※この作品はR-18です。

俺の妹が最高のオカズだった   作:風見 源一郎

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無知な女の子と強制セックス

 

 俺が食器を洗っている間に妹が彼女を探している。

 どんな風に写っているのか俺も知らないその写真を使って、学校の友人たちに俺の彼女になってもらえないかと頼んでいるわけだ。

 

 俺の人生、それでいいのだろうか。

 

「どうやって募集するんだ?」

「セックスを前提にお付き合いしてくださる方を募集と……」

「わかった俺が考える」

「もう送った」

「おい!」

 

 急いで手を拭いて美優のもとに駆け寄ると、メッセージアプリのグループに全く同じ文言が投げられていた。

 そのグループ参加人数、40である。

 

「これ、美優の立場的にもマズいんじゃ」

 

 女の子が公にセックスなんて単語を使ってよいものか。

 女子校でワイワイやってる垢抜けた子たちならいざ知らず。

 美優って学校でも大人しいキャラなんだよな。

 

「ここのグループは、大丈夫な集まり」

 

 どこが大丈夫なんだと。

 思っている俺に対し、美優はそのグループに投稿されている写真を見せてくれた。

 その大部分が誰かを脱がせたり縛ったりしている画像で、ここのグループの子たちの将来が心配になってくる。

 参加してるの全員同い年の女の子だよな。

 

 一応、彼氏ができた報告とかもしてるみたいだ。

 人数が多いからか、女の子特有の毒の強い会話はされていなくて心に優しい。

 

 そんなグループに俺の写真と彼女募集の文言が貼られている。

 死ぬほど気まずい。

 

 そして一斉にカウントが増えていく既読の数字。

 俺の心拍数が数えられてるみたいだ。

 牽制しあっているのか、その数字の多さに反して返信はない。

 

「セックスを前提ってさすがにやりすぎだったんじゃないか」

「でもお兄ちゃんの性欲処理してくれる子じゃないと困るし」

 

 そんなに性欲強いと思われてるのか。

 俺がオナニーしまくってるのは美優のせいであって……。

 

 いやエロゲやってる頃からほぼ毎日出してるか。

 

 彼女ができたら毎日セックスするのかな。

 いまだに付き合うって感覚がよくわからない。

 

「あ、返事が来たよ」

 

 ピコンという通知音に、俺は息を呑む。

 最初にメッセージが来てからの後続のレスポンスは早かった。

 

「お兄さんとデートするごとに美優とエッチ一晩でいい?」

「美優と三人でセックスなら考える」

「そのセックスだけしてれば美優からご褒美がもらえるのかな」

「お兄さんと結婚したら美優と一緒に暮らせるの?」

「美優エッチしよ」

 

 次々と送られてくる美優宛のコメント。

 画面を前に俺は凍りついていた。

 

「みんな私のこと好きすぎるんだよね」

 

 これは好きとかどうとかのレベルじゃないと思うんだが。

 美優が周りから好かれるのはわかる。

 でもどうしてみんな性的なんだ。

 

「一応聞いておくが、どういう集まりなんだこれ」

「簡単に言うと女同士でセクハラする会。元は遥のファンクラブ」

 

 簡単に言ってもらって申し訳ないがさっぱり理解できない。

 

「遥ってあの遥だよな? 美優もファンの一人なのか?」

「私は監視役。たまに良からぬ輩が隠し撮りとかするから制裁を加えてた。そしたら気づいたら私のファンクラブになってた」

「ごめんやっぱりわからん」

 

 こいつらまとめて生徒指導した方がいいんじゃないか。

 いくらなんでも不健全すぎる。

 俺が通ってた頃は至って普通の学校だったが。

 そういう世代なのか。

 

 それにしても、美優に対する要望ばっかりだな。

 本当にこのグループで俺の彼女になりたがる子がいるんだろうか。

 

「何人か個別チャットに来てるね」

「おぉぅ……」

 

 今度こそ本格的に心臓がバクバクしてきた。

 さあ、どんな反応をされているんだ。

 

 美優が個別チャットの一覧を表示する。

 3件ほど新規のメッセージ通知が来ていた。

 美優はその子たちのルームを一つずつ選んで、そして、削除した。

 

「えぇ!? 何やってんだよおまっ……!」

「この子たちは可愛くない」

 

 美優は新規の個別メッセージが来ても次々と削除してしまう。

 

 もちろん、付き合うなら可愛い子がいいに決まっている。

 だが最初からレベルの高い女の子に相手をしてもらうなんて、釣り合うだけの扱いをしてあげられる自信がない。

 

「最初は無難な子で慣れておいた方がいいんじゃないか?」

「無難な子じゃ無難な子の扱いしか学べないよ。それにこの年頃の女の子なんて、変わったお店に連れてってあげるだけでデートは満足するから。大事なのはセックスしてお兄ちゃんが満足するかどうかなの」

 

 目的を見失わないその姿勢は偉い。

 でもそんな条件に叶う女の子がいるのか。

 

「うーむ……」

 

 削除を続けてきた美優の手が止まる。

 

 まさか現れたのか。

 俺とセックスしてもいいっていう可愛い女の子が。

 

「佐知子かー。この子は保健体育も理解してないからなぁ」

「そんなに純粋なのか」

「うん。セクハラ組と遊んでることも多いし、全く何も知らないわけじゃないと思うけど。お兄ちゃんを満足させてくれるかは微妙なところ。下手したらマグロ」

 

 さっきから過激な発言がバンバン飛び出してきて耳が辛い。

 セクハラ組がどんなものなのかについては、この際突っ込まないことにしよう。

 

「でも、可愛いんだよな」

「そうだね。だからまずこの子にしよう」

 

 いいのかそれで。

 性的な知識が少ないってのは、つまり。

 処女、なんだよな。

 それを俺が奪っていいのか。

 

「なんて言ってきてるんだ?」

「セックスはよくわからないけどお付き合いには興味あるって」

「ものすごくダメな感じがするんだが」

 

 あんまり無知だと罪悪感がな。

 無理やりしてるのと変わらない気がするし。

 後々どんな行為だったか知ったときに訴えられないだろうか。

 

「事情は私から説明するから。お兄ちゃんは流れを壊さないようにだけしてくれればいいよ」

 

 お膳立ては全部美優がしてくれるということか。

 いざやるってなるとやはり情けない気持ちで一杯になる。

 彼女作りから童貞卒業まで妹のおかげでしたって。

 男としての人生をすべて妹に管理される兄とか両親にも未来の嫁にも顔向けできない。

 

「──あ、佐知子? 今どこにいるの?」

 

 うだうだ考えていたら美優が佐知子なる女の子と電話を始めてしまった。

 この行動力は見習いたいものだ。

 俺も、腹を括った方がいいのかもな。

 

「これから塾? なら休みの連絡入れてこっちに来てもらってもいい? 募集殺到してるから来ないなら別の人に当たるけど」

 

 美優のこの節々に垣間見える悪どさが怖い。

 しっかり者といえば聞こえはいいが、これほど淀みなく嘘を吐ける人間とか、やっぱり怖い。

 

「佐知子来るって」

 

 美優は通話を切って俺に告げる。

 

 本当に塾の予定をキャンセルさせたのか。

 俺はこれからその子と、するってことでいいんだよな。

 まだ心の準備ができてないのに。

 実感が追いつかなくて体がふわふわする。

 

「あ、あとどれくらいだ」

「5分くらい?」

「早いな!?」

 

 美優に写真を撮ってもらったときに身なりは整えたけど。

 ベッドメイクとか必要じゃないのか。

 掃除もしてないし、片付けもしてない。

 美優との約束でエロゲとか処分しておいたのはせめてもの救いだった。

 

「しまった! シャワーを浴びてる暇がない!」

「いいよ浴びなくて」

「でもせめていい匂いくらいさせておいた方が……」

「むこうはこの暑い中に汗かいて来るんだよ? 佐知子が浴びたいって言ってからにしたら?」

 

 くそう。

 言われてみればその通りだ。

 気遣いに対する認識が違い過ぎる。

 

 大人しくしていよう。

 長い物にはやはり巻かれるべきだ。

 

「でも最初からばったりは気まずいかも。私が出迎えるからリビングで座ってて貰っていい?」

「あ、ああ。わかった」

 

 美優はリビングを出てドアを閉めた。

 

 それから待つこと5分。

 外から玄関に向かって足音が近づいてきた。

 

 カーテンが閉まってるのでこの時点で顔は確認できない。

 美優が言う限りでは可愛いらしいので、期待して良いとは思うが。

 あんまり可愛すぎても困る。

 会話すら成立しなかったらセックスはおろかその場でごめんなさいになりかねない。

 

 ってか本来は彼女を作る過程ってそういうものだよな。

 まずお互いのことを知って、仲良くなって、それから恋の駆け引きが始まって、恋人になってから夜の流れに持っていくのであって。

 俺みたいに出会う過程すらショートカットしてしまっているのは異端だ。

 

 だから余計にどう接するべきなのかがわからない。

 

「おじゃましまーす……」

 

 美優がすぐに出迎えたため、インターホンは鳴らなかった。

 声の感じからするに、真面目な子というよりは控えめな子だ。

 トーンの低さのせいなのか、美優と声が似ている。

 気弱さと客としての話し方がなければどっちが喋ってるのか区別がつかない。

 

 玄関で美優と話している。

 遥や由佳たちほどではないにしても付き合いはそれなりにあったようで、親しげな雰囲気だった。

 親しげ、というのも、美優が談笑しているのではなく、互いに遠慮せずに会話のキャッチボールができているという程度の基準ではあるが。

 

「お兄ちゃんは中にいるから。挨拶して、それから始めよっか」

 

 もう始める段階まで話が進んでるんだが。

 性急じゃなかろうか。

 どうやって始めればいいのか何も知らないんだぞ。

 初めて同士のセックスほど悲惨な思い出になるなんて童貞でも知ってる常識だ。

 それなのに、こんなインスタントに始められるなんて。

 

「お兄ちゃん。紹介するね」

 

 心が落ち着かないうちに美優がドアを開けて戻ってきた。

 

 その背後には確かに人影がある。

 

 いよいよ対面か。

 緊張する。

 

「こんにちは……。近衛……佐知子です。よろしく、お願いします」

 

 お辞儀をして、合わせて揺れるサイドテール。

 さくらんぼのヘアアクセから肩下まで垂れる髪が歳不相応に色っぽい。

 控えめというから美優と同じくらい小柄な子を想像してたんだが、むしろ平均より背は高いくらいだよな。

 

「ど、あっ、どうも。よろしく」

 

 どうもじゃないだろ!

 こんにちは初めましてって言うつもりだったんだよ俺は!

 

 こんなところすら歳下の女の子たちに負けるのか……輪を掛けて情けない。

 いい加減男になれ……!

 

「じゃあとりあえずお兄ちゃんの横に座って」

 

 美優に促されて佐知子ちゃんがやってくる。

 「失礼します」と一つ挟んでから、拳一つ分くらいの間を空けて座った。

 

 これは、どうだ。

 近い距離だよな。

 俺の第一印象はそれほど悪くなかったか。

 

 佐知子ちゃんは足を揃えてスッと背を伸ばす。

 俺と横に並んで、美優がインタビューする形式。

 カップルでナンパされるAVみたいだ。

 俺の心の汚さが伺える。

 やめろ、落ち着け、まずこの子を一人の女の子として見るんだ。

 

「え、えと。近衛さん、は変かな? 佐知子ちゃん……は馴れ馴れしいか?」

「佐知子でいいですよ。友達も先生もみんな下の名前で呼ぶので」

「わかった。佐知子だな。よろしく」

 

 美優が言っていた。

 俺のアドバンテージは歳上であること。

 それはすなわち、年齢相応の落ち着きを求められているということだ。

 

 ビビったら負け。

 強気に行け。

 

「佐知子は、その、塾はよかったのか?」

「あー……うーん……」

 

 初手からして失着だった。

 余計なことを掘り起こすべきじゃなかったのに。

 美優からの視線が痛い。

 

「遅れた分はお兄ちゃんが教えればいいの」

「ああ、そうでした。お兄さんはお勉強も得意なんですよね。頼もしいです」

「いや、あの写真はだな」

 

 美優が真面目さをアピールするために撮ったものだ。

 そういう印象になってしまうのは仕方ないけど、過度な期待をされるのも困る。

 

「私ほど頭は良くないけど、努力家だから一緒に勉強してくれるよ。今はバイトもしてないし、いつでも相手してくれるんじゃないかな」

 

 美優からのナイスなフォロー。

 助かった。

 

 この女、やはりデキるぞ。

 

「ってことで、どう? お兄ちゃんと付き合えそう? お兄ちゃんはもちろん文句はないよね?」

 

 と思ったら急に畳み掛けてきた。

 流れがどうとか言いながら何のつもりだ。

 

「私は、いいですけど。お兄さんはいいんですか?」

「ええっ!? あ、ああ。もちろん……」

 

 少なくとも第一印象に不足はない。

 

「はい、カップル成立です。おめでとー」

「わーい」

 

 パチパチ手を叩いて喜ぶ美優と佐知子。

 

 は?

 え?

 んんん?

 

 なに俺。

 彼女できたの?

 この一瞬で?

 告白もないのに?

 

「そしたらセックスしようか」

「あ、うん。えと、よくわからないけど、教えてもらえるんだよね?」

「お任せあれ。お兄ちゃんのPCデータを集約して全て予習済みです」

 

 再び眼鏡をシャキッと掛けて先生モードになる美優。

 もうどこからツッコミを入れたらいいのかわからない。

 

「佐知子が知ってる“イケナイこと”の延長になるけど、いいよね」

「ふぇっ!? わた、私はそんな、イケナイことなんて……」

 

 佐知子は顔を真っ赤にしてモジモジし始める。

 俺は完全に置いてけぼりにされていた。

 

 イケナイことって、女の子が一人でするアレのことか。

 無知が故なんだろうが、セックスって言葉には平然としているくせに、オナニーを指摘されただけであんなに恥ずかしがるなんて。

 

 でもあの反応……してるんだよな。

 

「んー? これからその先までするのに、そんなこと隠してていいの?」

「隠して、なんて。私はそんな、イケナイ子じゃ……」

 

 美優が佐知子の背中から覆いかぶさる。

 とても悪い顔をしている。

 

「お友達から聞いたよ。気持ちよくなる場所を教えてもらったんだよね」

「それ、は、その……」

「他の人に触ってもらわなきゃダメって言われたんだよね。それなのに、自分でしたりしてない?」

「ううぅ……」

「さーちーこー」

「はうぅごめんなさい……イケナイことって聞いてたのに……どうしても欲しくなって自分でしちゃいました……」

 

 美優は佐知子の髪を梳きながら囁き続ける。

 美優の唇が動くたびに佐知子はビクビクと身体を震わせて、もう体がその快感を覚えているようだった。

 

 佐知子は即席で呼ばれたはずなのに。

 まさかこの短時間で情報収集を済ませたというのか。

 お友達の吹き込み方もエゲツないし。

 無垢な佐知子はすっかり信じ込んでしまっている。

 

「今日は、佐知子が気持ちよくなれるやつを、お兄ちゃんにしてもらうから。それがセックスだよ。わかった?」

「そう、なの? じゃあ、セックスならイケナイことじゃない?」

「ほんとはイケナイことだけど」

 

 ビクンと跳ねる佐知子の体。

 涙目になるほど上気させた顔が上向いている。

 美優の吐息には媚薬成分でも含まれているのだろうか。

 

「そんな……これ以上悪い子になっちゃうなんて……」

「だからみんなこっそりやってるんだよ。気持ちいいのは誰だって好きなの。もちろん、無理強いはしないから、今のを聞いてやめたくなったら断ってもいいよ」

 

 そう言って、美優はギュッと佐知子を抱きすくめる。

 絶対に逃す気がない。

 

「セックスする?」

「……うん」

 

 ものの数分で出来上がってしまった佐知子。

 あのドSな責めっぷり。

 天性のものなのか、あるいは経験によるものなのか。

 そっちの方面に関しては、おそらく後者だろうな。

 

 本当はこれは俺がやらなければならなかったことだ。

 わかっている。

 わかってはいるが、無理だ。

 まるでできる気がしない。

 

「じゃあお兄ちゃん。佐知子がセックスするって言うから」

 

 美優は指示棒を伸ばして、俺の盛り上がった股間部をつつく。

 

「脱いで」

 

 その日、もう何度目かわからない命令を、俺は聞いた。

 

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