※この作品はR-18です。

蛇獣書房   作:ヘビとマングース

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淫魔の魔力(フェアリーテイル)

 家のポストに郵便物が届いていることに気付いたのは夜だった。

 仕事を終え、くたくたになって帰ってきたミトスという青年は封筒に入れられたそれを手に、自宅の中へと入る。

 光を反射する白銀の髪を揺らす、中性的な容姿の細身の優男だ。疲れた様子を隠しもせず、誰も見ていないということもあって普段のやさしい姿とも少し違う。

 もはや笑顔を浮かべる力もないまま、部屋の扉を開ける仕草も幾分乱暴になっていた。

 

 「なんだろ、これ。何か頼んだかな?」

 

 こじんまりとしたアパートの一室である。

 木目の床には埃の欠片もなく、物があまり置かれていない殺風景な室内。あまり生活感も感じられず、ほとんど寝るための部屋だという扱いが身に沁みた様子だ。

 忙しい日々のためか、部屋でゆっくりする暇もない。そのためその部屋に荷物が届けられることもひどく珍しいことだった。

 少し不審に思いつつ、ひとまずはリビングまで移動し、テーブルの上へ荷物を置く。

 近頃は物騒な事件も多い。組織の名が上がれば、それだけ尊敬を集め、恨みを買うことも多くなる。彼自身、フェアリーテイルというギルドに所属する魔導士である以上、様々な仕事について敵を多く作ってきた。ひょっとしたら、身に覚えのないその荷物は誰かからの報復行為ではないのか、と勘繰ってしまうのも無理はない。

 腹が減ったので食事を取りたいし、風呂に入って汗を流したい気持ちもある。だが今目の前にしたその荷物も気になってしまい、平穏な日常を取り戻すには何よりもまず中身を確認しなければならないらしい。表情には不安が表れていた。

 ミトスはイスに座ってテーブルに肘を突き、荷物を開けることに決めた。さほど大きくもない茶封筒だ、中身の確認もすぐに終わると考えられる。

 封を解き、中を覗く。外を触った感触で想像した通り、やはり中身は一冊の本だった。しかもそれなりのサイズにある古書、表紙を見てみれば古い魔導書のようだ。

 それを見てふと思い出す。先日、ギルドの仕事で赴いた巨大な屋敷、書斎の整理を手伝った。そこにある古書を一つ譲ってくれないかと頼んでいたのだ。

 

 「あぁ、そっか。例の本送ってくれたのか。まさかほんとにくれるなんて」

 

 驚きつつも自然と笑みが溢れ出て、不安など一瞬にして消え去り、気付けば仕事の疲れも忘れていた。それほど嬉しい贈り物だったらしい。

 ミトスの趣味は古い物を集めることである。調度品や役に立たないガラクタ、魔導書もそうだ。他人から見れば古くて使えないような物を好んで集めるのが日常となっている。

 どうやらその魔導書も、ただ年季が入っているというだけで求めていたようだ。

 中身を知るのはこれが初めてで、あまりに古いため内容がわからず、持ち主でさえ簡単に手放してしまうそれを嬉しそうに持ち、上着を脱ぐことすら忘れたミトスはひとまずベッドへ飛び込む。

 ごろりと転がって背をシーツへ預け、天井を向いて本を持つ。いよいよ待ち望んだ瞬間だった。

 乾いてパサパサになったページの感触。歴史を感じさせる匂い。

 空腹だったことも忘れてにんまりと頬を崩す。ミトスはひどく幸せそうだ。

 

 「んふふ、良い匂いだ。多分この感じだと相当古いかな。案外もう滅んじゃって使われてない魔法かも。さて、どんな――うわっ」

 

 本はベルトで閉じられていた。従ってベルトを外し、最初のページを開こうとする。

 その途端、解放された魔導書は独りでにパラパラとページを開き、半分ほど到達すると動きが止まった。勝手にとあるページを見せつけられる。

 驚くミトスの反応も遅く、気付いた時には遅かった。開かれたページにでかでかとあった一つの魔法陣が視界に映り、ボンッと音を立てて煙を吐き出す。

 桃色の煙であった。あまりに突然の出来事でミトスの体は煙に包まれ、しかしすぐにその場から消えていく。まるで彼の体に吸いこまれるかのように。

 

 「えほっ、げほっ。な、なんだ? 罠? 攻撃?」

 

 目を開けてもそこには何もない。ミトスにとっては訳がわからない状況だった。

 ただ少なくとも自身が怪我をした形跡はないのである。それならばいいか、と今の出来事を流してしまいそうになるほどには、彼の注意力は散漫になっていたようだ。

 再び本のページへ目を向けて、じっくりと魔法陣に目を向ける。

 珍しい形だ、と思う。見覚えはない。その瞬間。ドクン、と鼓動が高鳴り、内側から全身が熱くなってくる。今までにはなかった感覚だ。

 凄まじい衝動が駆け廻り、肉体に変化が起こる。変化自体は人体の当然のものだ。だが慣れたはずのその変化、今までと違って抑えようがない。

 鼓動は強く、何度も高鳴り、明らかに普通ではなかった。

 不思議と力が入らず、否、力が入るのかどうかがわからなくなっている。ともかく手の力が抜けて本を取り落としたのは確かだ。

 気付けばめまいすら感じる。

 ミトスはベッドの上に寝転んだまま、魔力の変調を感じてまずいと思った次の瞬間には、異変を知って衝動が抑えきれないことに気付く。

 いつしか自分でも気付かぬ内にベルトを外してズボンを脱ごうとしていた。

 

 「な、んだ、これ……頭が、沸騰しそうだ――」

 

 震える手で下着ごとズボンを下ろし、足首まで肌を露出する。

 いつの間にか、彼の男根は固く屹立していて、先走り汁でべっとりと濡れ、何かを求めるようにわずかに震えている。今まで感じたことがないほどの高ぶりだ。

 何を考えるでもなく、右手が掴んでいた。

 自分でもそうしようと思ったわけではない。しかし気付けば動いている。それは内から湧き上がる本能によって命令されているとしか思えない状態だった。

 

 

 *

 

 

 今日、フェアリーテイルの中で妙に話題となっていたのは、ミトスという男の話だった。

 彼は毎日ギルドに顔を出す。もちろん仕事をするためだが、その際よくギルドの仲間たちと言葉を交わすため、誰もが顔を覚えているし、話しかけやすい相手としてよく知られている。

 休むことも珍しいためか、彼が来ないことを知った仲間たちはずいぶんしょんぼりしていた。

 確かにおかしい。毎日来るはずの人間が来ないというのはそれだけで妙な感覚を与えてきた。

 ミトスは一人暮らしだ。

 もし家の中で倒れてるとしたら。そんなことも考えてしまう。

 そうなっていた場合、一人暮らしである彼が自分で自分を助けられるはずもなく。最悪の場合を考えて誰か様子を見に行った方がいいかもしれない。

 ギルド内の数人で話し合って、実際ミトスの家を訪問し、彼の状態を確認することとなった。

 そして選ばれたのが、ギルドの看板娘と言って過言でない、ミラジェーンだったのである。

 彼女はミトスと似た白銀の髪を持っており、前髪だけを紐で縛って上へ上げ、ドレスにも近いふわりとしたラフな格好をした美少女。看板娘にふさわしい、やさしげで柔らかい雰囲気が伺える。

 以前からミトスと言葉を交わすことも多かったため、周囲から適任だと言われていた。

 ギルドを出た後、彼がもしも風邪か病気になっていたことを考えて、先に食材の買い出しを終え、袋を腕に提げて歩く。ふんふんと楽しげな鼻歌など歌いつつ、久しぶりにミトスの家へ訪れることに心が躍っていたらしい。

 魔導師としての実力の関係上、簡単な仕事ばかりこなすミトスは小さな仕事とはいえ毎日を忙しく過ごしており、朝はギルドへ顔を出して、仕事へ出ていったきり家へ直帰する。

 出会う時間といえば、やはり朝の時間しかないのだ。みんなが寂しがる理由もそこにある。

 特に今日は顔を出さないという連絡すらないのだから妙に心配してしまうのも無理はない。だがミラジェーンは不思議と笑顔で、心配しているのかそうでないのか、よくわからない様子。

 おそらく彼女は単純に、同じギルドの人間ですら知らないミトスの私生活を知れると好奇心から微笑んでいるのだろう。純粋に楽しそうな笑顔があった。

 目的地につき、レンガ造りのアパートへと入る。

 階段を上って三階。以前に場所だけ聞きだしていた部屋へと向かい、扉の前に立ったミラジェーンはくすりと小さく笑い声を出す。

 

 「コホン……ミトスー。いるのー? いたら返事してー」

 

 こんこん、と扉をノックし、声をかける。他の住人に気を遣って大声は出せなかったが、扉を隔てても部屋の中には十分聞こえるだろう声だった。

 しかし室内からの返答はなく、廊下は静かなものだ。物音一つしていない。

 むぅ、と小さく唸り。初めて眉をひそめて困り顔を見せたミラジェーンはそれでも諦めず、扉に耳を当てて室内の様子を伺い始める。

 静かで音は聞こえない。だがじっと動きを止めてそうしていると、奥の方からわずかに何かが聞こえてきた気がする。

 荒い息遣い。ミトスに持つイメージとは違う激しさが感じられた。

 何かしているのだろうか。そう思いながらふとドアノブへ触れていたらしい。

 小さな音を立て、扉が開く。鍵がかかっていなかったようだ。

 悪いとは思いつつ、本当に病気なのかもしれないと思うミラジェーンはそっと扉をくぐり抜け、中へと足を踏み入れる。

 木目の床がぎしりと鳴るが、やはりミトスが出てくる様子はない。だが扉をくぐった途端に先程聞こえた息遣いが聞こえた。やはりいる。いるのだが、様子はおかしい。

 なぜかできるだけ足音が出ないよう気をつけ、奥へと歩を進める。すると寝室へ続くらしい扉があり、そちらもゆっくり開けて中を伺う。

 

 「失礼しまーす……ミトス? いるの?」

 

 窓から差し込む光に照らされ、ベッドの上に寝ている人物がいた。

 それはいいのだが、一つ重大な問題がある。その人物は確かに彼女が探したミトスなのだが、なぜかシーツの上で横たわる彼は服を来ていない。要するに全裸だ。

 しかもそれだけではなく、股間にある異物は雄大な姿で立っており、彼は熱心にそれを手で扱いていた。垂れ出る体液でぐちゃぐちゃ音が鳴り、竿の部分を握った手が何度も上下する。その動きが驚くほど鮮明に視界へ入った。

 パッと扉を離れ、陰に隠れたミラジェーンは言葉を失くす。

 ミトスがしているのは自慰だ。しかも、あまり男らしさを感じない小奇麗な外見をした彼の、初めて見る男としての生々しい姿。普段女っ気を感じさせないのも大きかった。

 衝撃は凄まじく、どうすればいいかわからなくなる。ミラジェーンとて子供ではないため、知識としては知っているが、真面目な性格が故か男と付き合ったことはない。性に関わる生々しい現場を見てどう反応すべきか、わからなくなったのだ。

 声をかけていいものではないだろう。だが仕事もせず、連絡もせずでそんなことをしているのだから、褒められたことでもないはず。

 確かにギルドの仕事は強制されるものではない。仕事をしようが休もうが個人の自由だ。

 放っておいてもいい問題かもしれない。しかし普段の姿を知る以上、ミラジェーンはミトスの姿に違和感を感じずにはいられず、再び隠れた状態で室内を覗く。

 ミトスは、自らのペニスを扱いているわけだが、妙に苦しそうだった。厳しい表情が、じっとりと汗を掻いた全身が、それをよく物語っている。

 

 「ミトス……何か変、だよね。あれって、一体……」

 

 ぽつりと呟くも、やはり気付かれることはなく。少し不用心すぎはしないだろうか。

 どちらかと言えば慎重で頭の回る彼。家の鍵を閉め忘れているのがおかしいと感じる上、なぜ自分に気付かず苦しげに自慰を続けるのか。

 普段とは違う。何かがおかしいと思わずにはいられない。

 本来なら放っておくべきだろうに、何やら覚悟を決めたらしいミラジェーンはぐっとドアノブを握って、ゆっくりと扉を開けていった。

 完全に扉が開かれ、ミラジェーンの姿がはっきりと見える状態。それでもミトスは眉をひそめて仁王立ちするミラジェーンに気付かなかった。

 

 「み、み、ミトス……なに、してるの。ぐ、具合、悪いの、かな」

 

 震える声で恐る恐る、彼へ話しかける。そこでようやく、ミトスの目が彼女に気付いた。

 大量の汗で髪が濡れて、目は潤み、見つけた上でもペニスを扱く手が止まらない。明らかに平静を欠いた姿である。

 顔中を真っ赤にしていたミラジェーンだが、彼と向かいあってようやく気付く。彼の痴態すら忘れ、少し顔を青ざめさせてすらいた。

 目で見えるほどの魔力の変調。ミトスの体から大量の魔力が垂れ流しにされており、妙な力を感じる。引退した身とはいえ魔導師であるミラジェーンもすぐに気付いた。

 ミトスは、戦闘にも日常生活にも利用できる魔法を体得している。その反面、呪い等の体に付与される魔法にめっぽう弱く、魔法に対する抵抗力が人一倍弱い。

 おそらく今のミトスは何かしらの呪いにかかってしまっている。以前にも彼の異常を見たことがあるミラジェーンは恐る恐る彼に近付き、ベッドの傍へ立って、できるだけ下半身を見ないように顔を覗き込んだ。

 

 「どうしたのミトス、これ。魔力が変質してる。すごく辛そうだよ」

 「み、ミラ、さん……た、助けて、ください」

 「うん、大丈夫だよ。どこか苦しいの? 痛いところはある?」

 「ミラさん、ミラさんっ」

 

 ベッドの脇に膝をつき、さらに顔が近付く。

 ミトスはすでに泣いていた。辛くて堪らないと、ぽろぽろ涙を流している。

 汗に濡れることも厭わず手で額へ触れる。熱があるわけではないらしい。だがびっしょりと汗を掻いている姿は異常で、らしくもなく涙まで流している以上、どこかがおかしくなっている。

 やはり、あちらか。そう思うミラジェーンは再び頬を赤くするも、中々そちらを見られず、ミトスを安心させるように頬を撫でながらやさしく声をかける。

 

 「大丈夫だよミトス。私はここにいるから。ねぇ、してほしいことはある? 辛いことがあったら言って」

 「うぅ、これ、これがっ」

 

 苛立たしげに、涙に濡れながらミトスが体を起こそうとする。だがそれも上手くいかず、寝返りを打って体を横向きに、ミラジェーンへと近付いた。

 尚も強くペニスを扱いている。もはや原因となるのはそれしか考えられなかった。

 意を決してミラジェーンはそちらを見つめ、ぐっと唇を噛んだ後、羞恥心を押し殺して声を出す。どうすればいいか想像はできているようで、ミトスの頬を撫でる方とは逆、左手の指を開いたり閉じたりしていた。

 

 「う、こ、これだね。ここが、辛いんだね」

 「ぐっ、うっ、い、イケないんですっ。昨日からずっと、何回もしてるのに、全然イケなくてっ。でも、でも、吐き出したくてたまらなくてっ。うぅ、ミラさん、ミラさんっ。頭が、おかしくなりそうです……!」

 「そ、そうなんだ。ええと、でもどうしよう。こういうの、私も初めてで……だ、出した方が、楽になれる? 私が、触ってあげた方がいいのかな」

 「お願いします、ミラさんっ。イカせてください、お願いしますっ。もう、もういやだ、こんなの。今すぐイキたいんです――」

 

 泣きじゃくるように懇願し、すでにミトスには余裕など残されていない。ひどく混乱しているようだった。

 いつもの笑顔を知っているだけに放ってはおけない。心が締め付けられるほど痛ましい姿だ。

 恥ずかしいなどと言っていられない。覚悟を決めたミラジェーンはよしと呟いた後、そっと左手をミトスのペニスに伸ばし、震える指でゆっくり握った。

 自分で扱くミトスの右手の上から、きゅっと。途端にミトスの体がびくりと大きく震えて、確かな反応が伺える。

 

 「わ、わかったわ。は、初めてだけど、私がやってあげる。ええと、それじゃあ、仰向けになって。その方が多分、しやすいかなって思うから……」

 「うぅ、うぅっ、ハァ、ハァ……!」

 

 もはや返事をする余裕もなく、言われた通りにミトスが再び仰向けに寝転ぶ。

 彼の右手が離れていく。自然とペニスの竿には彼女の左手だけが残った。

 今になって息を呑む。初めて見る男の性器、初めて触れるペニス。それが自分の仲間の可愛らしい男の子の物で、知っている相手だけに妙な気分になる。

 しかし悠長にしていると彼が辛そうなので、考えている暇もない。

 見よう見まねで、徐々に指へ力を込めてゆっくり動かす。握ったまま手は下へ行き、陰毛に触れるほど降りれば今度は上へ。ねちゃりとした体液が絡みついていることに気付くも、気持ち悪いと思う余裕もなく、ミラジェーンは集中して彼のペニスを扱いた。

 男の性器を見たのは初めてである。ましてや興奮して勃起している姿。人生で初めての経験であったが、今の彼の様子はあまりにおかしいとわかったようだった。

 恐る恐る上下に動かして、包皮が動く様を見つめる。その時の彼女は真剣な眼差しであり、同時に徐々に興奮していくような変化があった。

 経験はなくとも知識はある。熱心な眼差しもそのためだっただろう。

 

 「んしょ。これが手コキって言うんだよね。どうかなミトス、気持ちいい?」

 「うぅ、き、気持ちいいです……でもまだ、まだ足りない。もっと、もっと――」

 「も、もっと? えっと、どうすればいいのかな。どうすれば気持ちよくなる?」

 「力を入れて、強くっ。もっと強く触ってくださいっ」

 「う、うん。痛くない、よね。じゃあもっと強く触るよ」

 

 言われた通り、握る手に力が込められる。

 ミトスはやけに苦しそうだった。だが力を入れて乱暴に、意図して荒々しく触ってやれば徐々に表情に浮かぶ物が快楽だけに変わっていく。苦しそうにしか見えなかった顔に赤みが差し、口元がにやけて気持ちよさそうになっていった。

 その頃になればミラジェーンもほっと安堵できた様子で、今度は淫らな行為に耽り始める。

 元々興味がなかったためではない。今まではただ仲間のことや仕事を優先していただけのこと。良い相手さえ見つかればいつでも恋人は作るつもりだ。

 それを思い返してふとミラジェーンの顔の赤みが増す。

 恋人でもない男のペニスを握って、頼まれたこととはいえ射精へ導こうとしている。一体なぜこんな状況になってしまったのか。

 ペニスを一心に見つめていた視線も恥ずかしげに下げ、より一層一心不乱に扱き始めた。

 確実にミトスは快楽に満たされ、射精へと近付いている。初めてであることを差し引いても、限界が近いことは確かだった。

 

 「うぅぅ、うぅっ、ミラさん、もうだめです。イク、イキます、うぅ」

 「あ、そ、そうなの? あぁえと、うん、大丈夫だから。好きな時に――」

 「うああっ、イクぅ!」

 「えっ、えっ、えっ?」

 

 叫ぶと同時、ペニスから大量の精液が飛び出した。

 目をぎゅっと閉じて体が強張り、自分でもわからない内に全身がとてつもない快感に支配されて、もはや訳が分からなくなっている。ミトスはこれまでの人生で感じたことのない快楽を得て、我を忘れて声を発していた。

 飛び出したそれはあまりに勢いが凄く、量も多い。初めて男性の射精を見たミラジェーンはびくりと肩を震わせるも、握ったペニスを離す暇もなく、宙へ飛んだ精液を顔面に受けてしまう。

 反射的に背を逸らしていたが白い肌がべっとり濡れ、頬や額に粘度の高いそれが確かな感触を主張する。思わぬ感触に驚愕し、目を見開いて完全に動きが止まった。

 降り注いだ精液が彼女の手やペニスも濡らして、ミトスの腹にも落ちている。

 荒い呼吸が耳に残り、妙な静寂が続く。

 いまだペニスは固いまま、勃起したままで萎える様子がない。ミラジェーンにとっては馴染みがなかったが、それだけの量を出して少しも変化がないのは異常だった。

 ミトスの頬は紅潮してペニスも固い。開いた目には色気のある光が灯されていた。

 呆然と立ち尽くし、ペニスを握ったまま右手を顔まで持ち上げたミラジェーンは、指先で頬を伝う精液に触れる。どろりとした感触。独特の熱を持っている。知識としては知っていたが体感するのは初めてで、顔の前に持ってきてその白い液体を目にすると、なぜか背筋がぞくりと震えた。

 女を孕ませる子種だ。大人しい外見だがやはり彼も男だったということか。今目にしているそれは確かに女とは違う男の物で、今になってそれを如実に感じる。

 人知れずごくりと息を飲んだ。理由はわからない。

 ただミラジェーンがその理由に気付く前に、我慢ができなくなったミトスが手を伸ばしてペニスを握る彼女の手を取り、きゃっという声を気にすることもできず懇願した。

 体が熱い。異常な熱を含んでいて、頭がおかしくなりそうだ。

 それもこれも射精したいという強い欲求に苛まれるせいで、この欲求を満たさねば解放されることがないのだと判断する。冷静な思考を持てないミトスでもそれだけはできた。

 驚くミラジェーンは彼の目を見て驚き、言葉を飲む。

 助けを求めるミトスのなんと必死なことか。そんな彼の顔は今まで一度も見たことがない。従って気付けば、何としても自分が助けてあげなければと思っていたようだ。

 

 「み、ミラさん、まだ……まだ足りないんです。まだ出したい、もっとイキたいんです……!」

 「う、うん。そうだよね。じゃあ、もう一回――」

 「あぁっ、ミラさん、ミラさんっ」

 「えっ、きゃあっ!?」

 

 感極まった様子でミトスがミラジェーンに抱きついた。

 服越しだが大きな胸の谷間に顔を埋め、背に腕を回して強く肌をすり合わせ、戸惑う彼女に気遣うことなくぎゅっと自分の方へ引き寄せる。彼女の体はベッドの上へ連れ込まれた。

 強く抱きしめ、腰を小刻みに動かして擦りつける。

 濡れた亀頭が彼女の服を濡らすが気にしていられず、ミラジェーンの体をベッドに押し倒した。服を着たまま、慌てる彼女は動揺した目でミトスを見上げる。

 すでに興奮は頂点にまで達して、彼を止める術は残されていなかった。

 

 「ミトス、落ち着いて、ね? あの、私、手伝うから。ミトスが苦しいなら助けてあげたいの。だからもうちょっと落ち着いて――」

 「ハァ、ミラさん、ミラさん!」

 「きゃあっ! ま、待って、私初めてで……!」

 

 異常な筋力で彼女の服を破り、たわわな胸を露出させた。細腕且つ、習得している魔法の種類も違うというのに奇妙な腕力であった。

 しかし気にしている暇もなくて、すでにミトスは胸に顔を埋めていた。

 強く抱きつき、呼吸も荒いまま柔らかな素肌に頬を擦りつける。乳房をぐにと押し、辛そうな表情で快感を求めている。両手で側面から強く揉み、少しでも欲求を満たそうと頑張っていた。

 ミラジェーンはますます慌てて平静を保てなくなり、彼の頭に手を添えるも強く引き剥がすにはあまりに必死な様子でそれができない。単純な力の差もあったが、彼を可哀そうだと思うからだ。

 

 「あの、ミトスぅ……」

 「ごめんなさい、ミラさん。でも僕もう我慢できないんです」

 

 乳房を掴む力にぎりぎりと力が入り、ミラジェーンの顔が歪んだ。

 あまりに強い握力。普段の彼とは思えない。

 それだけでなくミトスは彼女の胸に舌を這わせ、唇で強く吸いついていくつも赤い痕を残した。まるで自分の所有物だと主張するよう。痛みも伴う行動にミラジェーンの瞳がわずかに潤む。

 

 「い、痛いよミトス」

 「ハァ、ハァ、ごめんなさい。でももうだめなんです。もうイキたくてイキたくて堪らないっ。我慢できないんです! このままだとおかしくなる!」

 「あぁ、だめよ、そんな……うぅ、舐めるなんて」

 「んんんっ、んふぅ、はぁぁ……ミラさんのおっぱい、柔らかい。これが女性だ、女性の体なんだ。うぅぅ、チンポが、チンポが痛いぃ……!」

 「だ、大丈夫? また手でやった方が――」

 「もうだめだっ」

 

 両方の乳首と胸の谷間をたっぷり唾液で濡らした後。

 ミトスはミラジェーンの上半身を跨いで座り、勃起したペニスを乳房で挟んだ。両手で押さえてぐっと挟み込み、柔らかい感触に包まれてから腰を前後に振り始める。

 ずるずると乳房の間をペニスが出入りし、淡いながら刺激が与えられた。

 辛そうな表情は相変わらず、しかしミトスの目は快感に惚けて様子が変わり、口はだらしなく開かれて唾液を垂らす。こみ上げてくる射精感は一突きごとに大きくなった。

 今までにない感覚。初めて触れる女体だけでなく、体がずいぶん感じやすくなっているらしい。何かがおかしいと思いながら、一刻も早く射精したいと本能が頭の中で叫んでいる。

 ミラジェーンが顔を真っ赤にして寄せられた乳房の間から顔を出す亀頭を見つめ、羞恥心から硬直しているため、抗議の声を出すことすらできない。

 自分勝手な行動は続けられ、時間もかけずに射精感が高まっていった。

 

 「あぁ、すごい、きもちいい……でももっと、もっとっ」

 「うわっ、み、ミトス、何これ。気持ちいいの? む、胸でなんて」

 「うぅぅ、気持ちいいです。ミラさんのおっぱい犯してるみたいですごくいいっ」

 「う、んんっ、気持ちいいんだね。それなら、好きにさせてあげた方がいいのかな」

 

 事前に唾液で濡らしたためか、滑りも良くなって痛みも感じず、ミラジェーンに余裕が戻る。

 行為自体は恥ずかしいが、ミトスを想えばこのままの方がいいのだろうかと考え、シーツの上に両手を投げ出し、全身の力をついて寝そべる。亀頭を見つめるのは恥ずかしいため、必死な様子の顔を眺めた。

 整った顔立ちである。中性的な可愛らしい顔をしており、そのため今まで男であることを意識したこともなかったが、今回の一件では彼が男なのだと強く認識せざるを得ない。ふと蕩け切ったミトスの顔に目を奪われる。

 非常に気持ちよさそうだ。そんな顔の彼を見たことがない。

 そもそも、恋人がいるのかだとか、性欲があるのかどうかすらわからない人物だった。簡単な仕事を担当することが多いが毎日仕事に出かけて、収集癖があり、女遊びもしない真面目な青年。それが今はなぜか、ミラジェーンを襲って胸にペニスを突っ込んで快楽に耽っている。

 不思議な状況だとどこか他人事のように考え、ぼんやり彼の顔を見つめる。

 何度胸の谷間で擦りつけたか、再びミトスが限界を迎える。

 両手でミラジェーンの乳首をぎゅっと摘み、思わぬ感覚に表情が変わるも、射精が始まった。

 

 「あぁっ、出るっ。出る出る、出ますよミラさんっ!」

 「あんんっ……あ、え? 出るって、ひょっとして――」

 「ああああっ!」

 

 乳房の谷間から亀頭が顔を出し、どびゅっ、と割れ目から精液が飛び出す。

 先程と変わらず大量に出た白濁液が彼女の顔面を白く汚し、ただでさえ濡れていたというのに、さらに広い範囲を染め上げる。反射的に目をつぶれば瞼を塞ぎ、驚いて口を開けていると口内に飛び込んで舌の上に乗った。

 ミラジェーンの驚きは止まらず、どうすればいいかわからず両手だけが慌ただしく動く。

 そうなった後でもミトスの興奮は止まらなかった。

 全く萎えないペニスを見ると両手で乳房を寄せ、今度は合わさった乳房の間にぐっと亀頭を割りこませ、胸板に当たるよう縦に差し込む。射精したばかりで敏感な状態を活かそうと最初から全力で腰が振るわれた。

 もっと射精したい。考えるのはそればかりだ。

 叩きつけるように腰を振り、両手で顔を拭うミラジェーンはまだ状況が飲み込めていないようだった。掌や指先で精液を拭い、目を開けられるようになって初めてミトスの行動の意味を知る。しかし舌の上に乗った精液をどうすればいいかわからず、発言することはできなかったようだ。

 

 「んんっ、はぁ、おっぱい犯してる……これ、すごい」

 「みとす……まら、なの」

 「はぁぁ、出るっ。また出ちゃいますミラさん。見ててください、イクから見ててっ」

 「あっ、はぁ――」

 

 乳房の間に亀頭を埋めて、射精した。

 全く量が変わらず飛び出す精液は乳房の間から飛び出して肌を濡らし、ミラジェーンの目にも妙な光景だと見えた。

 ミトスは背筋を伸ばして体を震わせ、最後の一滴が出切るまで乳房の間から出ず、腰を小刻みに振るう。

 

 「あぁぁ、おっぱい孕ましてる……おっぱい、最高ぉ」

 「んっ、べぇ。ミトス、気持ちよかった? これでもう大丈――ふぐっ」

 

 手の甲で舌の上にあった精液を拭い、声をかけるとその瞬間、一切間を置かなかったミトスが素早く動いていた。何度射精しても萎えないペニスを、勃起した状態でミラジェーンの口に荒々しく突っ込んでいたのだ。

 両手で頭を押さえられ、あまりに唐突な行動。亀頭が喉にまで達するほど勢いよく突っ込まれてミラジェーンは目を見開いた。口内に感じる異物感と苦しさが怒涛のように押し寄せて、しかし逃げることもできない。

 苦しいと感じる状態で腰が動き始め、奇妙な声を出しながら手を動かそうとする。

 力が入らない。すでに目には涙を溜めていて、なんとか彼の脚に触れるも退いてくれそうにはなかった。彼女が苦しげなのにも気付かずにミトスが腰を振り始める。口の中から喉の奥まで、まるで道具のように深く使われていた。

 

 「ふぐっ、おごぉ、おぇ――!」

 「ハァ、きもちいい。ミラさんもっと吸いついて。喉まで使って気持ちよくしてください」

 「ううぐっ、ごぇ、おおっ」

 「うぅぅ、出ちゃいそうだ。もうちょっとで出ちゃいそう。ミラさん、もっと。もっと舐めてくれなきゃイケないじゃないですか。強く吸ってください。舐めてください。僕を気持ちよくイカせてくださいっ」

 

 ミトスは高速で腰を振っていた。持てる力の限りを使い、射精することにのみ集中する。

 そこにミラジェーンへの気遣いはなく、おそらく彼女が苦しんでいることにも気付いていない。自分のことしか考えていなかった。だから彼女の顔を跨いで叩きつけるようにペニスを出し入れさせていたのだ。

 ぐぽぐぽといやらしい音が鳴って、ミラジェーンの口から垂れた唾液が淫らに光る。

 彼女は必死に耐えていた。苦しいし、戸惑いは大きいし、なぜこんなことになっているのかもわからないがミトスのためだと思って。何も言わずに抵抗をやめ、必死に目を閉じてその苦しさに耐えている。

 嘔吐してしまいそうな苦しみが続いていたが、やっとミトスが達するようだ。

 腰を震わせた彼の声が高ぶった瞬間、終わると感じたミラジェーンは薄く笑みを浮かべていた。

 

 「イキますっ。ミラさん、全部飲んでください。喉で出しますからね、このまま全部飲んでください。いいや、飲ませますっ。僕のザーメン全部ミラさんのお腹の中まで届けますから」

 「うぐぉぉ、ごぇぇっ」

 「うぅぅ、飲めぇぇ!」

 「ふぐっ、んごぉっ!?」

 

 宣言通り、ペニスが一際喉の奥まで深く差し込まれ、それから射精が始まった。

 大量に出てくる精液すべてが体内で出され、喉を鳴らすしかない。望んだわけでもなくただ無意識に、気付けばミラジェーンはそれらすべてを飲もうと努力していた。

 今まで経験したことがないほど苦しかったがすべて飲み終え、無言でペニスが抜かれる。

 途端に彼女はせき込んだが心配する声はなく。

 ミラジェーンが動けない間にミトスはすでに移動していて、数秒遅れて気付いた彼女がハッと顔を上げ、声を荒げた。怒りよりも戸惑いを感じる。潤んだ目は不安に揺れていた。

 

 「だ、だめっ。そこはだって、私たちまだ恋人にもなってないのに……!」

 

 ミトスは彼女の脚の間に腰を降ろしており、勃起し続けるペニスを扱きながらじっとそこを注視していた。鼻息も荒くスカートをめくり上げて、その下を覆うショーツを力ずくで引き千切る。

 露わになる秘所。毛の生えていないつるりとした恥丘が見えた。

 すぐさまミラジェーンは強い羞恥を感じて両手で顔を覆う。顔は先程以上に真っ赤になっていたが、脚の間に入られたのでは閉じることもできず、手で隠そうという考えすら持てずに顔を見られたくないと思った様子。

 閉じられた女陰は妙に幼く見える様相であったものの、わずかに光る物が見える。どうやら一連の行為で膣がわずかばかりに濡れているらしい。それでも挿入には至らないが、もはや我慢できる状態ではなかった。

 より一層、鼻息が荒くなる。

 自らの手でペニスを握ったミトスは亀頭を膣に擦りつけ、腰を前に出すとミラジェーンの反応を待たずにずぶりと埋め込んだ。無理やり押し広げて入り込んだためか締めつけが強く、どちらも如実に表情が変わる。

 ミトスは蕩けた笑みを見せ、ミラジェーンは痛みすら感じて目と口を限界まで開いていた。悲鳴すら出せない。口の中に突っ込まれた時とは違う異物感と苦しさが、今度は股の中にあった。

 

 「ひぃっ。あっ、がっ……!?」

 「はぁぁ……きもちいい」

 

 まさに至福の表情。亀頭をゆっくりと奥まで進めたミトスは、唐突にびゅっと精液を吐きだした。あまりに締めつけが強いため我慢しきれずに射精したのである。

 今度は辛そうではなく、純粋に幸せそうな顔。途方もない幸福感に包まれる。

 膣内が精液で満たされて外にまで洩れでてくる。その感触すら心地よい。

 痛みと衝撃で我を忘れるミラジェーンとは違い、彼は嬉しい快感から我を忘れていた。

 

 「あぁ、出しちゃった。きもちよすぎて出しちゃった」

 「はぁぁ、うぅぅ……ミトス、もう、十分でしょう? ねぇ、これで終わりに――」

 「まだですよ。まだこれからです。ミラさんを、孕ませないと。いっぱい子宮に注ぎ込んで、僕の子供孕んでもらわないと。もっともっといっぱい射精しますから」

 「だ、だってもう、あんっ――」

 「はぁ、きもちいい。くぅ、こんなのすぐイッちゃうに決まってるじゃないかっ」

 

 精液を塗りたくった乳房を掴み、腰を前後に動かし始める。

 動きに合わせてミラジェーンの体は揺すられ、膣内がペニスで抉られていた。まだ固さの残るそこは彼のペニスで徐々にほぐされるかのようで、ゆっくりと形を変えるかのようでもある。

 そこへ加えてすでに射精されていた。彼の体液が塗りたくられていると想像すれば顔が熱くなり、滑りが良くなったせいか、あまり痛みを感じなくなって、ミラジェーンの表情が幾分和らぐ。

 それでも目をきつく閉じて眉間に皺を寄せ、耐えるような姿。

 時間をかけて快感らしき物を感じつつあったがミトスの動きが速く、余裕を取り戻すには少々激し過ぎる。しかし時間が経てば変化はあった。小さな声が嬌声にも似て表へ出て、体の内側から響く衝撃が全身へと伝わる。

 

 「あっ、んっ、はっ、はっ――」

 「うぅぅ、すごいぃ。おまんこ、これがおまんこっ。ミラさんのぉ」

 「うんんっ、あっ、ちょっと、きもちいいかも……んんんっ」

 

 ギシギシとベッドが軋む音を発し、その上で激しく腰が突き出される。

 ミラジェーンも次第に表情を緩ませて快感を感じ取れるようになり、声も大きくはっきりと変化していった。胸を揉まれることが、膣内をカリで引っ掻かれることが、子宮をぐっと押し上げられることが快感となる。

 二人の体の一部がぶつかっているのだろう、室内には渇いた音と荒い息遣いだけとなる。

 必死に性交のみに集中して、その他のすべてを忘れる。今だけは二人の意思がぴたりと合った。

 激しい動きのせいで汗を掻き、大粒の水滴がミトスの髪からミラジェーンの肌へ落ちる。

 より一層ベッドの軋みが大きくなった。

 上からのしかかるようにしながら、ミトスが一際高く鳴く。

 

 「うああっ、出るっ。イクイク、イクぅ!」

 「あっ、あっ、あぁんっ――!」

 

 ガツンと亀頭が一番奥を強く叩き、直後に射精が開始される。

 内部まで注ぎ込み、子を孕ませようとするかのよう。受精することを目的とするかのようにぐりぐりと強く腰を押しつけ、尚も精液を吐き出す最中から腰が数度振られていた。

 ようやく射精が終わって腰が止まる。

 二度の射精をすべて受け止められるはずもなく、シーツの上には大量の精液が溢れだしていた。匂いがきつく脚が濡れていることもわかる。頭が真っ白になったミラジェーンは、そこにある感触を確かに感じていた。

 やっと終わった。呼吸を乱して胸を上下させながらそう思った時だ。

 両手で腰を掴まれ、再び突かれ始める。反射的に唇をきゅっと結んで、目を見開いた。

 まだ終わってなかったようだ。激しいピストンで強い快感が与えられ、ミラジェーンが涙をこぼしながら身を捩る。もう耐えられない。意識するでもない動きがそんな素振りに見えた。

 しかしミトスが満足していないため逃げることは不可能。疲れた、嫌だと思いながらも彼に抱かれるしかなかった。先程のラストスパートと同じくらいの速度で膣内を乱される。

 

 「あぁっ、はぁっ、また……んんっ、あっ、あぁんっ」

 「はぁ、もっとイキたい、まだ出したい。ミラさん、ごめんなさい。もう少しですから。もうちょっと出せば落ち着けそうな気がしますから、これでしっかり孕んでくださいねっ」

 「んんんっ、んんっ、あっ、あっ――」

 

 ぐちゃぐちゃと精液が掻き出される。シーツへ広がるそれがさらに増えた。

 もはや体中、精液で汚れながらの性交であった。顔は白く染められ、胸には大量に塗りたくられ、股から噴き出すそれが身を捩る度、肌に触れていく。

 動けば動くほど彼の色に染められるようだ。

 そう長くは続かないだろうと、ミトスは考えていた。もはやミラジェーンは何も考えられなくなってされるがままを受け止めるのみだが、彼は自分の身にある確かな変化を感じている。せめてもう一度。これで終わるはずだと判断する自分が居る。

 叩きつけるような速度で腰を振っていると射精感の高まりを感じた。

 ミトスはおもむろに上体を倒してミラジェーンの唇を塞いだ。精液に濡れた彼女の唇もべっとりとそれに濡れていたがまるで気にせず。自分の体液を舐めようが構わずに彼女の唇を舐め、舌を絡ませる。するとミラジェーンは薄く目を開いて彼の顔を見つめ、ぼうっとした顔つきで首に腕を回し、恋人のように自らも舌を動かした。

 ここへ来て受け入れるかのような仕草に胸が熱くなり、ペニスがぐっと膨らむ。

 来た、と二人が同時に思った瞬間。

 勢いよく放たれた精液が彼女の子宮へぶつけられ、またも膣内を白く汚した。

 

 「んんんんっ! んんん、んふぅ……」

 

 ねっとりと舌を絡めて射精が止まるのを待つ。気だるさを感じながらのキスは思いのほか心地よく、乱れていたはずの心が落ち着いていく。ミラジェーンは自ら求めるように舌を伸ばしていた。

 精液がすべて吐き出され、ごぽりと膣から洩れ出る分がシーツに落ちた後。

 やっとペニスが抜かれて幾分固さを失った様子が見られた。

 ミトスはほっと息を吐き、ミラジェーンの隣へ寝転ぶと彼女の胸に顔を埋め、強く抱きつきながら目を閉じる。自身が放った精液が触れてもまるで気にしない。そうする姿は恋人にも見えるが、それよりも彼女が産んだ子供のように見えていた。

 嫌がることなくミラジェーンも彼を抱きしめ、白銀の髪を撫でる。

 室内にはむっとした熱気が漂っており、汗を掻いたのもそのせいだと今になって気付く。非常に激しい性交だった。しかもこれがお互いにとっての初体験だというのだから奇妙なもので、そういった感動も相まって二人は笑みを浮かべている。

 色々とわからないことがあるものの、気持ちよかった。それだけは確かだ。

 裸で抱き合ったまましばらく経ち、乱れた呼吸が落ち着いた頃。ミラジェーンがやさしい声で問いかける。無理やり抱かれた怒りや悲しみなど微塵も感じられない、姉のような母のようなやさしさがあった。

 

 「ミトス、もう平気? 一体何があったの?」

 「うん……ごめんねミラさん。こんな、力ずくで無理やりなんて最低なこと」

 「ううん、いいの。さっきのミトス、普通じゃなかったもの。何か理由があったんでしょう? ちゃんとわかってるから怒ったりしないわ。だから話して」

 「えっと、多分なんだけど。昨日本が届いたんだ」

 「本?」

 「仕事で行った先からもらった、古い魔導書。あれを開いた時からおかしくなった」

 

 ミトスの頭を撫でながら、ふとミラジェーンが室内を見渡す。

 ベッドの近くの床、確かに一冊の本が落ちていた。分厚い外見で古ぼけている。

 あれに間違いないとミトスに一声断り、傍を離れて縁に座ると右手で拾い上げる。

 先程までのミトスからは明らかな魔力の変調と異常性が感じられた。理由はここにあるのだろうとページを開き、中身を見る。しばらくは何の変哲もない魔法の習得方法が書かれていたが、あるページに至った時、ミラジェーンがううむと唸る。

 理由が見つかった。それがずいぶん変わった魔法だったため、思わず唸ってしまったらしい。どうやら彼女にも見覚えのない魔法だったようだ。

 

 「あった、これね。多分凄く強い呪いよ。ええと、内容が書いてあればいいんだけど」

 

 ぐったり疲れた様子のミトスを背後に、ミラジェーンは真剣に本を読み始める。

 ただ、いまだ体の火照りは消えていないようで。ゆっくり動いたミトスはシーツの上を這うように動き、後ろからミラジェーンの腰に抱きつく。明らかに甘える素振りは可愛らしく感じられたのか、ミラジェーンは嫌がるどころか微笑んで彼の頭を撫でる。

 その一方で本に書かれた文字を読み進め、表情が変わる。

 彼の体にかけられたのはあまり良くないものだったようだ。

 

 「うーん、ミトス。ちょっと言いにくいんだけど、この呪い……」

 「なんですか?」

 「あの、ふざけるわけじゃないからね。どうしてかはよくわからないけど、その、性欲を強める効果があるらしくて。解く方法は書いてないと思う。だから元に戻るためには他で探すしかないかもしれない」

 「ええっ。そ、それは困ります。だって昨日から今まで、ずっとイケなくて。冗談じゃなくてほんとに気が狂うかと思ったんですよ。死んだ方が楽なのかなって思うくらい辛くて。あんな状態がこれからずっと続くと思ったら流石に――」

 「落ち着いて。元に戻る方法はわからないけど、効果を弱める方法は書いてある」

 「ほんとですか?」

 「ただ、その、さっきみたいに。お、女の人の、あそこに、出さなきゃいけないみたい」

 「それってつまり……」

 「う、うん。だから手や胸で出してもだめだったんだね。ええと、その、私のなかに、出したから……だから今は落ち着いてるのかな。い、いっぱい出したもんね」

 

 頬を赤らめてミラジェーンが言う。本を持つ手に力を込めて、視線はうろうろと忙しなく、恥じらいを見せる姿はまるで少女のようだった。

 腰に抱きついたままでも、途端にミトスが気まずげに表情を変える。しかし彼女の体から手を離そうというつもりは微塵もないようで、起き上がって座り直すと後ろからミラジェーンの体を抱きしめ、左手は腰に添え、右手は乳房を下から持ち上げるように触れた。

 くすぐったそうに笑い、抵抗せずにミラジェーンが本に目を通す。

 

 「何のためにこの本に仕掛けられていたのかわからないけど、結構強力そうだし、呪いを解く方法を見つけるには時間がかかるかも。でもそれまでの間、ミトスは、やっぱり困っちゃうよね」

 「多分、そうなると思います。正直めちゃくちゃした後で言いにくいですけどまだ治まり切ったわけじゃなくて……またチンポ痛くなってきてるし、ミラさんの裸見てると、めちゃくちゃにしたくなって、孕ませたいって、さっきから頭の中でうるさいんです」

 「そ、そっか。じゃあ、うん、しょうがないよね。他の人に相談できることじゃないし、女の人が居ないと症状は治まらないわけだから……よし」

 

 首筋に何度もキスして吸いつくミトスを振り返り、ミラジェーンが口を開く。

 頬は赤く染まって、何かを決意した目。視線を合わせて、ぽつりと言った。

 

 「だから、呪いが解けるまで、私が相手してあげるね。ミトス、このままだと辛いだろうし」

 「え? ほ、ほんとに?」

 「うん……えっち、すればいいんだよね」

 「た、多分ですけど。あ、でもそれだけじゃなくて――」

 「いいよ。なかに出すんでしょ。ミトスのためなら、私はいいと思ってる」

 「ミラさん……」

 

 ふわりと微笑まれて、ミトスがきゅっと唇を結んだ。

 おもむろに両手が動いて二つの大きな乳房を掴み、掌で乳首を強く押す。

 反応したミラジェーンが首を逸らして快感を得たと表した。また視線を合わせて熱っぽく見つめ合う。まさに気分は恋人同士、魔法のせいでミトスの体が火照っているとはいえ、触れ合うことから躊躇いがなくなっていた。

 

 「じゃあ今からもう一回いいですか? 今度はやさしくしますから」

 「う、うん。それじゃあ、もう一回……」

 

 顔を寄せてキスを交わし、体中に触れた精液も気にせず、ミトスが手を動かし始める。

 胸を揉み、右手が肌を伝って下腹部へ向かっていった。若干ミラジェーンが抵抗しようと手を動かし、彼の手を止めるも、やさしく振り払ってさらに下へ向かう。指先が膣の入り口を撫で、ぐっと力を入れて精液を押し出させた。

 ミラジェーンの頬が緩んで笑みがあった。先程と違って躊躇いは消えている。この時間や淡い快感を楽しんでいる節すらあった。

 時間をかけて触れられるのは荒々しい手つきと違って安心感がある。

 そう思っていたというのに、すぐにミトスは我慢が利かなくなったようで、キスをやめて顔を見るとすでに余裕が消え去っていた。背後で腰が動かされ、固く勃起したペニスが背中にぐりぐりと押し付けられている。

 あっ、と声を出して気付いた。

 おそらくこういった類の呪いなのだろう。かけられた人間の意思に関わらず性欲を増幅させ、精神に異常をきたすほど影響力を持ち、女を抱かなければ治まらないらしい。今の彼は一度治まりかけてから早くも火が点いてしまっていた。

 まずいと思う暇もなくミトスの手が彼女の腰を持ち上げ、ペニスの位置を定める。こうなるともはや抵抗する暇など与えられなくて、瞬く間に体がペニスが膣へ侵入していた。

 

 「あぁっ、あぁぁぁ……!」

 「うぅ、ごめんなさいミラさん。やさしくするって言ったのに、もう我慢できなくて。ハァ、チンポが熱くて、爆発しそうで、辛くて仕方ないんです。もう今すぐにでも射精したい……!」

 「あんっ、待って。あんっ、あっ、あっ――」

 

 ずぼずぼと勢いをつけて膣内が荒らされ、先に出した精液を掻き出し、子宮を突く。今度こそミラジェーンは痛みを感じず快感を得て、呼吸を乱して嬌声を発した。

 最初から叩きつけるようで、渇いた肉の音が鳴る。

 縁に座った状態で腰を動かし、突き上げていたが、次第に気分が高まってくると体勢を変える。彼女を立たせるとベッドに両手を突かせ、尻を掲げさせて、丸々とした尻の肉を掴んで後ろから全力で突く。パンパンと音が鳴って尚更気分が高まった。

 

 「あっ、あんっ、あっ、あっ――!」

 「くぅぅ、出る出る出るっ! もうイクぅ!」

 「やぁぁ、だめぇ……!」

 

 さらにもう一発、膣内で射精が行われた。

 手加減も慈悲もなく体内に出されて子宮にぶっかけられ、ミラジェーンの絶叫が響く。

 シーツや床へ大量に汗が落ちる。それ以上に二人の体液がぶちまけられた。

 動きが止まって、立ったまま半ば呆然とする。

 ミラジェーンは口を大開に唾液を垂らしており、がくりと頭を垂れると同時に膝から力が抜けて座り込んだ。しかしミトスは決してペニスを抜こうとはせず、彼女の腰を抱えると二人でベッドの上へ戻る。

 繋がったままミラジェーンが寝そべり、その上からミトスがのしかかった。

 

 「はぁ、ん、ちょっと待って。まだ、力が入らなくて……」

 「ごめんなさい。くぅ、でもまだだめなんです。もっと出したくて」

 「んんっ、まだするの? だけど、もう腰が抜けて――」

 「このまましますから。ハァ、ミラさんのおまんこ、気持ちいいっ」

 「あんっ、やぁ、だめぇ……!」

 

 寝そべったミラジェーンを相手に腰を振ってペニスを出入りさせる。

 与えられる快感があまりにも凄まじいため、このままではまずいと思う瞬間があった。頭が真っ白になっている状態でミラジェーンは彼にかかった呪いの厄介さを理解し、嬉しさと不安が混じる表情で笑みを浮かべている。

 どうやら大変な役目を引き受けてしまったらしいと、悲鳴のような嬌声を発した。

 

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