※この作品はR-18です。

蛇獣書房   作:ヘビとマングース

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 ボーイズラブです。
 苦手な方はご注意を。


※背徳の味(鋼の錬金術師)

 窓の外を眺めてみれば、静かに雨が降り出していた。

 ベッドに寝そべった状態でも窓ガラスに水滴が当たっているのがわかる。ぽつぽつと触れる様を眺めて久しぶりの雨だと感じていた。

 

 「雨、降ってきたな」

 

 裸で寝ていた青年が呟く。

 股に顔を埋め、勃起したペニスを口に含み、頭を動かしていた少年が反応する。

 

 「腕と足、痛むのか?」

 「んっ……ちょっとな。別に大したことじゃない」

 「そっか」

 

 金色の髪を撫でてやり、彼は再びペニスに唇を押しつけ、ぱくりと亀頭を銜え込んだ。

 エドワード・エルリックは“鋼”の二つ名を持つ凄腕の錬金術師である。様々な噂が飛び交って、実物を知らないまま誤った情報だけが独り歩きしていることも多いが、少なくとも市民に優しい笑顔が素敵な長身の男性ではない。

 年齢の割には小柄であり、“チビ”と言われたらすぐにキレるほど気性は荒い方で、頭脳明晰でありつつ運動能力も高く、容姿は整っているが性格は素直ではない。血を分けた弟をして“大変な兄だ”と言われる男性であった。

 

 自身も裸になり、四つん這いの体勢で男性の股間に顔を寄せて、平然とした顔でフェラチオをしている。その姿は慣れていて、恥じらいも嫌悪感も感じられない。

 もう何度もしてきた行為だ。唾液を絡ませ、じゅぽじゅぽと音を立てる。

 

 青年とはそれなりの関係にあった。元は幼馴染で、ある時に引っ越しをして田舎を出て都会で暮らし始めたのだが、手紙を通じて関係は続き、エルリック兄弟が旅に出るようになってからは何度となく家を訪れて会うようになっていた。

 そもそもはこんな関係ではなかった。しかし今では当然の行為になっている。

 

 「エド」

 「んー?」

 「おいしい?」

 「は? バカじゃねぇの」

 

 顔をしかめて答え、エドワードはすぐにフェラチオを再開した。

 適当な問いかけだったため青年も気にしない。洗ったばかりの髪を撫でてやり、さらりとした手触りを指に絡めながら、ペニスに絡みつく彼の舌でわずかに息を吐き出す。激しさがない分、穏やかで丁寧な舌使いに気を良くして、再び問いかける。

 

 「あのさ、アルに聞いたんだけど」

 「うん」

 「ウィンリィのこと好きなんだろ?」

 

 聞いた瞬間、エドワードの全身に力が入った。

 青年が表情を歪めて体を跳ねさせ、睨むようにして彼を見る。

 

 「いっ……てぇ~。歯ぁ立てるなよ」

 「う、うっせーな。お前が変なこと言うからだろ」

 「ただの質問じゃないか。図星だったのか?」

 「ちげぇよ……そんなんじゃねぇって」

 

 言ってエドワードは青年のペニスに口をつける。その姿を見た後、温かい感触に包まれたことに安堵を覚えながら、青年は雲に覆われた暗い空を見上げた。

 

 「素直じゃないからなぁ」

 「んなことねぇよ。言いたいこと言ってんだろうが」

 「機械鎧(オートメイル)、ウィンリィが整備してるんだろ?」

 

 ペニスから口を離したエドワードは右手の指を開く。

 機械の義肢。彼の右腕と左足は失われており、補うための機械が着けられている。機械鎧(オートメイル)は神経に繋ぐことで生身の体とそん色なく動かすことができるが、雨が降ると付け根が痛む、とはエドワードが話していた情報だ。

 

 幼き日に一緒に遊んでいた活発な女の子。確かお婆ちゃんが機械鎧(オートメイル)技師で、幼い頃から機械いじりをしていたはずだと思い返す。エルリック兄弟と親しかった彼女に惚れていたとしても不思議ではない。青年はそう考える。

 

 「たまにだよ。あそこに帰るのはよっぽどの時だ」

 「ウィンリィか……引っ越してから一度も会ってないな」

 「会いに行ってやれよ。お前が来たらあいつもばっちゃんもデンも喜ぶぞ」

 「お前だって故郷だろ。もっと帰ればいいのに」

 

 神妙な面持ちをして、大きく溜息をついたエドワードが彼のペニスに頬を触れさせ、脱力して彼の上に寝そべる。

 気落ちしている姿は飽きるほどに見慣れていた。青年は彼の頭を優しく撫で、しばらく自分から話し出すのを待った。

 

 「家、もうないんだよ」

 「うん。知ってる。でも待っててくれる人は居る」

 「あそこには帰らないって決めたんだ。そのために家を焼いた。そう何度も帰ってたら何の覚悟だったのかわからなくなる」

 

 ぐったりした様子でエドワードは動かない。尚も頭を撫で続けた。

 

 「多分リゼンブールよりよっぽどうちの方が多いだろうな」

 「ここは研究室も兼ねてるんだよ。資料も置いてあるし」

 「俺の家だよ」

 「どうせ一人だろ」

 

 機械の右手でペニスの裏筋をそっと撫で、冷たい鋼が、肉棒の熱を奪おうとする。

 なぜ腕と足を失ったのか、事情は聞いている。その頃、親に連れられてすでに田舎を離れていた青年は現場を見ておらず、しかし数年の空白を経たエルリック兄弟と再会して、どれほど過酷な状況だったかは疑いもせず受け入れることができた。

 子供の頃とは違うのだと、再会したその日、顔つきを見たことですぐに理解したのだ。

 だからだろうか。若い男が二人、こうして薄暗いとはいえ夕方から裸で抱き合っているのは。

 

 最初はおそらく、自暴自棄だったのだろう。苦手なはずの酒を飲み、暴れ出したエドワードを押さえつけてベッドに寝かしつけ、介抱するため様子を見ていると、ぬくもりを求めるように抱きついてきたのである。

 彼らの心には深い傷が残っているに違いない。それを察した後、幼馴染でなくとも無下に振り払うこともできず、暴れ出す感情の逃げ場がなくて困っていたエドワードを見やり、言ってみれば酒の勢いなのだろう。彼がしたいようにさせてやった。それがきっかけ。

 逃げ場のない彼に捌け口を与えた。青年はこの関係をそう思っている。

 

 幼馴染と言えば同じだが、故郷に残した女性には弱みを見せられない不器用な彼は、こうしている今も罪悪感を抱いている。おそらくはウィンリィと、弟のアルフォンスに対して。特に弟の話題になると彼は極端に弱くなる。それほど後悔の念が強いのだろう。

 

 複雑な関係ではあるのだが、なるようにしかならないと諦めている。

 もしも今エドワードを突き放せば、彼が壊れてしまうような気がして、誰にも言えないこの関係を続けているのは、少なくとも青年にとっては彼を守るためであった。

 それにしてはおかしな方法だと自覚しているとはいえ、慣れた今では不思議にも思わない。

 

 「アルは、俺たちのこと知ってんのかな……」

 

 脱力したままのエドワードがぽつりと呟く。寂しげで、どこか不安が窺える声色だった。

 少し間を置いてから、青年は苦笑して答える。

 

 「賢いからな。気付いてても言わないと思う」

 「そうだな……」

 「心配するなよ。別にこんなとこしてるからって幻滅しないし、仮に現場を見られたとしてもエドのこと見捨てたりしないよ、アルは」

 「どうだろうな。案外あっさり兄弟の縁切られるかも」

 「平気だって。説教はされるだろうけど。ウィンリィのことほったらかしだしさ」

 「だから……ハァ。もういいよ、それは」

 

 体を起こしたエドワードは腹に向かって反り返るペニスにキスを落とす。

 唇を押しつけたかと思うと、じろりと青年の顔を見つめ、触れさせたままで話し出した。

 

 「言っとくけど、お前とこうしてんのだって、別にやけになったとかじゃねぇから」

 「あら、私のこと想ってくれてるの?」

 「バーカ。まぁ……多少はな」

 「ハハッ。ありがとエド。そうじゃなきゃ、そこまで熱心に舐められないもんな」

 「うっせぇ」

 

 両手を使ってペニスを起こし、根本から舌を這わせて先端へ向かっていく。エドワードの仕草には数多の経験が感じられて、これまで何度もそうしてきたのだろうと思わせる。

 ずいぶんいやらしい顔をするようになった。青年はじっと見つめて考える。

 当初こそわけもわからず動いていたのに、今では自分の物だと主張するようでもあって、同性でありながらどこか可愛げがあると思える。小柄であることも関係しているのだろうか。鍛えられた筋肉質な体だが細くて小さく、背丈は青年の方が高い。仮に身長が同じか、彼の方が高かったのならこんな感想は持たなかったのかもしれない。

 

 「今チビって言ったか?」

 「何も言ってない。気にし過ぎだよ」

 

 フンと拗ねるように鼻息を荒くしたエドワードは急に体を起こした。

 青年の顔を跨いで腰を下ろし、勃起していた自身のペニスを顔の前へ突きつける。股の間から覗き込むようにして鋭い眼光を飛ばすと命令するように彼へ言うのだ。

 

 「お前もやれ。じゃないと俺だけ不公平だ」

 「好きでやってたんじゃないのか?」

 「やれ」

 

 ぐいっと唇に亀頭を押しつけられたため、仕方なく青年は口を開いて迎え入れる。今更嫌だとは思わない。今までにも経験があった。その全てがエドワードで、どこをどう責めれば感じるのか、正確に理解してしまうほど繰り返した行為だ。

 じゅぽっと音を立てて強く亀頭に吸いつく。エドワードは反応してすぐに吐息を洩らした。敏感な彼は姿勢を崩し、へたり込んでしまう。

 

 口をすぼめて顔を動かす。青年のよりはいくらか小さい、しかし硬くて立派なペニスを刺激して全体に唾液を塗りたくった。

 青年の体感では、エドワードは早漏だと思っている。自身が遅いという自覚があるせいか、対比してみると明らかに時間が違って、性格と同じで我慢できないのだ。意図して力を入れたらどれほど耐えられるものか。少し楽しみにしながらペニスに吸いつく。

 負けじと彼も青年のペニスに舌を絡めるのだが、すでに腰は小刻みに動いていて、目で確認できる反応に青年が微笑んだ。

 

 「うっ、ふぅ……!」

 「あのさぁ、俺もしてほしいんだけど」

 「う、るせぇ……わかってる」

 

 怒りをぶつけるようにぢゅうっと一際強く吸った。声を出して反応するのだが、平静を失うほどではないようでエドワードのペニスに再び口をつけて、舌先でカリを引っ掻いてやると、ビクッと震えてまたしても刺激が弱くなる。

 もはや体の隅々まで知っているのだ。仮に勝負になったとしても負ける気はなかった。

 

 お互いにペニスを銜えて刺激し合って、エドワードが射精したのは突然だった。

 上に乗っかるエドワードが精液を放ったことにより、喉の奥まで飛び込んで青年は、眉間に皺を寄せて苦しげな顔をする。しかし放たれたそれは一部とはいえ飲んでしまい、残りは口に溜めて、尿道に残っている分を吸い出そうとしていて、自ら口を離そうとはしない。

 精子を口に含んだままお掃除フェラをされて、エドワードは安堵した様子で呼吸を整える。青年の行動を咎めるでもなく落ち着いていたようだ。

 

 ぺちっと叩かれたことでエドワードが腰を上げる。

 体勢を変えて、青年がエドワードを正面から抱きしめる。即座にキスをして舌を差し込むと、奇妙な味と感触を覚えてエドワードが表情を歪めた。

 

 「うえっ、まじぃ……!?」

 「自分が出したんだよ。よく飲ませたがるけど美味いもんじゃないんだから」

 「俺に飲ませんなよ」

 「だから口の中に出すなって」

 

 げんなりした顔で言うエドワードは指で舌を撫でるほど気にしているらしく、ベッドの傍らに置いていた水を飲んで口の中を洗い、自身がそうするだけでなく、自分の口に水を溜めると口移しで青年にも飲ませた。

 

 「エドってやっぱり早いよな」

 「……え」

 

 平然と呟かれた言葉を聞いたエドワードが硬直した。

 衝撃は凄まじかったようで、憎まれ口を叩くことさえ忘れていた。

 

 「俺まだイッてないよ」

 「い、いや……うん……そうだけど。大体、始めたタイミング違うし……」

 「同時に始めても大体エドが先にイッてるし」

 「お、おぉ……」

 「勝負だって始めてすぐイッたこともあったよな」

 「あ、あれは、体調が悪かっただけで――」

 「意外と結構早漏だよな」

 

 改めて突きつけたのは意図的だった。エドワードは見るからに顔つきを変えて、反論する気力を折られて俯いてしまう。

 その表情を見た青年は嬉しそうに笑い、静かに彼へ体を寄せる。すっかり下を向いてしまったペニスを掴んで、乳首に口をつけて吸いつき、舌で転がす。

 

 「ほら、そんなに落ち込むなって。別に悪いって言ってるわけじゃないんだから。俺はむしろエドの早漏が好きなんだから」

 「フン……どうせ早いですよ」

 「拗ねるな拗ねるな」

 

 掌で包むようにペニスを掴んで、上下に動かし始めた。

 エドワードは顔を背けて拒むような素振りだが、少しすれば吐息は乱れ、体の力が抜けていく。自覚はあるのだろう。しばらくは大人しくしていたがやがてやけになった様子で自らベッドに体を埋め、無抵抗を主張した。

 青年はその上に乗り、楽しげに笑う。

 

 彼のものよりいくらか小ぶりなペニスを扱いてやると、感じた顔で静かに目を閉じる。その表情を見るのが好きだった。憮然として眉間に皺が寄るが、ペニスに感じる気持ちよさで深く息を吐き出している。そんな態度が見たくてついつい意地悪してしまうのだ。

 

 「なんだかんだで喜んでるんだから、口は悪いけど可愛いとこあるよな」

 「誰がっ、喜んで……」

 「ここは喜んでんじゃん」

 

 ぢゅうっ、と吸いつくと、エドワードの体がびくっと跳ねた。

 反論は無理やり封じ込まれた形になり、不満そうな様子を見せながらも体の反応は抑えられず、感じている苦悶の表情を確認しながらペニスを銜えて頭を振る。

 

 しばらくは黙ってフェラチオを続けていたのだが、エドワードが勃起して、自身もまだ射精しておらずに勃起した状態を保っていて、青年は笑みを浮かべる。

 体を起こし、彼の足を掴むとがばっと大きく広げさせて、尻の穴に目を向けた。さっき舌で舐め回した上にこれまでの経験で慣れている。準備は良いはずだ。

 

 いよいよという意志を感じた途端、エドワードが体を勢いよく起こした。

 怒りの念を感じる表情で歯を剥き出しにして抗おうとする。

 

 「今日は俺が動く」

 「いいけど、大丈夫か?」

 「どういう意味だよ」

 「また先にイクんじゃないの?」

 

 額に青筋を確認し、激怒しているのは明らかだった。

 衝動的に押し倒されて上に乗られ、エドワードは自ら腰の位置を合わせ、片手で青年のペニスを支えると自らの尻の穴に触れさせる。

 怒りながらもにやりと笑い、やってやるという強い意志を感じた。

 青年は微笑み、余裕を見せる態度で受け入れる。

 

 「吠え面かかせてやるからな。さっきの言葉、忘れんなよ」

 「そのセリフ何回聞いたことか……」

 「うっせぇ」

 

 ぐっと腰を下ろして、彼のペニスを体内にずぶずぶと呑み込んでいく。

 苦しげに深く息を吐いて表情が歪んだ。奥まで入り込んだ後、背を丸めて俯き、表情を隠そうとするかのようだ。

 見ずともわかる青年はエドワードの頭を撫でてやり、落ち着かせて先を促す。

 

 ゆっくり腰を動かし始める。ぐぽっと妙な音を立てながら、尻の中で上下に扱かれ出した。

 苦しそうな様子のエドワードだが動きは止めず、自身のペニスを揺らしながら、青年をイカせようと躍起になっているようだ。しかし青年よりも自分の方が辛そうで、早くも余裕がない様子なのは表情や息遣いで鮮明に伝わる。

 自らが動くことによって前立腺が刺激され、思わず声が漏れた。エドワードが歯を食いしばったのを見て、青年はいつものことだと思って動揺しなかった。

 

 「ふっ、くっ……んっ、あっ」

 「女の子みたい」

 「う、るせ……」

 

 自らが辛くなる一方だが、ずんっずんっと一気に腰を下ろして、一定のペースで奥までペニスを押し込む。呼吸が乱れて目を閉じている時間が多くなった。エドワードは絶えず腰を振り、青年をイカせようと躍起になっているようだった。

 揺れるペニスを眺めて、カウパーが垂れているのを確認する。余裕がないだろうに、見返してやろうと力を入れる彼はやはり負けず嫌いだ。

 ウィンリィと付き合うまで先は長そうだと溜息をつき、青年は彼のペニスを握る。

 

 「あっ、おい……」

 「別にいいだろ。これくらい」

 「んっ、くっ、あっ――」

 

 彼のアナルは呑み込んだペニスを万力のように強く締めつけていて、青年とて余裕があるわけではない。決して激しい動きではなかったが、一定のペースでペニス全体が扱かれるため、慣れた腰使いがいやらしく、まるで女のようだとその姿を見つめる。

 鍛えられて引き締まった肉体や、掌に包んだペニスを見れば男であることは間違いない。それだけに不思議な気分だ。

 

 青年がペニスを扱くとエドワードの動きが鈍くなる。抑えようとする声が漏れ出て、顔を見ればすでに余裕など残されていない。

 微笑む青年は上機嫌で、予想通りではあったがそれを良しとしていた。

 

 「んっ、はぁ……」

 「腰、動いてないけど」

 「だっ、から……さわんなって、言ってんだろうが」

 「しょうがないなぁ」

 

 唐突に青年がペニスから手を離した。その直後、彼の膝の裏を両手で持ち、ぐいっと押し上げると体勢を入れ替え、繋がったまま正常位の姿勢になる。

 突然視界が変わって、押さえ込まれたエドワードは焦りを見せた。しかしぐっと押し込まれて表情が歪み、抗議することさえできない。

 青年は自らが腰を振り始める。明らかにさっきよりも速くなり、声が大きくなった。

 

 「ああっ!? お、まえ、ふざけんなっ……!」

 「こっちの方が好きだろ?」

 

 激しいピストンで腰をぶつける。

 小柄なエドワードは大きく体を揺さぶられ、ベッドがギシギシ音を立てる。

 抵抗する力はなく、もはやされるがままに突かれるばかりで、シーツを強く握りしめて思わず出てしまう声を響かせていた。一突きされる度にペニスがぶるりと揺れて、弾むように全身が動く様に青年は気を良くする。

 

 いくらか辛そうな様子に見えるのだが、体が丈夫だと知っていて、そうして激しくされるのが好きだとも知っていて、手加減はしない。

 ベッドが壊れるのではないかと思うほど、やかましい音を立てながらピストンを続ける。

 

 前後不覚になるほどの衝撃に襲われてエドワードは必死に耐えていた。

 すでにイッているのか、イッていないのか、自分ではわからない。少なくとも本人は常にイキ続けているような感覚に陥り、自分の状態さえ理解できなかった。

 青年にペニスを掴まれており、激しく扱かれていることだけはわかった。

 

 「あぁっ、んんっ、はぁぁ……!」

 「うし、イクぞ。まあ、聞こえてないか」

 

 覆いかぶさった状態で奥深くまで突き込まれて、びゅっと吐き出された精子を感じ、一際大きくエドワードの体が跳ねる。

 終わった直後はひどい熱気だった。汗に濡れたまま抱き合い、荒い呼吸を続けて、快感の波が引いて落ち着くのを待つ。

 

 ペニスを抜くと、ぽっかりと大きく開いたエドワードのアナルから精子が流れ出る。

 抱きしめ合って動かず、青年はエドワードの首筋に唇を触れさせ、わずかに吸いつく。跡が残らないよう気をつけながらそっと舌を這わせた。

 

 「なあ」

 「ハァ、ハァ……あん? 何だよ……」

 「元の体、戻るんだろ?」

 「ハァ、当たり前だ。そのために色々調べてんだから」

 

 機械の腕に触れ、手を握る。彼も指に力を入れて握り合う。

 

 「元に戻ったらさ、アルとヤッてもいい?」

 「は? ふざけんな」

 「男に慣れたよ。お前のせいで」

 「お前バカだろ。変なこと言ってんな。俺で我慢しとけ」

 「んー、まあ、そもそも手ぇ出してきたのはお前だしな。惜しいけど、しょうがないか」

 

 わざとらしく溜息をつくとエドワードがむっとした顔になったのがわかる。

 無理やり唇を塞がれ、ちゅうっと吸われた。

 至近距離で睨まれたが青年は笑っている。こんなことが日常なのだ。

 

 「手ぇ出すなよ」

 「妬いてんの?」

 「んなわけねぇだろ」

 

 不機嫌そうにしながら再び唇を合わせられた。

 青年はそれを受け入れ、自らの下に居る彼のしたいようにさせる。

 

 

 *

 

 

 見上げるほど大きな鎧が頭を下げるのを見て、青年は手を上げて挨拶した。

 アルフォンス・エルリックはエドワードの弟だが、彼の倍以上の身長と体格を持つ。兄弟だと説明して信じてもらえないのは当然だろう。

 事情を聞いて知っている青年は平然と彼の存在を受け入れており、怯えることもない。

 姿形は大きく変わっても幼馴染の声は昔と変わらず若々しい。

 

 「ごめんね。また兄さんが迷惑かけたみたいで」

 「迷惑かけた前提で言うなよ」

 「いいよ。いつものことだから」

 「かけてねぇだろ」

 

 不機嫌そうに言うエドワードはすでに青年に背を向けていて振り返る様子はない。素っ気ない態度はいつものことで、二人はふてくされた子供のような彼を見て何を思うでもなく、したいようにさせて放置している。

 

 エルリック兄弟が幼馴染である青年の家へ来るのは珍しいことではない。

 子供の頃から知っているという間柄がそうさせるのか、エドワードは彼の家に自身の研究資料を置いているだけでなく、いくつかの荷物も置いている。訪れる際には笑顔を見せることが少なく、無愛想にしているのだが足を運ぶ機会が多くて、弟として常々共に居るアルフォンスは、素直ではない兄がよほど彼のことを気に入っているのだろうと見ている。

 

 気に入っているのに素っ気ないのは、正直に言えばめんどくさいなとは思いながら、我が兄はいつもめんどくさいから仕方ないとアルフォンスは諦めている。

 それを幼馴染とはいえ青年にも味わわせるのは申し訳なく思う瞬間もあるが、付き合いが長いから別にいいかとも思っている。

 

 開けっ放しの扉の前に立ち、二人を見送ろうとする青年は腕を組んでいた。

 いつものように笑顔を見せてくれる。昔と変わらず付き合い、支えてくれる彼が居るおかげで安心して旅が続けられる。アルフォンスも彼に対する信頼は強かった。

 

 「次はどこへ行くんだ?」

 「まだ予定は決まってないんだ。手掛かりがなくなったばっかりだからね」

 「そうか。まだ時間はかかりそうだな」

 「そうだね。でも、気長にやるよ。それしか方法がないから」

 「師匠に会ってみたらどうだ? 手掛かりがあるかもしれないんだろ?」

 「そんなことしたら殺される」

 

 ぶるっと体を震わせたエドワードを見て、よほど怖いのだろうと感じ取る。アルフォンスも何も言わないがうんうんと大きく頷いている。

 やれやれと頭を掻き、青年はアルフォンスに目を向けて言った。

 

 「ま、疲れたらうちに来い。宿賃は取らないし、メシくらい作ってやる」

 「ありがとう」

 「フン、その度に嫌み言われるのはごめんだぜ」

 「またまた。そんなこと言って結局来るくせに」

 

 呆れた口調でアルフォンスが言ってもエドワードは振り向かなかった。どうやらそのまま去ろうと決めているらしい。仕方なさそうにアルフォンスが青年に向き直る。

 

 「ごめんね。兄さんがちっとも成長してなくて」

 「おい、それは身長のことか? 暗にチビだって言ってんのか?」

 「気にすんなよ。アルが悪いわけじゃないから」

 「俺だって悪くねぇだろうが」

 「兄さん、今日は元気だね」

 

 どうにも今日は分が悪い。

 がしがしと頭を掻いたエドワードは意を決して大股に歩き出した。

 

 「行くぞアル。いつまでもくっちゃべってんな」

 「お世話になったのに何を言ってんだよ」

 「気にすんな。慣れてるから」

 「ごめんね。また来るよ」

 「ああ。いつでもいいぞ」

 

 アルフォンスはがちゃがちゃと足音を鳴らし、急ぐエドワードを追う。

 その背を目掛けて、苦笑した青年が声をかける。

 

 「エド。また来いよ」

 

 一瞬足を止めて、がしがし頭を掻いた後、振り向かずにエドワードが答える。

 

 「……おう」

 「またね」

 

 今度こそ急がずに、肩を並べて旅立っていくエルリック兄弟を見送った。

 青年は二人の姿が小さくなり、見えなくなるまで家の前に立っていて、ようやく見えなくなった頃に大きなあくびをしてから家に入って扉を閉める。

 きっとまた来るのだろう。そう思いながらゆっくり眠るためにベッドへ向かった。

 

 「兄さん」

 「何だよ」

 「二股っていけないことなんだよ」

 「あ? 何の話だ」

 「僕は大人だから、兄さんのプライベートには何も言わないけどさ」

 「意味わかんねー。俺がいつ二股なんか――あっ!?」

 「兄さんは元々声が大きいんだから気をつけないとね」

 

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