最も落ち着ける場所のはずだった。
紀元前より続くその歴史の中で、人類の平穏を一身に引き受けてきた、この風呂だけは安息の地であると信じていたのに。
「美優……」
椅子に座り、シャンプーした髪を洗い流す美優。
長い髪を胸の前にまとめて、コンディショナーを軽く付けてから流す姿が艶っぽい。
年下どころか血の繋がった家族であることを忘れるくらいに。
少なくとも、俺の体の方はすでに美優が妹だということを忘れている。
今にも美優を押し倒して膣内に精子を射出しそうなこの生殖器官を見れば明らかだ。
いつか美優には「私のことを妊娠させたいの?」と聞かれて俺は否定した。
事実、俺は妹を恋人や嫁にしたいと思ったことはない。
ゲームの中では別だけど。
今日まで何回も美優をオカズにして抜いてきたが、俺の倫理は今でも近親相姦を忌避している。
思考の上では、妹とのセックスを否定している。
それでも、そんな理性をものともしないくらいに、本能が肉体を支配していた。
「お、俺……!」
湯船の縁に手をかけて上半身を出した。
茹だった頭を冷やさなければ。
妹とセックスをしようだなんて考えを否定すべきなのは、倫理じゃない。
本能であるべきなんだ。
この葛藤そのものが、兄として、ひいては人としてあってはならないもの。
こんな俺が傍に居たとなっては美優の身が危ない。
風呂場は危険な場所だ。
ここでは誰もが裸になる。
生物としてありのままの姿。
本能はもはや水を得た魚だ。
理性で抑え込むことなんてできるはずがない。
「もう、出るから──」
そう言いかけた俺を前に、発言の機会を制したのは美優の方だった。
「どうしたの?」
スポンジにボディソープを染み込ませながら小首をかしげる美優。
「体でも洗ってくれるのかな」
グシュ、グシュ、とスポンジに泡を立てる。
悪魔の囁きだった。
俺の内にいる邪悪に代わって、美優が性欲に塗れた本能を煽ってくる。
「あっ、えっ」
疑念、混乱、不審感。
それらあらゆる要素を、美優の魅惑の体が吹き飛ばす。
「そ、そうだな。背中でも……」
俺はそそり勃ったイチモツを隠すこともせず、湯船から上がると、美優の背後に回った。
水を弾くキメの細かい肌が俺の視線を釘付けにする。
毎日のケアももちろんだが、美優のこの美しい白色を作り出しているのは、ただの引きこもり体質だ。
夏でも日焼けした姿は見たことがない。
身長の低さに比べて、しっかりと作られた筋肉と、生まれ持った足の長さ。
俺に「彼女が欲しければ筋トレをしなさい」と言ったくらいだ。
美優もそれなりに鍛えてはいる。
豊かに育った二つの果実を、果実として形作っているのは若さだけではない。
椅子に座る美優の姿勢の良さは、後ろから眺めているだけではっきりとわかる。
「はい、スポンジ。全身よろしくね。手で触ったら怒るから」
美優は顔だけで振り向き、俺にスポンジを渡して、鋭い視線を刺す。
水の滴る黒髪。
生唾を呑む。
一緒にお湯に浸っているときは感じなかった色めきがあった。
それを失ってしまわないよう、慎重に泡で汚れを落としていく。
なんで俺はこんなことをしているんだろう。
頭の中ではそう思っていた。
逃げ出すつもりだったのに。
気づけば命令に従っている。
恩があるとか負い目があるとか関係ない。
俺はどうあがいても美優には逆らえない。
そしてこの性欲にも。
頭が変になりそうだ。
手を伸ばせば触れてしまえるのに。
その温かさ、柔らかさ、抱きしめたら、きっとそれだけで射精する。
スポンジを腕に滑らせ、次に背中を洗い、腰からお腹、ふとももへ。
「む、胸は、どうするんだ」
「同じようにやってくれればいいよ」
「同じようにって言っても、ほら。谷間のとことか、先っぽのとことか。あるだろ?」
胸で一番汗の溜まる場所は、その大きな肉の塊を退けなければ洗うことはできない。
手で触れるなと忠告されている俺にはどうしようもない場所だった。
「これならできる?」
美優は自らの手で、左右それぞれのおっぱいを広げ、スポンジが入るぐらいの隙間を空けた。
ぴくん、ぴくん、と反応する俺の肉棒。
アレに挟まれたい気持ちは痛いくらいにわかるが、今は落ち着け俺の愚息よ。
そんな妄想に浸っていられるだけの余裕はない。
「先のとこは、スポンジ当てないでね」
美優から告げられた追加条件。
たとえスポンジを使っていても、乳首は刺激しないでくれと、美優は俺に注文したのだ。
貧乳は敏感、巨乳は鈍感というのが二次元での定説。
スポンジが掠ったくらいではものともしないはずだが。
こんなに慎重になっている俺に、わざわざスポンジを当てるなと命令したのは、触れるだけで感じてしまうおそれがあったということ。
まさか、そこは開発されているのか。
こんなにおっきく育てておいて、性感にも過敏になっているのか。
「わ、わかった……」
これはもはや修行。
心を空にする禅の道。
さすがに無心でいるのは不可能だが、自分の思考を理解しないように脳に働きかけておく。
やや右に回り込み、肩の横から手を伸ばして、胸を洗う。
丁寧に、泡だけで擦るように、しかしおっぱいを凝視しないように、息を荒らげないように。
「次、足やって」
美優は膝を伸ばし、椅子を引いて俺に前に回るように指示する。
俺のお腹までくっつきそうなくらいの反り返りが、視界に入っても美優は気に留めない。
俺は美優の膝からふくらはぎに泡を塗る。
バレリーナのように伸ばした足先にも。
奴隷になった気分だ。
女王様に言われるがままに従う下僕。
舐めろと命令されれば喜んで舐める。
それこそ犬のように。
っていうか、舐めたい。
指の間も、胸の先も、そして、まだ洗っていない、パンツにシミを作るくらいに濡れていた大切な部分も。
「うぐっ……、み、美優! もう、終わった……!」
俺は強く頭を振って穢れた思考を追い払う。
美優の体は泡まみれだ。
全身どこもヌルヌル。
腰を押し付けるだけでどの部位でも射精できる。
ああ、もう、ダメだ。
美優とセックスすることしか考えられない。
「終わり? お兄ちゃんはいつも、お尻とふとももの内側は洗ってないの?」
「洗ってるけど……」
「ならまだ終わりじゃないよね」
美優は椅子から腰を上げると、床に膝をついた。
脚を広げて、軽く前かがみ。
四つん這いから上体を起こした格好になる。
艶めかしい背中の曲線美。
ほどよく肉のついた尻と脚。
再び俺に背後に回るように指示をして、早くしろと俺を睨む。
この体勢なら、俺も膝をつけばバックが入る。
美優の腰を両手でがっしりと掴んで、この血管まで浮き出たペニスをねじ込めば、三擦りする前に射精する。
「っ……ぁ……はぁ……」
動悸が収まらない。
頭が真っ白になる。
「美優……い……挿れても……いいか……?」
鏡に映る俺の目が血走っていた。
こんなに俺を誘惑して。
そんなに兄とセックスがしたいのか。
俺はいい、どんなにしても構わない。
これから夏休みだ。
両親もいない。
毎日朝から晩までセックスしていられる。
美優とセックスがしたい。
この妹に中出しをしたい。
「いいわけないでしょうが」
美優は低い声でそう返す。
ならせめてオナニーをさせて欲しい。
この体勢に後ろから精液をぶっかけるだけで意識が飛ぶくらいに気持ちいいはずだ。
「早く」
美優にせっつかれて、まとまらない思考のまま、体だけが命令を聞いて美優の体を洗っていく。
内ももから、お尻、そしてその間にある、大切な部分へ。
股下に腕を忍ばせて。
泡で触れるだけだ。
女性器を強く刺激してはいけない。
お湯で流すときにさっぱりしているくらいでいい。
お尻の穴、そこも、朦朧とする意識のなかで泡をつけて。
洗ってしまった。
あそこには美優の蜜がたっぷりと残っていたのに。
美優はシャワーで流してしまう。
肢体を流れ落ちていく、お湯と泡。
美優のエキスをたっぷり含んだ溶液。
排水口に流れる前の今なら、美優の体をすすいだ直後のお湯なら。
まだ美優の成分がたっぷり含まれている。
それを飲めば、マカだの亜鉛だのなんかよりよっぽど俺の精液を増やしてくれるはずだ。
くそっ、なんでこんなバカなことばっかり考えるんだ。
そんなことはもう人間のやることじゃない。
「あぁ……」
俺は無情にも流されていく泡を眺めることしかできなかった。
性欲と理性が殴り合って、もうそれだけで精一杯だった。
「ありがと」
美優は俺に礼を言って風呂に入る。
もういい。
出よう。
部屋に戻ってオナニーをしよう。
「お兄ちゃん、もう出ちゃうの?」
風呂場のドアの鍵を開けた俺に、美優から投げかけられた理解不能なクエスチョン。
勝手にズカズカ入り込んできて、人の入浴、ひいてはオナニーを邪魔してきたくせに。
「先に出て部屋でゆっくりしてるよ」
これ以上、オナニーの邪魔をされてたまるか。
体を拭いて、髪を乾かして、ベッドに寝転んで、好きなだけこの肉棒を可愛がるんだ。
早くオナニーがしたい。
早く射精したい。
俺は風呂のドアを閉めて、タオルに手を伸ばした。
訪れる安堵。
思考力が蘇る。
──本当に、これでいいのか?
美優が俺を風呂に呼んでいる。
あれはそういう意味の質問だった。
美優が一緒に風呂に入ってくれる。
裸で俺と同じ空間を過ごしてくれるんだ。
こんなご褒美が目の前にぶら下げられているのに、なぜそれを取らない?
たしかに、これは罠かもしれない。
もしここでお風呂に戻ったら、きっとまた射精はさせてもらえない。
でも、だからどうした。
射精をしてしまえばそこで終わりだ。
ただスッキリして、それだけ。
なにも残らない。
それは美優とのお風呂を差し置いて優先するべきことか?
否。
断じて否だ。
「……体、冷えてたから。やっぱり入ろうかな」
俺は風呂のドアを開けていた。
「そっか」
美優は俺の言葉を聞くと、膝を畳んで前方の空間を空ける。
そこに入れということらしい。
俺も同じように縮こまって風呂に入った。
ザバザバとお湯の溢れる浴槽。
さすがに二人で入るには狭い場所だ。
「あの、一つ聞いていいか」
なされるがままの俺だったが。
さすがにもう、これが普通ではないことはわかっている。
「なに?」
「今日はやたらと積極的に、感じるんだけど。気のせいでなければ」
美優からのスキンシップがこれほど過剰なのはおかしい。
昔の美優だってここまで俺にベッタリはしてこなかった。
「まあ、気のせいじゃないだろうね」
美優はクリップで結い上げた髪を直しながら答える。
「理由とか、あるのか?」
俺がそう尋ねると、美優の表情が露骨に変わった。
「ふーん。そう」
美優は目を細めて俺をじーっと見る。
「やっぱりそうなんだ」
美優の返答は曖昧だった。
俺が知っていればそれでいい。
知らなければ教えるつもりはない。
そんな対応。
膝に乗ってもらって、染み付きパンツをもらって、一緒にお風呂に入って。
こんなにご褒美がもらえる理由は、いったいどこにあるのか。
「もっと欲しい?」
美優の言葉に、ビクッと反応する、俺の心臓と肉棒。
心を読まれた、なんてことは、いまさら驚くことでもないけど。
もっと欲しいかって、そんなこと、美優が言うなんて。
「お兄ちゃんは、妹に欲情することに何の疑問も抱かないダメ人間だもんね」
水面下で、動く肌色。
俺の股間に伸びてくる、美優の足。
「あっ……!」
男の最も大切な部分が、平然と踏みにじられた。
グリグリと裏筋を踏まれて、俺は、歓喜に震えていた。
「美優、そんな、こと……ああぁっ……!」
すでに爆発寸前だった俺の肉棒が、美優の小さな足にこねくり回される。
痛いくらいに強く、根元から亀頭まで。
雑な踏み方だった。
気持ちよくしようだなんて思ってはいない足使い。
ただ俺を蔑み、貶めるためだけの行為。
快感より、喜びが湧き上がってくる。
俺はドMなんかじゃないはずなのに。
もう、美優に虐められることを、喜ばずにはいられない。
「ほんと、正直な体だね」
美優の足の動きが変わる。
土踏まずが離れて、代わりに母子球が肉棒を抉ってくる。
その次に触れたのが、美優の足の指。
上向きの肉棒を、横に倒したり、上から押さえつけたり。
弄り倒して、最後は、その指の間で、竿を挟んだ。
足の親指と人差し指をグパッと開き、ヒダも愛液もない、ただの一つの溝で、カリ裏をくすぐってくる。
小柄な美優が、完全に勃起した俺の肉棒を指で挟むのは、半分が限度だったが。
それで十分だった。
足の指で、裏筋を擦り上げるのには。
「あああぁぁ……あぁあっ!!」
美優の足が、俺の肉棒をしごいている。
手でされるのとは、その快楽の質は明らかに違った。
物理的な快感に加え、踏みつけによる羞恥が俺の体を熱くしていく。
やばい、こっちのほうが好きかもしれない。
「はぁ、はぁ、あぁぁあああ……美優、気持ちいぃ……あぁああっ……あっ、ああっ!」
「喘ぎすぎ。女の子みたい。こんな響くところでそんな声出して、リビングまで届いてるんじゃない?」
俺を責めながら、美優は足の動きを止めようとはしない。
もう、なんでもいい。
誰に聞こえていようが、気持ちよければどうでもよかった。
「ママたちがいなくてよかったね」
無表情の奥に潜む、愉悦の微笑み、妖艶に映る美優の顔。
それを見た瞬間、悟った。
俺はもう一生、美優以外で射精することはないんだろう。
このまま出すも出さないも美優の自由にされ続けるんだ。
「み、美優、もう、で、出っ……出るっ……!!」
ドクン、ドクン、と脈打つ肉棒の伸縮に、パッと足を放す美優。
「ああっ! み、美優、そんな……俺は、もう……!!」
射精を我慢するなんて無理だ。
出す、美優で出さないと、もう収まらない。
「美優……!」
体が勝手に美優に覆いかぶさっていた。
美優の片脚を持って、もう片方を膝で退けて。
無理矢理開いたその秘所に、射精間近の肉棒を突きつける。
「お兄ちゃん、ダメ」
美優は冷静に俺を諌めた。
ダメだなんてこと、わかってる。
あまつさえ、実の妹。
年下の、まだ男性経験のない、女の子だ。
中出しなんて、許されるわけがない。
「美優……い、挿れる……挿れるからな」
割れ目に、グッと押し込んだ。
パンパンに充血して、敏感になった亀頭が、感じ取ったもの。
ぬるっと触る、それは、疑いようがなかった。
「濡れ……てる……!?」
洗った直後なのに。
美優の膣内は、まだこんなに愛液で溢れている。
「挿れたらダメだよ」
「美優、わかった。欲しいのは、美優の方だったんだろ」
「お兄ちゃん、聞いて」
「こんなに濡れてるんだ。俺のモノに触って、美優だって興奮してたんだろ」
でなきゃこの状況は説明できない。
美優は襲ってほしかったんだ。
これだけ俺を誘惑して。
口に出せない性分だから。
俺の理性を限界まで破壊して、自分が犯されるように仕向けたんだ。
「お兄ちゃん」
その言葉は、はっきりと俺の耳に届いた。
美優の顔が鮮明に写る。
泣いても怒ってもいない。
さっきまでと変わらない表情。
入り口だけが交わった状態で、見つめ合う、俺と美優。
「……今日、危険日なの」
美優は俺の肉棒にそっと手を添える。
「お兄ちゃんの精液、濃いから。たぶん、受精する」
その手は俺の竿を伝い、美優は自らの下腹部を、そっと撫でた。
「……まだ、妊娠はしたくない」
美優は激しく抵抗することはなかった。
暴れなくても、結局は俺が何もしないことをわかっている。
この裸と裸の重なりに、見えるほど心の距離は縮まっていない。
荒い息遣いだけが響く室内。
俺は、美優の割れ目に肉棒を差し込みかけた腰を、力なく引いた。
「ん、ありがと」
美優は俺の暴挙に不釣り合いな言葉をかけて、両膝を抱えて丸くなる。
できなかった。
挿れることも、それを頼むことも。
今日が危険日だと美優に言われたとき、俺の心に芽生えたのが、中に出したいという衝動だったから。
たとえ相手が恋人だったとしても、妊娠の危険性を示唆されれば普通は挿入をためらうものだ。
誰かを孕ませたいなんて気持ちは、他の女の子たちには抱くことはなかったのに。
よりにもよって、なぜ危険日の妹に中出ししたいなんて思ってしまったのか。
「そろそろ出よっか」
美優の提案に、俺は残ってガス抜きをしたいと答えたかったが。
あんなことをした俺に、髪を乾かせだのまだ命令してくる美優に、結局最後まで逆らうことはできなかった。
「はぁ……」
ベッドの上で大の字に寝転ぶ。
天井が遠い。
オナニーがしたい。
でもオナニーはしたくない。
そんな矛盾した劣情が渦巻いている。
ついにお腹につくまで反り上がってしまったこのイチモツを、ただのオナニーで鎮めるのは嫌だった。
出しても美優は飲んでくれないし。
せっかくこんなにたっぷりと精液が溜まっているのに。
飲ませたい。
欲を言えば咥えてもらいたい。
フェラをしてもらっている最中に射精したら、美優の口に収まりきらないくらいの精液が出るはず。
それを無理やり喉の奥にねじ込んで、咽せる美優を眺めていたい。
どんどん欲求が強くなる。
やはりただのオナニーじゃダメだ。
せめてオナホくらいは使おう。
しばらく使ってなかったから、それだけで特別感がある。
引き出しの中に、ワンセット、オナホとローションが残っていていた。
俺はベッドにタオルを敷いて、その上にオナホを乗せ、ローションを流し込む。
じっくり温めてから楽しむのがベスト、だがもう待てない。
風呂場で美優の膣口に挿入した記憶が蘇ってくる。
ビキビキッという漫画の効果音が似合うくらいに、俺のペニスは猛っていた。
ズボンとパンツを脱ぎ捨てて、襲うようにオナホに飛びつく。
「はぁ……あっ……ぅっ……み……美優……!」
腰を沈めて、オナホに肉棒を差し込むと、もう性欲を抑えることはできなった。
「美優……気持ちいいよ……」
ねじ込むと、蜜を漏らす。
今日の美優と同じように。
ゴム素材がギチギチに膨れ上がっている。
オナホがいつもよりキツかった。
「あ、あぁぁあっ、美優……いい……! すごくいい……っ!」
軋むベッドの音が、本当に美優とセックスしている情景を浮かび上がらせる。
美優とのセックスが気持ちいい。
このまま一生セックスしていたくなる。
「美優、美優っ……!! あぁ、中に、中に出る……!!」
美優への中出し。
俺の叶えた願望が、ようやく叶う。
「お兄ちゃん、うるさい!」
バンッ、と開け放たれたドア。
止まる腰の動き。
やばい、声を出しすぎた。
全部、丸聞こえだったよな。
「もう。何時だと思ってるの」
腕を組んで怒る美優。
こんな夜中にうるさくしたのは、申し訳ないけど。
そこなのか。
「す、すまん」
「むぅ」
美優はベッドの横まで近寄って、しゃがみこんだ。
オナホにペニスを挿したまま、正常位の体勢で止まっている俺の、惨めな下半身を観察してくる。
「これが私なの?」
美優は人差し指でオナホをツンツンした。
「ご、ごめん!! こんなの失礼だよな!! すぐに捨ててくるから!!」
「あっ、いいのに」
俺はベッドから飛び出した。
引き留めようとしていた美優を置き去りにして。
叩きつけるようにオナホをゴミ箱に投げ捨てた。
竿の全体にベッタリとついたローションをお湯で洗ってから、自室に戻る。
美優は床にぺたん座りをして待っていた。
「本当に申し訳なかった」
俺はただただ平謝りした。
自分がオナホ扱いされてたら、さすがの美優でも気分は良くないよな。
「次からは静かにしてね」
美優はオナホを自身の代わりにしたことを怒らなかった。
口で精液を処理してもらっていた時点で、オナホに近い扱いをしてきたわけだし、自然な反応と思えばそう思えなくもないけど。
「えっと……」
下半身裸で、まだ勃起から開放されない肉棒を前に、美優は動かない。
「他にも、何か?」
俺は床に脱ぎ捨てたズボンを拾い、ベッドの縁に座ると、それとなく陰部を隠す。
美優は俺の質問に対し、パジャマの両肩のあたりを摘むと、それを軽く引っ張った。
「これ」
「うん?」
「おニューのパジャマ」
「は、はぁ」
え、なに。
それだけ?
それを言いにここに来たのか?
「どうでしょうか」
丁寧口調で尋ねてくる。
美優のパジャマは、シルクに似た薄生地のショートパンツのセットだった。
ほんのり色づいたパステルピンクが、ナイトブラに支えられる美優の巨大な胸を丸々と形作って、ニットほどではないにしても擬似的な乳袋を生み出している。
「かわいいと、思うよ。よく似合ってる」
本心からの感想を言うなら、「エロい」しかないんだけど。
「それはよかった」
美優はスクッと立ち上がって部屋を出ていく。
またこのパターン。
まさか、俺がうるさくしてたからっていうのも、口実にすぎなかったのか。
やはりわざと俺に射精させないようにしている。
それがなぜかはわからないが。
ここまでいいようにやられては、俺だって悔しくもなる。
いっそこのままオナニーして即射精してしまえば、よくわからない美優の目論見を潰せることにはなる。
だが、そんな程度で良いのだろうか。
ここまで我慢させられて、睾丸も破裂寸前。
「勝手に射精してやった」なんて息巻くだけでは、なんの優越感も得られない。
だったら、ここは、あえての我慢続行。
美優が寝るまで、俺もオナニーはしない。
中出しはたしかに許されないことだった。
女の子を妊娠させて、俺にはまだ責任を取れるだけの能力がない。
しかし、それ以外なら、だいたいのことはやっても許される。
そう思える。
多少エッチなイタズラをするくらいなら、美優は怒らないのではないかと、謎の確信が俺にはあった。
だから俺はあえて自らオナニーを封じる。
美優が寝て、無防備になったその口に肉棒をねじ込んで、口内で否応なく射精してやるんだ。
どっぷりと、美優の口に含みきれないくらいの精液が出る。
美優はベッドや服が汚れることを嫌うだろうから、飲まざるをえない。
どんなに大量の射精をされても。
いける。
なんか、今日はいける気がする。
だってそうだろう。
美優はレイプしかけた俺にすら、平然と接している。
だから飲ませられる。
俺の精液を。
想像するだけで先走りが止まらない。
パンツなんて履いている場合じゃない。
この脱いだ状態のまま、美優が眠りにつくまで、ベッドで大人しくしていよう。
オナニーさえしなければ、美優は俺を妨害することなんてできないんだから。
「お兄ちゃん」
軽やかにドアを叩く音。
やはり来たか。
だが残念。
パンツは脱いでいるが、オナニーはしていない。
無駄な行動だったな。
勝ったんだ。
俺はついに美優を上回った。
部屋に入ってきて、何もしていない俺を見た美優がなんて言い訳をするのか。
楽しみだ。
「もう、寝る?」
ドアからひょっこり顔を出してきた。
美優のやつ、内心では焦っているに違いない。
「そうだな。少し早いけど、もう寝るよ。明日は朝から家を空けないといけないし、今のうちに休んでおきたい」
「よかった。ならお邪魔するね」
俺の部屋に足を踏み入れ、ドアを閉めた。
美優はその腕に、普段使いしている枕を大事そうに抱えて、俺の前までやってきた。
「────は……?」
枕?
なんで、そんなもの持ってんだ?
「お兄ちゃん、後ろ下がって」
美優は俺に、ベッドに隙間を空けるように要求した。
自分が寝られるくらいのスペースを。
このベッドに、作るように。
「え? え? え?」
「どいて」
「はい」
美優にせっつかれて、俺はベッドを半分明け渡してしまった。
美優はそこに枕を置いて、無遠慮に布団の中に入ってくる。
「パンツはいてないんだけど……」
「うん。知ってる」
美優はベッドの真ん中まで体を寄せてくる。
さっきまでオナニーをしていて、まだ射精してないことを美優も知っているのだから、俺のペニスが完全状態であることもわかっているはずなのに。
正気なのかこいつは。
さっきは風呂で似たようなことをしてレイプされかけたんだぞ。
「お兄ちゃん」
「あ、はい。なんでしょうか」
至近距離でその大きな瞳を仰いでくる。
ああ、かわいい。
俺の妹は最高にかわいい。
「わかってるよね」
「えっ?」
困惑する俺に、美優はまた自分のパジャマを引っ張って見せる。
「これ、新しい服。お気に入り」
「はい」
「汚したら許さないからね」
美優はジトッとした目で俺を睨む。
だったら一度抜かせてくれればいいじゃないか。
飲まなくてもいいから、射精するまでのほんの少しの時間だけでも与えて欲しい。
美優はさらに距離を詰めて俺に密着してくる。
こんな状態じゃ、たとえオナニーを我慢したとしても夢精して悲惨なことになる。
パンツもはいていないんだ。
一番の被害を受けるのは美優の服。
朝起きたら、色が変わるくらいに精液でパジャマがぐちょぐちょになっているに決まっている。
せめて反対側を向こう。
それなら刺激も少ないし、夢精しても美優の服を汚すことはない。
妙な夢を見て、隣の美優を襲っていなければの話だけど。
「あっ」
ベッドの頭にある小棚を見て、思わず声が漏れた。
俺の視界に入ったそれは、佐知子と使っていた残り物。
四角く包装されたその小さなアイテムが、俺に狂気的な好奇心を与えてくる。
「み、美優」
また反対側に寝返りを打って、美優とご対面。
愛らしい眼をパチクリさせている。
「こんなものがあったんだけど……」
俺は両手の指でそれを持ち、美優に見せた。
美優は瞬きだけしてしばらく固まると、ひょいとそれを摘んで取り上げる。
「コンドームだね」
主に男女がセックスをする際、避妊目的で使用するもの。
というかそういう用途しかないし、これを渡すということはそういう意図しかない。
「お兄ちゃん」
美優はコンドームをしげしげと眺めてから、俺に視線を移す。
「これはどういう意味で渡したのかな」
美優の質問。
答えはわかりきっているはず。
「それは、その、だな。し、したい……というか……」
「うん。それはわかるけど。なんで?」
継ぐ問いに、俺は困惑、そして、その質問の意図を理解したとき、ハッとさせられた。
俺がコンドームを渡したのは、美優とセックスがしたいから。
では、なぜ美優とセックスがしたいのか?
もちろん、この溜まりすぎた性欲を、解放したいからだ。
ただそれだけの理由。
一方的な欲望の押し付けで、俺は妹の体を求めた。
美優のことは好きだし、1人の女性として尊敬している。
そのつもりだったけど、これじゃあさっきと同じだ。
オナホを美優に見立てて腰を振っていた、あの身勝手なオナニーと変わりない。
「ご、ごめん」
「なんで謝るの? ちゃんと言葉にして言って」
美優の口調に怒りは滲んでいない。
見えないくらい深くに潜ませているのか、呆れられて怒りも湧いてこないのか。
どっちにしても、俺がすべきことは一つだった。
「美優と、したくて。溜まってたから。美優で出したら、気持ちいいだろうなって。俺……」
どんなに変態的な欲望をぶつけても、傷つけるつもりはなかった。
風呂場で襲いかけたときもそうだ。
俺は美優に感謝しなくちゃいけないはずなのに、いつも性欲をぶつけているだけ。
たとえ射精を禁止されて煽られても、女の子としての尊厳は大切にしてあげないといけなかったのに。
「ふむ。まあ、ならいいんだけど」
美優はコンドームを俺の胸に突き返す。
「エッチはしません。妹なので」
「えっ? ああ、うん。そうだよな」
あれ?
俺、なんか許されたのか?
オナホを美優として使っただけじゃなく、美優をオナホ扱いしたのに?
「リモコンは? 電気消して」
美優に促されるまま、俺は部屋の明かりを消す。
暗闇の中、ベッドで妹と二人。
美優は腕を引いて小さくなると、俺の胸にぴったりとくっついてきた。
か、かわいい。
いい匂いがする。
けど、なんでこの流れで距離が近くなるんだ。
わからない。
わからないけど、かわいい。
「美優、せめて、パンツくらいは履かせて欲しいんだけど……」
美優の脚が俺の内腿に乗せられていた。
このままじゃ身動きが取れない。
下半身を露出したまま寝たら、絶対に夢精してパジャマにぶっかける。
それもとんでもない量を。
「美優?」
すやすやと、気づけば美優の安らかな寝息が聞こえていた。
狸寝入りかと思って、ちょいと胸を突いて脅してみるが、反応がない。
ボタン留めした隙間から、指を差し込んでみても、眠り姫は目覚めないまま。
胸を触られるのだけは絶対に嫌なはずなのに、身じろぎひとつすることもない。
美優ってこんなに寝入りがよかったのか。
知らなかったな。
まあ、兄妹なんて一緒に寝るものじゃないし、知らないのが当然なんだけど。
「んん……なんか……」
美優の頭を腕に抱いていると、すごく心が落ち着く。
さっきまで性欲が荒波のように押し寄せていたのが嘘のように。
シャンプーしたての髪の毛の匂い。
いつもなら興奮するのに。
今はただ、心地がいい。
眠くなってきた。
まだ下の方は元気でいっぱいなのに。
瞼が重い。
美優。
すごく、いい匂いだ……。
「──ふぁっ……んーっ」
次に目を開けたのは、朝陽に瞼を刺激される頃だった。
あっさりと寝てしまった。
あんなに興奮してたのに。
俺の腕の中には、まだ美優が寝ている。
長いまつ毛、スッと通った鼻。
うん、やっぱりこの造形は、美少女のそれだ。
……今の俺って、やばいくらいに幸運じゃないか?
「んっ……はれ……? お兄ちゃんだ……」
寝ぼけ眼をまだ虚ろにさせて、お姫様がついに目を覚ました。
「おはよう」
「おはよ……」
美優は俺の服を掴んで、頬を擦り寄せてくる。
これ、本当に美優なんだろうか。
中身が別人と入れ替わってるんじゃないか。
「うーん……お兄ちゃん……なんで私のベッドにいるの……」
「俺のベッドだよ。ほんと寝起きに弱いんだな、美優は」
「ふぇ?」
美優はむくりと顔を上げて辺りを見渡す。
そこは美優にとっては見慣れない部屋。
布団の色も違えばクッションも置いていない。
「はっ──しまった!!」
美優はガバッと布団をめくって起き上がる。
起き抜けに美優が最初に確認したのは俺の肉棒だった。
女の子としてどうなんだそれは。
「……出してない?」
「幸いなことにな。変な夢を見る隙もないくらいに熟睡してたよ。抜きにも行ってない」
「そっか。偉いね。まあ、その程度で許すつもりはないけど」
美優は布団を足元に蹴飛ばすと、まだ露出したままの俺の下半身に馬乗りになった。
細められた目。
今度こそは怒りを感じる。
「えっ、俺、なんかやらかしたか!?」
「そうだろうね。身に覚えがございませんって態度だったもんね。ずっと」
いやいやいや、だったらもっとわかりやすく怒ってくれよ。
エロい誘惑をして射精を我慢させるなんてお仕置き、俺にとってはご褒美に近いからな?
「お兄ちゃんさ」
美優は片手を俺の横につき、もう片方の手で胸をなじってくる。
重力でさらに強調されたおっぱいが破壊的にエロい。
「私のおっぱい揉んだとき、お詫びにどんなことでもするって言ったよね」
一昨日の夜、健康診断の結果に寝込んでいた美優の、寝起きの悪さに乗っかって、俺は胸を揉んでしまった。
胸が大きすぎることにコンプレックスを持つ美優にとって、それは秘部を触られるよりよっぽど許せないことだったんだろう。
「それを怒ってるのか?」
「それも怒ってる」
ほかに何かやらかしたのか。
でも、今回ばかりはどれだけ記憶を掘り起こしても思い当たることがない。
「ねぇ、お兄ちゃん。どんなことでもするって、あの言葉に嘘はないんだよね」
「も、もちろん! 美優の望むことなら、何だってする!」
さすがに死ねなんて命令されたら堪ったもんじゃないが、美優のことだからそんなことは言わないはず。
「お兄ちゃんは今まで私に何度も助けられてきました」
「はい、その通りです」
「何度も怒られてきました」
「事実に相違ありません」
「そろそろ恩返しとかお詫びとか、できなくて心苦しくなってるんじゃないですか」
「一切否定しようがないな……」
美優がなんでもやれと言うなら、なんでもやる。
それくらいのことはしてもらったんだ。
できないはずがない。
「お兄ちゃん、どんなことでもするって言葉の意味、理解してるよね」
美優は顔を近づけて、胸骨の中心部をグッと人差し指で押した。
「どんなことでも、だよ? 私が下す、いかなる命令にも。絶対に逆らわない。喜んでそれに従う。口答えは許さない。質問も許さない。ましてや拒否することなんて、一生かけても許さない」
凄みを増していく美優の声。
生物としての本能が、俺に告げていた。
これ、なんかやばいんじゃないかって。
抵抗するべきだ。
過去どれだけの恩があっても。
これだけは約束してはいけない。
ここが最後の食い下がりどき。
この場でならまだ、少しは覆せる。
条件を緩和できる。
「ああ……」
何か言い返せ。
言われたままに引き受けるのだけは絶対にまずい。
「お兄ちゃん、最後の確認だよ。今日から二日間、お兄ちゃんには私の命令に従ってもらう。それがどれだけ嫌なことであっても。どれだけ危険なことでも。口無き奴隷、絶対遵守」
ダメだ。
ノーと言え。
ノーの上でのイエス、あくまで譲歩、条件付合意。
ここで承諾したら、もう戻れない。
あるいは、人の道にさえ。
「もし約束を破るようなら。もう、二度とお兄ちゃんには頼みごとをしないから」
グサリと刺さった。
これから先、一生美優に頼ってもらえない。
そんな人生は地獄だ。
きっと今も、美優は俺が首を縦に振ることを前提に話している。
だからこそ、昨日までの射精の管理があった。
「わかった。約束する」
だから言ってしまった。
口にしてしまった。
美優の抱える得体の知れない怒りと、そこから生まれた望みに、必ず報いると。
「さすがはお兄ちゃん。たいへんよい返事です」
美優は満足げに、僅かばかりの微笑みを浮かべると、ベッドから降りてドアノブへ手をかけた。
「最初の命令。二日間、私が出していいと言うまで射精禁止。夢精なんて論外。自己申告制だけど、嘘をついてもわかるからね」
美優はドアを開け、廊下に出てから頭だけを戻す。
「明日の18時きっかりに帰ってきてね。それまでは精液さえ出さなければ何しててもいいよ。ではでは」
パタン。
閉じられたドア。
ベッドに残された俺は、ギンギンに昂ぶったこのイチモツを鎮めることは許されず。
「目立たないズボン、はかないとな……」
明日の18時まで、溜めに溜めた精液を何に使うのか。
それ以前に、俺は何をやらかしたのか。
不安だけが心中に漂う夏の朝。
俺は射精の許されない一日を過ごしに、外へと出かけるのだった。