※この作品はR-18です。

104期の同期に逆レされた件   作:オールF

7 / 10
今回はちょっと性描写と自慰描写があります。あと、マルロとヒッチが出ます。


ベルトルトの劣情

 僕の名前はベルトルト・フーバー。9つの巨人の力のうちの一つ、超大型巨人に変身できる力を持っていたマーレの戦士だった男だ。

 僕には好きな人がいる。アニ・レオンハート。僕と同じマーレの戦士として、9つの巨人の力の1つを持つ女の子だ。

 金色の髪の前髪は残して後ろは結んで小さなお団子を作り、翡翠色の目と、白人の綺麗な肌が魅力的だ。無愛想な表情をしていることが多いけど、実は優しくて、それでいてちょっと乙女らしい一面も持ち合わせている。そんな彼女に僕は恋をしてしまったんだ。

 でも、彼女は僕のことが好きじゃない。ライナーやジャン、アルミン、更には彼にも僕がアニに対して好意を抱いていることはバレているし、きっとアニにも気付かれているだろう。だから、僕の想いを伝えたとしても、アニは僕の方を振り向いてはくれないだろう。でも、僕に伝える気もない。ただ遠くから見ているだけでいい……そう思っていたんだけど、ある日、そのアニに恋人ができたという話を聞いた。しかも相手は今ではそうでは無いけど敵対していた島の悪魔の兵士だった。

 それを聞いたのは、ライナーが「そういえば」と口を滑らしたことがきっかけだ。別にアニが誰と付き合おうと僕には関係の無いことかもしれない。けれど、アイツだけはダメなんだ。アイツじゃ、アニを幸せにすることは出来ない。

 

 

「それは……そうかもしれんが、確証はないだろ」

 

 

 そう僕が話すとライナーは可もなく不可もない言葉を返した。

 

 

「アイツは確かに変わり者ではあるが、頭もいいし、兵士としての心構えや身体も出来てる」

 

 

 認めたくはないがとライナーはため息をつきながら、言葉を続けた。

 

 

「素行も悪くないし、誰に対しても実直だ……そのおかげで、俺たちが救われたのは事実だろ?」

 

 

「だから?」

 

 

「……そうだな、まぁ、俺もアイツがヒストリアとくっついたらって考えるとお前みたいな気持ちになるかもしれない」

 

 

 僕が語気を強めて聞き返すと、ライナーは少し目線を逸らして口を開いた。

 

 

「今、アイツとアニが付き合っているのは覆しようのない現実だ。けど、何も出来ないってわけじゃない」

 

 

「え?」

 

 

「例えば……そうだな、ちょっとズルいがアイツの弱みを握ってアニや周囲に広めて、奴の評価を落とす。それか、お前がアイツよりも優れているってことを見せつけてやるかのどちらかだな」

 

 

 盲点だった。かんがえたこともなかったけど……そうか、アニが彼のどこに惹かれたのかは分からないけど、僕が彼よりも男して兵士として優れているということをアニにわかって貰えることが出来れば、アニは僕の方を振り向いてくれるかもしれない。ただ目線を送っているだけではダメなんだ。僕から何かしらのアクションを起こさないと。言葉では届かなくても行動で示せたらそれでいいんだと僕はライナーの言葉に頷いた。

 

 

「ありがとう、ライナー! 僕も……なんとかやってみるよ!」

 

 

「その意気だ相棒。本当は誰よりも高い能力を持っているはずなのに肝心な所で人任せだったからな。正直今まで頼りにならなかったぜ」

 

 

「……分かってたよ」

 

 

 ライナーが言うように僕は間違えたくないから、自分が傷つきたくないから、自分の選択で仲間や友達を失うのが嫌だからとその場その場の判断を他人に委ねてきた。それを指摘されて、僕は口を閉ざしてしまう。認めざるを得ないことを言われたら、言われた方は素直に受け入れるか、反発するしかない。しかし、ライナーの言うことは正しくて、僕に何か反論する権利なんてなかった。

 

 

「……今まではな」

 

 

「……えっ?」

 

 

「終わらせるんだろ?」

 

 

 しばしの沈黙が流れる。ライナーは僕に覚悟を問うてきた。アニを彼から奪うためなら今までの自分を捨てられるかと視線で問いかけてくる。

 

 

「そうさ……ここで勝って終わらせてやる」

 

 

 不甲斐なかった僕の人生も、儚く終わるかもしれなかった恋心も、全部。僕はライナーの目を見て答える。

 

 

「ああ、頼もしいな」

 

 

 ライナーはニヤリと笑って僕の肩に手を置いた。

 

 

「俺は俺でヒストリアだ……じゃあな、相棒」

 

 

「うん。ライナーも、頑張って」

 

 

 そう言いながら、僕達は背中を向けて歩き出した。アニの幸せのために、僕は僕なりの戦いを始めるために。

 

 

###

 

 

 ライナーと話したことから、まずは事実確認が優先だと僕は考えた。ライナーを信用していないわけじゃないけど、アニと彼が付き合っているという話が本当なのか嘘なのか。それが分かれば僕の行動指針も固めやすいと考えたからだ。

 アニはマーレの戦士としてたくさんの人を殺めてきた後悔から、残りの人生は多くの人を救おうと元々の所属だった憲兵団に復帰した。このことは本人からも聞いていて、間違いのない事実だ。

 そして、彼はというと、これまでの功績が認められて兵団内でもリヴァイ兵長に並ぶほどの官職が与えられたらしい。けど、生活は訓練兵時代と余り変わっていないと補佐に就いているジャンが愚痴を漏らしていたのを覚えている。

 調査兵団と憲兵団と違う組織ではあるが、2人は同じ兵舎で暮らしていて、以前にも増して会う機会が増えているに違いない。所属兵団が違うから、外で会うことは減っただろうと思った僕は、兵舎内でアニと彼が一緒にいるところを目撃したという兵士を捕まえて話を聞くことにした。

 

 

「なんだ、アンタそんな話が聞きたいのか?」

 

 

「はい」

 

 

「うむ……」

 

 

 同じ故郷の幼なじみの様子が知りたいと話した僕に快く応じてくれたおかっぱ頭が特徴的な憲兵団の兵士は、僕がアニの周りで流れている噂について尋ねると少し考え込むような仕草を見せた。

 

 

「悪いが、俺にも確証というものは無い。それでも構わないか?」

 

 

「あぁ」

 

 

 少しでも情報が欲しい僕は、彼に詰め寄った。

 

 

「確かに2人がいるところをよく見る。食堂とか、共用の洗面所とか」

 

 

「うん」

 

 

「でも、アニはあんまり表情を変えないし、隣にいる男もアイツに何か話しかける訳でも無い。本当にただ隣にいるってだけだな」

 

 

 なんだ付き合ってないのか? いや、まだ分からないと、再び男からの話に耳を傾ける。

 

 

「俺には好き同士って感じはしない……な」

 

 

「そう……いや、ありがとう」

 

 

 有益とは言えないが、男目線から見ると、2人が付き合っているようには見えないという話は聞けた。しかし、1人だけでは確証を得るには足りない。もう1人くらいアニと彼をよく知る人物から話が聞きたいところだ。出来ればアニと同性の女の子の兵士が望ましいけど、アニの性格だからもしかしたらそう都合よくはいないかもしれない。けれど、聞いてみないと分からない。

 

 

「あと、憲兵団にアニと仲の良い兵士っていないかな?」

 

 

「仲のいい……あぁ」

 

 

「えっ、いるの?」

 

 

「……仲が良いかはわからんが、同じ班にいるヒッチっていう女が、よくアニに絡んでいるが」

 

 

 同じ班、ということは兵舎も同じはず。それにあの無愛想なアニに絡んでいくってことは、何かしら良い情報を持っているかもしれない。

 

 

「ありがとう。あっ、悪いけどアニにはこのことは……」

 

 

「あぁ、言わないでおけばいいんだろう?」

 

 

「ありがとう、助かるよ」

 

 

 この人、良い人だなと僕は思う。彼の名前も聞いた方がいいかとも思ったが、それよりもそのヒッチという人物を探すほうが先だ。

 

 

「それで、ヒッチっていうのはどんな子なんだい?」

 

 

「んー……、そうだな……」

 

 

 髪型とか見た目とか。何か探す時のヒントになりそうなことは無いかと思って尋ねると、男は腕を組んで考えるようなポーズをとった。

 

 

「見た目は……まぁ、悪くないだろう」

 

 

「へぇ」

 

 

 でも、アニよりは大したことないんだろうと適当に相槌を打つ。

 

 

「髪型は、薄い茶髪に、天然パーマだったか?」

 

 

 男もヒッチという子には興味が無いのか、少し曖昧な説明に本当に知っているのかと疑いたくなる。

 

 

「あとは口が悪い。素行も。アニは多少改善されたが、ヒッチのは中々直る兆しがない」

 

 

「そうなんだ」

 

 

 少し呆れた表情でそう言う男に、僕は淡白な反応を返す。それからもしばらく彼女への愚痴を口にしていた男だったが、その中で思い出したように呟いた。

 

 

「あぁ、あとアニとは同室だったな」

 

 

「えっ」

 

 

 なんでそれを早く言わないんだ。アニと同じ部屋なら、アニのプライベートもある程度は知っている可能性が高い。そうであれば、彼との関係性を探ることもできるはずだ。でも、アニと同じ部屋だと、呼び出すのは難しいなと考えていると、向こうから天然パーマで薄い茶髪の女の子が前から歩いてきた。

 

 

「アレ? 休みの日だってのにこんなとこで何してんのマルロ」

 

 

「ちょうど良かった。彼がお前を探してたんだよ」

 

 

「はぁ? あたしをぉ?」

 

 

 おかっぱ頭の男の名前はマルロというらしく、僕達に気付いた彼女は怪しげな視線を送ってくる。けど、僕はそんな彼女に構わず声をかけた。

 

 

「アニのことで話を聞きたいんだけど、ちょっといいかな?」

 

 

「アニの?」

 

 

 僕の質問に、ヒッチは首を捻ってマルロへと口を開いた。

 

 

「彼、アニのなんなの?」

 

 

「同郷の幼なじみと聞いたが」

 

 

 何故俺に聞くと胡乱な目をするマルロに、アニと同郷の幼なじみというワードから僕がマーレの戦士だと気づいたのだろう。ヒッチの視線が少しばかり鋭くなった。

 

 

「へぇ、あぁ、そう……アンタがねぇ……」

 

 

 どうやらアニの幼馴染ということで、ある程度の信用は得られたらしい。ヒッチはニヤリとした笑みを浮かべて、こちらを見てきた。

 それからしばらく話をして、分かったことがいくつかある。まず、アニと彼はやはり恋人関係ではないということ。次に、アニは兵団内ではあまり人と関わり合いを持ちたくないようだが、彼に対してだけは例外だということ。そして、彼のことを好いているようには見えないが、特別嫌っている様子も無いこと。つまり、アニにとっての彼はただの同期であり、それ以上でもそれ以下でもない。らしいのだが、アニから近づく時点でおかしい。しかも、アニは彼と話す時だけ表情が柔らかくなる。

 おかしい。しかも、アニは彼と話す時だけ表情が柔らかくなる。

 結局、これといった情報は得られず、収穫と言えばアニが彼のことを嫌いじゃないということくらいだ。同室のヒッチが付き合ってないと言うなら信じる他ないけどと納得しかけていると、「でも」とヒッチが意地の悪い微笑みを浮かべた。

 

 

「ある意味、"つき"合ってるかもね」

 

 

「えっ」

 

 

 それはどういう……と問いかけようとしたところで、ヒッチは「もういいよね?」と僕に訊いてきた。

 

 

「あ、あぁ……ありがとう、2人とも」

 

 

「いえいえどういたしまして」

 

 

 2人に礼を言うと、彼らはそのまま去って行った。去り際に「アンタ暇なら買い物付き合ってよ」「いや、俺はこれから街の清掃活動の手伝いに」「そんなの明日また付き合ってやるわよ」と何やら言い合っていたが……それよりもある意味"つき"合っているって、どういうことだ? ヒッチはまだ何か知っていたんじゃないかと勘繰りたくなる。だが、僕が壁を壊したマーレの戦士の1人と知っていながらも親切に情報をくれたんだ。それはよそうと首を振る。

 やっぱり、本人たちに確かめるのが一番かと、僕は2人の足取りを追うことにした。

 

 

 

 

 

 そして、その先で僕が見た光景は───────。

 

 

 

 

「嘘だろ……アニ……」

 

 

 アニは普段履かないスカートを身につけて、男の上に跨って、男の上で腰を振っていた。それだけじゃなく、男の首に腕を回して唇を重ねている。アニは僕の方には気付いていないようで、夢中で男とのキスに夢中になっている。

 

 

「あ……ぁ……」

 

 

 その光景に僕は声が掠れて、上手く言い表せない感情が湧き上がってくる。2人に見つからないように遠くから離れてみているけど、アニが男の頬に手を当てながら、うっとりした表情で喘いでいるのがわかった。

 彼の身体を貪るアニの表情は、今まで見て来たどんなアニよりも綺麗で、艶かしく見えた。

 どうして……、なんで……。僕は呆然と立ち尽くしながら、思考を巡らせる。

 なんで、あんな顔するんだ? なんで、あんなに幸せそうにしているんだ? なんで、それを僕に向けてくれないんだ……!? なんで、なんで、なんで! なんで、なんでなんでなんで!? 

 

 

「んっ……」

 

 

 

 アニのあの表情を見ているうちに、僕はいつの間にか自分のモノを握っていた。アニが腰を打ち付けて、嬌声をあげる度に僕の扱く手は次第に早く、強くなる。

 

 

「あっ、あぁ、アニ、アニ! アニ!!」

 

 

 僕は、アニの名前を呼びながら、アニをオカズにして、自分を慰める。2人に気づかれないように声を潜めて。

 アニは、僕には決して見せてくれなかった、快楽に蕩けた表情をしていた。

 

 

「……は、はは……」

 

 

 なんだろう、この気持ちは。アニが他の男と抱き合う姿を見て、自慰をする。その行為に僕は、快感を覚えていた。

 

 

「ふぅ……はは、ははははは」

 

 

 変な笑い声と共に、睾丸で精製された精子が尿道を通り抜けていく感覚。僕は、アニのあられもない姿を見ながら、涙を流して射精していた。

 

 

「…………」

 

 

 それからしばらくして、僕はその場を離れた。アニたちが僕の存在に気付かなかったことが幸いだった。もし気づいていたら、アニはどう思うだろう。軽蔑するか、それとも嫌悪の感情を抱くだろうか。それとも、無関心を貫くのか。

 とにかく、僕は自分の部屋に戻って、ベッドに横たわった。あれからもう1時間が経っているけど、あの光景はまだ目に焼き付いていて、目の前で起こっているような錯覚がする。

 アニのことを考えるだけで、さっきの出来事を思い出す。そうすると、また僕のアソコが大きくなって、血が集まる感覚がする。

 

 

「……アニ」

 

 

 僕は、ズボンを脱いで、パンツ越しに触れる。そして、先程まで見ていたアニの姿を思い浮かべながら、オナニーをした。呼んでも返事はないと知っていながらも、僕は彼女の名前を、呼んだ。そして、疲れ果てて、そのまま、眠りに落ちた。




オレはこれを書いてて毎日思う。なんでこんなもん書いちまったんだろうって……。心も体も蝕まれ、徹底的に自由を奪われ、自分自身も失う。こんなことになるなんて知っていれば、誰もこんな小説なんて書かないだろう。でも……みんな何かに背中を押されて地獄に足を突っ込むんだ。大抵その何かは自分の意思じゃない。他人や環境に強制されて仕方なく、だ。ただし、自分で自分の背中を押したヤツの書く地獄は別だ。その地獄の先にある何かを見ている。それは希望かもしれないし、更なる地獄かもしれない。……それは、書き続けた者にしかわからない。
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