タイトル通りにヤンデレがテーマになることもあれば、できればほのぼのしたのも増やせればなぁ……。
変えたい関係(リリなの・フェイト)
大人しい性格の彼女にしては、かなり勇気を振り絞ったが故の行動だったのだろう。正確には、行動というより発言という表現なのだけれど。
それは何の因果か彼女を引き取ることになって、俺と彼女が二人だけの家族になってから何年か経ったある日。
やけに頬を赤くしながらもじもじと恥ずかしがる愛する妹さんは、思わず驚いてしまうようなことを俺に言ってきたのである。
「え? えーっと、今、なんて?」
「だ、だからね。その、兄妹じゃなくて、違う意味で家族になりたいなって……だから、その、つまり――わ、私と、結婚して欲しいの」
さらりと揺れる金色のツインテール。まだ幼さを残している愛らしい顔。結構身長が伸びて、成長が凄まじいあまり中学生らしくないやけに扇情的な外見。
何度耳を疑って聞き直しても、何度目を疑って彼女の姿を確かめても、やはり目の前にいるのは俺の愛する妹だった。
彼女、フェイトは何を思ったのか突然そんなことを言い出して、身を縮めるように肩をすくめながらきゅうっと目を閉じている。仕草やそうする姿はいつも通りだけど、さっきの発言が原因でいつものようにそれを愛でることができない。あまりにも驚きが大きすぎるせいだろう。
言われたことは至極単純だ。俺と、フェイトが、結婚する。別に血が繋がってるわけでもないんだし、法律に引っ掛かるような問題ではないだろう。法律なんてあまり知らないけれど、元は彼女の親になろうとしていた緑髪の美人さんにそう言われた。大人の言うことだから多分ホントだと思う。
しかし実際にそれを実行することを考えると、法律とかじゃないようなところで問題が山積みなんじゃないだろうか。そう思うからこそ、俺は顔を赤くしながらも不安げにしている妹に何も言えずにいるのである。
だからと言って無下に断れば、きっとこの妹のことだ、いつ復活できるかわからないほど深いどん底に落ちていくに違いない。不用意な発言は避けなければ。
そんなことをつらつらと想いつつ、やっぱりかなり混乱してるらしい俺は、まず落ち着いて話そうと口を開く。
「あー、フェイト? こういうこと聞くのはどうかと思うんだけどさ……どうしてそういうこと言いだしたんだ?」
「う、ど、どうしてって……兄さんのことが好きだから、じゃダメなの?」
「うっ……そりゃ、普通ならそれでいいけど、でも俺たちは兄妹だし。好きだからって、結婚は――」
「じゃあ兄妹じゃなくなればいいよ。他人になってから改めて家族になろ? 今度は、ふ、夫婦として」
「あ、あのなぁ……」
自分の発言に顔を赤くして、さらに身を縮めるフェイト。俺の部屋の床にぺたんと腰を降ろして、クッションをぎゅっと抱きしめてるもんだから、女の子らしさが半端じゃなくて物凄く可愛い。
などと言ってる場合じゃない。兄妹をやめる、なんて発言が飛び出すあたり、フェイトは本気だ。あれほど俺にべったりしてくる彼女が俺との関係を解消するなどと、普通ならばまず言いだすはずがない発言である。本気で俺との兄妹関係を解消して、改めて俺と結婚する気らしい。
あの大人しくてやさしいフェイトが、まさかこんな過激なことを言い出すなんて。正直俺は成長を喜べばいいのか悲しめばいいのかわからない。だからと言って黙り続けているわけにもいかないから、できるだけやさしい口調で聞いてみる。とにかく話し続けなければ。
「あのさ、フェイト。俺だって好きだって言ってもらえれば嬉しいし、フェイトのことは大事で、俺だって大好きだよ。でもそれってホントに恋愛としての好きなのか? その、他の男の子とあんまり関わったことないから、そういう風に勘違いしてしまってるとか――」
「兄さん。いくら兄さんでも、私の気持ちを勘違いだって言うなら、許さない――私は本当に兄さんが好きなんだから。男の人として、恋愛したり、結婚したいって思うほど好き、ううん、兄さんを愛してるから」
「う、うぅ……そ、そうか」
俺がなんとか説得しようとして発言すると、フェイトはキッと表情を険しくして睨むような目つきになる。さすがは魔法少女、一般人の俺には出せない雰囲気を持ってる。
すっかりビビった俺は何も言い返せず、彼女が言ったことを恥ずかしいやら怖いやらのまま受け取って黙り込んでしまう。
するとフェイトは俯きがちに、拗ねたような口調で言い始めた。
「……それに、兄さんが悪いんだよ。私が頑張ってアプローチしてるのに、全然振り向いてくれないから……」
「あ、当たり前だろっ。さっきも言ったけど、俺たちは兄妹で――」
「でも血の繋がりはないもん。私、兄さんのことが大好きだけど、好きだから妹が嫌になったの。一人の女の子として見てほしい、私と結婚して欲しいの」
「うっ、だ、だからな? 結婚って簡単に言うけど、結婚ってのはそんなに簡単なものじゃ――」
「そんなことわかってるよ。だから何年も悩んで、やっと覚悟を決めて正面から伝えたんじゃない。それに兄さんだって結婚してないんだから、結婚がどういうものかなんてわからないでしょ」
「あー、いや、だから……ハァ」
なんとか言い繕って意見を変えさせようと試みても、状況は悪化するばかり。フェイトに折れる気持ちは微塵もないようだ。
これまで一度として俺を困らせることのなかった最愛の妹、初めて困らせられる状況が、まさかこんなのだったとは。一体どこでどうなって、こんな未来に進んだのだろう。
ハァ、とため息をついたことが気に障ったのか、フェイトがまたむっと表情を拗ねるようなものにして俺を睨んでくる。顔や外見だけなら非常に愛らしい姿だけど、体の節々から魔力とかいう物が溢れてるせいで非常に怖い。下手なことを言ったら雷が飛んできそうである。
「フェイト、おまえは大事な妹だ。管理局で働くのはおまえの意思だから賛成したけど、できれば普通に生きてほしい。おまえには幸せになってほしいんだよ。だから兄と結婚したいなんていうのは――」
「私が幸せに生きる方法は、兄さんとずっといっしょにいることだよ。でも兄妹じゃダメ、もうただの家族じゃ物足りないの。私は兄さんのお嫁さんになりたい――特別な関係になって兄さんとずっといっしょにいたいの」
「……」
話す内に、胸に隠していた想いが溢れて来たのか。フェイトは俺に向かって言いながらも徐々に目に涙を溜めていき、もう少しでこぼれるというところまで水滴が来ていた。
思わずため息をついてしまう。今この状況でいけないとはわかっているが、気付けば自然に出てしまっていた。
昔からそうだ。フェイトが涙を見せる時は、いつも俺の前で、俺に関わることが多かった。もう何度こういう機会があったかはわからないから忘れたけど、些細な問題も、大きな問題でも、何があったって彼女は俺といっしょにいたいと願っていた。
こんな顔をしている彼女を突き放すなど、やっぱり俺にはできない。だからシスコンなんだ、とはもう耳にタコができるほど言われてきたけど、やっぱりこれだけは直りそうもないな。
もう一度ため息をついてから、俺は彼女の目をじっと見つめて口を開く。フェイトはまだ、目に涙を溜めている。
「わかった……じゃあこうしよう。おまえが結婚できる年齢になって、それから、夢だって言ってた執務官になれた時、その時は――俺はフェイトのプロポーズを受け入れるよ」
「ほ、本当ッ!? わ、私が執務官になったら、兄さんは私と結婚してくれるの!?」
「お、おう……お、男に、二言はないから、な」
「兄さん、どうしてそんなに汗掻いてるの? それに急に目を逸らしたけど、嘘ついてるんじゃないよね? 私、兄さんを信じるから」
「だ、大丈夫だとも」
「そ、それじゃあ、すぐにでも執務官になって、すぐに兄さんを迎えに来るから。そうしたら、兄さんは私をお嫁さんにしてくれるんだよね?」
「も、もちろんじゃないか、はっはっは」
「うふふ、そっか、そうなんだ。えへへ……」
俺は一体なんてことを言ってるんだろう、なんて思いながらのやり取りだったが、ようやくフェイトの機嫌は直ったようだ。さっきまでは沈みがちだった表情も、今ではパッと花が咲くかのように満面の笑みが浮かんでいる。
代わりに俺の精神がひどく摩耗しているようだけど。ヤバい、どうしよう、この妹だったらホントにすぐ執務官になるかもしれない。そうなったら俺はフェイトの旦那? 俺の嫁はフェイト?
そんなことを頭の中だけで何度も繰り返し、混乱しかかっている俺のすぐ隣から、愛する妹の可愛らしい声が聞こえた。
「兄さん」
「ん? なん――」
いつの間にかするりと移動して、ベッドに腰掛ける俺の隣に座って、少し上目遣いで俺を見上げる妹。振り返ってその顔を見た瞬間には、俺の唇に柔らかい物が触れていた。
そして、俺の視界にドアップで映る、妹として愛している少女の顔。これはひょっとしなくてもひょっとするということなのだろうか。
全く状況が理解できない俺は何もできず、全く動けず、ただ「これは一体どういう状況なのだろう」とひたすら考え込んでいた。
すると、ちゅっという音と共にフェイトの顔が離れていく。ようやく焦点の合う距離にまで離れた彼女の顔は、さっきよりもよっぽど赤く染められていた。
「――あ、ん? え? な、なに?」
「えへへ、や、約束の証だよ。すぐ迎えに来るからって、約束」
「あ――い、いまのって、まさか――」
「わ、私だって恥ずかしいんだよ! でも、ニブチンの兄さんはこうでもしないとわからないだろうから――えへへ、兄さんとキス、しちゃった」
「な、な、なっ」
顔が急速に熱くなる。なぜかはわからないが全身が急激に熱くなっていき、自分でも何を言いたいのかわからないのに口から勝手に声が出ていく。
さっきの柔らかい感触は、間違いなくウチの妹の、唇。小学生の頃からいっしょに生きてきた彼女が、不意打ちとはいえ俺にキスをしてきたのだ。しかも俺を混乱させた張本人は、今となっては非常に嬉しそうな笑顔で照れて、まだ何も言えずにいる俺に抱きついていやんいやんとツインテールを揺らしている。
いや、それはまだいい。不意打ちだった、しかも魔法少女とかいう存在で戦いとかがめちゃくちゃうまい女の子の不意打ちだ、俺が避けられないのは当たり前。問題なのはそこじゃない。
この状況で最も問題なのは、妹にキスをされたというのに――それがちょっと、いやかなり、気持ちよかったと思ってしまっていることだ。
かつてこれほどまでに自己嫌悪したことがあっただろうか。確かに今までフェイトに抱きつかれていい匂いだなってひそかに思ったり、俺が風呂に入ってるところにフェイトが乱入してきて反応してしまったり、首をくくりたくなるような自己嫌悪なんてたくさんしてきたけども、こればっかりは受け止めきれない。
ファーストキスの相手が妹でよかった、などと自己嫌悪せずにはいられない想いだろう。
「ふふふ、兄さん、もうちょっと待っててね? 私、すぐにでも絶対執務官になるからね」
「あ、あぁ……まぁ、気長にでいいよ、気長に……」
「うふふ、やーだぁー」
俺がげんなりと肩を落としているその背に抱きつく妹さんは、どこまでも楽しそうな態度でそう言っていた。
そしてこの日を境にして、フェイトの激しすぎるアピールが始まったのである。
フェイトと結婚、いいかも。日に日にそう思うようになってしまっている俺は、やっぱりもう首をくくった方がいいのかもしれない。
◆
高校を卒業した俺は、実力を買われたと言えばいいのか、それともこれ以上ないほどのコネを利用したと言えばいいのか、管理局で働く道へ進んでいた。
といってもどこぞの魔法少女とは違って、俺が担当するのは局員が持つ“デバイス”という道具をあれこれ管理すること。例えば壊れたデバイスを修理したり、今より効率よく魔法を使うために改造を施したり、とにかくデバイスに関わる全般が俺の仕事だ。
あと、俺の場合は趣味が高じたと言うべきか、魔法を使った戦闘技術の考察をすることが好きなことが認められて、教導官との意見交換なんかもある。要するにアドバイザーというか、横から客観的な意見を渡すような役目を任された。教導官が局員に戦闘技術の指導をする際、横から俺があれこれ好き勝手に言って、意見を取り入れてもらいながら局員の指導にあたるのである。といっても所詮は趣味の延長でやってる仕事だから、ホントに役に立ってるのかどうか疑問が残るけど。
働き始めてすでに数年。今日も俺は白衣を着て、専用に与えられた研究室に入り、調整中だったデバイスと向き合って仕事を始める。これがここ最近の俺の日常だ。
ただ今日がいつもと違ったのは、俺が仕事を始めようとしたその時、俺の研究室に飛び込んでくる局員がいたということだけ。
「兄さんッ!!」
自動ドアが開ききってないのに室内に入り込もうとして、ガタガタと肩を扉に当てながらやってきたのは最愛の妹。すっかり成長して、今では十六歳となったフェイトだった。
と言っても俺自身、この時間帯に俺の研究室に入ってくるのは彼女だけだと知っている。基本的に仕事を邪魔をされたくない俺は、ほんの一部の人以外には専用の研究室の扉を開けるパスワードを教えていない。それが理由でこの部屋はいつも静かなのだ。
だというのに、その静けさを破壊するようにしてやってきたフェイトは慌てふためきながら俺に駆け寄り、そのままの勢いで俺に向かって飛びついてきた。こちとら戦闘技術を習得しようと日夜努力している局員と違って、ただの研究員、いわゆる体も鍛えないもやしっ子である。いくら自分より体格の小さい女の子であっても、本気の助走を加えられたそれを受け止められるはずがない。
結果、俺は宙を舞うフェイトに押し倒されるようにして地面に背をぶつけ、ドスンッと音を立てて寝転がった。上にはそれでも喜色満面な様子の妹がいる。
「兄さん、兄さんっ! 私、受かったよ! 執務官になるための試験、合格したの! これでもう一人前の執務官なんだから!」
「痛ッ……あーそうか、そうだったな。おめでとうフェイト、頑張ったな」
「うん!」
顔をこれでもかと近付けて、嬉しそうな声で俺に語るフェイト。成長しても相変わらず可愛いなぁ、こいつ。
執務官になることを夢見ていたフェイトは、十六歳になってすぐにその夢を叶えるべくいくつもの難しい試験を受け、合格を目指して頑張っていた。実際に俺はすぐ傍でその努力を見守っていたんだ、彼女がどれほど嬉しいのか痛いほどわかる。実際痛いのは背中なんだけど。
ともかく、よかった。これでフェイトは長年の目標を達成することができたし、これまでの血がにじむような努力が無駄になることはなかった。晴れて万々歳、見事大団円というわけである。
少しばかり近すぎる笑顔を見ながら、ふわりと柔らかい金色の髪を撫でてやると、俺の自慢の妹はくすぐったそうに笑って身を捩る。嬉しそうな声で俺に質問してきたのはその後だった。
「ねぇ兄さん、これでやっと約束果たせるね。何年も待たせてごめんね、でももう大丈夫だから」
「うん? 約束……」
「それじゃあ、改めて言うよ――兄さん。私と、結婚してください」
「――あ」
キラキラと目を輝かせて、俺を押し倒したままそう言う妹の言葉で、かつての光景が蘇る。
今となっては懐かしい俺のファーストキスが、セカンドもサードも次々奪っていったこの少女に奪われたその時、「いつか」と言って交わした約束。
そうだ、俺は確かに言った。俺の口から、間違いなく。
「おまえが結婚できる年齢になって、それから、夢だって言ってた執務官になれた時、その時は――俺はフェイトのプロポーズを受け入れるよ」
忘れていた。いや、というより、ホントにフェイトが執務官になるのはもっと先だと思ってて、その頃までにはきっと他の男の子を好きになっているとばかり思っていた。なのに彼女はしっかりとそれを覚えたまま、執務官になったということか。
つまり、あの血のにじむような特訓も、俺が手を貸した猛勉強も、俺が頻繁に彼女から唇を奪われていたのも、すべてはそこが原因になっていたんだ。
執務官になるという夢を叶えたいと思う背景には、俺との結婚を実現させたいという想いがあった。
それを理解した途端、さっと顔から血の気が失せたことが理解できた。初めはまるでわからなかったが、ようやく現状を呑みこめるようになってきたのだろう。
今、フェイトは十六歳になり、実績や実力の関係もあって執務官になるための試験を受けさせてもらって、俺を含む色んな人の協力もあって見事一発で合格、夢だった執務官になることができた。
それはつまり――俺は彼女が今言った言葉を、再び自分へ向けられた本気のプロポーズを、すんなりと受け入れなければならないということになる。
「えへへ、やっと言えた。でも、もちろんもう答えは決まってるんだよね、兄さん? だって兄さんから約束してくれたんだもん、まさか嘘だったとか、忘れちゃったとか、そんなこと言わないよね」
「う、あ――」
妹と結婚する。他でもない、妹からプロポーズされて。
もしこんなことが実際に起きれば、ひょっとしたら俺は後ろ指を指されながら生きていくことになるかもしれない。色々と面倒見てくれたとかリンディさんとか、クロノとか、フェイトの親友のなのはやはやて、色んな人が怒るかもしれない。正直その辺は勘弁してほしい。と言ってもリンディさんだけは祝福してくれそうだけど。あの人だけは「フェイトちゃんほどの優良物件、他にはないわよ」なんて豪語してたし。
しかし、ここで今俺がどれほどそ困惑しても、そもそも約束したのは俺なのだ。一時の状況を乗り越えてすっかり安心しきっていたのも、何の対策も取らなかったのも俺、今さら「あれはなかったことに」なんて言えるわけがない。初めから受け入れる道しか残っていなかった。
なにより、こんなにも愛しい妹の笑顔を崩そうなどと、重度のシスコンと揶揄される俺ができるわけがない。
俺はフェイトと結婚する。その覚悟を決める時が、今ようやくやってきたのだ。
「ねぇ兄さん、どうして黙ってるの? まさか、ホントに忘れたって言うんじゃないよね? フフ、フフフ、ウフフフフ、私の兄さんに限って、私との約束を忘れるなんてこと、絶対にありえるわけがないよね? だって兄さんが言ったんだもん。私が十六歳になって、執務官になれたら、結婚してあげるって。兄さんの口から、私に向かって、はっきりそう言ってくれたんだもん。だからそんなに大事な約束、忘れるわけがないよね? 兄さんは絶対に忘れてないよね?」
決して、何も答えない俺に業を煮やした妹が目の色を変えていて、俺が調整したバルディッシュを首筋に突き付けられるのが怖くてそう言うのではない。俺はこの子が好きだ、そう思うからこそ受け入れようと思うのである。だから早くバルディッシュをスタンバイフォームに戻して欲しい。
ともかく覚悟は決まった。あくまでもバルディッシュを突き付けられたからじゃなく、俺とフェイトとの約束を果たすためだ。
俺は意を決して、いつの間にやら光沢がなくなっているフェイトの目を見てはっきり告げる。っていうか妹よ、その怖い目を俺に向けないで。
「ふぇ、フェイト――よ、よろしくお願いします」
「――あっ」
俺がそう言った途端、ぶるり、とフェイトの体が揺れる。そのまま掻き消えるようにしてバルディッシュが元のアクセサリの形に戻り、フェイトは全身から力を抜いたかのようにがくりとこちらへ倒れ込んできた。
慌てて俺が抱き止めようと手を伸ばすと、それよりも速くフェイトの手が俺の両手を掴んで、床に押しつけ、そのまま俺の唇に柔らかい物が触れる。
言わずもがな、これまで何度も感じたことのあるそれは、やっぱりフェイトの唇だった。
「んっ――!」
「ん、ふぅ、兄さぁん――」
押し倒されたまま、腹の上に乗られて唇を奪われる。これはひょっとしなくてもまずい光景なんじゃないだろうか。
上に乗ってるのは本来と性別が逆だが、無理やりな感じに見える時点で問題だし、しかも俺たちは兄妹。誰かに見られでもしたら、管理局どころかあらゆる世界にいられなくなる。
と焦ってる最中で、そう言えば俺の研究室に入れる人はほとんどいないな、ってことに気付いた。つまり現在の俺は誰にも助けられることのない環境下での、まさに肉食動物に捕獲された草食動物。
どうやらあとは食われるばかりらしい。
「んっ、ちゅ、ぷはっ――ねぇ兄さん、もういいよね? 私、いっぱい我慢したから、もう、今日はいいよね?」
「ちょ、ちょっと待ったフェイトさん。あの、その、ほ、ほら、俺たちまだ恋人としての付き合いはないじゃないか。なのにいきなりこういうことするのはどうかなぁと思うんだけど――」
「心配いらないよ。もう私たち、夫婦になることを誓い合ったんだから。何も問題ない――」
戸惑う俺の、というより怯える俺の言葉なんてすぐさま蹴り飛ばし、フェイトがまた俺の顔にキスを降らせ始める。唇、瞼、鼻、頬、額、とにかく至る所に何度も何度も柔らかい唇が押しあてられる。
正直言ってキスは、女の子と付き合ったことがない俺でも経験したことがある。そのすべてが妹相手なのが恥ずかしいところだが、それだけならばまだ冷静に思考することもできただろう。
ただ残念ながら、今されているような明らかに愛撫だろうと思われるキスは経験がない。顔中に次々唇を押しあてられることも、ゆるやかに動く両手にさわさわと体を弄られることもなかった。
そのせいで俺はただ顔を熱くしたまま、興奮した面持ちのフェイトを見つめるばかり。彼女はその間にも目を閉じながら俺に熱烈なキスを送り、研究員の証である白衣を脱がせながら俺の体を触っていた。
「んんっ、兄さん、兄さんっ……!」
「フェイト、ちょっと、落ちついて……」
「あぁ、もう、ダメっ。無理だよ兄さん、だって私、ずっとこうしたかった――兄さんと一つになりたかったんだから……!」
「ひ、一つにって、おまえは兄に向かってそんなこと考えてたのかっ」
「んん、そうだよ、私、ずっと兄さんのこと抱きたくて抱きたくてたまらなかったっ。もうシャツやパンツじゃダメなの、兄さん本人じゃなきゃ、兄さんの体じゃなきゃ満足できないのっ」
「ふぇ、フェイトさん? ちょっと待って、お願いだから――ああっ」
フェイトの興奮具合は、目で見ても凄まじいと感じられるほどすごかった。
顔を真っ赤に染めて、長い金髪を振り乱しながら、まだ少女でしかない愛らしい顔から卑猥な言葉を発して、次々に俺の服を脱がしていくのだ。それこそまるで抵抗できないほど素早く、初心なはずの彼女がするすると俺を裸に剥いてしまう。
一分もしない内に、俺は他ならぬ最愛の妹の手で全裸にされていた。おまけに腹の上に彼女が腰を降ろしているものだから、逃げたくても逃げられない。いや、逃げたところですぐに捕まるのは目に見えてるけど。なにせ本気の逃走劇で俺が彼女に勝ったことは一度もない。
つまり俺は逃げることも許されず、抵抗することも許されず、裸になった後でじっくりと妹から全身を眺められても、顔を真っ赤にしつつも嬉しそうに笑うフェイトと向き合わなければならないのである。
向き合う、それは結局のところ、彼女の要望通りに体を重ねることになる。血の繋がらない義理の兄と妹で。
もっとも彼女の言い分からすれば、すでに俺たちは夫婦なので、体を重ねることがあっても何も問題ないらしいんだけど。
「あぁ、兄さんのおちんちん、ひさしぶりぃ……もう寝てる時に弄る必要ないんだね、これからは夫婦として毎日相手してあげなきゃいけないんだもん――」
「ちょ、ちょっとフェイトさん、色々言いたいことがあるんだけど。今まで寝てる時に弄ってたのかとか、別に毎日する必要はないんじゃないかとか」
「ふふ、兄さんはそのままでいいよ。私が全部やってあげるから。じゃあまずは――やっぱり口でやった方がいいよね」
「いやその前に、色々と話しあいを――うっ」
思わず抗議しようと口を開いたその時、計らずも声が漏れてしまう。だらりと垂れ下がっていたはずの俺の陰茎が、ゆったりと脚の上にまで移動した彼女の手で支えられた後にぱくりと銜えられたからだ。
なんとなく見るのが怖いと思ってしまうが恐る恐る視線を下げていくと、すでに見慣れているとは言ってもやはり可愛らしい俺の妹が、彼女の愛らしいぷるりとした唇が、俺の陰茎を固くしようと見た目が悪いそれを頬張っている。それもひどく嬉しそうに、まるで美味しい物を食べる時のような姿で。
その上長い包皮を舌でめくり上げる動作とか、亀頭の割れ目に舌を這わせるだとか、口をすぼめて頭を振るだとか、彼女の動きはやけに慣れているように見えた。こんなことをされた経験がない俺はあまりの気持ちよさに、意思とは無関係に見る見るうちにそこを固くさせてしまった。
どうしてこんなにうまいんだ。快感で蕩けそうになっている思考でそう考えると、一つの言葉が思い出される。
試しに俺は、立ち上がった陰茎の根元をぺろぺろと舐める妹に向かって尋ねてみる。「どこでこんなこと覚えたんだ?」と。
するとフェイトは困ったように笑いながら、右手で竿の部分を激しく扱き、左手で玉をやさしく揉みながら答えてくれた。
「あの、ごめんね兄さん、実はずっと兄さんので練習してたの。ちゃんと兄さんとの初体験の時、うまく気持ちよくしてあげられるようにって。兄さんが部屋で寝てる時、こっそり忍びこんで、口と手で精子びゅっびゅってさせてたんだよ」
「や、やっぱりそういうことか、全く気付かなかったのに――い、一体何回そんなことを」
「うんとね、正直何回かはわからない。でもいっぱいしたよ。兄さんが脱いだシャツとパンツでオナニーしてるとね、どうしても兄さんの顔が見たくなって、それで魔法を使ってバレないように練習してたの。だって約束があったから、結婚してないのにそんなことすると兄さんに怒られると思って」
「くぅ、不覚だ……まさか知らない内にここまで我が妹が変態になってるとは……うっ」
「へ、変態じゃないよ――あっ。えへへ、またビクッてした。兄さんのおちんちん、いつも元気だね。んしょ、こうやって先っぽをぺろぺろしながら擦ってあげるとね、おちんちん嬉しそうにビクビクってするんだ。あ、ほらまた。えへへ、やっぱり兄さんはすごく可愛い」
「あっ、くぅ――うぅ、妹にやられて感じる俺って……お願いだから首をつらせてください……」
両手と口とで陰茎を刺激し、フェイトが嬉しそうに笑う。確かにその顔は可愛いが、状況が状況だけにうまく喜べない。
妹にいいようにされて、抵抗もできずにただ抱かれる兄がこの世界のどこにいるだろう。否、きっといないに違いない。唯一俺だけを除いて。
なんとなく悲しくなった俺が自分の両手で顔を覆っていると、勃起した陰茎に与えられる刺激に変化があった。おかげでびくりと反応してしまう。何やらあったかくて柔らかい物に包まれて、尚も舌らしい物で亀頭をちろちろとやられている。
とりあえず目で見なければわからない。そう思った俺が顔の上から手をのけて下半身に目を向けると、愛しの妹は赤い舌を伸ばしながらこちらを上目遣いに見ていたのだが、先程と違って大きな乳房を露わにして、ふるりと揺れるそれでいきり立つ肉棒を挟んでいたのだ。
これが本物のパイズリ。かつて妹にバレぬようにと拝見したエロ本で見た、男の憧れの光景が広がっていた。
「お、おい、フェイト――」
「んしょ、んん、兄さん、これが好きでしょ? ベッドの下にあったエッチな本、おっぱいが大きい人たちばっかりだったもんね。それで見たから覚えてたんだよ、これ」
「あぁそうなのか――ええっ!? な、なぜその本の存在を!?」
「私は兄さんのことならなんでも知ってるよ。おっぱいが大きい女の子が好きなことも、金髪の若い女の子が好きなことも、妹物が好きなことも――ツインテールもあったよね?」
「うぅ、もぅ、それ以上言わないで……お願いだから、首をつらせてください……」
彼女の口から卑猥な情報が出される度に、さっきとは違う理由で俺の顔が熱くなっていく。正直もう涙目です。
まさか思春期の妹に最も見せたくない物が見られていたとは。しかもそれを教科書に色々と学んでいるなんて誰が想像できるというのか。いや、もっと言うとあれはリンディさんから無理やり渡されて、「捨てるな」と脅されたから隠してたんだけなんだけども。まぁ、確かに何回か使ったけどさ……。
フェイトはこれまた慣れた様子で、手を使って自分の乳房を動かし、俺の陰茎に刺激を与える。両方を上下に動かして扱いたり、両側から押しつぶすように力を込めたり、時にはびんびんに立った乳首で亀頭をゆっくりと撫でたり。ふにょんと柔らかい感触はそれほど大きな快感は与えてくれないが、代わりに妙な安心感と弱い刺激が伝わって、乳首で撫でられるのはむしろ刺激が強い。敏感な亀頭を責められることもあって、思わず腰を上げてしまったほどだ。
俺が苦しそうに顔を歪めて歯を食いしばり、腰を少し浮かせる度、フェイトは嬉しそうにくすくすと笑う。小悪魔的にも思える笑顔は、やはりこういう状況でも清純そうでひどく愛らしい。やってることは全然清純じゃないのにも関わらず。
「兄さん、気持ちいい? 一回出す? あ、でも初めてはやっぱり中出しで子宮にぶっかける方がいいよね? じゃあもうちょっと我慢して」
「そ、そんないやらしい言葉を平気で言うな。俺の教育が疑われるだろ」
「大丈夫、兄さんの前でしか言わないから――んっ。じゃあそろそろ本番、しよっか。私と兄さんの、初体験……」
「は、はっ、はつ、たいけ――」
すっとフェイトが立ちあがり、残っていた制服のスカートと黒いタイツ、それから同色の下着を降ろした。俺がじっと見つめているのに、恥ずかしそうに顔を赤らめながらも堂々とした姿で。
そして彼女が姿勢を正して横たわる俺の前に立った結果、俺は生まれて初めて生の女性の裸というものを目にすることができた。
そこでようやく気付いたのだが、フェイトは俺が思っていた以上にとてもきれいだった。顔はまだ幼さを残して可愛いし、胸はずっしりと重さを感じさせるような大きさなのに美しい形で、ピンク色の乳首がツンと立ち、視線を落としていくと訓練でついたのだろう薄い腹筋とくびれた腰、その下には薄い金色の毛がわずかに生えた、彼女の一番大事な部分。初々しさすら感じられるそこはぴたりと閉じられていて、魅惑的な上半身に比べて幼いような印象を受けた。
思わずごくりと喉を鳴らす。何を妹の体をじろじろと見ているんだ、と理性が叫ぶ一方、本能はしっかりと反応してさらに陰茎が固くなるのが感じられた。
俺の視線を受けたフェイトは嬉しそうに身をよじり、両手を後ろにまわして体を見せてくる。俺はそれを、じっと見つめていた。
「どうかな兄さん、私の体――気にいってくれた?」
「そ、そりゃあもう――はっ!? いやいや、違うぞ、そういう意味じゃなくて、いや違わないんだけど、そうじゃないというか……!」
「ふふふ、もう素直になっちゃってもいいんだよ、兄さん」
するするとゆっくり俺にしなだれかかってきて、ちゅっとキスを一つ。その後はすぐに体を反転させて、フェイトの方からぴたりと閉じた秘所を俺の目の前に持ってきた。代わりにフェイトは俺の陰茎を目の前にしている。シックスナイン、というお互いがお互いの下半身を、大事な部分を舐める体勢だ。
「兄さん、私のおまんこ、もうびしょびしょに濡れてるの――でも初めてだから痛くないように、やさしく、舐めてくれる?」
「も、もちろん」
「ふふ、私ももっと兄さんを気持ちよくしてあげるから」
そう言った直後に、またぬるりと熱いものが俺の陰茎を包んでしまう。それだけで俺は「うっ」と小さく声を洩らし、フェイトは「ふふっ」と小さく笑う。
俺も負けじと舌を伸ばして、初めて見る女性のあそこにそっと触れてみた。相変わらず妹が相手だということに抵抗を覚えずにはいられないが、今ではそんなことよりも、このまま行為のすべてを終わらせたいという気持ちもある。
そう想いながら、閉じた割れ目にそっと舌を這わし、少し力を込めてぎゅっと押す。とても柔らかいそこはぐにぐにと形を変えて、確かに彼女の言う通り濡れている。指を使ってゆっくり広げてみると、ようやく顔を出した、きゅっと締まった穴から透明な液がとろりと出ていた。
さっきよりも顔が熱くなることを自覚しつつ、俺はそこに口を近付けた。指で小さなそこを開きながら、大事な場所だろう小さな穴に、舌を触れさせる。
「んんっ」
その途端、俺の陰茎をしゃぶっているフェイトが嬉しそうな悲鳴を上げた。しかも自分から股を俺の顔に押し付けてくるように腰を落として、自分もより一層深く、喉に届きそうなほど陰茎を呑みこんでいるらしい。
どうやらそれが嬉しくて、気持ちいいようだ。フェイトの挙動からそれがわかった俺はぺろぺろと何度もそこを舐め、ついでに両手を白くて真ん丸い尻へと伸ばした。むぎゅっと形が変わるほど柔らかいそれを掴んで、さらに興奮を高めながら一心不乱に舌を動かす。すると嬉しがるように白い尻がぴくぴくと反応していた。
お互いの股に顔をうずめて、気持ちよさそうな声を出しながら必死に快楽を貪る兄妹。ホントに、一体どうしてこうなってしまったのか。
だけど今はそんなことはいい。考えられるような状況じゃない。そんなことよりももっと、もっとこの行為に耽っていたい。
気付けば俺は、フェイトが陰茎から口を離して上体を起こしていることも知らず、彼女が必死な声で止めるまで舐め続けていた。
「んっ、あぁっ、にい、さっ――兄さんっ。もうっ、もういいよ、それ以上やっちゃうと私、ダメだから――あっ」
「ふぅ、ふぅ――あ、あぁ、ごめん」
「はっ、んん……ううん、いいの。兄さんが嬉しそうに舐めてくれたのが、すごく気持ちよかったから」
きれいな肢体に、身を隠すような物を何も持たない妹。彼女は俺の顔を跨ぐのをやめて、また体を反転させる。俺の目の前にあった可愛い秘所は、今は俺の陰茎のすぐ傍にある。
またフェイトの顔が徐々に俺の顔に近付いてきた。何をされるのか、さすがにもうわかってる。
俺はゆっくりと目を閉じた。すると即座に柔らかい唇が、俺の唇に触れる。向こうが強く押しつけてきて、たまにちゅっと吸いつくような動きを見せるので、お返しとばかりに俺も舌を伸ばして彼女の唇に触れてみた。そうするとフェイトは少し驚いたようにびくっと体を震わせて、しかしすぐに自分からも舌を伸ばして俺のそれを絡め取る。
ぴちゃぴちゃという水音と共に二つの舌が絡まって、唾液が次々に俺の口元に落ちてくる。かと思えばフェイトはぐっと唇を合わせた状態で俺の口内に舌を入れてきて、興奮したようなそぶりを隠さずに乱暴に俺の中を荒らし始める。歯をべろべろと舐めまわしたり、歯ぐきをつんつんと突いてきたり、遊ぶように舌を絡めたり、唾液を飲んだり飲まされたりととにかく忙しない。
少しの苦しさを感じながら目を閉じてそれを享受している時に、今以上にどんどん固くなろうとしている陰茎に何かが触れたのだ。
「んむっ!? んっ、んあっ――ふぇ、フェイトっ、ちょっと待っ――!」
「兄さん、私、もう我慢できないよ……」
ずぷり、という感覚と共に、途方もない快感が俺を襲った。きっかけになったのはやはり、俺の陰茎がフェイトの膣に呑みこまれたからに他ならない。
今、勃起した俺の陰茎はフェイトの膣の中に差しこまれており、根元の部分が入りきっていなかったけれど、フェイトの一番奥の部分に先端が届いていた。
快感にむせび泣いて俺の首筋を甘噛みするフェイト。ぎゅっと抱きつかれたせいで目で確認することはできないが、確かに俺の体は腰が抜けそうなほど気持ちいい感覚に包まれている。
あぁ、ホントに、妹といっしょに越えてはいけない一線を越えてしまった。これまでのことを思い出すとどこか悲しいようにも思えるし、しかし妹であるフェイトの願いこそがこれなわけだし、なにより彼女はとても嬉しそうな声を出してるし。胸の内は複雑だ。
というよりフェイト、大丈夫かな。挿入した瞬間に全身を震わせて、そこから人間らしい言葉を一つも発してないけど。小さい声で何かは言ってるけど、意味が伝わるようなものじゃない。
心配になった俺は彼女の白い背を撫でつつ聞いてみる。
「フェイト、大丈夫か? 辛かったら抜いても、というよりやめてもいいんだぞ」
「うっ、ふっ、あぁっ、大丈夫……はっ、私っ、兄さんと繋がれたのが嬉しくて――い、イッちゃった、だけだからぁ……!」
「え、ええっ? いったって、おまえ……」
「ふぅんっ、んふぅ……はぁぁ、あぁっ、すごいよぉ……兄さんがいっぱいで、私の膣内が、兄さんで満たされてるっ」
人の首筋を唾液でべたべたにしながら、耳元で蕩けきった声を出す妹。一体どこで何があってこんな子になってしまったのか。
ほんの少しだけ俺が泣きそうになっていると、突然フェイトが腰を動かし始める。上体やら大きな胸やらを俺にぴったりと預けたまま、膣で陰茎を扱くように腰を上下に振っていたのだ。
思わず歯を食いしばって体に力を入れ、腰の奥の方から飛びだしそうになるものを我慢で押さえこむ。あまりにも強すぎる快感はあっという間に俺を限界まで押しやり、危うく妹の膣の中で射精するところだった。
それをわかっているのか、いないのか、初めはゆっくりだったフェイトの腰の動きがだんだん早くなっていった。
「ま、待てフェイト、ちょっと速すぎる……このままだと、おまえ――」
「はぁっ、いいよ、いいよ兄さんっ。このまま出してもいいんだよ、私の中に精液注いでっ」
「ば、バカ言うなって。おまえは俺の妹なのに、そんなこと」
「もう妹じゃないよっ、私は、兄さんの――お、お嫁さん、なんだからっ」
ぐちゅぐちゅと音を立てながらの動きはますます速まり、今となってはぶつけるような動きになっていた。
激しい動きと、狭い膣によって、これまで体感したことがないほどの快感が与えられる。それも俺の意思に関わらず、強制的に。
我慢すら越えて限界がやってきたのは、さほどの時間も経っていない頃のことだ。再び自分の限界を感じた俺はぐっと歯を食いしばり、気付けば悲鳴のような声を上げながらフェイトの体を抱きしめていた。
「あっ、くぅっ、フェイト、もう、ダメだ――あぁっ、出るっ」
「いいっ、いいよ兄さん、私もっ、もうダメ――あっ、あっ、ああぁっ」
フェイトの腰が押しつけるようにして深く沈んだせいで、俺は彼女の一番深いところで射精していた。ほとんど正常な思考は奪われていたのに、凄まじく気持ちよかった、そういうことだけはしっかりとわかる。
竿の辺りがどくどくと脈打つ度、先端からは勢いよく精液が飛び出しているのがわかる。妹と行為をしたばかりか、中出しまでしてしまったということだ。
体を支配していた快感が波のようにゆっくりと引いていくと同時に、俺の胸に頭を預けていたフェイトが小さく呟く。まだ下半身は繋がったままで。
「はぁ、ん――嬉しい。兄さん、私の中で気持ちよくなってくれたんだね。膣内に出してくれたし……えへへ、嬉しいなぁ」
「うっ、で、でもそれは、フェイトが抜いてくれなかったら出しちゃっただけで、俺の本意では、その……」
「あ、そんなこと言う? もうっ、せっかく結婚するのに、兄さんはいつまで経ってもツンデレなんだから。じゃあしょうがないよね――素直になってくれるまで、兄さんの体を満足させた方がいいと思うんだ」
「ま、待てって。その前に色々と話しあおう、な? 俺も聞きたいこととかあるし、あと状況によっては説教しなきゃならないことも――」
「だーめ」
輝くような笑顔でそう言うフェイトは、またしても腰を振り始めた。今度は俺の腰にのしかかるように上体を立てて、俺の腹に両手をつきながら。
一度目の射精で萎え、しかし気持ちのいい膣内にいたせいで半立ちになっていたそれは、すぐに腰の動きにつられてまたすぐに立ちあがり、それによってフェイトが嬉しそうな声を上げながら腰の動きを速めていく。気持ちいいことは嬉しいのだが、節操のない体に我ながら涙が出そうだ。
「はぁ、んんっ、気持ちいいよ兄さん……すごく固くて、おっきい……あんっ」
「ううっ、ふぇ、フェイト……」
楽しそうに、弾むように体が上下するせいで、大きな胸がぶるんと揺れて俺の目を惹きつける。大事に育ててきた彼女とこういうことをするのは抵抗があるのに、なぜかその場所から目を離すことができない。
思わずごくりと喉を鳴らしてしまった。確かにそうだ、俺は彼女の言う通り、巨乳ものの本とかDVDなんかに目がない。なぜかはわからないがあの手の物にすごく興味があるのだ。
しかし、ここを素直に受け入れてしまったら、俺はもう戻れなくなる。などと思う俺をあざ笑うかのように、フェイトがにこりと笑いかけてきた。
「いいんだよ、兄さん。兄さんのために大きくしようと思って、いっぱい頑張ったんだから。私の胸を触ってもいいのは、兄さんだけなんだよ」
「お、俺だけの……?」
「うん、そう。私のおっぱいも、おまんこも、心も体も全部兄さんのもの。兄さんだけは、私のおっぱい揉んでもいいよ」
「……うっ、くっ……」
我慢はした、たくさんした。でも無理だったってだけの話だ。断じてフェイトの言うがままに手を伸ばしたわけではない。
すっと伸ばした指先に、ふよっと揺れる柔らかい乳房が触れる。その後はもう我慢なんてできるはずもない。俺はわしっと両手で両方の乳房を掴んでいた。
俺は今、フェイトの胸を揉みしだいているのである。上に乗った彼女にずんずんと犯されながら、自分の欲求に素直になって、飽きることなく揉み続けた。
それだけでフェイトの顔はさらに輝きだす。
「はぅ、うぅんっ、嬉しいっ――はぁっ、兄さんが、私のおっぱいで欲情してくれてる……!」
「よ、欲情とか言うんじゃない。いつからおまえはそんなこと言うようになったんだ」
「はぁっ、ふぅ、でも否定できないでしょ?」
「……」
「んっ、あっ、あっ」
一定のリズムで腰を振り続ける内に、フェイトの限界はどんどん高まっていっているようだった。同時に俺も、そろそろ限界が近いことを悟る。陰茎がぎゅっぎゅっと強く締め付けられ、膣の中はますます激しく動きまわっている。
またしても快感のせいで正常な思考が流され、はっきりとした意識も持てないままに彼女の姿を眺めていると、フェイトの声が一段と高くなった。
それからしばらくもしない内にお互いが限界に達し、気付けば二人同時に全身を震わせていた。
「んんっ、んあぁっ、んんんっ!」
「くっ、はっ――はぁ……」
また、膣内に出してしまった。どこか他人事のようにぼんやりとそう想っていると、倒れ込むように顔を近づけてきたフェイトがまた俺の唇を奪う。
さっきのとは違って、触れるだけのやさしいキス。しばらくそれを続けた彼女はやがてぱたりと体の力を抜いて、俺に覆いかぶさったまま寝転ぶ。至近距離にある顔はやはりどこか嬉しそうで、キラキラと輝く瞳がぼーっとした俺の顔を映していた。
「うふふ――兄さん、気持ちよかった? 満足できてないなら、もう一回する?」
「い、いや、大丈夫。もう満足したから、ホントに」
「そう。じゃあいいけど、これからはもう自分で処理しちゃダメだよ。出したいなって思った時は、いつでもいいから私に言ってね? もう今から夫婦なんだから」
「あ、あのなぁ、夫婦って――いやまぁ、約束したんだから、もう、しょうがないんだけど……」
「あ、しょうがないって何? まだ素直になれてないのかな――それならもう一回した方が」
「いや、う、嬉しい、嬉しいですよフェイトさん。ようやくだもんな、約束が果たされるのは。嬉しいに決まってるじゃないか、はっはっは」
「ふふ、そうだよね。私も嬉しいよ、兄さんが喜んでくれると」
「あ、あはははは」
嬉しそうに声を洩らすフェイト。裸で抱き合っている上に、さっきまでの行為なんかを考えれば、確かにもう兄妹の関係じゃなく夫婦として付き合った方がいいのかもしれない。
ハァ、と小さくため息をこぼす一方、俺はすでに覚悟を固めようとしていた。しかし、あくまでもフェイトのためを思ってのことだ、さっきの行為で籠絡されたとかいうことではない。
断じて、小悪魔的な笑顔を見せながら、ぺろぺろと俺の乳首を舐める彼女に、いいように扱われてしまったわけではないのである。
「ねぇ兄さん、今度の休みにね、二人で日本に帰ろうよ。その時、改めて結婚届けを提出してさ、結婚式のこととか考えるの。えへへ、ちょっと忙しくなるかもね」
「そ、そこまでするのか? まぁでも、そうか、夫婦になるって言うならそういうことになるのか……」
「そうなんです。そういうこともちゃんとしないといけないんだよ、兄さん――それからね、ちゃんと約束して欲しいことがあるんだけど」
「ん?」
「なのはたちのこと」
そう言った直後、フェイトの顔色がすっと変わる。輝くような笑顔はどこか薄くなり、今はどこか背筋が凍りつきそうな微笑みになって、目の色も明らかに違っていた。
なんとなく寒気を感じてしまうような声は俺の耳に届き、彼女はわかりやすいようにとゆっくり話しだす。
「兄さん、みんなと仲良くするのはいいけど、結婚するなら浮気しちゃダメだよ。今までだって何回か怪しいこともあったんだし、これからはもう疑われるようなことしないでね」
「疑われるようなことって……別に今までだってそんなこと――」
「たくさんあった。なのはと二人っきりでデートしてたこともあったし、シグナムやヴィータと研究室で二人っきりになって話してたことはしょっちゅうだし、シャマルだって用もないのにここへ来て兄さんにべたべたしてるし、はやては兄さんのことお家に来ないかって誘ってたよね? 兄さんが仕事だったからよかったものの、もしついていってたら兄さんが食べられてたかもしれなんだよ、わかってるの、兄さん」
「い、いや、別にそんな考え方はしてないけど……それに、みんな仕事の話でそういう状況になっただけだろ? 別に他意なんて――」
「いいえ、あります、完全にありまくります。兄さんは鈍いから気付いてないだけなの、みんな兄さんのこと狙ってそうしてるんだから。私がしっかり見てないと、今頃兄さんはもっと色んな女に取り囲まれて、動けなくなってたくらいなんだから」
「あーそうなのか? っていうかそもそも、なんでフェイトはそんなに俺のこと色々知ってるんだ? なんか、フェイトがいなかった時のことまで深く知ってるけど……」
「私は兄さんのことならなんでもわかるの。だから、兄さんはあんまり心配しなくていいよ? たとえ兄さんの身に危ないことが起こっても、いつでも私が守ってあげるから。だから代わりに浮気しないでね、絶対」
ぎゅうっと俺の体を抱きしめながらそう言うフェイトに、いつも通りの愛しさと、そしてなぜかわからないが背筋が凍るような恐ろしさを感じた。なぜかは全くわからないのだが。
しかし、考えてみれば彼女はいつもこうだった。小さい頃から俺の後ろをついて回って、親しい友人以外とは仲良くなるのに時間がかかって、時には俺の友人の女の子によくない感情を向けていた。思えば、あの時からこの子は俺のことを好いていてくれたのかもしれない。
少し末恐ろしい感じにも思えるが、考え方を変えれば結婚相手にはふさわしいのかもしれない。努力家で一途、俺のことを深く思ってくれていて、いつだって俺を助けてくれた。
うん、そうだ。俺だってフェイトのことが好きだ。今までは妹として、そう思っていたけど、ホントは多分違っていた。
俺も彼女と過ごす内に、血の繋がらない妹のことを好きになっていたんだと思う。このままずっと、彼女といっしょに生きていければ、それほど幸せなことはないんだから。
断じて、フェイトの大きな胸の上で、バルディッシュがキラリと光って何かを訴えようとしているからそう思うんじゃない。純粋に、昔から、俺はそう思っていたのだ、うん。
「ハァ――まぁいいか。うん、俺はフェイトが好きだし、さっきのも気持ちよかったし――これでよかったんだよなぁ」
「うふふ、いいんだよ兄さん。これからも私とずっといっしょに、二人で幸せに生きていこうねぇ」
「あぁ、うん、よろしく」
「うふふふ」
また胸元でキラリとバルディッシュが光る。ひょっとしたらお礼を言っているのだろうか。
それがわかるのはおそらくフェイトだけなのだが、彼女は小さく笑いながら俺の胸に頭をこすりつけるばかりだ。正しい答えはわからない。
しかし、それでもいいかと思ってしまう。我ながらシスコンだなぁと思うけれど、目の前の笑顔を見てしまうとどうしたってそう思わざるを得ない。
だって俺に抱きつくフェイトの顔は、ホントに幸せそうな笑顔なんだから。
「えへへ、兄さぁん、愛してるよー」
「はいはい、俺もだよ」
そんな碌でもないやり取りを、兄妹揃って研究室の床に寝そべって、二人とも裸で、下半身は繋がったまま。いくら入れる人が限られてる場所でも、ちょっと軽率すぎる姿だったかもしれない。
この後、研究室であられもない姿を見せていた俺たちは、突然部屋に入ってきたフェイトの親友によってしっかりと目撃されてしまい、予想外の騒動を起こすことになってしまう。
だが、それでもフェイトは笑顔だったため、色々な人に恐ろしいほど質問をぶつけられながらも「まぁいいか」と思ってしまった。
かつての寂しげな顔じゃない限り、ちょっとくらいのわがままも許そう。シスコンだと罵られても、フェイトが幸せならそれでいい。今はもう素直にそう想うから。
ただ少しだけ、さっきのはやけに勝ち誇ったような笑みだったな、ということだけが気がかりになったが、きっと俺の見間違いだったのだろう。
俺の妹、いや、俺の妻は昔と違って、こんなにも幸せそうに生きることができているのだから。