俺は山本さんとセックスをする約束を取り付けて、ふわふわと現実味のない気分のまま家に帰った。
今日は俺の料理当番。
冷蔵庫の中身が少ないが、あえて買い足すことはしなかった。
「お兄ちゃんおかえり」
「ただいま」
キッチンでぼーっと突っ立っていると、玄関近くで荷物をまとめていた美優がやってきた。
明日から美優は旅行に出かけるのだ。
荷物をまとめるといっても、トートバッグに収まる程度のものだけだが。
服などは一式宿泊先に用意されているらしい。
いったいどんな豪勢な旅行をするのやら。
「荷造りは終わったのか」
「終わったよー。お腹空いたからご飯が食べたいな」
「今から作るよ」
食材の残りはチーズと玉ねぎと肉がひとしきり。
美優が親に買わせた高ワット数のオーブンレンジがあるので、炒めるものを炒めてグラタンにしてしまおう。
俺が料理をしている間、美優はソファーでスマホをいじっていた。
友達との連絡もそれほど頻繁に取らない美優が、画面にかじりついているのは珍しい。
「何やってるんだ?」
「マジョマル」
「まじょまる? ……って、それ俺がやってたアプリ?」
「そうそう。なんかレアなやつ当たったから続けてる」
よくあるガチャ系ゲームのハマりパターンだな。
大手はどうだか知らないが、ユーザーのプレイの癖から性別や年齢を予測して、キャラを当てやすくしているところもあるんだとか。
俺が料理を作り終えるまで美優はずっとゲームをやっていた。
昔は俺がゲームをやるたびに文句を言うようなやつだったから、ゲームに夢中になっている美優なんて新鮮な絵面だ。
美優は背筋をスッと伸ばしてソファーに座って、両手で丁寧にスマホを持ってゲームをしている。
リスが餌を食べてるみたいで可愛い。
進み具合はどれくらいだろう。
とても気になる。
俺は手早く具材を耐熱皿に移してオーブンレンジに放り込むと、それとなくスマホを手にしてソファーに近づいた。
その気配に気づいた美優が、ハッと俺の顔を見上げる。
「お兄ちゃんお兄ちゃん」
美優が俺にスマホの画面を見せてきた。
そこに表示されていたのは、マジョマルのユーザID。
「おトモダチになりましょう」
おトモダチ──美優が言ったそれは、マジョマルのゲームシステムの一つだ。
このトモダチ機能を使えば、トモダチになったユーザ同士が戦力を共有して助け合うことができる。
トモダチ申請が承認されるとトモダチになり、自分が育てたキャラを相手にも使ってもらえるようになるのだ。
俺が始めたのも美優より数日早い程度だが、鈴原から攻略法を教わっていたおかげで他のユーザーより進みが早い。
序盤なら俺のキャラを使うだけで無双状態だ。
それが美優にとって楽しいのかは、本人に判断してもらうしかないな。
俺が美優のIDを検索すると、『Miyu』という名前のユーザーがヒットした。
「レベル25か。意外と進んでるな」
「由佳を縛り上げた後とか、お兄ちゃんが来るまでずっとやってたからね」
あれだけ怒ってたのに当事者がいないときは無心でいられるのか。
我が妹ながら恐ろしいほどのアイスハートだ。
「お兄ちゃんも夜は暇でしょ。ご飯を食べたら一緒にやろ」
「はいよ」
俺は夕飯をテーブルに並べて、美優と向かい合いに座った。
明日から一週間はこうして二人で食事をすることもなくなる。
山本さんと会えるのは嬉しいけど、家に誰もいないのは寂しいな。
「今年はどこに行くんだ?」
「北海道。お花がキレイみたいだから散歩してくる。あとはひたすら食べる」
「それで一週間も滞在するのか」
「他にも目的は色々とあるからね」
グラタンをふーふーしながらスプーンで頬張る美優。
淡々と答えているが、要するに丸一週間、遥とレズってくるんだよな。
「旅館に泊まるのか?」
「別荘らしいよ」
別荘……金持ちの用語だ。
俺の知っている旅行と何もかもが違いすぎる。
「遥って金持ちなんだな」
「遥のとこは一般家庭だよ。遥が仕事で仲良くなったお姉さまがお金持ちだっただけ。……というかお金を余らせた変な人しか来ないけど。運転手もその女の人がやってくれるみたい」
北海道で方々回るなら車は必須か。
中学生2人の旅行を支援するお姉さま……いったいどんな変人なんだ……。
「遥の仕事ってなんなんだ?」
「うーん……モデル、かな。それ以上は言えない」
なぜだ。
「別に調べたりはしないけど」
「そういう問題じゃないの。いいから遥には興味持たないで」
美優は俺が遥のことを知るのを頑なに拒む。
隠されると暴きたくなるのが人間のサガだ。
とはいえ、美優は恩人でもあるし、そこまで嫌がるなら聞かないでおくか。
「お兄ちゃんは夏休みどうするの?」
美優からの質問。
流れとしては、やっぱりそうなるよな。
「バイトは入れたよ。あとは、まあ、明日とかは、山本さんと会ってくる」
「エッチするの?」
ズバッと切り込む美優の言葉。
かまをかけたつもりなのか、ハナからわかっていたのか。
「することには、なると思う」
「そうなんだ。頑張ってるね」
「棚ぼただけどな」
俺が頑張ったことって、何かあったっけ。
どれも偶然の産物だし、そのチャンスを作ってくれたのは美優なんだよな。
「妹離れができるといいね」
美優はグラタンを平らげると、そっとスプーンを置いた。
それから食事を終えて、俺と美優は並んでソファーに座った。
こうして近くにいると美優の体の小ささがよくわかる。
抱きしめたら包み込んでしまえる愛らしさ。
性的な欲求とは無関係に触りたくなる。
俺は背もたれに寄りかかって、姿勢良くゲームをする美優を後ろから眺めていた。
背中と平行に伸びるキレイな黒髪。
こういう後ろ姿って街中を歩いているときにふと目で追ってしまうんだよな。
追い抜いて顔をチラッと覗くと好みじゃないことが多いけど。
目の前にいるこの妹は、顔はもちろんボディの細部に至るまで整っている。
ここまで自分を大切にしている女の子を、何をしているわけでもない俺が独占できるのは、ただ兄だったからという他に理由がない。
こうして2人で暮らせるだけでも幸せなことは、忘れないようにしないと。
「お兄ちゃん。どれ育てればいい?」
美優が俺に所持キャラクターの一覧を見せてきた。
たしかにレアなキャラが揃っている。
「回復タイプと攻撃タイプをバランスよく育ててればまず負けないよ。アニマル進化が強いキャラばっかりだけど」
「えー。魔女っ子にしたいのに」
美優はぶつくさ文句を垂れながら進化ボタンをタップする。
進化画面を進んでいくと、分岐先である魔女っ子進化した姿を見ることができるのだ。
どうやら狐アニマルの『ヨーコ』が美優のお気に入りらしい。
マジョマルには魔法少女への進化と動物の姿のままの進化の二つがある。
どちらも可愛くデフォルメされていることに違いはないが、やはり女の子には魔女っ子進化が人気だ。
無理をすると続かないし、こうして美優と趣味を喋れる時間がなくなるのは惜しい。
俺みたいな効率重視じゃなければ好きにやらせるのが一番だな。
「ならこのサイトに強いキャラの組み合わせが載ってるから、参考にしてみたらいいんじゃないか。ヨーコをサポートする部隊って決めて攻略を進めてくのも楽しいよ」
「ふむふむ。なるほどなるほど」
美優は頭も良いし要領も良い。
しかし、ことゲームにおいては、頭の回転だけでは補えない『ゲーム勘』というものが存在する。
美優もコツは掴みかけているようだが、こればっかりは経験だけがものをいう。
しばらくは先輩でいられそうだ。
それからゲームを続けて、バッテリーがなくなったら電源コードを持ってきて、更に続けること2時間。
そろそろ疲れるのではと心配になるも、美優のやる気は衰えない。
「お兄ちゃんがいると難しいクエストがクリアできるからレベルがたくさん上がる……」
「序盤はレベルアップでスタミナ回復するから何度でもクエストに挑戦できるもんな」
トモダチ機能には二つの側面があり、登録したユーザーのキャラを一体だけ利用できる機能と、近くにいるユーザーから複数体戦力を借りられる機能がある。
いわゆるガチャでキャラを獲得するタイプのゲームは、プレイヤースキルでどうとでもなってしまうと一部のキャラしか使われなくなり、ガチャが回らなくなるため、どこかで必ず攻撃が当たるようシステムを組まれている。
これが回復や防御などのキャラの存在意義を与えていて、たった一体のキャラを借りるくらいでは、このマジョマルでは難易度の高いクエストまではクリアできないのだ。
「休憩しなくていいのか?」
「じゃあ一旦お風呂にする。お兄ちゃんもその間に食器とか片付けといて」
「りょーかい」
美優は足早に脱衣所に入っていった。
小さい頃は俺がゲームをするとあれだけ不機嫌になったのに。
歳を重ねると人は変わるものだな。
俺は食器を片付けてから、美優の後に続いて風呂に入り、待たせると悪いのでそそくさと上がって髪を乾かしてからパジャマを着た。
美優は部屋にいるようなので、コンコンとノックをしてみる。
ドアはすぐに開けられた。
「歯は磨いた?」
「まだ」
「なら早く磨いてきて」
「はい」
ガチャッ。
無情にも閉じられたドア。
俺は言われるがままに歯を磨いた。
美優は準備万端で、あとはゲームをする以外に寝るしかない状態だった。
俺にも同じようにしておけということだな。
俺は寝支度をすべて終えて、再度美優の部屋を訪れた。
「歯磨き、終わったよ」
「わかった。部屋に戻ってて」
続きは俺の部屋でやるようだ。
女の子が男を部屋に入れるのは兄でも抵抗があるよな。
俺がベッドに腰掛けていると、美優は俺の部屋にやってきて、当然のように横に座った。
スマホと、枕を持って。
「なんで枕?」
「明日、起きるのが早いから」
うん、それなら起床時間がズレるから、普通は別々に寝るもんだと思うんだけどね。
「前にお兄ちゃんと寝たとき、なんだかすごく寝入りが良かったの。だからこっちで寝る」
「そうか」
許可をねだることすらしないあたり、俺が拒むとは思っていないんだろう。
当然、拒否する理由なんて無い。
「お兄ちゃんはマジョマルやってると暇?」
「そんなことないけど。美優ほどスタミナが余るわけじゃないからな。パソコンの方のゲームでも進めようかな」
「エッチなゲーム?」
「それはもう美優が売っただろ」
「そうでした」
我慢ならなくなって新しいのを買うこともありえたかもしれないけど。
俺の性生活は信じられないくらいに充実している。
美優以外をオカズにできなくなってからは、ネットでエロ画像を漁ることすらなくなった。
「マジョマルを始めたきっかけもそうなんだけどさ。鈴原にな、ゲームオフ会に参加しないかって誘われててるんだ。そんなに乗り気じゃないんだけど、趣味の幅が広がるならいいかと思ってとりあえずゲームは再開したんだよ」
俺は元々、オンラインRPGをメインにやっていた。
ゲームが公開されたばかりのときは特定のキャラに強さのバランスが偏ることもあり、プレイヤースキルを磨いてランカーと渡り合ったこともあったが。
オンゲなんて結局は課金がモノを言う世界。
いつしかその溝を埋めるのに疲れてやらなくなった。
それでもゲームに時間を費やしていた習慣は消えず、鈴原に勧められてからはエロゲばかりをやっていた。
「ならパソコンのゲームやってていいよ。そっちも見てみたい」
ゲーム慣れが影響したのか、美優はパソコンにも興味を持ち始めた。
俺としては語れる分野が一気に広がるから嬉しい限りだ。
美優は俺のスマホと自分の端末の2つを持って1人マルチモード。
立派なゲーマーの姿だ。
俺もオンラインゲームにログインして野良でパーティに参加する。
会話が発生するわけでもなく、部屋だけを共有してゲームを進める。
ネットの仲間でゲームオフ会をやったらこんな感じになるんだろうな。
しばらくすると美優が横にやってきた。
とはいえ、それからはずっとディスプレイを眺めているだけ。
やるかと聞いても美優は遠慮した。
無機質な視線を背後に感じつつ、ストーリーパートとして用意されているクエストを消化していく。
それも2時間ほどで片付くと、気付けば美優がベッドに座って枕を抱えていた。
「寝るの?」
「寝る。お兄ちゃんもたまには早寝しよ」
美優はベッドをポンポンと叩く。
時間は夜中の10時を過ぎたところ。
だいぶ早いけど、俺も明日は疲れそうだし、もう寝てしまうか。
なによりこの妹に誘われたとあっては断れない。
パソコンをシャットダウンしてから、俺がベッドの奥に入り、その横に美優が寝る。
部屋を暗くして、目が慣れてくる頃には、一つの布団に二人分の体温があることがはっきりとわかった。
内側を向くと美優と目が合う。
白い肌が月明かりに照らされて、目鼻立ちの整った顔がより美しく映える。
……俺、なんでこんな可愛い子と同じベッドに入ってるんだろ。
「くっついたら邪魔?」
「え!? い、いや、全然……」
美優は俺と距離を詰めて密着してきた。
それも、以前のように下腹部に隙間を作った状態ではない。
足まで絡めての完全密着だった。
じわじわと全身に伝わる美優の体温。
暖かい、そして、柔らかい。
おかしい。
なんでこんなに積極的なんだ。
もしかして、またお仕置きをするつもりか?
俺はまた何かやらかしたのか?
美優の頭がちょうど俺の鼻下あって、髪の毛の匂いが否応なしに俺の鼻孔を刺激する。
伸縮性のあるナイトブラに、生地の薄いパジャマ。
胸の肉が横に流れにくいせいで、よりダイレクトにおっぱいの肉感が伝わってくる。
美優の体は、必要な脂肪分は残しているけど、やはり基本は痩せ型。
抱きしめると全身の骨格がありありとわかる。
ギュッと抱き寄せると、美優が更に体を寄せてきた。
これは、合意ってことだよな。
そして当然のように下半身に熱が集中してくる。
これは美優だって覚悟しているはずだ。
我慢できるはずなんてない。
お互いのパジャマの柔らかさのおかげで、肌のままの感触がリアルにわかってしまう。
膨らむ下腹部が、美優の股にちょうどぶつかって。
その肉棒の固さは、きっと女の子の一番敏感な部分に当たっている。
それでも美優はすやすやと寝息を立てていた。
よほど俺の胸の中だと落ち着くらしい。
俺も美優と寝たときは不思議なくらいすんなりと寝入ったけど。
今日は寝る時間が早いせいか、まだ眠る気にならなかった。
下半身を擦り付けて美優の股を圧迫する。
ギュッと美優を抱きしめながら、俺はお互いの性感帯を無理やり押し付けた。
「っ……はぁ……」
下がどうなっているかはわからない。
美優の胸が大きすぎて、多少の隙間を作ったくらいでは覗き込めないからだ。
しかしその分、体を押し付けるときに胸の形が変わるのが、ありありとわかる。
俺のパジャマはシャツ一枚とハーフパンツだけ。
気のせいかもしれないが、美優の、乳首の硬さが感じられる。
上も、下も、美優の敏感な部分を擦っている。
それでも文句を言わないのだから、美優はもう寝てしまっているのだろう。
願い出るだけの睡眠導入効果はあるみたいだ。
だが俺の方は、もう我慢出来ない。
美優の股にペニスを押し付けるのをやめられない。
「あぁ……み……ゆ……」
俺は美優の体を堪能して性欲を滾らせる。
どんなに最低な行いでも、止める気にはならない。
美優だって俺が我慢できるなんて思っていないはずだ。
こんな風に誘ってきた美優が悪い。
これがまた何かのお仕置きだったとしても。
俺に我慢しろなんて無理な話だ。
「ふぅ……はぁ……はぁ……」
服を着たまま、やわい肌と硬い肉を合わせ続ける。
布団と服が擦れる音だけが耳に届いた。
俺がペニスを擦り付けているのは、美優のあそこ、女の子の性感帯、クリトリスだ。
美優のクリトリスをぐりぐりしている、その事実が最高に興奮する。
もう、射精しそうだ。
だがどこに出せばいいのかわからない。
このままだとパンツがびしょびしょになる。
出しちゃいけない。
その想いとは反対に、腰の動きは激しくなる。
「あぁっ、はぁ……美優っ……美優……あぁぁあっ! き、きもちいぃ……あぅっ……!」
射精の寸前まで気を昂ぶらせる。
まだ、まだいける。
ギリギリのところで、腰を離すんだ。
後少しだけならできる。
気持ちいい。
ああ、美優、もう、限界だ。
「んんっ……おにぃ、ちゃん……? なに、して、あっ……んっ!」
射精の限界で腰を止めようとした直前、美優の意識が戻ってしまった。
不意打ちの美優の艶声に、寸でのところでせき止められていた射精欲が一気に吹き出す。
「ああぁっ、ま、まずっ、美優! ご、ごめん! あっ……!」
「ふえっ!? どうしたの!? お、お兄ちゃん!?」
俺は咄嗟に仰向けになって、パンツとシャツにそれぞれ手を入れて服を浮かした。
反り立った肉棒から射出された精液は、ちょうどその服の中に飛び散り、俺のお腹をべっとりと濡らす。
どうにか服を汚さずに済んだが、美優は驚いてすっかり目を覚ましてしまった。
あたりをキョロキョロして、身動きが取れなくなった俺の顔を覗き込む。
「えっと……お兄ちゃん……? もしかして、出ちゃった?」
「う、うん……」
どうやら最後の最後に自分の股を使われていたことを自覚していたらしい。
一瞬とはいえ喘ぎ声が漏れるくらいではあったからな。
「もう。ばかじゃないのお兄ちゃん」
美優は事態がただの俺の暴走だとわかると、また布団をかぶって横になった。
「あ、あの、美優さん」
俺は精液がつかないように服を浮かせるので手が埋まってしまっている。
このままだと服がベトベトになるのを諦めない限り、身動きを取ることができない。
「もし、よければ、拭き取っていただきたいのですが」
「やだ。自業自得でしょ」
美優はムスッとして、仰向けになった俺の腕にしがみつく。
そして目をつむって、すやすやと寝息を立て始めた。
まさかこのまま一晩を過ごせと言うつもりか。
そりゃ勝手に射精した俺が悪かったけど。
せめて腕を封印するのだけでもやめて欲しい。
美優が寝入ってから、五分近くが経過した。
俺は本当に身じろぎ一つできずに固まっていた。
どうしよう。
布団さえかぶっていなければ、シャツだけめくりあげてササッと精液を拭けるのに。
「んん……うーん……」
美優は何度も唸りながら抱きつき方を変えた。
どうやら熟睡まで至っていないらしい。
それからまた、しばらくして。
美優はパチっと目を開けてから、俺を睨んだ。
「お兄ちゃんのせいで眠れなくなったじゃん」
「わ、悪い」
どうやら俺が硬いものを押し付けすぎたせいで下半身に違和感があるらしく、内ももをくねくねさせて不機嫌そうに美優は口をすぼめた。
また怒らせてしまったかな、と思っていたら、美優は起き上がって布団をめくってくれた。
俺が服を支えて隙間を作っているうちに、敷布団と背中に挟まっている服をズラしてくれる。
「もー。こんなに出して。奏さんの分が無くなっちゃうよ」
「す、すみません」
美優に謝ってもしかたないことだけど。
射精のし過ぎでエッチできませんなんて、山本さんに言ったらさすがに怒られるよな。
今日はもう我慢しないと。
「ばかおにぃ」
そう言って、美優はご飯を食べるときみたいに髪の毛を片方にまとめると、俺の腹部に顔を近づけて、じゅぶっと精液を舐め取り始めた。
「あっ、ああっ、ああああっ!!」
美優の唾液の熱さが、精液の生ぬるさを上書きする。
唾液で湿った舌が、普段他の人に触れられることのない体の部位を這って、敏感な神経が膨大な快楽を享受していく。
「ああぁっ、み、美優! それ、まずいって、あぁ、っがぁ……きもち……い……よすぎる……!」
「いいから。暴れないの。脇腹から垂れちゃうでしょ」
美優は俺の脇の方から優先的に精液を舐め取っていく。
そこは中心部より更に敏感な範囲。
ザラザラした舌の細部まで感じてしまう。
「はっ、ん、んんっ! ダメだ、美優、また、俺……!」
こんなことをされて、俺の肉欲が平静を保っていられるはずもなく。
また射精直前と変わらないくらいに、ペニスはパンパンに勃起していた。
「んちゅ、むにゅ……んっ……じゅぶっ。……はい。いっぱい出しすぎ」
美優は俺のお腹にぶちまけられた精液を全て飲み込むと、軽く口を押さえて息を吐いた。
「はぁ……はぁ……み、美優、あの、こんなことされると、また出したくなっちゃうんだけど」
「そんなに出して明日エッチできなかったらどう言い訳するつもりなの?」
「それは、だな……」
射精をしたのは俺のせいだけど。
まさか外に出した精液まで舐めてくれると思わなかったし。
夢精した姿を見られたときのお詫びでも、ここまでガッツリ舌を使ってキレイにはしてくれなかったからな。
いままで体感したことが無いくらいの快感だった。
こんな状態で、寝られるわけがない。
「も、もう一回出したいって言ったら、怒る……?」
「むぅ」
美優は俺に服を着させないまま、俺の横に寝転んで鋭い視線を向けてくる。
「実はもうすでに怒ってるんですけど」
「そ、そうか! そうだよな! それは、悪かったよ。ほんと、ごめん」
無断で体を使ってエロいことをしてたんだもんな。
怒ってて当然か。
「お兄ちゃんはいつもそうやって好き勝手に射精して」
「すまん」
「イキたいイキたいって。性欲に素直でいられていいよね。相手は血の繋がった妹なのにさ」
「本当に、申し訳ございません」
今夜の添い寝だって、美優も俺と仲良くしてみたかっただけかもしれないのに。
性欲に任せてまたひどい事をしてしまった。
どうして俺はこう反省がないんだ。
「むー……」
美優は不満顔で、それでも俺の腕にしがみついてくる。
そしてまた、太ももを内股気味にスリスリして、体を押し付けてきた。
「美優?」
美優が俺と一緒に寝ようと言ってきたのは、その方が落ち着いてすぐに眠れるからだ。
ならこんな状態になってしまった今、美優が俺と寝ることに固執する理由はない。
もちろん、俺としては美優にはいなくなって欲しくないけど。
ここまでされて、美優はどうしてまだ俺の側にいるんだろう。
「うぅー……」
美優は指を俺の服の中に入れて、強く胸を詰ってきた。
痛いけど、それ以上に美優の様子が気になる。
「だい、じょうぶか?」
怒り方がおかしい。
しきりにもぞもぞと体を動かして、落ち着きがない。
「なんでよりにもよってお股を使ったの……」
美優の体がさらに密着してくる。
もし、勘違いでないのなら。
これは怒っているというより。
発情、している……?
「やっぱりお仕置きしてやる」
美優の腕が俺の下半身に伸びてくる。
その手は、躊躇なく俺の肉棒を掴んだ。
「あっ、美優、何を……!」
美優が俺の肉棒をシゴき始めた。
美優の細い指が、繊細な動きで俺の陰茎のツボを押してくる。
「んあっ、ああっ、美優っ、そんなことしたら、うああっ……!」
途端にこみ上げてくる射精欲。
お仕置きとは言っているが、これはただのプレイだ。
美優に手コキされている。
あの美優が、俺のペニスをイジっている。
「あぐっ、あ、ああっ、あぁあっ……!」
美優の手はなぜか俺の快感のツボを完璧に把握している。
肉感とテクニックは山本さんの方が上だが。
が、断言できる。
美優の手でされる方が、圧倒的に気持ちいい。
興奮の質がまるで違う。
この妹にエロいことをされている事実が、何よりも俺に性的興奮を与えてくる。
「はぁ、はぁ、美優、もう、で、出るっ……!」
美優の手が俺の反応に合わせて早くなる。
口にしなくてもわかる。
出して、と美優は言っているんだ。
俺に、精液を、出して欲しいと。
「美優、ああぁつぅっ! 出る、出るっ、あっ、あっ、あああっ!」
どっぷ、どっぷと、明日のことを考えない量の精液が、また俺のお腹に吐き出された。
あまりの飛びっぷりに、俺の胸のところまで精液がつくほどだった。
「美優……?」
「なに」
美優はぼーっと俺が射精するところを眺めているだけだった。
反応は冷たいけど、それでも俺は、美優の手で射精させてもらったんだよな。
「そういえば、お兄ちゃんが出してるとこちゃんと見たの、一番最初のとき以来かも」
「え、ああ、そうか」
美優には飲んでもらうかぶっかけるかのどちらかだったからな。
こうして観察されるのは久しぶりだった。
美優はまた起き上がって、髪を耳にかける。
また精液を舐め取るつもりだ。
どうしよう。
せっかく射精させてもらったけど。
またムラムラしちゃわないかな。
「はむっ……にゅむちゅ……」
「あぐっ……んん……っ!」
予想は裏切られることなく、美優は俺の体を舐め始めた。
精液を飲んでもらえるだけでも興奮するのに。
こんな形でお掃除してもらっていたら、いつまでも性欲が収まらない。
「あ、あああっ! あっ、そ、そこ! そこは、だめだっ、あうっ!!」
美優の口が、あろうことか乳首を吸ってきた。
そこにも精液がかかっていたのなら仕方ないが、そんなところまで舐めて、俺の性欲を静める気なんてこれっぽっちも無いみたいだ。
「そんなに敏感なの?」
「……どうやら、そう、らしい」
誰かに舐められたことはなかったし、自分でいじったこともなかった。
開発されていなければ、乳首なんて絶対に感じないと思っていたのに。
下手したら、フェラされるより気持ちよかったかも。
「ふーん」
美優は俺の全身の精液を舐め取った。
とはいえ、やはり亀頭の先っぽについた精液までは舐めてもらえなかったが。
処理が終わると、美優は、また俺の胸に顔を近づけて、ちゅるちゅるっと俺の乳首を舐め始めた。
「あうっ、あんっ、あ、ああっ、あっ……!」
「喘ぎすぎ。お兄ちゃんは奏さんとエッチするときもそんな声出すつもり?」
「いや、それはっ……んっ……はぁんっ……!」
美優が女とエッチをし慣れているせいなのか、手コキより数倍乳首への責めのほうが上手かった。
俺はそれこそまな板の上に置かれた魚みたいに、ただ美優の舐りに翻弄されて、快感責めを続けられた。
「はぁ、はぁ、はぁ……っぐっ……あぁ……しぬ……ほど、きもちぃ……」
「はいはい。よかったね」
美優はひとしきり舐めて満足すると、また俺の横に寝転んだ。
その顔は、人を弄んだ後とは思えないくらい、ブスッとした不満顔だった。
「え、えっと……」
こんだけされておいて、もう勘違いかもとか思っている場合じゃないよな。
「俺も、美優に、したほうがいい……?」
「知らない」
美優は俺のTシャツを下ろして、ただコアラみたいに抱きつくだけになった。
俺もズボンをはいて、ひとまずは、美優の体勢に合わせる。
「寝る」
美優はそう言い放つと、目を瞑った。
さすがに、美優も俺に体を触られたいとまでは思わないのかもしれない。
だが、それでも、誠に申し訳ないことに。
俺の肉棒は、まだガチガチに勃起したままだった。
それもそのはずだ。
あれだけ乳首で快感を与えられて、まともでいられるわけがない。
まだ美優に舐めたり吸われたりした感覚が残っている。
まだ出したい。
あと一回だけでいいから、射精したい。
明日は山本さんとエッチすることにはなってるけど。
きっと一晩寝れば回復するはず。
昨晩だって俺は、五回も射精した上で、今日もこんなに出しているんだ。
今になってようやく自覚した。
俺は人より、数倍性欲が強く、同じだけ回復力も高いらしい。
「美優……」
俺は美優を抱きしめて、またその体温を全身に感じる。
最初に抱きしめたときより、ずっと熱い。
美優の体が火照っている。
本人の意思がどうかはわからないが、間違いなく、美優の体は発情しているんだ。
「美優、あと、一回だけ……」
俺はまた、美優の股にペニスを押し付けた。
男が興奮するのは、なにもしてもらっているときだけじゃない。
オスとしての本能は、むしろメスを快楽で溺れさせることを求めている。
美優はまだ起きているはず。
もうあとでどれだけ怒られてもいい。
美優の体を、俺のペニスを使って気持ちよくさせたい。
「んあっ、おにぃちゃ……んんっ……」
美優の股間に肉棒を押し付けると、美優の口からも嬌声が漏れた。
暴れて俺を振りほどこうともしない。
俺がどれだけ下半身を押し付けても、美優はただ喘ぎ声を抑えようとするだけで、体を離そうとしない。
「あぁ、美優、みゆっ……きもちいぃ……」
「ぅっ……ふぅ……んっ……ぁ……」
美優の局部に当たっている。
俺の硬い肉棒が。
美優がそれで感じているんだ。
気が変になりそうだ。
快感と幸福感が津波のように押し寄せてきて、頭の中が蒸発したみたいに漠然としてくる。
俺が腰を押し付けると、美優はそれに合わせて足を上げて、俺を強く抱きしめてくる。
下半身は快楽を求めながら、その腕は喘ぎ声を漏らさないよう、全身に力を入れるのに必死になっている。
そんな健気な様が可愛い。
なによりも愛おしい。
「あっ、美優、もう、ダメだ、あっ、出る……!!」
「ふぇ、あぅ、待って……あと、もう、ちょっと……だけ……! んんっ……まっ、ひぇ……!」
美優が足を片脚を上げて、上向きになった美優の秘部。
血液が限界以上に充満した海綿体が、美優のクリトリスの下の溝にフィットして、素股とほぼ等しい行為を続けることに、俺の射精欲が耐えられるはずもなかった。
パンツをはいたままの交わり。
このまま擦り続けたら、パンツの中がぐちょぐちょになってしまう。
「美優、ごめん、俺は、もう……!!」
「お兄ちゃん、だして、いいからっ、あと、ひょっと、あんっ、ん……つづ、けて……あっ、んっ……!!」
「美優っ……あっ……はぁぁっ、うっ、あっ、美優、出るっ、出るっ……!!」
びゅっ、びるゅっ、びゅっ、と射精しながらも、美優の望み通り、俺は腰を激しく動かし続けた。
やがて俺を抱きしめる美優の腕の強さが最大にまで高まって、それから、ふっと全身を脱力するように、美優は力みを開放した。
「はぁ、はぁ、はぁ」
荒い息を吐き出すのは、俺だけ。
美優は乱れた息を聞かせることすら我慢していた。
「み、美優は、その、い、イッた……のか?」
俺が訊くと、美優は口を押さえて、首を横に振った。
「そ、それは悪かった! えっと、も、もう一回、するか?」
その問いに対しても、やはり美優は首を振る。
「いいのか?」
「いい。別に女の子はいかなくても満足できるから」
美優は俺から布団を奪うと、それを抱き枕代わりにして体を隠した。
「今日のは忘れてね」
美優は今までで一番無理な注文をしてきた。
こんな出来事を忘れられるなら、俺の人生に悩みなんてなくなるだろう。
「お兄ちゃんがばかみたいに精液たくさん出すから。また歯磨き直しだよ。まったく」
「すまん……」
美優はベッドから出ると、乱れた服を引っ張って直した。
そして。
「お兄ちゃん……」
テントを張ったままの俺の下半身に、呆れた声を漏らす。
「いやぁ、これは、あの、美優が可愛すぎて、もうどうにもならないというか」
「むぐぅー!」
美優はティッシュ箱をベッドに叩きつけて、ドアを乱暴に開くと、振り向いて俺を指差した。
「私が戻ってくるまでに小さくなってなかったら、出すからね!」
美優は床を踏みならしながら廊下に出て行く。
結局このあと、妹に二回射精させられた。