レムティアナイツ編エピローグ2。
相変わらずエロもないので、早めに更新致しました。
ちょっと短め、そして、後書きに今後について少し説明もありますので合わせてどうぞ。
「あぁ楽しみだ」
「何匹喰えるかなぁ」
魔界。
そこは人に仇なす魔族達が住まう世界。
その一角にそんな魔界であっても珍しい光景が広がっていた。
沢山の百や二百では足りぬ、千を超す魔族達がある一角に集まっているのだ。
しかも集まっているのは大概が中位レベルの魔族。人間達においては上魔と呼べるレベルの強さを持つ魔族だ。
「あぁ? 雑魚の牛野郎も参加すんのか?」
「魚無勢に言われたくねぇよ」
「あ? 牛野郎が楯突く気かよ」
「弱い魚が良く吠える」
血の気の多い魔族がこれほど集まれば争いは絶えない。
口で済めば良い方で、大概が殺し合いにまで発展する。
これが人間より遥かに勝るはずの魔族が、いくつもの世界を支配出来ていない理由だ。
魔の長たる魔王がいなければ、基本的にまとまることなど出来ないのだから。
「うるせぇぞそこ! 祭りに水指すんじゃねぇ!」
「ちっ……」
「ふん……」
しかし今日は違う。
今日だけは言い争いをするバカは居ても、殺し合いにまではならない。
今日は祭りだ。
一部のモノ、弱いものや特殊な力を持ったものだけが独占していたマナの宝庫である異世界への道が開くのだから。
「潰しても潰しても生えて来るくらい居るんだよな?」
「殺しても犯っても、いくらでもいるらしいぜ」
「ヒヒヒッ! 早く開いて欲しいぜ」
(あーあ……調子乗っちゃって……)
人間にまだ出会っていない魔族達にとって地上は餌場であり遊び場にしか映らない。
そんな魔族達を冷ややかな目で見ているものもいる。
上魔サキュバス。
言うまでもない上級魔族の一人であり……銀髪の魔王、メッツァー・ハインケルの配下の一人である。
「おおっ開くぞぉ!」
「進め進め! 邪魔するとぶち殺すぞぉ!」
(ま……精々頑張りなさいな。 無理だろうけど)
ゲートが周期となり、地上やロアなどの魔界にとっての異世界への道となる。
そこに殺到する魔族を見送りながら、サキュバスは周期が計算通りであることの合図を出した。
「ははは! 俺が一番乗り……だ?」
ゲートの向こうに広がる最高の遊び場。
それを前にしたはずの、狼男のような魔族は、次の瞬間、意識を失っていた。
多分本人にも何が起こったのか、分からなかったであろう。
「予定通りだ! 皆のモノ! 油断するなよ!」
「はっ!」
その魔族の首をハルバードのような武器で落としたエレニスは、一度はメッツァーに捕獲されていた女神近衛騎士団の皆に声をかける。
中心は彼女達ではないが、重要な戦力なのだから指揮は高い方が良い。
「はぁぁぁぁ!」
「やぁぁぁぁ!」
「ナニガ、ギャァァァァッ!!?」
前衛を任せられているスイートナイツの二人が同時に放った魔法で、またも現れた魔族がいきなり消し飛ばされる。
相対する気ならば、防がれてしまうだろうがゲートを抜けてすぐ攻撃されるなど考えるわけがなく、無防備に受けてしまえばこんなものだった。
「香那葉……本当は地上の方に行きたかったんじゃないの?」
「そ、そんなこと……!」
麻由希の言葉に香那葉が頬を赤く染める。
麻由希も何となく彼女の秘めたる感情には気付いているのだ。
今回は麻由希もロアで戦う以上は、香那葉もロアでの戦いを選んだだけ。本当ならきっと地上に行きたかっただろうと。それくらいは分かるのだ。
「はいはい二人とも集中して。 次が来るよ」
「す、すみません凛々子先輩」
「えー凛々子先輩こそ、私達の足を引っ張らないでくださいよ?」
「ま、麻由希ちゃん!?」
「あはは……ま、頑張るよ。 私達だって負けてられないからね!」
前の凛々子命だった麻由希からは考えられない言葉が出たことに香那葉は驚いていたが、凛々子は苦笑はするも気にした様子はない。
わだかまりが全くないわけではないが、それでも今の目的は同じなのだから。
「ティアナ! 左奥だ!」
「はいっ! はあああああ!!」
「グギャアアア!?」
全体を指揮するメッツァーの言葉に魔力ならば一流であるティアナの魔法が後衛から放たれる。
ゲートを抜けてくる魔族が増えていく度に段々と出待ちで潰せなくなっていくのは分かっていた。
だから、戦闘経験自体はやはり他のメンバーには劣るも、魔力の高いティアナを後衛に置いたのだ。
まぁ他にもティアナを前線に出せない理由はあるのだが。
「ココノ!」
「はいっメッツァー様! 下魔達!」
「ぐが……!? 邪魔をするナァ! この、ガアアアア!?」
動きの早い魔族が素早く状況を判断し、逃げ出そうとするのをココノの指揮する下魔達が立ち塞がり逃さない。
そこを背後から女神近衛騎士団のメンバーに攻撃され、絶命する魔族。
例え、一匹としてロアの中に逃すつもりはない。
「まだまだ来るぞ! 下賤な魔族達を一匹として
「はいっ!」
異世界ロアに新たに生まれた国、
彼ら魔族と、メッツの者達では戦いに対する意識が違う。
魔族に勝てる道理などなかった。
「おいおい! これで一番少ないのか!?」
一方、地上の地下施設に開いたゲートにてロアとは違い決して余裕とは言えない戦いが行われていた。
ここを守るのは今回の件で一時的に休戦扱いになったファルケ・シルヴァ連合の面々。
ビーコンを調整して魔族が来る量は一番少ないが、戦力としては一番心許ない場所である。
シルヴァが泣き言を言うのも仕方ない。
「弱気なこと言わないでよ、シルヴァ!」
「そうですね。 もう少し堂々としてください」
そんなシルヴァに苦言を呈するのは、亜梨子と彼の副官であるフィエナだ。
次々と襲い来る魔族に対処しながらも、シルヴァに文句を言える辺り、彼女達の戦闘力の高さが伺える。
回復し、ある理由からブーストも受けている亜梨子もそうだが、解放され戦闘力を発揮出来るフィエナもまた本当に強かった。
「う、うるさい! 俺は元々前衛を張るような……うわっ!?」
「がギッ!?」
「待たせたな。 余計だったか?」
「ファルケ……余計な真似を!」
一方本人も言っている通り前衛を張るタイプではないシルヴァは、文句を返した隙を魔族に狙われかける。
しかし、既の所でファルケの拳が魔族の顔面を捉えて吹き飛ばす。
アクラのアドバイスで更に強くなった強化スキンは絶好調のようだ。
「鷹佑さん!」
「ギャバ!?」
ファルケがシルヴァを挑発する中、その背中を狙っていた魔族を莉々奈が斬りつける。
倒せはしなかったが、かなり深い手傷を負い、ファルケへは攻撃できなくなり、魔族は数歩退く。
「おっと、すまないね莉々奈くん」
「莉々奈で良いです。 それより油断し過ぎですよ?」
こっそりと呼び方を修正しながら莉々奈はファルケと背中合わせになる。
この狭い空間は魔族も数の強みを活かせない。
しかし同時にこちらも集中しなければならないほど距離が近いのだ。
油断は禁物だった。
「油断? 違うな莉々奈くん。 これは……余裕さ」
「莉々奈で良いです。 余裕ですか?」
「そろそろ来るからね。 ヤツの発明で武装した部隊が。 それまでは楽しむだけさ」
アクラの再度の技術提供はファルケのスーツの改良だけではない。
魔撃銃の改良型もまた生み出されているのだ。
そして開始にはギリギリ間に合わなかったが、あと数分でセラフィが部隊を率いてやってくるのだ。
あと数分。
決着は意外と早そうであった。
「はははは! さぁもう一発だよ!」
「はい! いきますよ……! ええい!」
「ガ……!?」
一方、地上のアクラ班でも次々と魔族が
犯人はアクラ、そしてレムティアシータこと、くるみだ。
やっていることはロアにてティアナがやっていることと変わらないが、その結果は全く違っていた。
くるみは歴代最高クラスの潜在魔力を持つ。
だが、彼女の気質の問題か、何か他にも原因はあるのか彼女はその魔力を上手く使えてるとは言えない。
そんなくるみにアクラはパスを繋げることで身体を操り、最大出力で攻撃させているのだ。
色々と繋がってしまったことで生まれた最強の戦術だった。
「楽……ですね。 良いのでしょうか」
「良いの良いの。 あ、くるみ、もう一発」
「はいっ!」
「いえ……ダメだと思いますが……」
くるみの一撃で魔族は消し飛ぶ上に魔法戦士達全員を犯しまくったことで生まれた余剰魔力をくるみに回せば魔力も無制限に使える。
ある種の作業と化している状況に、樹は頭を抱えていた。
しかしその状況を作った張本人は非常にダラけていた。
「ん〜眠くなってきた……」
「ダメですよーアクラさん。 きちんとやってくださいねぇ……」
「菜々芭がそうやって撫でるから眠くなるんだけど……ふぁ……」
アクラは頭を菜々芭の膝の上に乗せる、膝枕の体勢になっているのだ。
そんなアクラの頭を菜々芭が優しく撫でるものだから、アクラは眠くて仕方なかった。
むしろ注意する声ですら優しく甘いもののため、更にアクラの眠気を誘う。
「今頃みんな戦ってるはずなのに……」
「亜梨子にも莉々奈にも俺の魔力でブーストはかけてるから大丈夫。 樹のポジションだっていざと言う時は大事なんだから」
ちなみに流石にアクラはただ寝ているわけではない。
くるみの身体を補助しているのもあるが、アクラは持っている魔力全てで地上の魔法戦士全員を強化しており、本人はまともに動けないのだ。
故に樹は突破された時のためにアクラの護衛として置かれ、菜々芭はいざと言うときにアクラを抱えて逃げるために密着しているのだ。
まぁダラけているのも嘘ではないが。
「ねぇ菜々芭……」
「……なんですか?」
「メッツァーの奴さ、もう父親になるんだよ。 ティアナのお腹の中に、あいつの子が出来たらしくてさ」
「それは……めでたいことですね」
故に悩む樹を放置して眠そうな瞳で菜々芭を見上げてアクラはぼんやりと話し出す。
背景のように魔族が消し飛んでいるとは思えないほど、アクラと菜々芭の声は穏やかだ。
「それでさ……俺のメタモル魔法なんだけど……上手く使えば、俺を限りなく人間に近い存在に出来るんだよね」
「……それ……って!」
一気に飛んだかのように感じるアクラの独特な言い回しに見事ついてこれる菜々芭が目を見開く。
人間と魔族では余程特殊な方法を使わなければ子供は出来ない。
そしてその特殊な方法の大概が母体に強い負担をかける。
それを菜々芭を大事にするアクラが選ぶわけはない。
だが、アクラが人間に近付くならば、魔の人間、言わば魔人になれるならば、話は変わる。
「……何人作ろっか?」
「…………」
普通ならば品のないジョークのような言い回し。
だが、そんなニヤニヤとした笑顔を浮かべた魔族とは思えないほど優しい彼を、菜々芭は愛している。
だから、答えは一つだ。
「貴方が望むなら……何人でも。 私の旦那様」
ここから始まるのだ。
人と魔人の愛の物語が。
銀髪の魔王と黒髪の魔
「
全てを飲み込む、いや全てを飲み込み終わった後のような闇の中、闇が呟く。
この闇の中に他の存在などおらず、闇の独り言のようなものであろう。
「ここから繋がるわけもなく……無駄……いや、
闇は気長だ。
闇に終わりはない。
全てを果たすまでゆっくり待つのみだ。
「鍵はヤツとの出会い。 そして縁。 最良は縁を稼ぐには良い。 何度か繰り返すか……少し先に進み、他の縁も稼がなきゃな」
ヤツ。縁。闇の呟く言葉は常人には理解など出来ない。
だが、闇にとっては構わない。
理解など、とうに諦めた。
闇の目的は、ただ一つ。
「さぁ俺まで至るが良い……
その身を構成するのは強大な闇。
あらゆる可能性を内包した可能性の怪物。
暴快の魔王『
彼の目的を果たすまで、世界は回り続ける。
The Next Story 『黒髪の魔王』 To Be Continued……
これにてレムティアナイツ編並びに黒髪の魔人編は終了です。
最後のアクラ・テンペストが話している内容は一体何なのか?
人によってはすぐに分かっちゃうかもしれません。
本編は次回に人物紹介のような形で少し後の話をしてから少しの間、おやすみします。
その後、始まる新章。
黒髪の魔王
イクシードナイツ編をゆっくりとお待ちください!
どの編が面白かった?
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スイートナイツ編
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プリンセスティア編
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スイートナイツ2編
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シンフォニックナイツ編
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レムティアナイツ編