※この作品はR-18です。

一人暮らしを始めた僕の高校生活はバラ色でした。   作:チャンドラ=グプタ

57 / 57
バラ色でした

 愛子が家にやってきた日からすでに一ヶ月あまりが経過した。

 あの日の夜の後、俺は愛子と共に実家に帰省し、地元でゆっくりと過ごした。

 東京に戻ってから一ヶ月あまりが経過し、今は六月の上旬である。

 梅雨の時期に入り、雨が続く日が多くなってきた。

 

「いやー、今日も部活大変だった。足が痛い……」

「そうだね。石崎さん、最近すっごく張り切ってるしね」

 

 部活の帰り道。俺は綾女と一緒に歩いて帰っていた。

 歩いている途中、綾女はなぜか立ち止まった。

 

「綾女?」

「優馬くん、実は優馬くんに見せたいものがあるんだ」

 

 綾女は鞄からガサゴソと何かを取り出そうとしていた。

 

「見せたいもの?」

「うん……あった!」

 

 綾女が取り出したのは薄い本であった。表紙にはやけに顎の鋭い男が二人裸で抱き合っている絵が描かれている。

 

 注意深く観察すると、誰かに似ていることが分かった。

 まぁ、大分美化されているのだが。

 

「おい、綾女。まさかそれ……」

「そう! 優馬くんと石崎さんのBL本だよ! 今度のコミケに出品してみようと思うんだ!」

 

 綾女は鼻息を荒くながら説明した。

 

 こいつ、なんというおぞましいものをビルドしやがったんだ……

 ハザードレベル7の危険物質である。

 

「おい、それをよこせ!」

「ダメだよ! これは昨日徹夜で完成させたものなんだから! それにすでにデータをクラウドに保存してるから燃やしても何度でも蘇るよ! ラ◯タのようにね!」

「このやろう! バ◯ス! バ◯ス!」

 

 綾女としばらくじゃれあった後、俺たちはキンキィ梅田の302号室に向かった。

 今日、俺達は留衣さんの家に来るように言われていたのである。

 

 その理由はと言うと――

 

「「「ハッピーバースデー! 優馬くん!」」」

 

 『パン』というクラッカーの音が部屋に鳴り響いた。

 留衣さんと瑠夏さん、それに薫さんがクラッカーを持って暖かく出迎えてくれた。

 

 テーブルには大きなバースデーケーキと美味しそうな料理が並べられていた。

 

「留衣さん、瑠夏さん……薫さん。ありがとうございます」

「私からも改めておめでとう。優馬くん」

「ああ、ありがとう綾女」

「さぁみんな! 今日は私の大事な彼氏の誕生日だから楽しく過ごしましょう!」

 

 薫さんはケーキにロウソクをさし、炎を灯して部屋の照明を落とした。

 ケーキに刺さっているロウソクの数は16本。

 

 俺はめでたく十六歳を迎えた。

 

「「「「ハッピーバースデートーユー! ハッピーバースデートーユー! ハッピーバースデーディア……」」」」

「優馬く〜ん♫」

 

 おお、薫さん。結構美声だな。

 カラオケとかめっちゃ得意なんじゃないだろうか。

 

「「「「「ハッピーバースデートーユー! おめでとー!」」」」

 

 四人が「わー!」と拍手し、盛り上がった。

 俺はケーキに顔を近づけ、息を吹きかけロウソクの火を消した。

 

「さて、それじゃみんな食べましょうか!」

 薫さんはナイフでケーキを人数分に切り分けた。

 

「ところで優馬くん! 十六になった感想は?」

「えっと、なんかもう十六なんだなって感じですね」

「もーう! 優馬くんったら! 二十歳(ハタチ)超えてる私には辛い言葉だよ! これからもよろしくね、優馬くん!」

「こちらこそよろしくお願いします、留衣さん!」

 すると、瑠夏さんがコンコンと俺の肩を突いた。

 

「ねぇ、優馬くん。もしも私とお姉ちゃん。付き合うならどっちにする?」

 瑠夏さんが究極の二択を聞いてきた。

 

「えっと、そうですね……どちらも素敵ですけど、どうしても選択しなければならないってなると瑠夏さんですね」

 留衣さんと結ばれる世界に行ったらゾンビだらけだったしな。

 

「えー!? 優馬くん、ひどーい! もしも私が優馬くんの彼女だったら優しくしてあげるのにな?」

 

 留衣さんは可愛らしくウィンクした。

 とてもキュンとくる仕草でくらっと来そうになる。

 

「ちょっと、留衣! 私の優馬くんを誘惑しちゃダメよ!」

「ねぇ、優馬くん。今度、佐々木くんとのBL本書くから読んでくれる?」

「読むか! そもそも、俺を題材にしてBL本を作るのはやめろ!」

 

 ご飯を食べた後、俺たちは『ビーストファンタジー』をプレイした。

 アップデートされたビーストファンタジーの世界を五人で目一杯楽しんだ。

 

「こいつら……超鬱陶しいわね! 私の魔法で殲滅しちゃうわ! スキル、発動! 『エクスプロージョン!』」

「わー! 薫さん! こんな洞窟で魔法使わないでください! 全滅しますよ!」

「なら、ここは俺に任せてください! スキル発動! 『インビジビル』!」

 

 透明人間になるという世の男性全員が欲しいであろうスキルを発動し、二体のゴリラのモンスターを撃破した。

 

「やるじゃん! 優馬くん!」

「いえいえ、それほどでも!」

 俺は瑠夏さんとハイタッチした。

「よし、私も負けてらんないね! 『エレキランス』!」

「留衣さん、私も助太刀します! 『高速移動』!」

 留衣さんと綾女はモンスターに果敢に立ち向かっていった。

 

 

 

 

 

 

「いやー、楽しかったですね!」

「そうね。あら、もうこんな時間。今日はもう遅いし、お開きにしましょうか」

「それじゃ、最後はお二人の熱いキスで締めましょう!」

 綾女がここぞとばかりにキスをするよう促した。

 

「えー? みんなが見てる前でそんな、恥ずかしいわよ」

「「「キース! キース!」」」

 

 三人が手拍子し、キスをするように囃し立てた。

 俺は真っ直ぐ、薫さんを見つめる。

 薫さんは照れたような表情でサラッとした黒い髪をいじりながら俯いた。

 とても可愛らしい仕草でグッときた。

 

「薫さん……」

「優馬くん、これからもよろしくね」

 

 チュッと、薫さんの唇に自分の唇を重ね合わせた。やはり、薫さんとのキスは落ち着いて心地良い。

 

「「「ヒュー! ヒュー!」」」

「ちょっと、ちょっと! 三人ともからかわないの! それじゃ、みんな。また一緒にゲームしましょうね!」

 

 こうして俺のためにわざわざ開催してくれた誕生日会はお開きとなった。

 俺はひとり部屋に戻り、物思いにふけるながら窓から空の景色を眺めた。

 空にはたくさんの星が浮かんでいた。

 

「都会の空も……結構綺麗なんだな」

 

 上京し、一人暮らしを始めてから毎日が新鮮でとても楽しかった。

 美人の女性達と一緒にゲームして、エッチなことをして。

 

 本当に……

 

 

「一人暮らしを始めた僕の高校生活はバラ色でしたよ。神様……」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【R18】しがない強面中堅冒険者、新進気鋭の美女パーティの全員に「私のことは好きにしていいから仲間だけは助けてください」と体を差し出された。(作者:ユリイカ)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

 強面、大柄、無愛想。そんな三重苦で周囲から恐れられる中堅冒険者のバルクは、ひょんなことから新進気鋭の美女パーティ〈極光の剣〉の教官を務めることとなる。だがバルクの風貌に少女たちは怯えきり、更に不幸なすれ違いから恐怖の底に落とされる。そしてある夜、バルクの下にパーティリーダーのシエラが現れる。「わ、私のことは好きにして構いません。ですから、どうか仲間のことは…


総合評価:2633/評価:8.54/完結:44話/更新日時:2025年09月07日(日) 17:00 小説情報

【R18】俺は、世界の半分(女性)を手に入れてみせる!(作者:キャプテンキャップ)(オリジナル:現代/恋愛)

 主人公は高校二年の男子生徒。名前は田中洋(たなかよう)。▼ 彼がある朝目を覚ますと、目の前には不思議なウィンドウパネルが浮かんでいた。▼ そこには大量のエロスキルが書かれており、それらはどうやらポイントなる物で取得できるらしい。▼ そんなスキルの中に、とびっきりのスキルがあった。▼ それこそが好みの女性を惹きつけ、性的に興奮させる『フェロモン』だ。▼ 彼は…


総合評価:2570/評価:8.5/連載:83話/更新日時:2025年02月10日(月) 15:28 小説情報

【R18】新入社員だけど、社内一のHカップ美女を毎晩犯してます~爆乳の先輩が、僕のチンポに溺れるまで~(作者:ビリオン8551)(オリジナル:現代/ノンジャンル)

社内一の美女・沙織さん(27)。Hカップの爆乳に完璧なくびれ、イケメン先輩も課長も全員振る。そんな彼女が、なぜか平凡な新人の俺だけを選んだ。▼【挿絵表示】▼「田中君のおちんちん、欲しい」▼残業後の会議室で、俺は毎晩彼女を犯す。最初は下手だった俺が、次第に彼女を狂わせていく。▼「もうダメ、田中君じゃないとイケない」▼舌を出し、よだれを垂らし、雌犬のように吠える…


総合評価:629/評価:8.75/完結:7話/更新日時:2025年11月21日(金) 21:15 小説情報

【R18】爆乳美女がヒモ男を養ってくれる話。(作者:音有五角)(オリジナル:現代/恋愛)

「やりたくないことはやらない。好きなように生きる」をモットーに生きる吉岡 治、31歳。散在癖あり、金なし、女癖悪し、紐気質な性格と、とにかくダメダメな男だ。▼そんな彼を放っておけず、ついつい貢いで、甘やかし、養ってあげてしまう、二人の爆乳美女とのイチャラブストーリー。▼※この作品はノクターンノベルズでも連載しています。▼※☆マークのついている章にて、レッド・…


総合評価:488/評価:6.83/完結:11話/更新日時:2025年06月11日(水) 07:01 小説情報

【R18】~俺妹妻♡~俺の妹は可愛い人妻で最高の女♡今日も生ハメセックスを超ヤりまくる♡♡♡+高校生の娘も一緒に♡(作者:青崎アカネ)(オリジナル:現代/恋愛)

二人の兄妹の近親相姦&不倫物語。兄妹は幼少時にアソコを触り合い……高校の時には一線を超えて肉体関係を結ぶ、大人になっても未だに絡み合う仲。もはや事実上の夫婦、飛び散る精液と愛液の禁断肉蜜ストーリー。▼そこに妹の娘も兄と何やらしているような雰囲気を醸し出していた♡▼ ▼


総合評価:994/評価:8.36/連載:70話/更新日時:2026年05月22日(金) 00:32 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>