お預け
―お預け―
清蘭が裸エプロンでスープを作っている。
…私が着せた訳じゃないぞ。何を考えているのかはわからないが、清蘭は今朝からずっと半裸で動き回っている。バスタオルだけを巻いていたり、ギリギリ隠せる水着でうろちょろしたり、或いはサイズの合っていないスポブラにふんどし――色々とギリギリだ――を身につけていたり。
「なあ清蘭」「何?」清蘭は平然としているように見える。でも、私にはわかる。さっきの声は、内心を隠しているんだ。「さっきからの清蘭は、ちょっと目の毒かなって…」「なんで?」…お、今日は中々強情だぞ。それならこっちにも考えがある。
「いや、何でもない」私はすげなく振り払った。会話はそこでおしまい。清蘭がスープを持ってきた。…何かよくわからない肉が入ってるけど、なんだこれ。「すっぽん」「え?」「すっぽんよ。精がつくやつ」そう言うと、清蘭はそれをガツガツと食べ始めた。…ははぁ、なんとなく読めてきたぞ。
私は残した。これは…味付けがキツい。清蘭はそれもさらって食べてしまった。器を片付ける清蘭の背中を見ながら、私はカレンダーを思い浮かべていた。――確かに、前回はそれなりに前だ。そういう時期が来てもおかしくはない。となると、さっきからの刺激的なファッションショーは…
「清蘭、今日はどっかで外食しようか」これは釣り針。清蘭はパレオ付きの水着を着ていた。「…いや、いいよ。家にいよう?」「残念だなあ、清蘭の好きな店に行こうと思ったのに」清蘭はびくりと震えた。恐らくは外食に反応した訳じゃない。つまり――と、思った瞬間、清蘭は私に飛びついてきたんだ。
「私がこんなに誘ってるのに、鈴瑚はなんで無視するの?」
清蘭はむくれていた。…いや、涙を流していた。しまった、ちょっと遊び過ぎたか。
「誘ったりしなくても――私はいつだって、清蘭を愛してるよ」
私は涙を、ぬぐってやった。そうするのが一番だと思った。清蘭は笑った。そうだ。君は笑っている方がいい。
どちらからともなく、私達は抱き合った。愛を囁きたかったけれど、それを邪魔したのは下半身の感触。柔らかくも硬く、熱いその存在は…そうか。ずっと我慢してたんだもんな。赤面する清蘭の手を取って、それに触らせた。清蘭は息を飲んだ。私もそうさ。――清蘭のそれを見て、ね。
パレオの影、水着の中に隠れたそれを、静かに解き放つ。鎌首をもたげつつあったそれを、そっと、そっと撫でた。清蘭のそれが、びくりと反応した。ゆっくりと撫でさすりながら。顔を近づける。清蘭は私の手にそれを押し付けながら、身体をゆすりはじめた。それは駄目だよ。まだ、駄目だ。
私は手を放し、そっと息を吹きかけた。それさえも清蘭には狂おしい思いだったろう。どうだい、もっとやって欲しいかい、清蘭。私の問いに、清蘭は息を荒げながら答えた。唾液が一本、床へと落ちた。それなら――少しだけ、そうしてあげるよ。私はそれに手を当て、優しくこすってやった。
びく、びく、と清蘭のそれが上へ跳ねた。もう我慢できない、とばかりに伸ばされた両手を、しかし私は突き返した。駄目だよ清蘭。君はもっと我慢しなければならない。そうすれば、そうすれば――そうだね。ご褒美をあげよう。最高のご褒美をね。
清蘭の手を取り、それを清蘭自身の胸に当てた。清蘭は切なくも可愛らしい声を上げて、それを弄り始めた。清蘭のそれが再び跳ねた。何度も跳ねた。駄目だ。もう少しだけ我慢して欲しい。そうすれば――君は一番沢山、二人を悦ばせる事ができるはずさ。
それはよだれを零し始めた。びく、びくと跳ね続けている。欲しいんだね。いいよ。ほんの少し、してあげるよ。私はそれにそっとキスをした。よだれを静かに舐めとった。それは更に熱く硬く、私達の為にその存在を主張していた。もう限界かい清蘭。わかるよ。それなら――いいよ。しよう。
先を含む。引く。含む。引く。清蘭の声が大きくなった。含む。舌で転がす。そして飲み込む。清蘭のとろけた顔が愛おしい。私は少しだけ体重をかけ、清蘭に近付いた。含んだそれが、更に口の中へと入り込む。口の中のそれはこれ以上ないくらい硬く、今にも爆発しそうだ。
いいよ清蘭。もう我慢しなくていい。私だってもう――我慢したくないさ。幾度目かもわからない抽挿。押さえられたストレスが解放されようとしている。私がそれを喉へ喉へと飲み込んだ瞬間、その身体がぶるりと震え――口の中に、精を吐き出した。熱い熱い、濃厚な精だった。
大量の精をそのままに舌で掻き回すと、清蘭は少しだけ呻いた。私の頭を掴んで、自分自身に押し付けた。気持ちよかったんだね、清蘭。わかるよ。今まで何度もしたからね。これからも、何度でもしよう。私が情を温めている間に、清蘭は優しく、しかし思い切りの力で、私の口を突き始めた。
二度目はさほど時を置かずに訪れた。清蘭は快楽を極め、私の口に再び精を吐き出した。消耗した清蘭の顔を撫でる。私達はキスをした。残滓を相互に舐めとる。清蘭自身の精が、口の中を穢していく。舐め取るように貪った。一緒に飲み込んだ。私も、清蘭も、これで穢れてしまったね。
良かったよ。ありがとう。それじゃあ――もっと良くなろう。私が問う前に清蘭は私の脚をまたぎ、顔を上げ――私の腹に、それを押し付けた。残りまとわりついた精が光った。清蘭は深い呼吸と共に、私の許可を待っているようだった。いいよ。私もそうして欲しい。私は欲しがりだからね――
脂肪で膨らんだ腹が、清蘭そのもので穢されていく。清蘭は幾度目かもわからない大きな息を吐いた。私が手を添えると、清蘭は腹との間で激しく腰を振った。腹が激しく揺れる。もっと腹に押し付けてやる。清蘭は遂におたけびを上げ――私の腹を、みたびの精で穢した。…清蘭は、がくりとくずおれた。
まだだ、まだだよ清蘭。まだ君は動けるはずさ。それなら――すべき事は、わかるだろう。私が清蘭の名を呼ぶと、それに反応した清蘭は私の腹を穢したものを舐め取り始めた。そうだよ。君がした事は、君が片付けるべきだ。もしそれができたなら、もう一度ご褒美をあげるからね――
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――気が付けば、周囲は真っ暗だ。紐を引っ張る。照らされたそこに、清蘭の姿もあった。それに何故だかほっとして、私は床に倒れ込んだ。目をこする。今日のそれはいつもより激しかった。思い出そうとして――やめた。所詮は刹那的なものだ。二人は悦んだ。それでいいだろう。
…私達は、いわゆる普通の交わりはした事がない。二人とも、なんとなく怖かったんだ。そうする事で二人の関係が壊れてしまうんじゃないか。万が一にでも子供ができたらどうするか。…或いは、自分達がどれだけ自分本位な行為をしているか、思い知らされてる気がして。
…清蘭は、床に倒れたまま眠ってしまっていた。私も酷く眠かった。このまま朝まで眠りこけてもいいか。私は再び、紐を引いた。クッションを引き寄せて、枕にしようとして――清蘭の方に、譲ってやった。枯れ果てるほど疲れたんだ。ゆっくりと眠るといいよ。清蘭。
――私もやがては、眠りに落ちる。「清蘭」寝言だっただろうか。それとも正気だったのか。自分自身の声を聴きながら、私は夢の世界へと誘われた。