目が覚めたのは本人も驚くほど突然だった。
いつ自分が眠ってしまったのかを覚えていない。覚えている限りではいきなり意識が途切れて、いきなり目を覚ましたのだ。何が起こったのかわからずに目を開いた途端に混乱してしまった。部屋はいつの間にか暗くなっている。
今は夜なのだろうか。
体が重い。指先を動かすことすら億劫で、体の芯から何かが抜き取られてしまったかのよう。
なぜこんな状態に。
そう思ったちょうどその時に誰かに抱きつかれていることに気付いた。
ふわふわした感触が肌にぴったり触れている。動きたくないという想いに反してゆっくり横へ顔を向けてみれば、そこに居たのは裸のキャロットだった。疲弊した様子のクルスに腕を回し、強い力で抱きしめながら静かな寝息を立てている。
かつてないほどの疲労感。可憐で幸せそうな寝顔。
あぁ、そうか、と思い出した。
何の因果か、今の今まで眠っていたであろう欲を目覚めさせてしまい、一方的に襲われたのだ。
こんなはずではなかったのに。覚悟を決めた瞬間はもう少し甘い展開を予想した。
ため息をついたクルスは疲れた顔で目を閉じる。
原因はおそらく自分だろう。理由はどうあれ、とにかく事は起こってしまった。
まず、これからどうしようと彼は考え始めるのである。
キャロットをゾウへ送り届けるだとか、そういう話ではない。彼女が目を覚ました時、どんな顔をして話せばいいのだろうと気になってしまう。引き金を引いたのは自分とはいえ、実情としてはほとんど無理やり襲われた形だ。気まずくなってしまうのでは、と他人事のように冷静に考えている自分が居た。
(あぁ、体が重い……もう一歩も動きたくないな。一体何回やられたんだ……)
ぼんやり思考がまとまらない頭で考えながら、クルスはキャロットの寝顔を見る。
やはり可愛い。ミンク族だからというだけでなく、彼女自身の特徴だろう。まるで子供のような純粋さが表情にまで表れていた。
さらに、モフモフだ。肌に触れる彼女の毛並みがひどく心地よかった。
たとえ二人の体が色々な体液で濡れていても、少しも嫌に思わなかったのは確かだ。
深く息を吐いてもう一度目を閉じる。
体は疲れ切っている。まだ休息が必要だ。不思議と眠くはないが寝なければならない。
クルスは何も考えないことを決めてもう少し眠ろうとした。
(もう少し寝よう。起きたらちょっとはマシになってるはずだし、その時に考えれば――)
「クルス……?」
目を閉じて数秒と経たない内に寝ぼけた声が聞こえた。反射的にクルスの体がわずかに震える。
眠そうに目を擦りながらキャロットが少しだけ体を起こす。
肌が触れているため彼女の動きがわかった。
この時クルスは熟考する。
果たして、起きていると正直に言うべきか。それとも寝たふりをしてこの場を凌ぐか。命に関わる問題だと思って必死に策を練った。
なぜ意識が途切れたのかはわかっている。覚えている訳ではないが状況から考えて原因など一つしか考えられない。つまりキャロットに性的に襲われ、犯されて、体が悲鳴を上げたから強制的に意識が刈り取られたのだ。
このまま、ほとんど体を動かせない状態でもう一回なんて言われたら。
それだけはだめだと考えてクルスは寝ているふりをすることを決意する。
肌の上をキャロットの手が動いているのが伝わる。触り心地のいい毛が裸体を撫で、慈しむようにクルスの胸の上を移動して、乳首に触れると静かに動きを止めた。
まずい、と反射的に考えてしまう。
本来なら嬉しいはずの行動。女に求められるのは男にとってどれほど嬉しいか。しかし、それは今ではない。今の体を虐められては死を近く感じてしまう。
頼むから大人しく眠ってくれ。クルスは願うしかなかった。
「クルス……寝てる? 寝てるの? 起きてないかな」
(俺は寝てる。寝てるから、頼むからそのまま眠っててくれ……!)
するり、するりと、掌が乳首の上で動いている。
つい反応しそうになってしまうがクルスは必死に耐え、疲弊しきっているらしく、彼のペニスも力のない状態を維持していてぴくりとも反応しない。言い換えればそんな状態になるまで絞り取られた後のようだ。
キャロットは寂しそうな顔で彼の顔を見つめ、反応を見ながら体を撫で続ける。
「そっか……寝てるんだ」
(そうだぞ。だからお前も大人しく――)
「それじゃあ、いいよね……?」
(何がッ!?)
彼の体を跨ぎ、腹の上にちょこんと座って。
目を潤ませて熱い息を吐きだしたキャロットは、獲物を狩る際の目でクルスを見下ろしていた。
そうとは知らない彼は冷や汗を掻きながら不安に駆られる。
上体を倒して覆いかぶさり、唇を合わせる。ちゅっと鳴らしたキスは想像したよりずっと可愛らしいもので、思わずクルスも気分を良くした。
啄ばむように触れては離れて、また触れて、それを何度も繰り返す。
クルスはついほっとして、その拍子に表情が緩んだ。
「んんっ……ふむっ、んちゅ……んぷっ」
(あぁ、よかった。キャロットもそんな体力はなかったみたい――)
安堵して、身を任せてしまおうとしたまさにその瞬間。
ずるりと口内に舌が入り込んだ。
驚いたクルスは咄嗟に全身を硬くして、目を開いてしまいそうになるのを必死に堪える。しかし一方でキャロットも目を閉じているため気付く様子はない。
クルスの口内に侵入した舌はねっとりとした様子で舐め始める。舌と舌を絡めれば嬉しそうに頬が緩んで、歯の形を一つずつ確認するように撫でれば吐息が洩れる。
両手で頬を掴んで絶対に逃がさないという意思を感じた。
最初こそ穏やかだった動きは徐々に激しくなっていく。
明らかに様子がおかしいことに気付いたクルスの呼吸も乱れ始めていた。
長い。その上で深い。
熱烈なキスは簡単には離れず、長く続けば続くほどキャロットの熱を強くしていたようだ。
「んぅ、ふむぅ……んっ、ずずっ……!」
(こ、れは、まずいやつ……!)
「はぁっ、はむっ、んんっ」
もっと深く繋がりたいと言うかのように唇だけでなく顔を押しつけてくる。
キャロットはもはや自分でも止めることができないようで、本能に従い、沸き上がってくる衝動に逆らうことなく彼の口へ唾液を流し込む。そして彼の舌を啜って嬉しそうに唾液を飲み込んだ。
(あぁ、やばいっ。本当にやばい。このままだと喰われる……!)
どうすれば、何をすればこの状況から逃げられるのか。考えようとしたクルスだが口内を蹂躙されながら冷静でいられるはずもなく、また起きていると気付かれるのが良いか悪いか、結果が予想できないため判断できず、ひたすら必死に耐えた。
ただ、どちらにしても結果は変わらないだろう。
キャロットにしてみればどちらにしても今更止める訳にはいかなかったのだ。
「んんっ、ぷはぁっ。クルスぅ……♡」
(俺、死ぬのかな……?)
うっとりした顔で、声で、熱い吐息をかけながら呟かれた。
目を閉じたままだったクルスは流石にまずいと感じ、恐る恐る目を開く。
間近にあったキャロットの顔は満面の笑みを浮かべていた。
「えへー。やっぱり起きてた」
「お、おはようキャロット。でももうちょっと寝よう。な?」
「えー……どうして?」
「どうしてってそりゃ、体を休めるのは大事だから……」
「私は平気だもん」
(聞く耳持たないっ!)
少し拗ねたような顔でキャロットは彼の顔にキスの雨を降らせる。音を立てて吸いつき、触れてはすぐ離れて、頬や額、唇はもちろん鼻の頭や瞼にも優しくキスをした。
何かを求めるような気配を察してクルスは困り果てる。
今度は気絶せずに済むだろうか。ふとそんなことを考えた。
「んっ、んんっ。ねーねークルスー、クルス~」
(盛ってるなぁ……可哀そうだけど、このままだと俺の体力が持ちそうにないし、ここは我慢してもらった方が有難いんだが)
申し訳ないとは思いつつ、ぐりぐりと頬ずりしてくるキャロットを放置する。
すでに火が点いているらしい彼女は我慢できずに何度も顔を押しつけた。しかし反応できるほどの体力が残っていないクルスはひたすら彼女の頭を撫でる。
少しして、もうその気ではないと察したのだろう。
むっとした顔のキャロットは体を起こし、彼の下半身に目を向ける。
「むぅ……いいもん。クルスがその気じゃなくても勝手にするもん」
「ま、待てっ。もう勃たないんだって……!」
いそいそと彼の脚の間に座って、萎えたままのペニスへ顔を近付けた。
さっきは硬くそそり立っていたはず。しかし今は柔らかくてふにゃふにゃだ。一体何が違うのだろうと仕組みがわからないキャロットはとりあえず手を伸ばす。
細い指でとりあえず摘んでみた。力が入らずくたっとしたそれは彼女の手の中で揺れる。
散々射精した後であるせいか、それでも彼のペニスは大きくならなかった。
「ん~……クルス、どうやったらこれ硬くなるの?」
「今は疲れてるから無理なんだって。もうちょっと休もう。そうしたら少しくらい――」
「柔らかいままでもいいのかなぁ……」
「ちょっと待てって!? それじゃ入らないから!」
体を跨ごうとしたキャロットを止め、クルスは大きくため息をつく。
どうやら満足するまで止める気がない。
好き勝手にされて問題が起きるくらいなら、自分から動いて相手をした方が良い。ペニスは使い物にならなくてもやれることはあるはず。彼はキャロットに手を伸ばした。
「キャロット、こっちおいで」
「何?」
「気持ちよくなりたいんだろ?」
「うん!」
元気に返事をして勢いよくキャロットが飛び込んできた。のしかかられて思わず妙な声が出るものの彼女をしっかりと抱きとめる。
流石に不憫で、せめて指くらいでなら付き合おうと決めた。
伸ばした右手がするりと肌を撫でながら尻へ降りていき、左手は首筋の辺りを撫でる。
くすぐったそうにするキャロットは上機嫌だ。どうやら好んでいるらしい。
頬ずりしてくる彼女を受け止め、尻や背中、頭を撫でてやる。それ自体はきっと大した快感でもないのだろうが少なくとも彼女を喜ばせることはできていた。その分期待値が上がっているという点を除けば有効的な触れ方だろう。
いよいよという様子でクルスの手が股に滑り込む。
途端にキャロットがピクッと震えて、そこに触れられた反応を見せた。
濡れそぼった割れ目にクルスの指が触れる。
するりとなぞる指先でキャロットの腰が揺れ、もっと欲しがるかのような身じろぎがあった。
二人は目を合わせる。するとキャロットが首を伸ばして彼の唇を舐めた。甘えるようにちろちろ舐めているとクルスも舌を出す。
お互い舌で繋がりながら体を撫でる。
クルスは彼女の陰部に触れ、丁寧に指先でなぞると覚悟を促し、ゆっくり指を入れようとする。流石に濡れているだけあって抵抗はさほどなく、するりと侵入する。また左手は彼女の胸を掴んで円を描くように揉んでいた。
キャロットはどうしていいかわからないながらも、見よう見まねで彼の乳首を触る。
黙り込んでしまったせいで相手の呼吸を強く感じて、見つめ合っていると顔が熱くなった。
「んっ、ふっ……!」
「結構濡れてるな……好きになったのか? セックス」
「やぁぁっ……!」
膣の中をぐちぐちと指で引っ掻き回しながら囁くように言う。
クルスが首を起こして彼女の耳にキスをした。反応は予想以上に大きく、全身が震える。
「んんんっ!? やだっ、そこだめっ……!」
「やだじゃないだろ」
「ふぁぁっ……! あんっ、やぁっ……」
膣をほじられながらの耳への接吻は彼女に初めての感覚をもたらした。
そもそもは自分勝手な快楽しか味わっていなかった彼女である。意図してクルスから与えられる快感を今になって知ったため、眠る前に味わったものとは違っていることに大層驚き、すぐには受け入れられずにいる。
いつしかキャロットはクルスへの愛撫ができなくなっていた。
四肢からは力が抜け、与えられる快感に反応して首を伸ばしており、呼吸は乱れる。
クルスはそんな彼女の顔を見つめて、耳や鼻や口に何度もキスを与えていく。
「ふぅぅ……ひゃんっ」
「可愛いなぁ、キャロット……」
膣の中にある指がさらに速く動く。
腰が小刻みに動いている。協力するというより彼女もさらに強い快感を欲しているようだ。
閉じていた目を開いて視線を合わせる。
情欲に濡れた瞳は彼女らしからぬ艶やかさを見せ、同時に彼女らしいと思える幼さをどこかに感じさせていた。
「んんんぅ、ひうっ、はぁぁぁ……クル、スぅ……」
切なそうな声で名前を呼ばれて、疲れ果てていたはずのペニスが反応しようとしていた。
彼自身、体は鉛のように重く、もう無理だと考えていたはずなのに。どうしたことなのかそんな様子の彼女を見ているだけで頭をもたげようとしている。
驚く半面、それを少し喜ぶ自分が居たのも事実だ。
「辛いか?」
「ん……」
「よし……一回くらいはできそうだな」
自分のペニスを手で扱いて、見る見るうちに硬くなっていくのを確認して呟く。自分でも呆れてしまうほど単純だがそれが彼女のためでもあるのだ。
完全に勃起したペニスを手で支えて、彼女の股に擦りつけた。
パッと笑顔になったキャロットは顔の向きを変え、クルスから離れようとはしないがそちらを見ようと振り返りながら腰の位置を合わせる。
二人の秘部が触れ合った。
見つめ合って、クルスがキャロットの尻を掴んで腰を上げたことで挿入していく。
「行くぞ」
「ふっ、あぁっ……!」
「うっ、すごい締まりが……」
ずずず、とゆっくり押し込んでいって、徐々に彼女の中に包まれていく。
キャロットは押し出されるように息を吐き出して、クルスは低い呻き声を出した。
我武者羅に動いていた時とは違う。挿入した直後に動きを止めたため、彼の体温が、彼の形がはっきりと伝わってくるかのようだった。
身を捩ったキャロットは動きたいと思い、それと同時にこのままで居たいとも考えている。
混乱する彼女の頭をクルスが撫で、穏やかに笑いかけた。
「うんんっ、ひゅんっ……!?」
「大丈夫だ。そのままじっとしてていい」
優しく言ってゆっくり体勢を変える。
お互いの位置を入れ替えて、キャロットをベッドに寝かせ、その上にクルスが覆いかぶさった。
安心させるために彼女の頬を撫でてやる。するとキャロットはくすぐったそうに目を閉じた。
ゆっくり腰を前後させ始める。
激しさのない動きは彼女をドギマギさせるが、だからこそ新しい快感を感じさせた。
閉じた肉を亀頭でこじ開け、奥まで力を入れて押し進み、コツンと最奥に当たれば、今度は引き抜く動きの最中にカリが肉の壁を引っ掻いて移動する。
徐々に、丁寧に動くため肉棒の感触が如実に伝わってくる。
ほぅと熱い吐息を出したキャロットは、安堵した様子で目を閉じていた。体から余計な力を抜いているらしく、何もせずに全てをクルスに委ねている。
クルスは、今は愛おしい物を見る目でキャロットを見ていた。
全てを預けてくれる態度から感じるのは信頼感。彼女はきっと自分を信じている。その思考が彼にとっては嬉しく感じ、またこの雰囲気もいいものだ。
胸の膨らみや腰の括れをそっと撫でて、彼女を大切に扱う。
さっきとは違う。お互いを大切に想い、愛し合うための行為。
肉欲のための行為ではない。まるで心と心を繋げるかのような繊細さにキャロットは酔いしれ、この時がずっと続けばいいとさえ考えていた。
腰の動きは一定のペースで継続された。
腹の中で動く異物は着実にキャロットの気分を高め、彼女の表情を変えさせた。
「はぅ……クルスぅ」
「ん?」
「きもちいい……」
「うん」
ぼーっとした眼差しを向けてくる彼女に笑いかけ、唇を塞ぐ。
二人共目を閉じてキスに没頭した。
クルスが主導権を握り、キャロットの舌の動きも穏やかで、ねっとりと楽しむような口付けでお互いの口内を行き来すると唾液を交換して飲み込んだ。
ちゅうっと唇を吸ってやると、口を離したキャロットは小さく身じろぎする。
わずかに腰を揺らしており、どうやらもっと強い刺激が欲しくなったようだ。あれだけ暴れていたのによく我慢した方だろう。微笑んだクルスも付き合う覚悟を決める。
両手で腰を掴み、勢いをつけてペニスを突き出す。
ずんっと奥に感じた衝撃にキャロットは目を見開いて大口を開けた。
「あっ、うっ、はぁっ――!」
多少の驚きはあったが、体を大きく揺らし、すぐに順応する。
クルスの首に腕を回してしがみついたキャロットは、ぴたりと肌を合わせて彼の動きに耐える。
明らかに速度を変えて突き入れられるペニスは彼女のいいところを的確に突いて、どうやら先程の緩慢な動作の中で探ったのだろう、あっという間にキャロットを追い詰める。喉を震わせて口を開けた彼女は涎さえ垂らしそうな様子で目を虚ろにした。
「あっ、ひゅっ、はっ、んあぁっ……!」
「ふっ、ふっ……!」
徐々にスピードを上げていくクルスは彼女の首筋に顔を埋めて目を閉じた。
フサフサの毛が肌に触れて心地いい。それだけで彼は満足なほどだ。
ただし今はキャロットの要望に応えるべく、ペニスの動きは明らかに荒々しくなり、ほとんどのしかかってぶつけるような動きで腰を振っていた。
掻き出された愛液が飛び散る。
甲高い声が彼女の興奮具合を表していて、キャロット自身も腰を動かしていた。
熱くなって汗を掻く。
なぜか急激な疲労感を感じたクルスは己の限界を認識した。
やはり先程までの時間は無関係ではない。激しく動けばそれだけ限界が近くなる。
「はぁっ、キャロット、どうだ……?」
「ううっ、きもちいいっ、きもちいいよぉ!」
「はっ、そうか。俺はあんまり、もちそうにない……」
「んいいっ! もうちょっと、もうちょっとだけ……!」
ぎゅっとしがみついてキャロットが懇願する。
仕方なくクルスは最後の力を振り絞って思い切り腰を叩きつけた。
クルスのペニスで膣内が掻き乱され、さっきよりも大きな声でキャロットが鳴き始める。もはや狂乱の域にまで達しそうな声は彼女の本能を刺激したからだろう。
一突きする度にキャロットは階段を一歩ずつ昇っていく。
そしてそこから一気に落ちるかのように、彼女は全身へ強い電気を感じた。
バッと目の前が真っ白になり、全身へ力が入り、その瞬間に膣がぎゅううと締めつけられた。
クルスは苦しげな顔で歯を食いしばった。
今までの比ではなく全力で抱きついてくるキャロットはどうやら達したようだ。それ自体は成功と言っていいだろう。だが同じく絶頂へ達したはずの彼だが、激しく震えたペニスからは一滴の精液も出ず、強い力が入って痛みさえ感じてしまう。
やはり連戦が堪えて快感を得る余裕などなかった。
乱れた呼吸を整えようとする彼はキャロットを優先し、彼女の頭を撫でてやる。
どうやら波が引いたらしい。キャロットがクルスの体から手を離す。
くたっと倒れてしまった。脱力した彼女は目を閉じ、今にも眠りそうな様子で目元がとろんとしており、焦点の合わない目でクルスを見る。
「はぁ、はぁ……クルスぅ。すごかった……」
「気持ちよかったか?」
「うん……もう一回」
「え?」
惚けた顔で、蕩けた声で言うキャロットに驚愕し、クルスの顔が呆けた。
「もっとしたいよぉ。クルス、クルスぅ……」
「ちょ、ちょっと待て。さっきのでも俺はかなり無理して――うわっ!?」
両脚を彼の腰に巻きつけたキャロットは自ら腰を動かし始めた。彼女の膣内にあった萎えたペニスを硬くしようと刺激を始めるのである。
それで困るのはクルスだ。彼はもう無理だと再三言っている。
なんとか止めさせようと手を伸ばすのだが、素早い動きでキャロットが彼の両腕を掴んだ。
「待て、だめだって! 俺はもう何も出ないし、そもそも勃たなっ……ううっ」
「んんぅ、んふぅ、んはぁ……クルスのこれ、もっかい硬くして?」
「だから、それができないから無理だって……うっ、おっ」
「もっとほしいよ……しよ? ねぇしよ?」
「こ、のっ、バカウサギ……!」
両手を押さえられた彼だが、力を振り絞って可能な限り伸ばす。
そしてキャロットの両耳を思い切り掴んだ。
「いい加減にしろ! 俺はもうできないの!」
「ひゃうんっ!? だめぇ、そこだめぇ……!」
興奮した面持ちのキャロットが一際強く腰を跳ねさせる。
ずぐっと腹の内側へ突き刺さるような衝撃を感じて、クルスの体から力が抜けた。
倒れ込んだ彼を強く抱きしめて、キャロットはもう我慢せずに激しく腰を振り始める。
「好きっ♡ クルスぅ、好きぃ♡」
「うおおっ、だめだって……!? こ、これ以上は、死ぬぅ……!」
「もっと♡ もっとしよ♡ んんっ、ふっ、あはぁぁ……!」
再び快楽に負け、暴走を始めてしまったキャロットを止める力は今のクルスにない。
下からであろうが上からであろうが関係ない。
助けを呼ぼうにも二人きりの小さな船では誰にも声が届かない。
結局彼はキャロットに押さえつけられ、彼女が満足するまで付き合わされる羽目になりそうだ。
本当はもう何話か描く予定だったんですが。
気力がなければこのまま終わりということにするかもしれません。