チュッ、チュッ、とキスの雨が降り注いでいた。
薄暗い部屋の中、ベッドに仰向けになった俺の片脚を抱えるようにして、山本さんは俺の太ももを舐っていく。
「っ……はぁ……!」
ひと舐めされるごとに、内腿の筋がギュッと縮こまった。
山本さんはそのたわわで俺の肢体を挟み込んで、その肉厚な舌、唇を、俺の肌に這わせてくる。
「んふっ」
涎みたいに我慢汁を垂らす肉棒越しに、山本さんが見上げてくる。
こうして全身に愛撫を受けて、かれこれ一時間。
陰部には直接刺激を与えてもらえず、俺はずっと生殺しの状態だった。
「山本さん……俺……もう……!」
ペニスに刺激がほしい。
腕から始まった、このおっぱいを挟んでの全身愛撫は、俺の性感をひたすらに高めていって、今では舌先が触れるだけで喘ぎ声が出てしまうほどだった。
「またセックスできるようになった?」
山本さんは俺の肉棒を弄って、その硬さを確かめる。
指で確認してからは、パクッと口で咥えて、口内全体で勃起の具合を感じていった。
「あああっ……ぐっ……、く、口……キモチぃい……!」
いつもより口の湿りや舌のザラつきがリアルに感じられた。
しばらく放心して天井を見上げていた俺は、ついに生で山本さんとセックスをしてしまったのかと錯覚してしまうほどの質感があった。
「ふふっ。ソトミチくんって全身が敏感だから、どこをイジってても楽しい」
元々敏感だった俺の体は、山本さんの愛撫によって更に性感に弱くなっている。
山本さんは俺のペニスを咥えながら、二の腕や内ももなどの敏感なところを手で撫でてきて、俺が快感に悶えるサマを楽しんでいた。
「山本さん……もう、セックス……したい……!」
「んー? したいのー? さっきは私がしよって言ってもしてくれなかったのに」
山本さんは意地悪に笑って、俺の頬を指でグイグイと押し上げてくる。
こんなことになっているのも、全ては俺の体質が原因だった。
昨晩、山本さんとの“初めて”を終えてから、次の日の夜である今に至るまで、俺はすでに山本さんと四回のセックスをこなしていた。
その間にも何度か仮眠や食事を挟んで、追加のコンドームは、俺が眠っている間に山本さんが買ってきていた。
そして、1時間前に夕食を済ませて、さてもう一回戦となったところで、俺のペニスはふにゃっとしたまま勃たなくなったのだ。
それからは、俺は精力回復のため、ずっと山本さんからこの焦らしプレイを受けている。
ここで問題なのは、一日に複数回できないことではなく──
「美優ちゃんとのエッチでは夜と朝だけで7回出してたよね? しかも私とエッチした後に」
という山本さんの謎の対抗意識だった。
俺があれだけの回復力を保っていたのは、この体が美優に対して無意識に生殖本能を高ぶらせて、通常では考えられない速度で精液と精力を生み出していたからだ。
どれだけ山本さんが体も性格もプレイも魅力的であっても、この根本的な体質だけはどうにもならない。
山本さんはこの差異を料理やマッサージなどで埋めようとしてくれているが、やはりどうあってもこの体は妹のためにあるようである。
「ここさ、タマタマのところ舐めると、精液が増えるらしいよ」
山本さんは体勢を変えて、俺の股間が頭に来るように方向転換した。
その代わりに山本さんのおしりが俺のすぐ前に来て、その卑猥さに思わず見惚れてしまう。
しかし、そうして鼻の穴を広げて興奮していられるのも、短い間のことだった。
「んっ……山本さん……それ……アアッ……!」
山本さんは俺の玉袋にベタッと舌を這わせながら、おっぱいで肉棒を挟んできた。
男の最も弱い部位である睾丸、その表面を舐め回されて、ときには口に含むだけして温めてきて、丁寧なマッサージを受ける。
おっぱいはその柔らかさで亀頭から根元までをすっぽりと覆い尽くし、睾丸を揉む舌の動きに合わせて、ゆっさゆっさと俺の肉棒を扱いてきた。
どちらの動きも緩慢で、俺の感覚が一切ごまかされないように、それこそ俺の肉棒が山本さんの肌のキメ細やかさを感じるくらいに、マッサージによる刺激を与えてくれる。
「うっっぐっ……それ、ほんと、やばい……ああ、あぁあぁっ……きもちぃ……はぁ……ぁぁあぁぁあ…………!!」
こんなにわずかな動きなのに、膣肉で絞り上げられるよりも大きな刺激が体を駆け巡っていた。
自分でもわかるくらいに先走りが溢れて、もはやそれは微細な射精を繰り返しているようなものだった。
「はぁ、はぁ……山本さん……出したい……あぁっッ……出したい……!」
「へろっ……むちゅっ……んっ。……出したいなら、私の体を自由に使っていいんだよ」
山本さんは枕横に置かれたコンドームを一瞥して、また玉舐めを再開する。
山本さんとは、互いの体は好きにしていいということを事前に決めてある。
結局は、山本さんが攻め好きで、俺が受けに回ることが多いのだが。
「うっ……こうなったら……はぁ……山本さん……!」
俺は自分で腰を動かして、山本さんのおっぱいで肉棒の硬さを感じながら、コンドームの包装をビッと破いた。
そして、下半身をおっぱいで押しつぶしている山本さんから体を引き抜いて、そのまるっとしたお尻を鷲掴みにする。
「あんっ……ソトミチくん……乱暴さん」
山本さんはうっとりとした表情でおしりを突き出してきた。
こうして女の子の上に立つのは初めてで、戸惑うけど。
まごついていたらせっかくの空気が台無しになる。
俺は膝立ちでコンドームを付けると、すぐにペニスを山本さんの膣内に挿入した。
「んっ……ああんっ……硬いの……はいってくる……!」
バックからの挿入は、根元までずっぷり体内に入る騎乗位より刺激は少なかった。
だが上から女の子の裸体が見下ろせるのは、実に壮観だ。
俺が腰を前後させるごとに山本さんのおっぱいが揺れて、四つん這いの山本さんが挿入の刺激に喘ぎながら、徐々に腕の力を失っていく。
そうして屈服していく格好は、オスとしては最高の興奮材料だった。
山本さんの膣内にペニスを挿入するという行為そのものに悦を感じた。
入り口がはっきりと見えるこの体勢は、俺のカリまで引き抜くと山本さんの膣壁が引っ張られてきて、その淫靡な光景が相乗的に興奮を高めてくる。
突けば女の子を蹂躙している感覚が湧いてきて、おしりの肉を揉みしだいているだけで俺は全能感を味わうことができた。
「んあぁっ……ソト、ミチ、くん……あっ、ああんっ……奥、き、きへりゅ……あっ……ンんっ……ああああっ……!」
「山本さん……はぁ……ほんと最高……山本さんの体……気持ちいい……!」
「うん、うんっ……ん、はぁ……あぁあっ、んあっ、もっと、もっと使って……!」
俺はひたすらに腰を動かし続けた。
激しく、とにかく激しく、今は山本さんを俺が好きにしているのだと、そう示すために。
こんな力任せのセックスが、山本さんにとって本当に気持ちいいのかはわからない。
でもその表情を見ると、演技とも思えなかった。
むしろ乱暴にすればするほど、山本さんの表情は蕩けていくようにさえ見える。
俺は両手を山本さんのおっぱいに回して、犬の交尾のような体勢になった。
弾力のあるおしりとは対極に柔らかいおっぱいを揉みしだいて、盛り狂ったように山本さんを背後から犯した。
「ああっ、あああっ、山本さん、山本さん……!」
「んんっ、ひゃぁんっ、ああっ……! あっ、ああッ……ひょと、みち、くん……ひゅご……これぇ……すきぃ……!」
ジュパッ、ジュパンッ、と水音を弾かせて、互いの肉欲を貪っていく。
セックスというより、肉穴を犯しているようなものだ。
犬みたいな恥ずかしい格好をして、それを山本さんが喜んでくれるのが嬉しい。
そうしてずっと激しく腰を動かし続けて、やがて俺の体力が尽きかけた頃。
動きを止めた俺に対して、山本さんが体を起こして襲いかかってきた。
「止めちゃ、イヤ」
山本さんは可愛らしくそう言うと、体を反転させて、俺を仰向けにベッドに倒し、今度は騎乗位の体勢になる。
そして山本さんは、俺の腰に手を回すと、それを持ち上げるようにして自分の体内にペニスを迎え入れる。
「んぐっ……んんっ……あぁ……ソトミチくん……!」
「うがぁっ……山本さん……ああっ……!」
山本さんはひと休みも許さずに、俺のペニスを膣肉で咥えこんでいく。
山本さんも、さっき俺が犬みたいになっていたときと同じくらいに恥ずかしい体勢になって、しかしその淫猥さすら、山本さんの前では美しく映えてしまう。
しばらく俺のペニスを貪ったあとは、山本さんは俺をベッドにのしかかってきて、腰を大きく振り上げて、パンッ、パンッ、と下品な音を何度も立てた。
山本さんの膣の蠢動に吸い上げられて、何分も止まらないスタンピングに、散々焦らされ続けてきた俺は射精への欲望が耐えられなくなっていた。
もうイキたい。
それと一緒に山本さんもイカせたい。
そうした想いが俺の体を動かして、二人の共同作業で腰を打ち付け合う。
何度も本能をぶつけ合って、そして、やがてお互いの肉欲が弾けた。
「あんっ、んんぐぅぁあっ……あ、ああっ、ソトミチ、くん……いひゃ……うっ……!!」
「山本さん……山本さん……俺も、もう……!!」
最大まで高ぶった興奮を、二人で同時にイクことで開放した。
山本さんが俺の胸にむしゃぶりついてきて、俺は山本さんの膣内に精液を放出する。
「はぁ……はぁ……山本さん……良かった……」
「ふぅ……えへへ……やっぱり気持ちいい」
二人で息を乱して、ベッドに横たわる。
「乱暴過ぎた?」
「ううん。もっとあんな感じに使って欲しい」
「使うって、なんか道具みたいだけど……いいの? 山本さんは無理やりされるのは嫌いだったような気がするけど」
あまり強引にしていると、トラウマを掘り返してしまいそうで心配だ。
「大丈夫だよ。前までの人たちとは違うし」
「違う?」
「うん、全然違う。使って欲しいなーって思ってるときに使ってもらえるのと、そうでないときじゃ、全然違うんだよ」
「ああ、なるほど」
「だから、いっぱい使ってください……」
「は、はい」
山本さんのこういうところ、エロいんだよな。
ドキッとしてしまう。
山本さんはピロートークが終わると、俺を抱き寄せて来て、眠りへと誘ってくる。
風呂に入る必要があれば入り、ご飯の時間になれば食べ、それ以外は休憩とセックスを繰り返す。
俺と山本さんの生活は、そうやって日々が過ぎていった。
バイトの日には山本さんにスーツを用意してもらい、何から何まで至れり尽くせりで俺は家を出た。
山本さんは実家にいるときにも、当たり前のようにこの水準で父親や弟たちの世話をしているらしく、あれこれやらないでくれとお願いされる方がむしろストレスになるらしい。
俺は俺で美優と家事分担をする生活を続けてきたため、されっぱなしだと落ち着かないのだが、ここは山本さんのためだと割り切ることにした。
バイトのリマインドメールをチェックして、俺は電車で移動をする。
バイトの前日には、最終確認も兼ねて、会社から詳細連絡がやってくるのだ。
俺もこのメールのおかげで忘れずにいられた仕事があってとても助かっている。
夏休み二回目のバイトは、吹奏楽団のためのセレモニーホール整備。
アリーナと違って立ち席が無いために、設営が行われることはない。
アイドルライブと違って物販列に長蛇の列ができることもないし。
かなり楽な仕事だが、俺にはもうこれが限界だった。
山本さんとエッチを繰り返ししているときは、山本さんが主体になってくれていることと、なんだかんだ食事やマッサージで英気を養えているので良いのだが、家から出てみると精力関係の疲れがドサッとやってきて目眩がした。
例によって、俺のライブ中の仕事は、ドア近くに立ってトイレや喫煙室を使う人たちを誘導するというものだった。
空調の効いた、だだっ広い廊下で1人。
俺は手を後ろに組んで、魂が抜けたように突っ立っていた。
そうやってボーッとしていると、浮かんでくる、山本さんの微笑みと優しい声。
何をしても褒めてくれて、よしよしと頭を撫でてくれて。
あの甘やかしだけは、中毒になってしまいそうだ。
セレモニーホールは市営の施設だが、楽団が公演をやるときはこうして夜遅くまで開場している。
俺の仕事が終わるのも夜が更けてからだった。
今日は山本さんもバイトみたいだけど、俺より先に帰っているようで、家に直接おいでとメッセージが来ていた。
全ての公演が終わってからは、矢印マークが描かれた下敷きとテプラで作成された標識案内板を回収する作業をやって、今日のバイトも終わりだと思ったその矢先のこと。
さすがに今回は違う現場だろうと思っていた阿形さんと、ばったり鉢合わせたのである。
「ソトっち、いたんだ。全然気付かなかったよー」
「阿形さんこそ」
このイベントスタッフの作業の割り当ては、その場で決められることが多く、近くに固まっているだけで同じ仕事が割り振られることがほとんどだ。
逆に言えば、最初から互いの存在を認知していないと、最後まで知り合いに気付かずに仕事を終えてしまうこともある。
「啓太郎さんはいないんですね」
「あいつは今日はいないよ。別に、いつも一緒ってわけじゃないし」
阿形さんは話しづらそうに顔を反らした。
その耳元に、微かに煌めく一粒の金属。
髪の毛に隠されていはいるが、間違いない。
ピアスを付けている。
「阿形さん、ピアスとかするタイプでしたっけ?」
無論、イベントスタッフのバイトはアクセサリー禁止である。
とはいえ、このルールは形骸化されている部分もあって、さり気なくアクセサリーを付けてきているバイトはそこそこいるわけだが。
少なくとも阿形さんがバイトにピアスを付けてきたことはなかった。
「うえっ!? ば、バレちゃった!? あはは」
阿形さんはどうしてだか嬉しそうにしながらも、恥ずかしがって耳を隠す。
阿形さんがどうしてこういう反応をしたのか。
それがわかったのは、バイトが終わった帰りのことだった。
「──啓太郎さんからのプレゼントなんですか?」
簡単に言ってしまえば、阿形さんと啓太郎さんは付き合うことになったのだとか。
二人は元々惹かれ合う部分があって、それがあの山本さんから与えられた刺激によって表面化したらしい。
「そ、そう。付き合った記念としてね。まあ、あいつも初めての彼女らしいし? 浮かれてるんじゃないかな」
言われてみれば少し大人っぽくなった。
そして、比較的真面目だった阿形さんが、アクセサリー禁止のバイトにまで身につけてくるなんて。
人間はちょっとしたきっかけで変わるものなんだな。
まあ、俺としても阿形さんと啓太郎さんの関係には不思議に思うことはないけど。
あの泥酔事件の後に付き合うことになったってことは、邪推はしたくはないけれど、つまりそういうことなんだよな。
「ま、まあ、そういうこと、なくはなかったよ!? でも、あくまでも啓太郎とは健全な関係であって、そりゃ、その、お互いにそういうのに興味がないでもなかったし、昨日と今日と、ちょっぴりペースが早かったりはしてるけど……」
否定をしながらもちゃっかりと現状を暴露する阿形さん。
大学だと相談できる相手もいないだろうし、こういう身の上話は、俺みたいな付き合いの少ない人間のほうが話しやすいよな。
俺は今日も居酒屋に誘われたが、山本さんを待たせるわけにはいかないので断った。
外食するより山本さんの料理のほうが美味いのもあるし。
その代わりとして、帰り道は途中まで同行することに。
そこで切り出されたのは、やはりというか性の悩みであった。
「ソトっちは、ほら、そういう……経験、豊富でしょ?」
俺が性経験がいかほどかと聞かれると、時間的に考えれば豊富とは言えない。
しかし、山本さんがあんなに堂々とセフレ関係を暴露してしまったせいで、俺は阿形さんにそういう人間だと思い込まれている。
まさかあの爆弾発言がセックスの相談という形で波及してくるとは。
「へ、変な話をするつもりはなくて! ただ、女の子としては、男の子の記憶に残るような……のを、したいじゃない?」
まったくそんな話は聞いたことがないが。
「女の子ってそもそも、そこまでエッチに積極的にはならないものだと思いますけど」
「え、そう!? 私、変かな!?」
「いえ、変ではないですし、素晴らしい心がけだとは思いますが。記憶に残るっていうのは……どうなんだろう。別れることを前提にして、付き合っているわけではないんですよね?」
記憶に残すって、傷跡をつけるみたいな言い草だ。
そんなことを意識しなくたって、長く付き合ってそれなりの関係を持てば、記憶に残らないはずがないのに。
「それはそうだけど。だって、ほら。男の子って、よく、1人でするんでしょ……? 彼女がいてもするって聞くし。そのときに、できれば……ね? そういうこと!!」
ああ、なるほど、そういうことだったか。
オナニーするときのオカズを、他のAV女優ではなく自分にして欲しいから、記憶に残るエッチがしたいと。
それなら納得ができる。
とはいえ、個人の好みだし、難しいよな。
「一応、男として言わせてもらうと、同じオカズで抜き続けるのは、多分無理です」
多分、と付け加えたのは、当の俺本人が妹しかオカズにできないからである。
「その上で言わせてもらうと、AVを観て勉強をするのが一番じゃないですかね」
「AVで勉強しちゃいけないってネットに書いてあったけど?」
「それは男側の話であって、要するに、男が現実のセックスの参考にしちゃいけないくらいの理想が詰め込まれているので、女の子が男の性欲を知るには良い資料になるんですよ」
「ふむふむ。でも、あのグロいのを何度も見るのはなぁ……うぅ……でも頑張らないと……」
こんなに健気な彼女さんができて、啓太郎さんは幸せものだな。
きっと啓太郎さん本人が気づくことはないだろうけど。
この関係が上手くいくかは、阿形さんが啓太郎さんの自由をどこまで認められるかがポイントになるだろう。
お互いに経験は少ないみたいだし、折衷案は女の子から出したほうが、上手くいきそうな気がする。
と、ろくに恋愛経験もない俺は1人でぐるぐると無駄なことを考えながら、阿形さんへのアドバイスを終えて帰宅したのだった。
「おかえりなさい、ソトミチくん」
帰宅、といっても山本さんの部屋だけど。
語尾にハートマークでも付きそうな甘ったるい声で、山本さんは俺を出迎えてくれた。
相変わらずのエプロン姿。
この人妻っぽいエロスは反則だよなぁ。
体は疲れてるのに、睾丸としては休憩時間だったため、股間がもりもりと元気になってくる。
「ソトミチくん、私のエプロン姿、好きすぎ」
山本さんは楽しげに俺の股間に目を落として、クスクスと笑う。
「その反応を見るためだけに毎日お出迎えするのもアリかもしれない」
男の勃起を見るために夕食を用意する女の子なんて聞いたことない。
でも山本さんが相手なら俺もそれはアリだと思う。
山本さんのこの癒やしパワーは堪らないな。
こうして股間が膨らんでくるのも、山本さんが与えてくれるリラックスがあってのことだ。
山本さんは俺からポーチとジャケットを受け取って、居室へと姿を消す。
こんな暑いときにわざわざ大きな革のカバンなんて持ち歩く必要は無いだろうと、山本さんが軽登山者やライダーも使うような便利ポーチを貸してくれたのだ。
実際、バイト先の若者はリュックやビニール製のカバンで来ることがほとんどで、堅苦しいカバンを持っていると却って浮いてしまう。
俺は靴を脱いで脱衣所へ移動する。
そこに山本さんがスラックスを取りに来て、俺はシャワーを浴びに浴室に入る。
もはや恒例となったこの流れに迷いはない。
シャワー中に考えることがあるとすれば、出た後に服が用意されているかどうかだ。
非常に良いご身分で申し訳ないのだが、山本さんは俺がシャワーを浴びると必ず着替えを用意してくれる。
ここには『必要があれば』という注釈が付いていて、着替えがないときは、そのまま裸で寝ましょうという山本さんからの意思表示になる。
これで山本さんの準備状況を計り知ることができるのだ。
今回は山本さんは服を用意してくれていた。
まずはお夕飯にしましょうということらしい。
俺が脱衣所を出ると、山本さんがご飯をテーブルに並べて待っててくれていた。
山本さんと結婚する人は、毎日こんな生活を送ることになるんだろうか。
自律ができなかったらダメ男一直線になりそうだ。
俺は山本さんと、横に並んでご飯を食べる。
美優のときとは違い、きっちり姿勢良く、行儀よく食べるご飯ではない。
二人で肩を並べて、お椀を持って、同じ皿のオカズをつつく。
山本さんはベッドの縁を背に膝を立てて、俺はあぐらをかいて、和気藹々と食事をするのだ。
「ソトミチくんは、薄味が好きでしょ。苦手な食べ物は特に無いけど、苦味のある食べ物は好きじゃない」
山本さんは今日までの食卓で、俺から割り出した好みについてまとめる。
「でも精液はとても苦い」
申し訳ございませんでした。
「ていうか、あれは苦いって言うのかな? なんて表現をすればいいんだろう。あの生温かいドロッとしたものを口の中に出されると、反射的にえづいちゃうんだよね。ソトミチくんのは、それが我慢できないくらいにネバっこくて生っぽいというか」
「う、うーん……。俺は精液を飲んだことはないからな」
「飲んでみる?」
「心から遠慮しておく」
山本さんだけならまだしも、由佳も佐知子もあんだけ不味いって言ってたし、美優だって味は最悪っぽいようなことを言っていたしな。
それを自分で飲む勇気は俺には無い。
「まあ、いつかは一度くらい味わっておくと良いよ」
山本さんはニヤニヤして食べ終わった食器をテーブルに置く。
美優にも似たようなことは言われたけど、どうなんだろうな。
女の子に飲ませるからには、自分でもその不味さを知っておくべきなんだろうか。
いや、知ってしまったら今以上に気が引けてもう頼めなくなってしまう気がする。
「山本さんって嫌いな食べ物とかあるの?」
「ポテトサラダとか、コールスローとか、マヨネーズ系の和え物かな」
「理由は」
「弟たちがめちゃくちゃに入れまくるから」
「それはなんとも……風評被害のような」
「まあね。ふふっ」
そんな感じに他愛のない話を交えて、食事を片付ける。
山本さんが洗い物をしているので俺は運ぶだけだが。
何往復かしているうちに、見慣れないスマホが充電されているのを見つけた。
普段山本さんが使っているものとは違うタイプだ。
「山本さん、スマホ二個持ちしてるの?」
俺が尋ねると、山本さんは水道の水を止めて、スポンジを泡立てながらこちらを向いた。
「ああ、それね。下取りしても大したお金にならなかったから、データを残してあるの。前に使ってたアプリとか、写真とか。今までは引き継ぎをしてたんだけど、面倒になっちゃって」
機種を変更する前に使っていたものか。
最近ではクラウドでデータが保存されるようになったとはいえ、移行作業は面倒だよな。
「気になる?」
山本さんが食器を洗い終えて、居室に戻ってきた。
スマホの充電を外して、写真アプリを起動する。
「お父さんがね、小学生ぐらいからの写真を全部パソコンに入れてくれたから、送ってもらったのが結構あるよ?」
「えっ、なにそれ。めっちゃ見たい」
山本さんの小さい頃の写真か。
さぞ可愛いんだろうな。
これだけのプロポーションになる前は、どんな姿をしていたんだろう。
「これが小学生の私」
「こ、これは。なんというか、やんちゃだね」
「でしょー」
小学生の山本さんは、髪の毛を派手にアレンジして、ちょっぴりヤンキーっぽい面持ちだった。
前髪を上げてちょんまげ型に髪を結って、俺が普段かかわらなそうな陽キャの同級生と机を囲んでいる。
いくつか写真を見せてもらったが、服装はスニーカーとジャージのような簡素な場合と、化粧をバリバリにキメてブーツに足を通しているときとで二極化していた。
「この頃が一番気合いれてたんだけどね。全っぜんモテなかった!」
「それは意外だな」
いやでも、この山本さん、かなり強そうだしな。
小学六年生って言ったら、ギリギリ女の子のほうが体格がデカいくらいの時期だし、この山本さんにガン飛ばされたら俺もビビって動けなくなるだろう。
「奥の方で手を振ってる子いるでしょ? この子がほとんど全部の男をガメててね。でもミニバスのキャプテンもやってた肉体派だったから、誰も逆らえなかったんだよ」
子供ってイジメの対象にするのはわかりやすく特徴のあるやつだからな。
でもなんとなくだけど、この友達がイジメられずにいたのは山本さんの影響があったからだと思う。
「そして私は、ここから清楚系へと転向するのでした」
それから見せてもらったのは、中学2年生の山本さん。
このあたりから黒髪ストレートになって、これと同一人物が机にしゃがみこんでいたとは思えないくらいに清楚になっている。
そして、かなりタイプだった。
死ぬほど可愛い。
「ソトミチくん、この頃の私好きそう」
「ドンピシャです……」
「どことなく美優ちゃんっぽい雰囲気ある?」
「かなり、似てるな」
そう、美優に似ているのである。
中学2年生の山本さんは、まだ美優より少し背が高いくらいだった。
女の子は早熟らしいので、ある程度の歳で身長が決まると聞いていたが、どうやら山本さんは中学二年生になってもまだまだ伸びしろを持っていたらしい。
胸の大きさは今の美優の方があるくらい。
とはいえ、美優も山本さんぐらいのグラマーになる可能性があるんだな。
「ずいぶんとお気に召したようで」
山本さんに股間をツンツンされて、俺はようやくテントを張っていたことに気付いた。
昔の写真を楽しんでいたはずなのに、この体は美優のことになると本当に堪え性がない。
「も、申し訳ない……」
「エッチなお兄ちゃんだねぇ。美優ちゃん本人の写真を見ても、おんなじ反応になるのかな」
「その可能性は大いにある……かな……」
悲しい性だ。
俺だってせっかくこれほど心躍るような時間を、無下にはしたくなかったのに。
「まあまあ、そんなに落ち込まないで。ソトミチくんが美優ちゃんのことになるとすぐ発情しちゃうダメお兄ちゃんなのは、今にわかったことじゃないでしょ?」
山本さんは精一杯のフォローのつもりなのか、俺の股間をポンポンしながらそんなことを言ってくれる。
その罵倒がとても心地良かった。
マゾとしてではなく、山本さんが俺の必要としている叱咤をくれることが嬉しかった。
そうだよな。
ここで俺が落ち込んでしまったら、それこそ空気が悪くなる。
「なんならその画像フォルダ、好きに見てていいよ」
見られて困るものは無いし、と続けて、山本さんはズボンを引っ張ってくる。
どうやら脱げということらしい。
それはつまり、抜いてくれるってことなんだよな。
しかもこの写真は見続けたままでいいと。
もう山本さんに秘部を晒すことには慣れていた。
だが、そこに羞恥がないかと聞かれれば、そんなことはない。
女の子の前にペニスを晒すのは、いつだって緊張するものだ。
俺は山本さんのスマホを持ったまま、パンツを脱ぐ。
ぶるんっと肉棒が上向いて、山本さんがそこに口をつける。
チュルチュルと美味しそうに、唇で亀頭をしゃぶってくれる。
「あっ……口……あったかくて……気持ちいい……!」
山本さんのフェラはいつも温かく湿っている。
キスのときでも、口内が冷たいと相手が不快に感じると聞いたことがあったけど、山本さんとしたらそんなことは絶対にないんだろうな。
山本さんからは、キスされる素振りはないし、俺もしようとはしてないけど。
山本さんに舌を入れられたら、気持ちいいだろうな。
「んむっ……むちゅっ……ぶっちゅるっ……んくっ……」
「あああっ……ほんと……いつされても……いぃ……!」
俺は股間に快感を覚えながら、写真に視線を戻す。
美優とそっくりの、山本さんの昔の姿。
このオカズは、マズいかもしれない。
かなり濃いのが出てしまいそうだ。
俺の精液は、さきほど山本さんにも不味いと言われたばかりだし、それを口に出すのもな。
でも、出したい。
最近はゴムに射精してばっかりだったから、たまには口の中に射精したい。
「山本さん……あぁっ……もう……出そう……!」
俺の手元にはオカズがある。
美優そっくりのその姿を見ていれば、自分の意思で射精することができる。
「んふ。むぶっ……ちゅるっ……んっ。ソトミチくん、口でしてるとすぐ出したがるんだから。はーむっ……ちゅぶっ……」
山本さんに指摘されて、少しヒヤッとする。
たしかに、フェラされてるときとか、すぐに射精したいって言ってたかも。
美優とのエッチが基本的に口内射精だったから、どうしてもこのシチュエーションには興奮してしまうんだよな。
変に、思われるかもしれないけど。
今回だけは、我慢できない。
「んっ……んんっ……ちゅぷっ……」
「ああぁっ、ああっ……! 山本さん、ごめん……! もう出る、出る……ッ!!」
「ん!? ん、んんっ……! んーむぅ……!」
びゅっ、どびゅっ、びゅる──!
山本さんの口内に、俺は勢いよく射精した。
この、尿道をドロッとしたものが駆け抜ける感じ、久々にかなり濃いのが出た気がする。
「うっ……うぐっ…………うぅ……!」
案の定、山本さんは涙目でえづいていた。
わかっていたことだけど、罪悪感は拭えない。
「ご、ごめん! さすがに、今回のは、吐き出してもらっても……!」
「ん、うっ……んくっ…………はぁ。うぅ、の、飲んだ……」
山本さんは鼻をズビズビさせて、目尻に涙を溜めてそう報告してくれた。
精液を飲ませるのはオスとしての支配欲が最高に昂ぶるから、好きではあるけど。
そこまで無理することないのに。
「あ、ありがとう。でも、無理はしなくても、いいからね?」
「うーむ……ソトミチくんは、飲んだ方が喜んでくれるかなって……思ってるから……飲んでるんだけど。もしかして、意外とそうでもない?」
山本さんの表情が、明るくなったり陰ったりを繰り返す。
「い、いや、すっごい嬉しいよ!? 俺、飲んでもらえるのめちゃめちゃ好きだし。でも、苦しい顔をされてまでってのは、ちょっと違うというか……」
「ううっ、ごめんなさい。私ももっと美味しそうに飲んであげたいんだけど」
その時の山本さんの表情は印象的で、言葉以上に申し訳なさそうにしていた。
精液なんてそもそも飲めない女の子の方が多いんだから、ただでさえ不味い俺の精液が飲めなくたって悪く思うことなんてないのに。
「俺の精液、すっごい苦いらしいから。仕方ないよ」
「うんうん。だから、せめて私くらいは飲んであげようかなって」
「……えっ?」
言われた瞬間、ポカンとした。
その反応に、山本さんも目を丸くする。
「だってほら。美優ちゃんは、飲んでくれないでしょ?」
「あ……ああ……! そう、だな」
なるほどぉ、そういうことだったか。
山本さんが吐きそうになるのを必死に堪えてまで精液を飲んでくれていたのは、他の誰も飲むことができないと思っていたからなのか。
俺としかまともにセックスできない山本さんを、俺がどうにかして気持ちよくしてあげたいと思ったように。
山本さんも、あまりの不味さにこの先誰にもしてもらえないであろう飲精を、自分がやってあげようと身を捧げてくれていたのか。
どうしよう、なんか。
涙が出そうだ。
「なので……してみたのですが。ソトミチくん……?」
「うん……あ……あの……。ごめん!」
山本さんと、美優に対して。
俺は必要以上に謝罪の言葉を繰り返しながら、本当のことを山本さんに告げた。
これまで美優とエッチをしてきた経緯や、もちろん、飲んでもらっていることまで。
「つまり、美優ちゃんは平然とこの精液を飲んでいると。むしろ、率先して」
「はい」
最初はただ、口で受け止めてくれていただけだったけど。
山本さんの家にくる直前なんかは、自分の手で絞って飲んだりしていたしな。
あれだけ不味いとは言われているものの、実は飲むのが好きなんじゃないかとすら思えてくる。
「つまり……美優ちゃんはもっと、ソトミチくんの精液を美味しそうに飲んでいると……!」
「は、はい、はい」
山本さんは強い語調でそう言った。
そして、しゅんと小さく身を丸めた。
「それはそれで……なんだか凄まじい敗北感が……」
「た、体質の問題だと思うから、気にすることないと思うぞ」
別に美味しく飲めることが偉いわけじゃないし、由佳や佐知子の反応を見る限りでは、美優がああして飲める方が異常なんだ。
「でも、なんか悔しい」
山本さんは膨れっ面になって、年相応の不満顔をする。
なかなかお目にかかれないレアな表情だ。
「残り3日あるんだし、私だって一つくらい……」
山本さんがそんなことブツブツ言い出してから、俺たちは──。
とにかく、ダラダラした。
それはもうダラけた。
正確に言えば、俺はセックスと食事とゲームしかすることはなくなった。
最初は、たまにはこんな日があってもいいかな、ぐらいの気持ちで怠けていただけだったのに。
「ソトミチくん、そのゲームはオンラインでバトルするの?」
「うん。不特定の人とマッチングすることもあれば、ギルドの人とクエストに行くこともあって」
「オフ会で集まるのもこの人たち?」
「そうそう」
ソファーで横になってイチャついたり、カーペットで前後に重なって、おっぱいまくらをしてもらいながらゲームをしたり。
「はい、これ新しい味のやつ。食べて食べて」
「ん、ありがとう」
いつも傍に山本さんがいて、お菓子などは適宜山本さんが食べさせてくれた。
「ああっ、あっ、山本さん……!」
「んふふー。ソトミチくん、クエスト中だよ」
アプリをやっている最中に、山本さんが俺の肉棒をいじってくることもあった。
しばらくイチャイチャしているうちに、溜まった性欲を山本さんがつぶさに察知してくれて、仲間たちが戦闘に勤しんでいるのに、俺はエッチの気持ちよさに浸りながらプレイを続けていた。
「ゲームも長く続けてたら疲れちゃうよね。じゃあそろそろ寝よっか」
「ああ……」
俺は山本さんのおっぱいを堪能しながら、眠りについた。
食欲も性欲も満たされて、アプリゲームの行動ゲージを気にすることもない。
バイトの疲れもあって、俺はぐっすりと深い眠りについた。
それから、目が覚めたときには、なんだか視界がぼやけるような気がした。
それでも確かに山本さんは隣にいて、俺と一緒に寝てくれている。
「んー? 起きたの?」
「うん、起きたよ。おはよう」
「はい、おはよう。今日もゆっくりしようね」
山本さんに頭をナデナデされて、まだ意識がはっきりしないところで、山本さんは廊下に出た。
それから、料理を作ってくれて、それと共に持ってきたのは洗面器と歯ブラシだった。
「先にお口をキレイにしましょうか」
山本さんから水入りのコップを渡されて、口をゆすいで、歯を磨いてもらう。
シュコシュコと優しく口内が清掃されると、それだけでもムズムズと性欲が湧き上がってくる。
それから食事を終えて、山本さんが食器を片付け終わって、ベッドに戻ってきた。
「もう元気になっちゃったの?」
山本さんは俺の肉棒を当たり前のようにシゴいてくれた。
「あ、ああっ……!」
俺は山本さんと向かい合わせになって、山本さんにペニスを擦ってもらいながら、シャツをめくりあげて露出してくれたおっぱいにしゃぶりついた。
「んー……んんっー……!」
「遠慮しないでいいんだよ。いっぱい吸って」
「うん……んむ……」
俺は山本さんに下半身をいっぱいに気持ちよくしてもらった。
そして、また射精スイッチを刺激してもらって、精液を出して、再び眠気がやってくる。
山本さんの胸に抱かれて、俺はまた深い眠りについた。
「──ソトミチくん、またゲームができるようになってるよ。クエスト進めよっか」
「ん、ああ、うん……」
俺は山本さんに、何時間寝たかわからないけど、起こされて、それからしばらくゲームをやっていた。
さっきまで朝だった気もするけれど、周囲は暗くなっているし、まだ何度も寝ていないはずなのに、もう数日くらいこうして横になっていたような気さえする。
そうやって俺が思考をまとめられずにいる間に、山本さんがまたご飯を作ってくれて、それを食べて、トイレなどを済ませて、マッサージついでのお風呂に入って、それから、またベッドで横になった。
今が何時なのか、正確な感覚がわからなかった。
スマホにはデジタルで時計が表示されているのに、それをぼんやりと眺めていても、何時なのかがなぜかわからない。
しかし、必要だとも思わなかったので、俺は気にしなかった。
次にベッドで横になるときはお互い裸になっていた。
生肌で抱き合っていると、性欲にまた肉棒が硬くなり始める。
「ソトミチくん、運動の時間だよ」
山本さんがそう言って、コンドームを付けてくれる。
すぐ横のテーブルには、8個ぐらい使用済みのコンドームが並べられていて、あれがいつどのようにして使われたものなのか、俺にはわからなかった。
ただ、このセックスという行為は、とにかく気持ちいいことを俺は知っていた。
そして、セックスをすると、山本さんが俺をいっぱいに幸せにしてくれることも覚えていた。
仰向けになっている山本さんに、俺が覆いかぶさって、コンドームを付けてもらったペニスを膣内に挿入する。
「山本さん……ふむっ……んっ……山本さん……あ、ああっ……!」
「ああんっ……ふぁっ……ソトミチ……くん……!」
俺は山本さんのおっぱいに吸い付き、空いた手でその豊満を揉みしだいて、懸命に腰を振った。
山本さんの膣肉にペニスをいっぱい擦りつけて、俺は腰が動く限りピストンに没頭した。
「ああっ……ああぁぅぅああっ……! 山本さん……はぁ……あぁああぁっ……きもぎぃ……山本さん……ああ……あぁぅああぁっ!!」
セックスをするごとに山本さんの体は気持ちよくなっていった。
ひと突きするだけで、射精と同等の快感が脳に流れていく。
「んふっ、ああんっ! はぁ、ふぃ、うぅ。……よしよし。そろそろ頃合いかな」
山本さんは俺を仰向けに倒して馬乗りになった。
「今日こそスイッチなしで出しちゃうからね」
ズブッ、ズブッ、ズブッ、ズブッ──。
山本さんに挿入されていく、俺の肉棒。
「ふふっ」
山本さんが、妖しく微笑んだ。
それは今までのエッチな表情とは、少し違うものだった。
「──っ……ぐあぁっ……あっ……あああっ……!!」
山本さんがペニスの根元まで腰を落としたところで、俺の体が跳ね上がった。
「ああっ……あああアアッ……!!」
今までの比にならないくらいの快感が押し寄せてくる。
山本さんの膣内のひだの一つ一つが、濃厚なフェラをしてくるようで、ひとつストロークさせて絞り上げられるたびに、俺は悲鳴にも似た喘ぎ声を上げた。
山本さんは、そのサマを楽しそうに眺めている。
グネグネと腰を器用に動かして、俺が気持ちいい以外の何も考えられないくらいに快感を与え続けてきた。
「はぁ……いぃ……山本さん……イィッ……あアアッ……アッ……うぐぁがぁああッ……!!」
「あんっ、はんっ、ん……。ふふっ。そんなにいいなら、そのまま出しちゃえ」
ジュブジュブと山本さんの愛液と淫肉が溶け合って、俺のペニスも一体になって吸い込まれていく。
もうこのままずっと一つになっていたいと、そんな感情が俺の心を支配していた。
「出してくれたら、もっとイイこと、してあげる」
「アッ、アッ、イイ、こと……はあぁああうぅぅ……アッああああっアアッ……!!」
ビク、ビク、と睾丸がビクついて、精液がせり上がってくる。
出したい。
射精してしまいたい。
今なら出せると、そういう確信がどこかにあった。
ただ、心の奥底で何かが引っかかって、それだけが邪魔している状態。
俺は射精できるんだ。
射精をしたら、もっと山本さんと幸せな時間を過ごしていられる──。
ヴヴヴ、とスマホのバイブレーションが鳴ったのが、ちょうどその瞬間だった。
ベッドの頭に置いてあった俺のスマホを、山本さんが手に取る。
「んふふっ。あらあら。どうしようかな」
山本さんはディスプレイを見て、ニンマリと顔を緩めた。
そして、画面を数回タップすると、それを俺の頭の横に置いた。
それが何を意味しているのか。
その声を聞くまで、俺には考えを巡らせている余裕もなかった。
『──お兄ちゃん? 今どこにいるの?』
久しぶりに聞く、その声。
間違えようもない、美優のものだった。
「っ……っっ……あっ……うっ……!!」
山本さんは容赦なく腰をストロークさせて、俺の性感を煽ってくる。
声を出してはいけないという考えが唯一の防衛線となってくれて、しかし、それ以上に俺の頭は回らなかった。
山本さんのセックスに翻弄されて、頭が変になりそうになりながら、どうにか声だけを抑える。
だが、黙り続けているわけにもいかなかった。
返事をしなければ。
あくまでも自然に。
こんなセックスに溺れている姿を知られることだけは、あってはならないと強く心で念じていた。
『もしもーし。美優だけど。聞こえてる?』
美優が俺を呼んでくれている。
でもそれに答えることができない。
「あっ……みっ……んんんっ……!」
だが、そんな我慢も、何の意味も無いことだった。
よく考えれば、すぐにわかったことなのに。
「うふふ。頑張るね、ソトミチくん」
山本さんは、パンッ、パンッ、と腰を打ち付けて、声と一緒に、明らかにスマホの向こうで聞いている美優に届くぐらいの音を、室内に響かせた。
「んっ、あっ……。もしもし、美優ちゃん? ソトミチくん借りてるよ」
『あ、奏さん。こんばんは。お取り込み中でした?』
「ううん。へーきへーき。で、ソトミチくんに急ぎの用なんでしょ?」
『そうですね。……お兄ちゃーん。聞こえてるー?』
山本さんと美優は、スピーカーモードのスマホで至って普通の会話をして、俺に話を渡してきた。
こんな状況で、この二人はどういう神経をしているんだろう。
「はあっ、あ、み、美優……うっ……ごめん……いまは……!」
『うん。いますぐじゃなくていいんだけどさ。今夜中にメッセージ返してもらっていい? 明日のバイトの予定を聞きたいんだけど』
美優からの連絡は、まさかのバイトの日程伺いだった。
たったそれだけのために電話をしてくるなんて。
あの口ぶりだと、俺が知らずのうちに美優からのメッセージを無視していたみたいだけど、それにしたっってこんなタイミングで電話してくるようなものか。
「わ、わかった、はあっ、うっ、わかったから……!」
今日が何日かわからないせいで、明日の予定もわからない。
最終日だとしたら次の日がバイトだけど、そんなに日が経っている感覚はないし、でも美優が電話をしてくるってことはもうそれぐらい時間が経っているのかもしれない。
『よろしくね、お兄ちゃん』
そうして、美優との通話が終わりかけたところで、山本さんがぐっと顔を近づけてきた。
「んふふ。ねえ、ソトミチくん」
山本さんの含みのある声。
それを感じ取ってか、美優も通話を切らない。
「美優ちゃんとのエッチと、私とのエッチ、どっちが気持ちいい?」
とんでもない質問だった。
本人が聞いている前で、どっちのエッチが気持ちいいかなんて、答えられるわけがない。
「それは……ああっ……!」
山本さんの快楽責めはなおも続き、そして、顔のすぐ横に置かれたスマホからは、思いがけない言葉が飛んでくる。
『──どっちが気持ちいいの? お兄ちゃん』
それは素朴に尋ねるように、美優の口から発せられた。
山本さんからのトンデモ質問の催促。
もはやなあなあにして誤魔化すこともできない。
答えなんてものは単純だ。
答えることそのものは難しいことではなかった。
だって、そうだ。
俺は今日まで山本さんにたくさん尽くしてもらって、たくさんセックスをして、褒めてもらって、気持ちよくしてもらって。
今日だって、ご飯もお風呂も歯磨きも、全部山本さんがやってくれた。
そしてこの、愛液で水音が弾けるほどの激しいセックス。
美優が相手では絶対にありえないこと。
おっぱいを好きなときに吸わせてもらえて、性欲が溜まればいつでもフェラをしてもらえて、その全部を頭をナデナデして受け入れてもらえるんだ。
「ねえ、ソトミチくん」
山本さんの膣肉が俺のペニスを締め上げる。
愉しそうに笑う山本さんのその表情が、艶めかしくて美しい。
「エッチが気持ちいいのは、私と、美優ちゃんと、どっちかな」
パンッ、パンッ、パンッ、と一定のリズムで腰を上下させて、俺は触手のように絡みつく山本さんの膣肉に、神経の全てを持っていかれていた。
「あっ……あああっ……アアアッ……!」
今までの、献身を想えば。
その思い出を遡れば、考えるまでもない。
俺が、誰よりも、エッチをするのが好きなのは、
「ああっ、はぁ、美優、美優……っ! 美優とする方が、気持ちいい……!」
「んあっ、ふぇ!? そんな……んっ……!」
山本さんは腰の動きを更に激しくしてきた。
だが、それ以上に、美優の声が聞けたという事実が、俺の脳の快楽物質を支配し始めていた。
「うっ……してるのは私なのに……目の前で寝取られた気分……」
『まあ、お兄ちゃんはダメなシスコンなので、仕方ないですよ』
スピーカーから届く美優の声。
やはり美優も最後まで聞いていたのか。
『ということで、お兄ちゃん、何か難儀してるみたいだけど。奏さんのことイカせてあげた後は、お兄ちゃんも好きに出せばいいんじゃないかな』
「あ、はぁ……ああ、美優……ああ…………!」
美優のその一言で、俺の怒張は最大以上に膨れ上がった。
ただでさえ鉄のように硬化していた肉棒に、限界を超えて血液が溜められていく。
その肉棒で、俺は山本さんの膣内をグチョグチョにかき混ぜるように突きまくった。
膣壁全体に俺のペニスをマーキングするように、肥大化しきった勃起をズボズボと挿入する。
「ん、ひょな、アッ、ああアンっ、あんっ、アッ、しゅご、あああっ! ひょとみひ、くん、の、しゅごいこと、なっへぇ……あああんっ……ああっ……あひょな、らめえぇ……!!」
山本さんの反応が露骨に変わって、全身の痙攣も始まった。
山本さんをイカせられる。
俺のこのペニスで、山本さんをイキまくらせてやる。
「山本さん……あああっ……山本さん……!!」
「はふっ、ふにゅ、うぅぅあぁあっ、あっ、あんっ、らめぇ、はぅ……そと、みひ、くん……もう、あっ、い、いひゃ、イッヒャう……んんッッ……!!」
山本さんがイッてもなお、俺は腰を振り続けた。
何度も、何度も、山本さんの声が掠れるまで、力の限りに山本さんを突き犯した。
山本さんの意識がトびそうになって、俺もピストンの速度を最大にまで高めたところで、グッと膣内の奥深く、子宮に刺さるぐらいの勢いで俺はペニスを押し付け、そこで、十秒以上もずっと射精をし続けた。
「あぐっ……あっ……あぁ……」
やがてお互いが力尽きて、ばったり横に倒れる。
あまりに精液が溜まり過ぎて、山本さんの膣に入ったままゴムが抜けてしまいそうだった。
「うぅ……完全敗北してしまった……」
山本さんはため息をひとつ溢す。
だがそこには、言葉ほどの悔しさは滲んでいなかった。
「なんか……悪いな」
「えへへ。いいのいいの。美優ちゃんに敵わないのは、最初からわかってたことだし」
その顔はまたいつもの明るさを取り戻して。
俺の知っている山本さんの姿が、そこにはあった。
「それと、最後、思い切り激しくしちゃって、ごめんな」
「それも大丈夫だよ。この先もう無いってくらい気持ちよく犯されちゃった」
山本さんの危ないワードチョイスにドキッとしながら、俺は最後まで抱擁を求めてくる山本さんに答えるように、距離を詰めた。
ゴムを取り外して、ティッシュで精液を拭ってからは、互いにギュッと抱きしめ合って密着した。
「楽しい一週間でした」
「あ、もう、一週間経ってたんだ」
「そうだよ。私がソトミチくんをダメ男状態にしてたから気付かなかっただろうけど」
「なぜそんなことを……」
いやしかし、ああして怠惰を貪るだけの生活は至福だったな。
家に帰ったら、美優には厳しくされそうだし。
まだ終わってもいないのに、もう山本さんの甘やかしが恋しくなってしまっている。
「まあほら、ソトミチくんと、ご飯を食べたりゲームしてるだけでも、楽しかったし」
俺にとっては、この3日間はあっという間に過ぎてしまったけど。
なんというか、ほとんど毎秒ずっと一緒にいたって思うと、嬉しくもあり、切なくもあるな。
残りの時間は、せめて、すこしでも多く山本さんとの思い出にしておきたい。
そう思いながらも、俺の意識は、山本さんの胸の中で、眠りの深層へと誘われ始めていた。
抗えない眠気と、起きていたい気持ちの、二つの想いが相反して、ギリギリの状態で意識を保って。
何分かが過ぎた、その微睡みの中で。
山本さんが、ごくごく小さな声で、その言葉を呟いた。
俺には、その声が届いていたけれど。
指をピクリとも、反応させることもできずに。
そっと、その言葉を胸に抱いたまま、深い眠りの底へと落ちていくのだった。
「本当はちょっとだけ、悔しかったけどね」