要望があればまた書きますが、出てくるキャラは基本的にそこそこ歳がいってる人になります。
ちょうど五大国の中心に位置する小さな温泉街に、その特別な湯宿があった。
歓楽街の少し奥、治安は良くてもあまり人が近寄らないそこには温泉を保有する宿があり、同時に他には見ないサービスがあることで有名である。
金で女を買う、そんな男たちが世に溢れているように、中には金で男を買いたい女もいるのだ。
温泉宿“華”は名湯を持った風俗店、しかも、女を相手に商売をする男娼が揃えられた宿なのである。
「もうあなただけになってしまったわ……大事だった人はみんな、先に逝ってしまった」
その一室にて、二人の男女が大きなベッドの上、裸で抱き合って寝転んでいた。
全身に玉のような汗を掻き、同時にどちらの物ともわからない体液がこびりついて、シーツの上にはひどい惨状が広がっている。
そんな中で横たわるのは、妙齢の美しい女性と、まだ年若い青年。
青い髪を青年の腕枕に乗せ、豊満な胸や細い腰にも男の精液がかけられ、ぼうっとした表情で天井を見上げるのは自ら忍だと言っていた女性、小南だ。
あまり良くないことをしているとも囁かれているが、数年前からこの店に通い、当時まだ新人だった青年を一番最初に買った人物である。
身の上話をすることもあったし、愚痴っぽい話をすることもあった。そして肩を並べて食事や酒を取ることだってあったし、今日のように体を重ねた日も多い。
青年、店での名前は双葉という彼は、少数精鋭である“華”の中でも特に女性の忍者、いわゆるくノ一から人気が高い人間である。
ぽつぽつと語る小南の顔をじっと見つめ、髪を撫でながら話を聞く態度はまさしくプロ。客である女の心も体も癒そうという精神が目に見え、子供の頃から教育を受けていたという話も納得の姿だった。
「弥彦が死んで、先生も亡くなって、ついには長門も……覚悟していたはずだけれど、多くのものを失くしてしまったわ。私の傍に残ったのは、今ではあなただけ」
「小南さん……それはきっと、辛かったでしょうね……」
「仕方の無いことだもの。ずいぶん昔に慣れたわ――いいえ、慣れたはずだった。でも今になって気付いたの。私はやっぱり、仲間がいなくなって寂しい……」
双葉の肩口に顔を摺り寄せ、小南は伏し目がちに声を潜める。
忍として生きてきた彼女にどれほどの覚悟が、辛い経験があったのだろうか。仕事が特殊とはいえただの一般市民でしかない双葉にわかるはずもない。
ただその時の彼女は言葉通り、やはり寂しそうな表情で、四年ほどの付き合いになる双葉に救いを求めているのは明白だった。
らしくない小南に向け、双葉はそっと額に口づけを送り、気を紛らわせようとする。すると小南はわずかに微笑んでくすぐったそうに身を捩り、双葉の頬へ手を添えるのだ。
「ねぇ双葉、私のものになって。二人でどこか、遠くへ行って静かに暮らしましょう? もう私の役目は終わったわ……弥彦や長門、先生の意思はちゃんと残されている。あとはただ、見守るばかりよ」
「小南さん……やけにならないでください。そんなこと言うの、らしくないですよ」
「わかってる。今はちょっと疲れてるだけだって……でもね。本当にいつかそうなれたらって、何度も思った。長門が長くないのは知っていたから、彼の死を見届けた後は少し、休もうかって。その時、傍にはあなたにいてほしいってね」
今度は小南からそっと、口づける。ただし双葉のように頬や額ではなく、彼の唇へ。
音もなく合わさり、柔らかな感触が心を落ち着かせる。
二人は動くこともなくじっと相手の唇を感じ、しばらくしてからまたゆっくりと離れた。
小南の顔には、薄くとはいえ笑みがある。そこで双葉もようやく笑みを浮かべ、二人はじゃれあうように額同士を触れさせた。
目を閉じて、相手の息遣いをすぐ傍に感じる。行為が終わった後の疲労感が心地よく、ぐったりと力の抜けた肉体も、大好きな相手と抱きあっていれば嫌にもならない。
一夜明けて、時刻は朝。双葉用の部屋に備え付けられた個室用の露天風呂には朝日が差し込み、水面が反射する光が室内まで届く、穏やかな空間。
小南が目を閉じたまま口を開いた。
「双葉、私のこと、好き?」
「ええ、とっても。小南さんが来てくれた時、僕もすごく嬉しいです」
「本当かしら。他の女の子にも言ってるんでしょう? 私より若い子も多いだろうし、他に好きな子がいるんじゃない?」
「そんな意地悪、言わないでください。小南さんが好きだって気持ちは、嘘でも冗談でもないんですから」
「ふふ……ありがとう」
再びゆっくりと唇が合わさり、互いに腕を伸ばして相手をきつく抱きしめた。
小南は首の後ろへ手を回し、双葉は白い背中に腕を回して。
汗の匂いや精液の匂いが、ぷんと香る。あまりにも今さらなのでさほど気にする必要もないのだが、時間も時間。別れの時が近付いている。
双葉の方から唇をそっと離し、間近に見る彼女へ向かって、やさしく語りかけた。まっすぐに目を見返す小南もちゃんとわかっているようである。
「小南さん、お風呂入りましょうか。汗とか色々、落とさないと」
「ええ。でもね双葉、私このまま、あなたと離れたくないの。重いかもしれないけれど、運んでくれる?」
「喜んで。それに小南さんは軽いですから、そんなに気にしなくて大丈夫ですよ」
「好きな男に嫌われたくないもの。それは難しいわ」
「もし本当に重かったとしたって、僕は小南さんを嫌ったりしませんよ。そんな浅い関係じゃないでしょう?」
双葉は彼の首に腕を回す小南を軽々と持ち上げ、寝室からガラス張りの扉で区切られている露天風呂へと赴く。
天然の温泉は循環を繰り返し、常に温かく清潔に、かすかな良い匂いと共にそこへ在る。他の部屋も同様に温泉を使った風呂場が設けられているが、簡易的とはいえ露天になり、美しい山々と川を眺められるのはこの部屋だけだ。
風呂の淵に小南を降ろすと、双葉は近くにあった桶を使って湯を掬い、簡単にではあるが小南の体を流していく。
手を使って柔らかな肌へやさしく触れ、汗や自身の精液を洗い落として、時折いたずらをするように彼女の体へ強く手のひらを押しつける。それは胸であったり尻であったり、腹や太もも、首筋、様々な場所へ。
おかげで小南は微笑み、自分から双葉へ口づけをねだった。やさしく数度触れてすぐに離れ、すぐに肌へ纏わりついた物は流れ落ちた。
「ありがとう、双葉。次は私がやるわ」
「そうですか? それじゃあ、お願いします」
桶を持つ手が変わり、小南が湯と手を使って双葉の体を流し始める。
彼女もまた楽しむように手を肌の上へ這いまわらせ、飽きることなく何度も口づけを求め、ちゅっちゅっと軽い音が外まで広がる。といってもそこは大自然を背後に置く宿、他の部屋が窓を開けていない限りは誰かに聞かれることはないだろう。
自然の風を感じつつも、良い香りの湯で体を簡単に温めた後は、二人で湯の中へ入る。淵に背を預ける双葉の前に小南が座り、彼女が双葉へ背を預ける。
まるで恋人同士のような姿である。
この時双葉はちゃっかり水差しとコップを用意しており、傍に置いておいたそれを手にしながら、小南へと声をかける。座り位置の関係上、自然と耳元へ口を寄せて囁く様な形になってしまい、すぐ傍で彼の声を聞いた小南はくすぐったそうに肩を揺らした。
「小南さん、お水どうぞ。なんでしたらお酒もありますけど」
「ありがとう、これで十分よ。でも、できればあなたに飲ませてほしいわ」
「わかりました。それじゃあ――」
そう言われて双葉はコップに水を移し、小南の口元へ運ぼうとするのだが、他ならぬ彼女の手でそれを止められる。
わずかに首を振り、何かを期待するようにじっと目を覗き込む小南は何も言おうとしない。
しかしそれだけで意図が伝わり、双葉は小さく頷いて、手に持ったコップの水を自らの口の中へと入れた。
そして改めて、小南へ渡すために口を近付ける。自然と彼女も目を閉じ、唇を突き出して、それを待つ。
唇が触れあい、わずかに開き、双葉の口内にあった飲み水が小南の口へと入っていく。
それだけに留まらず、どちらからともなく舌が伸びて、じゃれつくように先が触れあう。ちろちろと絡み合い、つんつんとつつき合った。
一方で小南の両手と双葉の片手は、互いの体へ好き勝手に触れている。大きく突き出た乳房、丸々とした尻、シミ一つない白い背に双葉の手のひらが触れていき、固くそそり立った陰茎、薄く割れた腹筋や、女の物とは違って固い尻など、小南も愛おしげに触れていく。
少しすれば唇を離し、再び視線がぶつかった。小南は彼の胸にしなだれかかって熱い吐息を発し、小さく囁いた。
「双葉、もう少しちょうだい。しっかり水分を取っておかないと、のぼせてしまうかもしれない」
「わかりました」
またコップの水を口内に含み、双葉が小南へ顔を近付ける。彼女もそれをあっさりと受け入れた。
水を飲むのはほんの一瞬で終わり、後はまた先程のように互いの肉体を求めあう。遊びにも近い行為はやけに二人を魅了して離さず、唇を遠ざけるのがひどく名残惜しい。
手に持ったコップを置き、しばらくの間は無言で楽しんで、飽きもせずに存分に体へ触れあった後。
小南はぐっとさらに深く口づけを送り、彼の口内へ舌を侵入させながら少し腰を上げて、湯の中で胡坐をかく双葉のそこを跨いだ。
先程からすでに勃起している陰茎は天を向いて立っている。そこに小南の女性器が近づき、湯とは違う何かで濡れた柔らかなそこが、くちゅりと触れる。
その後は迷う必要も確認を取る必要もない。小南が彼の頭を掻き抱きながらゆっくりと腰を落としていくと、見る見るうちに肉棒が膣の中へと呑みこまれていく。
もう奥へ進めぬところまで入りこむと、二人の股はぴたりと合わさっていた。
唇を離し、小南が息を吐きながら双葉の頭を自身の胸へ埋める。
「はっ、あっ……」
「小南、さん……」
小南は彼の頭を、双葉は彼女の背を、ぎゅっと強く抱きしめる。
小鳥のさえずりすら聞こえる穏やかな朝の中、風呂の中で繋がり合う男女が、悩ましげな吐息を吐きながら抱きあう。日常の中にある非日常で、なんとも言えない気持ちがさらに気分を高ぶらせていた。
とはいえ、二人にとってはさほど珍しいことではなく、一晩を買った小南は昨夜も散々双葉と体を重ねていたのだ。
抱き合ったまま動かず、ふと、彼女は話し始めた。
腹の中でびくびくと震える愛おしいそれは動きたがっているが、今でも十分な刺激があり、昨夜のたび重なる行為のせいで今は落ち着いている。
双葉の首筋へ顔を埋める彼女は、普段とは違ってどこか弱弱しくすら見えた。
「あなたは、たくましくなったわね……昔はもっと中性的で、頼りなくって、可愛かった。でも今は、私を受け止められるぐらい大きくなってる。なんだか、私もすごく歳を取った気持ちになる……」
「そんなことありません。小南さんは今も昔も、ずっときれいで、若々しいです。体だって全然、衰えてませんよ。何回戦も繰り返せる体力もね」
「ふふ、それは褒めてるのかしら? だとしたら嬉しいわ。でもいずれ、あなたとこうして抱きあうこともできなくなるかもしれない」
髪を撫でていた手を首へ移動させ、少し顔を離して見つめ合う。
微笑んでいるのに、どこか悲しい。今日の小南は何かが違っていた。
ひょっとしたら、大事な仲間を失ってしまったからかもしれないと、双葉は思う。だが彼女が自発的に話すこと以外、無遠慮に踏み込むのは仕事の内ではない。
双葉はただじっと彼女の目を見つめ返した。
「いつかあなたとも、離れなければいけない時が来るのかしら……今はそれだけが心残り」
「……やめてくださいよ、死を選ぼうとすることだけは。飽きて捨てられるなら理解もできますけど、小南さんが死んじゃうなんて、僕は嫌です」
「大丈夫よ。私があなたを捨てるなんて、ありえない話。それだけはしないって神に誓うわ」
双葉の額に小南の唇が触れる。なんとなく、はぐらかされてしまったような気持ちになった。
けれどそれ以上深く追求する気にもなれず、何かから逃げるようにして、彼女の細い腰を掴んだ双葉は勢いよく腰を突きあげる。
一度は抜けかけた肉棒が、ズンッと一気に奥へ叩きつけられ、小南の表情が変わる。
与えられる快感で一瞬の内に雌の顔になった小南を見て、双葉は何度も下から突き上げていった。
「あっ、あっ、あぁっ……ふた、ばっ……」
腰が上下する度、小南の体が大きく揺れる度、湯船は大きく揺れ動く。
昔は締まりが強いだけだったそこは、今では男好きのする絡みつき方を覚えていて、強かに双葉を責め立てる。突いているのは彼であっても、感じさせているのは両者、気分はますます高まった。
ちゃぷちゃぷと水音が立ち、小南は小さな声で鳴いて、双葉もまた小さく荒く息を吐く。
手慣れた行為であるとは言っても襲いかかる興奮に抗うことは難しく、腰を上下させる動きは徐々に速度を速めていった。
双葉は目の前で縦横無尽に揺れる乳房へ目をやり、左の乳頭へ吸いついた。付着した水滴に混じる汗がしょっぱい。
そのまま固くなった乳首を吸い、舌で触れ、歯で軽く挟み、巧みに刺激しながらも腰を動かし続ける。
左の次は右へ。満足したらまた反対側へ。
何度も往復したところで終わりは見えず、ひとしきり遊んだ後だと言うのに更なる快感を求めるのは二人にある共通の姿勢で、ついに双葉は動き出した。
股間で繋がり合ったまま、双葉は上手く小南の体の向きを変えさせ、汗とも湯ともわからぬ水滴が伝う背を拝み見る。
それから立ちあがり、小南の両手を風呂の淵につかせると、彼は覆いかぶさるようにして彼女の乳房を両手で掴んだ。
腰の速度は一気に変わって、まるで叩きつけるかのような刺激の仕方。パンパンッと小南の尻の肉が震え、高い声も一層色気を交えさせる。
「あぁっ、あっ! んんっ、くぅっ……!」
「はっ、小南さん、小南さん……!」
初めての時のように我武者羅になって腰を振り、体勢を変えてからは普段よりも早かった。
双葉は小南の中に居たまま、射精を始め、せっかく洗い流したそこへ新たな子種を注ぎこむ。彼女もそれが最後のひと押しとなり、さらに一段高い絶頂へ至り、声を高くして鳴いた。
どくどくと断続的に注ぎこみ、さらに奥へ流し込もうと腰を押しつけていると、小南が倒れ込むように腕の力を抜いて寝そべった。
それでも双葉は若干柔らかくなった肉棒を抜かず、尻を掴んでゆるゆると腰を振ってから、ようやく彼女を解放する。すでに精液を垂れ流す膣から現れたそれはいやらしく糸を引き、途中で切れて湯の中に消えた。
両者の体液で濡れた陰茎はまだわずかに固さを残したまま、小南の尻に数度擦りつけられる。
それが済んでから双葉は小南の顔を覗き込み、赤くなった頬へ手を触れながら、彼女を案じる。
身動きもできぬほど激しくイッた小南は息も絶え絶えで、しかし双葉の顔が近くに来ると目を開いて笑みを見せた。
「ん――ありがとう、双葉。とてもよかったわ」
「ええ、僕もです。また、膣内に出しちゃいましたけど」
「構わないわ。できれば、あなたとの子供が欲しいの――ひょっとしたらもう遅いのかもしれないけれど」
「……そんな寂しいこと、言わないでください。やっぱり今日の小南さん、変です」
双葉もまた小南のように木目の床の上に横たわる。横向きに双葉を見る小南へ腕を出してやり、彼女の頭がそこへ乗ってから、余った手で乳房を揉む。
小南は笑っていた。しかし、発言や態度はやはりどこか後ろ向きにも思える。それが双葉の心を大きく掻きまわし、不安にさせる。
「また何度でも来てくださいよ。それが嫌なら、呼んでくれれば僕から行きます。仕事が関係なくたって、どこへでも」
「あなたはやさしいのね。でも決して自分を安売りしちゃいけないわ。私もお金を払った客の一人、あまり情を向けすぎても後悔するだけよ?」
「小南さんは違います。違うってわかるくらい、いっしょにいたじゃないですか。たとえこの部屋でしか会えない相手でも、それは変わりません」
「ええ、私もそう思ってる。心配しないで、ちょっと疲れてるだけ。きっとすぐにいつも通りになれるから」
「危ないこと、しませんよね?」
「もちろん。あなたと離れる未来なんて、考えられないもの」
どちらからともなく顔を寄せ、唇を触れ合わせる。
その時、部屋の中に在る時計がジリリと音を発した。小南が双葉を買った時間が終わったのである。
二人は名残惜しげに顔を離し、再び汗や体液を湯で流した後、部屋へ戻って体を拭く。
もはや言葉で説明する必要などなく、どちらも手慣れた様子での行動であった。
そそくさと体についた水滴を取った二人は、繰り返し軽い口づけを続ける。そのままで双葉は次々に小南の服を着せていき、その時々に彼女の肌へ唇を触れさせた。
そして最後、彼女に赤い雲の模様が入った黒いコートを渡す時、双葉はなんとも言えない表情を浮かべる。
「何から何まで悪いわね。あなたがなんでもできちゃうから、自分が怠け者になった気になっちゃう」
暁、そう呼ばれる犯罪者の集団。そのコート自体が、彼女もまたその集団の構成員であることを証明している。
彼の店は客であれば人種も所属も関係なく、また彼自身もどんな人間であっても差別するつもりもないが、世間はそうはいかない。彼女がその衣を身に纏っている限り、小南は誰かに狙われ続けるのだろう。不安の種火はおそらくそこにあった。
彼女が不安を残すようなことを言ったのは、もしかしたら何かしらの事情があるのではないか。そんな風に思えてならない。不安が生まれて仕方ない。
そんな双葉の表情を見た小南はいまだ裸でいる彼の体を見下ろし、時間も終わったというのにその場へ膝をついた。
「あの、小南さん? いきなり何を――」
「これくらいのサービスは許してくれるでしょう?」
萎えた陰茎を手で掴み、少し上を向かせて唇を当てる。むにと押しつけるようなそれは、皮から露出した亀頭をぴくりと反応させた。
小南はそのまま、巧みに口と手で双葉の陰茎を刺激し始め、見る見るうちに大きくなっていくそれをあっさりと口内へ含む。
時間外のサービス、これまでに要求したことがないそれだ。
不安を抱いていたことも合わさって双葉は喜び、抵抗することもなく両の拳を握って、見上げてくる小南の顔を見つめていた。
じゅるじゅると唾液が音を発し、頭が振られる度に肉棒が口へ出入りする小さな音が鳴る。
時間がないことも理解しているため、小南の頭を撫でる双葉は我慢することなくやがて限界へ達し、彼女へその事実を伝えた。
「くぅっ、小南さん、もう出るっ……!」
「んっ、んっ、んっ――んんっ、んぅっ」
喉の奥で射精が始まり、小南は苦しがる様子もなく続々と出てくる精液をすべて飲み干す。ごくりと喉が鳴って、残らぬようにと強く吸い上げながら竿を扱く手も止めない。
そうしてすべて出し終わった後、口の端からこぼれた分もきちんと舌で舐めとり、立ちあがった小南は双葉の胸に顔を寄せた。
強く抱きつき、なぜか安心する心音を耳にしながら呟く。
忍と男娼、仕事も違えば考え方や、不安に思うことも違ってくる。
でも心配しなくていいと、彼女はそう伝えたいのだ。
「今日は裏から帰るわ。本当にありがとう。とても楽しかったし、とても気持ちよかった――でもね双葉。私まだ、完全に疲れが取れたわけじゃないみたいなの。また明日、ここへ来ても良い?」
「いつでもどうぞ。僕はずっと、小南さんのこと待ってますから。それにさっきも言いましたけど、小南さんなら別にお金をもらわなくても、プライベートで――」
「またそんなこと。だめよ、規約違反になるじゃない。それにどうせならお店で会った方が、あなたの評価も上がるでしょう?」
「僕は別に評価なんて、気にしません」
「ふふ、そうかもしれないけれど、他の女の子を悲しませることにもなるわ。だから、私の方から会いに来る。とりあえずは明日、必ず」
「わかりました。それじゃあ明日、お待ちしてます」
そっと体から離れ、ちゅっと軽く唇同士で触れあって、二人は手を繋いで露天風呂のスペースへと出ていく。
そこで小南は手を離し、最後にもう一度口づけを交わして、別れを惜しみながらも外へ向かう。
「次はこの前したみたいに、あなたの忍者服姿が見たいわ――また明日ね」
「わかりました。準備しておきます――それじゃあ、明日」
素早く床を蹴り、小南は瞬く間に山の中へと消えていった。それとほぼ同時の瞬間、部屋の扉がノックされ、双葉はそちらを振り返った。
店の管理を務める従業員が、客を帰す催促に来たのだろう。忍を相手にすることが多い双葉は、裏から帰すことも多いため表に出てこず、わざわざ従業員が確認に来なければならない。これもわりと日常的なことだ。
扉まで近寄り、返事をしながら開ける。その時の彼の格好はいまだ全裸であるが、羞恥心はさほどない。
なにせ相手は子供の頃から、双葉を男娼とするべく様々な教育を施した年上の女。体の見られていない部分はないほどの関係であるし、体を重ねたことだって数え切れない。
従って今さら裸を隠す気もなく、相手も恥ずかしがる様子はなく、二人は慣れ親しんだ雰囲気で顔を合わせた。
「双葉、お客様がお帰りの時間だけど……」
「裏からお帰りになられました。今はもう僕だけです」
「あ、そう。じゃあこのまま掃除してもいい? あんたをご指名の人が来てんのよ、昨日はお預けされてたからね」
「わかりました。どうぞ」
専用の道具が入ったカートを押す女が中へ入り、部屋の清掃を始める。
様々な体液がしみ込んだシーツを取りかえ、使用されたコップを取りかえ、部屋の隅々までを見て前の客の名残を消していく。
その間、双葉はひとまず肌を隠すため浴衣を着て、兵糧丸と呼ばれる丸薬を口にし、水を呑んで、体力の回復を図るためにイスに座って女を見守る。
普通であれば、女と違って性行為に回数制限がある男娼は一日に一人を相手にすれば良い方だ。だが、双葉の元を訪れる女は強靭な肉体と常人以上の体力を持つ忍、一日に一人でも他の男娼より体力の消耗が激しい。なにせ彼女たちの体力に付き合っていれば、どれほど技術に長けていても回数に限りがないのだから。
時間の制限で事なきは得るものの、それでも双葉の負担は大きい。
しかし、そこは才能と技術を認められて客前に出た彼。すっかり今の生活に慣れた今となっては、いくつかの兵糧丸と、客と肌を合わせながらのしっかりとした睡眠、それから温泉のおかげもあって時間にもよるが日に数人を相手にしても大丈夫なようだ。
今は落ち着いて体力を温存し、掃除が終わって次の仕事が始まるのを待つ。
そして掃除が終わる頃。一仕事を終えた女が近寄ってきた時、双葉はおもむろに立ちあがり、彼女へ抱きついて大きな胸の谷間へと顔を埋めていた。
「どうした? 双葉が甘えてくるなんて珍しいな。お客様と何かあったのか?」
「んーん、別にそういうことじゃない。ただ、なんとなく」
「ふぅん……なぁ、今日は次のお客様が終わったら休みでいいよ。ひさしぶりにあたしん家に来な。仕事でどれだけ鍛えられたか、確かめてやるよ」
「そんなこと言って、したいだけなんでしょ?」
「うるせぇ。とにかく来いよ。生意気な口利けないようにみっちり搾り取ってやるからな」
「えー、それじゃ休みにならないじゃないですか」
くすくすと笑いながら女から離れれば、彼女はにやりと口角を上げて部屋から出ていく。
再び双葉が、今度はベッドに腰掛けて待っていると、しばらくすればまたしても部屋の扉がノックされた。
次は待たせていた客だ。しかもタイミングが悪く、昨夜小南が一晩を買った後に来た女性だろう。
待たせぬように双葉はすぐに対応し、扉を開ける。するとそこへ立っていたのはこちらもまた常連、黒い衣に短めの黒髪。
木の葉隠れの里の頂点、現在の火影を補佐する忍、シズネという女性であった。
どこか照れた様子で頭を掻きつつ、おずおずと部屋の中へ入ってきた彼女を、双葉は飛びつくように抱き締めることで歓迎する。
「わっ」
「いらっしゃい、シズネさん。少し間が空きましたかね」
「は、はひぃ、そうですね……ま、また来ちゃいました」
「嬉しいです。だってシズネさん、いまだに恥ずかしがってすぐには来てくれないから……僕はいつ来てもらっても歓迎するのに」
するすると両手を怪しく動かし、双葉の両手が彼女の衣服の中へと侵入していく。同時に口元が首筋に寄せられ、動物がじゃれつくようにゆっくりと擦りつく。
裾の間から胸へ到達、股間にも手は伸ばされ、素早く下着の中に指が入り込んで直に体が触れられていた。
シズネはあっという間に顔を赤くし、硬直してしまって動けない。
双葉はそんな彼女を引っ張るようにしながら指を動かして、刺激を与えつつ、部屋の奥へと案内した。
「今日も飲みますか? お酒、色々用意してありますよ」
「そ、そそ、そうですね。それじゃあ、ちょっと、頂きましょうかっ」
「それじゃあ、お風呂の中とベッドの中、どっちにします? ちなみにこの間は、ベッドの中でイチャイチャしながらでしたけど」
「そ、それじゃあ、お、お風呂にしましょう。前はちょっとしか、入れません、でしたし」
「そうですね。じゃあ――」
「あっ! あっ、んっ、はっ――!」
ぐにぐにと乳房を強く揉み、ショーツの下にもぐりこんだ指が秘所をやさしく撫でる。
それだけでシズネは腰を抜かしそうになるほど快感に囚われ、顔を真っ赤にして抵抗を失くす。
彼女の扱い方は心得ているようで、双葉は巧みに、手早くシズネの服を脱がせようと両手を動かした。
耳元でいやらしく囁きながら、彼女を性的に刺激し続けることも忘れず。
「まずは服を脱ぎましょう。シズネさんの裸、早く見たくてしょうがないんです」
「は、はひぃぃ……や、やさしく、お願いしますぅ……」
うっとりと呟くシズネは頬がにやけていくのを止められず、ふわりと微笑む双葉に唇を塞がれると、ひどくだらしない表情で嬉しそうに目を閉じた。
◆
たっぷりの湯の中に身を沈めつつ、酒を飲むのは非常に気分が良かった。
シズネにとってこの時間はとても心休まるものである。普段は火影の右腕として、中々に緊張感のある業務を繰り返しているだけに、今日のような非番はなんとも嬉しいものだ。
さらにそこへ加えて、この温泉宿へ来れば酒も飲める、温泉にも入れる、さらには裸の男を侍らせ、好き勝手に出来ると言うのだから、日頃の鬱憤を晴らすにはこれ以上ない場所である。
近頃、シズネはすっかりこの“華”という宿に心を奪われていた。否、正確には宿自体にではなく、この宿で働く男娼、双葉という青年に。
なにせ彼、服を着せたり脱がせたりはもちろん、風呂で背中を流してくれる、お酌をしてくれる、自身を抱いてくれるに加え、大抵の要望は叶えてくれるのだ。
例えば、普段慌てやすい性質を持つシズネが酒に酔って豹変し、多少乱暴に男をいじめるという悪い癖にも文句一つ言わずに付き合ってくれる。おかげで彼女の夜はひどく充実し、できれば彼の身を買い取って自身の夫にしたいくらいだと思っている。
今日もまた、ストレスのせいかお楽しみがあるせいか、早々に酒に酔ったシズネは目が据わり、顔つきも明らかに変わった状態で、温泉に浸かっていた。
ただし、いっしょに入っていたはずの双葉はなぜか湯船から上がっており、両腕を頭の後ろで拘束された状態で転がされていた。
目元にはシズネの帯びが巻かれ、口には部屋に置いてあった器具を使って猿ぐつわをはめ、著しく自由を奪われた状態だ。
シズネの姿が見えず、また上手く身動きも取れない彼は湯船の中の彼女がじっと自分を見ながら酒を呑んでいるともわからず、くぐもった声を出しながら体を捩っていた。
そこへ、豹変したシズネの声がかかる。
「んふふふふ、いい格好ですねぇ、双葉さん。とってもいやらしくて、マゾで、変態で……恥ずかしくないんですかぁ? 股をそんなに大っぴらに広げて、萎えたちんちん丸見えですよ。なんてだらしの無い……綱手様が見たら幻滅するでしょうねぇ」
彼が抵抗も反論もできないのをいいことに、銚子を傾けながらシズネは良い酒を呑んでいた。
男を自分の奴隷のように扱いながら、自分の意思ばかりを優先して行動する。普段の補佐役での鬱憤を晴らすかのような趣味は、すでに定着して長い。
特に双葉に対するそれは、愛情を持ちながらも苛烈で自分勝手。決して他人には見せないような顔だ。
自由を奪われた彼をいたぶるように、いやらしく声をかけつつ、シズネは酒が入った銚子を片手に彼の股の間へ顔を寄せていった。
「うふふ、前々から考えてたんです。双葉さん、他の女の人のお相手もしてるのに、いつもその雰囲気を感じさせないじゃないですか。ってことは、私以外の人とえっちしてる時も、私とえっちしたことを感じさせないわけでしょう? だから、それがなんだか悔しくって……私がこんなに双葉さんのこと大好きでも、他のお客さんには伝わらないんです」
「んぅ、んふっ……」
「だから、私も双葉さんとえっちしてるんだぞぉって伝えるには、どうすればいいかずっと考えてたんです。それでね、ようやく思いついたんです――だから今日は、それを実践しようと思ってたんですよ」
楽しげに呟いて、シズネはあらかじめ室内の棚から拝借しておいた剃刀を手に取り、双葉の股間を眼下に置く。
萎えた陰茎、そのまわりにたくさん生える縮れた毛。それらを目にして、頬をにやけさせる。
双葉には彼女が何をしようとしているのかわからない。視界が封じられ、彼女もまた自分の目的をはっきりとは言わないからだ。
そのまま説明することなく、まず彼女は湯で濡れた股間をさらに濡らすため、傍に置いてあった徳利から酒を垂らした。湯とは違って冷たいそれは双葉をひどく驚かせ、玉が縮みあがるのが見て取れた。
目を輝かせてそれを笑い、シズネはぺろりと酒に濡れた陰茎に舌を這わせると、いよいよ彼の陰毛へと目を向ける。
それを一本残らずきれいに剃ってしまえば、他の客もシズネの存在を感じずにはいられない。そうした想いが、彼女の独占欲をさらに大きくさせ、いよいよ冷たい刃が彼の股間へと触れる。
途端に恐怖を感じて双葉が体を震わせるものの、シズネの対応は早く、彼を傷つけまいと刃の位置を正しながらも片手で陰茎を掴んでいた。
「動かないでください。もし失敗しちゃったら、双葉さんのここが、ざっくり切れちゃうかもしれませんよ?」
声も出せずに双葉が恐怖し、動きを止めて大人しくなる。毛を剃られることより、命を優先して抵抗をやめたのだ。
気を良くしたシズネは再び手を動かし、少しずつ丁寧に陰毛を剃っていく。
ひどく異様な空間である。真昼間から男女で体を隠すことなく風呂へ入り、女は嬉々として男の陰毛を剃り、男は拘束されてそれを受け入れる。とても他人には見せられない、変わった趣味である。
しかしシズネの興奮は最高潮にまで達しており、いまだ湯船に下半身を浸けたままだが、触られてもいない秘所は独特のぬめりを持っていた。
ただ、一方で双葉もまた反応することを我慢できず、無言で自分の陰毛が剃られていく空間の中、徐々にむくむくと陰茎を大きくしようとしていた。
「あれぇ? 双葉さん、おっきくなってきましたよ? ひょっとしてこんなので興奮してるんですかぁ? ほんと……とんでもない変態ですね」
敢えて冷たくした声色が彼へ届くと、益々固さが増していく。
ついには彼の陰茎は完全な姿に変貌し、何かを期待するようにだらだらと体液を垂らしていた。
ひどく浅ましい姿に、シズネの悦びはさらに膨らみ、加虐心が止まらなくなる。
ようやくすべての毛を剃り終え、湯を溜めた桶の中に双葉の陰毛が集められた後、愛おしげにその毛があった場所を撫でるシズネは確かな笑みを浮かべていた。
これなら、他の客が双葉に会った時、どうあってもシズネの存在を感じられずにはいられない。あったはずのそれがすべて彼女の手によって取り除かれたのだ、誰もがそれを気にして、他の客の顔を想像することだろう。
彼を独占したがるシズネはにんまりと微笑み、剃刀を置いて代わりに酒を口にした。
気分は非常に高揚しており、興奮の度合いも最高潮。
シズネは彼の拘束を解かぬまま、すっきりとした子供のような下腹部を舌で撫で、丹念に吸いついた後に湯からあがる。
股間をそそり立つ肉棒へ寄せ、入口をくちゅりと触れさせると、許可を求める前に一息に腰を降ろした。
蕩け切った膣内が嬉しそうに肉棒へと吸いつき、ひだを蠢かせて刺激を与える。
猿ぐつわを噛まされた双葉が小さなうめき声を発する中、シズネは乱暴に腰を上下させて、自らの欲求を満たすために動きだした。
「はぁっ、あぁっ! あははっ、双葉さん、ガチガチですねぇっ――ほんと、どうしようもない変態なんだから……!」
「むぐぅっ、うぐっ……!」
「あはは、何言ってるのか、んんっ、わかりませんよぉ……あはぁっ! いいっ、それっ! もっと、強く……!」
ぐちゃぐちゃと卑猥な音を発しながら、シズネは一心不乱に腰を振る。それはいっそ狂乱の域に達する姿で、視界を失くした双葉にとっては強すぎる刺激が恐怖の対象にすらなる。
しかし、逃れることはできず、彼はただされるがままに耐えるしかない。
高い声で鳴き、シズネはしばらく快楽の中で遊び続ける。
だが満足するには至らなかったようで、しばらく肉棒の出し入れを繰り返したものの、シズネはやがて自分から彼の体を解放した。
「ハァ、ハァ、あー気持ちいい……でも、まだ足りませんねぇ……」
ぐったりして動かない双葉を他所に、シズネはもう一度酒を飲むと、ようやく彼へ向き直った。
そしてあろうことか彼の髪を掴み、無理やり体を起き上がらせ、自由が利かない双葉に尻を高く掲げるよう指示したのだ。
床に膝をつき、手は頭の後ろで拘束されているため使えず、頬もまた床について、ぐっと尻が持ち上がる。するとシズネは満足そうに笑い、元気なままの彼の肉棒を太ももの間へ挟むようにして、双葉の体を受け止めた。
太ももの間に陰茎、そして上には尻。まるで親が子供の尻を叩く時のような格好だった。
酔いのせいで頭をふらふらと揺らす彼女は、まさしくそれが目的だったようで、とにかく双葉をきつく可愛がりたくて仕方がないようである。
大きな衝撃を持って行為に臨めば、きっと彼は自分のことを忘れない。心のどこかではそんな想いがあったのだろう。
しかし酔いがひどくなってきた今、ただ加虐的に彼を責めまくりたいと考えているだけのようだった。
シズネは右手で双葉の尻を撫でた後、その手を振り上げて高く笑った。
「あははぁ、双葉さんなんだか手ぇ抜いてませんか? だって全然私のおまんこ突いてくれないんですもぉん。ふっふっふ、そんな悪い子にはぁ――」
右手が振り下ろされ、手のひらがぴしゃんと音を立てて尻へ当たる。双葉は悲鳴のような声を出すも、上手く発することができずに言葉を潰す。
獣の声にも近いそれが何度も続いて、ぴしゃんぴしゃんと尻が打たれ、露天風呂から外へ向かってシズネの笑い声が広がっていった。
「むぐぅっ!? うごぉっ、あがぁっ!」
「あははははっ、何言ってるか聞こえませぇん。悪い子にはお仕置きですよー」
「おぉっ、あぁっ……!」
執拗なまでに何度も尻が強く叩かれ、見る見るうちに双葉のそこは赤く染められていく。しかし一方では衝撃と自らが腰を動かすため、太ももに挟まれた肉棒が扱かれるような感覚があり、痛みと快感とが同時に襲い掛かる。
最後にパシンっと一際強く叩いてシズネの手が止まったものの、その時にはすでに彼の尻は真っ赤にはれあがっていた。
痛みと快感、どちらも受け取り、もはやどちらがどこから来たのかもわからず、呼吸を乱した双葉はぐったりと体を弛緩させた。
それからようやく気付いたのだが、シズネは自身の太ももがべっとりと粘つく温かい液体で汚されていることに気付く。
見てみればそれは、双葉の精液。すでに彼はどこかのタイミングで射精していたということになる。
「もー、双葉さんってば、勝手にイッちゃったんですか? こういうのは一言くらいあってもいいんじゃないですかぁ、もう」
自分はまだ達していないのに、と頬を膨らませるシズネは彼の体をその場に寝かせ、また彼の股間へと目をやった。
射精の影響か、幾分固さを失っている陰茎であったが、彼女が両手で強く扱き、亀頭をぱくりと銜えたことで、どんどん固さを取り戻していく。
楽しむようにしつこく舌を絡ませるシズネは、自分が満足するまでそれをしゃぶり、満足してからは無言で笑みを浮かべて彼の体を跨いだ。
再び秘所の入り口へと先端を当て、今度はゆっくりと腰を降ろす。徐々に肉を掻きわけて奥へ侵入してくるその固い感触はとても熱く、彼女は胸に閊えた息と共に声を出さずにはいられなかった。
「はぁぁぁ……!」
「うぐっ、むぐっ……」
いともあっさりと奥まで達し、大きく息を繰り返す。
シズネがそうして落ち着こうとしている時、すでに双葉は自らの腰を上下に動かし始めていた。
勝手にイッてしまって申し訳ない。ひょっとしたらそんな想いがあったのかもしれない。
酒に呑まれて乱暴に扱われているとはいえ、あくまでも関係は客とプロ。一人で客の意思とは無関係に絶頂を感じてしまうのはやはり気が引ける。
双葉はシズネを気遣うからこそ必死に腰を振り、彼女もまた絶頂へ導こうとした。
おかげで彼女は先程繋がった時以上の快感を得、自身も淫らに腰を振り始める。上下左右、跳ねるように動く尻から風呂の湯とも体液ともつかない水滴が飛び、近くの湯船の水面に波紋を生みだす。
両手では双葉の乳首をぎゅうと抓り、首筋に歯を立てながらの興奮であった。
「あはぁっ、いいっ、すごいぃ……! あっ、あっ、くるっ、くるぅぅ……!」
呼吸を重ねて独特の音を発し、二人は共に凄まじい快楽の中へと没入していった。
そうしてしばらくして、先にシズネが限界へ達して背を逸らせ、思わず双葉の乳首をさらに強く握ったため、彼も再び射精する。
シズネが高い声で嬉しそうに鳴き、双葉はくぐもった声を発した。
「あぁぁぁっ……気持ち、いぃぃ……」
光悦とした表情でそう呟き、ばたりと倒れ込んだシズネは双葉の首筋に顔を埋めていた。
一方でのろのろと動く手で彼の口を塞いでいる猿ぐつわを取り、だらだらとよだれを垂らすその口元へ顔を伸ばす。
唇が重なり、淡い吐息がこぼれ出す。
口の周りを汚した唾液を舌で舐めとりつつ、彼女は力の入らない声で呟いた。
「双葉さん……」
「は、はい……なんですか?」
「次は、どうやって気持ちよくなりましょうか?」
視界が封じられていても、今の彼女がどんな表情を浮かべているか、今日のような出来事が初めてではない双葉にはすぐにわかった。
時間もまだずいぶん残っている。どうやらまだまだシズネのサディスティックな責めは終わらないようである。