夕食の後、食器洗いの申し出すら断られた俺は、スマホを手にベッドで寝転び、鈴原とメッセージアプリでオフ会について話していた。
着々と準備が進んでいるらしく、夏休みの中頃には開催できるよう、具体的なスケジュール立てが行われている。
主催者として鈴原の友人が幹事となり、鈴原と女の子1人が副幹事をやるようだ。
友人といっても全員ネットで知り合った仲で、俺はまだオンラインゲーム上でも挨拶をしたことがない。
「何してるの?」
洗い物が終わって山本さんがベッドまで戻ってきた。
俺も体を起こして、二人並んでベッドの縁に座る。
「オフ会が本格的に始まりそうだから、バイトの調整しようって相談されてる」
「オフ会ってどんなことするの?」
「カラオケルームに集まって談笑したりゲームしたりじゃないかな。で、ご飯を食べて解散……とかが一般的だと思う」
SNSのゲームオフ会の報告などを聞いていると、ほとんど喋らずにゲームだけやって解散になることも多いらしいけど。
「ネットだけでお喋りしてる人と会うって、なんだか新鮮な感じだね」
「ゲームとかアニメ関係でSNSをやってる人は、現実の人格と全く違うキャラの人もいるからな。俺はどちらかといえば怖いよ」
山本さんみたいにコミュ力があれば誰と話しても楽しいんだろうけど。
俺は相手が話し上手じゃないと会話が続かない。
「考え方の問題だよ。ソトミチくんは失敗したらどうしようとか、相手が変な人しかいなさそうとかばっかり考えてるでしょ」
山本さんは指で俺の肩をグイッと押す。
俺の顔を覗き込むように首を下げる山本さんが可愛い。
「目標でも立ててみたら? その一つが成功したら、他が上手くいかなくても、その日が無駄だったとは思わなくなるよ」
オフ会の目標か。
彼女ができたらいいなとは思っていたけど。
山本さんを相手に妹離れが上手くいかなかったら、もう彼女を作っても意味がない気がする。
熱血化した鈴原の誘いにダラダラと付き合ってたせいで、もう引くことができなくなったが。
ともすれば、もう女の子に固執する理由もない。
ゲーム自体は好きだし、これからそういう趣味のツテで知り合いが増えていくことを考えると、オフ会はその入り口でもある。
「友達を1人作るとか?」
口にしてみて、若干の後悔。
友達がたくさんいる山本さんの前で、安易にダサいことを言ってしまった。
「いいねそれ! 同じ趣味の人で集まるんでしょ? 何かの良いきっかけになるよ!」
山本さんは俺の手を取って微笑んでくれる。
恥ずかしいけど、心底嬉しい。
そうだよな。
山本さんはこういう人だ。
美優の場合だったら、「バカじゃないのお兄ちゃん」とか言って、説教を垂れながら俺に正解を教えてくれたのかもな。
どっちもタイプが違うだけで、世話焼きなんだ。
優しさが身に染みる。
「友達って定義が難しいところだから、連絡先が交換できたら成功だーって感じで決めとこうよ」
「連絡先は鈴原のやつが全員交換のタイミングとか作りそうだけど」
「それでいーの。絶対に成功するオフ会だよ? 楽しくない?」
なんという話の丸め方か。
たしかに、連絡先を交換するって目標があって、残りはお喋りしながらゲームをするだけって考えると、気楽なもんだな。
「ありがとう。なんか、行く気になってきた」
「いえいえ。せっかくの機会なんだから、話題作りとでも思ってドンと構えとけばいいんだよ」
成功も失敗も人生の糧ってことか。
考え方次第ってのは、こういう意味なんだな。
「そういえば、プリント配ってる時も似たような話をされた気がする」
「あれからちょっとずつ喋るようになったよね」
「まさか本当におっぱいが揉めるとは思ってなかったよ」
「んふふ。もう一度お触りになりますか?」
山本さんは先端がぷくっと浮いたTシャツの胸部を引っ張る。
シャワーを浴びてからはブラジャーを付けていない。
触ればまた、生の感触を味わえる。
「いいの?」
「いいよ」
さりげなく、卒なく。
耳元で息を吐くように、山本さんは許容の言葉を口にする。
ゴクリ、唾を飲む、緊張感。
エッチの勢いで触ったときよりドキドキする。
「ふぅ……っ」
俺は息を押し殺して、Tシャツの上から山本さんの胸を鷲掴みにする。
何度触っても、本当に柔らかい。
美優も山本さんも、この大きさでどうやってこのハリを維持しているんだろう。
「手、入れてもいい?」
「うん…………うっふふ。うん、いいよ」
山本さんは急に吹き出して、口角を上げっぱなしにしながら髪を耳に掛ける。
「えっ、なんか、変なこと言った?」
「そうじゃなくて。最初から直に触られると思ってたから」
なるほどそういうことか。
Tシャツの上から触るのも、また違った味わいがあって良いものではある。
ただ、やはりというか、肌の感触には何度も触りたくなる魔力のようなものが宿っているんだ。
「ソトミチくんさ、さっきエッチしてるときも思ったんだけど」
山本さんは喋りながら、両手でTシャツの裾をつまんで隙間を開ける。
まずはどうぞということらしいので、俺は遠慮なく手を入れて山本さんのおっぱいを揉んだ。
温かくて指先から癒やしが伝わってくる。
「んっ……触るときに、毎回許可を取ろうとするのは、美優ちゃんの影響?」
指摘をされて、俺は思わず硬直する。
「そうかもしれない。そんなに気になったか?」
美優にどこまで触っていいのかの基準がわからなすぎて、すっかり許可を貰うことが癖になっていた。
まさかのタイミングでの「それはイヤ」と「別にいいけど」の繰り返しが、俺の記憶の中で蓄積されていたようだ。
「だって。おっぱい触っていいよって言ってるのに、乳首を触るときも許可取る人なんて、初めて見た」
山本さんはまた思い出したように笑う。
「ああ……なるほど……」
乳首を触るときに、山本さんがクスッとしていた理由はそれか。
舐めるのはともかく、いちいち乳房と乳首で許容範囲を分ける人はいないよな。
「美優は基本的にお触り禁止だから。判断基準もわけわかんないんだよ」
「お触り禁止なの? おっぱいも?」
「首とふとももと胸は絶対不可侵領域らしい」
「へぇ。まあ敏感になりやすいところだもんね」
美優が接触を禁止したその三ヶ所は、軽く刺激するだけで喘ぎ声が漏れるほど感じるらしい。
男性経験皆無の美優がそこまで開発されているとなると、遥とそれはもうすごいことをやっているんだろうが。
今頃も、旅行先で乳繰り合ってるのかな。
……女の子のおっぱいを揉みながらする想像として低俗過ぎる。
兄としてはほんと、最低レベルの人間だよな俺は。
いつになったら反省できるのやら。
「いつもは手でしてもらってるだけ?」
「まあ……うん」
手でしてもらうようになったのは最近で、それまでは俺が一方的に美優の口に射精してただけなんだよな。
「あんまり聞かないほうがいいかな」
「俺も隠したくはないんだけど。美優の尊厳にも関わってくることだから、全部を教えるのは難しいかな」
あれだけ不味いと言われた精液を、美優が平然と、むしろ率先して飲んでいると聞いたら、山本さんはどんな反応をするだろうか。
俺だってそういうところが気になったりはする。
山本さんが別の誰かに話したりすることは無いと信じているけど。
それと美優の尊厳を無視するのとはまた別の話だ。
「りょーかいしました。さっきの話も合わせてだけどさ、ソトミチくんのそういうところ、良いと思うよ」
「許可取ること?」
「そう。大事にされてる感じがして、嬉しい」
山本さんは俺の手を両手で握って、俺の手の平の上から、おっぱいを揉ませてくる。
「だからうちにいるときは、いつでもおっぱい触っていいよ」
「いつでも……エッチが終わった後とか、お喋りしてるときでも……?」
「うん。寝てるときでも、お風呂に入ってるときでも、料理をしてるときでも、テレビを観てるときでも、好きにしていいから。ブラ着けてるときは外していいよ」
「そんなに!? まあ、そういう、ことなら、覚えてはおくよ」
「別におっぱい以外も好きにしていいけどね」
山本さんは俺の空いている手を取って、ふとももの、鼠径部の近くまで誘導する。
山本さんの家にいるときはこの体の隅々まで好き勝手にしていいということか。
山本さんなら本当に怒らないんだろうな。
美優が相手なら絶対に考えられない。
「そういえばテレビとソファーもあるんだね」
「あるよー。一緒に観よっか」
俺と山本さんはソファーに並んで座った。
といっても、うちにあるような立派なものではなく、脚付きで簡単に運べる小型のソファーだ。
夕方過ぎのこの時間帯は、バラエティ番組がたくさんやっている。
俺はゲームとアニメばっかりで、芸能人の名前がわからないから、話題についていけるか心配だ。
「山本さんはテレビはよく観るの?」
「うん。休みのときにテレビを観ながらダラダラしてることも多いよ」
マジか。
もっと毎日がキャピキャピしてるものだと思っていたけど。
こうして二人で過ごしてみると、山本さんも家でゆっくりしている方が好きなのかもしれない。
「旅行は行かないのか?」
「旅行は考えてないかな。友達とお祭りに行くくらい? それと、バイト先の人たちと釣りに行ったり……あ、キャンプの予定があったや」
結構あるんだな。
とはいえ、これも想像とはだいぶ異なる。
海外のでっかい塔をバックにして写真を撮ってるイメージなのに。
「山本さんのバイトっていうと、モデルとか……?」
「ふふっ。なあに、それ。居酒屋だよ。時給820円」
「居酒屋か」
山本さんのハツラツさならピッタリの職業ではあるけど。
家庭教師とか旅館の手伝いとか、もっと割の良い仕事がありそうなのに。
なんでそんなに普通のバイトをしているんだ。
でも、あんまりこういう先入観もよくないよな。
「時給820円だと稼ぎ少なくない?」
「そう? ソトミチくんのイベントスタッフはどれくらい?」
「事務系なら時給1000円。設営で1150円。拘束時間で計算されるから、長い日は日当で10000円近く出るよ」
「いっぱい出るんだねぇ」
山本さんはさして興味もなさそうに、俺の腕に体を寄せてぼーっとテレビを眺める。
ソファーには二人でどっしり構えても余裕で座れるだけのスペースはあるのに、スキンシップが好きな人と一緒にいるとこんな感じになるのか。
「ソトミチくんのバイトの予定は?」
「今のところは明日と四日後かな」
「そかそか。私は明日と明後日のお昼だから、明後日の夜にはまた会えるかな」
また会える、か。
山本さんと俺って、ただのセフレなんだよな。
こんな恋人みたいな時間を過ごしていていいんだろうか。
しかも、家にいる間は好きなタイミングで体のどんな場所にも触っていいサービス付き。
たとえば、こうしてテレビに意識を向けている山本さんのふとももを、スリスリしても……。
「お、おぉ……」
たまらない肉感だ。
美優も必要な脂肪は残していたとはいえ、この体格差とムチムチ具合には破壊的な違いがある。
甚だ失礼な形容をするなれば、これはもはやセックスをするために生まれたような肉体。
下手をしたら、山本さんの体を触っているだけで射精してしまうんじゃないか。
「気持ちいい?」
山本さんはまるで嫌がる素振りも見せず、俺の体に密着してくる。
運動用のハーフパンツをはいているのに、股間が窮屈になってきた。
「ねえ、ソトミチくん」
山本さんが、なにか思いついたように俺に耳打ちする。
「な、なに?」
「んふふ」
チラと目をやれば、そこには山本さんの蠱惑的な顔がある。
山本さんの清楚なイメージから繰り出されるこのイヤラシイ顔は、男の生殖器に与えるインパクトが強すぎる。
「おちんちん、咥えてもいいですか……?」
まさかの山本さんからのフェラ伺いだった。
山本さんは髪を片方にまとめて、目尻を煌めかせながら見つめてくる。
「あ、ああ、う、うん」
これが意趣返しというやつなのか。
山本さんは許可を取った後も、ジレジレと俺の膝を擦ってくるだけで、直に触れようとはしてこない。
「こ、ここ、これを、舐めてもらえると……」
俺は恐る恐るパンツごとズボンを脱ぎ、山本さんが咥えやすいように軽く脚を広げる。
「わあ……」
山本さんは指で俺の肉棒をスススッとなぞる。
「ソトミチくんのエッチ」
山本さんはちょっぴり理不尽なセリフを吐いてから、手すりまで腰を引いて俺の肉棒を舐め始めた。
カリから亀頭までを舐めて、パクっと唇と舌で挟むと、奥までは咥え込まずに先端だけを舐め続ける。
「あああっ……んんっ……はぁ……!」
口内の濡れ方、唾液の粘り気、そして舌の感触までが完成されている。
これ以上のフェラなんて、この世の中には存在しないと断言できる。
「はむっ……むにゅ……ソトミチくん……はぁ……これでもう……10回目だひょね……ぐちゅ……むちゅ……」
「ぐっ……ん、はぁ……ああぁ……そ、そう、だけど……」
これを出せば、昨日と今日を合わせて、もう10回目の射精になる。
相手が美優と山本さんじゃなかったら、きっとここまで性欲旺盛にはならなかっただろう。
女の子の力は凄まじいものだ。
「ぷはぁ……。ソトミチくん、エッチ好きすぎ」
「え、いやぁ……男なら普通じゃないかなぁ……」
「10回も出すのが普通なわけ無いでしょー」
山本さんは、俺の肉棒を手でいじって、反り返りによってお腹の方に戻ろうとする動きを楽しんでいる。
「あっ。マリーヤが歌番に出てる」
「最近よくSNSで動画が流れてる人?」
「そうそう。ミュージックビデオが面白いんだ。生歌を聞くの初めて」
山本さんはテレビのリモコンで音量を上げる。
そして、俺のお腹を枕みたいにして、ペニスを咥えながらテレビに顔を向けた。
「見づらくない?」
「咥えてたい」
「そっか」
山本さんからしたら、数分咥えるだけでも長時間のフェラだもんな。
女の子はイキッぱなしでもある程度はセックスできるけど、男は射精したらほとんどの人がそこで終わりだし、触っただけで相手がイッちゃう体質って本当に不便だ。
山本さんはフェラをしながら、俺が広げた脚を手で詰って、ときおり睾丸をマッサージしてくる。
その快感に、俺は呼吸を止めて喘ぐのを耐えた。
俺が声を出したら、山本さんが歌を聴けなくなってしまう。
「んふふ」
山本さんはニヤニヤするだけで手の動きを止めない。
俺が声を抑えているのを楽しんでいる。
山本さんは優しい人だけど、たまにこうして小悪魔的なところが出てくるのがまた、らしいというか。
学校で愛嬌を振りまいてるあの山本さんも、本性の一部なんだよな。
「はむっ……んぐ、むちゅ……じゅぶっ……ずじゅっ……じゅぶぶっ……!」
「っ……んふ……ぐっ……んん……!」
次第に激しくなっていく山本さんのフェラ。
明らかに視線が画面に向いてないけど、歌を聴いてるんだろうか。
「ぐちゅ、むちゅ……ぷは。えへへ」
「はぁ、はぁ、ほんと、山本さんのフェラ、すごすぎ」
「そりゃあ私がしてるんだもん」
数々の男を秒でイカセてきた山本さん。
そもそも、フェラまでたどり着いた人って、何人いるんだ。
山本さんがその気にならなければ、行為自体は長くできるとは言ってたけど。
よくよく考えてみると、男がすぐイッちゃうのに経験豊富って、変な話だよな。
「ソトミチくんのおちんちんも美味しいよ。チュッ」
「おっ、ああ。そ、それは、よかった」
山本さんは亀頭を吸うように口づけした。
俺はまだ、キスしたこと無いのに。
息子が先にキスされるなんて。
「味って人によって変わるものなのか」
「どうだろ。中学生の頃にしてそれっきりだから、記憶ないや」
「なるほど」
「ソトミチくんの精液はめっちゃ不味いけど」
「それはもう全員に言われております……」
俺の精液ってなんでそんなに不味いんだろう。
こんなにたくさん出るんだから、美味しければそれだけ喜んで貰えたのに。
精液が美味しいっていうのも怖い話だけど。
「ソトミチくんって彼女いたことあるの?」
「え? ああ……」
うっかり全員と口走ってしまったせいで山本さんが興味を持ってしまった。
山本さんが認識してる登場人物は美優と山本さん自身しかいないからな。
全員って表現は三人以上じゃないと使わない。
「夏前に、少しだけ。数週間で別れちゃったけど」
「例の妹依存症ですか」
「まさしくそれです」
佐知子もすごくいい子だったんだけどな。
あっちもあっちで美優の指でしてもらった快感が忘れられずにずっと悶々としていたらしいし、美優の周りの人間は誰も彼も影響されすぎだ。
あのロクでなしも然り……。
「美優ちゃんにも不味いって言われてるんだ?」
「ああーううーん……そう、だな。イカ刺しの何倍も生臭くて粘っこいとかなんとか」
「ほう……それはそれは」
山本さんはなぜだかシタリ顔。
そしてまた、何の気なしにフェラを再開する。
「もし出そうになったら、お口に出していいからね」
「わ、わかった」
山本さんも俺の精液はかなり苦手だったはずだけど。
飲んでいるうちに慣れてきたんだろうか。
美優も今となっては平然と飲んでいるし。
もしかしたら、飲み続けるとクセになる味なのかな。
俺はパンツを脱いで、足を広げて、ソファーにどっしり。
そこに女の子が横から覆いかぶさって、ペニスを咥えている。
数ヶ月前の俺に、こんな光景が考えられただろうか。
「はむっ……むにゅっ…………この芸人さん、CDも出したんだ……じゅぶ、にゅぷっ」
「この人は……知らないな……んっ……」
「ぐちゅ……むっ、ふぁ。えーっとね、ムキムキで、高学歴で、歌が上手くて、運動音痴で有名になったモンちゃんって人」
山本さんはスマホで人気動画を見せてくれた。
漫才をやっているシーンだが、申し訳ないことに欠片も面白いとは思わない。
「この人が、人気なんだ」
「トークが上手いのにお笑いのネタはつまらないのをずっとイジられてた人で、その元々の知名度と歌ウマ筋肉との二重ギャップで一気に話題になったの。知識人だから色んな番組で長続きしてるんだよ」
「頭がいいってやっぱ大事なんだな」
女の子はこういうところ詳しいよな。
美優も芸能人とかは把握しているんだろうか。
あいつもあいつで引きこもり体質なところがあるし、人に話題を合わせるための知識は持っていなくてもおかしくはないな。
「というわけでそろそろテレビを消しますか」
山本さんはテレビを消して、そして、Tシャツを脱いでまた同じ姿勢になった。
俺は下半身裸、山本さんは上半身裸で、ソファーの上で重なる。
「おぉ……」
ふっくらした丸みが、重力によってその迫力を増す。
まさか、これって。
「どうしたの。そんなにジロジロ見て」
山本さんはおっぱいで俺の肉棒を挟むと、先端だけが露わになった俺の肉棒を、ペロペロと舐め始めた。
「おっ、おっ、ああぁ……」
しかし、あくまでも舐めるだけ。
ときおり唇を使って軽いフェラをしてくれるが、肝心のおっぱいは全く動かしてくれない。
「ん……あぁ……きも、ちぃ……」
気持ちいいけど、足りない。
おっぱいの柔らかさは感じても、俺の肉棒が熱すぎるせいで、山本さんの体温までは感じられなかった。
ただそこに、景色としておっぱいがあるだけ。
これじゃ生殺しだ。
「むちゅ……ちゅっ……ちゅぶ……んっ……」
山本さんは俺の肉棒に何度もキスをしてくる。
亀頭の先には何度も山本さんの愛を込められて。
俺は、山本さんのおっぱいを堪能できずに悶えている。
エッチをしてもらっているのは他でもない俺なのに、目の前で別の男に寝取られているような悔しさがあった。
あんなに愛おしそうにたくさんキスをしてもらえて羨ましい。
まさか自分の肉棒に嫉妬する日が来るなんて。
腰を動かして、乳房の肉肌を堪能したい。
でも、俺が腰を動かすと、俺の肉棒とのベロチューを楽しんでいる山本さんを邪魔することになる。
「んはっ……うぐっ……あぁ……」
気持ちいい。
気持ちいいのに、もどかしい。
「んふ。ソトミチくん、舐めても舐めてもお汁が出てくるよ。口の中がぐちょぐちょになっちゃった」
山本さんは唾液を垂らして、谷間にたっぷりと粘性を貯め込む。
今度こそ、今度こそ、パイズリを、してもらえる──。
そう思っても、山本さんはフェラを続けるばかりで、いつまでも焦らしてくる。
「あ、あっぐ……うぅ……や、山本さん……!」
もう、我慢できない。
こんなにお預けをされて、耐えられるわけがない。
「お、おっぱい、で、挟んで欲しいんだけど……」
「んー? もう挟んでるでしょ?」
山本さんはニヤニヤしながら、おっぱいでギュッと肉棒に圧をかける。
それでも、動かすことはしてくれなかった。
もはや疑いようもなく、わざと焦らしている。
「そうじゃなくて、その、上下に、動かして……あの……パイ……ズリを……」
「へー。パイズリしてほしいんだ」
山本さんは「パイズリ」をイヤラシく強調して繰り返す。
「そ、そう! パイズリ……お願いします、パイズリ、してください!」
「そんなに必死になっちゃって。まあ、ソトミチくん、おっぱい好きだもんね」
「好き! ものすごく、おっぱい好きだから! お願い、パイズリを……!」
「もー。そんなにパイズリパイズリって。下品な言葉を使われると恥ずかしいんだから。おっぱい使わせる立場も考えてよね」
「うぐっ……ご、ごめん……」
たしかに、パイズリってセンズリこくみたいで品がない。
フェラやセックスより、卑猥な言葉だ。
「じゃあ……はい。好きに使っていいよ」
山本さんはソファーから降りると、俺の股の間に座っておっぱいを正面に向けた。
「好きにって……?」
「だから、このおっぱいを使って、好きなだけゴシゴシしていいよって」
山本さんは、俺の肉棒の両脇におっぱいを置くだけして、一切の奉仕を止めた。
おっぱいだけ用意しておくから、扱くのは自分でしろということか。
「こ、こう……か……」
俺は山本さんのおっぱいを持ち上げて、ペニスを包み込む。
そして、それを上下に、ゆっくりと動かした。
「おおっ……すっご……」
想像していた以上に絡みつく。
この肉の柔らかさ、反則的だ。
やばい、手が止まらない。
「はぁ、はぁ、はぁ、あぁっ……きもちぃ……うっ……はぁ……」
山本さんのおっぱいで、パイズリしている。
いや、これは、オナニーになるんだろうか。
山本さんはうっとりした顔で俺のことを見てるし。
こうやって1人でしているところを観察される感じ、最初に、美優としたときみたいだ。
「あぅ……あああっ……や、ばい……」
イッてしまうかもしれない。
前とは違う、リアルな射精感がこみ上げてきている。
女の子を目の前にして、結局は自分でしているという、この惨めさ。
なんでだ。
いつもいつも、俺はマゾなんかじゃないはずなのに。
可哀想なものを見つめるその瞳が、たまらなく興奮する。
「うっ……こ、これ……強くしたら……痛い……?」
「ううん。そこで上下させる分には靭帯は傷まないから。激しくしてもいいよ」
山本さんは事務的に俺の質問に答えるだけ。
俺が勝手に盛っておっぱいを好き放題していることには、何も言及してこない。
「ああああっ……ああっ、はぁ……うぐあぁぁっ……ダメだ……うっ……気持ちよすぎる……うっぐ……!!」
裏筋からカリ裏にかけてを強くおっぱいで擦ると、あまりの快感に膀胱の奥がジンジンしてくる。
射精したい。
このまま、山本さんのおっぱいを、俺の精液で汚したい。
あと一瞬、美優とのエッチを思い出せば、出してしまえる。
いいのか。
口に出していいとは言われてるけど。
山本さんの体に無断で精液を掛けて、許されるんだろうか。
「ああ、もう、出したい……山本さん……出したい……!」
「出したいの?」
「出したい! 射精したい……射精させてくれ……!」
肉棒の硬さを乳房で圧迫する、その行為が、山本さんにイチモツを擦りつけてマーキングしているみたいで、ひどく卑猥だった。
上下するごとに、肉棒の頭が出たり隠れたりして、俺の劣情が山本さんの目に晒されるたびに、興奮が高ぶっていく。
「んふふふっ。ソトミチくん、もしかしてさ。私が出しちゃダメって言ったら、ずっとそうして我慢してるの?」
山本さんがイタズラな笑みを浮かべて、楽しそうに訊いてくる。
「あぐっ、あ……でも……だ、出したい、けど……山本さんの……きれいな、体……はぁ……あぁ……精液をかけるのは……その……」
いけないことだと思うから、興奮する。
いけないことだと思うから、許可無く精液をかけることができない。
そんなどうしようもない自己制約が、性感とジレンマの両方を生んでいる。
「ソトミチくんのそういうところ可愛い」
山本さんは俺の股に体を寄せて、両手で腰を抱いてきた。
「いっぱい中に出して」
山本さんのその言葉に、ついに限界を迎えた性欲だったが、今度はその優しさが美優らしさを失わせてしまって、射精をすることができない。
「はぁ、んんっ……うあっうぅぐっ……ん……こんなに、はぁ、はぁ……気持ちいいのに……!」
射精したい。
山本さんのおっぱいの中に、子種をたくさん撃ち出したい。
「いいんだよ。美優ちゃんのおっぱいだと思って。精子が出ないとツラいでしょ。妹とエッチなことばかりしてる、いけないお兄ちゃん」
「あ、あっ、あああっ、うぐっ……あぁあっ!!」
生の肉棒が、ぐちょぐちょになったおっぱいの圧に包まれたまま弾けた。
びゅっ、びゅっ、と二回目までは、おっぱいの中で射精の感覚だけが生まれて、三度目を超えたあたりから白濁液が谷間に滲み出してきた。
「すっごい量。明らかにここの体積を超えてるよね。どうやって出してるの?」
山本さんは縮こまった玉袋をさすって、その小ささと射精の量とのギャップに驚いていた。
「わ、わかんない……」
これで、本日4回目の射精。
3日前から数えると、射精の回数は15回にも及ぶ。
もう空イキになっていてもおかしくないのに、俺のペニスからはまだ大さじ一杯以上の精液が飛び出していた。
「ソトミチくんのいっぱい精液が出るところもステキだよ」
山本さんはおっぱいをクパッと開けたり閉じたりして、俺の精液でどろどろになった感触を楽しんでいた。
そして、まだ芯が残ったままの俺の肉棒は、そんな山本さんの遊びに煽られてまた性感を取り戻していく。
「おっ、あ、あぁ……」
山本さんの、パイズリだ。
さっきのはただのおっぱいを使ったオナニーだったけど。
山本さんが、おっぱいで、俺の肉棒を刺激してくれている。
「ソトミチくん、もっと激しく使っても良かったのに」
「えっ。でも、あんまりやると、山本さんも痛いだろうし」
「平気だって言ったじゃないですか。挟むときも、こうやって……」
山本さんは俺の肉棒をおっぱいの谷の深いところに入れると、自らのおっぱいを思い切り抱きしめて圧迫してきた。
「おっ、うっ、あぁっ……ヤバイ、それ……!」
元々力の強かった山本さんが、全力でおっぱいを圧縮している。
万力みたいに挟まれて、それを上下されると、手で扱くのと同じくらいの圧力が肉棒を包んだ。
「あっ、あっ……! 俺、さっき出したばっかり……!!」
これ以上射精したら、気絶すらしかねない。
いくらご飯と睡眠で休憩を取ったとはいえ、一日もしないうちに回復しきるはずもないんだ。
もう心臓が射精に耐えられそうにない。
「ソトミチくんはここに来るまでに7回も美優ちゃんに出してもらったんだよね?」
「あ、あぐ、それは、そうだけど……!」
寝る直前、勃たなくなるまで強制的に射精をさせられた最後の二回。
アレは地獄だった。
美優が相手となると、他の人とは違って抗いよう無く精液を搾り取られる。
妹に勃たせろと言われれば大きくなり、出せと命ぜられれば射精する。
そんなどうしようもない体を蹂躙されているときが、最高に幸せだった。
「ソトミチくんは美優ちゃんにエッチでイジメられるのが好きなの?」
「え、あ、ああっ……いや、そ、そんなこと……!!」
たぷん、たぷん、とおっぱいを大きく揺らして、俺の肉棒を扱いてくる。
俺がさきほど出した精液がローション代わりになって、ぬっちゃぬっちゃといやらしい音を立てていた。
「も、もう無理! 無理だから、射精、で、できないって……!」
俺がいくら言葉にしても、山本さんはパイズリを止めない。
それどころか、パイズリでの俺の肉棒のツボを把握して、力を込める箇所を少しずつ最適化してくる。
「あああっ、がぁ、はぁ、はあぁぅ……しぬ、しぬぅ……!」
本気になった山本さんのパイズリが、気持ちよすぎて、もうやめて欲しくない。
次に射精したら死ぬかもしれないのに、もうこの快楽から離れたくなくなってしまった。
「はぁぁぅ……そんあ……あ、やば、い、これ、出そう、出そう……!!」
さっき射精したときは、結局は美優のことをオカズにしないと射精できなかったのに。
このおかわりは射精を我慢できそうになかった。
「ほら。またビクンビクンってしてきたよ。出したいの?」
「あう、うぅ、あぁあ……出したい……でももう、うっ、ぁあ、むり、死ぬっ、あっ……!!」
これ、もうだめだ。
本当に我慢できない。
射精する。
美優のこと、考えてもいないのに。
精子が出てしまう。
「ああっ、あぁああっ……!!」
びぐっ、びゅっ、どびゅっ──。
射精をして、さらに白濁していく山本さんのおっぱいは、それでもまだ止まらなかった。
「あああああっ!! ああっ、ぐっあぁあ! 死ぬ死ぬ死ぬ!! 死ぬうぁああうっ、もう、射精は、ダメ、ダメだっ……!」
「んー? 射精したくないなら、美優ちゃんのこと考えなければいいんじゃないのかな?」
「はあ、あぐっ、あ、我慢、できない、できなくて、あうぅっ!」
だぶん、だぶん、とおっぱいを股に叩きつけられて、そのたびに精液が弾けて、俺の性感帯を攻め上げていく。
次第に視界が白んで、山本さんの声が、少しずつ遠くなっていった。
どうして射精が止まらないんだ。
このままパイズリされていたら、俺は精液どころか生気そのものを奪い取られてしまう。
「あっぐ、あ、また……出……そう……もう、むり……アッ、アッ、あアァアッ!!」
「あらあら。精液いっぱい溢れちゃってる。おっぱいに射精しても、赤ちゃんはできないんだよ?」
脚がガクガクと震え出して、いよいよ生命の危機を感じ始めた。
俺は、今日、山本さんのパイズリで死ぬんだ。
「そろそろ死んじゃいそう?」
「あふ……う……もう……死んでる……」
山本さんは緩やかにパイズリの速度を落としていった。
おびただしい量の精液が山本さんの体に掛かっている。
俺のオスのニオイまみれになった、山本さん。
幸せだ。
最高の死に様になった。
「ソトミチくん、美優ちゃんともこういうエッチしてるでしょ」
山本さんはパイズリを止めて、俺の肉棒を解放する。
俺の精液が床にベトベトと落ちていった。
「体が覚えちゃうくらい好きなんだね」
「え……ああ……」
そうか、この限界まで絞られるプレイそのものが、美優にイジメられているみたいで。
俺は、それに興奮していたのか……。
「山本さんの言う通り、何度か経験はある……」
俺と美優のヤバイ関係が、また一つ暴かれてしまった。
「こういうエッチをしてるっていうのは、山本さんは気になったりするの?」
美優のことは踏み込まないと言っていたのに、あえてその事実確認をしたのには、なにか意味があるんだろうか。
「……まあ、ちょっとね」
山本さんは、必要以上に精液が垂れないように、体についた精液をすくい上げると、浴室へと歩いていく。
「ソトミチくんも、軽く流して行ったら?」
「ああ、そうするよ」
ソファーにも精液が掛かっちゃったな。
新品みたいにキレイだったのに、シミにならなければいいけど。
「じゃあ一緒に入ろ」
「お、おう」
俺たちは浴室に入ってから、互いに服を脱いで、裸になる。
エッチをした後に初めて両方が裸になるって、普通ではまず無い状況だよな。
「お疲れ様。ちょっと、辛かったかな?」
山本さんは精液を流してから、ボディソープをスポンジで泡にして俺の体を洗ってくれる。
「まあ、その、ああいうのは嫌いでは、ないので。ただ幸せだったけど」
「ならよかった」
山本さんは俺の全身を泡で洗うと、ごくごく弱い力で股関節と睾丸をマッサージしてくれた。
「ああ……気持ちいい……」
「本当にお疲れ様。楽しかったよ」
マッサージを終えると、山本さんは俺を浴室から先に出して、自分の体を洗い始めた。
俺は先に出て体を洗い、迷った末に服を着た。
結局、セックスまではしなかったけど。
これでよかったんだよな。
二日後の夜にはまた会う約束になってるし。
「ふぅ。さっぱりした。ソトミチくん、体は大丈夫?」
「アソコはもうずっと悲鳴を上げっぱなしだけど。なんとか家には帰れそう」
明日はバイトだ。
早朝組ではないが、起きれるか心配だな。
「掃除は……しなくていいのか?」
「言うと思った。へーきだよ。二人で分担するような量でもないし」
山本さんは「気にしない気にしない」と俺の背中を押して玄関へと向かわせる。
そして、俺が自転車の鍵を確認している最中に、コップに水を入れて運んできた。
「えっと……。今日は、すごく楽しかったです」
山本さんが述べてくれた感想に、俺は気恥ずかしさを感じながらもコップを受け取る。
喉を通る水分のおかげで意識がはっきりした。
「俺も楽しかったよ」
俺がコップを返すと、山本さんはそれを流しに置いて、また戻ってくる。
「また、会えるよね」
山本さんははにかんで俺を見つめる。
「二日後の夜で、いいんだよな」
「そうだね。当日の夕方に、準備ができ次第連絡するから、それまでお家で休んでて」
「わかった」
明日からようやく、休精日とでも呼ぶべき時間だ。
山本さんのためにも、今度こそきちんと精液を溜めてこよう。
二日間オナニー禁止。
する気も起きないけど。
「じゃあ、またね」
「ああ。また」
俺は山本さんの部屋を出て、駐輪場に向かった。
夏の夜の湿った空気が、今日は冷たく感じる。
自転車に跨ったところで、山本さんからメッセージが届いた。
『今日は夜遅くまでありがとう。明後日は、最後までエッチしようね』
ちょっぴりドキドキする文面に、俺は返信ボタンを押して、どんなメッセージを返そうかと迷っていると、再びメッセージ受信のポップアップが表示された。
『ソトミチくんとセックスがしたいです』
畳み掛けるようにやってきた追い打ちに、ドキリと心臓をやられて。
思考回路がパンクした俺は、スマホをカゴに投げ込むと、流れ星のように移動する衛星を眺めながら自転車を漕いでいった。