一人暮らしを始めた僕の高校生活はバラ色でした。 作:チャンドラ=グプタ
「お兄ちゃん……すっごく気持ちよかったね……」
「ああ、そうだな……」
俺と愛子はヘトヘトになるまで幾度となく身体を交わせた。ゴムを付け替えては何度も何度も愛子の膣の中を突いたのであった。
おかげで、部活した時以上に汗をかいてしまった。
「お兄ちゃんとセックスしたら汗かいちゃった。お兄ちゃん、ちょっとシャワー借りてもいい?」
「ああ」
愛子は全裸のまま着替えを持って、シャワーへと向かった。
俺はバタンとベッドの上に横たわった。
さて……改めて、愛子が俺の家に来てしまったわけだが、これからどうしようか。
GW中、愛子が家にいると、俺が薫さんと付き合っていることがバレるのは時間の問題である。
もし、俺と薫さんが付き合っていることを愛子が知ったら何をしでかすかわからない。
いや……もしかしたら愛子が薫さんから鍵を借りた際、話の流れで付き合っていることを愛子に話してしまっているのかもしれない。
最悪の場合、愛子は破局させるため、俺たちがセックスしたことを洗いざらい、薫さんに話してしまう可能性もある。
そう考えると、理性が崩壊していたとはいえ、愛子と一線を超えてしまったことを激しく後悔した。
というか、妹とセックスするなんて、とんでもないクソ下衆野郎である。
賢者タイムの今、激しく自己嫌悪に陥った。
――ピンポーン
正解は越○製菓よろしく、扉からインターホンの音が鳴り響いた。
「まさか……」
薫さんがやって来たのではないかと思った。俺は外にいるのが誰か確認するため、急いで服を来て、玄関の扉の前へと移動した。
居留守を使っていると、薫さんは勝手に部屋の中に入ってくる。
今、薫さんに部屋の中に入られるのはまずい。
ゆっくりとドアスコープを覗き込むと、外に居たのは、薫さんではなく佐川の宅配員のようだった。
安堵した俺はガチャっと扉を開けた。
「宅配便です。こちらにサインか印鑑をよろしくお願います」
宅配員は爽やかな笑顔を差し向け、伝票にサインか印鑑を押すように指示した。
「すみません、ペン借りてもいいですか?」
「はい、どうぞ!」
宅配員からペンを受け取り、小さな丸に自分の名字を記入した。
「毎度!」
宅配員は俺に配達物を渡すと、そそくさと帰っていった。
受け取った荷物はずっしりと重い。中には一体、何が入っているのだろうか。
俺はリビングへと戻り、箱を開封してみることにした。送り主を確認すると、『RSFラボ』という記載があった。
緊張しつつも箱を開けると、中にはVRゴーグルが入っていた。
以前、ビーストファンタジーをプレイした時に使ったものに似ているが、よく見るとデザインが異なっている。
全体的にすっきりとしており、どこか近未来を感じさせるようなかっこいいデザインとなっていた。
さらに、箱の中には手紙も入っていた。
――ビーストファンタジーをクリアされたあなたへ、こちらの非売品のゲームを配布します。クリアした方には『幸福な世界』を提供いたします。
「幸福な世界……」
あまりにも突拍子の無い言葉に思わず、苦笑しそうになったが少しプレイしてみたくなった。
「お兄ちゃん。何それ?」
シャワーから戻った愛子は頭の上にバスタオルを乗せていた。
俺の隣にやってくると、ボディソープの良い香りが鼻腔をくすぐった。
愛子はピンク色の寝間着を着ており、興味津々とばかりにVRゴーグルに視線を写していた。
「ああ、RSFラボっていうゲーム会社から送られて来たんだ。前にビーストファンタジーってゲームをやったことあってな。それの豪華特典だと思う」
すると、愛子は目を大きく見開いた。
「へー、あのゲームを。お兄ちゃん、すごいね! うちのクラスでも何人か挑戦してたけど、誰もクリアした人いなかったよ!」
「そうなのか」
まぁ、俺も実際のところクリアしたかどうかは微妙なところである。
結局、魔王を倒すことなくゲームを終えたのだから。
「お兄ちゃん、やってみたら?」
「ああ。愛子もやってみるか?」
「うん、けどお兄ちゃんから先にやっていいよ」
「そうか、ならお言葉に甘えて」
俺はVRゴーグルを装着して、ゲームを起動した。果たしてどんなゲームなのだろうか――
「どこだ、ここは?」
辺りを見渡すと真っ白な空間が果てもなく広がってた。
「ようこそ、ハッピーワールドへ」
突如、俺の目の前に緑色の髪をし、背中から翼が生えている女性が出現した。
「えっと、あなたは?」
「私の名前はガブリエル。神に使えしもの。あなたにとって世界とはなんですか?」
「な、なんか壮大な質問だな……」
「では、質問を変えます。この世界は誰によって出来ているのでしょう?」
「それは……人間じゃないのか?」
すると、ガブリエルはニッコリと微笑んだ。
「その通りです。このハッピーワールドの世界もディレクター、グラフィックデザイナー、プログラマーと数々の人間の手によって作られました」
どうやらガブリエルは自身がゲームの世界の住人であることを認識しているようである。
そこはビーストファンタジーに登場した魔王と一緒のようだ。
「では、あなたが住んでいる世界も人間によって出来ていると思いますか?」
「そりゃあ……まぁ」
今のこの現代社会において、建物や乗り物といったものなど、全て人間が作り出したものである。
人間が今の世界を作りだしたと言っても過言ではない。
「それは複数の人間によってと意味でしょうか?」
「ああ」
ガブリエルがバサッと翼を広げ、ゆっくりと宙に浮かび上がった。
「それは違います。あたなの世界は『ある一人』の人間によって生み出されています」
「どういうことだ?」
言っている意味が全くわからなかった。
「これをご覧ください」
俺の前に二つの立体映像が映し出された。何かの細胞のような形をしたものであった。
「なんだこれ?」
「銀河ネットワークと脳細胞の映像です。右が脳細胞。左が銀河ネットワーク。どうです? 形が良く似ていると思いませんか?」
「言われてみればそうだな」
確かに二つの映像は酷似していた。
だが、それが一体どうしたというのだろうか。
「宇宙全体……いや世界は一人の人間によって生み出されています。思考、いや創作物という行為によって」
そんなバカなと思いつつも、少し興味深い話であった。
「一体、誰によって作られているんだ?」
「それは私にも分かりません。ですが、このゲームを開発したディレクターは、一人の創作者によって今の世界が作られたものだと考えています」
「い、いくらなんでも、そんなことないんじゃないか?」
一人の人間によってこの世界がよって作られた――少しロマンがあるように感じるが、もしそうだとしたら俺はさしづめ、脇役として作られたんだろうな。
「まぁ、ひとまずその話は置いておきましょう。あなたに体験してもらうゲームはあるかもしれない世界」
「あるかもしれない世界?」
「ええ、パラレルワールドという言葉はご存知ですか?」
「ま、まぁ……」
パラレルワールド――世界において、ある時点から分岐し、分岐前の世界と並行に連なる別の世界のこと。
「あなたは一人の女性と結ばれた」
「ど、どうしてそれを……」
「細かいことは気にしないでください。あなたは高校生活において、複数の女性と知り合った。他の女性と結ばれた場合、どんな未来が待っているか気になりませんか?」
それは確かに気になる。ぜひとも見てみたい。
「気になるけど、見れるのか?」
「はい。この扉を潜ってください。他の女性と結ばれた場合、どんな未来が待ち受けているのか、自分の目で確かめるのです。その上で、あなたが自分の未来をどう進むべきか考えてみてください」
突如、俺の目の前には白い扉が現れた。俺はドアノブに手をかける。
「分かった。行ってくる」
俺がそう告げると、ガブリエルが俺の肩にポンと手を置いた。
「あと、これだけは言っておきますが、あなたは決して脇役なんかじゃありませんよ。創造主によって作り出された、正真正銘の『主人公』です」
「え? それは一体……」
「おそらく、このゲームによって、あなたの未来が『灰色』になるか、『バラ色』になるか決まります。私は後者になることを望んでいます。ではご武運を」
意味深なことを言い残すと、ガブリエルがどこかに姿を消した。
よく分からないがまぁいい。俺は白い扉を開け、中に入った。
留衣さんに瑠夏さん。それに綾女。
彼女たちと結ばれた場合、一体どんな未来を辿るのか、この目で確かめるとしよう。