川神学園で有名な人物は山のようにいて、数える方がめんどくさかったりする。その中でも特に最近、学園内で注目を浴びているのが、なぜか急激に仲が悪くなった二人についてだ。
2-Sのマルギッテ、2-Fの秀秋、と言えば今では学園の誰もが理解するだろう。それほどに、現在の二人の関係はひどいものだった。
廊下でたまたますれ違えば、マルギッテは眼帯をしていない右目をギラリと光らせて秀秋を睨みつけ。秀秋が校庭で友達と武術の稽古をしていれば、どこからともなく現れて乱入したかと思えばイジメなのかと囁かれるほど強く彼を鍛え。2-Sと2-Fがクラス対抗で戦うとなればまず真っ先に争い始める。月日が経つごとに、だんだんと周囲から心配されてしまうほどひどい関係であった。
よって二人をよく知る者、名前しか知らない者に問わず、学園内では彼らの話で持ちきりだ。なにせ彼らの仲がこれほどまでに悪くなったのは最近のことで、以前はそれほど特別なものではなかった。一体何が原因なのか、マルギッテが人当たりのいい秀秋を嫌う理由はなんだ、と不思議に思うのは当然のことである。
しかし、その理由を知る者は誰一人としていない。マルギッテが全幅の信頼を置くクリスという少女も、秀秋が仲良くしている風間ファミリーの面々も、誰も。
当人である二人を除いて、二人の奇妙な関係の全貌を知る者は一人として存在しなかった。
「踏み込みが甘い! 体の軸をぶらすな! 狙いが逸れてるぞッ!」
「は、はいっ」
学校ではそんな会話ばかりを行い、鬼教師とひ弱な弟子のような関係にある二人にも、実は誰も知らない裏の顔がある。
それが表に出てくるのは今日も同じ、二人がこっそり同居している小さな一軒家で、二人きりになった時だけだ。
「秀秋――き、今日のことはすまなかった。その、ちょっと強めに手を叩いてしまったし……お、怒っていないか?」
学校では堅物で知られるマルギッテは、秘かに付き合っている恋人、秀秋と二人きりになると、急に借りてきた猫のように大人しくなってしまうという一面を持っていた。強烈すぎる照れ隠しが剥がれたその瞬間の、ずっといっしょにいるクリスですら知らない顔は秀秋しか見たことがない。
今日もまた、照れ隠しとはいえ秀秋に対してひどい態度を取ってしまったこと、武術の訓練とはいえ彼に強く攻撃を加えてしまったこと、あとは他の女生徒と話している姿に嫉妬して、いきなり怒鳴りかかってしまったことを悔いている。そうした光景が日常的になっているため、二人は仲が悪いなどと噂が立ったりもするのだ。
しかし当人たちからすれば、それは単なる激しいだけの照れ隠しだとわかっている状態。秀秋にしても、そこまで大問題として取り扱うような事柄ではない。
ただ、実際に秀秋へ掴みかかっているマルギッテからすれば、それらの自分の行動は「ひょっとしたら捨てられるのではないか?」と不安に思わざるを得ない行動であると理解している。せっかく出会えた、かけがえの無い存在となった異性。大事に思うからこそ想いが暴走し、器用に振る舞えない彼女は苦心している。
いつものように、眼帯で隠していない方の目に涙を溜めるマルギッテは、学校で見せていた威光も捨て去ってしゅんと肩を落としている。軍人であるはずの彼女とは思えない、少女のような落胆の表情。
それを見せられて平静でいられるほど、秀秋という男は冷酷ではない。マルギッテのことをよく理解している彼はすぐさま口を開き、落ち込んでいる彼女の肩に手を乗せた。
「だ、大丈夫だよマルさん。僕は怒ってないし、嫌いになってもいない。いつも通り、マルさんのことが好きだよ」
「う、しかしまだマルさんと――いつものように呼んでくれないではないか。やっぱり、私のように可愛げのない女に愛想を尽かして――」
「ああもうっ、そうじゃなくて……僕は本当に、心から、マルギッテのこと大好きだよ。愛してる」
なんとか視線から逃れようと顔を背けるマルギッテの頬に両手を添えて、自分の方に顔を向けさせ、熱っぽく語る秀秋。告白されて付き合うことになったが彼だが、彼女を選んで恋人になったのは事実なのだ。どうすれば元気づけられるのか、こういう状況でどんな言葉をかければ喜ぶのか、ちゃんと理解している。
そこで秀秋は嘘偽りなく、彼女が好きだと全力で伝える。言葉で、目で、頬に触れる手のぬくもりなんかでも。
じっと視線を外すことなくそうし続けて、約二分ほど沈黙した後。顔を真っ赤にしたマルギッテがようやく落ち着いたところで、二人の距離は少しだけ離れる。二人の家の中、肩を並べてソファに座った状態だ。
しかし、離れたのも束の間、すぐに興奮した様子のマルギッテが秀秋に抱きつき、二人の頬がぴたりと合わさって頬ずりが始められる。見た目は猫がそうするかのような仕草だが、軍服を着て片目を眼帯で隠しているマルギッテがそうしていれば、まるで気高い女豹が捕獲した獲物にじゃれついているかのように見える。
二人は抱き合い、互いの体温や肉体の感触を確かめながら、しばらくソファの上でじっとしていた。嬉しそうに赤い髪を振るマルギッテは幸せそうに目を細めて、彼女を抱きとめる秀秋も苦笑しながらも嬉しそうだ。
学校では厳しい軍人。二人きりなら甘ったるいほどにデレデレな恋人。最初は戸惑うことが多かった秀秋も、今では心から彼女を好んでいる。
さらりと揺れる長い髪を撫でて甘やかしながら、秀秋は愛情表現に不器用なマルギッテを拒否することなく愛していたのだ。
「うぅ、秀秋、愛してる――お願いだから、私を離さないでくれ」
「ああ、わかってるよ。絶対、手放さないから。安心してよ、マルギッテ」
「はぁっ――秀秋、もっと、もっと名前を呼んでくれ……」
ちゅっと彼の首筋に唇を押しあてながら、うっとりとした声色でマルギッテはうわごとのように呟く。熱に侵されて正気を失ったかのように、何度も何度も彼の首筋に吸いつきながら。
それに付き合って、秀秋は何度も彼女の名を小さく呟く。彼女にだけ届けばいいと、声量は小さく、思いやりだけを込めて。すると彼女は嬉しそうに身を捩り、抱きつく腕に力を込めながら繰り返しキスを送る。
しばらくは首筋に顔を埋めていたマルギッテだったが、感情が抑えられなくなった頃に狙いを変え、秀秋の唇へと己の唇を押しつける。柔らかく健康的な色を持つそれはむっちりとやさしく押しあてられ、相手の感触を楽しむように身勝手に動いた。
舌も使わず、唇だけを触れさせる軽いキス。繰り返し何度もちゅっと当てられ、あまりの熱心さに秀秋は思わず小さく微笑み、マルギッテはむっと唇を尖らせてさらに強く唇を押しつけた。
今度は秀秋からも動きを見せ、ちろりと舌を伸ばして彼女の唇へ触れる。すると途端にマルギッテはびくりと大きく震え、しかし逃げようとはせずにそこで動きを止める。
秀秋の舌がねっとりとマルギッテの唇の上を這って進む度、彼女の体は小さく震え、縋りつくように彼の服をぎゅっと掴む。眼帯をしていない方の目をぎゅっと閉じて、喜びに震えながらも彼にすべてを任せるような態度だ。
ぺろぺろと唇だけに触れる動きはマルギッテの抗議が入るまで続けられ、自分から顔を離したマルギッテは顔を真っ赤にしながら瞳を潤ませ、睨むような目つきで秀秋の顔を見上げた。といっても午前中に学校で見せた睨みより、よっぽど可愛らしい目つきである。
「うぅ、ひどいぞ秀秋。わ、私がして欲しいことをわかってるくせに、いつまでも焦らそうとして……」
「だってほら、マルギッテはこういう方が好きじゃないか。もう興奮してるんでしょ? 顔赤いし、涙目だよ」
「う、うるさいっ。そ、そんなわけがないだろう、私は全然――」
マルギッテがそう言っている途中で、秀秋は突然両手で彼女の胸を鷲掴みにした。生地の厚い軍服の上からではあったが、大ぶりの乳房はとても柔らかく、彼の手の中でふにゅりと潰れる。
するとあまりにも突然の事態に、マルギッテはまたびくんと大きく体を跳ねさせ、しかしいつもなら出るはずの反撃も出ず、顔を真っ赤にしたまま俯いてしまう。まるで借りてきた猫のような大人しさだった。
この態度を見越していて、さらに調子に乗った秀秋の手は自由気ままに彼女の胸を揉みしだいていく。手を動かす度に乳房はぐにゃりと形を変えて、秀秋は楽しげに微笑む。
それでもマルギッテの抵抗はなく、彼女は秀秋の胸に手を置いたまま、されるがままとなっていた。
すでに交際して少し経つ。秀秋はよくマルギッテのことを理解している。なぜマルギッテが抵抗しないのか、その理由はすでに判明しているのだ。
秘密、というほどでもないが、理由は性的嗜好にある。人前で見せる彼女の姿は非常に力強いものだが、秀秋と二人きりになった時、マルギッテはマゾヒストの姿を露わにし始めるのであった。
「うんんっ、ひ、秀秋……そんなに、揉むなぁ……!」
その証明となるように、彼女はそう言いながらもまるで秀秋を押しのけなかった。正面から向かい合えば十中八九勝てる相手に、自分の体を好きにさせているのである。
しかし、その嫌がっているような態度こそ、マルギッテの根底を表している。本当の気持ちとしては恋人に触れられるのは嬉しいのだが、嫌がっている風にすればするほど、その気持ちがさらに高ぶっていくらしい。
だからこそマルギッテはいつも秀秋に触れられると、態度では無理なことがわかっているだけに言葉だけでも嫌がろうとする。その方が気持ちよくなれると知っているからだ。
今も嫌がるような言葉ばかり吐いているのは、恋人の手によってさらに気持ちよくなろうとしているからだった。
「はぁぁっ、こらぁ、も、揉み過ぎだ……い、いい加減に……!」
「あ、うん。ごめん、ちょっと夢中になってた。マルギッテの胸気持ちよかったから」
「なっ――ば、バカなことを言うな。そ、そんなはず、あるわけないだろう……」
「いやいや、ほんとだよ。僕はマルギッテじゃなきゃだめだから」
「……そ、そうか」
服を脱がせる一方で、秀秋はすでに慣れてしまった歯の浮く様なセリフを吐く。自分は女らしくない、とどこかのタイミングで急に落ち込んでしまうマルギッテを気遣うためだ。
普段は強気な態度でいるのに、秀秋の前では急激に自信を失くして落ち込んでしまうのが彼女の特徴だと挙げられる。二人きりのタイミングにしか見れないという点では信頼されているようにも感じるが、落ち込ませないためにははっきりと恥ずかしいと思う言葉も伝えなければならなかったのだ。
おかげでマルギッテの扱いには人一倍の技術があると自負する彼は、慣れた様子でマルギッテの服を脱がせていき、抵抗しない彼女をあっという間に下着姿にしてしまう。しかしそれも、すぐに取り去られた。
丸裸になったマルギッテを膝の上に乗せた秀秋は、するすると手を伸ばして胸や尻へ触れていく。柔らかくも張りがあるそこへ力を込めて指を埋め、形を変えるほどにぐにぐにと揉む。その仕草も非常に手慣れたものだった。
マルギッテはじれったいような、気持ちいい様な微妙な感覚の中で身を捩る。だが触れられることに嫌悪感は皆無のようで、むしろもっと強く触れと言わんばかりに体を押しつける様子すらある。
それに応じて秀秋は、マルギッテの望むままに手を動かしていった。肌の上を這うように移動して、左手は乳房から乳首の上へ移動し、右手は尻の間を通って秘所の表面を撫でつけた。
途端に彼女の体は跳ねるように悦び、思わずといった様子で声が洩れる。その瞬間にマルギッテは自らの手で口を塞ぎ、声を出すことを恥ずかしがるようにぐっと押さえた。
くすくすと、秀秋が小さく笑う。
「我慢しなくてもいいのに」
「が、我慢などしていない。普通だ、私は――あっ、んんっ」
「ほら、気持ちよさそうだったよ」
「う、うるさ――あっ、あっ、あぁっ」
反論しようとする一瞬の隙を突いて、秀秋の指が一本、マルギッテの膣内へずるりと滑りこむ。すでにしっとりと濡れていただけに、痛みもつっかえることもなく挿入が終わった。
暖かく柔らかい、しかしぎゅっと締めつけてくるようでもある膣を指で感じると、楽しげな秀秋はゆっくりとそれを出しいれさせ始めた。とても小さなくちゅくちゅという水音が、静寂に包まれた室内ではよく聞こえる。
さらにこの時、秀秋はマルギッテの胸に顔を寄せて、手で触れていない方の乳首に吸いついていた。大口を開けて乳房に吸いつき、口内に入った乳首を舌で転がして遊んでいる。
これにはさすがのマルギッテも我慢ができないらしく、身を捩ったり、秀秋の頭を胸に抱きしめたり、なんとか声を洩らさないようにと他のことに注意を向けるがうまくいかない。甘い喘ぎ声は混じりけもなく秀秋の耳に届いていた。
「あっ、んっ、んっ、やぁっ――」
「んっ、ぢゅるっ、はっ――おいしいよ、マルギッテ」
「んんっ、やぁっ、変なことを言うな……! あ、頭が、おかしく――はぁぁっ」
秀秋の声を聞く度に、言葉を一つ聞かされる度、マルギッテの膣内は嬉しそうにうねりを見せていた。彼の指がしっかりとそれを感じている。
口ではなんだかんだと言いつつも、体の方は正直すぎるほどに正直なのだ。だから秀秋の責めも楽しそうなものになり、できるだけ彼女を焦らしてやりたいという気持ちにもなる。
それを喜ぶことも知っているだけに、今日も秀秋の愛撫は非常にゆったりとした動きで、あまりにも長い時間をかけられて行われた。体勢を変えることもなく、五分が経ち、十分が経っても秀秋は彼女を解放しない。しかも膣に入りこむ指の数は変わらず、激しさもないまま、胸への刺激も淡いままだった。
そのせいでマルギッテの精神は見る見るうちに揺さぶられ、素直にならなければもっと強くしてもらえないと考えるまで同じ責めが続けられる。それでも、勝負に負けることが嫌いな彼女は必死に恋人からの責めに耐え、顔を真っ赤にしながら犬のように舌を伸ばして息を荒くしていても、自分の負けを認めようとはしていなかった。
もっともその態度や表情は負けを認めているのと同義であるのだが。
「はぁっ、あぁっ――ひ、秀秋、いい加減もう……」
「我慢できない?」
「ば、バカめっ。我慢できないのは、おまえの方だろう……」
鼻息を荒くしたマルギッテは秀秋の唇を塞ぎ、それ以上を言わせないようにしながら身を捩る。
一方の秀秋はますます手の力を加え、強く彼女の体へ触れていく。しかし嫌がるどころか、マルギッテはそれで嬉しそうな態度を見せた。
しかしやはり我慢できなかったらしく、自分から秀秋の姿を解放した彼女は一度彼から離れ、脱ぎ捨てた自分の服からある物を手にしてすぐに元の体勢に戻る。その際、秀秋の手に渡されたのは使い古された様子の首輪であった。
「秀秋……その、いつものように……」
「うん、わかった――貸して。つけてあげるよ」
そう言って秀秋は当たり前のようにその首輪を手に取り、マルギッテの首に装着しようと手を伸ばす。するとそれが当然とばかりにマルギッテはそっと目を閉じた。
カチャカチャと音が鳴り、手慣れた様子で首輪が巻かれる。着用する動作が終わると、マルギッテは嬉しそうな、安心したような表情でほっと息を吐いた。
二人が体を重ねる時、必ずと言っていいほどこうしてマルギッテの首には専用の首輪が巻かれる。これは彼女が望んだ行為、秀秋の所有物でありたいという気持ちを体現するための行動だった。
今日もそうして、肉体的にも精神的にも秀秋の所有物となったマルギッテは淫らに舌を伸ばし、改めて彼の唇に触れる。恥じらっていた先程とは違って、スイッチが入ったかのような淫靡さで口内を舐めまわしていった。
「んんぅ、ふぅっ――秀秋、秀秋っ」
やさしいようで乱暴に、自分勝手でありながらさほど力は込められず。マルギッテは彼を傷つけないようにという配慮を残しながら、彼の意思を無視して一方的に舌で責める。
一方の秀秋は口内をされるがままに舐められつつ、両手でマルギッテの体に愛撫を施す。尻を撫でる一方で、さらにその奥へ入り込んだ指が膣の入り口を撫でている。非常に弱く、いまだに焦らされるような感覚。
ほとんど半狂乱となっているマルギッテはもはやプライドも何もかも捨て去り、髪を振り乱しながら懇願を始めた。赤い長髪がふわりと宙を舞うと同時、ジャラリと首輪から伸びる短い鎖が音を立て、甘くも鼻をつくような香りが辺りへ広がる。
「ひで、あきっ……お願いだっ。もう、もう入れてくれ……こ、これ以上、焦らさないでっ……!」
「そう? じゃあ――今日も僕の勝ちってことでいい?」
「い、いいっ。私の負けだから……は、はやく、はやくいつもみたいに抱きしめてくれ……!」
「うん、わかった」
そう言ってようやく、秀秋は膝の上に座らせていたマルギッテをソファの上に寝かせ、開かれた股の間に場所を陣取った。それだけで勃起した陰茎がぴとりとマルギッテの膣に触れる。
途端に彼女の呼吸はさらに乱され、激しく息を吐きながら口元は歪んでいる。嬉しそうで、快楽に染められた表情。それは理性を忘れているかのようにも見えた。
しかしマルギッテにとってはいつものことだ。今日も淫らに我を忘れたマルギッテに気を良くした秀秋は、にこりと微笑むとゆっくりと腰を前に進める。
瞳を見つめられながらのやさしい挿入は、息を乱すマルギッテを絶頂へ導くには十分すぎる要素を持っていた。亀頭がゆっくりと奥へ進み、やさしげな顔には似つかわしくない巨大なそれが子宮の入り口をコツンと叩くと、マルギッテは背筋を逸らして舌を伸ばした。
膣の内部が強く締め上がり、痛いほどに秀秋の肉棒を掴む。しばらくの間はびくびくと振動が止まらず、彼女がどこかへ気をやっていたのは非常にわかりやすかった。
だがこの時、自らも我慢が利かなくなっていた秀秋は首輪から伸びる鎖を掴んで、腰を前後に動かし始める。空いた片手はぶるんと揺れる大きな乳房を掴んでおり、まるで力ずくで犯すような姿でマルギッテの膣を突く。
するとイキ続けていたマルギッテは甘い声を洩らして背を丸め、どこへともなく腕を伸ばしながら与えられる快感を受け取っていた。
「あぁっ、はぁっ、あぁぁっ! んんっ、んぐっ、ひで、あきぃ……!」
ぎゅっと目を閉じて、されるがままに喘ぐマルギッテ。鎖をぐいっと引っ張られる度、膣内がきゅっと締まりを良くして、声に混じる甘さが明確に大きくなる。
秀秋の動きは見る見るうちに速くなっていった。彼もまた目を閉じて陰茎を包む快感に集中し、両手に力を込めながら一心不乱となっている。
ソファにはどんどんマルギッテの体液がシミを作っていき、その動きに連動して小さな水音と肉がぶつかる音とが鳴る。
音は徐々に激しさを増していき、もはや二人の限界は近いかと思われた。しかし、もう少しで秀秋がイケそうだという瞬間、またしてもマルギッテの膣がぎゅうっと締めつけを増す。
彼女一人だけが、先に絶頂を感じていたのだ。
「んんんっ、あはぁぁっ、イクぅっ……!」
秀秋の両腕を掴みながら、びくんと何度も体を跳ねさせたマルギッテは激しい絶頂を感じ、再度背を逸らした。まだ秀秋がイッていないというのにである。
何度も強く肉棒を締めつける膣がようやく落ち着いた頃、弱弱しく呼吸を繰り返すマルギッテの顔を見つめる秀秋は、右手で握った鎖を強く引っ張った。それにつられて首輪が引っ張られ、緩んでいた彼女の表情が苦しげに歪む。
行為が終わったわけではない。まだ秀秋は絶頂を感じていないのだ。そのため、彼は普段の大人しさも押し殺してマルギッテの首輪を引っ張り、乱暴に腰を振る。
まるで本当に女を犯しているような様子であった。ただし、すでに愛する秀秋には自身がマゾヒストであることを告白しているマルギッテにとって、この瞬間はむしろご褒美に近いものだったが。
「あぁぁっ、いいぃっ! だ、めっ――むり、もうむりぃっ!」
「はっ、はっ、何言ってるんだマルギッテ、僕はまだイッてないんだぞ――いつも言ってるだろ。僕がイク前に勝手にイクな、このバカ犬っ」
「ひぃぃっ! しぬぅ、頭が、おかしくなるぅっ……!」
「おかしくなれっ! 僕に犯されて、イキまくれ、マルギッテっ!」
非常に乱暴な様子で行われる激しい性交は、休まることもなく数分間続けられ、やがて二人は限界へ到達する。今度こそ二人同時に、どちらかだけが残されるようなこともなく。
秀秋は我慢し続けていた射精をついに行い、入りこんだマルギッテの膣内を白く汚す。マルギッテはその熱や感触を感じて、ぶるりと大きく体を震わせた。
悲鳴のような嬌声は確かに甘さが混じっていて、呼吸を合わせた絶頂は見事なまでにぴったりと重なって始まり、ぴったり同時に終わった。
呼吸を乱した二人はしばらく相手を気遣うことすらできず、ただ荒く息を吐くばかり。目はどこか虚ろで、疲労感が周囲にまで伝わる様子だ。
しかしある時、突然動き出した秀秋はマルギッテの膣から萎えた陰茎を抜きだすと、様々な体液で濡れた巨大なそれを彼女の口元へ突き付ける。栓を失くした膣からごぽりと精液が溢れだす一方、かすかに開いた厚い唇にはグロテスクにも見える亀頭が触れる。そこからもまだ、少量の精液が垂れていた。
鎖を引っ張って彼女に頭を上げさせた秀秋は、興奮した面持ちで冷たい声を放ち、じっとマルギッテを見つめたまま呟く。
「マルギッテ、舐めろ。きれいにするんだ――おまえの役目だろ?」
「ハァ、んっ……はい。わかり、ました」
吐息混じりにそう返すマルギッテが即座に口を大きく開き、自らの口内へと迎え入れる。途端にきれいにしようと舌が動き始めていた。
鎖を引かれ、首輪のせいで無理やりやらされているような姿で。幸せそうなマルギッテはぴちゃぴちゃと丁寧に彼の陰茎を清めていく。自らの膣から分泌された体液を舐めとり、尿道に残っていた精液を飲み干す。まさに、至福の表情とはこのことだろう。
満足そうに目を細める秀秋は十分に陰茎をしゃぶらせ、再びガチガチにそそり立ったことを確認すると、わざと冷たい声を出してマルギッテに命令する。これも彼女本人から言われた、彼女を喜ばせるための態度なのである。
ぐいっと鎖を引くのも、肉棒を口から抜く前に一度、腰を降ろして彼女の喉の奥を突いたのも、すべては愛する恋人のためを思ってのことである。
「よし、じゃあ次は後ろから突くぞ。尻をこっちに向けろ」
「は、はい、ご主人様……どうぞ、私の体で、いっぱい気持ちよくなってください……」
うっとりと目を細め、完全にスイッチが入ったマルギッテは普段以上の美しさで微笑む。裸であるせいでその姿はとても淫靡なのだが、どこかで気だかさや気品さが感じられる姿でもある。
自分の恋人の姿にますます見惚れる秀秋はさらに陰茎を固くして、ソファに手をついて尻を突き出す彼女へ覆いかぶさった。鎖を引っ張って息苦しさを感じさせることも、忘れない。
彼らだけの楽しみ方で、二人は二人っきりの時間を心行くまで楽しんだ。次の朝、学校に到着してしまえばまた、赤の他人を演じなければならないからである。
◆
「こらっ、また女にでれでれしてばかりで修練もせず……貴様は何をやっているんだッ!」
「ええっ!? いや、ただ話してただけで、別にでれでれなんて――」
「問答無用だッ! 来い、おまえの軟弱な精神を一から鍛え直してやるッ!」
次の日、やはり二人の関係はいつもと変わらず、激しい照れ隠しによって秀秋が一方的にキレられる光景に変化が起こることもなかった。周囲にいた人間も「また始まったか」程度の認識で、さほど気にした様子もない。これが二人の日常だからだ。
しかしこの日はいつもと少し違って、本来なら校庭に出て目を疑うほど激しい訓練を開始する二人はなぜかどこかへ姿を消し、日常の喧嘩風景を見られることはできなかった。
これにより、一般生徒の多くは顔を真っ青にして想いを一つにしていた。ついにマルギッテは、本気で秀秋を殺る気だ、と。
だが、確かにこの日のマルギッテは決意していたが、その内容は生徒の誰しもが思うそれではなかった。素直に怯える秀秋を連れていった彼女が向かったのは、入念なリサーチを終えて滅多に人が近付かないと判明した体育倉庫の中。
そこで自ら首輪をつけたマルギッテは軍服をはだけさせ、驚いた様子の秀秋をマットに押し倒し、片手で陰茎を揉むと共にねっとりと舌を絡めさせていた。
以前から考えていたことだ。学校でどうしても秀秋に抱かれたくなった時、どうすればいいのか。これまでは彼に訓練をつけるという名目で無理やり同行させていたが、これ以上生傷をつけるのは嫌だった。
そんなマルギッテが考え出したのは、誰にも見つからない場所で、学校の中で秀秋に抱かれることである。そして慎重に慎重を重ね、情報収集を終えた今、彼女はようやく二人の愛の巣を見つけることができた。
ねっとりと舌全体を絡め、見る見るうちに勃起していく陰茎を握りながら、嫉妬に燃える彼女の瞳は非難するような色を灯して秀秋を見ている。どうしてそんな視線を送られるのか、理由がわかっているだけに秀秋も抵抗しようとはしない。
見た目とは打って変わって、ただ女友達と話しているというだけで激しく嫉妬する少女のような性格のことは、すでによく理解できている。だからこそ、彼もそんなマルギッテに応えようと手を動かし始めていたのだ。
「――ぷはっ。マルさん、その……いいの? 学校だから、バレる可能性もあるけど……」
「はぁ、ふぅ、し、心配はいらない。ここには滅多に人が来ないから――それより、またマルさんと……」
「あ、ご、ごめん。でも、あんまり激しいのはだめだよ? マルさ――マルギッテは声が大きいから、バレるかもしれないし」
「で、では口でさせてくれ。それなら声も出ないだろうし、その……お、おまえのことを、気持ちよくしたいんだ」
「う、うん」
秀秋を壁に押し付けたまま、膝立ちになったマルギッテは彼のズボンを降ろし、すでに勃起している陰茎を目の前にする。うっとりと目を細め、舌を伸ばしてちろりと触れる。
それだけで秀秋は表情を変えて感じ始める。先端をやさしく舐められているだけで気持ちよく、なお且つ学校にいる間にそうした行為をしていると考えると、マルギッテでなくとも興奮は高まっていった。
亀頭の形を確かめるように舌を這わせて、竿の部分へ舌を絡め、玉に至るまで離すことはない。心からの愛情を伝えるような丹念な奉仕に、秀秋の膝は徐々に笑い始めている。
一方的な、しかし愛情を込められた愛撫が続くと、秀秋の顔は赤らみ、どんどん快感を高めていった。
「うぅ、マルさ――マルギッテ、やばいって。今、服着たままだし、このまま出しちゃったら……」
「んっ、ふっ――構わない。私がすべて飲む。だから秀秋は気にせず、楽にして気持ちよくなってくれ――ただし」
片手で陰茎を扱きながら、亀頭へ舌を這わすマルギッテの目がぎろりと光る。見上げる視線はどこか睨むようで、やはり先程の嫉妬が消えていないようだ。
他の女にうつつを抜かさないようにと釘を刺しつつ、陰茎の傍で噛み合わせた歯で音を鳴らして、マルギッテは小さく言った。
「秀秋を気持ちよくできるのは私だけだ。さっきの女や、他の女にこんなことさせるなよ――いいな?」
「は、はい……気をつけます、マルさん……」
「む、またマルさんと……いつものように呼んでくれ。ちゃんと、やさしくするから――」
そう言って再び舌を這わせ始めたマルギッテにほっとしつつ、また秀秋は感じ始める。歯を鳴らされた時は噛みちぎられるかとひやひやしたのだ。それだけに、彼の心には先程の言葉が深く刻まれたであろう。
ちゅぷちゅぷと唾液が水音を発して、容易に亀頭を銜えこんだマルギッテが頭を振る。歯を当てないように気を付けて、やさしくじんわりと快感を与えるように。
力の強弱を次々に変えながら、彼の陰茎を舐めていく。先端から根元、玉に至るまで、丹念に舌を這わせる。
そうしていると秀秋はあっさりと限界に達し、彼女に一声かけてから射精を開始した。するとマルギッテは即座に口をすぼめて吐き出された精液を受け取り、すべてを飲み干そうと喉を鳴らす。嬉しそうで幸せそうな、満足した様子の表情だ。
射精によって出てきた精液をすべて腹の中へ納めた後、マルギッテは少量のそれを口内に残しておいて口を開け、秀秋に見せつけるように舌を動かす。そうした後で、またわざとらしく喉を動かした。
呆けた様子で荒く呼吸を繰り返す秀秋はその様子をじっと見つめ、萎えた陰茎も晒したまま立ちつくしている。マルギッテはすぐにその陰茎を清めようとまた口内へ迎え入れた。
そのまままどろむような時間が流れ、体育倉庫の中には静寂が広がる。小さな水音だけが、耳の中に入りこむような状況だった。
「ま、マルギッテ……その、ひょっとして、こういうの毎日しようと思ってる?」
「ん? いけないのか?」
「いや、でも、バレる可能性が、さ……ほら、マルギッテの恥ずかしい姿は僕以外に見せてほしくないし、その、見つかったら恥ずかしいどころじゃなくて退学とか――」
「心配はいらない。バレなければいいのだ。秀秋のことは、私がずっと守り抜くぞ――んっ」
恐る恐るといった様子で秀秋が尋ねると、マルギッテはそれが当然だと言わんばかりの態度で呟いた。せっかく見つけた隠れ場所だ、これからも継続して使用する気満々なのだろう。
家でしかできなかったあんなプレイやこんなプレイを、学校というシチュエーションの中でバレることもなく存分に楽しむことができる。これまで学校にいる間は溢れ出る性欲を我慢し続けていた彼女にとって、これほど幸せなことはないのである。
不安そうな秀秋とは裏腹に、楽しげなマルギッテは肉棒を口内で転がしながら微笑む。眼帯をしていない方の目元はやさしげに緩み、慈愛が溢れるお姉さんといった風情に見える。
だが、秀秋の目から見れば、今の彼女は淫魔のそれにも近い。普段は頼まれたせいで奴隷のような扱いをしていても、中々に自己主張をしてくるのだから本物の奴隷に扱えるはずもない。尻に敷かれているのは間違いなく、マルギッテではなく秀秋の方だ。
ハァ、とため息をこぼし、秀秋が俯いたその時。またも完全に勃起した肉棒をマルギッテが口の中へ入れている時でもあった。
突如として、遠くの方からドタドタと大きな足音が聞こえてきていた。それも、まっすぐに体育倉庫へ向かってくるのである。
一度目の射精の後で、気だるげな雰囲気の二人が反応する間もなく、あっさりと体育倉庫へ到達した足音は止まることなくその扉を蹴り破っていた。
「秀秋ッ! 大丈夫か、マルさんに殺されてない――は?」
「……え?」
叫びながら入って来たのは秀秋の友人たち。男女入り混じった集団で、いわゆる「風間ファミリー」と呼ばれる生徒たちであった。
友人の危機に際し、勇んだ様子で助けようと現れた少年少女たちの目の前に広がっていたのは、予想できるはずもなかった光景。壁に背を預けて立つ秀秋がズボンと下着を足首まで降ろし、勃起した陰茎を晒して、それをマルギッテが口の中に頬張っている。なんとも淫靡で、仲が悪いはずの二人とは思えない姿だ。
その姿を見て、倉庫内に駆けこんできた少年少女たちは顔を赤らめて混乱し始め、誰もが言葉を失って直立不動となってしまう。しかしそれは件の二人も同じことで、状況を理解できていない二人は微動だにすることもできない。マルギッテはいまだに口内に亀頭を含んだまま、その場に現れた集団を見つめている。
中でも、特に狼狽していたのは顔を真っ赤に染めながらも気丈に一歩前に出てきた、金髪の少女だ。名をクリスという彼女はマルギッテを護衛としているお嬢様で、彼女との仲も深い。それだけにこの状況は衝撃的すぎたらしく、赤すぎる顔は今にも煙を吹きそうなほどに沸騰しているらしい。
わなわなといきり立ったままの肉棒を指さし、非常に恥ずかしげなクリスはとても小さな声を洩らした。
「ま、まま、ままま、マルさん……こ、ここ、これは一体……?」
「い、いえ、あの、これは……!? こ、この軟弱者を鍛えるために仕方なく――あ、その、というわけでもないのですが、え、えっと……!」
クリスの一言によってようやく時間が流れだし、場は変化を見せ始めた。
凄まじい緊張状態を打ち破った張本人、クリスはそう言った後ふらりと体を揺らし、ゆで上がったタコのように顔を真っ赤にして卒倒してしまったのである。これに驚いたマルギッテはすぐさま彼女の元へ駆け寄り、下半身を晒したままの秀秋をそのままにクリスの介抱を始めてしまう。
これにより仲間を失った秀秋は、仲のいい男連中に取り囲まれて洗いざらい吐かされることとなり、ようやく秀秋とマルギッテとの交際は学校全体に知れ渡ることとなったのである。
結論から言えば、二人の仲は祝福された。仲が悪いと思われていただけに、真実が知れ渡ると誤解が解けたらしく、二人が自然体で学校生活を送れるようになったのもさほど時間がかかってのことではない。
ただし、真実が知れ渡った以降。今までは押し殺していた嫉妬心を少しも隠そうとはしなくなったマルギッテは終始秀秋を離さず、彼に話しかける女生徒がいれば即座に牙を剥いたりするようになってしまうのだが、少なくとも当人同士はこれまで以上に幸せそうだったらしい。