※この作品はR-18です。

蛇獣書房   作:ヘビとマングース

80 / 95
求めるモノ(エヴァンゲリオン)

 2

 

 朝日が窓から差し込んでくる。白いレースのカーテンを通り、室内が明るく照らされている。

 真っ白な壁の一室はまるで輝くような色。広い寝室の中央に置かれたベッドの上、アキラはむくりと起き上がった。

 相変わらずその部屋の朝は目に厳しい。強い明かりを突きつけられるようで眩しさから中々目が開けられず、シーツの上で座ってしばし寝ぼけ眼で窓を見る。

 彼は裸だった。手触りが良いシーツに素肌を晒し、下着の一枚も身に着けることなく。さらに隣には同じく裸の女性が寝ている。

 白い肌で細身。少し茶が混じった黒髪のショートカットで、体の肉付きは少なく、やけにほっそりとした背中と太ももだ。リツコやミサトと比べても胸は小さい。

 しかし、きれいな肌である。うつ伏せでこちらへ顔を向けて眠る彼女を見下ろし、アキラは微笑む。

 元々彼女はリツコを尊敬していただけの普通の女性であった。むしろ普通よりも潔癖で、男性と必要以上に親しくなることもない、まさにリツコ一筋の些か盲目的な性質を持っている。

 そこへ目をつけたリツコとの肉体関係に始まり、彼女の家族だったアキラとも関係を持ったのである。

 最初こそ戸惑いも強かったようだが、今ではすっかり恋人気分。自分より年下の彼の落ち着きがない女性関係を知りながら、嫉妬心を持ちながら仕方ないと考えて自由にさせている現状だった。

 今まで男を知らず、アキラとの行為が初めてだったからか。彼女はずいぶんアキラに執着している。自分に対して本気なのかどうかさえ不透明なままで、それでも良いと決して手放そうとしないのがそれをよく物語っているだろう。

 あらゆる女を知った彼もそんな可愛らしい女性、伊吹マヤのことを気に入っていた。

 目下のところ、アキラが最も大事にしている女性の内に彼女が入る。リツコ、レイ、そしてマヤ。様々な女性と寝所を共にしながら絶対に離れようとしない三人だ。

 穏やかな寝顔を見せるマヤの顔を見つめ、その後白い背中から下へ向かって視線が降りていく。

 ぴたりと止まったのが小さな尻だった。全体的に細い体なため、女としての魅力に溢れているとは言えない。腰は括れて良いものだが、胸や太もも、尻なんかは肉付きが少なくて幼い印象すら受ける。中学生のレイともさほど変わらない気がした。大人の魅力に溢れるリツコやミサトとはやはり違う。

 だが代わりに、彼女には他では中々味わえない性質があったりもする。

 強い羞恥心を感じてすぐ顔を赤くし、感じている癖に素直になれないところ。それでいてスイッチが入ると普段見せない顔で乱れたりする。真面目で強情、だからこそベッドの中でしか感じられない非常に愛らしい部分である。

 眠りこけるマヤへ声をかけることもなく、怪しく動いた右手がシミ一つない背を撫でた。

 触れるか触れないか、なんとも微妙な力加減。マヤが起きていればまず嫌がっただろう感触だ。触れられているのにもどかしい感覚は焦らすためのようでもあり、寝ている最中もマヤの背はぴくりと反応する。

 敏感な反応にくすりと笑い声が洩れた。

 マヤは非常に感じやすい体をしている。レイもそうなのだが、そのせいで焦らしに焦らして虐めるのが楽しいと感じてしまうのだ。

 するすると肌の上を通り、丘のように膨らんだ尻の形を撫でて、掌を肉へ押し付ける。ぎゅっと握る仕草であった。

 柔らかな肉は小さいとはいえ女性特有の感触。男のそれを撫でたことなどないがやはりこちらの方が良く、これでなくてはと思う。

 そのまま下へ進んで、尻の割れ目へ指が入り込み、侵入するように股の付け根にまで行く。

 まだあまり使われていない、ぴたりと閉じた女陰。ぐにぐにと揉んで昨夜の名残を探せば、今でもわずかに湿り気が残っているように感じられた。

 昨夜も避妊具を使わず、子供を作るために何度も子宮目掛けて精液を注ぎこんだのだ。

 元来アキラは避妊具を着用することを好んでいなかったが、かねてより件の三人を孕ませたいという考えを持っている。レイはまだ歳が若いから若干の気遣いを見せているものの、リツコとマヤ相手にはまるで遠慮がない。膣で射精するならば必ず一番奥、限界まで進んだ上で子種を思い切り吐き出す。孕ませてやろうというその一心で。

 柔らかな感触でぐにぐにと遊びながら、今日は受精してるだろうかと考える。自分とマヤの子、どんな外見になるだろうと、まだ叶ってもないことを想像してみたりもする。

 別段子供が好きというわけではない。けれど自分の子供というのはひどく気になっていた。一体どんな子供が生まれてくるのだろう。考えるだけでも楽しくなってくる。

 彼自身、リツコが親代わりだったとはいえ生みの親の顔を知らない。本当の意味での親というものを知らないのだ。

 もし自分が親になれたのなら。その時はどうするのだろうか。純粋な好奇心に満たされる。

 慣れた手つきで遠慮もなく膣の入り口を撫でていると、反応したのか徐々に奥から湿り気が分泌されてきて、マヤの身じろぎも大きくなる。そろそろ起きようとしているようだった。

 

 「ん……んっ、んんっ」

 「おはよ、マヤさん。起きた?」

 「アキラ、くん……おはよう。あっ」

 

 起きた瞬間は眠たげな目をしていたものの、アキラの手が何をしているか知った途端、パッと目が開いて上体を起こそうとする。

 しかしアキラが左手で尻を押さえるため完全には逃げられない。尚も秘所の全体をやさしく揉まれ、自然にぴくりと反応してしまう。

 

 「なにしてるの。昨日たくさんしたでしょ」

 「そうなんだけどさ、しょうがないって。朝起きて隣にこんな可愛いお尻があったらそりゃ手ぇ出すよ」

 「もう、どうしてそんな……んっ、あっ」

 

 左手で尻の肉を揉みつつ、右手は掌全体を使うように股間を撫でる。

 整えられた薄い陰毛が指に絡み、経験の薄さから変色していない肉のひだが分泌された自らの体液で濡れていく。

 すぐにマヤは両手でシーツをぎゅっと握り、強く目を閉じて快感に打ち震える。今はまだじんわりとしたものだが味わうことを楽しめるようになってしまった後では、股に触れられると抗えない。

 いとも簡単に呼吸が乱れて腰がわずかに浮かぶ。敏感な彼女はスイッチが入るのも早かった。

 楽しげなアキラに股間を弄ばれ、必死に声を抑えようとするマヤはシーツに顔を押しつける。

 

 「やっぱり感じやすい。濡れてきてるよ、マヤさん」

 「んんっ、んくっ、ち、がう……」

 「別に嫌じゃないんでしょ? だったらしようよ。今日という一日を気分良く始めるモーニングセックス。そう聞いたら最高に良いことしてるって思わない?」

 「はっ、んっ……あぁんっ」

 

 膣の入り口へ人さし指を挿入する。第一関節までだけを入れ、すべては入れない。まるで焦らすようにそこでわずかに動かした。

 少しとはいえ体内を掻きまわされる感触。マヤが好きな味だった。彼女は膣内に触れられることをよく好む。

 けれど指先しか入ってこないのでは自分が好きな場所に触れられる訳もなく、もどかしい感覚が常に付き纏う。これにはマヤも尻をわずかに上下させて反応し、早くも目がとろんと蕩けていた。

 

 「あっ、あっ……もう少し、おくっ。焦らさないで、もっと深くまで……」

 「じゃあ言ってよ、セックスしたいって。中々マヤさんの方から誘ってくれないからさ。上手に俺を誘えたらすぐにでもチンポ突っ込んであげる」

 「んんっ、はぁぁ。し、したいです、セックス。アキラくんとセックスしたいから、だから……!」

 「うーん、どうしようかなぁ」

 

 戸惑いもなく指が抜かれる。そのせいでマヤが寂しげな声を発した。

 間を置かず、今度は彼の口が股へと向かう。

 何かを求めるように少しだけ腰が浮かされているため、脚の間に体を運べばずいぶん景色は良く、体勢にも苦労はなかった。

 彼を待っている秘所へ、舌を伸ばして応える。大陰唇から徐々に内側へ向かうよう、時間をかけてたっぷりと唾液を塗りたくる。まるで自分の物だとマーキングをしている風にも見えた。

 

 「はぁ、んっ、あっ」

 「もうちょっとボキャブラリーあるでしょ。本気にならないとやめちゃうよ」

 

 じゅるり。卑猥な水音で大事な場所を舐められる。

 ツンと立ったクリトリスが舌で転がされ、ますますマヤから余裕が薄れていく。

 声を出したいのに言葉にならない。口から出て行くのは艶っぽい嬌声だけで、肝心の言葉はどれほど努力しようとしても形になる前に消えてしまった。

 そのせいでマヤにとって辛い時間が続く。

 焦らされたままの状態で数分間、たっぷりと舌で股間を舐めつくされた。

 大陰唇から小陰唇、ひだを唇で挟んだり、舌の腹をぐっと押しつけ、膣へ浅く舌先を挿入したり、クリトリスに強く吸いついたり。自由気ままで好き勝手な動きだった。

 女の味を根こそぎ頂こうという丹念な舌使い。やさしくも力の込められたそれはまさしく彼女好みのもの。嫌という感情はなくますます気分が高まっていく。

 気付けばしっとりと汗を掻いていた。シーツを握って小刻みに震える彼女はまるで小動物のようでもあった。

 アキラの笑みはどんどん深まり、上機嫌な態度でじゅるじゅるとさらに水音を大きくする。

 

 「んんんっ、んああっ。も、もうだめっ。アキラ、くん、そんなにっ……」

 「んちゅ、はぁ。おいしいよ、マヤさんのエロマンコ」

 「はぁん、はやく、早くちょうだいっ。アキラくんのチンポ、私のエロマンコに思い切り突っ込んでっ」

 「おっ、きたきた。やっぱりマヤさんはこうじゃないと。俺のチンポですぐ気分良くなっちゃうエロ女だもんね」

 「うん、うんっ。アキラくんのチンポがないとだめなの。もう、おかしくなっちゃいそうなのっ」

 「じゃあ入れる前に教えてよ。俺のチンポのどういうとこが好き? ちゃんとわかりやすく教えてくれたら入れてあげるからさ」

 「あっ、あぁっ――」

 

 口を離したアキラは代わりに今度はそこへ勃起したペニスを擦りつける。

 尻の谷間に挟んでゆっくりと腰を前後させ、谷間に埋まってずりずりと動きが伝わった。

 マヤの肩の震えは大きくなり、もはや我慢できない状態である。

 

 「か、固くて、太くて、良いところ突いてくるんです。だから、そのぶっといので、子宮の入り口何度もごつごつってして欲しいんです」

 

 耳まで顔を真っ赤にして確かにそう言った。平常心を失くしているのに恥ずかしがるのは彼女の良いところだとアキラは考える。

 もう十分に焦らし終えた。やっと準備が整ったと、大きくなった亀頭を膣へ宛がう。

 

 「あっ――」

 「そこまで言ってくれるのは嬉しいな。じゃあ遠慮なく」

 

 寝そべったままの彼女の体内へ、尻を掴んでぐっとペニスを沈めこむ。

 ずるずると肉を掻きわけながらやってくる固い感触に息が止まり、口を開いたマヤはしばし呼吸を忘れていた。

 熱い。全貌が埋まってまずそう思った。

 腹の中で動きを止めたペニスはなんとも熱く、内側から燃やされるよう。それは快感が手伝っての感覚でもあったはずだ。

 体勢からしてのしかかられる格好。ベッドに押し付けられる体勢はことのほか気に入ってしまい、喜びが表れてぶるりと背が震えた。

 アキラの手はしっかりと尻の肉を掴んで、ぐっと左右へ押し開くと尻の穴に風を感じる。それもまた羞恥心を煽ってマヤを悦ばせた。

 

 「やっぱ気持ちいいな。マヤさんのマンコ。思えばこういう体勢って初めてかも」

 「う、うぅぅ」

 「ねぇマヤさん、気持ちいいなら気持ちいいって言ってよ。ほら、今どういう感じ? 俺のチンポちゃんと感じてる?」

 

 ぐっ、ぐっと力を入れて腰を前後させる。

 ペニスが少し抜かれ、また奥へ進み。そうした動きを何度か小刻みに繰り返した。

 それだけでマヤは跳ねるように反応し、伏せていた顔を上げて首を反らせる。髪が乱れて汗によって肌に張り付いた。

 朝の陽ざしに照らされた非常に愛らしい姿。自然とアキラの頬はにやけた。

 

 「あぁぁっ、あはぁっ……!」

 「いやぁ可愛いなぁ。マヤさんってやっぱりスケベだよね、実際。普段は下ネタ嫌いで、セックスする前も嫌がる素振りしてるけど、いざ始まったらすごい乱れるじゃん。ほんとはセックス好きで好きで堪らないでしょ?」

 「あぁ、はぁ、くぅっ」

 「感想言ってよ。どんな風に感じてるかさ」

 「んんっ、んんんんっ……! か、固いのでなか、ごりごりって。んん、カリが、すごくて……」

 「うんうん。カリが好きと。それで?」

 「はぁぁ、おく、おくがすごくて、はぁっ、あっ――」

 「ん? あーあー、また」

 

 マヤの背がぴくぴくと震え、膣内の動きが変わる。ひだがぎゅうと強く締め付けてきて明らかな変化が感じ取れた。

 元々締まりはいいそこだが今のは違う。締めようとしたと言うより、絶頂を感じたが故の反応だ。

 腰の動きを止めたアキラはペニスを奥まで挿入したまま、軽く彼女の背を撫でてやる。絶頂の波に襲われている今、おそらく何を言っても聞こえないのだろう。

 まだ初体験を終えて半年も経っていない。にもかかわらず感じやすい彼女の体は幾度も絶頂を経験し、開発するのに難しくない性質であることがバレている。

 アキラに全身を弄られて、今では絶頂へ到達するのも難しくない状態だった。

 それだけでなく、おそらくは今回も。自分の発言やアキラのかすれた声にやられたマヤは強い羞恥心を覚えると達しやすくなるようで、また自分の痴態でイッたらしい。

 労うように背を撫でてやりながら、そうなるのも初めてではないためアキラは苦笑する。

 

 「また一人でイッちゃって。しかも何? まだ全然激しくしてなかったよ。このスピードでそんなにすぐイケる?」

 「あっ、あっ、あぁぁ……だ、だって。おマンコ、すごくて……頭、バカに、なっちゃって」

 「まぁいいけどね。一回もイケないよりイキまくれる方が楽しいもんな。でもそれならそれで、俺もイカせてもらわないと」

 

 繋がったままでアキラが上体を倒し、マヤの上へ覆いかぶさる。

 汗が見えるうなじへちゅっと唇を落とした後、ベッドで潰れる乳房へそっと手を這わした。すでに勃起した乳首が確認でき、やさしく捻ってやりながら耳元で囁く。

 

 「乳首も良いんだよね、マヤさんは。誰に開発されたの? リツコさんか、それとも自分?」

 「んっ、せ、先輩に。全部、先輩に教えてもらって……あっ、あっ。じ、自慰もしたことなくて」

 「へぇ、オナニーもしたことなかったんだ。それなのに今はこんなにエロくなっちゃって。リツコさんもここまでになるとは思ってなかったんじゃないかな」

 「う、うぅんっ、はぁ――」

 

 艶っぽいため息が洩れる。

 熱くなった息を吐いた口元へ、アキラの右手が運ばれる。赤々とした舌に指が絡みついて捕えてしまった。

 舌を引っ張られ、間抜けな顔になったマヤはとろんと目を呆けさせたまま。

 アキラに突かれて膣から全身へ広がる快感に腰が砕けている。抵抗するどころか嫌がる素振りを見せることすらできず、与えられるものすべてに酔いしれ蕩けていた。

 

 「さっきまでマンコ弄ってた指だよ。マヤさんの味、わかる?」

 「んんっ、ふぁっ……おいしい」

 「それはよかった。虐められるの好きでしょ? こうやって乳首弄られながら突かれるの、どう?」

 「う、んん、最高っ。はっ、んんっ、きもちい――」

 

 首筋に舌を這わせればびくりと跳ね。面白いように反応が返ってくる。

 そのままの体勢でまたも数分間。淡々とした動きで快感を与え続けた。

 激しく動くでもなく、じっと止まっているわけでもない。緩やかな動きは気持ちよくももどかしさがあり、人さし指と中指の二本をしゃぶるマヤはぽたぽたと唾液を垂らしていることにも気付けないほど我を忘れていた。

 

 「あー気持ちいい。でもちょっと体勢変えよっか。マヤさん、リクエストある?」

 「んん、んふっ、ふぁっ――」

 「聞いてないか。そうだな、正常位もバックも昨日したし、騎乗位もした。立ってするのもいいけど、多分マヤさん立てないだろうしな。さてどうしたものか」

 

 体を起こし、まだペニスで膣の内部をかき混ぜながら考える。

 マンネリとは一番恐れるべきものであり、忌むべきものだ。退屈を感じてしまっては楽しいセックスなどできない。それがアキラの持論である。

 様々な体位を試すのも退屈を感じないため。常に快楽だけで脳を蕩けさせておくためだ。

 しかし昨晩もじっくり数時間かけて繋がった後。残された選択肢は何があるだろうと多少は考えなくてはならない。なにせあらゆる体位で抱いたのだからまず落ちつかなくては。

 そうして少しだけ時間を取り、何かを閃いたアキラはにやりと笑い、一度ペニスを抜いた。栓を失った膣はぽっかりと開き、再び挿入を期待するようにぱくぱくと口を開閉している。

 当然、突然の行動に驚いたマヤも同じ気持ちだった。

 

 「あっ、ど、どうして」

 「まぁまぁ。体位を変えたいだけだから。すぐまた入れてあげるよ」

 

 泣きだす前の子供をあやすように。やさしくそう言ったアキラはうつ伏せのマヤをひっくり返し、仰向けにした。

 裸体が隠されることなく日の光に晒される。薄い胸、括れた腰と小さなへそ。そしてわずかに陰毛が生えた股間。

 すべてを視界に納められ、またも恥ずかしがったマヤは胸の辺りに両手を置いてそっぽを向いた。それでも逃げ出そうとしなくなったあたり、彼女の成長が感じられる。

 ほくそ笑んだアキラはまず彼女の両足首を手に持ち、ぐいと思い切り脚を広げさせた。その際、頭の方へ足先をやり、いわゆるまんぐり返しの体勢を取らせたのだ。

 

 「い、いやっ、恥ずかしい……」

 「大丈夫だって。いつも見てるし見られてるから今さらでしょ」

 「で、でも、それとこれとは……こんな明るいところで。あっ、あぁっ」

 

 再びアキラが股間を舐め始める。ぐっしょりと濡れてピストン運動を繰り返したせいか、二人の体液が泡のようになっている。

 それも気にせず、膣の入り口を念入りに舐めまわす。別段そうせずともいつだって挿入はできたが、恥ずかしがるマヤを見ると舐めたくなったようだ。

 

 「あぁっ、いやっ。だめ、恥ずかしい……!」

 「うんん、んはっ。やっぱ美味いな。ずっと舐めてたくなる。このまま一日中舐めまわしてるってのも面白そうかな」

 「そ、そんなのだめ。仕事があるし、それに」

 「それに、何? もうはめて欲しい? 思いっきりガツガツ犯されたいんでしょ。違う?」

 「うぅぅ……ち、違わない。はめてほしい、今すぐチンポ突っ込んでエロマンコぐちゃぐちゃに掻きまわしてほしいの」

 「いい顔だなぁ。最高のトロ顔だ」

 

 ベッドの上で立ったアキラが、ペニスの位置を整えて再び挿入する。

 少しの抵抗もなく入りこんだ。すでに迎え入れる準備は万端だったため、子宮口へゴツンと当たるのも早かった。

 途端にマヤの口元はだらしなく歪み、同じく目元も悦びに緩む。

 

 「ははっ、これもすごいな。じゃあちょっとだけこのまま――」

 「あんっ、あはぁ、きもちいっ」

 

 がに股になってマヤを見下ろし、腰を上下させて出し入れを繰り返す。それはまだ寄り道程度でしかなかったはずだが、思いのほか気に入った様子で何度もそのまま続けられた。

 ぷしゅっと噴き出すわずかな体液が自らの顔に降りかかり、それがまた卑猥な行為だと認識していて、マヤの気分は高まるばかり。

 一突きごとに艶やかな悲鳴が部屋へ反響し、今では我慢するつもりもなくなっている。

 上から強くのしかかられ、子宮にまで強い圧迫感を与えられる。しかし辛いと思うことは微塵もなく、どちらもただ快感だけを感じていた。

 

 「あっ、あっ、あっ、あっ――!」

 「はっ、はぁ、これも結構くるな。でもそろそろ」

 

 アキラはマヤの体を持ち上げる。正面から抱き合って繋がり、抱え上げたままで腰を振る。

 そうすれば体重によってさらに深く繋がるようで、激しい勢いで体が上下し、膣内が力強く荒らされた。

 

 「うああっ、あぁぁぁっ!?」

 

 ラストスパートをかけるように激しく腰が打ちつけられる。

 ぐちゃぐちゃと体内が掻きまわされ、大量のしぶきがシーツを濡らす。

 ベッドがぎしぎしと音を立てていた。しかしそれ以上に乱れたマヤの声が室内を満たし、今や悲鳴とも嬌声ともわからない様子だ。

 隣人に聞こえることすら厭わず、本能のままに叫ぶ。その様は人間というより動物に近い。

 ただ本人にとっては至福の一時だった。自分のすべてを掻きまわされ、快楽によって全身が埋め尽くされる。彼との行為でしか得られない不思議な感覚。

 アキラに抱かれることはどうしようもない幸福感に包まれる。彼に執着するのもそのためだっただろう。

 

 「んああっ、あぁぁっ! わ、たし、またっ……イク!」

 「ぐっ、俺ももうだめだ」

 

 ぶつかる肉が鈍い音を立てる。最後の一瞬を迎えるまでアキラの腰使いは手抜きを見せなかった。

 激しくマヤの体が上下され、その時が迎えた時は、アキラのペニスは子宮目掛けて一番奥まで突き刺さった。

 ぐいと揺らされ、絶頂を覚えたマヤは目を見開く。

 子宮口へどばどばとかけられる大量の精液。昨晩も数回射精したというのに、大した量である。内部に納まりきらず、溢れた分がペニスを伝って睾丸まで降り、そこからシーツへ少量ずつ垂れていく。

 

 「ふぅー……あぁ最高。やっぱ中出しって気持ちいいね、マヤさん」

 「うあっ……あっ……あっ」

 「って、聞こえてないか。もう飛んじゃってるもんな。子宮にぶっかけられるといつもこれだ」

 

 びゅーびゅーと精液を流し込み終え、マヤの表情に苦笑したアキラはそっと彼女の体をベッドに横たえる。

 仰向けに寝かされ、しばらく彼女は焦点の合わない目でどこかを見たまま動かなくなった。腕で体を隠すことさえできず、膣からは溢れた精液をこぼし、疲れ切った様子は危険な雰囲気すら称える。

 ぐったりして動かないマヤからペニスを抜き、徐々に力を失っていくそれは口元へ運ばれる。

 休む前にもう一仕事。いつも絶やさないそれはアキラがマヤへ教え込んだことだ。どれほど疲れていようと、常に例外はない。

 反応が緩慢で体を起こすことすらできない彼女の唇へ、ぐいと押しつける。するとようやく理解したか、わずかに口が開けられ、そこからずるりと亀頭が押し込まれる。

 

 「んっ、ふっ……」

 「そうそう。寝るのはちゃんとお掃除フェラが終わってからね。真面目なマヤさんも可愛いよ」

 

 可愛い。そう言われてマヤは呆けた目のまま笑みを浮かべた。

 ペニスに舌を這わせながら、子供っぽい、非常に嬉しそうな顔である。

 竿の全体へ触れ、自分の体液をすべて舐め取ってから口を離す。それからアキラはマヤの隣へ寝転び、彼女へ腕枕を貸しながら、右手では胸を揉みつつとろんとした表情へ話しかけた。

 

 「あーあ、今日も学校か。朝セックスすると必ずめんどくさくなっちゃうんだよな。別に嫌いってわけでもないんだけど」

 「んっ……だめですよ。学生はちゃんと学校へ行かないと。ネルフに居ることも関係なく、いえ、だからこそ、普通の日常をきちんと体感しておきましょう」

 「まぁそれもそうなんだろうけどさ。使徒とか言う連中が来るわけでしょ? いつ死ぬかもわからないんだったら、それまで一つでも多く楽しいことしておかなきゃって思わない?」

 「もう、どうしていつもそんな悲観的なこと言うんですか。大丈夫です。私たちは勝つために戦ってるんでしょう? 戦いの後のことまで考えなきゃいけませんよ」

 「戦いに勝つ、ねぇ。そう言われても何をどうしたら勝ったことになるんだか」

 

 彼女の肌へ触れながら、わずかに微笑む。

 アキラのその顔はまるで何かを見透かしているようで、マヤは少しだけ不安を持った。しかし彼の手が胸を、腹を、尻を撫でていればいつもの彼なのだと理解できて、またほっと一息をつける。

 

 「あの話、本当なの?」

 「ええ……先輩は、本気だって」

 「ふぅん。まぁそっちの方がいいけどね。これから面白くなりそうだ」

 「面白く、って。遊びじゃないのよアキラくん。気を付けておかないと、本当に死ぬことだって――」

 「大丈夫だよ。なんとかなるさ」

 

 顔がそっと近付いて、触れるだけのキスが行われる。どちらも自然と目を閉じ、一度だけちゅっと小さなリップ音が鳴った。

 

 「それよりもう一回しよ。マヤさんのおっぱい触ってたらしたくなった」

 「だ、だめよ。私だって仕事があるし、それにアキラくんの学校だって」

 「マヤさんの方はもうちょっと時間あるじゃん。俺はほら、メシ食わずに着替えて走れば間に合うもんだからさ」

 「それもだめ。ちゃんと朝ご飯は――あっ」

 

 またも小さな乳房を揉みつつ、掌で乳首を潰すように押しつけ。勃起しかかっているペニスを太ももへ押し付けて腰が揺らされた。

 それだけで火が点いてしまう程度にはマヤも性行為に慣れた様子であり、気付けば目の色が変わっている。

 頬も赤くなり、もはや逃げられないのは自らも自覚していた。

 

 「今日はまだ顔にぶっかけしてないから。昨日はやったけどね」

 「い、今からかけるの? でももう朝だし、仕事にも行かなきゃいけないのに……」

 「シャワー浴びれば大丈夫だよ。なんなら今から浴びる? いっしょに」

 「えっ、ええ? そんな、だって」

 

 唐突に唇が塞がれ、何も言えなくなる。マヤは目を白黒させた。

 

 「じゃ、行こう。心配しなくてもシャワー浴びながらだったらちゃんと洗い流せるから」

 「ちょ、ちょっと。もう、強引なんだから……」

 

 強気なアキラに手を引かれ、二人はシャワールームへと向かう。

 時間の心配がないわけではないが、それ以上に一度火が点いてしまった性欲を満たす方がよっぽど優先されるらしい。

 口では色々言いながらも、手を引かれるマヤも決して嫌そうな顔ではなかった。

 

 

 *

 

 

 アキラが学校へ到着した時、ちょうど校門を抜けるところでシンジと出会うことができた。

 碇シンジは赤城アキラの親友である。

 内気で他人と慣れ合うことが苦手だった彼を導いてやり、多くの友人を作って引っ越したばかりの新たな町に慣れるのに貢献した。そのため最近のシンジは笑顔も増えている。

 他にも彼が与えたものはある。それが他人に言えないようなことなのだが、自分たちだけの秘密ができたとあって親密さはさらに深まったと言える。

 いわゆるそれは女性問題。二人共中学生ながら女性との性行為を覚え、その経験を赤裸々に語り合うようになっていたのだ。

 つい先日、シンジの背を押すためにアドバイスを渡したばかり。色々と聞きたいこともあって、アキラは一人で歩くシンジへ近寄り、何気なく肩を組む。

 

 「ようシンジ。おはよ」

 「おはよう。アキラ、今日はちょっと早いんだね」

 「まぁな。マヤさんに怒られちゃって。結構乗り気だったんだけど、時間になったら急に我に返っちゃってさ。学校だけはちゃんと行きなさいだと」

 「マヤさんか……最近はあんまり驚かなくなっちゃったな。アキラのそういう話聞いても」

 「おまえもあんまり変わらないからだろ。で、どうだったんだよ、あの件は」

 「う、やっぱり聞く?」

 

 肩を引きよせ耳元で。何やら上機嫌そうなアキラがシンジへ囁きかける。

 その途端にシンジの顔は火が点くように真っ赤になった。聞かれたくないことを聞かれたとばかりに表情も気まずげで、何かを恥ずかしがる様子。

 普段から内気な少年だが、今日は特に語る声に力がない。それだけにアキラが持つ期待は大きくなっていった。

 

 「まぁ、その……一応、上手くいったよ」

 「ほんとか? はははっ、マジでできたのか。いや俺はてっきり試すこともできないんじゃねぇかと」

 「ほんとに、死ぬかと思ったよ。失敗したら絶交されてただろうし、もうとにかく緊張した」

 「でも成功したんだろ? やったじゃねぇか。俺の予想じゃ初めてだったんだが、どうだった?」

 「う、うん。初めてだって。その、膜もあったし」

 「そうかそうか。じゃあ処女相手のセックスも経験済みってわけだな、シンジくんは。これは朗報だ。世界でただ一人、おまえしか知らない女だぞ、式波・アスカ・ラングレーは」

 「うぅ、人の気も知らないで……ほんとに緊張したんだから」

 

 歩きながら小さな声で会話する。その姿は周りから見て少し怪しげだったが、彼ら二人の仲が良いのは周知の事実だった。他の生徒たちもさほど気にしたりはしない。

 肩を組んだまま校舎へ向かい、靴箱へ到達する頃にはシンジの顔の赤みもなんとか引いていた。しかし楽しげなアキラの追及は終わらず、他の生徒も居るというのに廊下を歩きながらも卑猥な話題が続く。

 

 「それはいいとして、なんで一人で登校してんだよ。同じ家に住んでるってのにアスカはどこ行ったんだ?」

 「アスカは……外では今まで通りにしようって。その、家の中でも、今朝とかは普通だったよ。今まで通りに話して、登校とかは別々にしようって」

 「バカ。その時点でいつも通りじゃないだろ。おまえらいつもは二人で来てるじゃねぇか」

 「う、そうだけど」

 「別々に来たら明らかに何かあったと思われるぞ。今から教室行ったら多分、質問攻めに会うかもな」

 「うわぁ、いやだなぁ……トウジとかケンスケとか、しつこそうだなぁ」

 「当たり前だろ。あの二人なんか特に離してくれないって。ま、俺には関係ないからいいけど」

 「えっ。助けてくれないの?」

 「俺は俺で忙しいの。身から出た錆、自分で勝手にやってくれ」

 

 靴を履き替え、教室に辿り着くまで時間はさほどかからなかった。

 アキラはシンジの肩をぽんと叩いてやり、それをきっかけとするようにシンジは重くため息をつく。

 自分が所属する教室へ辿り着くと、開かれたままの扉からちらりと中を確認する。ホームルームが始まるまで少し時間があるが、半分以上の生徒が集まっていた。

 世界がどんな状況であっても、学生の本分である学業を全うしようとする人間が多いらしい。そういった人間とは少しばかり考え方が違うアキラは苦笑し、何を気にするでもなく平然と教室の扉をくぐった。

 しかしシンジは扉の陰で脚を止めたままだった。教室の中にはすでに彼の友人たちが居る。しかも彼の席を囲んで到着を待っているようだ。

 ジャージ姿の少年と、眼鏡をかけた平凡な少年。どちらもシンジの友人で、日頃から仲良く話している相手だ。

 それだけでなく、教室内にはすでに、自身の女友達と楽しげに話しているクォーターの少女もいた。式波・アスカ・ラングレー。前々からシンジとの仲を邪知されていた美少女である。

 きっと彼女と別々に登校してきた理由を、やけに機嫌が良さそうな理由を問いただされるのだろう。考えるだけでも頭が痛くなりそうだった。

 いつもならそんなことは思わないのに、教室に入りたくない、と考える。だが先にアキラが教室へ入ってしまったことを皮切りに、二人の少年は目ざとく扉の陰に隠れるシンジの姿を見つけていた。

 視線がバッチリ合う。途端に二人の少年はにたりとしたいやらしい笑みを浮かべ、気まずそうに笑うシンジは背中に嫌な汗を掻いていた。

 

 「おはようレイ。調子はどうだ?」

 「おはよう。いつもと変わらないわ」

 

 窓際の一番後ろの席、そこに綾波レイが座っている。そこが彼女に与えられた席だからだ。

 その一つ前にアキラが座り、窓に背を向け、廊下を見ながら右手側に居るレイへと声をかける。

 何やら本を読んでいる彼女は廊下へ走って行った二人の少年にも、大きな声で騒ぎ始める彼らにも注意を向けず、至って冷静な表情。普段の物静かさを微塵も崩してはいない。

 すでにシンジは捕まって、二人からしつこい尋問を受けているのだろう。そのことに苦笑しながらもレイへ目を向ける。

 窓から差し込む日の光に照らされ、今日も彼女は美しかった。人形のように精巧に整った顔立ち、シミ一つない白い肌。水色のショートカットの髪に赤い瞳。周囲の視線や注目を浴びながらも自分を崩さない強かさも好ましい。

 だらしない姿勢で座ったまま、ふと彼女に見惚れたアキラはすぐに上機嫌になる。何度見ても美しい。眺めているだけでも気分がいい人間だ。

 

 「シンジの奴が、アスカと上手くいったらしい。俺が背を押してやったんだけどな。思ったよりあいつは勇気のある奴だったよ。こんなに上手くいくとは思ってなかった」

 「そう」

 「そういえば聞いたことなかったけど、レイはあの二人と仲良いのか? あんまり話してる姿は見たことないな」

 「どうして?」

 「ん? 同じエヴァのパイロットだろ。日常会話くらいはあるかと思っただけだが」

 

 本から顔を上げなかったレイが、視線を上げてアキラと見つめ合う。

 教室の片隅。こちらも普段から仲を邪知されている二人組である。そうして見つめ合っていれば自然と注意も集まり、やり取りに興味を持つ者も多かった。

 しかし近くに行って会話を盗み聞きしようとする勇気のある者は思わず、気をつけているわけでもないが声を小さくしていた二人の会話を聞き取れる者もいなかった。

 

 「気になるの? あの子が」

 「アスカのことか? まぁそうだな。ちょっと想うところはあるんだろう」

 「抱きたいの?」

 「は?」

 「あの子を、抱きたいの?」

 

 じっと見つめられ、平坦な声で尋ねられる。そこからは彼女の感情は伺い知れなかった。

 問われた言葉を受け止め、ふむと頷いて考えてみる。自然と視線は離れた位置に居るアスカへと向く。

 彼女は今、廊下から教室へ入ってきたシンジたち三人を眺め、馬鹿にするように笑っている。一方でどこかやさしさを感じる表情でもあり、心から毛嫌いしているわけではないのだろうと推測できる。

 抱きたいか、と問われれば当然答えは一つだった。

 

 「抱きたくない、って言えばそりゃ嘘になるな。もちろん前々から興味津津だよ、アスカに対しては」

 「そう」

 「ただ今聞きたいのはそういうことじゃない。単純に、一生徒として、ネルフの関係者として、おまえらの関係性がどうなのかと思ってさ」

 

 視線を戻してレイを見れば、納得したのか彼女は視線を下げて再び本を読み始める。興味を失った、とも取れる行動だ。

 気にせずアキラは少し彼女の方へ体を寄せ、机へ肘を突きながら尋ねる。レイはそれでも何の反応も見せない。

 

 「おまえら仲いいのか? それとも悪いのか、どっちでもないのか」

 「多分、どっちでもないと思う。話すことはあるけど、あまり話さない。喧嘩はしないけどあまり距離は近くない」

 「ふむ。で、レイ個人はどっちかを嫌ってたりする?」

 「いいえ。嫌いじゃない。でもすごく好きというわけでもない。多分……友達」

 「ははっ、友達か。おまえがそんなこと言うなんてずいぶん変わったもんだ。昔は友達なんて必要としてなかったもんな」

 「……そうね」

 

 再びレイの視線が上がる。今度は少し感情が読みとれた。

 

 「変かしら。こんな私は」

 「いいや、良い変化だと思うぞ。俺はあいつらのことを友達だと思ってる、今のおまえの方が好きだな」

 「……そう」

 

 ほんのわずかに不安を見せた目は、安堵を見せて少しだけ揺らぐ。

 笑みとまではいかないものの、レイの表情が柔らかくなったように感じた。おそらく他の生徒では気付けないだろう。長い付き合いになるアキラにだけわかる小さな変化である。

 今度は目を合わせたまま会話する。彼の言葉で機嫌が良くなったのだろうか、人前ではあまり見られないレイの姿だった。そのため普段から二人が会話している姿を見ている生徒たちも驚いてそちらを凝視してしまう。だがやはり本人たちは彼らをまるで気にしていなかった。

 

 「エヴァに乗る感覚って、どんな感じなんだ?」

 「どうしてそんなことを聞くの。乗ってみたい?」

 「いやいや興味本位で。あれを見続けて長いけど、そういう話は聞いたことなかったなと思って」

 「そう……私は、少しだけ落ち着く。嫌な感じがする時もあるけど、乗りたくないと思ったことはない。碇くんと式波さんも、落ち着くって言ってた」

 「へぇ。あのLCL液とか俺は怖いと思ってたけど、そういうのも気にならないんだ」

 「平気よ。慣れれば何も問題ない。初めは少し戸惑うかもしれないけれど」

 「うへぇ。やっぱり俺はあんまり飲みたくないな。見ててイメージも良くないし」

 

 ひょうきんな態度でアキラが表情を歪める。それがレイには不思議だった。

 なぜわざわざ学校でそんな話をするのか。しかも朝の時間、他の生徒がたくさんいる教室の中。他にも二人きりになれる時間や場所だってたくさんあるだろうに、なぜ今なのか。

 いつもとは何かが違う気がする。言い知れない何かが感じ取れていた。

 レイはじっと彼の顔を見つめ、まるで詰問するように、けれど見た目には普段と何ら変わることなく尋ねてみる。

 

 「ねぇ。どうして? どうして今ここで聞くの? ネルフの話は、教室の中でしたことなかった」

 「そうだったか? まぁどうしてって言われても別に理由はないんだが……それとも二人っきりで話がしたかったか?」

 「そういう意味じゃない。ただいつもとは違う気がして――」

 「なぁレイ。ちょっと教室抜け出そうか」

 

 さらに声を小さくして、彼女だけに囁く。

 レイの表情が割かしわかりやすく驚きを見せた。

 

 「今から二人で屋上行こう。そっちでゆっくり話そうぜ」

 「でも今からホームルームが」

 「なぁに、一度や二度くらいなら大丈夫さ。最近は先生も使徒のせいでやる気ないみたいだし、注意もしてこなくなった」

 「アキラがサボったのは、一度や二度じゃないわ。それにみんなも見てる」

 「気にすんなって。別に隠してるわけでもないし、どうせみんなわかってる。今さらだよ」

 

 そう言ってアキラは立ち上がり、誘うようにレイの顔を見下ろした。

 見上げる彼女は戸惑っている様子もあったが、拒むようでもない。そのまま動かず見つめていればレイもゆっくり席から立った。

 周りからの視線が多くなったようにも感じるが気にせず。先にアキラが歩き出して後ろへレイが続く。

 騒いでいた三人も出て行く二人に気付き、一瞬言い合いを止めてそちらを見るも、二人の脚が止められることはない。

 そそくさと教室を出て屋上目指して歩いて行った。

 時間も時間、すでに廊下には生徒の姿はなく、皆ホームルームのために教室へ入っているのだろう。誰にも止められずに辿り着くことができた。

 扉を開けて開けた場所へ。空は快晴で日差しも強く、夏らしい気候が肌に感じられる。

 二人は並んでフェンスの傍に立ち、静かな町を見ながら再び話し始めた。

 

 「んん、今日も変わらず夏か。暑くなりそうだなぁ」

 「そうね」

 

 柔らかい風が吹き抜けていく。

 何気なくアキラがレイの肩を抱き、景色を眺める。ホームルームをサボってそこで時間を過ごすのは非日常的な快感があった。

 細い体を抱き寄せ、アキラがレイの耳元へ唇を寄せる。

 

 「さっき、俺がアスカを抱きたいって言った時、嫉妬してただろ」

 

 何も言わずにレイが胸元へ寄りそう。肯定と言うことなのだろう。甘える素振りは子供のようだった。

 

 「あんな顔見せられたからしたくなったんだ。なぁ、セックスしよう。裸になって野外セックス、楽しそうだろ」

 「ん……」

 

 ぐいと肩を引き、屋上の中央に立つ。それから二人はいそいそと服を脱ぎ始めた。

 抱き合いながらもキスを交わし、晴天の下で肌を晒す。どちらも一糸纏わぬ裸となり、靴や靴下すら脱ぎ去って向き合う。

 そうすることに微塵の抵抗もなかった。これまで何度も繰り返してきたことだ。

 外で繋がるのも初めてではなく、裸になったことだってある。どちらもすでに慣れていた。

 

 「俺さ、今朝もマヤさんとやってたんだ。昨日の夜だって何回もやって、フェラしてもらったり中出ししたり。マヤさんのマンコって締めつけいいんだよ。しかもスイッチ入ったらアヘ顔で嬉ション垂らすし、普段の真面目さなんか全然無くなってさ」

 「んぅ……」

 「とにかく最高だった。早くまたヤリたいな」

 

 レイの白い体を抱きよせ、左手では乳房を掴み、背中へ回した右手では背筋を撫でた後に尻まで降り、小振りながら柔らかい肉をぎゅっと揉む。

 そうされながらレイはアキラのペニスを右手で掴んでいた。左手で玉をやわやわと揉み、すでに半分ほど勃起しかかっているペニスをやさしく撫でていく。

 素肌に風を感じながら相手の体温を感じる。この状況がなんとも心地よく、興奮を煽り、レイの目の色が変わりつつあった。

 理由はそれだけではないだろう。野外に裸で居ることに加え、先程からアキラが楽しそうに説明する情景。マヤとの情事が彼女を燃えさせる。

 嫉妬が体の内側から熱くさせ、彼への想いを増加させる。

 一度その気になればレイは普段見せない積極性でアキラの唇を奪い、ペニスを撫でる手に力を込める。まるでマヤとの時間を忘れさせるように。

 その態度にアキラの頬が緩み、健気にも口内で動く舌へ自身のそれを絡めながら、尻の谷間から秘所へ指を伸ばす。

 

 「んっ……」

 「ん、もうその気か。すぐ濡れてくるな」

 

 指を這わせれば、何もせずともしっとり濡れてくる膣の入り口。すっかり恥辱に慣れた体。彼の思うがままに準備ができてしまう。

 入口に指先だけを入れてくちゅくちゅと掻きまわすと、簡単にレイの目は快楽に染まり、体の力が抜けてくる。

 アキラの胸板に頭を預け、甘えるように擦りつける。するとアキラの手が頭を撫で始めた。

 

 「授業まで時間ないしな。とりあえずさっさと一発出そうか」

 「あっ――」

 

 ぐちぐちと入口を弄った後、アキラはその場で膝をついて股の間に顔を入れる。

 もう何度も目にした女のそこ。相変わらず形がきれいでぴたりと閉じ、男を知らないかのような風貌をしている。

 一方で幾度となくアキラの男根を迎え入れた経験を持つ。

 舌で割れ目をなぞり、こじ開けるように舐めると腰がかくかく揺れ、嬉しがる素振りがわかりやすい。

 準備を整えるなど訳もないことだった。まだ挿入には早いだろうが、らしくもなく急ぐアキラは早々に怒張したペニスを右手で掴む。

 そのまま地面へ腰を降ろして座り込み、レイの手を引いて自身の上に跨がせる。両手で腰を掴んで挿入を促した。

 

 「ほら、おいでレイ。欲しかったら自分で入れて、自分で動いてみな」

 「ん……」

 

 顔を真っ赤に目を伏せ、肩に手を置いて、おずおずとレイがペニスの上で腰を下ろす。

 すでに固く勃起しているそれは見るも凶悪で、これから自分の中に入るのだと思うと些か平静ではいられなくなる。しかし嫌ではないため行動に戸惑いはなかった。

 そっと腰を下ろし、挿入の直前に手で支えると亀頭から膣の中へ呑みこんでいく。

 潤いが足りずに多少固さは残っていたが、痛みを伴おうともレイは止まらない。アキラのすべてを埋め込むまで体がぴたりと密着し、強く抱き合って一つになった。

 

 「んっ、はっ……」

 

 わずかな息遣い。感じている様子が伝わる。

 離れないように力を込めて抱きつき、ゆっくりと体が上下に動き始める。レイが主導権を握り、膣を使ってペニスを扱くことでアキラの表情も変わろうとしていた。

 相手のペースに任せて刺激を与えられるというのはやはり心地よいと同時、自分が突くのとはまた快感が違う。思わず安堵の息を吐いてしまう程度にはこの状況で落ちついていたようだ。

 彼女の動きを受け止めている最中、髪を撫でてやり、尻を掴みながら目を閉じる。そうしていれば快感は強まるようで頬がにやけた。

 レイもうっすらと笑みが浮かんでいるらしい。普段は表情がわかりにくい彼女も今だけは一目でそれがわかる。それだけ幸福感を味わっているようだ。

 

 「んっ、んっ、んぅ――」

 「レイ、もうちょっと速く。今日は俺あんまり我慢できそうにない」

 「んんっ、わかっ、た……」

 

 動いている内に膣内で体液が分泌され、滑りが良くなった。

 上下する度にレイの動きは滑らかに、スピーディに変化し、アキラの首筋へ顔を埋めながら声が高くなる。

 内壁が固い感触に擦られる感覚。時を忘れて、状況を忘れて没頭してしまえるほどの快感が常に全身を駆けまわる。

 しばし淫らな遊びに耽った。

 レイは集中して腰を上下させ、とにかくペニスから精液を絞りだそうと膣で締めあげ、それを楽しげに見るアキラは彼女の胸や尻を揉んだり、頬や額や唇にキスを送ったり、首筋に吸いついたりと好き勝手に振る舞っている。

 上に乗って主導権を握っているのがレイであっても傍目からはそう見えなかっただろう。

 自分のペースを崩していないのはアキラだけ。顔を赤くして小刻みに腰を浮かすレイは徐々に余裕を失っていくようであった。

 肌を撫でる風が、すぐ真上に見える空の青が、室内で抱き合うのとは違う感覚を与えてくる。興奮が高まると同時にもっと強い快感を、と心が尚も渇くようである。

 ぬちゃりと卑猥な水音が辺りへ響き、誰に聞かれるとも知れない状況を微塵も気にせず、快楽にのみ没頭する。

 そうしてレイが動き続け、首を逸らして目をきつく閉じた時だ。

 突然、尻の形を確かめるように撫でていたアキラの指が、ずぶりとレイの尻の穴へ入り込んだ。あらかじめ膣から洩れでた体液を塗りたくっていたためか、さほどの抵抗もなく受け入れられる。

 途端にレイの目がカッと見開き、歯が食いしばられて悲鳴のような声が洩れた。

 あまりに突然の行動で予想もできず、それなりの衝撃や驚きもあったらしい。スムーズに動いていた腰はぴたりと止まってしまった。

 

 「あっ、かっ、はぁ……!?」

 「どうした、レイ。腰止まったぞ。せっかくイケそうだったのに」

 「う、ぐぅ、うぅぅ……お、しり、お尻に……」

 「ああ、指入ってるな。でもまぁ初めてじゃないし、これも気持ちいいんじゃないか?」

 

 右手の人さし指がぐっと奥まで沈められる。それに反応してレイの体が強張り、背に回した手にも力が入る。

 指先に力が入って爪が肌を傷つけそうになるが、それでもやめず。指をぐるぐると縦横無尽に動かすアキラは更なる責めで楽しもうとしていた。

 

 「レイのマンコ、入れてるだけで気持ちいいよ。でもな、やっぱりさっきみたいに動いてくれてる方が気持ちいいな。動いてくれる?」

 「うぅぅ、うぅ、わ、わかっ――」

 「代わりに俺もレイをイカせてやるから。こことこっちで」

 「んはぁっ!」

 

 人さし指でほぐした尻の穴へもう一本、中指を差し込み。さらに左手の指は大きくなったクリトリスをきゅっと摘む。

 膣内だけでなく弱点となるほど敏感な場所を同時に刺激される。これには流石に平静ではいられず、目を潤ませて一気に辛そうな顔になった。

 だからこそアキラはくすくすと笑っており、非常に楽しげに悪戯っぽく両手の指を動かした。

 それだけでなく今まで何もしなかったのに突然自ら腰を動かし、ズンッと下からレイを突きあげた。膣の奥を突く強い衝撃にほんの一瞬呼吸が止まり、声なき声が吐き出される。

 

 「かはっ、あぁっ――!」

 「もう動けないか? だったら俺が動くぞ。イクのはいいけどマンコ緩めないでくれな」

 

 簡単にそれだけを言ってぐっと力を入れて腰を動かし始める。固いコンクリートの地面に座ったまま、両手も動かしつつ器用な様子である。

 ぐちゃぐちゃと荒々しく、責め立てるように矢継ぎ早にピストンを繰り返し、乱れた彼女を少しも落ちつかせない。

 たった数回。髪を振り乱して必死な呼吸を繰り返す彼女はペニスが数度入口から奥までの移動を繰り返しただけで、背をびくりと震わせた。

 

 「あっ、あっ、あっ……」

 「ん? ははっ、もうイッたのか。アナル弄ると弱いな、レイ。いや、クリもいっしょだからかな」

 

 びくびくと震える彼女の顔を見つめてにこりと笑い。尚もズンとペニスで突きあげる。

 今日はいつも以上に一切の甘えを許さなかった。努めて彼女を責めることをやめず、迫りくる快楽の波から半狂乱になるとも手抜きはない。

 ずぶずぶと何度もペニスの出入りを繰り返し、膣から多量の潮が吹かれ、小便が混じろうとも突き続ける。

 いっそ拷問のようであった。強すぎる快感はレイのすべてを掻き乱し、面白いように平静を削り取って存在自体を乱していく。

 もう何度目かもわからない絶頂を感じ、意識を失うギリギリの状態となった頃、ようやくアキラの腰が止まる。時間にして数分間、それでも普段から考えれば長い時間ではなかった。

 ただ自分がこの場所とシチュエーションに興奮しているだけなのか、それともやはり彼に何かしらの変化があったのか。体内にあるペニスが止まったことでぼんやりした目で考える時間ができる。

 しかしそうしていたのも数秒で、なぜ止まったのかと気になって視線の先を変えてみれば、屋上の扉を越えた向こうに人の姿が見えた。

 開け放たれた扉。その先にある見知った顔。ふっとレイも冷静さを取り戻す。

 驚愕した顔で体を硬直させ、軽蔑するような視線を二人へ向けていたのは彼らのクラスメイトの一人であった。

 

 「やぁいいんちょ。こんなとこまで何か用?」

 「あ、赤城くん、綾波さん……一体、何をしてるの……?」

 「んん? セックスだけど。見てわからない、ってわけでもなさそうか。わからないんだったらそんな反応にもならないもんな」

 

 彼らのクラスの委員長を務める、洞木ヒカリ。頬にはわずかなそばかすがあり、うなじの辺りで髪を二房に括った、制服もきちんと着こなす真面目そうな女生徒だ。

 普段はアスカの良き友人として、アキラやシンジとも多少は関わりがある人物である。言わば日頃から顔を突き合わせる程度には知り合いだった。

 ホームルームの前に出て行ったしまった二人を探したのだろうか。そこまでは真面目な彼女らしいとも言える行動である。

 しかしタイミングは、最悪だった。

 そこまで深い付き合いとは言わないものの知り合いの、他人に言えるはずもない痴態。今、ばっちりと自らの目で見てしまった。

 驚きは相当なもので、震える口元へ手をやるも抑えられず、なんとか二人へ声をかけようとするも声が震えて仕方ない。気付けば脚や肩まで震えている。

 

 「な、なんで。どうしてこんなところで……ここがどこだかわかってるの? ううん、そんなことより、あなたたちまだ中学生でしょう。自分が何をしてるか、わかってるの?」

 「そりゃ、わかってるからしてるんだよ。男のチンポを女のマンコに突っ込んで子種を射精、子供ができる。だろ?」

 「ほ、本気なの。女性の結婚が認められているのは十六歳から。その意味、わかってる? もし本当に赤ちゃんなんてできちゃったとしたら、そしたら――」

 「一応気をつけはいるけどな。まぁそうなったらそうなったでいいと思ってる。今のご時世、いつ死ぬかもわからないんだし。いいんちょも今の内に楽しんどいた方がいいんじゃない」

 

 ぐいとレイの背を引きつつ、アキラはその場で寝そべる。当然繋がったままのレイはその上で寝そべり、彼の目配せを受けて上体を起こす。

 アキラの下腹部の上で脚を開いて座る体勢。まるで見せつけるようであった。

 ヒカリの見ている前で、当然のように騎乗位を始める。この二人はおかしいと判断するまでそう時間はかからなかった。

 

 「んっ、ふっ、はっ、あっ――」

 「や、やめなさいよ綾波さんっ。こんなことするべきじゃないわ。ねぇ、もうやめましょう。今なら先生にも言わないから。教室に帰って、授業を受けましょうよ」

 「いいんちょ、トウジのこと好きなんだっけ。二人はもうキスくらいした? セックスは?」

 「なっ……す、するわけないじゃない! バカなこと言わないで!」

 「ひどいな、バカなこと言ったつもりはないよ。よく考えてみなって。この町には度々、使徒が来てる。建物だっていくつも壊されたし、死傷者だってゼロじゃない。トウジの妹だって怪我をした。そんな世界でさ、明日も自分が生きてられる保証があると思ってるの?」

 「なによ、いきなり……どうしてそんなこと」

 「例えば明日には君が死んでるかもしれない。トウジが死んでるかもしれない。事実、トウジとケンスケはエヴァを一目見るためにシェルターを抜け出して死にかけたことがある。あれがもう二度とないとは限らないわけでしょ」

 

 レイの体が上下に跳ねる中、それを見させられながらもヒカリはアキラの顔を見つめざるを得なかった。

 達観した様子。あまり中学生らしいとは思えない。普段見ている姿とは何かが違っていた。

 

 「どうせいつ死ぬかもわからない人生なら、やれることは今の内からやっといた方がいいと思うよ。いいんちょも死んだ時に後悔するくらいならトウジのこと襲っておけば」

 「あなたといっしょにしないで……!」

 「そう? 口ではどうとでも言えるけど、いいんちょさ、まだ危機感足りないんじゃない?」

 

 またも気をやって辛そうなレイに代わり、今度は腰を掴んでアキラが激しく腰を動かし始める。上に乗せられたレイは艶やかな声でさらに高く鳴いた。

 

 「法律とかルールを守るのってステキなことだと思うけど、死んだら全部終わりだ。どれだけルール守ってようが死ぬ時は死ぬし、神様だって助けてくれない。後悔したらしっぱなし。後から取り戻すことなんてできない。もう今は戦時中の頃より死ぬ確率高いんだよ。あの使徒ってやつらのせいで」

 「だから、何してもいいと思ってるの? そんなの人間じゃない。動物と同じじゃない」

 「動物結構。俺はそう思ってるけどね。自分の命が失われようとしてる時に子孫を残そうとするのは動物の本能だ。子供を作りたいからセックスするって当然のことでしょ」

 「あなたはおかしいわ……狂ってる」

 「狂ってる? 俺が? はははっ」

 

 アキラが楽しげに笑う。

 一旦動きを止めて、今度はレイが仰向けに倒された。かき集めた服を背の下に敷き、一応の気遣いを見せつつ、尚も突く速度は全力で叩きつける様。

 そんな体勢でレイを犯しながら顔はヒカリへ向けられ、笑顔で語られる。その笑みがまた狂気を感じさせた。

 すべてを諦めているのか、それとも納得した上での行動なのかわからない。自暴自棄とも見えるし、そうでないとも感じる。彼の底がまるで見えない。

 気付かぬ内にヒカリは自らの体を抱きしめ、目の前の光景と嬌声に顔を真っ赤にしながら、早くこの場を去りたいという想いに反して逃げられずにいた。

 アキラの目に見つめられ、ヒカリはまるで動けなくなる。まるで危険な雰囲気を持つ彼に魅入られたかのように。

 

 「狂ってるのはこの世界の方だ。セカンドインパクト、ネルフ、使徒、エヴァンゲリオン。どれもこれも信じられないような出来事ばかりなんだから。こんな世界で人間らしく生きようとする方が難しいだろ」

 「赤城くん、あなた――」

 「ぐっ、あーイクぞレイっ」

 

 ヒカリが戦慄している最中、表情を歪めたアキラが最後の力を振り絞って腰を叩きつけ、思い切りペニスを引きぬく。

 右手で竿を扱きながら亀頭の先をレイの顔へ向ける。

 びゅっ、びゅっと勢いよく精液がかけられ、息を乱して目を閉じる彼女の顔を盛大に汚した。

 それはまるでヒカリに見せつけるための行為だったとも言える。まざまざと見せつけられたヒカリは言葉を失くし、嫌だというのになぜか二人の姿から目が離せない。

 

 「はー……気持ちよかった。悪いなレイ、中に出してやれなくて。一応いいんちょに見せといた方がいいかと思って」

 「ん……大丈夫」

 「で、どうだったいいんちょ。射精なんか見るのなんか初めてだったんじゃない? 俺はいっつもこういうことして楽しんでるんだけど」

 「うっ――」

 

 口元を手で押さえ、混乱した目でアキラと視線を交わす。それでもヒカリが逃げないのにはアキラもほくそ笑むばかりだった。

 まだ覚醒し切ったわけではないが、生々しい性に向けられる大きな興味と好奇心、そして興奮。数多の女の顔を見た彼にならわかる。

 おそらくヒカリは今、理性の面で目の前の行為を激しく嫌悪し、本能でそれを体感してみたいと思っているのだろう。見るからに射精を見る前と後では目の色が違う。

 どれほど偽ろうとしても、興味津津という表情は隠し切れていなかった。

 アキラはレイの体を跨ぎ、萎えかかっているペニスを唇へ押し付けると無言で銜えさせ、再び勃起させようとしながら彼女へ言う。

 

 「別に人の恋路を邪魔する趣味なんてないけどさ。そんな顔見せられたらこっちも黙ってられなくなるよ。どうだろいいんちょ、トウジとするための予行練習として、俺とセックスしてみる? 俺なら処女の相手もできるから、痛くないようにセックスの楽しさ教えられると思うよ」

 

 先程とは違い、にこりと微笑みかけて。どこにでもいる生徒の顔で問いかけてみた。

 すると強く歯を食いしばったヒカリは、叫ぶように答える。

 

 「馬鹿にしないでっ」

 

 叫ぶように言い捨てて屋上へ背を向け、去ってしまう。そこにはぽつんと裸のままの二人が残された。

 彼女は真面目な生徒だ。委員長を務めるくらいなのだから、それ相応の振る舞いも普段から見て取れた。

 ひょっとしたら本当に先生に言いつけてしまう可能性すらある。理解していながら二人はしかし、微塵も慌てようとはしていない。

 そうなったところできっと困らないのだろう。もしもの恐怖などまるで意に介さず、アキラはレイにペニスをしゃぶらせ、気軽にわずかだが腰を前後させた。

 唇の中へくぷくぷとペニスが出入りし、吸いつかれたままなので淡い快感が付き纏う。

 すでにレイはいつもの無表情で、幾分休憩できたことにより落ち着きを取り戻せたようだ。彼女の顔を愛おしげに見下ろし、アキラは再び彼女の脚の間へ腰を持っていく。

 

 「いいの? 放っておいて」

 「誰にも言わないさ。口ではああ言えても本能は隠せない。きっとまた俺に声をかけてくる」

 「そう……あなたが言うなら、そうなんでしょうね」

 「嬉しくはなさそうだな。また嫉妬しそうか?」

 

 見る見るうちに立ち上がるペニスで狙いを定め、前へ進める。すると肉の割れ目を掻き分け、膣の中へと挿入されていった。

 ぴくりとレイの表情が反応するも、いまだ大きな変化はなく。そのままアキラの腰が大きく前後へ揺すられ始めた。

 

 「んっ、あなたが望むなら、構わない……」

 「でも本音はそうじゃない。自分だけ見て欲しいって思ってるんじゃないか?」

 「……ええ。きっとそうね」

 「可愛い奴だ。心配するなって、俺は離れたりしない。たとえおまえがどこの誰で、なんであっても」

 「んんっ――」

 

 上体を倒し、肌と肌を重ね合わせて深くキスを交わした。

 自分で精液をかけたばかりだったということは、いざ唇を触れ合わせてから気付いた様子。しかし気にはしない。今まで散々ドロドロになるまで抱き合ったこともあるのだから。

 唯一の邪魔者がいなくなったことで二人の行為はさらに激しさを増し、誰に気遣うこともなく時間を忘れて繋がり合った。

 漠然とした不安が無いわけではない。ただそうしていれば不思議と心強くて、誰にも負けない気持ちになれたのだ。

 

 

 *

 

 

 ネルフの施設、廊下にて。休憩所となる自販機の前のソファへ座り、マヤは重苦しいため息をついていた。

 まだ仕事は始まったばかり。にもかかわらず、体は普段より不思議と重く、疲労感が付き纏う。原因は確実に今朝のアキラとの激しい性交だった。

 些か疲れた顔で、買ったばかりの缶コーヒーを握りしめる。彼との行為は好きだが、仕事に支障をきたすまでするのは問題だ。そうして顔を俯かせているのはどこか悲壮感すら漂っていた。

 

 「浮かない顔ね」

 「あっ、先輩。おはようございます」

 

 何度かため息をついていると人気のない廊下の向こうからリツコが近寄ってくる。

 マヤにとっては憧れの先輩。並びに公私共に親しい間柄だ。

 見つめ合えばパッと笑顔が咲いて、すぐに立ちあがって彼女の到着を待った。

 まるで飼い犬に懐かれているようである。リツコはわずかに苦笑し、彼女の隣へ並んで座る。

 

 「おはよう。ため息の理由はまたあの子?」

 「ええ、そうなんです。アキラくんったら時間がないって言ってるのにまた何度も何度も」

 「仕方ないわね。あの子はあっちの方は異常な強さだから。普通の人ならあそこまでの体力はないわ」

 「そもそも先輩が色々教えたんでしょう。もう……そりゃ、体を許したのは私ですけど。ちょっとはフォローして欲しいです」

 「あら、これでも彼の劣情はたくさん受けているつもりよ。それでも治まらないからあなたにも頼んだのに」

 「う、そうですけど」

 

 バツが悪そうに肩をすくめるマヤは俯いて口を閉ざしてしまう。確かに言われた通りだった。初めから彼が普通ではないと知った上で関係を持ったのではなかったか。

 それにしても人間離れしすぎている気もするが、本人ならともかく育ての親にそう言ってしまうのは気が引ける。かといって彼の愚痴を言えるのもこの人だけで、口数が多くなってしまうのも仕方なかった。

 

 「まったく。あれは仕方ないとしても、彼には足りない部分が多すぎます。時間を守らないだとか、すぐに授業や学校をサボってしまうとか。いくらネルフで仕事をしているとは言っても、将来を考えて態度を改めるべきではないでしょうか」

 「そうね。特にあの子は人生が長いとは考えていない。ひどく刹那的な生き方をしているわ」

 「本当に……もう少し余裕を持ってくれればいいんですけど。たまに心配になります。あの子、死に急いでるんじゃないかって」

 「その可能性がないわけではないわね。でも、あれで意外と人のために動こうとしてるのよ。事実、ほら」

 

 リツコが持っていた資料をマヤへ渡す。それを受け取った彼女はすぐに紙面へ目を通し、わずかに表情を変えた。

 

 「これ……」

 「昨日のアスカのシンクロ率テストの結果。少し前は落ち込んでいたけど、ここのところ回復してる。昨日の時点で以前の記録をほんの少しだけ上回った」

 「これを、彼が?」

 「おそらくね。シンジくんを焚きつけた、って話は聞いたわ」

 「焚きつけたって、まさかあの二人も……ふ、不潔ですっ」

 「ふふふ。そんなこと言うの? 自分が今朝アキラと何してたのか、忘れたわけじゃないでしょうに」

 

 資料を渡して手ぶらになったリツコが、そっとマヤへ体を寄せる。

 腕を伸ばし、何も言わずに彼女をやさしく抱きしめた。するとマヤは如実に反応を示し、体を縮めながらくすぐったそうに微笑む。

 場所が場所なので恥ずかしさはあるが、嬉しい感情が自然と沸き上がってくる。すぐにも二人は恋人のように寄り添った。

 

 「あなたもすっかり女になったわね。もうアキラに何度抱かれたの?」

 「それは……お、覚えてないです」

 「ふふ、そう。そうね、私も覚えてないわ。あの子に何度抱かれたかなんて」

 

 後ろから抱きすくめ、甘えるようにリツコが首筋へキスを落とす。そこには先につけられた赤い痕、キスマークがあった。

 

 「キスマーク、ついてるわよ」

 「えっ? も、もう、あの子はまた……」

 

 パッとマヤの手が首筋へ伸びる。それをやんわりと制止し、再び唇で触れた。

 そうされてわずかにマヤの表情に喜色が浮かぶが、ふとした瞬間に寂しげな感情が露わとなる。

 リツコをそのままに置き、恐る恐るといった様子でマヤが声をかけた。

 

 「あの、先輩。あの話は本当なんですか?」

 「ん? ああ、あれ……本当よ。本人も承諾してくれたわ。あとは到着を待つだけ。これからテストも初めてみるつもり」

 「私、不安です。どうしてかわかりませんけど、何か良くないことが起こるんじゃないかって……彼、大丈夫なんでしょうか」

 「なるようにしかならないわ。絶対なんて、この世にはあり得ない」

 

 不安そうなマヤとは裏腹、リツコは笑みを浮かべる。

 

 「三号機はアキラに任せるわ。あの子ならきっと上手く操れるでしょう。私たちは出来る限りのサポートと、何も起こらないことを祈りましょう」

 「それしかないんでしょうか……」

 

 またも小さくため息が出た。

 やはり言葉にできないほどの大きな信頼を持っているのか、リツコの態度にはそれほど恐れは見えない。しかしマヤはそうすることもできず、信じたいと思いながらも胸の内には不安が残り、苦しむように小さな声が出た。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。