男はいつの間にか、女神官の目の前まで来ていた。全裸の男に見下ろされていることに気付いても、女神官はその場から逃げ出すことができなかった。身体が凍り付いて、脚が床に根を張ったように動かなかった。
「まさか神官ちゃんが、こんなワリぃ子だとは思わなかったなぁ~」
ドアの枠に肘をついて寄りかかりながら、男がニヤニヤと笑う。
白々しいことを言っているが、この男はローグ——すなわち探索や気配察知の専門家だ。恐らく男は、女神官がドアの隙間から自分たちの乱交を覗き見ていることを、はなから承知していたに違いない。
しかもそれは、今夜に限っての話ではないだろう。前々から女神官が覗いていることを承知しながら、男はわざわざそれを放置していたのだ。それはおそらく、今日のこの瞬間のために。
「
「…………ご、ごめ——」
「謝ったからって、許される話じゃねぇよなぁ?」
「…………」
「あ~あ、神官ちゃんがこんなことするなんてなぁ。信じてたのによぉ。ナンか裏切られた気分だぜ」
男は自分が正しい者であるかのように振舞い、女神官の罪を糾弾しているが、当然、それは一種の詭弁に過ぎなかった。だが、詭弁で十分なのだ。今の女神官の心は、深い渓谷にかかった脆いつり橋のようなものだ。つり橋は少しの風でも大きく揺れ動き、軋み、その中心に立っているものは、何をしてでも助かりたいと思う。
さらに風を吹かせるため、男はニヤニヤ笑いを引っ込め、蔑んだ目で女神官を見下ろし、より強い言葉で彼女を責め詰った。男は女神官が「悪いのは自分なのだ」と思うように巧妙に仕向け、しかも彼女に謝罪の隙を与えなかった。
しょせん女神官は、つい数か月前までまとも神殿の外を見たこともなかった小娘だ。男と比べれば可哀そうなくらい世間知らずである。冒険者としてゴブリンをはじめとする魔物と戦ったからといって、それで対人話術が向上するはずもない。一対一でやり込められて、女神官の表情が、さらに重く沈んでいく。
そして、それを頃合いと見た男は、今度は打って変わって、今まで見せたことのないような優しい笑顔を彼女に見せた。
「なぁんてな、ウソだよ、ウソ」
「え……?」
「別に怒ってねぇから安心しろって」
「あ……」
「そうさ。これくらい、別に怒るようなことじゃねぇって。見られたからって、ナンも減りゃしないしよ。ゴメンな、さっきのはちょっとからかっただけさ。神官ちゃんがカワイイからチョーシに乗っちまった」
ということは、この男は、わたしの覗き見を許し、無かったことにしてくれるのだろうか。そんな希望を込めて自分を見た女神官に対して、男は爽やかさすら感じられるニッコリとした笑顔で頷いた。
「そうそう、言ってくれりゃ、フツーに混ぜてやったんだぜ?」
「…………え?」
「神官ちゃんも女の子だもんなぁ、こーいうことに興味があったんだよな? いいぜいいぜ、だったら俺が教えてやるよ。ほらほら」
「あ、あの、ちょっと」
重たい空気を演出した直後に、それと正反対の軽い雰囲気を作り出した男は、女神官を立ち上がらせて彼女の肩を抱いた。――全裸で肉棒をいきり勃たせたままで。
「あ~、でもなぁ、この部屋でヤるのはちょっとアレかぁ。神官ちゃんも、最初はタイマンがイイだろ?」
ベッドで失神している武闘家と魔術師を見て、男はそう言った。そして女神官が返事をする間もなく、廊下に出ると部屋の扉を閉めた。
亀頭がヘソにつきそうなくらい肉棒をバッキバキに反り返らせた男に肩を抱かれて、宿屋の廊下に立つ。女神官が狼狽えたのは言うまでもない。
「あ、あのっ、その格好、誰かに見られたらっ」
「ん~? 別にイイだろ。誰も気にしねぇって」
「そんな、でも、あなたのおちんちんが、その、――ひゃぁんっ♡」
「俺のチンポがどーしたって?」
「あっ♡ んぅっ♡ くっ♡」
「あ~あ、完璧に発情してるじゃねぇか。俺は肩を揉んでるだけだぜ? こーなったら、神官ちゃんもハメねぇと収まらねぇでしょ?」
「ひゃっ、ぅっ♡ 耳元でっ、ささやかないでっ♡」
「ほら、神官ちゃんの部屋に行こうぜ。二人っきりで、たぁっ……ぷり気持ち良くしてやるよ」
「あっ♡ うう……っ♡」
もはや、女神官は流されるままになっていた。男の腕を振りほどく気力など、彼女にはとうに残されていなかった。
ほんの短い距離ではあるが、他の宿泊客が通るかもしれない宿屋の廊下を、彼女は全裸の男と一緒に歩いた。もしも誰かが二人とすれ違ったなら、いったいどう思っただろう。
ああ、今からこの子は、この男にハメまくられるんだな。可愛い顔をしてるのに、格好からして神官らしいのに、ずいぶんと淫乱なんだな。そう思われるに違いない。女神官の頭の中でも、それと似たような妄想が渦巻いていた。
二人は男の部屋の前から、少女たち三人が寝るはずだった部屋まで移動した。それだけの距離を歩くあいだに、女神官の息は荒くなり、口から心臓が飛び出そうなくらい鼓動が早くなっていた。
部屋に入り、男がドアを後ろ手にバタンと閉じる。ランプを消してあった部屋は暗く、闇の中で、女神官がゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。そして男は、そんな彼女の金色のもみあげを指で弄りながら、優しい声で囁きかける。
「神官ちゃんはハジメテかい? その様子だとそうだよな?」
「あ、あの、わたし、わたしっ、あのっ」
「緊張しなくていいぜ? 痛くもしねぇよ。逆にブッ飛ぶくらいよくしてやる」
「はっ……!! はっ……!! はっ……!! はっ……!!」
「ほら、深呼吸しろ。ゆっくり息を吸って、吐け」
「はぁ~……! はぁ~……! はぁ~……! きゃっ!?」
呼吸を整えていた女神官の全身が、不意に空中に浮きあがる。まるで物語の騎士が姫君にそうするように、男の引き締まった腕が、彼女を持ち上げたのだ。女神官も、無意識のうちに男の首に腕を巻いていた。
「神官ちゃんは軽いな」
暗闇の中でも、男はまるで
しゅるり、しゅるりと、布が解けていく音がする。少女がまとう、純潔と信仰を象徴する白と青の神官依が、男の手により脱がされていく。
これまで彼女が異性には見せたことが無かった、十代特有の水を弾くきめ細やかな白い肌が、外気に晒されていく。冒険者とはいえ、後衛職ゆえに筋肉のつき過ぎていない細腕が、まだ成長途上の胸の膨らみを、精一杯覆い隠そうとする。
「ひぁ、ぅっ♡」
サイハイブーツを脱がされたとき、その脚線に指を這わされて、女神官は鳴いた。もっと聞かせろとでも言うように、男は彼女の太ももや膝裏、ふくらはぎから足の指まで、丹念に愛撫していく。
「あ……っ♡ ふぁっ♡ んっ――っ!」
「声は我慢しなくていいぞ。遠慮なんかしてたら、気持ち良くなれない」
「だっ、だって、こんないやらしい声――ひっ♡ うぅんっ♡ あっ♡ あしっ♡ 撫でられてるだけなのにっ♡」
「お前に才能があるからさ」
「さ、さいのうって……――――おっ!? うっ、あっ♡♡」
女神官はインナーも脱がされ、下半身の黒いミニスカートとショーツを除いては、ほとんど裸になっていた。そんな彼女のくびれた腰を、男のごつい両手がぐっと掴む。それだけで内側に甘い痺れが走り、彼女は後頭部をベッドにつけ、足をピンと延ばしてブリッジした。
「んっぐっ♡ いっ!? あっ、はぁっ、うっ、うううっ♡♡」
ただ腰や腹、脚をマッサージされているだけなのに、女神官の華奢な身体は、面白いくらい敏感に反応した。これが男の言う「才能」なのだとしたら、確かに彼女は稀有な才能の持ち主だった。
「あ~っ♡ ひぃっ♡ あああっ♡♡ あっ♡♡ んっお♡♡」
今の彼女は、さっき自分がはしたない声を抑えようとしていたことも忘れていた。腕で胸を隠す余裕も失い、手でシーツを搔きむしりながら、汗粒の浮いた乳房をぷるぷると震わせていた。その先端では桜色のつぼみがピンと尖って自己主張し、まるで誰かに弄って欲しいと訴えかけているようだ。
暗闇の中で、男が密やかに笑う。彼は左手で少女の内ももを撫でながら、右手を彼女の乳房に添えた。
「イっ!? きゅううっ♡♡ はっうぅうっ♡♡」
「ここも敏感だな。こんだけ感じてもらえると、触りがいがあるぜ。ほら、どうだ?」
「はっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡ やっ、ダメっ、そんなっ、ジンジンするのっ、あっ♡ はぅっ♡ おーっ♡」
「自分でするときも、胸は弄ってたみたいだな。乳首がお好みか?」
「しら、ないっ、しらないしらにゃいっ! こんなのしらないですっ! んあっ、おっ♡♡ むねっ、それいじょう、だめっ、おっぱいっ、へんになっちゃうっ! あっ、あああああっっ♡♡♡♡」
美しく輝く金髪が、ベッドの上で乱れる。初めて経験する他人からの愛撫は、少女を狂わせた。彼女は小さな口をめいっぱい開けて、喉が枯れそうなくらい叫んでいた。女神官の思考はぐちゃぐちゃで、既に明瞭な発話すらままならない状態だった。
気持ちイイ。自分で触るのと全然違う。むしろこの人のほうが、わたしが感じられる部分を良く知っているみたい。気持ちよすぎて、訳が分からない。――でももっとして欲しい。もっともっと気持ち良くなりたい。そんな風に理性はぐずぐずに溶けていき、そのあとに残ったのは、快感を求める本能だけだ。
「下も脱がすぞ」
「は、はいっ♡」
男がそう言ったときも、女神官は全く抵抗しなかった。逆に自分から腰を浮かせ、スカートとショーツが脚から抜き取られていくのを眺めていた。それでも、白いショーツが股から離れる瞬間、にちゃり、と粘質な音がしたときは、さすがに羞恥で顔から火が出るような思いをした。
しかしそんな羞恥心も、これから訪れるに違いない快楽と比べれば、些細なものだ。女神官の脚が緩やかに開かれていたのは、それを待ち望む心が、彼女の中に確かに芽生えていたからだろう。
(あ……っ♡ ゆび……あそこに、はいってくる……♡)
そしてついに、聖域たる乙女の秘所に、男の指が触れた。その瞬間、女神官は唇を強く噛み締め、目をぎゅっと閉じて衝撃に備えていた。
「――キツいな。指一本で食い千切られそうだぜ。――どうだ? 苦しくないか?」
「~~~っっ♡♡♡」
「そうか」
そのときの男の言葉と声色に、女神官は、彼なりの思いやりを感じたような気がした。それでふっと緊張を緩めた瞬間、彼女の下腹部に電流が走った。
「――っ!? はっ♡ おおっうっ♡♡ はぅうっっ!?♡♡♡」
「ちょっと『慣らす』からな。舌噛むなよ?」
「イっぎ!? おっ♡ あっ♡ ひいいいっ!? あ゛ーっ♡♡ あ゛ーっ♡♡」
「おっと、そっちは行き止まりだ」
「なっに♡ これっ♡ やめてやめてやめてやめて!!」
「安心しろって、痛くしたりしねぇよ」
じたばたと暴れる女神官の身体を、男が巧みに押さえつけ引き留める。そしてそのまま、小一時間以上も男による容赦ない責めが続いた。
「あっ♡ ひっい♡ 死ぬっ!! ん゛っ♡ 死んじゃいますっ!! んぅううう゛っ♡♡」
「そう言ってるけど、だいぶ慣れてきたよな? 腰が浮いてるぞ? お前のマンコが俺の指に吸い付いてるのがわかるか?」
「わかんないっ♡ わかっ、わかんなひぃっ♡」
「ほらここだ。ここがお前の弱点だ」
「まっ、やめっ、そこぞりぞりしないりぇっ♡♡♡ あっ♡ うあ゛ーっ♡♡ い゛ぅ~~~っ♡♡♡ い゛っ♡ お゛~~~~っ♡♡♡」
「はははっ、スゲェ反応だな」
これに比べれば、自分これまで感じたことのある喜怒哀楽の感情など、物凄くちっぽけなものに過ぎない。女神官がそう思ってしまうほど、男が彼女に教えた性感は凄まじかった。
少女の経験で辛うじてこれに匹敵するのは、ゴブリンの巣穴で魔物に攫われそうになったときの恐怖と、その直後にゴブリンスレイヤーに救われたときの喜びくらいのものだった。だがそれらも、いま現実として直面している「生」の感覚には遠く及ばない。
女神官は男のテクニックに翻弄され、泣き叫び身をよじった。立て続けに何十回も強制的な絶頂を味わわせられた。暗い部屋の中だというのに、イクたびに目の前が真昼のように明るく真っ白になり、そのたび、何かが自分の中で変わっていく気がした。
「あ゛……♡ ひっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡」
ようやく男の手マンから解放されたときには、女神官は潰れたカエルのように四肢をだらしなくベッドに投げ出し、犬のように舌を垂らしながら、腰をガクガク、ビクビクと激しく痙攣させていた。
「ほら神官ちゃん、水分補給だ」
「――ンっ、んくっ、んくっ、ぷはっ」
男が口元に近づけた
「はっ♡ はっ♡ はっ♡ ヒィっ♡」
「だいぶイケるようになってきたな。これなら大丈夫そうか」
「はっ♡ ひぃっ♡ ひぃっ♡ ふぅっ♡」
「あー、でもベッドがグチャグチャだなぁ。調子に乗ってヤリ過ぎたか。――ま、三つもあるし贅沢に使わしてもらうかな――っと」
「あ――♡」
女神官の身体が、ひょいっと軽く持ち上げられる。彼女はさっきと同じように男にお姫様抱っこされて、隣のベッドに身体を移し替えられた。仰向けに寝かされた女神官の動悸はバクバクと激しいままで、呼吸もまだ整わない。
そんな少女に、男が告げる。
「神官ちゃんも女の子なんだし、やっぱ『ハジメテ』は綺麗なベッドのほうがいーだろ?」
「…………っ」
既に女神官は、ここにきて男が何をするつもりなのか理解できないととぼけられるほど、無垢な幼女ではない。さっきの愛撫に対する反応を見てもわかるように、十分に「男」を受け入れる準備の整った肉体も持っている。彼女がゴクリと唾を飲み込んだのは、そういうことだ。
ベッドが軋み、男が自分の上に覆いかぶさってくる気配と、男の中心にいきり勃つ肉棒の圧倒的な存在感は、
自分はいよいよ、引き返せない一線を越えようとしている。まだ知り合って間もない――それもこんな「ならず者」に、一つしかない純潔を捧げようとしている。ベッドを移動して間が一拍置かれたことで、女神官の心に、ほんの少しだけ冷静な判断力が戻ってきていた。
(だ、ダメ……っ。このまま流されちゃダメ……!)
最後の最後、淫欲の沼に滑落しようとする彼女を押しとどめたものは、単なる理性でも、
では、ここで女神官の脳裏に浮かんだ、彼女を引き留めるものとは――
(だって、このまましちゃったら……「あの人」とはもう……ゴブリンスレイヤーさんとは、もう……)
そう、女神官が脳裏に浮かべたのは、見慣れたあの鉄兜のことだった。初めての冒険で窮地を救われて以来、彼女がずっと目で追ってきた青年のことだった。
もしもこのまま快楽への興味に負けて流されてしまえば、女神官が「彼」に純潔を捧げることはかなわなくなるのだ。――彼女はまだ、自分が持つゴブリンスレイヤーへの感情に、はっきりとした名前を付けられていなかったが、それでも乙女を失おうとした瞬間、彼女が思い描いたのは彼のことだった。
あの人がゴブリンを憎んでいるということ以外は、素顔すら知らないのに。それでも。女神官は勇気を振り絞った。
「あ、あの! すみません! やっぱりわたし――」
「なぁ神官ちゃん」
「え……?」
「神官ちゃんは、誰か好きな男がいるんじゃないのか?」
「そん、な――あっ♡ ううう゛っっ♡♡♡」
「当ててやろうか、ゴブリンスレイヤーだろ?」
「あっひっ♡♡ うおっあ♡♡ そ、そりぇは――っ」
だが、そんな少女の心の動きも、男には見透かされていたようだ。男は穏やかに問いかけながら、女神官の腰のくびれを手でなぞった。そして、たったそれだけで、女神官は腰を浮かせて反応してしまう。
女神官の身体から発散される少女の香りとメスのフェロモンが、男の嗅覚をくすぐった。
「いいんだぜ? 別にそーいうのがいても」
「はぅう……♡」
男はもう一方の手で、飼い猫にそうするように、女神官の汗ばんだ喉をくすぐった。
「もっと気楽に考えな。これは練習みたいなもんさ」
「れ、れんしゅう……」
「好きなヤツとの『本番』で失敗したくないだろ?」
「ふぁっ♡」
男は女神官の金髪を優しく撫で、彼女の首筋にキスを落とす。さっきの激しい責めとは打って変わり、少女を甘やかすような優しい愛撫。だが、それと共に囁かれる言葉は、とても危険な誘惑に満ちていた。
「な? 本番で痛がって泣き叫んだりしたくないだろ?」
「あふっ♡ だめっ♡ 耳っ、それだめっ♡ ぞわぞわ、するっ♡♡」
「俺なら痛くしないぜ? はじめっから天国に連れてってやるよ」
「はぅっ♡ あっ♡ らめっ♡ らめですぅっ♡」
「それにこの暗さじゃ、どうせ俺の顔なんか見えないだろ? 神官ちゃんは、『あいつ』のことを考えながら感じてくれたっていーんだ」
年頃の少女が持つ性行為への関心と恐怖、そして淡い恋心。それすらも利用した上、徹底して自分を都合の良い肉竿に貶めながらの男の揺さぶり。最終的に、女神官は彼に「同意」を与えてしまった。
「は、はいっ♡ わ、わかりましたっ♡」
「……何がわかったんだ?」
「わ、わたしのはじめてっ、もらってくらひゃいっ♡♡」
「……神官ちゃんは、俺のモノで、大人の女になりたいんだな?」
「は、はいっ♡ はいっ♡ してっ♡ オトナにしてっ♡ は、早くっ♡ もっ、ガマン無理でひゅっ♡♡ らからっ♡♡」
幼さを残す桃色の唇から紡がれた、淫ら過ぎる懇願。男は、魂を捧げる契約を勝ち取った悪魔のように口角を吊り上げると、無言で体勢を整え、女神官の脚を左右に広げた。雄々しく反り返ったままの肉棒の裏筋が、産毛すら生えていない少女の股間部に添えられる。
(あ、熱いっ♡ これが男の人のなんだっ♡ これからわたしも、これで、武闘家さんや魔術師さんみたいに……♡)
「いくぞ。これだけは一度しかねぇからな。よーく味わっとけよ?」
「――っ♡」
女神官は、唇を噛み締めながら、首をブンブンと縦に振った。彼女は紛れもなく初体験だが、「慣らし」は既に十分すぎるくらい終わっている。腰を引いた男の亀頭が、ぴとりと割れ目にあてがわれた。
女神官は衝撃に備えるため、シーツをぎゅっと握りしめた。男の腰が前に進む。
「――はっ♡ ――あっ♡ うっ♡」
閉じていた少女の目と口が、独りでに大きく開かれた。腰がシーツから浮き上がり、全身が弓なりに反る。指とは比較にならない、熱く、太く、硬いものが、秘裂を割って彼女の中に侵入していく。
「あ~……ヤっベェな。亀頭を挿れただけでこれかよ……。マジで吸い付いてきやがる。――こんな名器、手放せるわけねぇだろうが」
「あぎっ♡ おっ♡ ひっあ♡ はぁっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡」
女神官には、男のつぶやきを聞き取る余裕など微塵もなかった。彼女はいま、自分の「カタチ」が書き換えられていく衝撃に、なんとか意識を途切れさないようにすることで精一杯だった。
不思議なくらい痛みは無かった。度重なる自慰や男の前戯でほぐされていたし、女神官の奥からは、太ももからシーツに零れるくらい、潤滑油が止めどなく溢れていたからだ。
(え、エッチしちゃった。わたし、この人とセックスしちゃった。は、はいってくる。この人が入ってくる。この人なんだ。この人が、わたしのはじめての男の人なんだ。この人がわたしの――)
ゆっくり、本当にゆっくりとした速度で、男の怒張が女神官の内部をこじ開けていく。
始める前に、ゴブリンスレイヤーのことを考えながらでもいいと男は言ったが、実際にいまここにいて、実際に女神官と肌と体温を触れあわせ、実際に彼女を貫いているのは「この男」なのだ。
他の「誰か」を想う余裕など、有るはずがない。男が満たしていく。身体も心も、女神官の全てを。
痛くしないという男の言葉は本当だった。その「膜」が破られたときも、女神官は痛みを感じなかった。ただ、何かが喪われたという感覚はあった。――しかしその寂しさや切なさすら、この繋がりが与えてくれる生の実感の前ではどうでも良くなる。
やがて、男の腰は止まった。まだ肉棒全体は挿入されていなかったが、その前に女神官の行き止まりに到達したのだ。
「あっ……♡」
「……わかるか?」
「……はい…………♡」
男の問いかけに、女神官は目尻に涙を浮かべて頷いた。そのやり取りに込められていた意味は、世界でただこの二人だけが理解していた。
男はしばらく動かなかった。彼は、女神官が息を整えるのを待っているように見えた。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……――んっ♡ こんな、ところまで……入ってきてます……♡」
自分のヘソ下に両手を置き、女神官は微笑んだ。可憐で清純だった少女は、いままで見せたことのないような妖艶な笑み。この暗い寝室の中で、わずか数分足らずのあいだに、蛹は蝶へと羽化していた。
男の胸板、逞しく割れた腹筋、そういったものに小さな手のひらを這わせてから、女神官は小さくつぶやいた。
「動いて、ください……――あっう♡ ああ――♡」
少女の側からの要求に、男は応えた。木製のベッドが、リズミカルに軋み始める。少女の声は、はじめから艶を帯びていた。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ すっ、ごい♡ これがっ♡ セックスっ♡ セックスなんだっ♡ あっ――♡♡ ひっ♡」
「キツくないか?」
「は、はいっ、まだぜんぜんっ♡ あっお、いっ♡♡ でも、声出ちゃいますっ、アソコのなかトントンされて、声出ちゃうのっ♡♡」
男はあくまで手加減し、穏やかに腰を振っていた。はじめての性行為で、女神官が存分に快楽と多幸感を手に入れられるよう、最大限配慮していた。自分が気持ち良く射精することよりも、女神官の性感帯を刺激し開発することを優先して、極めて丁寧に彼女の身体を取り扱っていた。
前戯のときとは異なる男の紳士っぷりに、女神官の胸は、どうしても甘く疼く。
(優しい……あったかい……気持ち良い……これ、好きかも……。セックスって、こんなにいいものだったんだ……)
気持ちの良いセックスほど、男女間での雄弁なコミュニケーションはない。言葉を交わしたり、握手やハグをしたりする程度のやり取りでは、この満たされる感覚は手に入らない。
女神官は、決して弱い少女ではない。彼女は孤児として育ち、15歳になるや神殿を出て、冒険者として人々のためになることをしようと決めた。むしろ芯の強い娘だ。――しかしそんな彼女だからこそ、どこかで自分を慰めて満たしてくれる頼れる存在に、強く恋焦がれていた。窮地を救ってくれたゴブリンスレイヤーのことを、彼女が雛鳥のごとく追いかけ回していたのは、そういうことだったのかもしれない。
そして、ゴブリンスレイヤーに代わる男が、彼女の前に現れた。これは、ただそれだけのことなのかもしれない。
(好き……おチンチンでお腹の奥トントンされるの……好きだな……ふあ……♡)
優しく奥を突かれるたび、喘ぎ声と共に、愛おしさが込み上げてくる。その愛おしさが向かう先は、暗闇の中で自分を支えてくれている目の前の男だ。女神官の腰を掴んでピストンを続ける男の手に、彼女は自分の手を重ねた。
(でも、もっと速くしたいんですね……わたしのために、手加減、してくれてるんですよね……)
そう思ったときには、声が出ていた。
「も♡ もっと♡ もっと激しくしてっ♡ もっと速くても、だいじょぶ、ですからっ――いっう♡♡ おっ!?」
「無理するなよ。いまは自分がイクことだけ考えてろ」
「ひゃっ♡ はいっ♡ あっ♡ ンっ♡ンっ♡ンっ♡ンっ♡ンっ♡ イっ♡」
「良いか?」
「き、きもちイ、ですっ♡ おなかのなか、ジンジンしてますっ♡ い、イっちゃいそう、ですっ♡」
「よし、遠慮するな。そのままイケ」
「はっい♡ ありがとう、ございますっ♡♡ ――ふぁっ♡♡♡」
男に絶頂の許可をもらい、女神官はそれに心から礼を言った。そして、堰を切ったように快感が溢れ、膣内が引き締まり、腰がガクビクと荒れ狂う。
「い、イクっ♡♡ イクっ♡♡ イッグ♡♡ おっあ♡♡ ――ンむぅ!?」
女神官が挿入による本気イキを達成しようとしていたそのとき、男の上半身が彼女に覆いかぶさり、そのプルプルとした桃色の唇を塞いでいた。
(あ――これ、ファーストキス……)
少女がそう思ったのと同時だった。下腹部から広がった性感が、津波のようになって、彼女の身体全体に到達していく。それに押し流されないように、少女は唇を含む全身で男にしがみついた。
「――ンっ♡♡ ちゅう♡♡ アっ♡ ちゅ♡♡♡」
指で得られるものとは性質の異なる、深く重いアクメ。それを感じながら、女神官は男の背中に手を回して縋り付き、男の腕で抱きしめられる安堵感に身を震わせていた。
男の性器は女神官の胎内でビクビクと震え、先端から何か熱いものを噴き出している。それが大量の精液であることも、女神官は知っていた。知っていながら、彼女は両脚を男の腰に巻き付け、全身で彼に対する服従を示していた。
激しい痙攣が収まっても、二人は抱き合い、繋がったまま動かなかった。数十分後、男が少し身体を離し、その下から現れた金髪の少女に、短く問いかけた。
「……どうだ?」
「は……い……。いっぱい、イキました……。まだ、ドキドキしてます……。おなかの、なか……あったかい、です」
恍惚とした表情で、女神官が告白する。男がニヤリと口を歪めたのに、彼女は気付かなかった。――いや、今さらそれに気付いたところで、そんな些細なことを、女神官は咎めなかっただろう。なぜなら、そんなことが気にならなくなるほど、彼女の中には、自分の初めての男に対する暖かな想いが満ち満ちていたのだから。
「おねがい、です」
女神官は堕ちていた。ゴブリンスレイヤーに対する淡い憧れすら、男に無理やり塗り替えられて。それでも、彼女は幸せだった。心を満たす幸福感に命じられるまま、女神官は男に求めた。
「もっと、してください……。おねがいですから、こんどは、もっとはげしくして……」
年若い少女ほど、変わりやすいものはない。一晩にして、純粋無垢な聖職者から淫らな娼婦へと変貌を遂げた少女は、火照った身体をくねらせて、熱い吐息を漏らしながら囁いた。