少しお久しぶりです。
このまま大体土曜か日曜に定期更新になりそうな予感が……。
今回はエロなしですが、次回はアンケートもありリップ回です。
では、どうぞ。
「ん……ココノ、アクラはどうした?」
「アクラさん、ですか?」
ココノが頑張って覚えたコーヒーメーカーで作った美味いコーヒーを飲んでいたメッツァーは不意にアクラの姿がないことに気付いた。
休めと言っても休まないワーカーホリックのアクラがいないことは珍しい。だからか、気になったのだ。
「日課の散歩に行きましたよ」
「……散歩?」
メッツァーとは違いココノは聞いていたのか、悩むことなく答えたが、メッツァーはその答えに、また疑問を持った。
メッツァーもあまり人のことは言えないが、基本的に研究者気質なアクラが外に出ることは珍しい。ロアならば殆どなかったことだろう。
そんなアクラが特に目的のない散歩、しかも日課と言うからには今日だけではなく良くしているということだ。それはあまりにもメッツァーの中のアクラ像とはかけ離れていた。
「はい。 なんでも新しい刺激が欲しい、とか」
「……そういうことか」
しかし続くココノの言葉にすぐ合点がいったメッツァーは興味が失せたように書類に目を戻した。
新しい刺激、つまりアクラは科学技術を学びに行ったのだ。この世界は科学技術に溢れている。簡単にフィールドワークするだけでもかなり刺激になるのは間違いない。
それは学生に変装して学校に通っているメッツァーが一番分かっていることだ。つまり、アクラはメッツァーだけが科学技術に触れていることが羨ましいのだろう。
「まぁあまり目立たないよう気をつけろと言っておけ。 奴なら大丈夫だろうがな」
「はい。 なんでも絵物語……まんが、でしたっけ? あれを参考に変装したらしいので、大丈夫だって言ってましたよ」
部屋でなるべく勉強しているが、外に出ているメッツァーやアクラと違い、戦う力を持たないココノは念の為外出を控えている。
故に少しばかりこちらの文化には疎いが、やはり地頭が良いため何とか二人に付いていっていた。
漫画もココノは見たことがないが、知識では知っているのだ。
「漫画……大丈夫なのか?」
初めはメッツァーも騙されたが、漫画は絵物語でしかないため現実には使えないパターンも多い。
それが学園生活で学べたメッツァーはアクラならばミスはしないだろうという考えと、案外変な所が抜けているので心配だという考えが混じり、複雑な表情で天井を見上げた。
「いやぁ良い考えだ。 漫画は素晴らしい!」
そんな心配をされているなど全く考えもないアクラは町中を歩いていた。
黒の短パンに白いシャツは、この世界に合わせた服装だが、他にあることをしてアクラは変装していた。
漫画で学習した彼は自らの身体を小さくしたのだ。元々身長が高くないアクラだが、今は110くらいしかない完全に子供の見た目になっていた。
顔付きや声も10代になるか、ならないかくらいのものになっていた。歩幅が小さいため歩くのは不便だが、視界が下がり色々景色が変わるのもアクラは楽しんでいた。
「今日はまたコンビニエンスストアに行くかなー。 あそこにある雑誌には面白いことが載ってるし」
今回が初めての外出ではないため、アクラの足取りは慣れたものだ。
最寄りのコンビニの位置も迷うことはない。何よりいざという時のために基地を構えた場所の周りの地形くらいは把握するのが普通ではある。
意外とゼーロウ内では普通ではないのだが。
しかし、そんなアクラの予定はある理由から崩れることになった。
「……あれは」
人間の目ではまだぼんやりとした輪郭くらいしか見えないであろうほど遠く。道路の先から歩く二人の人影の存在に上魔であるアクラは気付いた。
そしてその人影が誰であるかも。
「予定にはなかったけど……お仕事といくか。 ん、ん、あー、あー」
念の為に用意してある設定を思い返しながら、アクラは表情を作る。ワクワクしながらもどこか大人びた表情から、完全に子供らしさを持った表情を浮かべ、更に声色だけではなく、雰囲気すらも作るため声を出す。
そして、お互いの進行故に思ったより近付いてきた人影に向けて、アクラは走り出した。
少年らしい、小さなバタバタとした走り方で。
「ねぇねぇ! お姉さん! お姉さん!」
「え? えぇ?」
「先輩、お知り合いですか?」
走り寄ってすぐさま子供らしい笑顔で話しかける。
その相手はスイートナイツである凛々子と香那葉
だった。
急に知らない子供に話しかけられた凛々子は目を真ん丸にして困惑し、相手が子供だからか、香那葉も怯えた様子はなく、純粋に疑問を浮かべていた。
「お姉さん、凛々子さんでしょ! 兄ちゃんの言ってた人にそっくりだもん!」
「お兄さん……きみのお兄さんのお名前は?」
「竜人兄ちゃんだよ! 俺はね、火村竜次!」
「たつ!?」
アクラが名乗った偽名に、凛々子だけではなく香那葉も驚いたように目を見開く。
アクラは別に出任せでメッツァーである火村竜人の弟を名乗ったわけではない。メッツァーに何かあった時のために役立つと考え、アクラは自らを火村竜人の弟、火村竜次として戸籍をねじ込んであるのだ。
年齢など、色々調べれば粗があるためバレてしまうだろうが、一女学生であるスイートナイツの面々では分かるわけはなかった。
「も、もしかして、火村くんの……」
「凛々子さんは凄い良い奴だって兄ちゃん言ってたから一度会ってみたかったんだ!」
「……火村先輩らしい感想ですね」
まだ少し驚きが抜けてない凛々子に対して笑顔で話しかけるアクラの言葉に、香那葉が納得したように頷く。
言葉としては嘘はついていないためか、どうやらすんなり信じて貰えたようだった。無論、今のアクラが見た目にはかなり幼いのも理由だろう。
(こいつはチャンスだな……メッツァーの口から以外にも色々知れそうだ)
正体を突き止めるために色々調べはしたが、敵味方以外でアクラが二人に直接遭遇するのはこれが初めてである。
アクラにはメッツァーの野望の手助け以外にもこの地上で、いや生涯においての目的がある。
その目的にこの二人との直接遭遇したのは非常に有益な働きの可能性が高い。そういう意味でもアクラにとってこの偶然は嬉しい限りだった。
「ねぇ凛々子さん! 俺、学校の話とか……」
「み……見つ、ケたぞォ……!」
「えっ!?」
「嘘!?」
アクラが二人との交流を持つために誘おうとしたその瞬間、地から響くような声が割り込んでくる。
その声に振り向いた二人は、またも驚愕していた。
だが、アクラもまたソレには表情に出さなかっただけで驚いていた。
(ゲルゲ!? スイートリップに負けて、消滅したんじゃ……!)
そう現れたのはゲルゲだったのだ。先日メッツァーと共にリップと戦ったゲルゲは、パワーアップしたリップに敵わず、強力な魔法で跡形もなく消滅したとメッツァーは言っていた。
無論、メッツァーが嘘を付く必要はない。少なくとも見た目には消滅していたのだろう。本来は元気に蠢いていた触手が半ば溶けるように、ボタボタと液体を垂らしているのはリップにやられたダメージが抜け切っていない証拠だ。
「犯ス、犯し殺しテやるゥ!」
「……香那葉ちゃん!」
「分かりました!」
既に正気を失っているのか、ゼーロウに定められた明るい時間帯には動かない決まりも忘れ、ゲルゲがゆっくりと這い寄ってくる。
それを見た凛々子は、勇ましい声で香那葉に呼びかけると、香那葉もすぐさま頷き走り出した。
(スイートキッスを離れさせたか。 動きが大分……)
「竜次くん! 走れる?」
「えっ? あ、う、うん!」
「じゃあ行くよ! 大丈夫! 私が守ってあげるから!」
「ま、でぇ……!」
思考していたアクラが急に話しかけられ、少しだけ戸惑うも返事を返すと凛々子は安心させるような笑顔で微笑み、アクラの手を握って走り出す。
見た目には子供であるアクラに配慮した速度しかかいが、ボロボロのゲルゲはそれでも追いつくのが難しいようで必死に追っかけて来ている。
無論追い掛けて来ているのは、凛々子とアクラが居るほうだ。香那葉には見向きもしていない。
「……こっちに来た!」
(やっぱりか。 あの野郎、リップに負けた腹いせにここまで来たってとこか)
ある程度ゲルゲに寛容だったアクラも、流石に目的の邪魔をされて苛つきが思考に出ていた。凛々子が居なければ自ら始末したいくらいだ。
しかし今は凛々子に連れられる無力な少年、竜次である以上は何も出来ない。
「こっち!」
「わわ!」
少しばかり距離が離れた所で凛々子は公園の木々の中へと身を隠す。このまま走っていれば撒けるかもしれないが、体力的に劣るはずのアクラを気遣ってのことだろう。
無論アクラが居るために変身が出来ないのもあるだろうが。
「静かに……」
「……ん」
凛々子がなるべく身を小さくするため、アクラを抱きしめる。
アクラの今の身長的に凛々子の柔らかい胸が押し付けられる形になっているが、アクラはなすがままになっている。
悪戯でもしたくなるが、我慢する時なのだから。
「ぐ、ェェ……アク、ラの野郎のせ、いだァ! 殺しで、殺しで、やるゥゥゥ! どこ、だァ! スイートリップゥゥゥ!」
隠れていても凛々子の持っている魔力を追っているのか、ゲルゲは少しづつ二人が隠れている場所に近付いてくる。
錯乱状態のためか、支離滅裂ながらも恨みを持っている相手だけは忘れていないらしい。
(……ったく俺は今居ねぇのに余計なことを)
ゼーロウの監視も欺くため、今のアクラに魔力は一切感じられない。だからゲルゲにバレていることはないのだが、まるでアクラも探しているような言い方は止めて欲しかった。
事実としてはゲルゲの探している二人は、今ココに隠れているのだが、それを知られるわけにはいかない。
「……このままじゃ……香那葉ちゃんも間に合わない。 それなら……」
(……変身する気かな?)
今は一般人で子供に扮しているアクラを凛々子が見捨てるとは思えない。しかし正体を次々にバラすのも躊躇があるはずだ。
ましてメッツァーである竜人と違い、アクラは見た目は完全に子供だ。秘密が守れるとも限らない。
だから悩んでいるのだ。
「待ちなさい!」
「グ、ぎぃ!?」
しかしその心配は無用だった。
あの時、リップを助けた時のようにフラフープが飛んでくると、ゲルゲの身体を斬り裂いたのだ。
つまり、キッスが間に合ったのだろう。
(ちっ……間近での変身が見たかったけど……いや、まだ分からないか?)
ゲルゲは弱くはない。あくまでサキュバスやアクラがゲルゲに比べて強いだけだ。それならばまだ未熟なキッスでは勝てない可能性もある。
故にキッスが来たことによりそちらに向いてしまった凛々子にバレないよう、自らも目を向ける。しかしアクラの希望はすぐに打ち砕かれた。
「はっ! たぁ!」
「グ、ぎィ!? ア、クラに負けた、奴がァ!」
(動きが……良くなってる……!?)
満身創痍でもゲルゲの触手の動きはまだ早い。しかしキッスは余裕を持って避けていた。むしろ避け際に斬り返す余裕すらある。
確かに凛々子は正義感も強く、成長の見込みはあると思っていたが、人見知りで自分に自身がない香那葉がこんな急成長するとは思わなかった。
(動き自体が早くなったわけじゃない。 動きから恐怖が消えたんだ……)
凛々子も多少はあったが、香那葉はかなり動きに恐怖があった。縮こまり、固まった動きを魔法戦士の性能でどうにかしていたのだ。
しかし今はそれも消えていた。いや多少は残っているのかもしれないが、雲梯の差だ。
「スイート・フラッシュ・イリュージョン!」
「ガ……!? バ、カナァァァァ!?」
(ゲルゲ、お前は最後に良い働きをしてくれたよ。 邪魔したのは許すよ。 だから素直に死にな)
キッスの魔法で消えるゲルゲを見ながら、小さくアクラは笑う。キッスの成長が先に知れただけでも十分な偵察になった。
送ると言い出してきた凛々子の申し出を断ったアクラは、今後の作戦を立てるため素早く基地に戻った。
休暇は終わりだ。
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スイートナイツ編
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プリンセスティア編
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スイートナイツ2編
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シンフォニックナイツ編
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レムティアナイツ編