「出して」
俺の肉棒を目の前にして、美優はそう言い放った。
両膝をつき、俺の腰を掴んだその体勢は、今にもフェラが始まりそうで反り返りが更に上向く。
「出してって言うなら、出すけど」
おねだりをされたのは初めてだった。
嬉しい気持ちもある一方、戸惑いもある。
美優には怒られることも気持ち悪がられることもあるが、嫌悪感を示されたことは一度もない。
しかし、その分というか、美優から好意を感じたこともなかった。
遥という女の子に会って、その子をオカズにオナニーをしようとしていたら、美優が邪魔してきてすぐさま射精をねだってきた。
これをどう解釈したらいいだろう。
「遥のこと考えたら許さないからね」
美優は鋭い視線を突き刺してくる。
珍しいくらいに感情が滲んでいた。
「わかったよ」
俺が了承すると、美優は床に正座した膝の上に手を置く。
「よろしい」
美優はそれだけ言って、黙り込んだ。
正座をして亀頭を見つめる妹を前に、握り込んだ手の動きが鈍る。
そこまでして真剣にオナニーを観察されると、さすがの俺でも集中できないのだが。
勢い任せに手を滑らせてみたが、これで気持ちよくなるのは至難の業だった。
何か刺激がほしい。
美優の方からねだってきたのだから。
おっぱいを見せてくれとは言わない。
せめて女の子座りでもして、ふとももをチラリとでもしてくれれば興奮するのに。
美優はなおもダンマリを決め込んだまま。
パチパチと瞬きを繰り返すだけ。
無音になった俺の部屋には、鳥のさえずりさえ届きそうなくらいだった。
じりっと垂れる汗の音すら、耳の突くほどの静寂。
「──遥ってば、美優のやつ勝手に使ったら怒られるよ」
「使わないよ。見てるだけ」
「えーどうだか。後で美優に言いつけちゃお」
「美優は私が何しても怒らないし。今日は由佳に説教をするための勉強会なの、忘れないでね」
壁越しに、少女達の戯れが聞こえてきた。
俺が知る限りでは美優と遥という子しかいないはずだが、隣から聞こえてくる声は明らかに二人の会話だった。
「他にも来てたのか?」
「遥と、もう一人だけ。由佳って子。……出なさそう?」
美優の問いかけに、俺は首を縦に振る。
友達を待たせてることもあって、時間をかけたくないのだろう。
普段なら数分で出すことなど造作もないが、新しい刺激が多すぎて逆に頭が取っ散らかっている。
「すぐには難しいかも」
「そっか。うーん」
美優は口元に手を当てて、数瞬だけ思考を巡らせる。
「ちょっと待ってて」
おもむろに立ち上がると、美優は俺の部屋から出ていった。
下半身裸で突っ立ったままの俺。
虚しさが全身を包む。
ベッドに腰掛けるくらいならいいか。
と考えていた俺の耳に、また隣の部屋からの声が届いた。
「あっ、美優! 聞いて! 遥が美優のやつ勝手に使ってたよ!」
元気そうな声だった。
きっと由佳って子は明るくて愛らしい子なんだろう。
遥の容姿を知ってしまった影響もあり、美優の友達なのだから可愛いはずだと脳が決めつけている。
「使ってたわけじゃないよ。触ってただけ」
「同じでしょー。ねーねーいいの? 遥のこと叱らなくて」
何の話をしているのだろうか。
壁に耳を当てると、下のほうがつっかえた。
とりわけエロい会話でもないのだが、本能は思考とは全く別のところにあるらしい。
美優が俺以外とどんな風に話しているのか、非常に気になる。
あんな仏頂面の美優でも、やっぱり家の外では笑顔たっぷりなんだろうか。
「もうさ、勉強会なんてやめて…………って、ひゃっ、美優!? 何するの!?」
ゴトゴト、と床に何かが落ちる音がして、壁の近くに誰かが倒れ込んだ。
「いいから。大人しくして」
「ば、バカッ! 服を脱がされて大人しくなんてできないって! ボタン、壊れちゃう……!」
ザザッ、と布団が壁に擦れる雑音が走った。
「ここまでするなんて聞いてない! ブラはダメ! ブラは取らないで!」
「美優、私もそんなことするなんて聞いてないよ」
美優以外の2人の声は知らないが、喋り方と雰囲気で察しはつく。
美優が由佳に対してよろしくないことをしているみたいだ。
俺を待たせて、友達のブラを取って……。
どういうことだ。
それを俺にくれるということだろうか。
いやいやいや。
ついさっき友人をオカズにするのを怒られたばかりだし。
でも、ごめんな美優。
勃起が痛い。
「キャミは自分でたくし上げて。じっとしててね」
「うぅ……こんなお仕置き、ヒドすぎる……」
カシャ、カシャ、とシャッター音が聞こえる。
写真を撮っているみたいだ。
由佳って子がどんな悪いことをしたのかわからないが、友人に対してそこまで冷酷になれるものなのか。
それとも、こんな程度では許されないぐらいに、美優に迷惑をかけたのだろうか。
「それ、どうするの」
「うーんと。個人的に使う」
「私のは?」
「要らない」
その会話の後は、しばらく静かになった。
美優がドアを開ける音が聞こえる。
壁越しのベッドでは、小声での言い争いが続いているようだった。
「おまたせしました」
美優は何事もなかったかのように俺の部屋に戻ってきた。
スマホを片手に。
とんでもないものを持ってきたぞこの妹は。
「聞いてた?」
壁際の俺を見て美優は訊く。
「すまん」
「いいよ、今回は。写真を送るね」
「くれるの!?」
「いっぱい使っていいよ」
美優がスマホを操作すると、俺の机の上でブーブーとスマホのバイブレーションが鳴った。
画面を覗いてみると、たしかに写真が1件送られていた。
簡易ロックを外して、添付された画像を開く。
薄暗い画面に、乱れた制服を着た少女の姿が映し出され、俺の心臓がドキリと跳ね上がる。
ダウンロード中を表す渦巻きが回転し、下部の進捗バーが進むたびに、ピクピクと尿道が引き締まった。
「うわっ……」
手が震えた。
俺の視界をジャックしたのは、すぐ隣の部屋にいる女子中学生の生写真。
頬を赤らめ、目を逸らしながらも、自らキャミソールの裾を掴んで胸部を露出させている。
茶髪のツインテールがしおらしく肩から垂れ下がって、美優とは対極にまだ未発達な膨らみから、ピンク色の芽がぴょこんと顔を覗かせていた。
由佳は低身長ながらも目鼻立ちがスッとしたスタイルの良い女の子だった。
美優と同じ釣り上がりな目で、気が強そうな顔が羞恥に歪んでいる。
無理やり撮ったせいで全身がうまく写ってないところが、返って生々しさを強調している。
「どう?」
美優は平坦な声で尋ねる。
「これ、本当にいいのか」
「うん」
「友達をオカズにされるのは嫌なんじゃないのか?」
「……色々と事情があるの」
美優は目を伏せる。
追求するなのポーズだ。
「なら遠慮なく……」
俺は画面に集中して右手を動かし始める。
写真自体もエロいが、隣の部屋にこの裸の子がいるのだと思うと、背徳感に玉袋がキュッとなる。
制服を中途半端にはだけさせた、女子学生のおっぱい。
二次元でしかお目にかかれないと思っていたものが、今はこの手の中に収まっている。
「いや……これは……さすがに……っ」
美優から送られてきたものとはいえ、友人をエロ写真をオカズにオナニーをしている姿を、実の妹に見られている。
倫理観なんでどうでもよくなるくらい不純と背徳のオンパレードだった。
この小さな膨らみでも、触ったら柔らかいんだろう。
恥ずかしさに顔を背けるこの子の胸を触り、舐ったら、どんな声を出すんだろうか。
それだけじゃない。
その白い肌にペニスを擦り付けて、先っぽから溢れる先走りを塗りたくってやりたい。
由佳のスカートは、無理やり押し倒されたせいでプリーツが乱れていた。
犯したら凄い声で喘ぎそうだ。
あの勝気な目で俺を睨みつけて、下半身は快楽に負けてズブズブと俺の肉棒を求める。
そんな光景が目に浮かぶ。
「いっ……あぁ……ウッ……!」
出したい。
この少女を脳内で犯したまま。
中出しして精液をぶちまけたい。
「溢れないように飲んどいてあげるから。そのまま出して」
美優の声に、前立腺を刺激されたかのような快感が押し寄せてきた。
「はぁ……出る……出るッ…………!」
目がチカチカして、ドロドロっと尿道を精液が流れていく。
硬い肉棒をさらに絞るように筋肉がぎゅっと引き締り、勢いよく精液が飛んだ瞬間の快感に、意識が遠のいた。
「あぁ……美優…………出た……よ……」
右手に根元を引きつけられて、上向きにピクピクと震える肉棒に、押さえつけられたような感覚はない。
かなり派手に発射した気がするけど、飛び散らかさずに飲めただろうか。
服にかかったらまた怒られるかもしれない。
画面から目を離して美優の顔を確認する。
「ん……おわっは……?」
美優は口を開いたまま、上目で俺と視線を交える。
肉棒を半分ほど咥え込んでいた。
無論、舌や唇など触れさせてもらえるわけもなかったが。
妄想の邪魔をしたくなかったせいか、腰を掴むことはしなかったようだった。
だから、亀頭を丸々と口に含んでしまうくらいに近づかないと、上手く精液を受け止められないと判断したらしい。
「美優、あの、このまま……」
「ん……ごっくっ……はぁ、ダメだよ、お兄ちゃん」
美優は俺の精液を飲み込んで、即座に言葉を封じてきた。
ここまでしておいて、精液を舐め取るのと放置するのとで、いったいなんの違いがあるというのか。
俺はただ、最後に自分でイチモツを拭うその虚しさから、解放させてもらえればいいだけなのに。
「スッキリしたんでしょ? じゃあお兄ちゃんは妹に感謝しないと」
「それは、そうだな」
生のオカズをもらって。
精液の処理までしてもらえたわけだし。
「では、妹からの命令です。これから先はヘッドホン着用のこと。聞き耳を立てたら怒るからね」
美優は俺がエロゲをやらなくなってしばらく放置していたヘッドホンを指差した。
「わかったよ。でも、一階のリビングにいるくらいならいいだろ」
「速やかに移動するなら許可します」
美優はピシッと言い放って、俺の部屋を後にした。
今更、あんなヘッドホンなんて、つける気分にはならなかった。