今日は早め?の更新です。
エロないし、アクラメインの話だしね。
でも一応大事な話なのです。
次回から暫くエロが……あるかな?次回は確定でエロなんで許して。
では、どうぞ。
「お話があります、亜九さん」
「あぁ聞いてますよ、菜々芭さん」
リリーが敗北し、菜々芭がジェノに好きなようにされた次の日、本来、来るべきだった曜日ではないにも関わらず亜九ことアクラは菜々芭のラボを訪れていた。
緊急と言うことで菜々芭から呼び出されたのだ。
契約魔族の特定機能が役に立ったら名前で呼んで欲しいというアクラの要望に応えている辺り、菜々芭は真面目だが、今はそれを気にしている場合ではない。
「それでお話とは?」
内心は約束を守ってくれた菜々芭に笑いかけたいアクラだったが、とりあえず椅子に座り、菜々芭に向き合い問いかける。
菜々芭の話しが何なのだか予想がついてはいるが、ここでボロは出さない。
「亜九さん、契約魔族の特定、魔力振動の効率化による感知範囲の拡大、他にも色々ありますが、貴方の能力はもはや疑いがありません。故に私の独断ですが……協力して欲しいことがあります。今、データを送りましたので開いてください」
「……ほう、これは……」
菜々芭から送られてきたデータを閲覧したアクラは予想をしていた内容ながらも思わず作っていない素の声を出してしまっていた。
魔法科学者の一面も強いアクラでも唸らずにいられないデータがそこにあったからだ。
(やっぱり……菜々芭は天才だな。俺やメッツァーとは方向性は違うけど、やっぱり凄い……)
「亜九さんなら詳しく説明しなくても分かるでしょうが、これは百合瀬財閥の最重要機密、シンフォニックナイツの設計の一部です」
「……シンフォニックナイツ。これが噂に聞いた魔力と科学の融合させた魔科学の真髄、魔力増幅スーツか」
内心で菜々芭への賛辞を贈っていたアクラだったが、菜々芭の説明が始まると一般人でもギリギリ知りうるレベルの情報を口にする。
魔力増幅スーツと呼んではいるが、むしろ本質は魔力の増幅などではなく、人にとてつもない力を与える聖涙石の科学的な再現、疑似魔法戦士とも呼べるものであることも分かってはいるが流石にそれを口にすることは出来ない。
いくら優秀だと言っても無月亜九は一般人扱いなのだから。
「それで、この最重要機密を俺に見せてどうするんで?」
「シンフォニックリリー。百合瀬財閥のご令嬢、百合瀬莉々奈さんが使っているスーツ。そちらは一応の完成を見せてますが……2号機、シンフォニックシュガーがまだ未完成なのです」
「シンフォニックリリーに……シンフォニックシュガー……ね」
シンフォニックシュガー。
その名をアクラはそっと胸に刻む。
大事な名になりそうなのだから。
「亜九さん。貴方に頼みたいのは他でもありません。2号機、シンフォニックシュガーの完成に協力してください」
そして、大事な言葉を引き出せたことに内心ほくそ笑むのを押さえ、アクラは菜々芭に真剣な目を向ける。
「二つ返事で分かったって言いたい所ですがね。このデータだけじゃ足りないものがある。言うまでもないでしょうが」
データにはきちんと目を素早く通したため、アクラには開示されていない情報があることはすぐに分かった。
そしてソレはとても大事なこと。
いや、むしろアクラにとっては一番大事なことなのだから。
「……流石ですね。分かりました。シンフォニックシュガーの装着者……それは私です」
「……やっぱり。じゃあ菜々芭さん用の調整。それに……このデータだと重要部分がまだ何箇所か未完成って感じですか」
「はい。これは私だけではあまりに非効率で……今まで先送りにしてきました。でも、もうそういうわけにはいきません」
一人で自分用の物を作るというのは案外難しいものである。
なにせ、自分で動きながら自分のデータを取らなければならない。
データを取るくらいならば他の人間でも出来るだろうと思われるが、最低限シンフォニックナイツの装備をデータを見て理解する知能がないと次の指示が出来ないのだ。
菜々芭に基礎を仕込んだ瑠々香ならば出来るだろうが、彼女は都市運営の仕事が忙しすぎて菜々芭の研究の手伝いまで手が回らない。
そして、条件はクリアしていてもミネルヴァガードの人間ではない外部の人間であるアクラを関わらすわけにはいかないと考えていたのだろう。
しかし、莉々奈がファルケに穢されたことで菜々芭は、そんなことを言ってる場合ではない。一刻も早くシンフォニックシュガーを完成させなければならないと考えたのだ。
「守備義務はきちんと守ることは誓わせて貰うけど……まぁぶっちゃけこれ勤務契約外の仕事ですよね?」
「……はい」
菜々芭も気にしていた所を見事に指摘され、少しだけ言葉を詰まらせる。
感じは軽いがあくまでアクラは会社に雇われている社員。
シンフォニックシュガーの開発に関わるのは間違いなく契約外の仕事だ。報酬も出せても少額。拘束時間はどれほどになるか分からない。守秘義務でガチガチに縛られる。
ハッキリ言って仕事としては最悪の部類だろう。
しかも菜々芭の独断であるため、百合瀬財閥の資金も頼れないのだから余計だ。
つまり、ボランティアに近い仕事を引き受けてくれと言っているのだ。
アクラに断られる可能性は高かった。アクラがただの勤め人亜九だったらの可能性だったが。
「菜々芭……」
「え?」
「今後は菜々芭で良いかな?敬語もなしで素の俺を出させて貰うよ」
「え……えっと、あの……」
急に会話が飛んだような気がして、菜々芭が戸惑いを表情に浮かべる。
菜々芭は天才少女だが、やはり対人関係は経験。
そういう部分はやはりまだまだ未熟な少女であった。
「いや……だからさ」
故に微妙に気恥ずかしさうに頭を掻いて立ち上がり、菜々芭の目の前まで歩み寄ってくるアクラの行動も理解出来ない。
彼女にしては非常に珍しい困惑と不思議そうな感情を瞳に浮かべている中、アクラが手を差し伸べる。
「友達としてだったら協力するよ菜々芭。友達が困ってたら見捨てられないだろ?」
「っ!」
ようやく意味が分かったのか、驚いたような表情に一気に変わる菜々芭。
普段割と無表情な彼女が百面相を浮かべる様子はそれだけでもアクラを楽しませる。
そして、最後に少しだけ悩んでいるのか、おずおずとした手付きで、菜々芭はアクラと握手をする。
「では……お願い、します亜九さん」
「あぁ任せろ。俺に出来ることで、菜々芭を助けさせて貰うさ。友達だからな」
「……はい!」
アクラの再度の言葉に菜々芭は何か違う言葉を言おうとしてから思い直し、今まで莉々奈だけに向けてきたであろう笑顔を浮かべると、小さくしかししっかりと意思を込めた返事をアクラに送った。
そしてアクラはシンフォニックシュガーの開発に協力することになったのだ。
「あは……あはは!あははははははははは!」
それから数時間後。
隠しラボに戻って来たアクラは、誰も居ないことを確認してから大笑いしていた。
全てが上手くいった。そう言っても過言でさないからだ。
しかしその笑いは狂気すらも秘めている。
メッツァーの前でも殆ど見せたことのない狂気を。
「上手くいった。上手くいった。上手くいった!これで菜々芭は戦いに出てくる。シンフォニックシュガーになって俺を倒そうとしてくる!」
一目惚れした菜々芭を戦場から逃さない。
そう全てはそれだけのためだったのだ。
そのためにアクラはファルケの野望を許容し、莉々奈を陵辱させ、自らジェノという偽名で菜々芭を襲い、煽った。
菜々芭が強い魔力を秘めているのは初対面の段階でアクラは気付いていたのだ。
そして手に入れていたシンフォニックナイツの一号機であるシンフォニックリリーの交戦データから、それが量産型とまではいかなくとも装着者の詳しいデータと融和性があればまだ作れる可能性も分かっていた。
そしてその詳しいデータと高い融和性の条件に当て嵌まる人間はそう多くない。
つまりアクラは、2号機の装着者が菜々芭になる確率が高いことが分かっていたのだ。
だから鷹佑と契約をした。
もし、新しい魔法戦士が現れた時、その魔法戦士をアクラに渡すこと。
つまり菜々芭をアクラに渡す契約をしているのだ。
鷹佑としても当面は新しい魔法戦士など現れないと考えていただろうし、事実、先日のリリーの敗北がなければ菜々芭が動くことはなかっただろう。
それすらもアクラの計画通りなのだ。
菜々芭がリリーである莉々奈に友愛と呼ぶには少しばかり重い感情を持っていることは分かっていた。
そして同時にシンフォニックシュガーの完成が単独設計のために遅れてしまっており、それにより莉々奈一人で戦わせてしまっていることを菜々芭が気にしていることも分かっていた。
菜々芭の口から聞かされる莉々奈のことを考えれば当然の考えだった上、リリーのデータから逆算したことにより、莉々奈がリリーであることも分かっていた。
この3つから考え、アクラはファルケによってリリーを陵辱させることで、いつかは来るであろう菜々芭が現場から離れ、手を出しにくいミネルヴァガードの本拠地に引きこまられる前にリリーを守るためにシンフォニックシュガーを完成させる必要があると菜々芭に思い込ませたのだ。
正直な所を言うならばファルケだけではリリーを倒すことは出来てもシュガーが合流した場合、二人の魔法戦士を相手にすることは出来ない。
いや今のファルケの性能では一人ではリリー一人すらもまだ倒すのは難しいだろう。
全てはジェノである自分の介入次第なのだ。
しかしもはやファルケがリリーを倒せるかどうかなど、アクラには興味ないことだった。
菜々芭が戦場に出るならば、倒し、その身を穢し、そして快楽に堕とすことが可能なのだ。
それ以外、どうでも良い。
「やっと……やっと巡り会えたんだ!俺の夢を叶えてくれそうな人に!」
メッツァーにも世界を支配するという野望があるように、アクラにも野望はある。
それは人に生まれたならば簡単に手に入るかもしれないもの。
しかし、魔族とのハーフであり、テンペストの生まれ変わりとして生まれたアクラにとっては、手の届かないもの。
「俺に愛を教えてくれる人に……」
愛。
それは情報としては理解出来てもアクラには分からないものだった。
元々若干そういうことに鈍いのもあるが、何よりアクラには誰かを愛する感覚が分からないのだ。
大事な親友や仲間とは違う感覚。
たった一人を愛するという感覚。
それはアクラにとってずっと求めて止まないもの。
アクラは誰かを愛したいのだ。
それは愛知らぬ怪物テンペストとの決別であり、母サリアの望みであったとアクラは信じているからである。
「誰かを愛せば……俺は人になれる」
上魔で、魔族であることが嫌なわけではない。
この力があるからこそ、親友の野望の手伝いが出来るのだから。
だが、それでも亡き母を想えば彼女はアクラに人として生きて欲しかったのではないかと思うのだ。
だから、アクラはせめて心だけは人でありたいと望んでいた。
人を愛する、人になりたいと。
しかし、いくら望もうと、アクラはやはり魔族であった。
「菜々芭……きみを愛するよ。きみがいくら嫌がろうと、きっと分かってくれるからね」
アクラは菜々芭を愛するために陵辱するつもりであった。
その身に快楽を叩き込み、自らに屈服させ、自らを愛して貰う。
歪な愛と呼ぶ以外にないやり方だ。
だが、アクラにとってはこれで正しいと思っているし、それが間違っていることを指摘するものもいはしない。
「あぁそういえば忘れてた。『セラフィ』」
『いかがなさいましたか?アクラ様』
『定時連絡時に付け足しておいてくれ。俺は夢を見つけたと』
『かしこまりました』
メッツァーに無断で動いているアクラではあるが、メッツァーを裏切っているわけではない。
元々メッツァーと約束しているのだ。
アクラが相手を見つけた時には何よりもそれを優先するということを。
「これで良し……と。さぁ菜々芭……楽しませてくれよ。俺の……愛する人」
握手の際に見せたあの笑顔をもっと見たい。
自分だけに向けて欲しい。
あの笑顔を穢したい。
年齢としてはメッツァーとそう変わらないアクラだが、魔族としての年齢で言うならばまだ幼少期が終わったくらいだ。
幼いが故の狂気。
幼いが故の欲望。
幼いが故の歪み。
それがアクラと菜々芭の歪んだ関係を作り出すとは、この時誰も知り得なかった。
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