説明回&顔合わせ回。
そして今回からレムティアナイツ編エピローグに入っております。
次回もエピローグ、エロはない予定なのでなるべく早く更新したい所。
では、どうぞ。
※ちょっと修正
「地上の魔法戦士の諸君。 初めましてだな。 知っているものも居るだろうが、改めて名乗ろう。 俺の名はメッツァー・ハインケル。 このロアの新たなる王だ」
ロア制圧。
その報告を受けたアクラは、皆を連れて王宮へと訪れていた。
戦いの傷がまだ癒えぬ城内だが、会議室は無事だったようで、そこでメッツァーは待っていた。
「
「みんな適当に座っちゃって。 挨拶はそれからで大丈夫だから」
「……分かりました。 では、皆さんこちらに」
銀髪の魔王と呼ばれたメッツァーを前に緊張が走る地上の魔法戦士達を安心させるようにアクラが率先して動く。
そこで協力するのは勿論、菜々芭だった。
「ふっ……中々凄まじい光景だな」
皆が着席したのを見ると、メッツァーがニヤリと笑いながら呟く。
地上側、招かれた魔法戦士が座るこの光景に、何か感じるものがあるのだろう。
シンフォニックナイツ。エリクシルナイツ。レムティアシータ。
その中心にアクラが座っているのはある意味不思議な光景だ。
「そっちこそ」
だが、アクラからすればメッツァー側の方が凄い光景だった。
中心に座るメッツァー。
副官であるココノ。次に凛々子。そしてスイートキッスこと香那葉とスイートパッション、麻由希。
そしてココノの逆側、メッツァーの左隣にはティアナとエレニスまで居るのだ。
白薔薇のメンバーなだけの地上組よりも遥かに凄いメンバーだった。
「まぁ何はともあれ、香那葉、ありがとう。 きみのおかげで早期に決着が付いたみたいだね」
「えっ? あっ……いえ……」
自分の知らない間に沢山増えていた地上の魔法戦士達に呆気にとられていた香那葉は、アクラに話を振られて、ちょっと恥ずかしそうに目線を伏せる。
そう、これほど早くに戦いに決着が付いたのは香那葉によるものだった。
彼女は、ずっとロアの民を見捨てるような判断をするグロリアに不信感を持っていたため、凛々子の説得を受けてメッツァー達が王宮に侵入する手助けをしたのだ。
結果的に裏切りに近い行為をしたため、彼女の表情は明るいものではない。
「まぁ私らが裏切らなくても……って感じだったけどね」
「あぁ通信でも濁してたな。 何があったんだ?」
メッツァーは信じられなくても、凛々子を信じた香那葉を麻由希が苦笑いに近い表情を浮かべているのを見て、アクラはメッツァーに話を振る。
外界からの干渉を切る結界に籠もっていたアクラと地上の魔法戦士達は、唯一開いておいたメッツァーからの連絡以外、ロアでのことが分かっていないのだ。
「俺達が城内に奇襲を仕掛けた時……既に一部のナイツとグロリア以外、この城には誰も居なかった」
「……は?」
ここはロアのトランシルヴェール王家の中心である王城。
つまり、政治の中心でもあるのだ。
大臣や内政官、外交官など沢山の文官達がこの城には居るはず。しかし、メッツァーの言葉を信じるならば、全て放棄していたということになる。
「ここからは私が説明しよう」
「エレニス……いえ、私が……」
「ティアナ様が居なかった時間も把握しているのは、この場では私だけです。 お任せください」
本来ならばティアナが説明すべき内情ではあるのだが、彼女はつい昨日封印が解除されたばかり。
状況について聞いてはいるだろうが、説明役にはなれないのだ。
「結論から言えばグロリア様はやり過ぎたのだ。 女神近衛騎士団の増員までは良かった。 しかし、眠りから覚めた後、あの方は変わってしまった」
「眠りって……聖涙石から戻った後?」
「そうだ。 グロリア様は眠りから覚めた後から何かに怯えるように苛烈な戦略ばかり立てていった。 王城に近い都市以外から女神近衛騎士団を引き上げさせたり、形だけでも残されていたスラムを徹底的に潰したりな」
「…………」
スラムのことが出ると少しばかりメッツァーもアクラも、そしてココノや凛々子が反応する。
しかし今はそれを気にしている場合ではないのも分かっているため何も言いはしなかった。
「だが何よりは、レムティア計画。 ティアナ様を封印することで出来た強力な聖涙石を魔力適性の高いものに渡し、その覚醒した魔力で、メッツァーを召喚し、極秘に始末する計画……それが、皆の反発を生んだ」
(そりゃそうだ……)
メッツァーの暗殺は確かに上手くいけば最高の手となるが、基本的には悪手だ。
様々な理由から侵略者ではなく、新たな統治者として振る舞っているメッツァーへの民衆からの心境は言うほど悪くはない。いやむしろ前より生活が良くなったと言って支持するものもいるくらいだ。
そんなメッツァー陣営を戦いで破ったならともかく、暗殺という手を使えば民衆からの王家への心境は最低になるだろう。
故に内部からも反発が出るのは当然だ。
何より前提が悪すぎる。
「半ばティアナ様を犠牲にするグロリア様のやり方に反発し、城を出ていったもの、進言が過ぎ、牢に入れられたもの。 最後に残ったのは、全体から見れば6割ほどの女神近衛騎士団やスイートナイツの二人。 あとは私腹を肥やすものだけだった」
若き女王クイーンティアナは良くやっていた。
グロリアの増やした女神近衛騎士団を指揮して、兄たるエルウィンを打倒し、その後も混乱の中、何とか崩壊を防ぎ、統治に勤めていた。
そんなティアナを蔑ろにする計画に反対するものは少なくなかったのだろう。
だが、一つ疑問があった。
「しかしなんだってそこまで……グロリアは焦った?」
「それは……」
「私の……せいなんです」
「ティアナの?」
「はい……」
既にメッツァーは聞いているのか黙っているが、ティアナは心底落ち込んだような表情で口を開く。
「アクラさん、私は貴方との約束を破ってしまったのです。 サリア様のことが……バレてしまった……私のせいで」
「……そういうことか」
それを聞いてアクラはメッツァーが黙っている理由まで含めて理解した。
そして本来言うべきではない言葉が湧き上がってしまう。
「ってことはあれか? クイーングロリア様はいっちょ前に実の妹への罪悪感を持ってたわけだ。 しかも実の息子が復讐に来るとでも思ったのか? くだらない!」
「……すみません」
「母さんは恨んじゃいなかったし、俺もそういう方面はどうでも良いってのに! 俺が、メッツァーが許せなかったのは……」
「アクラ」
「……わりぃ」
アクラからすればあまりにもお門違い、いやサリアに対する侮辱に近いグロリアの判断に、頭に血が上ったアクラを落ち着かせるため、ただメッツァーは名を呼ぶ。
ただ謝るしか出来なくなっているティアナをアクラも責めたいわけでもないし、今一番大事なのはロアの元々の戦力はあまりあてに出来ないという現状なのだ。
本題はグロリアを責めることではない。
「とにかく、グロリアは確保してあるが、王家は思った以上に役に立たん。 ティアナ、エレニス、スイートキッス、スイートパッション、あとはエレニス配下の女神近衛騎士団のものはすぐに動けるだろうが……」
「お前たちの捕まった女神近衛騎士団のものはいけるだろうが、捕らえられていたもの達は暫く無理だ。 スイートルージュもな」
スイートルージュこと沙倉愛梨もまたグロリアのやり方に反発した一人である。
彼女が捕まったのも、香那葉と麻由希の裏切りを誘発したのだ。
他にも愛梨と共に反発したものや、ティアナの件で反発したものなど、戦力の低下は酷かった。
「つまり何が言いたいかと言えば……地上に戦力を回すのは無理だと言うことだ」
「……あぁ」
そしてある意味、今回地上の魔法戦士を含めたアクラが呼ばれた本題になる。
本来の予定ではロアの戦力をある程度吸収して、地上にも援軍を送る予定だったのだから、こう言われるのも仕方ない。
だが、本来ならば非常に困った話のはずの本題にアクラはまるでどうでもいいことを言われたかのような反応だった。
「それについてはもう解決してる」
「ほう……?」
「菜々芭」
「はい」
報告の出来ないこの数日間で、何かが変わったというのはメッツァーも察してはいたが、妙に自信満々のアクラと菜々芭にメッツァーも興味を惹かれる。
「メッツァー・ハインケル。 新たなロアの王。 貴方は地上侵略を諦めるつもりはないのですよね?」
「……ふむ」
「……メッツァー様」
「メッツァー」
いきなり確信に触れてきた菜々芭の言葉に少しばかりメッツァーが押し黙る。
ココノと凛々子が心配そうに見ているが無理もない。
地上の魔法戦士達とはあくまで一時的な同盟。
その後のことを考えれば、ここで協力しないという手を取られてしまう可能性だってあるのだ。
しかもアクラが説明しているかは分からないが、メッツァーにも地上に協力して貰わなければならない理由はあるのだ。
しかし、ここで誤魔化すつもりは一切なかった。
「その通りだ。 ロアの統治が安定した暁には、地上もアザハイド帝国も我が物とするために動くつもりだ」
「…………」
「…………」
それは事実上の宣戦布告。
これから一時的とは言え、協力関係になるもの達に言うべき言葉ではない。
だがそれでも誤魔化しはしない。
それが銀髪の魔王、メッツァー・ハインケルであるからだ。
そんな自分に惹かれ、ついてくるもの達のためにも彼は己を誤魔化すような真似をするつもりはなかった。
「……分かりました。 では、私たち白薔薇は条件次第で貴方に降伏し、配下となりましょう」
「……えぇ!?」
「う、うそぉ……!?」
「……そうきたか」
メッツァーの言葉を予想していたように全くひるまない菜々芭は、そのまま話を物凄い方向に持っていく。
ほぼ外野であるが、地上出身のスイートナイツの二人を驚愕させる内容に。
この流れには流石に驚いたのか、メッツァーがお前の入れ知恵か?とアクラを見るも、アクラは黙って軽く手を振り、菜々芭を指さすとニヤリと笑う。
まるで俺の女は凄いだろ?と言っているようだ。
「条件は……言うまでもないな」
「はい。 貴方の側近であるアクラさんを地上に派遣して下さい。 そうすれば私たち白薔薇はアクラさんの配下として働きます」
「……他のメンバーも良いのか?」
既に話し合いの主導権は握られてしまっているが、抵抗しないわけにはいかない。
しかし、やはりきちんと対策は取られているようだった。
「あ、あはは……まぁ仕方ないよねぇ」
困ったように苦笑する亜梨子。
「……もう、知りません」
恥ずかしそうに俯きながらも、反対はしない樹。
「まぁ今回はアクラくんと菜々芭ちゃんに完全にしてやられちゃったよね」
亜梨子と同じく苦笑気味ながらも諦めた様子の莉々奈。
「平和になるなら……その方が良いです」
樹ほどではないが、少し恥ずかしそうにしながらもしっかりとした意思で答えるくるみ。
「少なくとも私たちはアクラさんとは戦いたくはありません。 なら、こうするだけです」
「……あっ!?」
自信に満ちた瞳でメッツァーに言い放ち、アクラの腕に抱き着く菜々芭。
それにちょっとだけ反応してしまった、少女が一人居たが、それは今はあまり関係ない。
「……アクラ」
「無理だな。 俺にとっては悪いことは全くないし……ファルケとシルヴァの奴を取り込めば実際、事実上の支配は簡単だぜ?」
これは菜々芭がメッツァーが世界の王となり、アクラがその世界で自由に生きるという契約を聞いただけで思いついた策だった。
つまりその自由に生きる世界を地上にしてしまえば……メッツァーは侵略出来ない。
それはアクラの自由を壊すことになるからだ。
しかもメッツァーにとって何が困るかと言えば、困ることがないのだ。
アクラが支配しているなら地上を放置したことにはならないし、実際にアクラの言う通り、ファルケやシルヴァを取り込めば地上を支配するのも楽だろう。
結局、メッツァーがしてやられて悔しい以外に問題は何もないのだ。
「……色ボケが」
「あ゛? 正妻の他に二人娶るつもりのお前に色ボケ扱いされる理由はないぞ?」
「俺は必要だからするのだ。 旧王家を娶れば……」
「それ以前にティアナのことが嫌いじゃないんだろうが。 あのおっぱいに惹かれたか? おっぱい魔王さんよ」
「お前には勝てんよ。 魔法戦士を五人も堕とした種馬淫魔。 俺らに戦いを任せて種漬け三昧か?」
「それこそ必要だからやったんだろうが。 復活してすぐのティアナとすぐに犯った、お前ほどじゃない。 どうせココノと凛々子も一緒に……」
「え? ええ?」
「あぁ……始まってしまいましたか……」
急に子供の喧嘩のような悪口の言い合いを始めたメッツァーとアクラにみんなは困惑していたが、ココノ、凛々子といったメッツァー陣営の二人は頭を抱えていた。
本当に仲が良すぎるのだ。この世界の支配者たる悪の権化であるはずの二人は。
だが、案外その方が良いのかもしれない。
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スイートナイツ編
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プリンセスティア編
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スイートナイツ2編
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シンフォニックナイツ編
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レムティアナイツ編