一人暮らしを始めた僕の高校生活はバラ色でした。 作:チャンドラ=グプタ
「ようやく街についたわね!」
「そうですね」
「ええ」
「いやぁ、長かった……」
みんなはそれぞれ、街についたことを喜んだ。
ヴィネとの戦闘後、俺たちは森を再び歩き、一時間ほどしてようやく街にたどり着いたのである。
この街には西洋風の建物や猫耳を生やした亜人、トカゲっぽい二足歩行の生き物など、ファンタジーの世界であると彷彿とさせるようなあらゆる種族の者達がいる。
「始まりの街、シベラ……」
マップを開き、マップに記載されているこの街の名前を呟いた。
シベラにはあらゆる建物がそびえ立って降り、非常に興味がそそられる。
マップを拡大すると、たくさんの面白そうな名所があるのを確認できた。
武器屋にギルドハウス。
さらには、闘技場まであった。
「よし! まずはギルドハウスに行きましょうか!」
薫さんがそんなことを提案してきた。
「ギルドハウスですか?」
留衣さんが質問すると、薫さんが「ええ」と呟いた。
「小○家にな○うとか、そういう感じの話だと、大抵ギルドハウスに行っておけば間違いないわ!」
だめだこりゃ。伏字で隠しきれてない。丸わかりである。
というか、このゲームは何をしたらクリアになるのだろうか。
俺たちはマップを確認し、シベラの東方面のギガ地区というところに移動し、ギルドハウスへと向かった。
ギルドハウスは木造建ての大きな建物。
建物には次々と冒険者が出入りしていた。
ドアを開けると、『カランカラン』と鈴の音が鳴った。
中にはたくさんの冒険者と思わしき人たちがテーブルの椅子に座り、雑談や食事、なかには飲酒をして楽しんでいた。
奥へと進み、カウンターのお姉さんに薫さんは話しかけた。
「あの、クエストを受けたいんですけど、お願いできますか?」
「ちょ、薫さん! いきなりクエストをするつもりですか?」
「当然でしょ! ファンタジーの世界といえばクエストよ! これは世界の常識なの!」
はぁ、世界の常識なのか。
すると、受付のお姉さんが微笑んだ。
「クエストですね。冒険者カードはお持ちですか?」
「いえ、持ってません」
薫さんが冒険者カードを持っていないことを伝えると、受付のお姉さんは突如、透明な水晶を取り出した。
「では、今から冒険者カードを作成します。一人づつ、この水晶に手をかざしてください」
「それじゃ、私から行くわ」
薫さんが水晶に手をかざすと、水晶は水色の眩い光を放ち始めた。
「うわ!」
眩しくて思わず目を瞑る。ゆっくりと目を開けると、水晶の横にプラスチックの材質でできているようなカードが置いてあった。
「こちらが冒険者カードになります。ご確認ください」
「えーっと、名前、カオル。職業、魔法使い。レベル、7。クエスト達成数0。ランクD」
薫さんはカードに書いてある内容を声に出して淡々と読み上げた。
「こちらの冒険者カードは、マジックアイテムの一種です。みなさまのレベルが上がったり、クエストを達成すると自動的に更新されます。
また、こちらのランクですが、ランクが上がるにつれ、この街の施設の優待制度を受けることができます。
たくさんクエストをこなすほどランクが上がりますので、頑張ってくださいね!」
その後、薫さんに続いて俺たちも冒険者カードを作成した。
「それでは、クエストを受けたいということですが、あちらの掲示板にクエストの依頼書が貼ってあります。こなしてみたいクエストの依頼書を一枚選んでここに持ってきてください」
「分かりました。それじゃ、みんなクエストを選ぶわよ!」
受付から数メートルほど離れた掲示板に移動し、一つ一つ俺たちはクエストの依頼書を吟味した。
「グリガザンマウンテンに生息するボルケーノフェニックスドラゴンの討伐。難易度SSS。報酬金額三千万ゴールド。うん、これは流石に厳しそうね」
こんな、クエスト受ける奴いるのだろうか? 見た感じ、伝説の勇者やチート性能持ちの異世界転生者でもなければこなせそうにないぞ。
「皆さん、これなんてどうですか?」
綾女が一枚の依頼書を取り、俺たちに見せてきた。
――屋敷に潜む、ライセイトスライムの討伐。報酬百万ゴールド。難易度D
「おお! いい! 薫さん、これにしましょう!」
留衣さんが歓喜したがどういうわけだか、薫さんは浮かない表情をしていた。
「いい? 綾女ちゃん。スライムを舐めちゃいけないのよ。もしかしたらなんでも食べるスキルを持ってたり、食べたものを解析して自分の能力にしてしまうとんでもないスライムだっているかもしれないでしょ? あーテンペスト、テンペスト」
どうみても、あれのこと言ってるよなぁ……
「けど、難易度はあまり高くないですよね? 受けてみませんか?」
俺がそう言うと薫さんは訝しんだ表情を浮かべつつも、やがて、
「そうね。受けてみましょうか」
と承諾し、俺たちはこの依頼を受けることに決めた。
依頼書を受付に持っていくと、すぐに受付のお姉さんはクエストが行われる屋敷の場所を教えてくれた。
ギルドハウスから徒歩十分。
ギガ地区の商店街の近くにある大きな屋敷。
そこにライセイトスライムがいるらしい。
「それにしても本当に大きい屋敷ね……」
薫さんは屋敷のあまりの大きさに圧倒されていた。俺も同感である。
「今のアパートよりも良さそう。こんなところに住んでみたいなぁ」
留衣さんは仮にも大家さんである薫さんの前でとんでもないことを言った。
「え? 何だって?」
薫さんは留衣さんを睨みつけた。
どうやら、難聴ではないらしい。
「いえ、何でもないですよ」
そんな薫さんに対して笑顔で返す留衣さんだった。
「それにしても、これどうすればいいんですかね? ノックすれば誰か出てくるんでしょうか?」
綾女がドアを指差し、困ったような表情をした。
現代の日本であれば、インターホンのボタンを押せば事足りるのだが、この世界にはそんなものはない。
「そうね、しょうがないからノックしてみましょう。ごめんくださーい! クエストに来ましたー!」
薫さんは『ドンドン』とまるで借金取りみたいにドアを激しく叩いた。
中々の迫力である。
留衣さんと綾女さんは軽く引いていた。まあ、俺もだが。
すると、ドアが開いた。出て来たのは白髪でメガネをかけた執事服の男性。
「どうも。お話は伺っております。あなた方さまがスライムの討伐を引き受けてくれるという冒険者の方々ですね。今日はよろしくお願いします」
深々とその男性は頭を下げた。
さっき、依頼を引き受け、ギルドハウスに出たばかりなのだが、もう依頼を受けたことはこの人に伝わっているらしい。
舞台設定的になんとなくこの世界に電話はないと思われるのだが、何か特別な連絡手段みたいなものがあるのだろうか。
「よろしくお願いします。それで、あなたがスライム討伐の依頼を?」
「いえ。申し遅れました。私はこの屋敷ではたらく執事のラリアと申します。スライム討伐の依頼をしたのはご主人様です。あなた様方をご主人さまの元へとご案内します。どうぞ、お入りください」
ラリアさんは俺たちをどこかの部屋へと案内した。
入り口からまっすぐ歩き、数十メートル先にある、焦げ茶色のドアの前まで案内すると、ドアを開けてくれた。
「お入りください」
俺たちは案内された部屋の中に入った。
中にはアンティークの置物がいくつか置かれており、大きなテーブルの向こうに複数の椅子があり、そのうちの一つに、頭の禿げた中年のおっさんが座っていた。
葉巻を口に咥え、豪華そうなヴェストと白い長ズボンを着用しており、いかにも成金という感じがした。
「これはこれは、冒険者のみなさま、どうぞおかけください」
おっさんにそう言われ、テーブルを挟み、おっさんの向かい側にちょうど四つ並んでいる椅子に俺たちは座った。
ラリアさんは俺たちに香ばしい香りがする紅茶を出してくれた。美味しそう。
俺は紅茶を一口飲んだ。うん、やっぱり美味しい。
すると、おっさんから只ならぬ雰囲気を俺は察知した。
何やら、舐め回すようないやらしい視線で薫さんたちのことを見ているように思えた。
「まずは自己紹介をさせていただきます。この屋敷の主人のペトムと申します。この度は依頼を引き受けてくれてどうもありがとうございます」
ペトムというおっさんは名前を言い、自己紹介を始めた。
「こちらこそ、カオルと言います。職業は魔法使いです」
薫さんが自己紹介を始めると、
「ルイと言います。職業は騎士です」
「あ、アヤメって言います! 職業は忍者です」
続くように留衣さんと綾女も自己紹介をした。
そんな中ただ一人、自己紹介をせずに俺は黙っていると、ペトムが訝しんだ様子で俺のことを見た。
「あなた様は?」
「えっと、ユウタと言います。職業はその……変質者です」
「ふ……」
鼻で笑いやがった! この野郎!
「失礼。それで、クエストについてなんですが、私の屋敷の二階の部屋に魔風石が飾ってあります。魔風石は強い魔力を持っているのです。その影響なのか、部屋に一ヶ月おきにライセイトスライムが生まれるのです。
みなさまにそれを退治していただきたいのです。お願いできますかな?」
「ええ、もちろん! ちなみに、何匹くらいいますか?」
「ざっと十匹ほどです」
「なら、大丈夫そうです! さっそく退治に向かいます!」
紅茶を飲み終えた後、ラリアさんに後についていき、スライムのいる部屋へと向かった。
「こちらになります。お気をつけて」
今度はドアを開けてくれないラリアさん。自分で開けるということなのだろう。
「よし……それじゃ行くわよ!」
薫さんが中に入り、続いて俺たちも中に入る。
部屋の中はペトムがいた部屋とは違い、こぢんまりとしており、本棚がいくつもあった。
そして、奥の方にはガラスでできたディプレイケースがあり、中には魔風石と思われる虹色に輝く大きな石が展示されていた。
「ねぇ、あれスライムかな?」
留衣さんが魔風石が展示されている方向を指差した。
ディスプレイケースの横には黄色いスライムがいた。
大きさは予想よりも結構小さめである。
「そうっぽいわね! 早速、倒しましょう!」
薫さんが杖をスライムに向けた。
「ちょっと! こんなところでスキル打たないでください! 薫さんのスキルは周囲の被害が大きいんですから!」
「ちぇー……」
薫さんはいじけるように口を尖らせた。ちょっと可愛い。
「それじゃ、私と綾女ちゃんがスライムを倒してきます! 綾女ちゃん、行こうか!」
「はい!」
留衣さんと綾女はスライムを倒しにいった。
「くらえ!」
スライムに留衣さんが槍で一突きすると、スライムはあっけなく消滅した。
「やりましたね! あとはもういないんですかね? 十匹くらいいるっていう話でしたけど」
綾女は周りをキョロキョロと確認した。
すると、綾女の近くにある本棚と本棚の隙間から、何かが飛び出してきた。
「キャ!」
綾女が悲鳴をあげると、三匹のスライムが綾女の身体全体に纏わりついた。
そして、あろうこととか一瞬にして、綾女の服を溶かしてしまった。
「ひゃぁ……!」
一瞬にして、全裸になってしまい、羞恥の表情を受けべる綾女。
あくまで、綾女の姿はゲーム上のアバターにすぎないとは言え、アバターは綾女のモノホンにそっくりであるため、リアルの綾女の全裸を見ている気になる。
わずかに赤みを帯びた黄色い素肌がとても艶かしい。
小さい胸は幼さを感じさせ、乳首の色はまだ誰にも汚されていない……
「だ、ダメよ! 優馬くん! あなたにはまだ早いわ!」
薫さんが俺の目に手を当て、視界を防いできた。
くそ、いいところだったのに……
綾女のつるぺたな全裸姿をしっかりと脳内に記憶しておきたかった。
「あ……!」
薫さんがそう言うと、なぜか手を下ろした。
先ほどまでローブを纏っていた薫さんは全裸になっていた。
二匹のスライムは逃げるように別の方向へと移動した。
薫さんの二つの果実はまさに昨日見たときと同じく、暴力的とも言える大きさのものであった。
下の毛の生え具合も昨日見た時と同じく、逆三角形の形に整えられている。
薫さんの全裸は男の理性を一瞬で狂わせるには十分な破壊力をしている。
全く、このゲームの再現率(エロへのこだわり)に驚かされる。
「ゆ、優馬くん……ちょっと、ラリアさんに服を貸してもらうよう頼んでくれないかしら?」
薫さんは恥ずかしそうに胸と秘所を手で隠し、俺の頼んだ。
恥ずかしそうに顔を赤らめている薫さんの姿にグッときそうになる。
「わ、分かりました」
部屋を出ると、いつのまにかラリアさんがいなくなっていた。
おかしいな、さっきまでここにいたのに。トイレにでも行ったのか?
俺は階段を降り、ペトムがいた部屋に向かおうと思った。
しかし、階段のすぐ隣の部屋から何やら話声が聞こえてきた。
気になり、開けてみるとその部屋には、背を向けた男二人がいた。
おそらくペトムとラリアさんである。
何かに夢中になっており、俺に全く気づいた様子がなかった。
「見てみろ、ラリア。この女性! なかなかいいだろう?」
「左様でございますね。見た目も麗しい……つるぺたなのもまたそそられます」
つ、つるぺた!? なんだなんだ? 俺は気になり、二人にゆっくりと近づいた。
すると、
「おお……なんとすごいパイの持ち主なんだ! これはなかなかの上玉だな」
「ええ、すごいおっぱいです」
二人が見ていたのは鏡のような道具である。
だが、ただの鏡ではなく、映し出されていたのは薫さんたちがいた部屋であり、へんな鏡を使ってペトムとラリアは綾女と薫の淫美な姿を覗き見していやがった。
「いやぁ、やっぱりこの依頼はいいな。少々高かったが、スライムが生まれる魔風石を買ってよかった。次々とバカな冒険者が引っ掛かってくれて満足だ。いっそ、クエストを受ける条件は女性のみにしたほうが良さそうだな!」
「ご主人さま、さすがにそれは怪しまれます」
「それもそっか! あははは!」
覗きをするためにこんな大掛かりなことをするとは、こりゃたまげた。
俺はバレないようにその部屋を出たあと、適当な部屋へと入り、ペトムに無断で衣類を二着手に入れ、二階へと向かった。
戻ったら薫さんにこう告げようーーこの屋敷にエクスプローションを撃ってくださいと。