一人暮らしを始めた僕の高校生活はバラ色でした。 作:チャンドラ=グプタ
この俺、竹内優馬は中学時代、地元ではそこそこ名の馳せたバスケット選手だった。
ポジションはフォワードで、チームの点取り屋として試合で活躍していた。
宮城県代表のチームとして、全国大会に出場することもできた。
残念ながら二回戦で負けてしまったが。
中学時代、宮城県でバスケの強い明声高校に進学したいと考えていたのだが、残念ながらそこからは声がかからなかった。
しかし、運良く東京にある高校のパーバード学園から声がかかった。
パーハード学園から声がかかった際、俺は早速親に相談することにした。
バスケに打ち込む為、俺は親にパーバード学園に進学したいと告げたのだが、親は最初、そこへの進学に乗り気ではなかった。
どうやら親は俺に近くの高校に通って欲しかったようであった。
「優馬、別に無理して東京の学校に通う必要はないんじゃない?」
お母さんは暗に推薦の話を断れと言ってくるのであった。
「で、でも……せっかく特待生として入学できるんだし……」
「バスケだけじゃなく、今後のことも考えたら一般入学した方がいいわよ」
「う……」
確かに母親の言うことも一理ある。
特待生で入学するということは、部活で成果を出さなければいけない。
もし仮に何かの事情で部活を辞めた場合、高校そのものをやめる必要があるのである。
だが、俺はそれでもバスケが打ち込める環境に身を置きたかった。
「お願いだ! お母さん。俺を東京の学校に行かせて欲しい。絶対にすごい選手になってくるから」
「なぁ、母さん。優馬もそう言っていることだし、認めてもいいんじゃないか?」
俺と母さんのやり取りを聞いていたお父さんが助け舟を出してくれた。
「もう……あなたったら、甘いわね」
「優馬が必死で練習してるのはお前も知ってるだろ? 子供のことを信じてやるのも親の務めだ」
お父さんの言葉を聞き、しばらくの間、口を閉じて考え込むお母さんであったがやがて「はぁ……」と呆れたようにため息をした。
「もう……分かったわよ。いい? 優馬。たまには連絡よこすのよ」
「うん! ありがとう」
こうして俺は親から東京の高校進学の許可をもらうことができた。
「ただいまー」
ちょうど、親の説得が終わったタイミングで妹の愛子が帰ってきた。
愛子もバスケ部に所属しており、引退している俺とは違い、バリバリの現役である。
愛子は練習着のまま帰宅したようで、汗で青色の練習着が少し濡れているのが分かった。
「おかえり、愛子」
俺が愛子にそう告げると、愛子は不思議そうに俺とお母さん、そしてお父さんのことを見つめた。
「なんか、あったの?」
「優馬が東京の学校からスカウトが来てね。その話し合いをしてたの」
お母さんが愛子に説明すると、愛子は茶色い双眸を大きく開き、口をパクパクとさせた。
「お、お兄ちゃんがスカウト!?」
「ああ。すごいだろ」
俺は少し胸を張って愛子に告げると、愛子はきっと俺を睨んできた。
「え……まさか、お兄ちゃん。そこに行くつもり?」
「ああ、そうだ」
すると、愛子は物凄い形相で俺に差し迫った。ぐいっと胸ぐらを掴んでくると、鋭い目つきで俺のことを睨んだ。
「嘘でしょ!? ねぇ? 東京に行っちゃうなんて、嘘だよね!?」
「ちょ、ちょっとどうしたの? 愛子? お母さんもお父さんも賛成したんだけど……」
ただならぬ愛子の様子にお母さんが心配そうに訊くと、愛子は「もう知らない!!」と言い放ち、部屋に戻ってしまった。
「ど、どうしたんだ……あいつ……」
すると、お父さんが俺の肩にポンと手を置いた。
「きっと、愛子はお前が遠くに住むことになるのが寂しいんだろう」
「そ、そうなのかな……」
俺と愛子は小学校まではそれなりに仲が良かった。
しかし、中学に上がってからは会話する時間がめっきり減り、どこかお互いを避けて過ごしていた気がする。
俺は兄妹なんてそんなものだと思っていた為、特段気にしてはいなかったが。てっきり俺は愛子に嫌われているものだと思っていた。
あいつは俺がいなくなって寂しいなんて思うのだろうか。
◇◇◇
推薦で高校に進学することを決めた俺は一層、自主練に精を出した。他の選手に負けないようにするため、毎日必死で練習を続けた。
それと、アパート探しも行った。パーバード学園には寮がないため、住むところを探さなければならなかったのである。
スマホやパソコンを使って、いろんな物件紹介サイトを探しに探した。
都内のアパートはどこも家賃が高い。五万以上が相場で、高いところだと十万を超える。まさに家賃のインフレである。
物件を探していた時、俺は偶然にもあるサイトで『キンキィ梅田』というアパートを見つけたのである。
家賃は四万弱で、最寄駅からも近く、アパートの近くには食堂やコンビニもあるという、まさに超優良物件であった。
さらにアパートの中を仲介業者に見せてもらったところ、とても綺麗な部屋であった。
俺は最初、事故物件なんじゃないかと思い、『犬島える』で検索したり、仲介業者の人に聞いてみたりした。
「事故物件では無いですよ。他の部屋も同じ値段ですし。アパートの大家さんが若い方であまり大家業に力を入れてないんです。趣味のようなものだからこの値段にしてるんだそうです」
「はぁ……そうなんですか」
趣味で大家業をしてるって、すごいな。
入居したらちょっと大家さんに挨拶に行った方がいいかな。
入居日を決め、着々と引っ越しの準備を勧めてくれた。
引っ越しに当たって電気、ガス、水道の契約等があり、お父さんとお母さんが大変そうにしていたのを覚えている。
引っ越し前日、引っ越し業者が家にやってくると、俺は全ての荷物を引っ越し業者に渡した。
次の日に荷物を東京のアパートで受け取ることになる。
引っ越しの前日は新しい生活が始まるという高揚感でワクワクしていた。
その日の夜。
「いよいよ、明日か……」
俺は明日に備えて早く寝ようと思った。
ベッドに入ろうと、ベッドの上にある布団を捲った。
すると、
「……」
色白い顔が俺を覗き込んだ。それは見覚えのある顔であった。
「うわ!」
ものすごく、びっくりした俺は声を上げた。なんと、布団の下に愛子がいた。
「……」
無言のまま愛子はベッドから出てくる。
俺は愛子の姿を見て、ぎょっとなった。
「あ、愛子……なんで服着てないんだ?」
愛子は生まれたままの姿で俺の前に立ちはだかった。白く華奢な身体は我が妹ながら実に色っぽく、成長段階の膨らみは背徳的なエロスを感じさせる。
下の方は……ほとんど生えてないな。
無言のまま、ズンズンと俺に近づいてくる。
「お、おい……愛子。何か喋れよ……」
「……」
しかし、愛子は喋らない。俺は後ろに下がっていき、やがて壁際まで追い詰められた。
ドンと、強い音が聞こえ、壁が振動した。
俺の顔の横に愛子の手が置かれた。
これが壁ドンか。俺がされるとは夢にも思わなかった。
愛子は俺に息がかかってしまいそうなくらいまで顔を近づけこう言った。
「お兄ちゃん……お兄ちゃんがいなくなったら私、寂しい。だから……せめて、私とエッチしてほしい」
一瞬、愛子が何を言っているのか分からなかった。すると次の瞬間、自分の唇が熱くなっていることに気がついた。
どうやら俺は愛子にキスをされたようだ。