」
「あぁっ、だめ、そんな、にぃ!?」
愛液を大量に掻き出しながら全力で腰が振るわれる。
前後するペニスの動きによって声が抑えられることはなく。壁を越えて隣にまで聞こえそうな声量だった。しかしバレても構わないと、青年が動きを止めることはない。
望むのはただ一つ、射精したいというだけ。
このままでは叶わぬ望みに向けて全力の責めは加熱していった。
「あぁっ、もうだめぇ! イクイク、また、イクぅ……!」
びくびくと尻が痙攣するほど激しく、再びマチが絶頂を感じた。だがそれを知りながら青年の動きは弱まらず、体力だけはあるせいか変わらぬペースで動き続けた。
こうなればもはや拷問にも等しい。
目を見開いて驚愕したマチは彼に抱き着くことしかできずに悲鳴を発した。
「ひぃっ!? だめだめっ、今イったばっかりでぇ!」
「うっ、ふっ、オレはまだイってない……!」
「んああっ!? わかった……わかったからぁ! これ以上は、うくっ、狂っちゃうぅ!」
かつてない速度で膣がかき乱される。この刺激には耐えられるはずがない。半狂乱になりながらマチはずっと絶頂を感じていた。
亀頭が膨らんでいるのがわかる。限界まで我慢を強いられ、溜め込まれた精液は確実に彼女を孕ませようとしていたことだろう。
理解しながらついに耐え切れず、マチが糸を外す。
瞬間、凄まじい勢いで大量の精液が放たれ、一瞬でマチの体内を白く染め上げた。
「うああっ!? あぁあああっ!」
痛くなるほど青年の体にしがみついて初めて経験する波に呑みこまれる。
絶叫の後、小声すら出せなくなった。全身がぶるぶる震えて平静が保てない。彼女にしては珍しいことに、呼吸をするのも難しい様子で疲れ切っていた。
荒く呼吸するマチの頭を抱きしめながら、青年は待ち望んだ射精を楽しんでいる。
びゅーびゅー吐き出される精液をすべて膣内へ。収まり切らずに溢れ出てくるがそれすらも心地よく、しばし安堵の表情で深く息を吐く。
気絶寸前のマチとは裏腹にとても幸せそうだった。
「おぉぉぉ、すげぇ出る。はぁーこれ気持ちいいっ」
最後の一滴までマチの中へ吐き出した後、落ち着いた青年はマチの頭を撫でながら顔を見る。
いつの間にか彼女は失神していた。あまりにも刺激が強過ぎたらしい。
珍しい姿に目を丸くして驚く。
ただ、直後には物足りなさを感じるペニスが彼女の中で頭をもたげ始めていて、きっとこのまま続ければ起きた時に殴られるだろうなと思いつつ、青年は困った表情を浮かべる。
「マジかよ。もう一回は出したかったんだけどな」
諦めた口調で呟くと体の力を抜いてベッドに体重を預ける。
眠ってしまったマチを抱きしめ、頭を撫でてやりながら自分も目を閉じた。仕方なくこうする他ない。このまま続けるのはどうも無理そうだ。
どちらにせよもう一度寝ようと決めていた。
続きはお互いに起きた後でいい。
「しょうがねぇな。その代わりあとで覚えてろよ」
絶対にもう一戦付き合ってもらうと考えつつ、彼もまた眠りに就こうと肩の力を抜く。
人肌に触れながらの睡眠は一人で眠るより心地よく、相手が見知った彼女であることもあって非常に肌が合い、彼は前よりもすんなり眠りに就くことができたようだ。