一人暮らしを始めた僕の高校生活はバラ色でした。 作:チャンドラ=グプタ
スズカを撃破した俺達はその後、さらに城の中を彷徨い続けた。
途中で頭が三つあるライオン、黒色の大きな蛇、刀を携えたゴリラなど様々なモンスターに出くわしたが、その都度、留衣さんと瑠夏さんが倒してくれた。
やがて、俺達は大きな扉の前へと辿り着いた。
「ここに魔王がいるのかしら?」
薫さんは訝しんだ様子で鋼鉄で出来た、赤く重々しい扉を眺めた。
「そうだと思います! 早速中に入りましょう!」
留衣さんは扉に手をかけ、前に重心を預けた。鈍い音とともにゆっくりと扉が開く。
中には長いレッドカーペットが敷かれており、その先に足を組んで座っている人がいた。
さらにその横には二人立っていた。
「誰かいるわね」
警戒心に満ちた表情で薫さんが呟いた。
「そうですね。警戒して行きましょう」
留衣さんと薫さんを先頭にゆっくりと奥にいる人へ近づいた。近づくに
つれ、金色に輝く椅子に座っている者の横に立っている二人が、未知瑠さんとヴィネであるのが分かった。
「ようやく来たか。待っていたぞ」
ヴィネが腕を組んで、大胆不敵にそう告げた。『ようやく来たか』と言っているが、そんなに時間は立っていないはずである。
「優馬くん、綾女ちゃんはどうしたの?」
未知瑠さんはパーティに綾女がいないことに疑問を感じたようである。
「魔王の城に向かう途中でゲームオーバーになりました」
「そっかぁ。それは残念。ま、優馬くんもここでゲームオーバーになるんだけどね!」
どうやら未知瑠さんは完全に魔王側のようだ。俺は未知瑠さんとヴィネの真ん中に位置する椅子に座っている、額に一本のツノを生やした男に目をやった。
おそらくはこいつが魔王。
赤いマントを羽織っており、やや長いオレンジ色の髪の魔王は何とも言えないワイルドさと逞しさ、そして威圧さを感じさせる。
俺は魔王のステータスを確かめた。
――ライラック LEVEL0 体力??? 魔力???
「レベル0だと?」
勝手にこいつを魔王であると思い込んだが、もしかして、魔王ではないのだろうか。幾ら何でも0ってことはないであろう。
しかし、体力、魔力が測定されない。
それが非常に不気味であった。
「未知瑠さん、この人が魔王ですか?」
「そうだよ。とっても強いから帰った方がいいよ」
すると、瑠夏さんは矢筒から一本の矢を取り出し、弓を引くと、それを魔王へ向けた。
「帰らないわ。こいつを倒せば、豪華特典が貰えるんだから。スキル発動! 『サンダーアロー』!」
矢を放つと、矢から稲妻が迸った。『バチチチ……』と音を立てる矢は魔王へ向かって飛んでいく。
「マジックバレット!」
ヴィネは黒いエネルギー弾を発射し、瑠夏さんが放ったサンダーアローにぶつけた。
二つの攻撃がぶつかり合ったことで激しい衝撃波が発生した。
どちらの攻撃も同じくらいの威力で、やがてどちらも消滅してしまった。
「お前の相手はこの私だ」
「ふん、いいわ! やってやろうじゃない!」
ヴィネと瑠夏は戦いを始めた。激しく技を次々と放つ様はさながらゲームのようで(実際そうなのだが)、思わず魅了される。
「よし、なら私が魔王を倒してやるわ! スキル発動! 『フレイムランス』!」
留衣さんが持っている槍(ランス)から炎が放出された。
その槍を魔王へと突きにいく。
「スキル発動! 『豪炎の舞』!」
未知瑠さんの身体から赤々しいオーラのようなものが放出され、魔王の前に移動すると、留衣さんが持っている槍を片手で受け止めた。
「魔王様を倒す前に私が相手をします」
「そう。なら、お手合わせするわ」
留衣さんと未知瑠さんの戦いが始まった。
瑠夏さんとヴィネさんが遠距離攻撃主体での戦いであるのに対し、こちらは肉弾戦が主体である。
逞しい二人の戦いぶりは見ていて飽きることがない。
残ったのは俺と薫さんのみ。魔王は気怠げな表情で俺たちのことを見つめてたい。
「ねぇ、優馬くん。私たち、魔王と戦った方がいいのかしら?」
「いや……俺たちが戦ってもやられますよ」
俺と薫さんのレベルは20前後。留衣さんと瑠夏さんのレベルよりもはるかに低い。ヒソヒソと話していると、魔王は「ふわぁ……」と退屈そうにあくびをした。
「黙っているのもつまらんな。おい、貴様ら。かかってこい」
鋭い視線を向けた魔王が俺たちに命令した。
「偉そうね、あなた。いいわ! やってやろうじゃない!」
魔王の言葉に触発された薫さんは杖を掲げた。
「ちょっと、薫さん!」
止める間も無く、薫さんはスキルを発動させる。
「エクスポローーーーーージョン!」
魔王の頭上に巨大な炎が降り注ぐ。耳が痛くなるような爆音が鼓膜を振動させる。
白い煙が消えると、魔王の姿が徐々に見えてきた。魔王は青いバリアのようなものを張って、薫さんの攻撃を防いでいた。
バリアには僅かながらヒビが出来ていた。
「今の一撃、なかなかであったぞ」
魔王は薫さんの攻撃を褒めると、ゆっくりと立ち上がった。一体、何をしてくるんだ?
俺は牽制がてら、スキル、『追い剥ぎ』を使うことにした。
ゲーム画面を素早く操作し、スキルである『追い剥ぎ』を選択する。
――対象者、ライラックでよろしいですか? 『はい』『いいえ』
俺は『はい』を選択する。すると、
――この対象者には追い剥ぎは使用できません。
とメッセージが出てきた。
「な、なんだと……」
「今の……スキルを使おうとしたのだな。おそらくは我の着ている物を奪い去るスキルであろう」
俺が使おうとしたスキルをズバリ言い当てた。魔王はゆっくりと俺達に近づいてきた。
「薫さん、後ろに下がってください!」
「わ、分かったわ!」
薫さんに後ろに下がってもらった。自分で言うのもなんだが、薫さんより俺の方がはるかに戦闘では役に立たない。
魔王に薫さんのスキルを当てることができれば、ある程度体力は削ることができるはずだ。
再び、薫さんがスキルを発動できるMP量に回復するまで、なんとか時間を稼いでやる。
「そんなに我の服を脱がせたいのなら、お望み通り裸になってやろうぞ」
「は?」
すると、魔王から禍々しいオーラが放出されると、
「セックス チェンジ」
と唱えた。
強面の身体とイカツイ表情の魔王はみるみるうちに姿を変え、背の高めな長いオレンジ色の髪の美人の女性の姿へと変貌した。
ちなみに全裸である。スタイル抜群の身体をしており、巨乳である薫さんのよりも大きいのではないだろうかという思うくらい立派なものを携えていた。
やや黒みを帯びた素肌は何とも言えぬエロスを感じさせた。
「お、お前……本当に魔王……なのか?」
「ええ、そうよ。私は性別を自在に変えることができる。さぁ、楽しみましょう」
そう告げると突如、魔王が俺にキスをしてきた。
「う……」
魔王の甘い香りが鼻腔をくすぐる。ぎゅっと抱きしめられ、優しく柔らかい感触が俺の体全体に伝わってくる。
「ちょっと! 何してんのよ!」
薫さんの怒った声が聞こえた。薫さんは抱きついている魔王を必死に引き剥がそうとした。すると、魔王は薫さんの頭に手をかざした。
「『ブラウンウォッシング』。そこで這いつくばっていなさい」
「ぐ……」
薫さんは悔しそうに地面へと這いつくばった。見たところ、相手に命令を下すことができる能力らしい。
「さぁ、楽しみましょう……」
魔王はにっこりと微笑んだ。薄黒いプルンと大きく揺れるおっぱいを見つめた。
このエロい身体をした魔王に身を委ねたい。
そう俺は思ってしまった。