今回はエロなしですが、一応大事な回。
久しぶりの上に短くてすみません。
では、どうぞ。
「一度聞いたが改めて聞こう。 まずはアクラ」
基地に戻ったメッツァーは集まった側近、アクラとココノに目を向ける。
普段はあまりやる気があるようにはパッと見は見えないアクラも、今日はかなり真面目な雰囲気だった。
「あぁ。 俺は今日の作戦でキッスを調教する予定だったが、キッスが予測接敵位置に居なかったのが事の始まりだ」
一度はした説明ではあるが、アクラは真剣な様子で当時を語る。
「だが戦闘した跡があったため俺は追跡した。 そしてキッスはサイクロプス種と戦っていた。 いや戦いはもう
サイクロプス種は上魔としてはサキュバスには全く及ばないが、怪力と巨体を誇る中堅レベルの上魔だ。戦士としてまだ未熟なキッスが戦うにはあまりに強大な相手に違いなかった。
事実、アクラの報告からすれば、キッスは負けたのだろう。
「俺が到着した時にはサイクロプス種にスイートキッスは犯されていた。 しかもあちこちダメージを貰った腹いせか、濡れてもいない場所にぶち込んだっぽいな」
「っ……」
サイクロプス種は事実その巨体に見合った肉棒を持つ。そんなものに処女であるキッスが穿たれたのを想像してしまったのか、ココノが微妙に顔をしからめる。
同じ女として思う所があるのだろう。
「俺らの計画の妨げにもなるし、横から手を出されて黙ってるわけにはいかねぇからサイクロプス種は始末したが、一歩遅かった」
「スイートキッス、香那葉は
「あぁきちんと調べたわけじゃないけどね。 エネルギーが残っていたにも関わらず変身が解除されたってことは、その可能性が高いだろ」
魔法戦士の変身維持能力は非常に高い。意識を失ってもギリギリまでエナジードレインされたとしても変身が解除されることはない。
彼女達自身が解除するか、維持する魔力が0になるかくらいしかないのだ。
しかしアクラが助けた時、キッスの変身は解けていた。それは魔法戦士としての心が折れた時、精神に強いダメージが与えられ壊れた時に他ならない。
そしてそうなれば、再び魔法戦士になることはない。メッツァー達が行っていた作戦を結果的に根本から邪魔されたようなものだ。
「一応治療は施して、凛々子に発見されるように送り届けてはおいた……が、まぁ復帰は無理だろうし、俺らにもそんな暇はなくなった。 だろ?」
「はい。 先ほどゼーロウ本部から地上前線基地司令であるメッツァー様に命令がありました」
アクラの報告は終わりだとばかりにココノに話が振られる。それを予測していたのか、手元の資料を見ながらココノが報告を引き継ぐ。
「ロアより地上へと逃された、トランシルヴェール王家、第一王女、ティアナ・リリアン・トランシルヴェールの捕獲、または殺害です」
「……改めて聞いても頭の痛い問題がきたな。 どんだけ無能なんだあいつら」
「大方あの計画が失敗したんだろう。 まぁあの計画が成功するとは思っていなかったがな」
メッツァーの言う計画。それはゼーロウ上層部が企んでいたトランシルヴェール王家に連なるもの、またはクイーングロリアの暗殺、または捕獲だ。
メッツァー達は地上に送られたためにその計画に参加することはなかったが、寸前まで聞いていた計画の実行予定日はそろそろのはずだった。
しかしメッツァーは今言った通り成功するとは思っていなかった。
そもそも全体を相手にするのが出来ないからと言ってトップを狙うという考え自体が短絡的なのだ。
「しかし良く避難させられたな」
「それは疑問だ。 あの計画では危機感を煽るなど……」
「いえ、どうやら暗殺用の上魔は肉薄したようです」
「は?」
「なんだと?」
あまりに大雑把だった計画の概要を知っていた二人が、ココノの続く報告に疑問を浮かべる。
二人に見られたココノは、本部からの口頭報告をまとめた資料を取り出し、二人に渡してくる。
「王族用の脱出口を利用しただと……王族内に内通者が居ると言うことか!」
「いや待てメッツァー。 現在、トランシルヴェール王家の人間で存命なのはクイーングロリアとプリンセスティアナだけだ。 内通者なんて……いや、まさか」
「何か心当たりが?」
「本部からの報告でもその辺は伏せられていますが……」
「まさか……いや、でもそれくらいしかないか」
自分で言っていて思い当たった節があるのか、アクラが少ししたを向き顎に手を当てて考える。
そして暫くそうしていたが、自分の中での考えがまとまったのか、顔を上げる。
「エルウィン・ヨアキム・トランシルヴェール」
「エルウィン・ヨアキム・トランシルヴェール? 聞いたことのない……いや、まさか、あの時の!」
「あぁエルウィンは、数年前にクーデターを画策して処刑された。
エルウィン・ヨアキム・トランシルヴェール。
トランシルヴェール家の第一王子でありながら、クイーングロリアに弓を引き、結果反逆者として捕らえられ、処刑された男だ。
メッツァーも初めは聞いたことのない名だと思っていたが、すぐに思い付けるほど有名な男だった。
「ですが、エルウィン・ヨアキム・トランシルヴェールは反逆者として処刑したとクイーングロリアから発表がありましたが……」
「クイーングロリアが情けをかけたか、それとも元々ゼーロウと組んでて、脱出。 それを発表するわけにはいかなかった……そんなとこだろ」
「なるほど……例え反逆者と言えどもトランシルヴェール家の人間がゼーロウと繋がっていたなんて、言えるわけがないということですか」
策略家であるメッツァーやアクラほどではないが、地頭の良さがあるため、アクラの言葉にすぐ納得するココノ。
実際にロアにおいて最も有名かつ危険なロアの闇とすら呼ばれる魔法シンジケート、ゼーロウと王家の人間が組んでいたとしたらまずい。
下手すれば王家の権威すら汚しかねない。
「クイーングロリアの情けか、ゼーロウに救出されたのかは分からんが、今回そいつが絡んでる可能性は高い。 そう言うんだな?」
「王家用の脱出口は王家の血に反応する。 たしか先々代の女王が設計したもので、術式が複雑でおいそれと弄れないはずだ。 エルウィンが対象から外れてなかった可能性は十分ある」
「計画は大規模な揺動戦闘を起こし、少数で王城に忍び込むといったもののはずだ。 侵入口の確保をそれでなんとかしたと」
「開けるのにはエルウィン本人が必要だ。 まさか暗殺の部隊に混ざってまで妹を殺しに来るとは思ってなかったんだろうよ」
「…………」
メッツァーとアクラが詳しく会話する時、ココノは会話に入ることは出来ない。
それはメッツァーの副官であり、性奴隷でもある立場もあるが、メッツァーとアクラにはココノですら入れない繋がりがあった。
今だってココノの内心としては脱出口の詳細などを何故か詳しいアクラに対してある程度疑問もある。
しかしメッツァーは気にしていない。ならばココノは口を出せない。
ココノが非常に幼い頃……捕まった後に気付いた幼少の頃の思い出。思えばあの時からメッツァーとアクラは一緒に居た。
それは彼らが最低でも15年以上の付き合いであることを示している。性奴隷になってからまだ2年ほどしか経っていないココノからすれば膨大な差だ。
いつか聞かせて欲しい。そうは思ってもそれを口に出すことは出来なかった。
「国際教導桃園学園……人を隠すには人の中か」
「前回のを踏まえて戸籍隠蔽、ついでに架空の人物として色々用意してあるぞ」
ティアナ暗殺または捕獲の命令が来てから数日。下魔の捜索とアクラのある予想により、メッツァー達はロアから姿を消したティアナの居場所を特定していた。
私立国際教導学院。またも学校のようだ。故にメッツァー達は同じ方法を取ることにした。
「
アクラに渡された資料には簡単なプロフィールが載っていた。
水瀬蒼也。アクラが前回の経験で学んだ地上の知識を使い生み出した架空の人物。
しっかり調べられたとしても数ヶ月はバレない自信のあるアクラの力作だ。
「あと多分最後のスイートナイツの正体が分かった。 というかそいつのおかげでティアナの居場所が判明したんだが」
「お前の言っていたティアナの護衛の話か」
水瀬蒼也のプロフィールに目を通している間にアクラは次の話を始めた。メッツァーが読み終わるまで待っても良いが、マルチに話を振っても分からなくなるメッツァーではないため時間短縮のためにアクラが話し始める。
「私立国際教導学院から国際教導桃園学園に異動した教師が居る。 沙倉愛梨。 タイミングがドンピシャ過ぎだ」
「それだけでスイートナイツと言うには弱くはないか?」
確かにティアナに地上の護衛も必要なはずだが、それは誰かついてきている可能性もある。
その可能性を捨てるにはあまりに弱い根拠だ。
「いや十分だ。 まずスイートナイツが居る私立国際教導学院から居なくなったのが火村竜人と、この沙倉愛梨しかいないこと」
「ふむ」
「次に国際教導桃園学園にティアナは転入する形で入ったようだが、そのタイミングで転入する人間は他に誰もいなかったこと」
「ふむ」
「そして今回水瀬蒼也を転入させるタイミングで被った転入生は3人。 だが、いずれも男だ。 護衛なら魔法戦士のはずだ」
「……十分だな」
「まっ……火村竜人みたく現地の人間と入れ替わってるなら別だが、それをやるような奴らじゃないな」
アクラの推理の根拠を説明され、暫く頷いていたメッツァーは納得していた。
アクラを信用していないわけではないが、自らも納得した上で進める。それはメッツァーの中の決まりだ。
そしてそこでメッツァーは資料の中のある一点を見つけ、アクラに目を向けた。
「しかし今回弟のお前はいないんだな」
「からかうなよ。 流石に素顔で会ったらまずいかもしれねぇだろうが」
凛々子達にメッツァーの弟だとアクラが名乗ったことは報告で知っている。
前回の竜人時代の復讐だとばかりにからかうように言うメッツァーに、アクラは苦々しい顔をする。
暫くは嫌味っぽく笑っていたメッツァーだったが、不意に真面目な顔付きになり、目配せをすると、アクラも小さく頷く。
アクラが調べた所、ココノが近くに来ていたり、サキュバスが忍び込んだりはしていないようだった。
「……会うのは初めてだったか」
「遠目になら何度か。 ただ直接は初だな」
初めて会う。それは言うまでもなく今回のターゲットであるティアナのことだ。
しかしアクラにとってはティアナはただのトランシルヴェール王家の第一王女と言うわけではない。
これはアクラとメッツァーしか知らない、
それほど大事な秘密。そしてそれは今回の件に密接に関係することだ。
「基本的には俺は戦いには参加するが不干渉にするつもりだ。 余計なノイズが入るのは面倒しか起こらない」
「……やはりやり辛いか?」
それはゼーロウ幹部、メッツァー・ハインケルにしては本当に珍しいほど優しげな、アクラを心配する声色だった。
しかしアクラはそんなメッツァーの態度にあっけらかんと笑い返した。
「ノイズが入るのが嫌なだけだよ。 向こうは知らないんだ。 クイーングロリアの方はどうか分からないけどね」
メッツァーには分かる。あっけらかんと笑ってはいるが、アクラにとってやり辛いと言うわけではないのは嘘ではない。だが全く気にならないかと言えば嘘になる。そのぐらいの感情だということが。
だが、それも無理はない。幼い頃は、本当に会いたがっていたのだから。
トランシルヴェール王家第一王女という人によっては重荷にすらなりかねないものを背負った────アクラの
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スイートナイツ編
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プリンセスティア編
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スイートナイツ2編
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シンフォニックナイツ編
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レムティアナイツ編