※この作品はR-18です。

銀髪の魔王と黒髪の魔人   作:ムマ・N

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感想、お気に入り登録、評価ありがとうございます。
まだプロローグ中の箸休め回。
後半ちょっと暴走しております。あとがきに補足もあるので宜しければお願いします。
では、どうぞ。


銀髪の魔王の使者

「……一応、お礼を言っておきますわ」

 

「んー別に良いよ。俺も目的あるからだし、役得もあったし」

 

「それ、でも……ありがとう、ございます」

 

(どう見ても不満だらけなんだよなぁ……)

 

 樹を見(・)つ(・)け(・)ら(・)れ(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)洗脳スキン兵が立ち去った後、改めてアクラと向き合った樹は、不満げながらもアクラに向かって頭を下げた。

 不満はあれども、彼女が助けられたのは事実。

 そこできちんとお礼を言う辺り、生真面目なのだろう。

 

 そう、樹は助けられた。

 洗脳スキン兵の目の前で絶頂してしまった樹だが、元よりアクラは見つからないよう結界を張っていたのだ。

 強い魔法適性や、器具があればバレただろうが、援護に来ただけの洗脳スキン兵がそんなものを持っているわけもなく見つかることなく立ち去ったのだ。

 

「そ、れ、で!何故、あんなことを?」

 

(おぉ……めっちゃ怒ってる)

 

 露わになってしまっている胸や秘所を必死に隠しながらも睨みつけてくる樹に涼しげな表情のアクラ。

 そんな対極な状態になるくらいには、今のアクラには余裕があった。

 

(地上についてからアホみたいに頭回るな……)

 

 冷静になれた頭ならばどれだけロアでの自分が腑抜けていたかの自己判断くらいは出来る。

 そこで何故自分が腑抜けていたかまでは辿り着けないが、回る頭ならいくらでも立ち回りは出来る。

 樹を疑似上魔から助けたのも様々な理由があるからこそだ。

 

「まぁとりあえず、はいこれ」

 

「え……?あ、ありがとう……ございます」

 

「別に良いよ。また襲っちゃいそうだから」

 

 いつまでも樹の腕では隠しきれていない巨乳や、絶頂のために濡れてしまっている秘所が見え隠れしては折角ちょっと性欲を解消したのが無駄になる。

 そのためにアクラは自らの魔力で出来たローブを複製して、樹に渡すとちょっと戸惑いながらも樹はローブを羽織った。

 続くアクラの言葉に半歩後ろに下がったが、戦うつもりも逃げるつもりもないようだ。

 

「そ、それです……!何故いきなり……キス……初めてでしたのに」

 

「あぁキス初めてだったのか。約得約得」

 

 出鼻を挫かれたが、再度アクラを問いただそうとする樹。

 そこで実はしゃぶらされたりはしたが、唇同士での接触は初めてだったことを思わず呟いてしまい、そこをアクラに拾われてしまう。

 

「っ〜〜〜!答えなさい!」 

 

「きみの変容魔法の治療と、負担の軽減。ついでに俺の性欲の解消」

 

「え……?あ、あれ……?」

 

 怒りと羞恥で顔を真っ赤にして聞いたものの、素直に答えが返ってくるとは思っていなかったのか樹がポカンとした表情を見せる。

 だが、アクラにとっては隠す気のない情報なのだから、そう答えるのは当たり前だった。

 

「…………」

 

「最近は日常に身体が疼いて辛いんだろ?身体の敏感さまでは何とかならなかったけど、発情のしやすさくらいは何とかなったはず。変容魔法は使えるけど、他人に使うのは専門じゃないから完全には治せないんだ。悪いね」

 

 樹が呆気にとられている間にガンガン話を進めていくアクラ。

 ロアでは腑抜けていて会話は少なかったし、その前はファルケや菜々芭などこのペースでも問題ない相手だったための悪い癖だ。

 しかし樹も専門ではなくとも非常に優秀な才女。

 アクラの言っていることをすぐさま噛み砕く頭脳はある。

 

「……貴方、何者ですの?」 

 

 つまり、アクラが何者かを聞くのが一番大事だと判断したのだ。

 そしてその判断の早さにアクラは上機嫌に笑う。

 

「俺はアクラ。銀髪の魔王、メッツァー・ハインケルの使者さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方が銀髪の魔王の側近だったとはね。無月亜九さん」

 

「あはは、アクラで良いですよ。アザハイド王国の魔導士、ルルカ・キュービアックさん」

 

「……ここでは白薔薇の司令官、霧沢瑠々香です」

 

 国際教導学園の学園長室にて向かい合う二人。

 メッツァーの使者を名乗って現れたアクラと、かつて仕事において上司であり、白薔薇の司令官をしている霧沢瑠々香の対面だ。

 色々な理由からアクラは白薔薇という組織に関わる必要があると判断し、逆に白薔薇側は異界の魔王の側近の突然の出現に、真意を探るべく接触する必要があった。

 この対面は互いに必要なものなのだ。

 

「まっ、牽制はよそうか。別室に待機させてる魔法戦士さん達も入って来ても良いんだよ?」

 

「はぁ……入って来て」

 

「…………」

 

「…………」

 

 警備の兵だけではなく魔法戦士を待機させてることはお見通し。

 そう遠回しに伝えられ、瑠々香が入室を許可すると彼をここに案内した樹と、アクラの最愛の人である甘樹菜々芭が入ってくる。

 二人とも無言だが、樹はアクラを怪しいものを見るように睨み、菜々芭は複雑そうな表情をしている。

 

「立花亜梨子と彩姫くるみは留守番?まぁこっちの二人が居れば大体伝えることは伝えられるから良いけどね」

 

「……っ」

 

 菜々芭をきちんと見ないようにしながら、アクラは外向きを維持していく。

 レムティアシータである彩姫くるみをアクラに知られたくない、またはくるみを襲撃から守るためちょっと問題を抱えていても単純な戦闘力なら高い亜梨子を護衛に付けてることも見破られ、瑠々香が少しばかり唇を噛む。

 どこまで情報が筒抜けになっているのか分かってしまったのだろう。

 

「まぁそっちも多少は調べてるだろうからぶっちゃけるけど、俺の目的はレムティアシータこと彩姫くるみを調べることだ」

 

「なっ……!」

 

「……はぁ」

 

「……?」

 

 そして逆に瑠々香が昨夜の内に調べても分からなかった目的を気にせずアクラは口にする。

 いきなりの言葉に瑠々香は驚くが、何故か後ろに控えている菜々芭からは溜め息が漏れる。

 それを見て、アクラと菜々芭の関係を知らない樹はちょっと不思議そうな表情を浮かべていた。

 

「そして今日は提案に来たのさ。ファルケ・シルヴァ連合に押されてる地上の魔法戦士さん達にね」

 

「……提案?ロアを支配しようとしている銀髪の魔王の側近の提案なんてロクなものじゃないでしょうね」

 

「いいや、きみ達に、いや互いに利益のある提案ですよ霧沢様?ビジネスマンが利益を逃すなんて、あり得ないでしょう?」

 

「っ……」

 

 調子を取り戻したアクラを相手にするには瑠々香は荷が重いのか、一つの皮肉に二つの皮肉を返される。

 仮にもビジネスマンの側面がある仕事をしている瑠々香に対する挑発も兼ねているのだから、中々に性格が悪い。

 

「……アクラさん」

 

「……何かな?」

 

 アクラに翻弄される瑠々香を見兼ねてか、菜々芭が一歩前に出てアクラの名前を呼ぶ。

 それだけでアクラの軽口が止まるが、部屋が謎の緊張感に襲われる。

 瑠々香は二人の関係を知っているなめ緊張が走り、樹は一人置いてかれてることに今更ながら気付いた。

 

「そろそろ本題に。互いに時間はないですよね?」

 

「……はいはい。じゃあ本題に入ろうか」

 

 かつて莉々奈と菜々芭の話で盛り上がってる時に言われた言葉を言われ、アクラが肩を竦める。

 あの頃は舞い上がってたため、嫉妬?などと冗談で言っていたが、今のアクラはそんなことは言わない。

 佇まいを直し、ゆっくりと口を開く。

 

「我々は、地上の魔法戦士組織、白薔薇に対して、一時的な同盟を提案する」

 

「「なっ……!?」」

 

「……!」

 

 アクラの口から出たあり得ない言葉。

 その言葉に瑠々香と樹は思わず声を揃えて驚愕し、なるべく冷静に努めようとしている菜々芭すら目を見開く。

 それほどまでに驚きの言葉なのだ。

 いっそからかいに来たと言われた方が納得出来るくらいだ。

 

「一応誤解がないように言っとくと、最終目標は分からないけど、少なくとも今の所、我々は地上の支配に興味はない。ロアで手一杯だし、そもそも地上に現れたのも、俺らの前組織、ゼーロウの命令だからな」

 

 最終的に支配欲が出る可能性は否定出来ないが、メッツァー陣営が今、地上に侵攻する理由はないのだ。

 ロアの支配を目的とするメッツァー陣営にとって地上はあくまでマナの補給くらいにしか意味のない場所であり、それすらも捕まえた女神近衛騎士団の面々や、ある方法でマナを補充しているため、補給にくる必要すらない。

 

「まぁとは言っても今回俺が来たように全く旨味がないわけじゃあない。きみ達を捕まえて戦力にしたりも出来ないわけじゃないし、マナ自体の補給だって無駄にはならないからね」

 

「…………」

 

「そんな怖い顔をしないで欲しいねミス瑠々香。だから一時的な同盟を結ぼうって言ってるんだ」

 

 睨まれても肩を竦めるばかりでアクラは全く怖がりはしない。

 むしろ話してる間に菜々芭と話して、ちょっと崩れた調子を取り戻していた。

 

「同盟の条件はシンプルだよ。地(・)上(・)の(・)魔(・)法(・)戦(・)士(・)が(・)ト(・)ラ(・)ン(・)シ(・)ル(・)ヴ(・)ェ(・)ー(・)ル(・)王(・)家(・)に(・)協(・)力(・)す(・)る(・)こ(・)と(・)を(・)禁(・)じ(・)る(・)。無論、今ここにいないエリクシルライムとレムティアシータもだ。そしてこっちからは地上への侵攻をしないことと、俺(・)が(・)白薔薇に協力することだ。流石に直接アイツらと争うのはごめんだけどね」

 

「…………」

 

 アクラからの条件を聞いてもはや何度目か分からないが、三人が絶句する。

 あまりに身勝手で、意味の分からない条件にしか聞こえないものを、アクラは自信満々に言い切るのだから仕方ない。

 

「私達に……悪の味方をしろと?」

 

 瑠々香から口に出来たのは、その質問だけだ。

 アクラは自分達をからかい煽りに来たのだと断定した瑠々香は怒りで振る舞いを変えそうにながらも必死に耐える。

 しかし瑠々香の言葉に、アクラは何故か不思議そうな表情を浮かべる。

 

「なんですか?」

 

「んーいや、ね。俺らはまぁ外法使ったり、俺は魔族だしで悪なのは間違いないから反論の余地もないけどさ……ト(・)ラ(・)ン(・)シ(・)ル(・)ヴ(・)ェ(・)ー(・)ル(・)王(・)家(・)は(・)正(・)義(・)な(・)の(・)?」

 

「……え?」

 

「それは……」

 

「……そういう意味ですか」

 

 アクラの表情に苛つきトゲのある声を出してしまった瑠々香も、アクラの独特の雰囲気に飲まれてしまい頭が混乱していたが、本来は頭の良い樹も、付き合いの都合、一番アクラの言いたいことが分かってしまっている菜々芭もすぐに理解出来た。

 

 ロアに直接行ったことがあるのは異世界人たる瑠々香だけだが、二人の話には聞いている。

 メッツァー陣営はそこで反乱を起こし、いくつもの都市を統(・)治(・)している。

 そう、占(・)拠(・)ではなく統(・)治(・)。

 既にロアの世界の人々の一部は、メッツァー達を受けいているのだ。

 そうなれば、それは正義と悪の戦いではなく戦争。

 戦争に善悪は存在しない。どちらが正しいかなどないのだ。

 

「つまり異世界人の私達に手を出すな、と」

 

「そこまでは言ってないよ樹さん。こっちの戦いに関わるより、きみ達には戦わなきゃいけない相手が居る。それは分かってるんだろう?」

 

「それは……そう、ですが」

 

「そもそもそうしたのは貴方達でしょう!」

 

「キッカケはね。だけど魔力が認識された以上、遅かれ早かれ起こってたことだ。魔法犯罪者、増えてるんだろ?」

 

「……黙秘します」

 

「アクラさん」

 

「……なに?菜々芭」

 

 樹、瑠々香を容易く言い負かしていくアクラが菜々芭に名前を呼ばれただけで口が止まる。

 緊張しているというより、警戒しているといった態度に、部屋がピリッと張り詰める。

 

「……貴方は結局、何(・)がしたいのですか?」

 

「…………」

 

 菜々芭の質問は当然のことだ。

 戦争に関わるなと言いたいのは本当のことではあるだろうが、それだけのはずがない。

 名前しか分からないレムティア計画を潰し、白薔薇がロアに関わらないというだけでメッツァーが、側近であるアクラを一時的に手放すことを許すとも思えないのだ。

 ファルケの所に居た時とは違う。

 白薔薇に居たとしても、利益がなさすぎる。少なくとも菜々芭はこう思っているのだ。

 

「……それは」

 

「…………」

 

「……それは!」

 

「なにを……!」

 

「っ!」

 

 急に立ち上がったアクラにピリッと張り詰めた空気もあって瑠々香や樹が臨戦態勢になる。

 しかし、その後の行動は彼女達の予想と全く違う方向に飛んだ。

 

「菜々芭が心配なんだよ!」

 

「「……え?」」

 

「……ふぁ?」

 

 立ち上がったアクラが、菜々芭の両手をまとめるように掴んだ一言に空気が固まる。

 瑠々香や樹はおろか、言われた張本人である菜々芭ですら意味を理解出来ない言葉だ。

 しかしアクラはそんな反応に気付いてないのか畳み掛ける。

 

「樹さんが捕まってるのを見て、アレがもし菜々芭だったらと思った時、思わず頭に血が上って気が付いたら樹さんを助けてたよ!きみの大きくはなくても可愛くて綺麗で形も最高で感度も抜群な胸や、細くて折れちゃいそうで優しく抱きしめたくなる腰!」

 

「あ、あの……その……」

 

「小ぶりなのにプリッとしてて意外と弾力があるお尻や毛が薄いから、指で広げるだけで中まで簡単に見えちゃうオマンコ。お尻もオマンコもちっちゃいのにクリトリスはちょっと大きくて凄くエッチで!」

 

「そ、それ以上は……」

 

「髪の毛も指が簡単に通っちゃうくらいサラサラで、研究所なのに女の子らしく気を遣ってるのが最高で!エメラルドグリーンの瞳は吸い込まれそうなくらい綺麗で、唇は柔らかくて、キスする時なんか───────────」

 

 結局この菜々芭が如何に魅力的で誰にも触れさせたくないというアクラの言い分は、約10分ほど続き、恥ずかしいやら、なんか嬉しいやらで頭がパンクした菜々芭がギブアップを宣言してようやく終わりを迎えた。

 その間にピリッとした緊張感が完全に消えてしまったのは言うまでもない。

 




補足:最後、ギャグですがギャグではありません。
シリアス目のエロゲーに入ったちょっとしたギャグシーンぐらいに感じてください。

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  • スイートナイツ編
  • プリンセスティア編
  • スイートナイツ2編
  • シンフォニックナイツ編
  • レムティアナイツ編
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