駅の停留所からバスに乗り込んだ俺と山本さん。
指折り数えられる程度しかいなかった乗客は前方の席に次々と座っていき、俺たちは最後部の座席に並んで座った。
手はつないだまま、二人の膝の間に置かれている。
それが現在の俺たちの距離。
人目がないのでもっとベッタリしてくるものだと思ったが、山本さんにはデパートにいたときとは違う緊張感があって、さきほどから黙って目を泳がせているだけだった。
冷房から発射直後特有の強い排気音が響く車内。
山本さんと繋がる右手だけが異常な温度に包まれている。
男と二人で家に行くことに、また純情がぶり返してしまったのか。
今日の山本さんは全体的に初々しかったとはいえ、緊張が解れるだけの触れ合いは十分にしたと思うのだが。
どうしたのかとよくよく観察してみると、どうにも羞恥心に煽られているわけでは無さそうだった。
とすると、最後のアレが原因か。
山本さんは俺の告白を、どう受け取ったのかな。
「ソトミチくん。一個、質問なんだけど」
俺の膝に手を乗せ、重々しく口を開いた山本さん。
「ど、どうしたの?」
俺が反応をすると、山本さんはジッと俺を見つめてくる。
意を決して、という感じだった。
「美優ちゃんのこと、好き?」
身を乗り出して、それが山本さんにとって気合の踏み込みだった。
ここにきてその質問が来たか。
さきほどの緊張が恋煩いと違っていたのは、寝取りを危惧していたからなんだな。
やはり美優が一番だと主張したあれは聞こえていなかったのか。
「美優は好きだよ。恋人としては、もちろん、美優以外にないし」
「そうだよね? 私より美優ちゃんのほうが、好き……だよね?」
「あえてどちらが上かと答えるなら、美優にはなるな。比べてこういうことを言うのは失礼だけど」
「ううん、いいの…………はぁ……よかったぁ……」
それを聞いて、へにゃっと脱力して俺にもたれ掛かってくる山本さん。
弾みで家に行くことになったとはいえ、略奪愛はさすがに困るようだ。
そんなことになったらそれこそ家庭崩壊だからな。
よくよく考えてみると、山本さんからしたら恐ろしいことだった。
「雑貨店でのあれは、聞かなかったことにしたほうがいい?」
「あれは、ただの願望だもん。妄想の中くらい一番でもいいじゃない? でも、あくまでもこれは恋が冷めるまでの執行猶予なんだし。罷り間違ってソトミチくんが私を一番に選んじゃったら、美優ちゃんに悪いよ」
どうやら山本さんの懸念材料はそれだけのようだった。
安心した山本さんは、ひょいっと繋いだ手を上げて、まずは膝と膝をぴったり合わせてくる。
「なので、ここからまたイチャイチャできますね」
にへらと笑って調子を取り戻す山本さん。
「これは美優ちゃんが許してるから」と何よりも強い弁明を盾にして、すでに帰路についているのに、まるで旅行にでも行くかのようなウキウキ具合だった。
山本さんが好きの気持ちを全力でぶつけられるのは、それでも俺と美優の恋仲が壊れないと確信できるからなんだな。
でなければ、いくら甘えたい願望があったとしても、山本さんはおとなしく身を引いていたはず。
どれだけ性欲が溜まっていて、恋心に倫理が決壊したところで、根本にある山本さんがそういう人間であることは変わらない。
山本さんがこんな浮気じみたスキンシップにまで手を出した理由は、他でもなく美優が許しているからだ。
イチャイチャするのは遥がそうしていたからだし、欲情しているのは由佳がエッチをすると言ったからで、だからこそ、山本さんはそこまでならセーフティーゾーンだと思うことができた。
恋人のように甘えても、肉体関係に至っても、俺と美優の恋仲は壊れない。
その確信があるから、山本さんは思う存分に愛を表現することができる。
山本さんの本気の好きを引き出すには、俺からの好きをぶつける必要もあって。
それが『美優を一番だとした上で、山本さんに好きだと伝える』という指示の真意だったのだ。
と、今ではそう思う。
「じゃあ、こんな風にしても、ソトミチくんは美優ちゃんが一番に好きだよね」
山本さんは俺の二の腕に引っ付いて、服の構造上で可能な限り深くおっぱいに挟んできた。
ブラ越しでも感じるその乳房の柔らかさに、さすがに愚息がピクピクと反応を始めている。
歩きながらでは意識しづらかったが、山本さんの谷間を真上から眺める景色は壮観で、山本さんって本当におっぱいデカいよなと今更なことを思ってしまった。
「そ、それぐらいは、まあ……」
「それなら……これでも平気……?」
山本さんは俺の腕をおっぱいに挟んだまま、今度は俺の手を誘導して自分のふとももに挟み込んだ。
しっとりした体温が指先から伝わって、俺の心臓も下腹部もざわつき始める。
山本さんの内腿は股間部に近づくほど湿り気を増して、外側に手を滑らせればむちむちですべすべの柔らかさを堪能できる。
ショートパンツを穿いているせいでかなり際どいところまで肌に触れることができて、下手をすればこのまま女の子の大事な部分にまで指が届く。
どうしよう。
女の子のアソコなんてもう慣れたはずなのに、まだ野外で触った経験がないせいか、ものすごくその暗部に惹かれてしまう。
「それ以上は、やめといたほうがいいかも。ソトミチくんのせいでパンツがぐちょぐちょに蒸れてるから、たぶんキレイじゃないよ」
「え、あぁ……そ、そうだな」
そんなことを言いながらも、山本さんはクスクスと妖しく微笑んで、ただでさえ短いショートパンツの裾を上に引っ張ってパンティラインを覗かせてくる。
そんな挑発をされて、いよいよ俺の性欲にも火が灯ってしまった。
山本さんは俺の恋心が変わらないラインを慎重に探っているだけなのだろうが、こうしてジワジワと責められると、なんだか美優への愛を試されているようで気が昂ぶってくる。
「ソトミチくん、ズボンのチャックのとこがピクピクしてませんか」
「うっ……これは……さすがにな……」
美優への愛情と、山本さんへの欲情は、また別の話。
そんな都合のいい話は世間では認められようもないが、事実としてそうなのだから仕方ない。
ましてやこのエロスの権化を相手に、よく耐えている方だと自分を褒めたいぐらいだ。
「ダメなんだよ。恋人以外の前でおっきくしたら」
どう考えてもそのおっきくさせている張本人は、俺にふとももを触らせたまま腕におっぱいをズリズリしてきて、服が伸びるのも気にせずブラの中身まで見せつけようとしてくる。
丸い肌色の面積が一気に増えて、形の崩れたブラから乳首までが露出し、その卑猥な光景に俺の愚息はあっけなく雄の本能に屈服した。
バスには何気なく外を眺めている人や、スマホをイジって暇をつぶしている人がいて。
その人たちに気付かれないように、カップルでもない俺たちはイチャイチャと互いの性感帯に触れて遊んでいる。
その結果として敗北を認めてしまった俺の股間には、パンパンに張り詰めたテントが出来上がってしまっていた。
「えへへ。ソトミチくんの負けー」
指で山の頂点をくいくいとイジってくる山本さん。
こんなエロの暴力みたいな人に迫られて勝てるはずがない。
「おしおきタイムに入ってもいいですか?」
上目遣いでそんなことを訊いてくる山本さん。
美優のことがあるから確認したいのはわかるけど、その質問はどうなんだろう。
「ダメって言ったら、どうする?」
「えー。……したいなぁ」
山本さんは目をパチクリさせておねだりしてくる。
答えの選択肢がもはや固定されているのだが。
わざわざ二つの選択肢を出しておいて、想定と違う方を選んだらループさせる悪質なゲームみたいだ。
「お、お願いします……」
「んふふ。仕方ないなぁ」
ノリノリの山本さんは俺のズボンのチャックを下ろし、ハァハァと息を荒くしながら俺のペニスをさする。
かなり性欲が溜まってたもんな。
今の山本さんの脳内をスキャンしたらヤバいことになってそう。
「もう、こんなにヌルヌルさせて。ソトミチくんはエッチなんだから」
山本さんは俺の先走り汁を指先でこねこねして、そんな無茶な批難をしてくる。
全部山本さんのせいなので欠片も謝意は湧いてこないが、こういう性に理不尽なところが山本さんの可愛いところなので俺も楽しくなってきてしまった。
「おうちに着くまで射精禁止ね。まあどうせ出ないだろうけど」
山本さんは俺のトランクスの前ボタンを外すと、ペニスを引き出すことはせずに指を差し入れてきた。
人差し指と中指で俺の勃起した肉棒を緩く挟んで、カリと鈴口の性感帯にピンポイントで指先の側面を当て、くいっ、くいっ、と刺激してくる。
「ぐっ……はぁ……それ……気持ちいぃ……」
山本さんはごくごく弱い力で性器を刺激しながら、目に星を散らしてずーっと俺の顔を見つめている。
どんだけ俺の感じている姿を見るのが好きなんだ。
本当にエッチが大好きだよな、山本さんは。
その本気の好きに引きずられて、俺までエッチがしたくなってしまう。
「あっ……もう……ソトミチくんったら……」
俺の手が山本さんのふとももを弄って、それでも山本さんは変わらず指責めをしてくる。
山本さんのエロテクで与えられる快楽よりも、心からエッチを楽しんでいる感情の波が押し寄せてくることが、なにより俺の性感を高めていた。
それから俺たちは、静かなバスの中ということもあり、ひっそりとそのままのエッチを続行した。
お互いに同じ場所をクチュクチュと触り合って、快感に震えながら声を必死に堪えるだけ。
バスに人が乗車してきたときは、山本さんは俺の腕にひっつくことだけを一時的にやめて、それでも、俺の肉棒を二本の指で挟んで刺激することだけは止めなかった。
人がこちらを向いているのに。
座席の背もたれを死角にして俺たちはエロいことをしている。
ずっと野外でしてみたかったのだと、以前の痴漢プレイのときには活き活きしていた山本さん。
自分が気持ちよくなることなんかよりも、こうして相手と一緒に楽しめるエッチができる喜びのほうが遥かに勝っているようだった。
そんな純粋にエッチを楽しむ山本さんが五割増しに可愛く見える。
「ソトミチくん、そろそろ、降りる場所だよ」
山本さんは家の最寄りまでバスが辿り着くと、俺のズボンから手を抜いて、指先にべっとり付いた我慢汁をちゅぶっと舐め取った。
「んっ……ソトミチくんのエッチ汁……生じょっぱい……」
この人は何をするにしてもエロい。
どんなことでも楽しんでくれるし、セックスパートナーとしてはこれ以上にないよな。
前の男たちは、パンツに指を入れられる前に射精してしまっていたのだから、山本さんとしても彼氏としても残念だったよな。
まあ、仮にすぐ射精することがなかったとしても、全員が全員、俺みたいに露出プレイに付き合ったかはわからないけど。
「ソトミチくん。それ、上手く私を死角にして隠してね」
バスが停まり、山本さんは座席から立ち上がって、パンパンに張ったズボンを見下ろして俺の手を引く。
腰を屈めたくらいでは隠せなくなっているそれを、俺は乗客の顔の向きに合わせて立ち位置を調整することで誤魔化した。
バス停を降りてからしばらくしてもそれは同じで、勃起が収まる頃には山本さんの住むマンションまで辿り着いていた。
エントランスのロックを解除し、それに合わせて降りてきたエレベーターに乗り込むと、山本さんはようやく人目がなくなったことで更にテンションが上がっていた。
ボタンを操作する俺の背後から、もう待ちきれないご様子の山本さんが抱きついてきて、顔をうずめながらモゴモゴと何かを言っている。
「ソトミチくんは美優ちゃんが好き、ソトミチくんは私とエッチをしても美優ちゃんが好きだから、私はソトミチくんとエッチしてもいい……」
どうやら自己暗示をかけているらしい。
どれだけ倫理が決壊しても浮気を気にしなくなることはないようだ。
エレベーターが指定の階に着くと、山本さんは俺の手を取って廊下へと進んだ。
部屋の鍵を開けて、いざ何度目かの山本さんの部屋へ。
「えーっと……お邪魔します、かな」
長い期間住みついたわけでもないのに、どこか懐かしさを感じてしまう玄関に入ると、ふと疑問が浮かんできた。
そんな俺に、先に靴を脱いで部屋に上がった山本さんが、クルッとこちらに振り返る。
「“ただいま”って言ってくれるなら、私はいつでも“おかえり”って言うよ」
山本さんの屈託のない笑みに、さすがの俺も照れが隠せず。
小声で「ただいま」と口にしながらおずおずと靴を脱ぐと、両足が着いたところで山本さんも小さく「おかえりなさい」と言ってくれた。
山本さんの居室の内装は変わらないままだった。
日も経っていないので当然のことなのだが、不思議な懐かしさにふとそう思った。
俺たちは前と同じようにベッドの縁に背中を預けて、横並びになる。
「来ちゃったね」
いざ部屋に帰ってからは、山本さんは意外にも大人しかった。
もっとガバッと襲われるものかと思っていたのに、山本さんは床を指でなじってもじもじしている。
「さっきの、アレだけどさ。なんか、エッチな感じになっちゃったやつ」
表現の仕方がひどく曖昧で、聞いた瞬間には“アレ”が何を指しているのかわからなかったけど、ついさっきバスでしたことについてだよな。
エッチな感じになったも何も、エッチをしていた以外に言い訳のしようはないんじゃないかな。
まあ、山本さんの名誉のために突っ込まないけど。
「ほんとに……セーフだったかな……?」
どうやら自己暗示に失敗したらしい山本さんは、誰もが浮気の明確なラインとして挙げるであろう『男性器への接触』をしてしまったことを悩んでいるようだった。
俺は美優からセックスでもなんでもしろと指示されているから、問題がないことはわかるけど。
どこまで暴露をするべきかな。
美優がなんでも許すと言ったなんて、さすがに教えられないし。
「もちろん、なんとしてでも仲直りしろっていうのにも、限度はあるよ。具体的には、もしそういうことになったら、今日は一回まで……とは言われてるけど」
これだけは伝えておかないと、エッチが始まったときにどれだけ絞られるかわからないからな。
予防線を張りつつ山本さんの疑問も解消できるから、この情報だけ出したのはナイスな判断のはず。
「待って待って。一回って、なに? 一回って、エッチ一回ってこと? 美優ちゃんがソトミチくんに一回だけなら私とエッチしてもいいよって言ったの? それはどういう基準なのですか? ソトミチくんに一回だけ射精してもらえるってことでいいの?」
まるで水を得た魚のように食い気味に詰問してくる山本さん。
自分に対して明確にエッチの許可が出ているとわかれば、したくてもできずに悩んでいたあれこれが解消されるのだろう。
よっぽど我慢してたんだな。
「山本さんの言った通りで合ってるよ。それで、夕方までには帰ってこいって言われてる」
俺がそう明言すると、山本さんの目にいよいよ輝きが灯り始めた。
「それって、都合よく解釈すると、ソトミチくんと夕方までイチャイチャできて、しかも射精が一回までなら好きなだけエッチができる……ということでしょうか……?」
「そ、それで、間違いない」
ただ出すだけでは気が済まない様子の山本さん。
女の子だからどれだけ性欲が溜まっているのかわかりにくいけど、男に置き換えれば一週間オナ禁していたようなものか。
それなら、こうなるな。
「じゃあ……あの……わかりきった質問かもしれないけど……」
「いいよ。なんでも聞いて」
俺も腹をくくった身だから、浮気にならない範囲であればどんなことにでも応える。
浮気の定義は世間の各々に任せるとして。
生でセックスとかはさすがに美優の指示があっても断らせてもらうが、そうした行為以外なら、多少の変態セックスには付き合おう。
「たとえば……ふぇ……ふぇらちお……とか……させて、いただけるのでしょうか……?」
「う、うん。いいよ。したいことはさせてあげてって言われてるし」
フェラチオなんてさせていただくものではないと思うが、ご奉仕体質の山本さんからすればその言葉遣いが自然なのか。
「もっと早く言ってくれればよかったのに……」
たぶん、『エッチまでしていいなら、今までのスキンシップでやきもきする必要はなかったんじゃないですか』と主張したいのだろう。
それは申し訳ないことをしたが、あの場でいきなり「フェラ一回くらいならいいよ」なんて言えるわけもないから、これは仕方ない流れだったんだ。
「でも、節度は必要だよね。美優ちゃんはたぶん、エッチよりイチャイチャのほうが嫌がるだろうし。ちょびっとだけ、エッチして、終わりにするね」
山本さんは、俺を美優から奪いたいわけじゃない。
願望はあっても三人で愛し合っていけるようにしたいわけでもないんだ。
俺と美優が一番に愛し合って、それを素直に応援できるように、抱いている恋心を処理したいだけ。
その目的を見失っていないあたりは、さすがは山本さんだと感心する。
山本さんは『俺が嫌なことをしない確信があるから一緒にいたくなる』と言ったけど、こういう安心感があることも、俺が山本さんを救いたいと思う理由でもあるんだよな。
にしても、本番じゃなくてフェラか。
それだと山本さん自身は気持ちよくなれないはずだけど、いいのかな。
「もしかして、ゴムを持ってなかったりする?」
「ん? あるけど?」
フェラをするために四つん這いになっていた山本さんが、キョトンと首をかしげる。
ゴムはあるのか。
だとすると、美優に遠慮して本番を避けてるのかな。
「いや、その、口だけでいいのかなって」
俺がそう尋ねると、どうにも山本さんの羞恥心を刺激してしまったようで、また山本さんの顔の温度が上昇していく。
「あ……えと……フェラがしたいんだけど……ダメ……?」
山本さんが申し訳なさそうにそう訊いてくるので、俺はそんなことないと慌てて否定した。
女の子に恥ずかしい思いをさせてしまったな。
こうなったら俺から脱ぐくらいのことはしてあげるべきか。
「うーん……まあ……本番をしない理由は、あるけど……」
俺がズボンに指を掛けたところで、山本さんから気になる発言がぽろり。
それはやはり美優を気遣ってのことなのか。
ここは言及しないほうがいいよな。
「俺もフェラされるの好きだから、山本さんがしてくれるならすごく嬉しいよ」
そう言いながら、俺はズボンのチャックを下ろす。
その動きを、山本さんは手で制した。
「存じております」
山本さんは服を全部脱がすつもりはないようで、バスのときと同じように、俺のトランクスのボタンを開けてそこからペニスを露出させた。
まだ大きくなってない状態から始められるフェラって、なんだか恥ずかしいんだよな。
俺がフェラチオをされるのが好きなのは、前回のお泊りの時点でバレてたっけ。
あのときも似たような体勢になって、山本さんに昔の写真を見せてもらいながら抜いてもらったんだよな。
あまりにも美優に似すぎていたから簡単に出してしまった。
……思い出すと暴発してしまいそうだからこのへんでやめよう。
山本さんが口を近づけると、吐息が亀頭に吹きかけられて、俺はすぐに半勃起状態になる。
横から咥えられる体勢になった山本さんの耳元には、今日一日で見慣れたピアスが光っていた。
「髪を上げてるからお口がよく見えるでしょ」
サービス精神旺盛の山本さんに、どうしたって心は弾む。
男の喜びを熟知しているこの美少女を相手に、たとえフェラだけであっても俺の本能は無事で済むだろうか。
「じゃあ……ほんとは美優ちゃんのだけど……はむっ」
「うっ……!」
山本さんの口の中で膨張していく俺の肉棒。
それを口内で転がして楽しむ山本さんの舌が、触手のようにカリの溝を這って、今日の外出で溜まった汗とニオイを舐め取っていく。
「はぁ……ひょとみちくんの……おひんひん……むちゅっ……んくっ……じゅぶっ……ぐぢゅっ……」
「あああっ……山本さんの……ほんと、すごい…!」
一度咥えてからは、山本さんはもう遠慮をすることなく俺のペニスに吸い付いた。
横髪を頭の後ろに結い上げている山本さんの横顔は、その唇が俺の肉棒の亀頭から根本までを咥え込むさまをありありと見せつけてくる。
ときおり舌を出して、ズズズッと舐め上げる山本さんのフェラが、あまりにも気持ちよすぎて意識が飛びそうだった。
「じゅっぷ……くちゅ……ふぁ…………このかひゃいのひゅき…………チュッ……ちゅぶっ……!」
「いっ……ぐあぁっ……やまもと……さん……あッッ!!」
夢中でフェラチオをする山本さんの肢体が、上下運動のために筋肉を収縮させて、瑞々しくも無駄のない肉の筋が二の腕や太腿の各所に形成されていく。
四つん這いでぶら下がる豊乳に、ショートパンツを張り上げるお尻の張り。
全身がエロい山本さんの肉付きは口内も例外ではなく、肉棒をねぶり上げる舌も、唇も、腰が抜けるほどの快楽を俺に与えてくる。
「じゅるるっ……じゅぷっ……んふっ。誰も見てないから脱がせていいんだよ」
シャツの胸元を指で引っ張って挑発してくる山本さん。
「あ、でも……今のソトミチくんはダメなのか……むぅ」
言った直後に、山本さんは俺が自分の意思では山本さんに手が出しづらいことに気がついた。
こんな良い雰囲気なので俺も思わず流されそうになったが、俺から好き放題にやってしまったらさすがにアウトのラインに踏み込んでしまう。
立場が逆だったら、やりたいことをやればいいだけだったから楽だったのにな。
山本さんの場合はご奉仕するのが大好きなので、相手が主導で喜んでくれないとやりづらいみたいだ。
「お借りしている身だから文句は言えないよね」
「俺からは、なんともいえないけど。どこまでしていいのかは、美優に聞いてみる」
「うん。よろしくね」
山本さんは上機嫌にチュッと俺のペニスの先端にキスをする。
「ああ……ソトミチくんのほんとにおっきくて好き……」
それから俺の勃起を手でスリスリして、慈しむように両手で包む。
これだけでも中々に気持ちのいいものだ。
「そんなにおっきい?」
「私にとっては、ね。みんな触っても一瞬というか、直接触ることもなく出しちゃうことがほとんどだったから。こうしておっきいままのを咥えられるのが嬉しくて……」
心から幸せそうにする山本さんの、その主張は裏のない率直なものだと感じた。
だからこそ、別に気にしなければよかっただけの違和感を、俺は覚えてしまった。
「エッチができないと、山本さんはやっぱりツラい?」
あの一週間で山本さんが語った、元カレたちに対する想い。
エッチなんてできなくても、ただ尽くした相手が喜んでくれるだけで、山本さんは幸せなのだと語った。
それが本心だろうがなかろうが、それ自体はどうでもいい。
だけど、体の相性が合う唯一の存在である俺がいなくなったら、山本さんはまた彼氏を作っても同じようにエッチはできなくなってしまうわけで。
それは辛すぎると思うし、余計なお節介かもしれないけれど、美優が同意してくれるなら山本さんが満足できるまでしてあげるのもいいかと思った。
「前の人たちとの関係に、満足してたのは本当だよ。そのときは、ただ尽くせるだけで幸せだったの。ちょっとしたお出かけをしたり、作ったご飯を美味しそうに食べてもらえたり、毎日がそれだけでいいんだって、心から思ってた」
でもね、と山本さんは、恥ずかしそうにして言葉を続けた。
「私も……結局はただの人なので……その……いざソトミチくんと……本物のエッチをしてみたらですね……」
言い淀む山本さん。
なんとなく先の言葉が予想できてしまって、得も言われぬ罪悪感に心臓が変な跳ね方をした。
「あぁ……エッチってこんなに楽しいんだって……こんなにも喜んでもらえて……こんなにも……気持ちいいんだって……」
それは山本さんとしても不本意だったはずの現実。
いっそ知らなければよかったと思ったときもあったかもしれない。
「気づけば私は、ソトミチくんに女にされてました」
うぅ、と涙ぐむ山本さん。
そんな状況でも、山本さんはペニスの裏筋を舐めたり、亀頭に吸い付いたりして、心のゆくままにフェラチオを堪能している。
これはもしかして、責任を取らなければいけない案件なのでは。
「うぅっ……ソトミチくん…………はむっ……ちゅっ……じゅぶずずっ……」
嘆きながらも俺へのフェラを再開した山本さん。
こうして俺の肉棒を咥えている聖女のような女の子が、俺のせいで性欲の奴隷に堕ちてしまったのかと思うと、これまでに感じたことのない背徳感に腰のあたりがゾワッとした。
「ひぇいえきも……ひょとみちくんのドロドロひぇいえきひゃないと…………まんじょくできにゃい……」
我慢汁の一滴すら味わうようにしゃぶりつく山本さん。
「はぁ……や、やばい……あっ……」
そんなエロい姿に、俺の性欲もさすがに精子の射出を要求しはじめた。
山本さんとは一回しかエッチができないのだから、こんなに早く射精してしまうわけにはいかないのに、山本さんが精液を欲しがっていると思うと出したくてたまらなくなってくる。
これも美優とのエッチの弊害だった。
これまで経験したエッチのほとんどが飲精だったから、精巣を吸い尽くすようなフェラや射精の要求には滅法に弱い。
「んじゅぶっ……ぐっぷ……じゅぶぶっ……じゅぶっ……!!」
「山本さん…………いっ……きもちいい……ッ!」
山本さんの口の中でイきたい。
でも、それをお願いするのは二重の意味でできない。
こんなに早くエッチを終わらせたら山本さんに申し訳ないし、俺から懇願するのは美優への誠意に反する。
他の人の口に出したいと思ってしまった時点で手遅れかもしれないけど。
それでも、俺は射精したいことを言い出せないまま、山本さんのご奉仕を受け続けていた。
「んっ……ちゅぶんっ……くはぁ……ん……?」
しかし、俺の嘘がつけない性格は、尋問などされなくても伝わってしまうようで。
山本さんは肉棒への愛撫を続けながらも、俺の顔をジッと見て表情の変化を伺ってきた。
「ソトミチくん……んっじゅるっ、じゅぷっ……もう出したい……?」
直球で訊かれたその質問に、俺はさすがに取り繕うこともできず。
二人に申し訳ないと思いながらも、首を縦に振ってしまった。
で、その結果としては、もちろん。
「んふっ……私の口に出したいんなら……あぁむっ……じゅぱっ、じゅるるっ、ぢゅぱっ……んちゅ……ちゅっぷっ……」
山本さんの表情がまた一気に明るくなる。
エッチが早く終わってしまうのは申し訳ないけど、山本さんならこういう反応になるのはわかっていた。
自分より他人の幸せに喜びを感じる人だからな。
エッチをしているときの射精をしたいという要求は、山本さんにとって何より嬉しいものなんだ。
「んっ、んぐっ……じゅるぶっ……んっ……それなら、はい、これをどーぞ。んふふっ……んぐちゅ……じゅぷっ……ぐっぽっ、ぐぢゅるっ……じゅぽっ……」
山本さんはテーブルに置いていたスマホを手にして、フェラをしながら画像を漁り始めた。
それは、前に山本さんの昔の写真を見せてもらった、古い方の端末。
中学生時代の山本さんは、今の美優と容姿が瓜二つで、前回はそれをオカズに俺は射精した。
だから、山本さんからスマホを手渡されたときも、それと同じものを出してくるのだと思っていた。
「うっ……こ、これって……!」
それはただの昔の写真ではなかった。
正面顔をアップにして、美優とそっくりの山本さんが肉棒を咥えている姿が、そこには写されている。
いったい誰を相手にしたハメ撮りなのか。
そんな疑問が湧いたのは一瞬だけだった。
「んふふっ……くちゅ……ちゅぱっ……! じゅるじゅるれろ……ぐっぷじゅっぷ……じゅぶっ……!」
「ああっ……はぁ……山本さん……あッ……!」
激しさを増す山本さんのフェラに、俺は快楽責めにされながら、視線は手渡された画像に釘付けになっていた。
美優そっくりの山本さんが咥えているペニス。
それは、他でもない俺のものだった。
画像の中で、正面を向いて俺の肉棒を口に含んでいる山本さんは、頬のあたりに撮影しているのとは別のスマホをかざしている。
そのディスプレイには、前に俺がオカズにした中学時代の山本さんの写真が映されていたのだ。
そして、加工で埋め込まれた『お兄ちゃん大好き♡』の文字。
その映像が、撮影会をしたときの美優のトロ顔を俺にフラッシュバックさせる。
「ダメだっ……あっ……山本さん……もう……!」
もう美優のハメ自撮りにしか見えなくなっていた。
学校での真面目な姿を画像にして見せつけながら、淫らな本性を俺にだけ晒す、そんなエロい妹が俺のペニスを咥えている。
「んじゅっ……いひよ……らひへ……! んっ……ちゅぶじゅぶっ……ぐちゅ……ッ!」
「あっ……はああっ……! で……るッ……あああぁっッ!!」
ビュッ、びゅる、ビュッ──!!
様々な罪悪感を抱えながら、俺は山本さんの口に射精した。
睾丸から尿道を通じて、あの唇の奥に精液が送り込まれたんだ。
いっそ口内射精のほうがゴムを付けて膣出しするよりエロくさえ感じてしまう。
「んふぁ……いっぱい出た……」
ついに美優以外の口に精液を出してしまった。
オフ会でも由佳とセックスをしたはずなのに、この罪悪感の違いは何だろう。
「うっ……んくっ……ぷはぁ……ソトミチくんの味がする……」
山本さんは恍惚としながら俺の精液を喉に流し込む。
ついに美優以外にも平然と飲める人が現れたのかと、嬉しくもあり寂しくもあるような微妙な感情を抱いたのだが。
結局、そのあと山本さんは盛大に咳き込んですぐにお茶を飲みに行った。
「ごめん」
「いや、それが普通だし、もう俺も慣れたから大丈夫」
山本さんの体のほうにはエッチをしてあげられていないのに、俺とのエッチが終わってからは山本さんはスッキリした顔をしていた。
相手がイクと同調して気分が落ち着くのだろうか。
「出しちゃった……」
まだペニスが露出されたままの俺の股間部に、山本さんは名残惜しそうに視線を落とす。
流れのままに出してしまったせいで10分くらいしかできなかったからな。
とはいえ、こんな快楽攻めを何時間も続けられたら俺の精神のほうが保たないのだが。
「えーっと……とりあえず、この画像はどうしたの……?」
山本さんが、まだ硬さの残った俺の肉棒を、ネコが戯れるようにぺしぺしして遊んでいるので、そちらは山本さんに任せてひとまず疑問を解消することにした。
「ソトミチくんと最後に過ごした日に撮っといたんだよ。前髪と目尻に加工をかけたら美優ちゃんそっくりになったから、そのときはただ話題のネタに保存してたの。あっ、あと肌も白くしてるよ。美優ちゃん色白だから」
たしかに、山本さんが髪型を美優と同じにして、あの勝ち気な鋭い目つきになったら、それこそ姉妹のように似るだろうな。
おっぱいの成長具合と肌ツヤも同じレベルだし。
「はぁ……楽しい時間が終わってしまった……」
山本さんは、まだ俺の肉棒をイジっている。
だんだんと気持ちよくなってきてしまった。
今日射精していいのは一回までと言われているし、何か別のことを考えなければ。
「そういえば、今日はどこかに行く予定なんじゃなかったの?」
俺は山本さんの露出の多い服装を見て、由佳から聞いた情報を思い出した。
山本さんが俺を発見したのは、改札を通る寸前だったんだよな。
「え、ああ……うん……。そうなんだよね。冷静になると申し訳ないことしちゃったな」
山本さんはエッチが終わったはずの俺のペニスに軽く手コキを続けてくる。
手が大きいから手コキがまた気持ちいいんだよな。
本格的にムラムラしてきたのでそろそろお控えいただかないと。
「ひ、人と、会う約束をしてたとか?」
「うん。バイト先の男の子。デートの約束をしてて」
それは、また、なんというか。
聞いてしまうと俺まで申し訳なくなってくる。
「最初は、ご飯をするだけの話だったんだけどね。そういうつもりがあったのかわからないけど、夜まで遊べないかなって誘われたから。……ソトミチくんを忘れるためにはいい機会かなと思って、オーケーしてたんだ」
なるほど。
だからそんなに気合を入れていたのか。
仮に相手にその気がなかったとしても、そんなドエロい格好を見せられたら一瞬で悩殺されると思うんだが、そこらへんは考慮してたのかな。
「それをね、私はドタキャンして。今だって、夜だけでも予定が空いたらどうかって、聞かれてるのに。私はこんな所で別の男の人とエッチをしてるんだよ。ヒドい女だよね」
さすがに反省で胸が苦しくなったのか、山本さんは遊んでいた俺のペニスをトランクスにしまってズボンのチャックを上げた。
これまでの話を聞くと、山本さんの過去と未来の彼氏全員から俺が寝取ったみたいになるのだが。
そんな業を背負うのだけは勘弁願いたい。
「でさ、ソトミチくん」
「ん? どうした?」
今度は、山本さんからの質問。
エッチも一区切りついて、いつものまったりスタイルで横に並ぶ。
「私たち、なんでエッチしてたんだっけ」
山本さんがそんな疑問を投げつけて、しばらくは、居室に沈黙だけが満ちていた。
「山本さんの気が済めば、恋心も晴れるって、予想だったからじゃないかな」
「そう、だよね。でも、デートをして、エッチをして、ソトミチくんと居たくなる想いが募るばかりなのですが」
まあ、現実はそうだよな。
俺だって美優の目論見は欠片も聞かされてないし。
予想はあくまで予想でしかない。
「はあ……冷静になるほど美優ちゃんへの申し訳なさが……私なにしてるんだろう……」
恋を患ってからは空回りしっぱなしの山本さん。
それでも好きなんだから辛いよな。
「落ち着いてるうちに解散にしよっか」
「そうだな。そうするか」
まだ夕方までにはだいぶ時間があるが、気分がリセットされているうちに帰ったほうが山本さんのダメージも少ないだろう。
俺は買い物袋と財布を持って、山本さんに見送られながら玄関に向かう。
靴を履いている途中で、微かに服を引っ張られたような感覚があったが、それについては触れないでおいた。
「それじゃあ……またな」
「うん。また、ね」
玄関を出て、ドアを閉めたのは、山本さん。
前回は切ない別れになったが、最後に見えた山本さんの顔が笑っていたので安心した。
俺は無心でエスカレーターのボタンを押し、エントランスを出て、そこでようやく詰まっていた息を吐くことができた。
結局は山本さんとのエッチを楽しんでしまった。
デートのときも、少しとはいえ俺は男として山本さんに惹かれていたし。
こんな体たらくで美優は許してくれるのだろうか。
どこまでが計画通りなのかな。
体裁上は指示を守れたけど、僅かでも本気の好きを抱いてしまったことについては、美優も想定外だったかもしれない。
それでも、今日起こったことは全部話すけどな。
俺は夏の日差しに焼かれながら、トボトボと家にまで歩きついた。
エッチもしてしまったし、まずはシャワーを浴びよう。
美優はどうしてるかな。
「ただいま」
ドアの鍵は開いていて、玄関に入るとスーッと冷気が全身を包んだ。
この状況からすると美優はリビングに居るかな。
と思っていると、予想通りにリビングから美優がお出迎えしてくれた。
美優は最近になって室内着にするようになった大きめのTシャツを着て、ギリギリ裾が見えるキュロットパンツと一緒にヒラヒラさせている。
Tシャツはもちろん、いつだか捨てられたと思っていた俺の服の一つである。
「おかえり。ずいぶん早かったね」
美優は例によって真顔モードなのだが、この早めの帰宅にはいくばくか驚いていた。
もっと山本さんとイチャコラしてくると思っていたのかな。
「結構、頑張ってきたぞ」
反省すべきところはあったが、指示を遂行したというのはなかなかに偉いことだったと思う。
そして、かなり疲れた。
ずっと気を張っていたからな。
やはり実家の安心感と、美優のこのドライな雰囲気は最高だ。
山本さんに芽生えかけた恋心なんて、今ではなかったかのようだ。
「ふむふむ」
美優は靴を脱ぐ俺のことをしげしげと観察して、静かにこちらに近づいてくる。
「そういうことなら労いましょう」
そして、玄関の段差があってなお埋まらなかった身長差を背伸びでカバーして、美優は俺の頭をギュッとおっぱいで包み込んでくれた。
「おっ……」
何が起こったのかわからなくて、俺は瞬間、心停止した。
でも、美優が抱きついてきていることはわかって。
そのために美優がつま先立ちして、俺の方へバランスを崩しかけているのを感じて。
反射的に身を屈めると、美優は踵をストンと落として、そのまま頭を撫でてくれた。
「よしよし。よく頑張りました」
鼻孔に広がる美優の芳醇なおっぱいの匂い。
た、たまらない。
さっき出したばかりなのに、もう下が硬くなってきた。
「まあこんなものでよいでしょう」
美優は10秒ほど俺の頭を撫でてから、すぐに離れてしまった。
なんという冷徹さだ。
「も、もっと! もっと欲しいんだが!!」
「髪の毛が汗で湿ってるからシャワーを浴びてきてください」
「よしわかった秒で入ってくる」
どうやら今日は美優がイチャイチャしてくれそうなので、俺は即座に風呂場に入って丹念に全身を洗って服を着替えた。
汗もさっぱりして生まれ変わったみたいだ。
これなら遠慮なく美優にも抱きつける。
恋人に、抱きつけるんだ。
これまでゴタゴタが続いていたから、たったこれだけのことにも幸せを噛み締められる。
いや、むしろこれから何があっても、それが幸せであることは忘れてはいけないんだよな。
日々感謝して、日々愛情を注がないと。
……美優のことだから、やりすぎても怒るだろうけどな。
「上がったよ」
リビングに戻ると、美優がソファーでファッション雑誌を読んでいた。
俺が帰宅する前も同じようにしていたんだろうな。
俺がリビングのドアを閉めると、美優はソファーの座面をポンポンと叩いて俺を誘導する。
その場所に俺が腰掛けると、美優が俺の膝の間に入ってきた。
抱き合うのが大好きな美優の性格からするに、この状態が最もしっくりくるみたいだ。
「お兄ちゃん、なんだか平気そうだね」
「平気そうって? まあ、山本さんとは色々あったし、その、するにはしてきたけど。精神的な部分に関しては、ギリギリ踏みとどまったというか」
「してきたのにそんな感じなんだ。すごいね」
「そんなに予想外だったか?」
「うん」
どうやら、美優の見立てでは、俺がもっと山本さんにドキドキしたまま申し訳なさそうに帰宅することまで考えていたようだ。
俺が美優に事のあらましを説明すると、美優は俺の判断は全て正しかったと教えてくれた。
どうにも思っていたより良い方向に物事が進んでいるらしく、美優が上機嫌にしているので、今日はエッチな頼み事でもしてみようかなと思った。
「それで、山本さんの扱いは、これからどうすればいいんだ? どう考えても三人仲良く恋もさっぱりってことにはならなそうなんだが」
「別にこれまで通りでいいよ? 少しくらいならお兄ちゃんの方から手を出しても平気」
「そうなのか。まあ、そういうことならそうしとく」
俺は腕の中に美優を抱いて、なおも雑誌を読み続ける美優の腕をふにふにする。
このすっぽり収まる体のサイズ感がたまらないんだよな。
シャツの胸部を盛り上げているこのたゆんたゆんは揉んでもいいのだろうか。
「ところで、俺が山本さんに恋でもしてたらどうするつもりだったんだ?」
「一応、特効薬は用意してたから、それで治療するだけ」
そんなものがあったのか。
さすがに用意の良い妹だな。
「それって、どんな?」
俺が山本さんに惚れたときの特効薬ってことは、そんな恋の病を吹き飛ばすくらい劇的なものなんだよな。
溢れんばかりの愛をしたためたラブレターとかかな。
「うーんとね」
美優は雑誌を畳んで、ソファーのサイドテーブルに置くと、一呼吸置いた。
そして、数瞬のためらいを含んで、答えを口にする。
「ちょっぴり、エッチな服」
そのワードを聞いた瞬間、俺の股間部に凄まじいエネルギーが集中した。
それは血流となって一気に海綿体へと押し寄せて、俺のイチモツは美優の背中でものの見事に屹立したのだった。
「美優、頼む」
「ヤダ」
この攻防戦。
懐かしくもあるが、今はそんな思い出に浸っている場合ではない。
「特効薬だって言ったでしょ」
「まあ待て。俺がもっと山本さんに惚れて帰ってくると思ってたんなら、元々その服は今日の夕方に着る予定だったんだよな。頑張った結果にご褒美が減るのは異議ありだ」
「うっ……。こういうときだけ聡いんだから」
美優はぶーっと口をすぼめて不満そうにしているが、断れはしないはず。
山本さんの件だって、仲直りしなさいと言い出したのは美優なわけだし、その指示に従って成果を出した俺に対して美優は褒美を出さずにはいられないからだ。
罪には罰を。
義理には恩を。
報いなければ気がすまない性格なのは、俺が一番良く理解している。
もちろん、それがこれまでの恩のお返し分だと言われてしまえば、俺に反論の余地はないが、そんな逃げ方は美優はしないだろう。
「どんな服か当てられたら、着てあげてもいいよ」
美優から提示された妥協案。
恩をどう返すかではなく、美優のエッチな服を見たい要望に対する可否の議論として独立で扱うわけだな。
それなら俺は勝負を受けるしかない。
どうしても指示を遂行したことへの報酬が欲しいと、俺がゴリ押しするならそれで要望は通るけど。
こんな可愛らしい勝負を提案されて無視できようはずもない。
「そうだな。治療とか言ってたし、ナース服とか?」
「…………」
美優の性格からするに、本文中に答えのない国語の問題は出さないタイプだろうと踏んだ俺。
ほっぺたをぷっくりさせて、それはもう不満そうな顔をする美優。
なんというか、俺たちが兄妹であることを実感するいいきっかけになったな。
「死ぬほど恥ずかしい服なんだけど」
自分で用意したくせになぜそんなモノにしたのか。
恋の病の特効薬になるぐらいだから、そうでもしないと効き目が足りなかったのかもしれないけど。
なんにしても、そんな死ぬほど恥ずかしい服を着た妹を見ないでいられるほど、俺は人間ができていない。
「美優。それはきっと予防薬にもなると思うんだ。一時的とはいえ俺も山本さんを本気で好きになりかけたし、変質性の恋のウイルスが潜んでるかもしれない」
「まあ、それは、たしかにそうだね。仕方ない」
美優はどこか恨めしそうにしながらも、俺の説得に応じてソファーから立ち上がった。
リビングを出て二階に上がる、その去り際に、美優がこちらを睨んでいたのだが、そんなになってまで死ぬほど恥ずかしいエッチなナース服のコスプレをしてくれるなんて、俺の妹は本当に最高のパートナーだと思う。
長い待ち時間だった。
二階から聞こえてきたのはクローゼットを開け閉めする音だけで、いま頃は美優が着替えているのかとか、もうとっくに着替え終わっているのにいざ着てみたら想像を遥かに超える恥ずかしさで部屋から出てこれないのかとか、そんなことを考えていたら俺の肉棒はギンギンに出来上がっていた。
ズボンの中が狭い。
勃起による圧迫感だけで、なんだか気持ちよくなってきた。
せっかくお風呂に入ったのに、また先走り汁で汚れてしまう。
「あ、あの……」
「うぉっ!? み、美優、降りてきてたのか」
どれだけ忍び足で階段を降りてきたのか、まったく音は聞こえなかった。
ドアの陰からひょっこりと顔を出す美優は、頭にナースキャップを被っている。
か、可愛い。
これだけで十分に抜けるぐらい可愛い。
まさか、ロリータ服しか着ないと言っていた美優が、鉄板みたいなコスプレをしてくれるなんて、もう喜びと興奮で脳内がわけわからなくなってきた。
「ど、どう?」
まだ物陰から顔だけしか見せていないのに「どう?」と尋ねてくる美優に、俺は万感の意を込めて、もう可愛いとしか掛ける言葉が見つからなかった。
美優は長い髪の一部を結い上げていて、残った髪は後ろで結んでおり、その部分だけが傾けた体から垂れ下がっている。
もう特効薬どころか安楽死用の薬にすら思えてきたその劇薬コスプレに、俺の愚息もビクビクと狂気乱舞していた。
「死にそうなぐらい可愛い。ほんと、死ぬかも」
そんな答えに、美優はジト目で俺を見つめ返す。
「体の方を見ても死なないでね」
どうにもそれは約束できそうになかった。
すでに心臓が早鐘を打って破裂しそうなのである。
でも死んでもいいから早く見たい。
「体はこんな感じになってます」
右足を横に一歩出して、開いた足を閉じるように全身を顕わにした美優。
「おっ……ぁ……」
俺は息を呑み、呼吸が停止する。
それは一見すると、超ミニスカであること以外は普通のナース服。
あの美優が股下0cmの服を着ているだけでも十分に破壊的であったが、その服のエロさは形状ではなく、サイズ感にこそあった。
美優の体のボディラインそのままの、ピチピチのナース服だったのだ。
いわゆるプレイ用のコスプレ衣装には胸だけが大きい物も存在しているが、美優のあのロリで巨乳な体型に完全フィットにする服が市販されているわけもなく、おそらくは全体的に改造が施されている。
美優が歩くときに揺れる胸のぷるんとした動きは、まるでニット素材をそのままおっぱいに押し当てたかのような滑らかさだ。
美優はソファーでただ勃起するだけの俺の前に立ち、襟を引っ張って服の生地を強調した。
「この服は、お兄ちゃんの治療目的だけに買った、お安いコスプレ衣装です」
「あ……あぁ……」
「つまり」
「つまり……」
「汚したい放題です」
「────!?」
その言葉を聞いた瞬間に、俺の脳内は妄想の洪水で溢れかえった。
妄想の一つ一つが俺の下腹部に興奮を伝え、危うくそれだけで射精しそうになる。
ただエロいイメージが流れるだけではない。
それが現実のものとして、このドエロい妹に射精の限りを尽くせるのだと思うと、剛直がビクビクして排泄筋が射精運動と同じ収縮を繰り返すのだ。
「美優……ほ、ほんとにいいのか……」
息を荒くして尋ねる俺に、美優は姿勢良く、視線は斜め下にして、もじもじと指先を合わせる。
「まあ、使い捨てなので。着たからには、使っていただかないと」
「ああ…………うっ……」
もはや美優の声を聞くだけでペニスが気持ちいい。
ビクつきを止めることができない。
「美優の、おっぱいの形、その、生々しいのは……」
「これ一枚で着てるからね」
「ということは、ブラも?」
「してないよ。形が悪かったからカップは入れたけど」
美優は自分の指で胸部をぷにっと押し込む。
服の凹み方がおっぱいそのままで、めちゃくちゃ柔らかそうだ。
早く揉みしだきたい。
「もしかして、ブラをしてないのって、そこの、おっぱいのところを……」
俺が手を伸ばし、指を差す、その場所は、むっちりとした美優のおっぱいの肌色が僅かに露出している、ボタンとボタンの間にある隙間。
本格派ではない安物のコスプレ服だからこそあり得る、すべてのボタンが中心線に配置されたその薄手のナース服には、指でこじ開ければちょうどモノの一本ぐらいなら入りそうな余地があるのだ。
「まあ、そういうこと」
美優は左右二本の指で、まず胸の上部の隙間をこじ開ける。
そこからは、服の圧でI字になった谷間が覗いている。
「あぁ……み、美優……!」
美優は更にそこから、胸の真ん中にある隙間をこじ開ける。
美優が膝をつけば、俺はそこに思う存分ペニスを挿入できるんだ。
想像するだけで、もう、軽く射精してしまったかのように精液が漏れ出てくる。
「ここも」
一つずつ、下へと降りていく美優の隙間見せ。
美優の下乳が、その艶やかなおっぱいの丸みが、俺を限界を超えて興奮させて、ペニスに無理やり血液を流し込んでくる。
反り上がって天を向いている今のペニスなら、あの位置からでも美優のおっぱいを犯し尽くせる。
「ほんとに……それ一枚で……って、ことは……!?」
美優は鳩尾と、お腹と、それぞれの隙間を開けて、インナーなど着ていないことを俺に見せつけてくる。
それはやがて、下腹部へと移り。
スカートと呼べるのか怪しい丈の布の向こう。
ギリギリで見えないでいた、女の子として最も大事な陰部にまで。
「ここはね」
ついに、美優は一番下の隙間に指を掛ける。
俺に見えやすいように、真正面で、やや腰を突き出して。
女児が立ったまま用を足すように、美優は膀胱の下に位置するその隙間を、ガパッと開く。
そこから覗いたのは、まっさらな肌色。
平面のようで、ほんの僅かに浮いている恥骨の形状だけが、そこにはあった。
「こうなってるんだよ」
こそっと、秘密を耳打ちするように。
掛けられた声が、ペニスを激しく刺激した。
「あ……ぁっ……!」
ズボンを強く押さえてみても、もう手遅れだった。
ギュッと尿道を圧迫する手の中で、心臓と同じように、ペニスはビクビクと弾み。
「あっ……アッ……!!」
ドクン、ドクン、ドクン──。
と、ついには大量の精液を吐き出して、なおも俺のペニスは暴走を止めなかった。
「あ、あれ、お兄ちゃん……?」
さすがにこれは美優としても予想外で。
いきなり股間を押さえて黙り込む俺を、心配そうに見つめている。
そんな中で、俺は美優にごめんと何度もつぶやきながら、情けなくもズボンの中で射精してしまっていた。
まさかのフィニッシュに、お互い掛ける言葉は見つからず。
俺はドロドロになったトランクスの不快感と、惨めさだけを感じていた。
「出ちゃった?」
美優は、いつもみたいな毒舌ではなくて。
本当に優しい声音でそう問いかけてくれた。
俺がうなずくと、美優はまだズボンを押さえ続けている俺の手を退けて、何も言わずにチャックを下ろした。
美優はトランクスをズリ下ろすことはせず、局部が半分ほど露出するくらいにめくって、そして、
「はむっ……ちゅるっ……んっ」
「あ、アッ……美優、そんな、汚い……ああっ……!」
服についた精液も、肌の上に残った精液も、美優は丹念に舐め取ってくれた。
ペニス本体に残った精液も含めて、ただ俺を癒やすように優しく、お掃除をしてくれたのだ。
「あ、ありがとう……」
「どういたしまして」
美優が竿まで口でキレイにしてくれた。
もう何度もフェラをしてもらってるから、それ自体は特別なことではないけれど。
それが最初の頃は絶対に嫌だと断られていた行為だと思うと、なんだか嬉しさが滲んでくる。
「ところでさ、お兄ちゃん」
美優は俺のペニスの裏筋を指でグイグイと押してくる。
まだ勃起したままのそれは、美優のお掃除フェラのおかげで回復しきっていた。
「まだ出るよね」
美優の妖艶な微笑みに、俺の睾丸は急速に精液の再装填を開始する。
もう次のエッチがしたくてたまらない。
そんな美優に、俺は心からの願望を口にしてみた。
「服の中に、出してもいい?」
答えのわかりきった質問だったけど。
俺と美優はそういう関係だったから、尋ねずにはいられなかった。
「いいよ。お兄ちゃん」
どこか嬉しそうに。
そう返事をする。
俺の妹が、最高のオカズだった。