インフィニット・ストラトス:織斑千冬
少し前からいい加減リクエストを消化しようとしていたのですが、原作を知らなかったりするので中々作業が進みません。
ISもほぼ知らないので、間違ってたらごめんなさい。
少し肌寒い夜だった。
仕事を終えて家に帰る途上、妙に体が重く感じる。身体的には疲れているとも思えないのだが、おそらくは心労だろうか。手のかかる弟を心配しているとこうなることも珍しくない。
織斑千冬は夜の町を一人で歩いていた。
寮の監督を務める彼女であったが、学園の寮には向かわず。
自宅がある彼女だったが、家には戻らず。
向かう先は予定がない限りは必ず向かう場所であった。
辿り着いたのは小さな一軒家。豪勢な訳ではないが極端にぼろい訳でもない。
千冬は迷わずにその家の玄関を開けて入っていく。
「ただいま」
「おかえりー」
冷静な声でそういえば家の奥から声が返ってきた。
千冬が足繁く通う家の主、相良涼の声だ。
彼の声を聞いた途端に、表情こそ普段と同じでクールなままだが、千冬の動きが少し速くなる。焦っているとも思える様子で靴を脱ぎ、玄関から伸びる廊下を歩き出した。
閉じられていた扉を開けてリビングへ。
そこから覗けるキッチンに件の男の背中を見つけて、千冬は迷わず近寄る。
「涼」
「おかえり。もうすぐ晩飯できるからちょっと待ってて――」
放り投げるように鞄を置いて、さらに急いで千冬が涼の背中に飛びついた。腰に手を回して背中に顔を擦り付け、安堵した様子で目を閉じる。
料理の最中ではあったがさほど驚きはしなかった。
涼は苦笑してまたか、と考えて、彼女のしたいようにさせておく。
身長が166㎝の千冬に対し、涼は170㎝程度。ほんの少しだけ高かった。
体格は優れている訳でもないが、千冬に見合う男になりたい、と日頃筋トレをしている効果もあってある程度締まった体をしている。とはいえ、他でもない千冬が「そんなことしなくていい」と言うものだから邪魔されることも多く、過ぎた年月の割には痩せているとも言えるだろう。
彼女に抱きつかれたままで料理を続けられるのには、慣れがあった。
飛びつかれて姿勢が崩れなかったのは肉体的に優れているというより経験の積み重ねらしい。
すでに完成間近だったらしく、涼はテキパキと作業を続ける。
良い匂いが漂い、千冬の頬が緩む。
今日のメインは鶏もも肉だったようで、グリルで食欲をそそる焼き目がつけられていた。
涼が慣れた様子であちらこちらへ移動する。サラダや鶏肉を皿に盛りつけていた。
その背中には相変わらず千冬が引っ付いて離れず、邪魔になっていることすら承知で離れない。
「千冬さん。もうできるからパパッと着替えてきちゃってよ」
「嫌だ。ここに居る」
「またそんなこと言って。ちゃんとハンガーにかけとかないと皺もできるしさ」
今度は何も言わず、腰に回された腕にただ力を入れられただけだった。
やれやれと首を振る。
こうして二人きりになった時、彼女は、普段人には見せない顔を見せる。世界広しと言えども彼女のこんな姿を知っているのは彼だけだろう。
困ってしまう反面、嬉しくもあって、涼は皿に盛りつけた料理を見て微笑んだ。
「よし、できた。それじゃ着替えは後でいいから食べようか。千冬さん、一緒に運んで」
「ん……」
「って聞いてる?」
「わかってる。ちゃんと運ぶさ」
二人分の料理はいくつも皿を必要としていて、とても一人では運びきれない。数回リビングとキッチンを行き来すれば簡単に運べるのだが、千冬が離れないためそれも難しいだろう。
そう言ってしばらく、千冬はまだ動かない。
こうなると簡単には離れない。仕方なく涼が動き出す。
彼女の腕からは逃げないようにしながら振り向き、正面から千冬を抱きしめたのである。
「よしよし。また何かあった?」
「いいや。何もない」
「そっか」
彼女の体に腕を回し、強く抱きしめて頭を撫でてやる。
それだけで嬉しそうに両腕を首へ絡めてきて、涼の首筋に顔を埋めた。
早く移動しようとしたのだが余計に時間がかかりそうだ。
千冬の舌がちろりと涼の首筋を撫でる。
甘えるようで、それでいて少し弱々しい力具合。まだ躊躇っているのか、今一つその気になっていないのか。おそらくは焦らそうとでもしているのだろうと予想するが驚きはしない。
彼の前に居る時の千冬は感情的に行動する。
食事にしようと言っているのに離れる気は一切なく、舌先だけで涼の首筋を舐め続けた。
身長や体格こそ男性である涼の方が優れているとはいえ、単純な筋力は千冬の方が上。
全力で抱きつかれて逃れられないのは何度も実感している。
この状況、さてどうしようかと考えた。
無理に引き剥がすのは不可能。力で敵わないし、仮にできたとして後が怖い。
説得ならどうだろう。あいにく一筋縄では話を聞いてくれなさそうだ。
そう思う間も料理が冷めつつあったため、涼は溜息交じりに千冬の頬を手で撫でる。
抱きついてくるからにはそれなりのことがあったのだろう。否、何もなくても抱き着いてくるのだが、ここまで動かないのは大体疲れている時だ。
機嫌が良い時はあっさり食事を始められることを知っていて、今日は様子がおかしい日である。
「料理、冷めちゃうよ。時間ならあとでいっぱいあるから、ね?」
「ハァ、フゥ……わかっている」
ようやく顔を離してくれたものの、潤んだ瞳で見上げられる。
その直後、首に回した腕でグッと引き寄せられ、唇を合わせられた。それだけならばまだしも、数秒押し付けてから、舌先で唇を割って入る。
熱烈なキスを始められて、千冬は必死な様子で顔を動かし、涼は観念した顔になった。
「ン、フッ……」
(あー……これは多分、今夜は寝かせてもらえないな)
舌先を絡めとられながら、これまでの経験を思い出す。
今夜は長くなりそうだ。
二人の体力は比べ物になるレベルではなく、圧倒的に千冬の方が勝っている。そんな彼女が自分を抑えられなくなるとどうなるか。これまでもその経験はあった。
一度火が点いてしまうと簡単には止められない。
涼は嬉しく想いながらも困り、諦め、今夜も彼女に付き合うことを決めた。
とはいえ、まずは食事からだ。体力をつけるためにも外せない。
息継ぎのため千冬が口を離した瞬間、咄嗟に人差し指を彼女の唇に押し当てた。慣れていたおかげでキスは中断する。その代わり千冬は恨めしそうに指先を銜えていた。
「ごはん食べよ? ね?」
「……ん」
少し不服そうにも感じるが止めることに成功した。その分後が怖くなるが仕方ない。
結局は作った料理を一人で運び、千冬と抱き合ったまま涼は食事の準備を終える。
リビングにあるテーブルへついて、隣同士で席に座った。
相変わらず千冬は涼の腰に腕を回しており、全く離れる気が無い。食事はしにくいとはいえそのままで居るつもりなのだろう。もう抵抗はしなかった。
涼はフォークを使って、少量ずつ料理を食べさせ始める。口元へ差し出せば千冬は抵抗せずに口を開けた。まるで餌付けだ。咀嚼する彼女を愛おしく思う。
甘えると決めた彼女は普段の姿が嘘のように何もしなくなる。
元々家事が苦手だったとはいえ、今の状態では人間として生きる気力すら希薄だ。
とにかく何をするにも涼を頼って、彼が居なければ生活できないほど。
料理を食べさせてもらい、しかし自身もフォークを使って彼に料理を食べさせる。
手間のかかる食事は時間をかけて静かに行われていた。
「おいしい?」
「ああ。涼の手料理をまずいと思ったことはない」
「ありがとう」
「いや。私の方こそ、いつもお前に助けられている……」
ギシッと音を立て、前傾姿勢で再び顔を寄せた。
油断していた涼の唇にキスをして、千冬は彼の太ももに手を置いてさらに首を伸ばす。
食事の途中だというのにキスが深くなった。舌先が唇の形をなぞり、中へ入ってこようとして、思わず抵抗してしまった涼の唇を力ずくで割る。
彼の口内へ入った時、千冬は吐息と共に嬉しそうに頬を緩めた。
「んっ、ンンっ――」
「はあっ……千冬、さん。まだ食事が……」
すっかりお互いの手が止まってしまい、途中で食事が放棄されてしまったようだ。
向かい合わせで涼の膝の上に座った千冬は、本格的に彼の唇を貪り始め、何度も顔の角度を変えながら深く舌を差し込む。歯列をなぞり、舌の上を撫で、唾液を啜った。
もはや涼に抵抗の意思はなく、両手首が千冬の手によって掴まれていた。
(あー、このまま朝までコースかなぁ……)
「んんっ、ふむっ。んっ、ぢゅ……!」
(長い、なぁ。口の感覚が、なくなってくる……)
捕まった舌が一向に離されず、唇で強く吸われている。
思考だけでなく視界までぼんやりしてきて、涼はされるがままに呆然としていた。
千冬は全くやめる気が無い。
時間にして五分以上。一度も口を離すことなくキスを続け、無我夢中で彼を味わった。
もはや彼女自身、興奮と酸欠で何も考えられなくなっていて、それでもやめたくないという感情だけが強くあり、長々と彼の口内をしゃぶり続ける。
そうして二人とも疲れ切った後。ようやく口が離される。
吸い込んだ空気のなんと美味いことか。
ぐったりした涼を熱っぽい目で見つめて、いまだに千冬は不満そうだった。
「ハァ、んっ……もうすこし、していいか?」
「んあっ。らめ、れす」
力が入らずに舌足らずな話し方になってしまった。二人とも舌先がピリピリしている。
ただでさえ苦しいし、これ以上はもうだめだ。
なんとか意見を口にした涼だったが、不満そうに瞳を揺らした千冬は、有無を言わさずもう一度顔を寄せてくる。体に力が入らないため逃げられずに、再び唇が合わさった。
(やっぱりこうなりますよねー……)
「んんん、んふっ、ふぁっ……」
呼吸が乱れるのも構わず舌と舌が絡み合う。
自分自身を制御できない様子の千冬に、涼は諦めた表情だった。
しかし、いい加減息苦しくて休みたいと思い、いつの間にか拘束が解かれた右手を動かす。
千冬は両手で彼の頬を掴んでいる。そこで自身の右手をお互いの間に滑り込ませた。
合わさった唇の間に指を差し込んで、無理やり離れさせると彼女の口に指を二本与える。
効果はすぐに見て取れた。千冬は涼の右手を両手で掴み、人差し指と中指に舌を絡ませ、熱烈な様子で舐め始める。その姿はまるで動物のようでもあった。
今やすっかり手にばかり集中している。
丹念に指を舐め、唾液を塗りたくり、次第に移動して他の指や掌まで舐め始める。楽しそうにも見える表情に涼は溜息交じりに言った。
「ハァ、ハァ……千冬さん、お風呂入る? 入らない?」
「ん、はぁ……風呂はいい。いらない。それより、ベッドに行こう」
「だと思った」
堪えられない様子で千冬がすり寄ってくるため、もう食事どころではない。まだ全て食べ終えた訳ではないが移動することを決めた。
涼が千冬を横抱きにして立ち上がる。
残された料理をそのままに寝室へ向かって、二人でベッドに寝転ぶ。
移動する間も千冬は涼の顔にキスするのをやめず、ある程度唇を避けていなければ視界が遮られて壁にぶつかるところであった。
「よいしょっと」
ベッドの上に彼女を横たえ、涼が上に跨った。
間近で見下ろされて千冬が熱い溜息をつく。
顔がゆっくり近付いていって、近くなるにつれて彼女の頬が赤らんだ。
慣れた仕草でそっと頬を撫でられた。くすぐったそうに体を捩る。
あやすように、甘やかすように、少し触れただけで千冬はわずかに呼吸を乱す。その姿にはこれまでの数々の経歴による威光など残っていない。
一人の女として、一匹の雌として、恥じらいも無くただただ発情していた。
「こら。ちゃんとご飯食べなきゃダメでしょ?」
「む……きょ、今日だけだ」
「この間もそう言ってた」
「次からは気をつける……」
「ふぅ。嫌なことでもあったんでしょ? できれば言葉で言ってほしいけどなぁ」
小さな衣擦れの音を立てながら右手が体を撫でる。
服の上からとはいえ、その気になったことを告げられて体が熱くなった。
千冬は彼の首に腕を回し、再びキスをしようとする。しかしそれを察知した涼が一足早く右手の指を彼女の唇に押し当て、熱烈なキスを阻止した。
「まだ話終わってないよ」
「い、いいから。早く」
「我慢できない?」
「さっきからずっと我慢してる」
「できてないんだけどなぁ……」
つい呆れてしまうものの、ともあれ、好意自体は嬉しいものだ。
涼が顔を近付けて唇を合わせた。二人で同時に目を閉じ、啄ばむように短く触れてはすぐ離れ、また触れてちゅっと音を立てる。もどかしいが深いキスにはない幸福感もある。興奮しているために感情が暴走しかけていた千冬は、回数を重ねると徐々に落ち着いていった。
何度か繰り返しながら、涼の手は再び彼女の体に触れ始める。
「んっ、ちゅっ……脱がすよ」
「うん……」
普段とはかけ離れた姿で、しおらしくなった千冬は小さく頷いた。
両手を使って涼が服を脱がせ始める。
帰ってきた時のままの姿であった。脱がして放っておくのは皺が気になったものの、スーツを脱がしてベッドの下に放置しておく。
上着やシャツ、ネクタイを放ってスカートを脱がすと黒い下着が露わになる。下半身はストッキングに覆われていた。
その体を見下ろして涼はふと考え込む。
大事なところを隠した女体。妙にムラムラする。
今日はこのままで、と決めて、覆いかぶさって千冬の顔を見つめながら手を動かした。
ストッキングとショーツの下に右手を差し込み、守られていた秘部に触れる。
すでにぐっしょりと濡れていた。軽く触れただけでも千冬の体はビクッと震える。首筋に舌を這わせてやると面白いほど呼吸が乱れて、どんどん気を良くしているらしい。
ゆるりと弱々しい力でヴァギナを撫で、クリトリスに軽く触れる。
明らかに体がぶるりと震えて、嬉しそうな、耐え難いのだろう熱い吐息が出された。
「ん、うっ……はぁ。あっ」
小さな声が恥ずかしげに弾んでいる。ようやく得られた快感で感覚が昂っており、目を閉じてうっとりしながらもう躊躇わなかった。
徐々に大胆になっていく。
それは涼が彼女の体へ触れて、心を守っていたはずの鎧を外していくからだ。
首筋を舐め上げ、顔中にキスの雨を降らしてやると小さく声が漏れた。
こうしてやると彼女は面白いように喜ぶ。
千冬の顔を見る涼は得意げな顔でにやけていた。
指の腹で膣の入口を軽く撫で始める。
目を潤ませる千冬と何気なく視線を合わせると、寂しげな表情が印象的だった。感情が制御できなくなっていて子供に戻ったかのよう。普段にはない弱弱しさを感じる。
涼は彼女の唇を塞いだ。
同時に指を膣の中へ挿入し、丹念にもみほぐすようにゆっくり動かす。
そのまましばらく時が流れる。
舌を絡ませながら膣を愛撫して、時折親指でクリトリスを触れば、彼女の息遣いは荒くなった。
時間をかけて徐々に徐々に。そしていよいよという時になって唇を離すと、千冬の顔は上気して桜色に変わり、幼さを感じさせる様子で涼を見つめていた。
口元に弧を描いた彼は至近距離で目を覗き込む。
「イキそう? このままイっちゃおっか」
「ふっ、んんっ……! やっ……いっしょ、がっ」
突然指の動きが激しくなった。
瞬間的に千冬の表情が変わって溜まっていた涙が零れた。
直後に腰を激しく揺らし、どうやら達したらしい。ビクビクと痙攣するように跳ねた腰は何度か動いてから止まり、その後はぐったりして動かなくなる。
千冬の目は虚ろになりながらも涼の顔から視線を外さない。
膣から指を引き抜いた涼はその手を顔の前へ持ってきた。彼女の体液で濡れている。
何気なくその指に舌を這わせ、体液を舐め取り、体を起こした。
意気揚々と自分のベルトに手をかけるとズボンと下着を一気に脱ぎ捨てる。
開放された瞬間に勢いよく揺れたのは勃起したペニス。千冬の目にそれが映る。
何か言いたげな口元へ突き出してやり、涼は笑顔で言った。
「千冬さん、舐めて。舐めてる顔見たくなっちゃった」
優しい口調で言うと千冬は嫌がらず、のそりと動いてペニスに触れる。
唇でちゅっと音を立て、徐々に口を開いて中へ導いた。
慣れた様子で、しかし不思議と初心さを残して、彼女はペニスを舐め始める。半ばほどまで銜えてゆっくり頭を振り始めると、唇をすぼめて竿を扱く。
達したばかりで脱力しているのがそんな表情にさせるのだろう。
幼子のような雰囲気を醸し出す彼女はとても愛らしく、守りたくなる存在に見えた。
普段は自分が守られる側。それだけに時折見せるそんな姿が忘れられない。
涼が優しく微笑んで彼女の頭を撫でた。どこか力が抜けていて、しかし真剣にフェラチオをしていた千冬は目線を上げ、彼を見るとにこりと微笑む。口に銜えたペニスをそのままに、笑顔で見つめてくる恋人の姿にはさらに股間が熱くなるというものだった。
気を良くした涼は自身もそのままで動き出す。
千冬にペニスを銜えさせたまま、彼女の体を跨いで、自身の顔は彼女の股間の前にあった。いわゆるシックスナインの体勢で、早速右手で撫でてみた。
千冬がくぐもった声を出したことに気付き、嬉しそうににやけて、クリトリスを指で撮む。
「んんっ、ふぅ、うんんっ……!」
(かわいいなぁー……)
手を離すと顔を寄せる。尖らせた唇でまずは下着の上からクリトリスに吸い付いた。
千冬の体が大きく跳ねるが、押さえつけるようにして逃がさない。
秘部の全体へ舌を這わせ、舌先で肉を押しやり、唾液を塗りたくって我が物とする。征服感が満たされる瞬間だった。特に彼女の場合、普段の姿が誰からも信頼され、強く憧れられるものであるため、彼女を独り占めにしたという実感がペニスを硬くする。
今や思うがままに速く頭を動かす千冬は、目を閉じて彼のペニスをしゃぶっていた。
お互いの股に顔を埋めて、熱心な様子で愛撫を続ける。
どちらもいつしかうっとりした顔で熱中していた。
やがて涼がこみ上げる射精感に顔を歪めた頃、どうしようかと一瞬迷った。
「あーっ、やばい……千冬さん、もう出ちゃいそう……」
苦しげな声を聞いたところで千冬の動きは変わらず、むしろやめようとはせずに射精を促すべく頭を振る速度を速めた。思わず涼が天を仰ぐ。
仕方ないと感じた彼は腰を上げた。
取り上げるように千冬の口からペニスを抜いて、残念そうな彼女の顔を見る。
どうしようかと悩んでしまう。
考えるのはどこへ出そうかという一点のみだ。
顔に出したい。胸にかけたい。膣に挿入して腰を振りながら中出ししたい。そう長い時間でもなかったが強い欲求が彼を悩ませて、選択に迷いを持たせた。
結局は彼女の顔を見つめながら決断する。
それだけ切なげな顔をされては無視できないだろう。彼女の顔にかけることにした。
体を反転させて体を跨ぎ、いきり立つペニスでツンと胸を突く。
唾液に濡れたペニスを見つめる千冬の前で、手で寄せた乳房の間にペニスを挿入したのだ。
「よいしょっと。今から出すよ。顔にかけてあげるからね」
「ん……そうか。わかった」
切なそうでもあり、期待しているようでもある千冬の顔を見て安堵する。
どうやら選択は間違っていなかったようだ。
両手でぎゅっと大きな胸を寄せ、腰を振り始めた涼は千冬が見ている前で、自慰をするように快感を得て、自らを射精に導こうとしていた。
すでに感覚は近まっていたため、その時はすぐにやってくる。
千冬は気持ちよさそうに歪む涼の顔を見て微笑んでいた。
「イクっ、出るよ千冬さん……! く、口開けてっ」
余裕のない声で告げられるとすぐ、千冬は無言で大口を開けて待つ。
そして涼は弾かれたようにペニスを上げ、大ぶりの乳房がぶるりと揺れて、千冬の顔の横へ挟み込むように膝を置くと顔を跨ぐ。
最後は自らの手でペニスを扱きながら射精した。
「イクっ……!」
「んあっ……んっ」
勢いよく降り注いだそれは千冬の顔を、髪を汚して、少量は口の中に飛び込んだ。敢えて伸ばして待っていた舌の上にも乗り、射精が終わると同時にそれを口の中で転がす。
息を乱す涼はその様子を見ていた。
命令された訳でもなく、千冬は自らの意思で彼の精液を口に含んでおり、簡単に飲み込もうとはせず楽しむように口の中へ広げていた。
息も整わない内から涼は手を伸ばす。
彼女の顔を汚していた自分の精液を指で掬い、彼女の口元へ運んだのだ。
千冬は抵抗することなく彼の指ごと口内へ迎え入れる。
口に入れた精液を全て飲み込んだ後で、涼が彼女の唇へペニスを押し付けた。
すぐさま千冬は銜え、ずずっと大きな音を立てて吸い付いた。
こうして、彼女は大抵の行為を許してくれる。むしろ自ら進んでやるほどだ。
愛おしさはさらに増して、涼が千冬の頭を撫でた。すると彼女は子供のように喜び、目を細めて彼の顔を見つめ、口は尚も精液を吸い出そうと刺激を与える。
再びペニスを抜いてから、涼はベッドに横たわると彼女を抱きしめ、胸に顔を埋めた。
乳房に顔を挟まれ、千冬に抱きしめられて彼は安堵する。
愛する女でもあるが、そうしている間は母性も感じた。快楽を求めてか、それとも子供の精神に戻ってなのか、涼の両手は持ち上げるように乳房を優しく掴む。
胸の谷間に舌を這わせ、乳房を揉んで指を埋め、目を閉じる涼は穏やかな顔をしていた。
千冬は小刻みに震えて声を漏らしていたが構わない。
一方、涼のペニスも見る見るうちに大きくなっていって、すぐに屹立した。
そうなると涼は顔を上げる。
体を起こした彼は今度こそ服を脱がそうとした。外れかけていたブラジャーをベッドの脇へ放り投げてしまい、ストッキングを破いて、ショーツを多少乱暴に脱がせる。
千冬が裸になった時、彼女はその乱暴さで股を濡らしていたらしい。
指で触れれば糸を引く状態。涼は微笑み、千冬は恥ずかしそうに目を逸らす。
その一方で両手を伸ばして涼を求めており、いよいよ来るその時を待ちわびていた。
「きれいだよ」
「涼……早く」
「うん」
擦り合わせて、ペニスが膣へ挿入される。
ずぶずぶと押し込められていく様は実感を得た千冬に悲鳴を上げさせ、嬉しそうに涼の背中へ腕を回す。その力は強く、決して離さないという意思表示でもあった。
互いに強く抱き合って腰を振り始める。
どちらがリードするという姿ではないらしく、どちらもが必死に動いていた。
相手を気持ちよくさせたいという想いと、自分が気持ちよくなりたいという想い、両方が混ぜ合わさって彼らの必死な姿を生んでいる。
言葉もなく、頬を触れさせて目を閉じ、ひたすら繋がった部分の感覚を味わっていた。
二人の声は重なり合い、激しくも安堵するセックスを楽しんだ。
「あっ、あんっ、あぁっ! 涼っ、りょう……!」
「くっ、千冬、さん……!」
名を呼びながらキスをした。途端に舌を絡ませ、更なる快楽を追い求め、一ミリの隙間も許さないほどお互いの肌を擦り合わせる。
これほどの至福があっただろうか。
余裕がない顔とはいえ千冬は嬉しそうに唾液を飲み込み、涼はそんな彼女を愛おしいと思う。
打ち付ける腰の速さは一向に衰えず、体力をつけようと鍛えていてよかったと改めて思う。
「ううっ、あっ、くぅっ……! だめだっ、くるっ、またイってしまう――!」
髪を振り乱しながら千冬が言うが涼は許さない。
抱きしめた状態で責め立てるようにペニスで膣を突き続ける。
千冬は必死に堪えている様子だったが彼には勝てない。勢いを殺さない腰の動きで全身に電気が走ったかのような衝撃が生まれ、一瞬思考がプツリと切れた。
今度はさっきよりも激しい姿で達し、大口を開けながら腰ががくがく揺れる。
声にならない声を上げる激しさを感じさせたことで、涼は一旦腰の動きを止めて休憩する。
千冬は今にも気絶してしまいそうで、全身に力が入らない状態のまま虚空を眺めている。もはやその目に涼を映す余裕もないらしかった。
そんな彼女の唇に一度だけキスをして、涼は休憩もそこそこに再開しようとする。
左手で胸を揉み、唇で乳首を挟んで、右手はクリトリスを撫でる。さらにペニスで膣を突いた。
放心していた千冬がびくっと震えると反応が戻ってくる。目に光が戻り、涼を見つけるとまだ混乱していて、ついさっき達した時の快感で動揺していたようだ。
このまま続けられるのは怖い。
そんな心情をおそらく知っていて、涼は敢えてそのまま続ける。
「だっ、だめ、だ……! まだ、イったばかりで……!」
「だからいいんじゃないか」
「うっ、んんっ、あっ――!」
「何回でもイっていいよ。もっとイカせてあげるから」
複数の箇所を同時に刺激しながら、涼のピストンがまたも千冬を追い詰めていく。
達する度に敏感になるかのような体はもはや完全に彼に支配されていた。
流石に休みなく動かしていたのは無理があったのか、しばらくの間は涼の行動に無茶はなく、非常にゆったりとしたペースで千冬の体を愛でていた。胸を揉み、乳首を舐め、クリトリスを撫で、膣の入口から奥までをペニスで撫でる。
比較的早い段階で涼は余裕を取り戻していたが、千冬は苦しげな嬌声を発していた。
落ち着く暇を与えない快楽の波に自分を忘れかけていたようだ。
指で摘んだクリトリスをきゅっと捻った時、また千冬の体が大きく震えた。
すぐにぐったりする彼女を見て涼は大きく息を吐く。
そろそろ自分も限界。彼女が達したのは一度や二度ではなく、その度に射精しそうになった。
「やっぱり今日は……口に出したいかなぁ」
狙いを決めて、息も絶え絶えな千冬の唇を奪う。
驚く彼女の顔を至近距離で見つめ、甘えた声で問いかけた。
「ねぇ千冬さん、俺のザーメン、飲んでくれる?」
「ふっ、んっ……! のむ、のむからぁ……!」
承諾を得られて涼は嬉しそうな顔で行動に移した。
ピストンを一気に速めて、ペニスが膣内で乱暴に動き回る。時折腰を回しながらも全体へ擦りつけて、残っていただろう微量の余裕さえ刈り取っていく。
彼の首に腕を回した千冬は濡れた瞳で顔を見つめて、へらりと力の入らない笑みを浮かべた。
いよいよという時、涼は両方の乳首を捻って膣の一番奥を突き、先に彼女をイカせる。
千冬がぎゅっと目を閉じて震えたのを確認すると、慌ててペニスを引き抜いた。
「んんんっ!? んっ、あぁっ……!」
「はぁっ、出すよ。口開けてっ」
慌てて顔を跨ぐと腰を下ろし、乱暴に口の中へペニスを突っ込んだ。
自分の手で竿を扱いて刺激を与え、勢いよく射精する。
目を白黒させながらも千冬は口どころか喉まで飛び込んでくる精液を受け止め、飲み込もうと喉を動かした。絶頂の直後の出来事であり平常心などあったものではない。
ペニスを吸われる快感を覚えながら、気持ちよく出し終えた涼は彼女の頭を撫でる。
「あぁ……はぁ……ありがとう千冬さん。すごくよかった」
ちゅぽんと唇から離れて、露わになったペニスは彼女の唾液で濡れていた。
惚けた様子で微笑んだ千冬は脱力していて、彼の発言に気を良くすると、気絶するように眠り始めてしまう。連続して感じた絶頂が原因だったらしい。体を鍛える際に感じるものとはまるで違う疲労感を心地よく思いながら、涼の手を握って目を閉じた。
すぐに寝息が聞こえ始めたことに苦笑して涼は隣へ寝転ぶ。
これで明日も元の調子に戻っているはずだ。
彼女を理解しているからこそ、多少の無理をさせ、何度もイカせた。これで元通りになる。
普段、千冬は弱音を吐かない。あまり他人を頼ったりもしない。そうして溜まった疲労やストレスを解消してやることも涼の役目の一つだった。
彼女が唯一甘えられる相手。むしろ本望というもの。
これほど愛され、愛情を明確にぶつけられるのは男冥利に尽きるので、彼は喜んでいた。ただ、今日のところは眠ってくれたが、体調まで万全であると朝日が出ても終わらなかったりする場合があるため、喜んでばかりもいられないのだが。
こうして制御できるようになるまで何度涙を飲んだか。
力ずくで無理やり押し倒されたり、精根尽き果てるまで搾り取られたり、それでも飽き足らずに様々な変態行為を強要されたこともあった。
悪い思い出ではないのだが、思わず溜息をついてしまいそうになる。
今日などはまるで天使の寝顔。見ているだけで驚くほど癒された。
微笑む涼が彼女の耳元へ唇を寄せ、囁く。
「まぁ、変態な千冬さんも大好きだけどね。おやすみ、千冬さん……また明日ね」
額に軽くキスをした後、彼女の体を抱きしめて自らも目を閉じる。
自分も少なからず疲れていたのか、すぐに眠りに就いた。
抱き合って眠るのはどんな環境よりも居心地がよく、安堵を覚える。眠っているはずの千冬はいつの間にか表情が変わって、笑みを浮かべる安らかなものとなっていた。