※この作品はR-18です。

蛇獣書房   作:ヘビとマングース

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夜一の口調を忘れました。とりあえず古臭い感じだったろうと、あやふやな感じでやってます。間違ってたらごめんなさい。


BLEACH
空に見る想い


 夜一、という女は猫のような気質を持っている。それはソウル・ソサエティにいる者なら誰もが理解できる言葉である。

 考えや行動は自由気ままに、好きも嫌いも思うがままに。何にも縛られないその生き方はある者から反感を買う一方、ある者からは強い羨望を向けられた。

 そんな彼女だからこそ、ある日突然、どこかから捨て子を拾ってきたところで、わざわざまわりから何かを言われるようなこともなかったのだ。せいぜい「あぁ、またあの人の気まぐれが……」と囁かれる程度のことである。

 突然拾ってきた捨て子は彼女から「空」と名付けられ、夜一専用の小間使いとして、四楓院家の屋敷で働くこととなった。

 そうして、一人の小さな子供が新しい生き方を得て一週間が経った頃。屋敷の持ち主であり、親代わりでもある夜一から呼び出されたソラは彼女の部屋へ赴き、そこで新たな仕事を任される。

 大好きな女から聞かされたのは、彼からしてみれば聞いたこともない言葉だった。

 

 「――夜伽?」

 「そうじゃ。これから新しい仕事として、おまえにやってもらう」

 

 時刻は夜の頃。寝室で向かい合い、布団の上に座る二人はそれぞれ違う柄の浴衣を着ていた。

 結びを解いて長い紫がかった髪をさらりと布団の上に垂らす夜一は、小麦色の肌とは対照的なまっ白の浴衣。対して、黒髪とは対照的に白い肌を持つソラは夜一の勧めで黒い浴衣。相対的に見える二人が一つの布団の上にいた。

 そこでソラは正座をして、まじめな顔で夜一の言葉を聞き、夜一はにやりと楽しげに口の端をあげて語っている。

 夜伽とはつまり、簡単に言えば添い寝なのだと。

 

 「まぁ言ってみれば添い寝じゃ。おまえはこれから毎晩、わしの隣で、同じ布団で寝ろ。役に立つ仕事をしたいと言っておったじゃろう?」

 「は、はい……でも夜一様、それは――」

 「ほれ、そうと決まればさっそく寝るぞ。明日も早いからな」

 「あ……はい」

 

 先に夜一が布団の上で横になり、掛け布団を少しめくって手招きすると、従順なソラはすぐにその中へ入っていった。世話をしてもらっていると自覚している以上、自分のできることで恩を返さなければならないと思っているせいだ。

 そのため、彼の体はあっさりと夜一の腕の中へ入り、大きな胸の谷間へむぎゅっと顔が押し付けられた。そのまま夜一は嬉しそうな顔でぎゅうぎゅうと彼の頭を抱きしめ、呼吸に苦しむソラは全力でないながらも抵抗する。

 姉と弟がじゃれあうかのような光景の中、辛くも巨乳の中から抜け出したソラは大きく息を吸い、げほげほとむせながら彼女へ抗議した。もっともそれは羞恥の裏返し、嬉しかったという感情を隠さない声だったが。

 

 「もうっ、苦しいですよ夜一様」

 「くっくっく、すまんな。少々やりすぎた――じゃがおまえが可愛すぎるのがいかんのよ」

 「か、かわいくないですよっ」

 「いいや、おまえは可愛い。その証拠に――ここも、のう」

 

 そう言って夜一はゆっくりと手を伸ばし、やがてソラの下半身へと触れた。浴衣越しに、ふんどしを隔てて触れたのは彼の生殖器。まだ成熟しきっていない小さな陰茎だった。

 途端にソラは大きな反応を見せ、顔を真っ赤にして目を見開きながら、全身をぴくんと反応させる。次いで抵抗するかのように夜一の手を掴み、自分の体から離させようとする。

 これまで夜一に逆らったことがないソラにはめずらしく、本気の抵抗のようであった。しかし彼の細腕では鍛えられた夜一の腕をどかせることはできず、まだ柔らかいそこをぐにぐにと揉まれるばかり。

 夜一の顔にはますます喜色が増していき、対称的にソラの顔は真っ赤になって、だんだん目にも涙が浮かび始めていた。

 

 「よ、夜一様っ、いきなり何を……」

 「ふふ、夜伽とは言ったが、何も寝るだけが仕事ではないということじゃよ――ここまで言えばわかるか?」

 「わ、わかりません……とにかく手を、離して下さ――」

 「いいや、だめじゃ。おまえの言うことは聞けん」

 

 ぴくぴくと小さく反応する陰茎が、擦られる度に大きく、反り返るようになり、確かな変化が見られるようになった。

 手の動きだけでそれを感じた夜一は抱きしめたソラの体をぐっと自分に寄せ、浴衣の帯に手をかける。するりと外されたそれは布団の外へ放り捨てられ、直後にははだけた浴衣の間からふんどしすらも取り除かれる。夜一よりよっぽど小さな体は瞬く間に裸にされたのだ。

 すると今まで隠されていた大事な場所、小さいながらもしっかりと勃起した陰茎が目に映り、恥ずかしがって嫌がるソラをそっちのけに夜一は楽しげに笑みを深めた。

 ゆっくりと、淫靡な仕草すら見せる指がするすると伸び、立派に固くなったそこをきゅっと握りしめる。全体を握られるようにされたソラは大きく目を見開き、今にもこぼれそうなほど涙を溜めながらも、声を発することなく未知の感覚に耐えた。しかし口は開かれ、舌が伸ばされているその顔では、快楽に酔っていることは誰が見ても明らかなのだが。

 

 「あっ、かっ――」

 「ふふふっ、イキそうになったか? 遠慮はせんでいいぞ、夜は長いからな」

 

 ひどく緩慢な動きで竿が擦られ、じんわりとした快感が与えられる中、開かれていたソラの口の中に夜一の舌が差しこまれる。

 蠢くような動きで歯を、歯ぐきを、舌を舐める夜一の動きは巧みで、そんな経験など皆無なソラには刺激が強すぎて混乱させてしまっているようだった。

 今の彼のきつく閉じられた目の端からは確かに涙がこぼれでて、全身は力が込められ過ぎて動けない。まるで蛙に睨まれた蛇のようである。

 そんなソラを安心させようとしたのか、舌を抜いた夜一は、今度はやさしくちゅっと唇を合わせ、やさしい声色で語りかける。そちらこそソラの知る、いつもの夜一の姿だった。

 

 「そう心配するな、ソラ。わしはおまえを嫌いになったわけでも、叱りたいわけでもない――おまえのことが好きだから、こういうことを教えてるのじゃ」

 「んんっ、ふぅっ――おし、える?」

 「そうだ。ふふっ、だからそんな顔をするな――もっとめちゃくちゃにしたくなる」

 「んんっ」

 

 再びソラの口内に夜一の舌が入り込み、淫らに、自由気ままに動きまわる。しかし今度はソラも嫌がる気配はないようで、目をきゅっと閉じた彼は徐々にではあるが快感を感じ始めていた。

 さっきよりもやさしく、しかし力を込められて陰茎が触られ、もう一方の手も尻や背を撫でるためソラの不安はゆっくりと、確実に消されていく。

 そうしてしばらくはソラを安心させるための動きを続けた後、だんだんと落ち着きを取り戻した彼はついに快楽だけを受け取るようになり、すぐに自分の体の異変に気付いたようだった。

 小便ではなく、それに似た何かが陰茎から出ていこうと動くのだ。

 

 「んっ、んんっ、んんんっ!?」

 「お、イキそうか? いいぞ、たっぷりと出せ。まず一発目じゃ」

 「んんんんんっ!」

 

 すると夜一の催促に乗るようにして、ソラは陰茎の先からたっぷりと射精を開始した。元々自慰すら知らなかった子だ、その量は子供にしては多い方である。

 びくびくと竿が震える間も、夜一は余った皮を動かすようにして手を上下に動かし、最後の一滴まで絞りだそうとするかのように射精を手伝う。その甲斐もあってかソラは最後まで気持ちよく精液を出し切ることができ、しかしそれが快感だとは理解できていないのか、呆然としたまま視線を空中へ漂わせていた。

 その顔を見て、ひどく愛おしいと感じた夜一はまた首を伸ばして彼の唇へ触れ、舐めまわし、口内に至るまで存分に堪能する。

 唾液を注ぎこめば従順にそれを飲みほし、自分からねだるように催促すれば彼もまた唾液を飲ませてくれる。口内に入ったり、入られたり、ゆっくりと時間をかけてではあるが、行為に慣れてきたソラも自分から舌を伸ばし始めていた。

 彼からの熱烈なキスに喜ぶ夜一はその間に自分の浴衣を脱ぎ捨て、体を守っていた下着すら捨てるとその小麦色のボリュームある肉体を露わにし、見せつけるかのようにソラの上へと覆いかぶさった。

 腕を伸ばして布団に手をつき、ぶるりとはちきれんばかりに揺れる乳房をソラの顔の前に移動させ、にたりと笑いながら告げる。

 

 「ソラ、どうすればいいかわかるか?」

 「え、えっと……い、いえ、わかりません……」

 「ふむ、そうか。ならば教えてやる。舐めよ。胸の先っぽで勃起しとる乳首を、丹念に舐めるんじゃ」

 「……は、はい」

 

 命令するかのようにそう言うと、ソラは恐る恐る、戸惑いが見え隠れする様子で首を伸ばした。目の前にぶら下がる乳房、その先端にある乳首に唇をつけ、赤子がそうするかのようにちゅっと吸ってみる。たどたどしいながらも、彼はそうしてちゅーちゅーと吸い始めた。

 その顔や仕草がひどく愛らしく、乳首を吸われる快感以上に、夜一は別の意味で感じているのだがソラは気付かず、ただ熱心に乳首を吸った。

 しかしいつまでも同じ方向ばかりでは夜一も我慢ができないらしく、自分から体を振って胸を動かし、吸われていなかった方の乳房をソラの顔に寄せる。顔にある笑みは変わらぬままだ。

 

 「ふぅ、ふっ……筋は悪くないが、そっちばかりではだめじゃろう。ほれ、こっちもな」

 「は、はいっ」

 

 言われた通りにソラは逆側の乳首に吸いついて、同時に気付けば両手が柔らかな乳房を揉む動作をしていた。ふにゅりと揺れる乳房に指が埋め込まれ、気分を良くした夜一が小さく体を震わせる。

 それから夜一はしばらく、ソラに自身の乳を吸わせることに集中した。元々の目的を思い出せば、結局ソラを抱いて性欲を解消しようとしていたのだが、本番に入る前からひどく気分が高揚するような姿を見れた。だからと言ってこれで満足する気もないのだが、この瞬間を楽しむのもいいかもしれないと思ったのだ。

 ミルクが出るはずもないそこを、赤子のように必死に吸う愛しい男を見て、髪を撫でながら存分に堪能させてやる。これも女だからこその楽しみだろうと、彼女はどんどん気分を高めていた。

 そしてソラの上に覆いかぶさって、体重をかけないようにしていた腕が疲れてきた頃、夜一はやっと布団の上に身を横たえた。そのまま自身が仰向けになり、ソラに次の命令を下すと、彼女はすでに濡れそぼったそこを見せるために足を大きく開いたのである。

 

 「さぁ、ここからが本番じゃぞ。おいでソラ、私の膣内に挿れるんじゃ」

 「い、いれるって……」

 「おまえのここを、私のここにさ――ほら、気持ちいいじゃろう?」

 

 夜一の手に握られた陰茎が、ぐっと彼女の膣に押しつけられる。亀頭の先が膣に入り込もうとする中で、ソラはまたしても強い快感を得られることを知った。

 言われた通りにしなければならない、という想いもあっただろう。しかしこの時のソラはそれよりも、もっとあの感覚が欲しい、と強く願っていたのだ。

 そのため、彼は迷うことなくそのまま腰を突き出し、熱く濡れる夜一の膣へと陰茎を飛び込ませた。まだ小さいそれは確かな熱を持っていて、奥までは届かないがそのすべてを夜一の中へと埋める。

 それだけで夜一は声を高くして悦び、両足で彼の腰を捕えて離さないようにしがみついた。

 しかし、ただでさえ快感に酔い痴れているソラがそれ以上我慢できるはずもなく、彼は挿入を終えたその瞬間に射精していた。びゅくびゅくと震える肉棒が、先程よりも少ない精液を吐き出し、膣内を汚していく。

 その瞬間にソラは力いっぱい夜一の体に抱きつき、小麦色の巨乳に顔を埋めて震えていた。すべての精液を体内に受け取り、その顔を見る夜一も幸せそうで、期待に応えるかのように両腕を彼の背に回していた。

 肉棒の震えが止まると、だらしなくよだれを垂らした夜一がソラの顔を覗き見て、幸せそうに脱力する彼へ語りかける。

 

 「はぁ、はぁっ……んっ、また出したな。しかし、ちゃんと言わないとだめじゃろう」

 「う、す、すみません……すごく気持ちよかったから……」

 「ふふふっ、そういうことなら、まぁいい。さて――続きをしようか」

 「へ?」

 

 突然、体を起こした夜一はソラと繋がったままで体勢を変え、二人の位置を入れ替えた。

 今度はソラが布団に背を預け、その上に夜一が陣取る。無理やり繋がったままそうしたため、チンぐり返しのような体勢となっていた。

 そのまま夜一はにやりと笑い、またしても戸惑うソラは言葉を失くしておろおろと視線を漂わせる。しかし彼が困った表情をしたところで解放されるはずもなく、むしろより一層に燃え上がった夜一はそのまま腰を振り始めた。

 途端に半勃起状態だったソラの肉棒が刺激され、再び元気な姿を取り戻す。二人が感じられる快感もすぐさま倍以上になった。

 

 「あぁっ、はぁっ、よ、よるいちさまっ……!」

 「ふっふっふ、一度だけで終わるとでも思っておったか? そんなわけがないだろう。わしが満足するまで何度でも、毎晩付き合ってもらうぞ」

 「そ、そんなっ――んっ、ふぅっ、ふあぁっ、はげし、すぎっ」

 「はぁっ、いいぞっ、凄くいい顔だソラっ」

 

 ずぷずぷと音が鳴るほどに水気を帯び、ずっぽりとソラを呑みこむ夜一の膣は何度も上下し、先程とは比べ物にならないほどの快楽を与える。おかげでソラは女のように甘く鳴き、体だけでなく声や顔でも夜一を楽しませた。

 それだけに彼女の気分も見る見るうちに高まって、行為は激しすぎると表現できるほどにまでなり、叩きつけるような速度で腰がぶつけられる。

 我慢の限界は夜一よりもよっぽどソラの方が早く、またしても彼だけが先に絶頂してしまう。先程よりも勢いの弱い射精が膣の中で行われ、さらに少量となった精液が吐きだされる。

 確かにソラの表情や声、実際に膣を掻きまわした肉棒で絶頂に近い快感を得ていた夜一ではあったが、これで満足できるはずもなく、彼女は何も言わずに再び腰を振り始めた。だらしなく開いた口元からはやはりよだれが垂れたまま。するとまたしても、ソラの陰茎は即座に反応を見せるのだ。

 

 「あっ、んんっ、よるいちさまっ――そんな、もうだめっ」

 「何を言ってる、わしはまだイッておらんぞ。それに今言ったばかりだろう――これからは毎晩、わしが満足するまで何度でも、これをやるんじゃ」

 「そ、そんなの、むりぃ……」

 「はぁんっ、んんっ、やってみなければわからん――あはぁっ」

 

 その後も二人の激しい性交は続けられ、空が白むその時まで行われた。

 そしてこの日を境に、夜一の屋敷の管理を受け持つソラの仕事が一つ増え、彼は毎晩と言わず夜一がいる時ならばいつでも体を好きにされるようになる。

 しかしそんな日々が数年続き、ソラの肉体が成長を見せても尚行為が行われ、二人だけの性生活が続いたのもある日を迎えるまで。

 突如として夜一が失踪した時、ソラは一人、四楓院の屋敷に取り残されていた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 ソラという少年が管理する屋敷に、新たな住人が来たのは元の家主が失踪して直後のことだった。事情を知っていた彼女が、元家主が残した少年を含め、それらすべてを守ろうと後を継いだのである。

 そのため現在のソラと共に生活し、かつてのように夜伽の仕事を行うのは、現在の家主である砕蜂に対してだ。彼は屋敷を管理する傍ら、健気にも砕蜂に体を任せ、自分の仕事に従事している。

 それはソウル・ソサエティに侵入者が入り込んだという噂があっても変わらなかった。

 

 「あぁっ、んんっ、んあぁっ」

 「ソラ。おまえは今日からしばらく、一歩も屋敷の外に出るな。これは命令だ」

 

 いつもより表情を険しくする砕蜂が、全裸で寝そべるソラの肉棒を激しく扱きながら言う。手の動きはいつもより速く、楽しもうとする姿というよりは苛立ちを彼へぶつけているかのように見えた。

 それでもしっかりと快感を受け取れる力強さのため、なすすべもなく、命令には逆らえないソラは甘い声を発しながらそれを享受していた。

 しかしやはり不思議に思う。いつも冷静で、自分にはやさしくしてくれる砕蜂が、なぜこれほどまでに荒れているのかが。

 やはり気になる、聞いてみたいと思う彼は射精をする瞬間、甲高い声で鳴きながらも彼女の顔から目が離せなかった。

 

 「んんっ、はぁっ、ああぁっ!」

 「んっ――聞こえたな? とにかく、私がいいというまで一歩も出るな。わかったか?」

 「は、はいっ、わかりました――あっ、んっ、でも砕蜂様、どうしてそんな――」

 「おまえは知らなくていいっ」

 

 突如口調を荒くした砕蜂の手が、諌めるようにソラの玉を握りしめた。しかしそれはいつものように快感を与えるための力ではなく、まさに躾けをするかのような力だった。

 鋭い痛みを急所から感じたソラは激しく全身を震わせ、嫌がるように身をよじり、目に涙を溜めながら思わず謝る。いつものやさしい砕蜂にはされたこともない、恐怖すら感じる行動だったからだろう。

 自然と自分を抱きしめ、怯えるように身を縮めるソラを見た砕蜂はきゅっと眉根を寄せ、辛そうな顔を見せる。しかし今さら前言を撤回する気はなく、むしろそれだけは守らせねばならないと、彼女もこの時ばかりは心を鬼にした。

 音もなくすっと立ち上がり、隊長を示す羽織を脱いだ彼女はソラを見下ろし、冷たい声色で告げる。意識しようとはしたが、やはり心中を占める不安のせいでやさしい声色にはできなかったのだが。

 

 「ソラ、脱がせ。これからおまえを抱く」

 「は、はい……」

 

 命令を下すと、いつもと変わらず従順に従うソラはゆっくりと動き出し、砕蜂が着る服に手をかけた。慣れた様子で一枚一枚をはぎ取り、しなやかな筋肉に覆われる細身を露わにしていく。

 すべてをはぎ終え、砕蜂が全裸になった時、彼は自らも服を脱いだ。長年着用しているお気に入りの浴衣を脱ぎ捨て、裸になって畳の上に寝そべる。

 そんなソラの一挙一動を見ていた砕蜂は小さく頷くと、仰向けになって寝る彼の体を跨ぎ、またぴくぴくと反応している陰茎に手をやって、自分の膣に亀頭を触れさせながら数回扱いた。

 即座に反応して固く勃起した陰茎は、何かを欲しがるようにびくびくと震え、その振動を砕蜂に与える。ふぅと息を吐いた砕蜂が一気にそれを根元まで銜えこんだのは直後のことだった。

 

 「うっ、ふぅ――相変わらず、固いな……」

 「うぅ、くっ、ふぅぅ――」

 「ソラ、何をしている。早く手を動かせ、いつも通りだ」

 「は、はいぃ……」

 

 膣への挿入が終わった直後、ほんの数秒だけ一息入れた砕蜂はすぐに腰を振り始め、同時にソラへ愛撫をするように命令する。

 するとソラは咄嗟に両手を伸ばし、砕蜂の薄い胸に触れ、その先でピンと立つ乳首を指で弄っていく。飽きさせないように強弱を変えるそれは熟練の経験と慣れが見え、砕蜂も思わず声を洩らして頬を赤く染める。

 単調なリズムで繰り返される腰の動きに合わせて、両手で胸を弄られる快感を得ながら、砕蜂は淡い快感を楽しんでいたのだ。

 

 「あっ、んっ、はっ――ソラ、おまえも腰を動かせ。もっと突きあげろ」

 「は、はいっ――んっ、んっ、んっ」

 

 それまでは砕蜂が一方的に腰を動かすだけだったが、しばらくするとソラも自ら腰を振り、彼女の膣内を抉るようにして肉棒を動かす。二人のそれは非常に息の合ったものだった。

 おかげで砕蜂が得る快感もより一層大きくなり、しっとりと濡れていた膣も徐々に分泌する愛液が増していく。

 ずぷずぷという小さな音を伴って肉体が一つとなって、快楽を貪るようにする砕蜂は目を閉じながら集中していた。ソラはそんな彼女の顔をじっと見つめ、いつも通りの姿であることを確認する。

 二人の行為は静かなままに続けられ、時を忘れるほど長くやり続けた後、ようやく二人揃って限界へと近くなっていった。

 耐えきれなくなった様子の砕蜂は上体を倒し、胸を合わせたままキスを交わし、叩きつけるように激しく腰を振る。いつの間にか一方的になっていたそれは、速度も相まってまさしく砕蜂がソラを犯しているようにも見えた。

 

 「んっ、んんっ、んんんっ」

 「んっ、ちゅっ、ソラ、イケっ。私に犯されて、イケっ」

 「んんんっ、んふぅぅっ――」

 

 繋がり合ったままでソラの射精は開始され、すかさず砕蜂は一番奥まで肉棒を銜えこみ、孕ませられることを望むかのようにすべてを奥で受け止めた。二人の顔はきゅっと眉を寄せながらも幸せそうに見える。

 そうして長く続いた射精が終わるまで繋がっていた二人は、呼吸が落ち着くまでその体勢から動かず、荒れた息が元に戻った頃に体を離した。

 まだ外は明るく、時間も昼を越えたところだ。いつもならばこの時間に抱かれても、仕事がある砕蜂は大抵一度だけで終え、身支度を整えて出ていくのが常である。

 しかし今日ばかりは砕蜂の態度は違って、彼女は自ら畳の上に尻を置き、股を開いて指を伸ばし、己の秘所を開いてソラへ見せるような体勢を取った。ピンク色の小さな穴から、どろりと白い液体が垂れ落ちる。

 それを見たソラは知らず知らずのうちにごくりと喉を鳴らして、その場所から目が離せなくなっていた。そしてその状態のまま、自分の主に向けて質問する。

 

 「そ、砕蜂様……こ、これは……」

 「……さっきはすまなかった。おまえを怖がらせたかったわけじゃないんだ。ただ、危ない目に遭わせたくないからと、それだけのつもりだった。悪かったと思ってる、だから……今日は特別だ。私を、好きにしてもいい」

 「えっ、で、でも……」

 「は、はやくしろ――これ以上、待たせるな」

 「……はい」

 

 逡巡を見せたソラも、赤く染まった砕蜂の顔を見ると一思いに行動する。四つん這いでそっと近付き、触れるだけの軽いキスを送ったのだ。

 そのまま二人は自然な流れで畳の上に寝そべり、胸をぴったりと重ねたまま、淫らに舌を絡ませる。いつもとは違って主導権はソラが握ったまま、自由気ままに抱かれるばかりだった彼からの行為だ。

 ぴちゃぴちゃと音が鳴って、聴覚からも気分を高める二人は目を閉じ、お互いの感触だけに集中する。そのままでソラは腰の位置を正し、舌を絡めたまま挿入を開始する。

 一度行為を終えただけに、すでに濡れそぼっている膣内は陰茎を拒むはずもなく、ねっとりと絡みつくように熱い肉棒を締めつけた。普通よりも狭い、強く締め付けてくるその感覚を自分のペースで味わえるということもあって、ソラは嬉々とした様子で腰を振り始める。

 ぐちゃぐちゃと卑猥な音が鳴る中、砕蜂はめずらしくも自分から唇を離して、両手でソラの頬を掴みながら問いかけた。息も荒くなり、甘い声を混じらせながらのことである。

 

 「あっ、あっ、んはぁっ――ソラ、おまえ……また別の隊の女に、んんっ、体をっ、許したらしいな」

 「うっ、ふぅっ、そ、それは――」

 「んっ、ふっ、聞きわけの悪い奴だな――いつも言っているだろう。あいつらはおまえを使って性処理しているだけだ。おまえが世間知らずだと知っているから、言葉巧みに騙してな……いいか、あいつらの言うことは聞かなくていい。もう二度と私以外の女と寝るな」

 「そ、れは……」

 

 必死に腰を振るっていたソラが、そう言われた途端に表情を歪めて動きを止めてしまう。今にも泣き出しそうな、ひどく悲しそうな顔だ。

 彼が何を言いたいのか、付き合いが長い砕蜂にはわかる。気持ちは彼と同じなのだから。

 しかし二人が気にしていることは、もうすでに過ぎ去ったこと。いつまでも引きずってはいられないものでしかない。

 だから砕蜂は戸惑うソラに向かって、頭を撫でながらはっきりとした口調でやさしく伝える。もういい加減、前を向かなければならないのだ。

 

 「あの……砕蜂様、でもそれは……」

 「――忘れろ。過去は過去、もう終わったことだ。今は私がいる」

 「……そいふぉ――むぐっ」

 

 砕蜂が首を伸ばし、力強くソラの唇を塞ぐ。積極的に舌を絡ませ、ソラが苦しくなるまで荒く動かし、口内すべてを味わうかのようだ。

 そうし終えた後、口を離した砕蜂は瞳を潤ませ、普段ならばまず見れない儚げな雰囲気で語りかけた。

 

 「どうにもならないこともあるんだ……代わりにもなれないかもしれないが、私がずっと、傍にいてやる。だからもう忘れてしまえ」

 「……は、いっ」

 

 再び、突然だが勢いよく腰が振られる。途端に砕蜂も甘く鳴き、ソラも荒い息を吐きながら必死に動く。

 今や二人の気持ちは一つになっていた。それは二人で共有している記憶や光景、それらが頭の中に蘇っていたせいだろう。

 想いだけでなく、呼吸や動きすら一体化させた砕蜂とソラは激しく繋がり合い、同じだけの快楽を得て大声をあげる。

 そして最後の瞬間、二人は全く同時に絶頂を迎え、再び一番深くで熱い体液を感じていた。

 どくどくと精液が注ぎこまれる途中、荒くなった呼吸の中でもホッとため息をついた砕蜂が、安心したようにソラを抱きしめて頭を撫でる。それはまるで母親のような姿であった。

 

 「ふぅ、ふぅ……したくなったら私に言え。いつでも気持ちよくしてやるから――私がちゃんと、忘れさせてやるから」

 「はぁっ、んんっ……わかり、ました……」

 

 荒くなった息を整える間もなく、砕蜂が下から腰を振り始めたことでまた行為が始まり、上に乗るソラが喘ぎ始める。体勢的には完全に攻守が逆転した形である。

 二人の接合が解かれたのはそれから一時間後のことだった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 ようやく仕事に戻る気になった砕蜂に甲斐甲斐しく服を着せ、片手でイタズラをされながらも仕事を終えたソラは、顔を真っ赤にしたままいまだに服を着れずにいた。

 一からすべて砕蜂の服を着せている途中から、彼女が無表情でソラの陰茎をいじり始めたせいである。すでに何度も彼女の膣内に射精した後だというのに、ようやく仕事へ戻る気になったのに、またも手を出してきたのだ。

 しかし立場上、ソラが抵抗できるはずもなく、彼は手のひらで亀頭をぐりぐりと押されながらも砕蜂に服を着せたのだが、もうすでに出発できる状態だというのに砕蜂は中々動かない。今も尚ソラへのちょっかいを止めなかった。

 初めはむくむくと大きくなるだけだった陰茎も、今ではぐちゃぐちゃと卑猥な音が鳴るほどに先走りが溢れ、感じていることを隠すことすらできない状況にある。

 ソラはただ顔を赤くして立ちつくし、ぎゅっと目を閉じて行為が終わるのを待つ。しかし砕蜂はそんな彼で遊ぶかのように、顔をじっと見つめながら焦らす行動しかしなかった。

 

 「うっ、うっ――砕蜂様……」

 

 砕蜂は答えず、ただ手を動かすばかり。しかしその内、彼女も少し違う動きを見せ、空いていたもう片方の手をソラの尻へと伸ばした。

 人さし指の腹で、撫でるように尻の穴へと触れ、すぐにずぶりとその中へ入り込む。するとソラは思わず大口を開けて舌を伸ばし、声にならない声を出して背筋をピンと伸ばした。

 彼の顔を見て、反応を感じて、砕蜂は楽しそうに笑みをこぼす。

 

 「ソラ、出せ。射精しろ。これは命令だ」

 「うっ、は、はいっ……」

 「もしもあと三秒で射精できなければ――今日の夜はお仕置きだ」

 

 下された命令に「はい」と答えたものの、三秒経ってもソラは射精せず、十秒経ってもできなかった。彼がようやく精液を吐き出したのは一分以上経過してからのことである。

 時間をかけながらも必死で射精しきった後、がくりと膝を折ったソラは畳の上で座り込み、己の裸を隠そうともせずに荒い呼吸を繰り返す。その前には畳の上に吐きだされた、自分の精液が広がっていた。

 そんな彼を見下ろし、自分の手に付着した精液を舐めとった砕蜂はようやく踵を返して、玄関に向かう意思を見せる。ただ最後に後ろを振り返って、楽しそうな声がソラへと向けられた。

 

 「また私の言いつけを守れなかったな――ソラ、帰ってきたらおまえにお仕置きをする。今から私が帰ってくるまで、ずっと裸でいろ。いいな?」

 「は、はい……言う通りにします」

 「自慰は禁止だ。それと、屋敷に誰か訪ねてきても、決して相手をするな。ふふっ、自分が出した汚れはちゃんと掃除しておけよ」

 「はい……」

 

 そう言って砕蜂は歩き出し、玄関で履き物を履くと外へ出ていった。

 屋敷を出た途端、周囲を警戒するように見回した彼女はしばらくその場で佇み、ある時急に指を弾いて音を発した。それをきっかけにして黒ずくめの忍者のような男たちが現れ、彼女の前に跪く。

 砕蜂はそれを気にした様子もなく、ただ事務的に冷たく言い放つ。

 

 「この屋敷を死守しろ、中には誰もいれるな。それから、もしここへ先代が現れたその時は――中にいる男に会わせることなく、始末しろ」

 「「「御意」」」

 

 命令が下された直後、男たちは周囲の森の中へと姿を消した。残された砕蜂はゆっくりと歩いてその場を後にし、真剣な眼差しをどこかへと向けている。

 それはこの場にはいない、記憶の中にいる誰かを見つめているものだ。

 

 「私を置いて行ったこと、ソラを泣かせたこと――おまえの罪は重いぞ、夜一」

 

 何らかの覚悟を決めてそう呟く彼女の声が、誰かの耳に入ることはなく、青い空の下で消えていく。

 その呟きに、その想いに、屋敷の縁側から何かを思うように空を見上げる少年は、気付くことなどできなかった。

 

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