※この作品はR-18です。

蛇獣書房   作:ヘビとマングース

48 / 95
たとえ目的が違っても

 あくまでおまえはソラの性欲を発散するための人間でしかない、という部分を強調して数度繰り返し、立場をわからせた上で追い出すように乱菊を屋敷から出した後。

 朝になり、仕事のために瀞霊廷を歩いている時のこと。

 二番隊の隊舎にある自室へ到達する前に現れたそいつはなんとも機嫌が良さそうで、普段滅多に見せない笑みを浮かべて話しかけてきていた。

 

 「やぁやぁ、砕蜂隊長殿。ご機嫌はいかがかな?」

 「うすら寒い口調はやめろ、涅。貴様が殿などと似つかわしくもない。何の用だ」

 

 涅マユリは、護邸十三隊で十二番隊の隊長を務めており、同時に技術開発局の局長を務める男である。顔には独特の化粧を施し、素顔を見せぬ上に性格まで珍妙な、十三隊の中でも特別異彩を放つ人物として知られていた。

 自身の探究心を満たすためならばある程度の規則違反や倫理を無視することすら厭わないマッドサイエンティストで、以前にはなぜかソラにも興味を持ったことがある。

 彼の興味は実験や研究という言葉にあり、特に人体実験を得意として様々な研究に明け暮れ、こうして自ら他の隊長へと話しかけるようなことなどない。ましてやこの状況、たまたま通りがかっただけのはずがなく、明らかに砕蜂を待っていた。

 自然、彼女の表情は不機嫌そうに変わってしまい、まるで睨みつけるような視線がマユリへと寄せられている。彼に出会ったのでは嫌な予感しかしない。しかし彼自身は睨まれたところで傷つく様子もなく、和やかとは程遠い笑顔を見せたまま、平然と彼女へ声をかけた。

 

 「面白い話を聞いたんだがネ。なんでもあのソラとかいう少年に女を与えているそうじゃないか。独占欲の強い君らしくもない。一体どういう風の吹きまわしだネ?」

 「なぜ、貴様がそれを知っている? いや、この際方法はいい。どうせ貴様のことだ。ソラの身辺に監視用の道具でも置いていたんだろう」

 「その通り。この前彼にプレゼントした時計に少しばかり仕掛けをネ。まぁそんなことはどうでもいい。私が聞きたいのはそんな話じゃあないんだ」

 「ではなんだと言うんだ。さっさと用件だけを言え」

 「では用件だけを。彼に与える女にネムはどうだ、と言いたいんだヨ」

 

 眉を寄せる砕蜂が、ふと彼の背後に視線をやる。

 そこにはやはり所在なさげに佇む女、マユリの娘、ネムが立っていた。

 死神としては他に見ないミニスカート丈の服装に、一つに結ったおさげの黒髪。人形のように精巧に作られた顔、肉体、雰囲気は美しく、同姓である砕蜂から見ても納得ができる美女だ。

 ついでにソラとの仲も良好。嫉妬する砕蜂に気付かずソラが彼女と会ったことを楽しげに話す程度には、彼らが親しい関係にあると知っている。

 容姿、性格、現在の関係。砕蜂個人の見解からすればそういったあらゆる点からネムはソラに会わせて問題ない気がする。激しい嫉妬心を除けば、ソラが傷つける可能性は非常に低い。

 問題なのはその隣、ネムの父にあたるというマユリの存在だ。以前からソラに研究対象として興味を寄せている彼を野放しにしておけば、何をされるかわからない。もしかしたら非人道的な人体実験で殺害されることすらあり得る。それだけ危険な思想の持ち主だ。

 隊長としての実力は一流でも、科学者としては凄まじい執念と狂気を見せて危険過ぎる。砕蜂が彼を良く思わないのもそこにあった。軽々しくソラに近付けるわけにはいかない。

 

 「なぜ突然そんなことを言いだす。前に言ったはずだぞ。ソラに手を出せば、たとえ隊長であってもおまえを殺すと」

 「わかっているとも。彼を殺したりなんてことはしない。だから方法を変えようと提案しているのだヨ。お互いのためにもネ」

 「お互いのため、だと?」

 「隊長同士が戦ってどちらかが死ぬともなれば大問題だ。ではそうならないように代案を考えるのは必然。つまり私はお互い殺し合わずに済む方法を考えてきたと言っているのだヨ」

 「もっと簡単な方法がある。ソラのことを忘れて研究を諦めろ」

 「それは無理だ。私は一度興味を持つと徹底的に研究しなければ気が済まない性質でネ。だが彼を使って実験しては、君と私の戦いが起こってしまう」

 「当然だ。ソラは私のものだからな」

 「ではこうしよう。彼の精子を使ってネムを孕ませてくれ。研究には彼の子供を使う」

 「なに……?」

 「あぁそれと、できれば精子以外の情報も欲しいところなんだがネ。髪の毛、血液、彼の細胞を寄こしてくれればさらに研究ははかどって彼自身への危害はなくなる。というわけだネ」

 

 上機嫌に話すマユリは普段より幾分興奮している様子で、どこか普段の冷静さを失っているように見えた。語る声はやけに熱っぽく感じられる。

 いい案を思いついた、とは言うのだが、砕蜂にとってみればそれはあまりいい案というわけでもない。確かにソラへ女を与えて、昔の女を忘れさせようとはしたのだが、だからといって子供を作るなど。産ませるなどとは一度も考えたこともない。

 はっきりとそう言えればどれほど楽か。しかし砕蜂は言葉を呑んだ。すぐさまそう言えないのはやはりソラの身を案じてのことだろう。マユリに目をつけられている以上、何をしでかすかわからない彼を相手にこの提案を蹴れば彼の身に何が起こってしまうのか。

 悔しいやら苛立つやら、砕蜂はマユリの顔へきつい視線をぶつけた。

 本気の怒気をぶつけられながら、それでも彼はやはり笑い続けるばかりだった。

 

 「なぜそうまでしてソラにこだわる。あいつを研究して何が得られるというんだ」

 「君は、本当にわかっていないのかネ? ずっと彼と暮らしているのに?」

 「奴は鬼道も斬魄刀も使えん。戦闘能力は皆無だ。脅威になることもありえんだろう。それなのに貴様は何を考えてソラを気にしている」

 「フゥ、やれやれ……これだから頭の固い人間は嫌なんだ。最も近くにいながら彼の本質を理解しようともしていない。がっかりだよ、非常にネ」

 

 ぐっと歯を食いしばり、砕蜂の目がさらに鋭くなる。

 やれやれと頭を振るマユリが。ソラのことをすべてわかっているかのように語るマユリが気に食わなかった。彼が何に喜び、何に悲しみ、何に泣いているかも知らぬのに。

 マッドサイエンティストに正常な思考を求めるのもどうかと、頭では理解していても心がそれを許さない。彼の辛そうな顔を見てきたのは自分だけなのだ。

 これではいけないと思いつつも一度火が点けば抑えきれない。挑発に乗るような形になってしまったが、砕蜂はますます苛立ちを募らせ、食ってかかるようにマユリへ言葉を返した。

 

 「貴様に何がわかるっ。何も知らん貴様が知った風な口でソラを――」

 「精神への直接的な干渉だヨ。或いは、洗脳に近い力なのかもしれない……彼の本質だヨ」

 「……なに?」

 

 マユリは、砕蜂の怒りをものともせず、それどころか気付いていないような素振りすら見せ、らしくもない恍惚とした表情を見せて語った。

 

 「考えてみたことはなかったかネ。世話をしていた君や拾ってきた本人ならいざ知らず、なぜ彼がこれほど他人から好かれるのかを。女だけでなく男まで、しかもあの十一番隊の更木までもが彼を好意的に見ている。あの戦闘狂までもだ。おかしいとは思わないかネ? いくら彼の容姿が整っていようとも、すべての隊長が彼を好意的に見て、隊員もそれを受け入れている。何の疑問も持たずに。別段特別な才能を持たない、ただの子供をだ」

 「な、何を言ってる……ソラが何かしているとでも言うつもりか?」

 「おそらく無意識の内にだがネ。私は、彼が持つ微弱な霊力が原因だと睨んでいるヨ。あの霊力が特殊な波長を持ち、精神への干渉を行っているのではないかと。鬼道も斬魄刀も使えぬ彼だが確かに霊力を持っている。それが無意識ながらも他人の霊力、或いは精神へ干渉を行い、自分自身を好意的に見せて……いや、違うな。実験的に私も顔を合わせたが好意的に見せようというのではない。おそらくあれは、癒し、とでも言えばいいのか。傍にいる人間の心を落ちつかせ、闘争心を失くさせる力を持っていると推測できる。その影響があって彼は他人から見れば傍にいるだけで心が落ち着く人間だと見られているのだろう」

 「ソラに力だと……? そんなはずは――」

 「ないと言い切れるかネ? では君がそこまで彼に惹かれている理由は。更木剣八が理由もなく彼を認めるのは、どうしてだと説明できる? 朽木隊長は、卯ノ花隊長は、京楽隊長や日番谷隊長は? すべての部隊の平隊員まで彼に対して悪感情を向ける者は居ない。それに私は実際自分で会ったことがある。一目見ただけでもわかるとも。彼は特別なのだと」

 

 マユリの長い講釈を聞き、砕蜂は何とも言えなくなった。

 四楓院夜一が連れ帰った捨て子、ソラと名付けられた男の子。まだ自分が見習いだった頃から付き合いのある彼に、そんな力があるなどと、聞いたことも確認したこともない。違和感を持って考えようとしたことさえなかった。全く可能性を考慮しなかったのである。

 だが確かに、彼は多くの死神たちから愛されていた。否、死神だけでなく、流魂街の住民の多くからも。誰かが彼を傷つけようとしている光景など一度も見たことがない。それは事実。

 彼が特別何かをしたというわけではないだろう。だが気付けば誰とでも仲良くなっていて、その日に出会った人、起こった出来事、様々な話を聞いたことがある。

 そして言われた通り、戦闘狂で強い人間を斬り殺すことにしか興味を持たない十一番隊隊長もまた、珍しく自身の隊の人間ではないソラを気にいったとの噂も聞いている。十一番隊だけでなく、他の隊長もまた、同じく。そんな噂はいくつもあった。

 マユリの持論を跳ねのけるだけの材料は砕蜂の手元にはない。

 憶測すら出せずに答えに詰まった砕蜂は口を噤み、深い思考の中へと落ちていった。

 そんな最中にもマユリは口を止めようとしない。

 

 「そこで、私が調べてあげようと言うのだヨ。君の側近が持つ不思議な力とやらを。なぁに心配には及ばない。本人には手を出さないという証明のため、先程言った通り接触するのはネムだけだ。ネムに彼の子を孕ませ、いくつかのデータを採取させ、生まれてきた子を使って実験を開始する。どうだ? これなら文句はあるまい」

 「調べた後で、どうする。結果が出て貴様がどう思おうとソラを渡す気はないぞ。たとえ貴様の推測が当たっていたとしてもな」

 「その時になってからまた考えるさ。とにかく今は、彼の持つ不思議な力を解き明かしたい。有効活用できるのなら、本人の細胞や遺伝子を使って何かしらを作るつもりだヨ」

 「チッ……まぁ、いいだろう」

 

 苦々しい口調ではあったが、砕蜂は吐き捨てるように小さく言った。その後はすぐに背を向けて歩き出そうとする。

 

 「屋敷への立ち入りを許可してやる。ただし、そっちの副隊長だけだ。貴様が入ることはおろか、近付くことも許さん」

 「ああ、いいだろう。それで十分だヨ」

 「それと念のためにもう一度言っておく。もしソラに危害を加えたり、悲しませるようなことがあったその時は――」

 

 背中を見せていた砕蜂がわずかに振り返り、マユリの目を正面から見る。

 その瞳の中には彼にも負けない狂気が現れていて、かつて見た戦闘中の姿などあっさりと越える威圧感を持っていた。いつ殺されてもおかしくないだけの殺気にマユリの全身が包まれる。

 

 「どんなことをしてでも貴様を殺す。肝に銘じておけ」

 「おぉ怖い。せいぜい気をつけることにするヨ。私も研究材料を遠ざけられては困るのでネ」

 

 再び振り返り、砕蜂は去っていく。

 その背を見送ったマユリは懐に手をやり、一つの小瓶を取りだした。

 彼女の背が十分に離れて見えなくなった後でその手を伸ばし、背後に立つネムへと向ける。妙な色の液体が入ったそれを彼女に手渡しつつ、先程より幾分落ち着いた声が命令を下した。

 

 「ネム。今すぐ奴の屋敷へ行って彼と接触してこい。その薬を飲むと卵子に精子を与えさえすれば一度で受精できるはず。そうすれば十月十日と言わず、数週間で生まれるだろう。そのためにおまえの腹を改造したのだから」

 「はい……わかりました」

 「それから、念のためいくつかのサンプルを取ってこい。精子、髪の毛、血液、皮膚、少量でいいから取れる物すべてだ。この研究を成功させるには多方面からのデータが必要だろうからネ」

 「はい……あ、あの、マユリ様……」

 「なんだネ?」

 

 薬を受け取ったネムはすぐには動こうとせず、何かを躊躇うような仕草をしながら、恐る恐るマユリへと声をかける。何かを恐れる様子ですらあった。

 彼の意識はすでにこの場にはなく、来るべき時に備えようと柔軟に思考を働かせている様子。従ってネムの話も適当に聞いていたと言っていい。

 しかし彼女は珍しく自分の意見を唱え、許可を取るべく口を開いた。

 

 「あの、できればでいいのですが……私と、ソラさんの、子供……ひ、一人くらい、私の手で育てては、いけないでしょうか……?」

 

 胸の前で組んだ手を揺らしながらもじもじと。

 普段は絶対マユリの命令に逆らわず、自分の意見を伝えることもない彼女がそう言った。

 マユリは無表情で、ゆっくりと振り返る。無機質な目が彼女を捉えた。

 

 「研究の邪魔はしません。止めもしませんから、どうか……どうか、私とソラさんの子を、一人だけでも、私の子供として……お願いします」

 

 ぺこりと頭を下げてそう言う彼女は震えていた。逆らったつもりもないが、ひょっとしたら機嫌を損ねる発言だったかもしれない。無駄なことのように思える提案だと彼女も理解していただろう。本来であればマユリはそこまでしないはず。必要がないことには一切興味を持たない人間だ。それを理解していながら、今度ばかりは言わずに居られなかったらしい。

 いつまで経っても返答は来ず、ネムは不思議そうな表情を浮かべる。

 下げた頭をゆっくりと戻してみれば、なぜかマユリは腕を組んで片手を顎に当てており、ぶつぶつと呟きながら考え事などしていたようだ。

 

 「そうか……もしあの力が遺伝されるのであれば、手元に置くことの有用性はある。いや待て、そもそもあれは他者に癒しを与えるだけの能力か? もしそうでないのならば、子によっては他者の精神へ干渉した結果が違うのかもしれない。性別による違いは? 同じ遺伝子から生まれて個体差はあるのか? もし、彼のあの力はいまだ発展途上で、成長させれば自在に他者の精神へ干渉できるとして、怒りも悲しみも喜びも癒しと同様に与えられるとしたら……他者の精神を支配することができるのだとしたら――面白い」

 「マユリ、様……?」

 「実に面白い研究内容だヨ。調べることは山ほどありそうだネ。……いいだろう。子の一人や二人、いくらでもおまえが育てればいい。そうだな、まず最初の一人は成長と訓練によって霊力の力と自在性について調べるとしようか。まぁもしも遺伝されない力なのだとしたら解剖でもして体組織から調べればいい」

 「あの、ではマユリ様……」

 「あぁうるさい奴だネ。わかったからさっさと行け。まずは彼の子を孕まないと始まらないじゃないか」

 「は、はい……」

 

 頭を下げた後、ネムは小走りでその場を去っていく。その顔には承諾を得たためか、わずかな笑みすら浮かんでいた。

 その背を見送ったマユリもまた、探究心から来る興奮、期待が浮かんでいる。

 

 「もしもあの力が緩やかな日々の中で成長が止まり、ただ一つの側面しか見せられていない状態なのだとしたら、そのすべてを自らの意思で操れるようになった時にはどうなるのか。ククク、なんとも面白い研究じゃあないか。隠されたその力の全貌……ぜひとも私の手で解き明かしたい」

 

 にんまりと笑うその彼にも、推測された力は効果を発揮していたとでもいうのか。

 マッドサイエンティストとしてはずいぶんと珍しく、ネムやソラに対しても、これから生まれてくる予定の子供に対しても、残虐で非道な考えを向けられることはなかったようだ。

 

 

 *

 

 

 仕方がないからと、彼女は言った。それがマユリ様の命令だからと。

 最初にそう説明されたのだが、ソラにはどうもそうは思えないのである。

 それはおそらく彼女の声が普段と違い、妙に嬉々とした調子を持っていたせいだった。

 

 「すごい、ソラさんのおちんぽ、こんなに……びくびくってして、おつゆに濡れて、なんだかとってもえっちです」

 「うぅ、うっ、ネムさん……」

 

 服をだらしなく肌蹴、大きな乳房でソラの後頭部を挟みこみ、背後から抱き締めながら彼のペニスを指で弄る。その仕草も声も、ちらりと確認した表情と上気した頬も、どう見たって幸せそうに見える。決して、命令だから仕方ない、と言いながら嫌々している様子には見えないのだ。

 後ろからすっぽりと抱きすくめられるソラに、今や拒否権はない。体が小さい彼は嬉しそうなネムに捕まり、一方的に体を弄られるばかり。

 それを良しとしているわけでもないが、抵抗することを諦める癖を持つ彼だ。いつもの通り、だめだと言いつつもしっかり感じて、目を潤ませ、ますますネムが興奮する表情を見せて抵抗できずにいる。与えられる快感に逆らうのはひどく難しかった。

 特に彼が逃げ出さなかったのは、砕蜂様からの命令です、という言葉があったからでもある。それでも抵抗感が完全に消え去ったわけではないが、免罪符とするには大きな力があった。

 

 「ネ、ネムさん。こんなこと、砕蜂様に悪いです……今からでもやめにしましょう、ね?」

 「いけません。その砕蜂様が、あなたと交わるようにとご命令されたのです。ですからやめてしまうのは、砕蜂様のご命令に逆らうことになるんですよ」

 「で、でも……うぅ」

 

 子供を叱りつけるようにそう強く言えば、ソラは強く言い返せない。元々がやさしい気質であるし、何より砕蜂の命令には従おうという態度があるためである。

 彼は固くなったペニスを手の中で弄ばれつつ、こんなことをしてはいけないと思いながら、それでも気持ちよくなっていた。言葉とは裏腹に表情は嘘をつけていない。

 ペニスを扱くネムの手の動きは非常にゆったりと、焦らすような力加減と速度で、もどかしさを感じるソラは気持ちいいやら物足りないやら、同時に強い羞恥心を感じて顔を赤く染めている。自分の裸体を見られるばかりか、後ろから抱きしめられてやんわりと拘束され、好き勝手に最も恥ずかしいその場所を弄られているのだ。嫌でも気分は高まった。

 裸を見られていると感じるほど、体に見合ったサイズの、しかしやはり体格にしては平均よりも大きなペニスがむくむくと頭を上げ、興奮の度合いを分かりやすく伝えている。熱を感じ、固くなった感触を感じ、変わらず手のひら全体で亀頭を揉みほぐすネムはふわりと微笑んだ。

 

 「ほら……ソラさんのおちんぽも嫌がってませんよ。きれいな色の先っぽからえっちなおつゆ垂れ流して、ぐちゅぐちゅって。気持ちよくなりたいんでしょう? 私を孕ませるせーしびゅーびゅーって、思い切り出したくないですか?」

 「う、うぅ、うぅぅ……」

 「我慢しなくていいんですよ。私の体なら、何度使ってもいいんですから。ほら、一度出しちゃいましょう。そうすればすぐに私のおまんこでびゅーびゅーしたくなりますよ」

 「うあっ、あぁっ……!」

 

 溢れ出た先走り汁でぐちゃりと音を立てながら、ペニスを扱く速度がさらに速くなった。動きに応じてビリビリとした感覚が体内を駆け廻り、ソラは目を閉じて眉を寄せる。わずかに洩れる声も妙に色気のあるもので、言葉とは裏腹な態度が明らかとなっていた。

 ネムの笑みはますます深まり、サディスティックでありながら、どこかやさしい母のようでもあるという、なんとも不思議な表情である。耳元で怪しく囁き、彼の精神を狂わすほど、彼女の姿は普段とは違うものだった。

 興奮はさらに高まり、手の動きがさらに速まる。

 

 「もう出ちゃいますね。いいですよ、いつでも好きな時にびゅーびゅーしちゃってください。ふふふ、ソラさんのえっちなせーし、ちゃんと手で受け止めてあげますからね」

 「あっ、だめ、そんな、うぅっ……」

 

 激しくなった手コキにより、ソラはうめき声を発する。直後には囁き声で耳を犯されているかのような錯覚で、我慢することもできずに小さく限界を告げる声が出ていた。

 手のひらで亀頭を包まれた状態、ソラの腰が大きく震えると、射精によって飛びだした精液が美しい指先を濡らす。ドクドクと竿が脈打ち、動きに合わせて飛びだすそれは非常に熱く、掌で熱を感じたネムは目を細めてため息をつく。

 うっとりとした目で脈動するそれを見つめ、吐息は甘く、興奮を抑えきれてはいない。嬉しげなネムはペニスの動きが止まると手を離し、指先と言わず右手全体に絡みついたその液体を見つめ、指を動かしてねちゃりと音を立てた後、ゆっくりと自らの口元へ運ぶ。

 どろりと粘着性の高い液体が舌の上に乗り、味わうかのように転がして、躊躇いもなく喉を鳴らして飲み込んだ。その行動によりネムは頬を緩ませ、言い知れない歓喜に酔いしれる。

 これが至福の一時。普段はあまり感情を表に出さない彼女が、一目でわかるほどの表情を見せていた。それだけ初めてのソラとの密事は幸せな物だったようだ。

 

 「はぁ……すごくおいしい。ソラさん、たくさん出しちゃいましたね。おちんぽびゅーびゅー、びゅくびゅくって、手がまっ白になっちゃうくらい。熱くて、濃厚で、どろどろのせーし……」

 「はぁっ、ううぅ、い、言わないでください……」

 「うふふ、乳首もこんなに大きくなって。くりくりって、されたいんですか?」

 「うあっ、はぁっ……!」

 

 精液で濡れた右手の指を自分で舐めつつ、左手はソラの胸へ。興奮から勃起している様子の乳首をきゅっと摘み、捻ったり、あくまで彼を悦ばせるために指を動かす。

 普段の大人しい姿とは違い、この時のネムは妙に上機嫌そうで、彼が知る姿とは様子が変わっていた。それも仕方がないだろう。今日まで彼女は自分の想いに蓋をし、自ら彼に近付かないようにと律してきた。だが本心では、ずっと彼とこうしたかったのだ。

 言わば今日はネムの念願が叶ったということになる。そのため彼女の上機嫌は終わることがなく、ソラの耳をねっとりと舐めながら、興奮を示す鼻息はさらに荒くなっていった。

 

 「乳首でも感じちゃうんですね。ソラさん、可愛いです……」

 「うぅ、やぁっ」

 「もっと鳴いてください。可愛い声、たくさん聞かせてください――」

 

 ツンと立つ乳首が指先で摘まれ、くりくりと捻るように刺激される。普段から全身余すところなく使われているソラだ、ただそれだけの行動で与えられる刺激もすっかり快感として受け止めている。唇を噛み、声を我慢しようとするもどうしたって洩れでてしまう。それを恥ずかしいと想いつつ、どうすることもできずにソラはただ強く目を閉じた。

 そんな彼の顔を愛おしげに眺め、頬に舌を這わせ、ネムは淫らに微笑む。

 人肌に触れるというのがこれほど幸せなことだとは。特に相手がずっと想い続けていた相手、ソラだというのが嬉しい。きっと相手が彼以外ならこれほど嬉しくはないだろう。むしろ想像することすら嫌だと思っている。

 ソラの肌に触れることが、声を聞くことが、快感を与えていることが幸福だ。

 右手を濡らした精液をすべて舐め取り、再びゆったりとペニスに触れる。一度射精してもまだ硬さを失わず、触れられた途端にびくりと反応する。可愛らしいと思う挙動だった。

 亀頭を包み込むように揉み、左手で乳首を強く引っ張る。すると歯を食いしばったソラの体が一際強く跳ねたような気がして、楽しくなったネムは顔を覗き込んで唇を奪う。

 まずは強く唇を押しつけ、満足するまで柔らかさを楽しむ。行為を始める際に経験したことだったが、やはり嬉しくなって仕方ない。体の内側からかっと熱くなって、確認しなくても股が濡れていくのがよくわかった。

 続けてわずかに舌を出し、柔らかな唇をぐっと押しつつ、形を確かめるようになぞっていく。

 繋がった口の間からソラの甘い声が聞こえた。また頭の中が熱くなる。

 今度は舌で唇を割って入り、口内にある舌を絡め取った。柔らかい感触で怯えた様子を見せるそれ。何度か撫でるように舐めると、恐る恐る反応を示す。嬉しくなってさらに深く繋がろうと唇を押しつけて舌の絡まりを強くした。

 一挙一動でソラの体が跳ねる。ペニスが独りでにびくびく震えて、いつ我慢できなくなってもおかしくはないが、それだけに彼が我慢する様子がいつまでも楽しめた。

 一挙一動、すべてが愛おしい。

 ネムはソラを溺愛している様子で、飽きることなく彼を愛でる。

 しばらくして一斉に体を離し、彼の小さな体をただ抱きしめた。ぐったりと胸に頭を預けてくるソラを抱きしめ、子供をあやすように頭を撫でてやる。そうする彼女の頬は普段誰にも見せたことがないほどに緩んでいた。

 

 「ソラさん、また出したいんですね。おちんぽぷるぷるしてるからすぐわかります」

 「う、そう、ですけど。だけど、あの」

 「いいんですよ。好きなだけ出してください。出したい時に出して、いっぱい気持ちよくなってくださいね。だけど今度は、手じゃなくて」

 「えっ……?」

 「立ってください」

 

 そう言ってネムはソラの両脇を持って立たせた。

 肩に触れて体の向きを変えさせ、ネムが正座をし、正面から向き合う。

 今にも暴発しかねないペニスが顔の前にあり、微笑んでそっとそこに顔を近付ける。ソラにしっかり見えるよう、ゆっくりと口を開けてペニスに寄っていった。

 ソラの目が真ん丸に広げられ、驚いているのがわかる。期待と不安が入り混じった様子。

 見つめられていることを理解して、ネムは嬉しげにペニスを口に含んだ。柔らかくも芯がある感触が舌の上に乗り、独特の熱さに思わず頬が緩む。

 途端にソラは気持ちいいのか声を発して、歯を食いしばってきつく目を閉じた。羞恥心にまみれた表情である。その顔を見上げてネムは嬉しげに口をすぼめた。

 

 「うっ、あっ――」

 

 ずるずると音を立てて吸いつき、亀頭に舌を絡める。

 ソラが声を発するのが嬉しかった。もっと聞きたい、もっと蕩かしたいと思う。それだけ力と気合いが入ったらしい。

 両手で腰を掴み、ゆっくりした動きで頭を振る。口をすぼめているおかげで吸いつきが強く、唾液が絡みついて、包皮がずるりと動く感触すら気持ちよく感じられた。

 そう長くは持たないと、二人共が思っていただろう。

 遠慮がちにソラがネムの頭へ手を置いた時、それだけで意図が伝わる。射精の瞬間はもう間近に迫っていた。我慢しているが、その上で限界がそこまで来ている。

 

 「うぅ、ネムさんっ、もう無理です……!」

 「んんっ、んふっ、いいんえふよ。いふえも、あして……」

 「あぁっ、はぁ、あっ――」

 

 いつしか自分でも気付かぬ内にソラの腰が前後に動いていた。自らの意思ではなく、我慢することもできないため、本能から来る行動だ。緩やかにかくかくと腰を揺らしている。

 徐々に速度は速くなってペニスが口に出入りする様が大胆になった。

 ソラの顔はもはや限界で、目は蕩けて焦点が合わず、口は半開きでよだれを垂らしている。

 ネムも承知でずずっと一際強く吸いついた。途端にソラの腰が跳ね、悲鳴のような声が出る。

 

 「うああっ、だめぇ!」

 「んっ、ふっ――」

 

 亀頭の割れ目から精液が飛び出した。勢いが強くて喉にまで到達する。一度目を経た後なのに量が多い。出される内からネムは飲み干していき、嬉しそうに喉を鳴らした。

 竿の律動が止まるとゆっくり口を離す。

 見せつけるように口を開いたネムの舌の上には、敢えて飲まなかった精液が乗せられている。唾液と混ざって白濁液の中に泡が見え、羞恥心を感じてソラの顔が赤く染まった。

 見せつけたまま、ネムがそれも飲み込む。

 再び口を開いた時には口内に精液は残されておらず、すべて体内に運ばれていたようだ。

 どこか誇らしげな顔のネムは最後にちゅっと萎えたペニスの先にキスをすると、膝立ちになってソラの顔を抱きしめた。豊満な胸に顔面が埋まり、力を失ったはずのペニスがまたむくむくと頭をもたげ始める。柔らかい感触に安心感が生まれ、ふと気付けば両手で触れていた。

 彼が女性の胸を好んでいるのは服を脱いだ時点でわかった。柔らかで大ぶりなそれが露わになった途端、恥ずかしがりながらも目が釘付けになり、しばらく我を忘れて見入っていたのだ。これで気付かないという方がおかしい。

 可愛らしい彼を力強くぎゅうと抱きしめ、息苦しさから暴れ始めるまで解放しなかった。

 離した後は正面から見つめ合い、またネムがソラの唇を奪う。小さなリップ音を鳴らしながら何度も触れて離れて遊び、最後に舌を絡めてやめる。主導権を握っていたのはネムだった。

 ネムから離れて見つめ合い、潤んだ瞳に気を良くする。

 大人ぶっていたがもう限界だ。すべて資料を読んで知識としていただけ、経験はない。そのため余裕など少しも残っておらず、股間が熱くなって今すぐそこを掻きまわして欲しい。落ち着いた笑顔を見せながらも今の彼女は飢えた獣のようであった。

 

 「んっ……ソラさん。子作り、しましょう」

 「あ、あ、あのっ」

 「したく、ないんですか? おちんぽギンギンなのに」

 「うっ……し、したい、です。お願いします……」

 「はい。よろしくお願いします」

 

 ネムが自ら布団の上へ横たわり、何も言わずに脚を広げ、両手を股へやる。

 そんなことをした経験は皆無だが、自らの指で秘所を開いた。昼時の室内ではそこがはっきりと目に映り、見惚れたソラが息を呑んで凝視する。

 まだ誰も知らない、きれいなピンク色のそこ。

 頬を赤らめて微笑むネムの顔を見て、意を決し、ソラは痛いほどに勃起したペニスを握る。

 

 「い、いいですか、このままで」

 「はい。もう十分濡れています。あとは、それを、ここへ。私のおまんこへ入れてください」

 「は、はい。それじゃあ、いきます」

 

 亀頭を膣の入り口へ当て、ゆっくりと腰を前へ突き出した。

 濡れたそこへずぶりと入りこんでいく。柔らかく、熱い感触。ソラが耐え切れずにため息を洩らした。どこか必死で呆けた顔である。

 ネムもまた、彼の感触を感じていた。柔らかいようで硬い、熱された鉄の棒にも思える。初めての感覚は思いのほか痛みを伴わず、ただ腹の中に入り込む異物感は否めない。

 ずぶずぶと奥へ進んでいくと、亀頭が膜を見つけた。触れた瞬間にソラが肩をびくつかせる。

 それを破れば、行為が始まったということになる。ネムと一つになったという証明だ。言いかえればそれを破らなければ真に彼女と一つになったことにはならないだろう。

 一瞬不安を露わにしたが、彼女と目を合わせて覚悟を決める。

 ソラの腰は勢いをつけて前へ進み、一思いに膜を破った。ネムがきつく目を閉じて小さく声を出す。しかし辛そうな顔には見えない。

 その時にはソラに余裕が無くなっており、気付けば自分も知らない内にネムに抱きついて腰を振っていた。大きな乳房に顔を埋め、挟むように両手で押さえている。我を失う快感の中であっても自分の好みは変わらないようであった。

 勢いをつけて腰が振るわれる。ペニスは思う存分好き勝手にネムの膣内を荒らし、亀頭で壁を抉り、狭い道を無理やりに広げた。

 初めて異性を受け入れる膣を自分の形に変えるように。無言で何度も出入りを繰り返す。

 荒い呼吸だけで室内が満たされ、二人は目を閉じて快感と行為に集中していた。

 

 「ハァ、ハァ、んんっ、はっ――」

 「あぁっ、んっ、んっ、ソラさん……」

 

 ネムの両腕はソラを抱きしめ、離さないと言わんばかりに頭を掻き抱く。同時に長い両脚が彼の体に回されて捕えていた。

 しばし無言で時を過ごす。腰が止まる時間は一秒となく、どれだけ疲れようが必死に動き続ける。ソラの動きには慣れが見えた。日頃から女を抱いている動きだ。

 それに気付きながら、今だけは無視したい気持ちで。ネムは目を閉じて彼の息遣いを耳にする。

 わずかな甘い声と荒くなった呼吸。自分で感じているのだ、という達成感にも似た何かを感じていた。それはそのまま、幸福感とも直結する。

 気付けばネムは蕩けた笑みを浮かべていた。目を閉じたまま、好きな男に抱かれる女の喜びを知る。快感を感じているかどうか、今はまだわからない。それでもソラと繋がって、彼が自分の体に夢中になり、感じてくれているのだと思うとそれだけで胸の中が温かくなってくる。そして同じだけ、股の内側が熱くなってくるようだった。

 甘い声をわずかに洩らし、ネムは何度となくソラの名を読んだ。

 彼の名を口にする度、言葉にする度体がぽっと熱くなる。どうしようもない感覚で頭が悩まされ、頬が緩んで仕方なかった。こうなっては自分を制御することもできない。

 ネムは尚のことソラに強く抱きつき、彼が苦しげに胸から顔を離しても力を緩めなかった。

 

 「あぁっ、ソラさんっ。ソラさん、ソラさん――」

 「はい……うくっ、ここに居ますよ、ネムさん」

 「んんんっ、あはっ、はぁんっ」

 

 いつの間にか下腹部から聞こえる音がぐちゃぐちゃという卑猥な水音に変わっていた。肉がぶつかる音に混じって中から掻き出された体液が飛び出ているらしい。認識するとネムの顔が赤くなり、恥ずかしがって逃げるようにそっぽを向く。

 ソラの目はそんな彼女の顔をしっかりと見つめており、余計に腰の速度が速くなった。

 もはやラストスパートをかける様子。上から両手で胸を鷲掴みに、押し潰すようにしつつ、彼女の体を押さえつけて腰を叩きつける。

 ネムの声は明らかに甘くなっていて、今では確かな快感を感じているようだ。これだけ濡れていれば当然か、とも思うが言葉にはしないでおく。今はそれよりも先に射精したかった。

 限界まで張りつめたペニスが膣内の愛液を掻き出しながら出入りを繰り返し、ついにその時が来ると、硬いそれは限界まで奥を目指して進む。

 ソラの腰が突如止まった。そこでうっと小さな声を洩らし、腰が震える。

 射精は何も告げられずに始まり、ネムの子宮を目指して子種が注ぎ込まれた。

 両者の腰がびくびくと震え、それから動きが止まる。

 しばし静寂が部屋を包み込んだ。どちらもすぐには動き出さずに倒れたまま、乱した呼吸を整えようと深く息を吸い、吐いてを繰り返す。

 しばらくして、ソラがゆっくりとペニスを抜いた。二人分の体液に濡れたペニスはいまだ半ばほど硬度を保って完全に萎えたわけではない。

 ソラは緩慢な動作でネムの腹を跨いで座り、乳房の間に濡れたペニスを置いた。そして両手で胸を寄せ、ペニスを挟むと腰を動かし始める。

 呆けたネムと目を合わせながら、卑猥な動作で頬が紅潮していた。

 

 「ハァ、ネムさん、ごめんなさい……もうちょっと、もうちょっとだけ」

 「はい、いいんですよ。もっとしてください。私もソラさんと、したいんです」

 

 ネムがソラの手を除け、自ら乳房を寄せてペニスを挟む。

 これによってソラの手が空き、今度は両の乳首を指で摘んだ。ネムがわずかに反応するが制止の言葉は出さない。されるがままを受け入れている。

 そうしてずるずると彼女の胸に体液を塗りたくり、快感もピークに達した頃。

 再びソラはその時を迎え、ネムの顔を見つめたまま喘ぎ、余裕がない状態で言った。

 

 「あぁっ、ネムさんっ。く、口を開けてっ」

 「はい、どうぞ。私の顔に、ぶっかけてください」

 「うぅ、うああっ――!」

 

 またも勢いよく精液が飛び出す。胸に扱かれて出たそれらは宙を舞い、口を開いて待ち受けたネムの顔面に降り注ぎ、容赦なく汚していく。

 肌に白く塗り、舌の上にも乗せて、射精が終わる頃には彼女の顔は白く染まっていた。怒るどころか満足げな表情である。

 呆けた顔でソラが見ていることを確認し、舌の上に乗った精液を飲み、その後で少し顔を起こしてペニスに舌を近付ける。亀頭の割れ目だけを舐めてきれいにしつつ、ダメ押しの刺激を与え、手で根元を扱くと尿道に残っている分も押しだした。

 すべて飲み終え、ソラの顔を見上げる。肩で息をする彼は不思議と心ここにあらずといった様相でしばらく黙ったまま動かず、ようやく口を開くと申し訳なさそうにしていた。

 

 「ご、ごめんなさい……顔、汚しちゃって」

 「いいえ、いいんです。私は嬉しかったんですから」

 

 ぺろりと亀頭の割れ目を舐め、ネムはソラに体の上から退くよう促した。

 言われるがまま彼が畳に正座して座ると、ネムも起き上がり、愛おしげに自身の股を撫でる。子種を注がれた秘所からは、少量内部から精液が垂れているものの、確かに子宮に届いた。

 肉体改造の影響か、すでに体内が動いている気がする。子供を作ろうとしているのか、或いはもう出来ているのか。どちらにしても嬉しいことだ。

 ネムは自身の腹を撫でて嬉しそうに微笑んでいた。これで任務は達成。マユリの言いつけは守ったことになり、これ以上の行為に意味はないとも言える。

 しかしネムはそんなこと一切言わず、呆けるソラへ笑いかけるとやさしく声をかけた。

 

 「ソラさん、もう少しお付き合い頂いていいですか? お願いしたいことがあるんです」

 「は、はい。なんでしょう」

 「お尻を、舐めさせてはくれませんか」

 「お、お尻?」

 「はい。お尻の穴を舐め舐めして、舌先でぐりぐりってして、ソラさんが感じる声を聞きたいんです。ほんとはもっとおちんぽも舐めて、たまたまもちゅぽちゅぽしてあげたいんですけど、私の顔に乗るとソラさんがおっぱい弄れるでしょう? 私のおっぱい、いくらでも好きにしていいですから。揉んでも、舐めても、吸っても構いません。ですからどうか、ソラさんの体にもっともっと触れさせてください。ソラさんの気持ちいい声、聞かせて欲しいんです」

 「う、あ、あの――」

 

 微笑んだネムが自分の胸を両手で下から持ち上げ、たぷんと揺らす。

 その柔らかそうな様でソラの顔は釘付けになり、抵抗よりも先に興奮で上り詰めた。

 途端にわかりやすくペニスが勃起し、ぶるりと揺れる。すでに先走り汁を垂れ流していて期待していることがよくわかった。おかげでネムの笑みにも余裕が浮かぶ。

 

 「いかがですか?」

 「お、お願いします……えっと、僕はどうすれば」

 「もう一度私が寝ますから、顔の上に座ってください。それだけでいいんです。その状態で、おっぱいを好きなだけ弄っていてください」

 「は、はい。そんなことでよければ」

 

 宣言通りにネムが仰向けで寝転び、その顔の上にソラが座る。一応気を遣って体重をかけないようにしつつ、尻の穴が口元へ行くようにした。

 そうした後は彼の視線は大ぶりの乳房しか見ておらず、嬉々として手を伸ばして揉み始める。指を埋めて掌を押しつけ、ふにゅりと柔らかい感触を楽しみ、二つを寄せてみたり、反対に引っ張って離してみたり、手を挟んだりと好き放題だ。

 乳首を弄ることも忘れなかった。指先で摘んで、引っ張って、飽きることなく楽しむ。

 ネムはそんな彼の刺激を味わいつつも、自らも舌を伸ばして尻の穴に触れる。

 本来ならば屈辱的な格好かもしれないが、彼女にとっては至福の一時。ソラに触れられて、触れることができるのだ。これほど幸せな時間はない。

 

 「んふっ、ソラさんの味……」

 「あぁ、恥ずかしいですっ」

 「我慢してください。これで気持ちよくなれますから。あとでおちんぽとたまたまもたくさんしゃぶってあげますね。それから、もう一度せっくすもしましょう。おまんこにおちんぽ突っ込んで、ぐちゅぐちゅ掻き回して、せーしは子宮に注ぎ込んでください。ソラさんの子供なら、何人でも産みますから。兄弟でも、双子でも、三つ子でも。たくさん家族を作りましょうね」

 「は、はいっ」

 

 力を入れて胸を揉むソラに気分を良くし、ネムの舌が尻穴の中へと突き入れられた。

 ぐりぐりと内部で動かせば面白いほど尻が跳ねて反応が来る。ネムの笑みが柔和になって執拗なまでにしゃぶり尽くし、丹念にそこをすすった。

 じゅるると卑猥な音を立てながら、彼女は心の中では謝っていたようだ。

 

 (申し訳ありませんマユリ様……もう少しだけ、ソラさんとせっくすすることをお許しください。せめて、今日だけでも。もう少し、このままで――)

 

 本来ならばすでに帰っているところを、命令無視と取られかねない行動で彼女は屋敷に留まり続けた。一重にソラとの行為に没頭していたためである。

 結局ネムはこの日、夜になって砕蜂が帰ってくるまでソラの傍を離れず、一度でいいところを何度も子宮に精液を受け取ったため、帰ってきた瞬間に嫉妬した砕蜂にしこたま叱られることとなった。それでも彼女の笑みは幸せそうで、どうやら説教も効果がなかったようである。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。