それなりに沈黙していましたがとりあえずで投稿。
窓はカーテンで隠され、薄暗い一室。
現在の時刻は朝だろうか。それともまだ深夜なのだろうか。時計を見ていない今は時刻がわからない。ここ数週間、カーテンはしばらく開けていないため、空の明るさも確認できず、前に朝日を浴びたのがいつなのかさえ思い出せなかった。
朝も昼も夜も部屋が薄暗いのにはすっかり慣れた。時計を見るのも億劫で、すでに日にちの感覚を失って久しく、今が何月の何日かもわからない。
それでも生きているのだ。何を気にする必要があるのだろう。
人間は飯を食って排泄して水を飲んで眠れば、それだけで生きていける。仕事もせず、学校へ行かず、家の中に引きこもって自堕落にしていても案外死なないものだ。
画面の中では裸の男と女が絡み合っている。黒々としていて太い男優のペニスが、むっちりとした裸体の女優の膣に突き刺さり、激しく腰を動かしている。あれは気持ちいいんだろうなと、期待を込めた目を向けながらの自慰だった。
暗い部屋に一人きり。闇を切り裂く画面の光を見つめ、高い喘ぎ声を大音量に聞き、自らのペニスを扱く。気分は、あまりよくない。けれど気持ちがいいので問題はなかった。
気持ち良さげに鳴く女性を見つめる目は無感情。快感を求めているのにそこまで執心している訳ではない。わざわざ相手を探さないのもそのせいだ。誰かと分かち合いたいと思ったことはない、これはあくまでも自分だけの遊戯。
閉鎖された世界の中では、彼だけが自由の象徴。
何をするにも自分で決めて、自分が動かなければ誰も助けてくれない。高層マンションの最上階。彼はずっと一人だった。
「はぁ。うっ、もうちょっと……」
そろそろ限界が近付いていた。青年の肌に汗が浮かぶ。
ペニスを握る手に更なる力を加え、ぐっと背を逸らす。すでに射精のための準備は終えていて、自由なままの左手はいそいそとティッシュへ伸ばしていた。
映像もいよいよ佳境。時間をかけたせいで大きな衝撃が予想される。
男優の射精に合わせようと少し我慢する中、体内から押しあがってくる熱い衝動を感じる。息が乱れて、小さな喘ぎが吐き出された。
「うっ、あっ、もう――」
感極まった声を震わせ、映像に合わせて射精した。
タクトのペニスからぶしゅりと大量の精液が飛び出した、その瞬間。
何の変哲もないはずのテレビから眩い光が放たれる。
「うわっ。な、なんだ!?」
びゅくびゅくと勢いよく吐き出された精液が落ちる最中、強い快感で腰が抜けそうな錯覚に陥るが、当人は目すら開けられずにただただ悲鳴を上げた。
困惑したのも一瞬。光はすぐに消えたようでゆっくり目を開ける。
何が起こったのだとテレビを見てみれば、映像は消えており、電源が落ちて画面は真っ黒。代わりに、その目の前に見慣れぬ光景が存在していた。
宙をふわりと浮かぶ、一人の少女。
目を閉じて青色の淡い光に身を包まれ、ゆっくりと地面に降り立つ。
どこから来たのか、一体誰なのか、なぜそこに居るのかすらわからない少女は確かに人間で。驚くタクトは身を包んでいたはずの快感をすっかり忘れてその人物に見入っていた。青い光に、その美貌。年頃はまだ若いだろうがあまりにも神秘的で言葉を失う。疑念は心の内を占めていたが、それ以上に、ただ美しいとその姿に見惚れてしまった。
射精の衝撃から萎えていたはずのペニスはすっかり力を取り戻し、腹に当たりかねないほど反り返っていて、今やそれを隠す余裕もない。
タクトはじっと少女を見つめる。
やがて少女の目は開き、静かにタクトの姿を認めたらしい。
「お、おまえ、何なんだ……?」
そうして、ベッドに大の字に寝転んだ全裸の青年を見つけたのである。
*
テレビから人が出てきた。
タクトの目にはそう見えていたため、しばらくの間沈黙が続いても目の前の状況が理解できず、そこに立つ少女を見て何も言うことができなかった。
現実味に欠けて、まるでアニメか何かのよう。本当にそこから出てきたのだろうか。
確かに目の前には本物の人間が居て、偽物でもなければ幻でもないことはわかる。睡眠は十分に取っていたし妙な薬を飲んだこともない。自分が正常なのだと理解しているつもりだ。その上で彼女の存在感を感じ取り、言い表せない雰囲気を感じている。
名も知らぬ少女は裸のタクトをじっと見つめる。
嫌悪感を示す訳でもなく、恥ずかしがる様子もない。無感情に彼の顔を見ている。
裸であることに気付いているかどうかさえわからなかった。どこか人形を連想させる端正な容姿と無表情さ。何も言わないところが独特の雰囲気を演出しているようだ。
全身が黒っぽい様相の人物。黒髪のツインテール、黒のロングコートを着ているが、ずいぶん素肌を露出させている。コートの前は開かれ、胸を隠す黒のビキニとホットパンツのみが服で、あとは素肌。小さなへそやくびれた腰も隠されず、足はロングブーツを履いて多少隠れるが、外を出歩くには適さないような外見だった。
どう見ても一般人ではない。
テレビから出てきたことやコスプレに等しい服装といい、普通の人間とは受け取れなかった。
しかも自慰の直後に現れられては非常に気まずいものがある。アニメやその他でこういった展開を見ようものなら、運命的な出会いとしてきれいに描かれるだろうに、なぜ自分はこんななのか。
理不尽を受け止めきれず、呆然自失のタクトはしばし動き出せなかった。
裸でペニスは勃起したまま。じっと彼を見つめた少女は唐突に動き出す。
ベッドの上へズカズカと上がり、その間抜けな姿を間近で見下ろしたのである。この動きに怯えたタクトは逃げる素振りを見せるがさほど動けず、震えて少女を見上げることしかできない。
「な、な、なにっ――」
「見つけた」
ぽつりと呟かれた小さな声。
呆けていたが受け取ることはできて、タクトの顔は驚きを露わにする。
「見つけた。クロイタクト」
「は? え、おまっ、しゃべれるのか?」
「私はあなたに会いに来た」
ベッドに膝をつき、タクトの顔の両側へそっと手が置かれる。
彼の上で四つん這いになって、少女は顔を近付けてくる。
恐怖よりも先に興奮が勝ち、ドギマギしながら拒みもせず、タクトはその光景を見ていた。
何も言わずに、彼女はそっと、タクトの唇へキスをした。
「んっ――!?」
自己紹介もない内にキス。
全くもって訳が分からずタクトが動揺する。
押し付けられて数秒。強く触れ合って時間が止まる。
彼にとって初のキスである。生まれて初めてのキスが、見ず知らずの少女だった。そればかりか自慰の直後で素っ裸。ペニスの勃起も治まった訳ではない。
異様な状況だと自覚する程度の冷静さは残っていて、動揺はさらに深まるばかり。しかし初めて感じる女性の柔らかい唇には抗えず、動揺しながらも彼は喜んでいた。
名前を知らない少女が相手でも、キスとはひどく気持ちいい。
気付けば別にいいかと自ら目を閉じ、唇の柔らかさをもっと感じようと集中していた。
数秒が十を超え、二十を超え、さらに続いて一分を過ぎる。
この頃になると流石におかしいと気付き始めてタクトが暴れ出す。じっと動かずに触れるだけ、だがあまりに長過ぎないだろうか。初めてとはいえこの長さは引っかかる。
息苦しさを感じて彼女の肩を押すが少女は動かず、尚もキスを続けようとする。
一分が過ぎても二分を過ぎても終わりが来ない。タクトは必死に鼻で呼吸をしながらわずかに目を開き、彼女を見た。すると少女も彼に続いてゆっくり目を開いたようで、瞳が目に映る。とても美しい、今まで見た事がない青色。まるで宝石のようだと見惚れた。
息苦しさを感じたままで、やがてようやくといった様子で少女が顔を離す。
至近距離で見つめ合う。不思議な沈黙があった。
突然キスをされて一体何を話せばいいのだろうと、戸惑いが生まれる。引きこもりで人と話すことを苦とし、誰とも会いたくないと部屋の中に居た彼だ。言葉が詰まって何も出てこない。
それでも見つめ合っていれば、再び少女が動き出した。
言葉は不要とばかりに唇にちゅっとキスをして、それから何度もキスを繰り返す。口に触れるばかりでなく頬や鼻先、瞼など、タクトの顔全体に触れていく。
それもまた驚きと戸惑いが禁じえなくて、顔を背けて逃げようとしながらタクトは声を出した。しかし逃げようとする彼の顔を両手で掴み、尚もキスの雨が続けられる。
「うわっ、ちょ、ちょっと待った……!」
「んっ、んんっ」
「おい、待てって。な、なんなんだ、いきなり」
その後もキスは止まらず、何か奇妙だとタクトは必死にキスの雨を掻い潜りながら彼女の顔を見る。いきなりのキスも十分に異常だがいつまでも終わらないのが不思議に思えた。
目で彼女の様子を伺うと、相変わらずの無表情。赤面さえしていない。
人形のように変化がないのか、と考えた時。違和感に気付く。無感情な様子を残しながらもどこか焦っているように見えて、キスばかり続けてその先に行かず、もどかしそうな動き。
発情。そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
興奮しているのに気持ち良くなる方法がわからない。必死な様子が子供のようだと思えた。
何度となくキスを受け、タクトは自らも興奮していくのを理解する。
これだけの美少女にキスされて、押し倒され、ぐいぐいときつく抱きしめられてはどんな清廉な心を持つ青少年であっても我慢できるはずがない。硬く勃起したペニスははち切れんばかりの硬度を持っていた。
「お、おまえ、興奮してるのか?」
「んっ、はっ、はぁっ――」
「まさか、お、俺と……セックス、したいのか?」
「んんっ、はぁ……」
目を開け、わずかに顔を上げて視線がぶつかる。
青い瞳。情欲に濡れて、獣のような荒々しさを孕ませている。
ごくりと息を呑んだ。いよいよ勘違いではないらしい。
迷いながらも伸びた手は彼女を抱きしめ、強く力を込めて、その柔らかな細身を受け入れる。
抵抗はない。それどころか喜びの念が一気に放出されるようだった。
「はぁ、はふ、はぁんっ……」
「よ、よ、よ、よし。そ、そそそ、そういうことなら」
混乱しながら覚悟を決め、彼女の後頭部に手をやったタクトは少女を押さえ、力強く唇を塞ぐ。ちゅうと音が鳴るほど吸い付いて、舌を伸ばして唇から割って入り、口内へ触れる。少女は驚いた様子で目を見開いたが、舌を絡め取られては抵抗できなくなった。
体の力が一気に抜けてしなだれかかった。
もはや彼女のすべてはタクトの手の中にあると言って過言ではない。
両手を動かし、背を撫でて、初めてではあるが舌で口内を蹂躙し続ける。それらすべてに反応して少女は体を震わせた。あまりにも良い反応でタクトは喜びを感じずにはいられない。
口を離して顔を見る。
蕩け切った表情だった。しかしやはり顔色は変わらず、目だけがとろんと様子が変わっている。
想像していた姿とは違ったがその気になっているのは間違いないだろう。
再び喉を鳴らして、意気揚々と彼女の服を脱がせ始めた。
「ほ、ほら、脱げよ。俺と、したいんだろ?」
「んぅ……」
女の扱いを知らないため、手慣れぬぎこちない手振りだった。
もたつきはしたがなんとか脱がすことに成功する。ロングコートをベッドの下へ投げ捨て、ビキニを外し、ホットパンツを脱がす。下着も同時に脱げたようで少女は生まれたままの姿となった。
裸で抱き合っていよいよどちらも興奮が極まる。
見つめ合って動きが止まり、どちらからともなく深いキスをする。
舌を絡め合うこと数分。互いの体をまさぐりながら時間さえ忘れてキスで感じ合った。
「んちゅ、むぅ、むふっ、はむっ――」
貪るようにキスをする。
その間にも互いの体を触っていて遠慮のない様子だ。
タクトは少女の胸や腰や尻を撫で、指に力を入れて強く鷲掴み、少女の左手は彼の胸板を撫でるも、右手は下腹部まで降りていきり立ったペニスを撫でていた。
どちらも力加減を知らず、ただ必死になって触っているだけ。
お世辞にも上手いとは言えなかったが当人たちは満足しているようで、呼吸は荒くなり、尚もキスが繰り返される。ただ触れるだけの物や舌を絡める物まで節操がなく繰り返す。
口の端からくぐもった声を出し、その息遣いすら興奮を高めさせた。
唇を離した時、同じタイミングで薄い乳房をぐっと強く掴み、甘い声を吐き出された。
「あんっ。うっ、はぁ」
「うわ、すげっ。やわらけぇ……」
少女の肌の柔らかさに口元が緩む。
ぐにぐにと力を入れて揉みしだき、ついに我慢ができなくなって態勢をひっくり返して少女を押し倒す。短い悲鳴が聞こえたが全く気にならなかった。
白いシーツに寝転がった少女の裸体を見下ろす。
妙に白いその肌は美しく、人形っぽさを増長していて、改めて見れば奇妙にも思えた。しかしそれ以上に、彼女が裸であるという事実が視界に残り、鼻息の荒さは増すばかり。
体毛はなく、下腹部を見れば女性器が隠されることなく晒されている。
電光の下で見た裸体に見惚れ、一層ペニスが硬くなったかのよう。
今すぐにも暴発の可能性があったが、せっかくの機会を逃したくはないという気持ちが勝り、両手で脚を開かせてその中に体を入れて顔を寄せ、至近距離から女性器を見つめた。
「ほ、本物……これが、本物か」
「うぅ、あぁ……」
陰毛は生えずぴたりと閉じた女陰。
映像で見た形とも違う。幼い、外見に違わず子供のようなそれだ。
初めて間近に見る性器に全身が熱くなり、他のすべてがどうでもよくなって目が離せなくなる。
堪らず彼はそこへむしゃぶりついた。
柔らかい肉はすでにわずかだが濡れていて、自らの舌でこじ開け、膣の中へ入ろうとする。しかし肉の柔らかさとは裏腹に小さな穴は男を受け入れる準備ができておらず、きっと経験がないのだろう、舌先でつつかれてもそう簡単には開きそうになかった。
それがなんだとひたすら舐め続ける。
徐々に肉がほぐれていって感触は変わっていった。
少女は甘い声を発し、身を捩って喜んだ。
「あっ……はっ、あっ――」
くちゃくちゃと奇妙な音が鳴っていた。
いつしか愛撫には愛情が混じる。暴走して訳が分からない状態であっても、小さく喘ぐ彼女を愛おしいと思う気持ちはあった。自分を優先する気持ちにわずかながら気遣いが混じったようだ。
舌先の動きは確実に彼女を高めていく。
伸ばされた両手は彼を求めているようで、抱きしめたいと、指を動かして宙を掻き抱いた。
あいにくその仕草に気付くことはできずにタクトの動きは止まらない。
少女が達するまで口が離されることはなく、しつこいくらいに舐められた。
ついに少女が音を上げて腰を震わせる。一際大きくびくびく震えて、絶頂へ辿り着いたのだとはすぐにわかった。全く同じ瞬間、刺激を受けていなかったはずのタクトまで声を発し、シーツに触れていただけのペニスから精液が吐き出される。彼女につられて達してしまったらしい。
荒い呼吸だけが響く。虚無感と脱力感にべったり張り付かれて動けなくなった。
言葉はなかったが、どちらも幸福感を感じていたことは確かだろう。今更お互いの気持ちの確認を、などというつもりもないがなんとなくわかる気はする。でなければ同時に達したりはしない。
ぐったりしたまま、股に顔を突っ込んでしばらくそうしていた。
疲労を感じる。一方で穏やかな心模様の底から前以上の興奮が沸き出してきたのを感じた。
タクトはまたも完全に勃起しており、態勢のせいか、荒くなった鼻息が少女の陰部を撫でる。くすぐったく感じて少女が反応し、蕩け切った声が漏れた。
勢いよく顔を上げ、タクトが少女の顔を見た。
「よ、よ、よし。もういいよな、大丈夫だよな。それじゃあ――」
自らのペニスを握って位置を合わせる。少女の膣に狙いを定め、数度腰を揺らして亀頭を擦り付け、わからないながらも挿入しようとする。
映像で見ただけの知識では即座に挿入とはいかなかった。
何度も失敗し、擦り付ける動きで気持ち良くなるも、彼女の膣に入ることができない。
無抵抗な少女の腰を掴んで擦り付けて数回。
なんとか挿入は成功し、固さが残る膣にぐっと亀頭が入り込み、勢い余ってペニスの大半が侵入した。衝撃でタクトは首を逸らして目を見開き、少女はシーツを掴んできつく目を閉じた。
「かっ……はっ……!」
「んんっ! はぅ、はぁ――」
あまりにも狭く、痛みすら感じる。だがこれが本物の女性なのだ。
極度の興奮に囚われたタクトは腰を震わせ、もはや気遣いすら忘れて、我武者羅にペニスの出し入れを開始した。感触や音、小さな喘ぎ声、少女の存在ばかりに意識が集中する。
一突きする度に快感が津波のように襲い掛かった。
自慰で一度、触らずにもう一度出したためか、すぐに暴発する事態とはならなかった。しかしあまりにもきつく締め付けてくる感触は今まで味わったことがなく、動きが止められなくなる。
卑猥な音を聞きながら腰は叩きつけるように。
少女の小柄な体を大きく揺らしつつ、ベッドがうるさいほど軋んでいた。
「あっ、はっ、んんっ――」
「うおおっ……! す、すげっ、なんだこれ……!」
凄まじい速度で腰を動かし続けた。
少女の子宮が突かれ、壊されんばかりに刺激が与えられる。表情の変化が乏しく、肌は人間味を感じないほど白くて、どこか人形じみていた少女も明らかに感じている様子だ。
タクトの目は少女に釘付けとなって片時も離れず。
勢いが弱まらぬまま数分が経った。無言でペニスで膣を穿ち続け、呼吸が荒く汗が噴き出た。
「うぅ、はぁ、やばっ……なぁ、中で出していいよな。生でやってるんだからさ」
「はぁ、んっ、はっ、あっ」
「うぐぅ、だ、出すぞっ。中出しするからなっ。う、うぅぅ……!」
肩を押さえつけ、力強くペニスを突っ込んでラストスパートへ入る。
悲鳴のような声を上げながらタクトが頭を振って天を仰いだ。その瞬間に限界を迎えて射精を始め、少女がそれを受け取り、二人の肌が大きく震えた。
「うあああっ、ああっ!」
「あっ……んんっ」
尚も大量に出た精液が膣内を満たした。
凄まじい勢いで体の内側へぶつかって少女の吐息を甘くさせる。
痙攣するかのような震えが数秒。動きが止まった後でぐったりする。
重なり合って静かになった。脱力感がひどく思考することさえ面倒で、ただ相手の体温を心地よく感じ、膣に締め付けられるペニスが気持ちよさを得て、自然と表情が緩んでいる。
休んだのもほんの一瞬。脱力するタクトの頬に手を添え、少女がキスをした。
啄むような短いキス。それを何度も何度も繰り返す。
また子供じみた仕草である。タクトはまた頬を緩めて、今度は得意げに笑った。
「な、なんだ。まだ足りないのか。しょ、しょうがない奴だなぁ」
「ステラ」
「は? 何?」
「私の名前……ステラ」
静かな声で言い、表情はないが、じっとタクトを見つめる少女はやさしい目をしている。
ステラ。その名前は彼の頭の中に刻み込まれた。
「ステラ、って言うのか」
「んんっ」
「あれ? ど、どうした?」
身を捩った少女、ステラの反応が変わる。
名前を呼ばれたことが原因か、硬さを失っていなかったペニスがぎゅうっと締め付けられ、膣の内部の動きが明らかに変わる。さっきとはまるで違う、女として彼を責めようという動きであった。唐突な変化に順応できず、強い刺激にタクトの背が逸らされる。
「ううっ!? きゅ、急に締め付けが……!」
「はっ、はっ、んっ――」
「な、名前か? 名前呼ばれたからこうなったのか。よしっ」
ステラの両手首を掴み、シーツへ押し付け、姿勢を整えたタクトが腰を振り始めた。
さっきまでとはまた違う。どちらも気持ちいいが快感の種類が変わったようで、断然こちらの方が好きだと気分が高まり、最初から素早い動きだ。
無理やりのしかかるような動作が余計に興奮する。
タクトの顔には笑みが浮かび、喜々とした声が発される。
同じくステラも激しい声を発して喜びを露わにした。
「はっ、ははっ。すっげぇ、さっきより、うぐっ、きもちいいっ……!」
「あっ、あっ、あっ――!」
「くぅっ、おぉ、やべっ。またイク、イクぞぉ!」
上体を倒して彼女の唇を塞ぎ、瞬く間に最後の瞬間を迎えたようだ。
間を置かずに膣内へ射精される。
収まりきらずに溢れ出た精液が肌を伝わり、シーツへ落ちた。びくびくと痙攣する二人はそんな些細なことになど一切気を向けることはできず、声も出せずに絶頂を味わった。
脱力して再び倒れ込む。
流石に疲労を隠せないのか、キスすることすら億劫で四肢を投げ出したままだった。
動き出せたのは五分以上経ってからである。
腕を震わせながら頬に手を当て、タクトの唇を塞いだ。
「んっ」
無表情なのに幸福感を感じさせる様子。
細かいことなど考えずタクトの目は不思議とやさしくなる。
小さな音を鳴らしながらキスを繰り返し、まったりとした時間を過ごした。
ようやく気分が落ち着いた頃。
繋がったままの状態でまどろみを感じながら、いまだにペニスの硬度が保たれている。しかし幾分落ち着けたため、タクトはステラの髪を撫でながら改めて彼女について考えることにした。
間違いでなければテレビから出てきた人間。名前はわかったが今もわからない事の方が多く、あらゆる物がわからない存在だ。
ひとしきり抱いた後で考えるのもどうだろうと自覚しつつ、彼女は何者だろうと思う。
思考はつらつらと彼女のことを考え始めるも、しかしふとすれば、気持ち良かったと先程の感想を反芻する。きっとステラも同じことを考えているだろう。表情は和らいでいる気がする。その顔を見て思った。わからないことは多いが案外打ち解けているのではないかと。
見れば見るほど、考えれば考えるほど、むくむくと頭をもたげていって。
またペニスを硬くさせ、緩やかに動き出したタクトにステラが強く抱き着く。
その時だった。
彼ら二人が気付かぬ内に大画面のテレビから怪しげな光が漏れだし、青い光のそれは見る見る大きくなっていって、やがて部屋全体を照らし出す。
ようやく気付いた二人がそちらを見れば、テレビの向こうから何かが出てこようとしている。
妙に角ばった外見の、犬、だろうか。
荒いポリゴンのような姿の生物とも機械とも言い難い何かが、犬とも狼とも見て取れるそれが身を揺すり、荒々しく動いて一刻も早く出てこようとしていたようだ。
驚愕したタクトは自身の姿も忘れ、それを凝視する。
「な、なんだ、あれ」
「あれは、敵」
「敵?」
「そう。きっとタクトを狙ってる」
「は? は?」
がちゃがちゃとテレビを壊しかねない音を発しながら、徐々に出てくる。
深い青の体を持ったその姿は存外大きく、上半身が出た段階で約二メートル。部屋は広いがすべて現れれば埋め尽くしかねないほどの巨体であると予測させる。
その外見のみならず荒々しさを恐ろしいと感じた。タクトは思わずステラを抱きしめて怯える様子を露わにする。対して、ステラは冷静なままだった。何も言わずにそっと右腕を掲げ、指を伸ばし、その犬を指差すかのような仕草を見せる。
気になって見ていると、指先から腕の付け根にまで青い光が迸った。
光が晴れた瞬間、彼女の腕には巨大な銃のような、砲口のような不思議な物体が装着されていた。重そうな外見とは裏腹に彼女の腕は揺れることなくぴたりと照準を定めている。
訳が分からない。そう思った時には砲撃が始まる。
上半身を出していた犬の顔面に岩石にも見える砲弾が叩き込まれ、その巨体をひっくり返した。そればかりかテレビを破壊し、向こう側にある壁さえも貫き、犬を吹き飛ばした。
耳に響くは聞いたこともない轟音。呆気に取られて反応さえできなくなる。
言葉を呑んだタクトはそっとステラの顔を見た。
気付けば、彼女の左目に青い炎が灯っている。熱量は感じないが明らかに異質で、それを見ても言葉を失う。彼女は、人間ではなかったのか。
「お、おまえ、なに……」
「ステラ、だよ」
窘めるように呟かれ、一切驚いていない顔に驚きを隠せない。
一体何が起こっているのだろう。
突然テレビから出てきた少女と奇妙な外見の犬。片方は明らかに凶暴性を見せていて、一見普通かと思われたステラはその犬を吹き飛ばした。
目の前の光景が信じられない。動揺は隠しきれず、鼓動が速くなっていた。
抱きしめたまま固まっていると壁に開けられた風穴から音が聞こえる。二人してそちらを見た途端、落とされたはずのポリゴン犬が鋭い爪を使ってよじ登って来たのである。
怯えたタクトが声を震わせ、彼の背に腕を回すステラはわずかだが眉間に皺を寄せた。
「ひっ!?」
「むっ、しつこい」
自らの硬質な体で壁の穴をさらに広げ、無理やり部屋へ入ってくる。
流石に危険だと判断し、思わぬ力を発揮したステラがタクトを抱え上げ、体は一つに繋がった状態で、素早くも巧みな動きで即座にベッドを蹴って跳ぶ。
飛び掛かってくるポリゴン犬がベッドを破壊した時、二人はすでに窓を破って外へ出ていた。
高級マンションの最上階からロープなしのジャンプ。眼下を見た時、背筋がぞっとした。強烈な風が裸体を吹き抜け、恐怖のせいで膣に埋まったままのペニスが萎えてしまい、自らの死を幻視する。早くも忘れられない体験として彼の中に刻み込まれただろう。
裸の二人は落下していき、呆然とした状態でタクトは自分は死ぬものだと思っていた。それを知ってか知らずか、彼の顔をじっと見つめるステラは唇を寄せつつ、静かに呟く。
「大丈夫。私が、守るから」
ちゅっとキスをして、彼の両足を自分の腰に巻き付かせ、自身は足を伸ばす。
数十階分の落下を経験した二人だったが、ステラは微塵も表情を変えずに地面へ着地した。重力がかかって衝撃は凄まじく、轟音を立てて降り立ったコンクリートの道路は大きく陥没してしまう。しかしステラの体に傷など欠片もなかった。何が理由か、素足で立って無傷である。
その事実や、今しがた経験したばかりの落下にかつてない恐怖を感じ、タクトは為す術もなくステラにしがみつくしかなかった。
「あっ、あっ、あぁっ――!?」
「あ。縮んだ」
膣内で萎えたペニスを感じてステラが呟く。
タクトはすっかり怯えていて、愛しくなったか左手で強く抱く。だがそうしてまどろむ時間などない。上を見れば先程のポリゴン犬が降ってきていた。
追って来たのだろう。真上からやってきて踏み潰そうとしているらしい。
地面を蹴って軽やかに跳ぶ。
ポリゴン犬は頭からクレーターの中に突っ込んだ。耳をつんざくほどの轟音が鳴り、咄嗟にタクトが目を閉じるが、同じタイミングでステラが彼との接合を解いて地面へ置く。多少乱暴で尻を打つも、この場の状況を理解できていないせいで文句を言う余裕すらない。
「いっ、痛ぅ……」
「ここに居て」
短く告げて踵を返し、すぐさまステラが駆け出す。
頭を引き抜こうともがくポリゴン犬へ飛び掛かる瞬間にまたも左目から青い炎が灯され、同じく青の美しい光が左手に現れた。
光は一つの形を模り、消えた時には黒い刀身の刀を持っていた。
ポリゴン犬が頭を引き抜く。しかしその時にはすでにステラが間近に迫っていて。
砲撃が数度。立ち上がったばかりのポリゴン犬の頭が、腹が凄まじい衝撃を受けて巨体が飛び、その場に転ぶ。隙を逃さず飛び掛かって刀が振り上げられた。
ほんの一瞬の出来事である。
頭が貫かれて、直後には青い炎がその体を包み込んで徐々に崩壊させていく。
尻もちをついたままのタクトは目の前の光景が信じられなかった。
素っ裸で、ステラは大砲のような銃と剣を持ち、一匹の不思議な物体を消滅させた。それだけではない、改めてよく見れば辺りの風景が自分の知る物と違っている。太陽は黒く染まり、空は赤茶けた色。街並みはゴーストタウンかと見紛わんばかりにボロボロな様相。以前に外へ出たのはいつだったか。なぜ、世界は姿を変えてしまったのだろう。
呆然として今度こそ立ち直れず、頭の中が真っ白になって、ただ一心にステラの姿を見つめる。
両手に武器を持った彼女がゆっくり近付いてきた。
目の前に立ったところで足が止まり、静かな様子で見つめられる。
「何が、起こってるんだ……?」
「心配しないで。私があなたを守る」
両手が青い光に包まれると瞬時に武器が消え、そこに在るのは素っ裸の少女一人。
尻もちをついて呆然とする彼の前に膝をついて両手を伸ばし、そっと彼の頬に触れる。
「だって、そのためにここへ来たから」
音もなく唇が合わせられた。
訳が分からないままだったがタクトも受け入れ、混乱したままで彼女を抱きしめる。
奇妙な風景の世界の中、しばしキスを続けていた。
崩壊した世界。突然現れた敵とステラ。
すべてを理解しないまま、速くなった鼓動を落ち着けるため、彼女を頼っていたのである。今は何も考えることができず、ただ静かにステラの温かさに惹かれていた。