畳んだ傘の先で床を突くと、灰色の一帯に小さな水玉が浮かび上がった。
駅の通路を往く人々の数は心なしか少なくなっている気がして、この蒸し暑い時期に雨天の外出は控えたくなるのが人の心というものだろう。
そんな中でも俺が家を出てきた理由は山本さんとの勉強会のためで、指定された場所が都内のカフェだったので駅までやってきたわけだ。
こうしてデートらしい外出をするのなら美優とも遊べばよかったと申し訳なさも感じるが、あの美優を雨の中に引っ張り出すのは改めて考えてみても忍びなく、相手が山本さんだったからこのような結論に至ったわけでもある。
「ソトミチくん、こっちだよ」
ハツラツとした声が飛んできた方向に目をやると、男性の下半身の負荷を考えない豊満ボディの女の子がいた。
シャツとフレアスカートという一見すると清楚な服装なのだが、ウエストの高いスカートを採用しているためシャツの膨らみが見事な乳袋を作り上げている。
「待たせたな」
「いいのいいの。いつ来るのかなーってワクワクしてる時間も楽しいから」
山本さんは出会い一番に俺の腕に抱きついてきた。
この蒸し暑い季節だと、谷間の熱がブラ越しにも伝わってくる。
百センチ近いバストを誇る山本さんに乳袋を押し付けられたりなんてしたら、美優のエプロンの膨らみでさえ興奮してしまう俺が劣情を掻き立てられないわけがない。
これはもはや凶器だ。
そのうち税関にでも引っかかるんじゃないか。
「行こっか。ソトミチくん」
山本さんは迷わずに俺と手を繋いで改札へと歩き始めた。
前のカラオケでのエッチ以降、山本さんも吹っ切れたというか、俺への恋を満足させるために本格始動した雰囲気がある。
それはショッピングデートの時のようなしおらしい姿ではなくて、一緒に日直になってプリントを配っていたあの頃の山本さんに戻ったような感覚だった。
「電車はすぐ来るみたい」
「こう蒸す日は一層冷房が恋しくなるな」
ホームに響く電車のアナウンス。
山本さんの長い髪をさらうぬるい風。
なんてことない日常会話を続けて、二分後に到着した電車に乗り込んだ俺と山本さん。
すると吊革に掴まっていた人々が一斉に目を向けてきて、次いで座席にいた人たちが俺と山本さんの存在に気づく。
これまでに感じたことがないぐらいに視線が集まっていた。
以前にもセクシーな服を着た山本さんとデートしたことはあったのに、これまで俺が気にならなかったのはきっとその視線のほとんどが山本さんに注がれていたからだろう。
山本さんほどの美少女から積極的にスキンシップを受けるその相手が、冴えない男とあっては良からぬ感情を向けられるのも無理からぬこと。
なによりこのムンとくる季節に男の理想を煮詰めたようなエロボディを侍らせているとなれば、それはもう男の敵でしかないのだ。
こうした目を向けられるようになったのは、俺と山本さんの関係が、友達としての境界線から恋人側の領域へと踏み込んだ証拠でもある。
「気になる?」
横に立っている山本さんが肩を寄せて俺に微笑んでくる。
山本さんほどの人なら男にジロジロ見られる経験もたくさんあるはずだ。
当事者になってみるまでこれほど気になるものだとは知らなかった。
「怖いような、申し訳ないような、なんとも言えない気分だよ」
俺は小声でそう返す。
周囲からの目は、何も嫉妬や羨望の感情ばかりではないだろう。
俺のような男と付き合う女ならば、自分でもワンチャンスあるのではないかと、下心を含んだ眼差しも向けられているはずだ。
もし俺が山本さんの彼氏だったら、他の男の目に映ることすら嫌がっていただろうな。
「デート中に変な人に絡まれたこともないわけじゃないけどさ。だいたいは『可愛い彼女でいいなー』って思ってるだけだよ」
「聞いたことがあるのか?」
「んーん。でも絶対そう思ってるに違いない」
「さすが」
日直の頃を思い返してみると、山本さんは元々は自信家で、俺に興味を持ったのだって俺が妹以外を異性として意識しなかったことがきっかけだった。
いつからか乙女チックで慎ましい顔をするようになって……たしか、初めて山本さんの家に行ったときはまだ「自分の魅力で俺を浮気させてしまう」と本気で心配していたほどだったはず。
最近まで山本さんがしおらしくしていたのは、少ない失恋経験が俺に固執する理由を与えていたからだろう。
彼氏と別れた経験は多くとも、最初から付き合えなかったことなどきっと皆無だ。
だとしたら、元の明るさを取り戻したこの態度は空元気なのだろうか。
こうして楽しげな表情を見ている限りではそんな感じはしないけどな。
それから電車を降りて、街中を歩くその最中も、俺に引っ付いてくる山本さんの恋人ムーブのおかげで好奇の目は絶えなかった。
それは目的のカフェに入っても同じで、カップルでテーブルを挟んでいる男でさえ、山本さんの姿をどうにか視界に収めようとぎこちなく姿勢を変えていたほどだった。
「お二階の席のご予約ですね」
カフェに入ると、俺たちは二階にあるソファー席に案内された。
ソファーと言ってもテーブルは低い掘り炬燵タイプで、各テーブルを仕切る壁に合わせてL字型に置かれている。
客や店員が移動してこない限りは人目につくことがなく、密着して過ごしていても気恥ずかしさを感じることもない。
というか通りがかりに見た客も密着してモゾモゾしているカップルばかりだった。
「勉強の目的で来たんだよな?」
俺は山本さんと並んで腰を下ろしながら尋ねる。
「もちろん」
山本さんは綿の生地に包まれたふわふわの乳袋を揺らして答えた。
「ソトミチくんがエッチしたくなったら、私は今すぐにでもするけどね」
怪しげなウインクを飛ばして鞄から勉強道具を取り出す山本さん。
このエッチに対する明け透けな欲望の表し方は、美優との関係が深まった今でさえ、悔しいことにとても望ましく思えてしまう。
女の子はエッチであるだけいいのだ。
美優もどうせエッチな女の子であることはバレているのだから、山本さんみたいにもっと積極的に性欲をぶつけてくれたらいいのに。
そういえばエロエロモードの美優にはしばらく会ってないな。
セックスをするようになったら美優の性本能が暴走することさえ懸念していたのに。
テンションが上がってデレるのは行為の最中と朝のイチャイチャのときだけだ。
なにが足りていないのだろう。
これは真剣に悩むべき事案ではないのか。
「なにか心配事?」
「ああいや、なんでもない。始めようか」
注文を取りに来た店員にドリンクとつまみを頼んで、早速二人で勉強をすることに。
山本さんはぴったりと俺にひっついてきてもうラブラブ状態だった。
柔らかい人肌を押し付けられるほどに俺の渇いた何かが満たされていく。
美優とのイチャラブ成分はまだ足りていなかったようだな。
帰ったら美優にエロエロモードでご奉仕してもらおう。
「こんなに堂々と勉強してていいのか?」
「平気平気。店長も了承済みだから」
どうやら山本さんはこの店の店長とも面識があるらしく、開店当初にヘルプとして働いたときの誼みで予約時の席選びも優遇してもらえるようになったらしい。
SNSで噂が拡散されるこの時代、山本さんが働くだけでも広告効果は絶大だろうからな。
「まずは世界史のお勉強からね」
注文した料理が一式届いたところで、俺たちは勉強を始めた。
まず勉強資料として取り出したのは山本さん特製のノート。
学校での次の定期試験範囲に重点を置いた内容になっていたものの、授業では教わらないような補足情報でノートのほとんどが埋め尽くされている。
「地歴はマルっと覚えちゃったほうが楽だからね」
思っていた以上に本格的な勉強が始まって、動揺しつつも俺は山本さんの講義を受けることに。
参考書でインプットをしてから問題集でアウトプットを繰り返す、それ自体は一般的な勉強方法と変わらなかったが、点数を気にせず自分が答えを出すまでの考えを正確に訂正してもらえるのは異様なほど身の入りがよかった。
「このノートって山本さんが勉強するときに使ってたものなのか?」
「私のじゃなくて友達用だよ。個人レッスンは見返りも多くてさー」
さすがは受験勉強の水準などとうに超えている山本さん。
そういや山本さんが普通の女子高生として過ごしているのだって昔の悩みが影響してたんだよな。
俺や美優と出会って、少しは人生観に変化を与えられただろうか。
それからも至って真面目な山本さんと勉強を続けて、次は数学の時間に。
エッチありきの勉強会だなどと考えていた自分が情けなく思えるほど山本さんは丁寧に教えてくれた。
「数式ってどうにも苦手なんだよな」
「すぐに慣れる方法で教えるから大丈夫だよ。公式を覚えればいいだけのと成り立ちから知っとくのがいいのと分けてあるから」
あらゆる教科が暗記だけで済んでしまう気がする山本さんだったが、俺のような勉強初心者にもわかりやすく解説してくれてありがたい限りだった。
これまた持参してくれたノートに数学知識が順序立てて記されている。
「微積とかでよく見る数式ってね、最終的には公式を組み合わせて作った方程式を現実の値が代入できる形に変換するのが主な使い道で……」
「いきなりハードルが上がりすぎて脳が拒絶反応が起こしてるんだが」
「いいからいいから、ここの参考情報を読みながら気楽に聞き流して」
しかしてこの参考情報というものがなぜか学習の吸収速度を高めてくれて、山本先生による勉強効率の高さはわずか一時間ほどで実感となった。
世の中こうしたサービスにこそ人はお金を払うんだな。
今や数学の壁でもある微積やベクトルの分野でさえ怖くはない。
無料で授業を受けさせてもらっていることが申し訳なくなってきた。
「そろそろ休憩しよっか」
空になったドリンクのおかわりとランチを注文して、勉強道具を片付けた。
カフェのランチは見栄えも良くて豪華な食事をした気分になる。
実際に値段も高めなんだけれども。
「山本さんって普段は何をして過ごしてるの?」
これまであまり聞いたことのなかった山本さんのプライベートを深堀りしてみる。
ピザとパスタが運ばれてきたので、答えに悩んでいる山本さんを待ちつつそれぞれを半分に取り分けた。
「休日はこの辺に遊びに来るのが多いかな。友達に呼ばれることもあれば、一人で散策してるだけのときもあるよ。道を歩いてるとナンパとかスカウトがしつこいから、デパートとかカフェに落ち着いちゃうんだけどね」
「声を掛けられたりって今でもあるんだな」
「規制でかなり減ったんだけどねー。名目を変えて近づいてくる人がいるんだよ」
これまで山本さんとは親密すぎるほどの日々を過ごしてきたのに、俺はどれぐらいの頻度で山本さんが外出するのかも知らなかった。
学校で会った日を除けば、俺は山本さんと一緒に居てエッチをしなかった日のほうが少ないぐらいだ。
なんて不健全な間柄なのだろうか。
しかしこう、いざカップルらしいことをしてみると、清純なお付き合いをしている二人に見えなくもないのではないか。
「一日家にいることもあるのか?」
「結構あるよ。最近は、特にね」
山本さんはうっとりとした目を俺に向けて続ける。
「ひとりエッチの時間が増えちゃったから……」
赤裸々に告白する山本さん。
徐々に濃厚になっていく淫靡な空気。
困ったことに俺の心中では不安より期待が上回っていた。
「それは、大変だな」
俺は危険な会話をどうにか躱しつつ食事を済ませる。
テーブルが片付いてからは再び勉強道具を広げた。
「ものすごく今更なんだけどさ、山本さんって学校では男性経験がないことになってるんだよな」
「はっきりとどうって答えたことはないけどね。友達にも興味がないか聞かれてるよ」
「なんて答えてるんだ?」
「理想の人を探してる最中だよって、答えてる」
山本さんはそう口にしながら、俺と手を重ねて寄りかかってきた。
この乙女らしくいじらしい姿が如何とも度し難い。
こんな美少女を相手に、男として心の奥底で歓びを感じてしまうのは罪だろうか。
「学校が始まったら気をつけたほうがいいことあるかな」
「大丈夫。ソトミチくんとの噂が回ったときもそうなんだけどさ、噂が流れるのだけはみんな慣れてるから、逆に信じないの」
だから俺の噂も否定されてすぐ誰も気にしなくなったのか。
駅で待ち合わせしてるときも知り合いに鉢合わせたらどうしようかと思ったけど、山本さんは『誰にでも仲良くしてくれる清楚で可愛い女の子』だから、さして大事になることもないようだ。
「だから、安心してね」
俺の腕を掴んで身を寄せ、山本さんはこれでもかと乳袋を押し付けてきて、その丸みが俺の腕で押し潰されていく様を見せつけてくる。
それは美優が言っていた通り、単に性欲溜まってムラムラしているからだと思っていたが。
「あ、あの、山本さん」
それは俺の注意不足だった。
よくよく確認してみると、山本さんはシャツの下にブラジャーしか着けていなかったのだ。
雨の日に透ける可能性すらあるのに大胆な格好。
思わず喉が鳴ってしまった。
「と、友達とは、他にどんな遊びをするの?」
俺が山本さんとエッチをしたところで責める者など誰もいないのに、美優という恋人がいる手前、誘惑に容易く屈服してしまうわけにもいかず与太話で気を紛らわす。
「遊びもするけど、この夏は彼氏作りの協力が多かったかな」
「彼氏作りの協力?」
「二年生の夏だから、みんな思い出も欲しいし、エッチなこともしたくなるんだよ」
山本さんはコソコソ話でそんな実情を教えてくれた。
年頃を考えれば盛りの時期だからな。
しかし、山本さんほどの美人がいたのでは協力にならないのでは。
「私ぐらいの高嶺の花になると、二番手を選ばせる方法もあるんだよ」
海に行けば手頃な男集団もいるし、交流会と称して行われる合コンにお呼ばれすることもある。
そこで、山本さんの友達が彼氏にしたい男に対して「山本さんは隣の男を狙っている」という偽情報を流すのが効くようなのだ。
酷な話だが、山本さんが居ることによって、その場の女性の評価が『山本さんかそれ以外か』に平均化されるらしい。
そんな状況で山本さんが別の男とお喋りを続けていると『友人には彼女ができるかもしれない』という焦りに駆られてアプローチを受け入れやすくなるという。
「そんなに上手くいくのか」
「飢えてるのは男の子も同じなんだよ」
山本さんの手がさりげなく俺の膝に伸びてくる。
これまで山本さんの誘惑によってボディーブローのように蓄積されてきた性欲が、俺のペニスの芯を着実に硬くしていた。
「そ、そっか、勉強になったよ。じゃあ、試験勉強のほうも再開しようか」
スキンシップが濃厚になったきたことを咎めようとも思ったが、勝てる気がしなかったので逃げの一手を選択することに。
「んっふふ」
しかし、もう勉強などするつもりもなさそうな山本さん。
「ちなみにね、そんな高嶺の花が本当に好きなのは、すぐ隣にいる男の子なんだよ」
山本さんは吐息で耳朶をくすぐるように答えてノートを遠ざけた。
待ちに待ったエロ教師の登場に、肉棒は悦び勇んでムクムクしている。
「勉強よりもエッチしたい人ー?」
密着状態なのをいいことに、山本さんが小声で煽ってくる。
エッチをしないと気が済まなそうな女教師の色声に愚息の挙手行動が止められない。
「ソトミチくんのムスコさんは正直ですね。先生は大賛成なので、さっそくエッチしちゃいます」
山本先生は何の躊躇いもなく俺のズボンのチャックを開けてペニスを触ってきた。
すっかり大きくなった窮屈そうな竿を、パンツの中で指を絡めて刺激してくる。
「や、山本さん、こんな飲食店で……」
「ソトミチくんだって好きなクセに。美優ちゃんも許可してるんでしょ」
山本さんはシャツのボタンを一つ開けて、その隙間から見えるブラジャーをアピールしてくる。
それはフロントホックのビキニタイプで、横から手を入れれば簡単に乳首に触れてしまう、まさにエッチをするための下着だった。
そんな準備のいいエロ下着に俺の手が止められるわけもなく、ペニスと同じように固くなった乳首を指先でこねると、山本さんは歓喜の吐息を漏らして身を震わせた。
「んっ……あんっ……!」
俺は無意識のうちに山本さんのおっぱいを揉みしだいていた。
店内であるというのに、むしろ店内であるからこそ、俺は山本さんの性感を刺激するように強く鷲掴みにする。
山本さんの言う通り、俺はこういう場所で山本さんとエッチするのが好きだ。
美優の許可も出ているから遠慮する必要もない。
「ソトミチくんもいっぱい気持ちよくなって」
山本さんはトランクス隙間を全開にして俺の肉棒を外に出した。
元気よく上向きに屹立するそれを、山本さんは嬉しそうに撫で撫でして、それから優しく俺のペニスを握り込む。
「私の耳がいいのは、もう知ってるよね」
店員が来る音や客が立ち上がる音を、山本さんは感知することができる。
だから、これだけ大胆なことをしていても、周囲を意識して気が散ることがない。
特殊な性癖を持っている人からすればスリルが足りないと思われるかもしれないが、俺と山本さんはあくまでもノーマル。
したくなった場所が店内だったからここでしているだけに過ぎないんだ。
「山本さん、ちょっとエッチすぎる気が……」
そうは言いつつも俺は山本さんのシャツのボタンをもう一つ開けて、ブラジャーからそのたわわをポロリと外に出した。
これで俺も山本さんも同条件。
山本さんは俺のペニスをずっとコキ続けている。
「ソトミチくんだって、すごくエッチだよ」
山本さんは自らのスカートに手を入れて、紐とレースだけで作られたパンティをスルリと床に下ろした。
それから犬のように浅い呼吸で興奮を吐き出して、山本さんは自ら股ぐらの愛液を掬い取ってペニスに塗りたくる。
滑りの良くなった竿は、神経が研ぎ澄まされていることもあって、店内に響き渡っているのかと思うほどグチュグチュと音が鳴っている。
そんな挑発的な行為が俺の対抗心を燃やしていた。
美優との抑圧されたセックスとは違い、思う存分に欲望を開放できることを知った俺の性欲が、迷わずその手を山本さんのスカートへと潜り込ませた。
山本さんのアソコは美優と変わらないぐらいに濡れていて、指を挿れて腹部に向けて軽く関節を曲げると、グジュッと卑猥な水音が鳴った。
「ああっ……だめ、ソトミチくん……そんなにおっきい音……」
俺のペニスを扱く山本さんは、感覚が鋭いからこそ周囲にバレないギリギリの音に抑えることができるが、そんなことがわかるはずもない俺は山本さんの熱い膣内をぐちゃぐちゃとかき混ぜるだけ。
もはや山本さんに清楚さなど形すら残っておらず、ただエロい女の子がおっぱいを揉ませながら俺のペニスを手コキしているだけだった。
「ん、んんっ……あっ──!!」
山本さんも思わず嬌声を漏らして、堪えることができなかったその羞恥心に顔を真っ赤にしていた。
喉を絞ってどうにか紛れるぐらいの声に抑えたものの、異変を感じ取った店員が階段を上って様子を見回りに来る。
「お客さま……お水のおかわりはいかがでしょうか……?」
やってきた店員に、俺たちは苦笑いをしておかわりを断ると、店員は軽く会釈をして次のテーブルに向かった。
俺と山本さんは直前で服を着直していて、勃起したままのペニスは山本さんの肩掛けで隠していたのでどうにか事なきを得ることができたのだ。
「……中途半端に終わっちゃったね」
山本さんは憤慨するでもなく、さみしげな表情をしながらも目をキラキラと輝かせていた。
よっぽど先ほどのプレイが楽しかったらしい。
たぶんこの人は変態なんだと思う。
「お勉強会の場所、変える?」
山本さんにそう提案されて、真っ先に思い浮かんだのがラブホテルで、それは山本さんも同じようだった。
カフェで会計を済ませた俺たちは、次の勉強場所としてラブホテルに行くことに。
まさか恋人とラブホテルに行ったことも無いうちに二度目の来館になるとは、俺もつくづく奇妙な人生を歩んでいるよな。
「ここが、友達と恋バナするたびに話題に上がる、ベスト・オブ・ラブホテルだよ」
その建物は予め行くことが決まっていたかのように近くにあった。
緑色の看板が掲げられた入口には、休憩と宿泊の料金が明記されていて、それは間違いなくセックスをするためのホテルだった。
「それって学校の奴らも頻繁に使ってるってことじゃ」
「友達の予定は探っておいたから大丈夫だよ。そのまた知り合いが来たら、そのときはそのときで」
ラブホテルの部屋の良さはエントランスの綺麗さやネットの写真だけで判別するのが難しい。
入ってみて初めて感じる、どことなく漂う“古さ”が場の雰囲気を損ねてしまうからだ。
俺と来る初めてのラブホテルがそんな中途半端な部屋だと嫌だったようで、山本さんは多少のリスクも承知でここを選んだようだ。
一回だけとはいえ経験があるおかげで部屋選びや料金の前払いに戸惑うことなく、俺は鍵を受け取って山本さんとエレベーターに乗り込んだ。
「美優ちゃんとは来たことあるの?」
「ないよ。考えてみると、妹とラブホテルに来るっていうのもな」
「そうかな。私はいいと思うけど」
駄弁りながら二重の扉を開けて、俺と山本さんはソファーの近くに荷物を下ろす。
「ラブホテルで『お兄ちゃん』って呼んでもらえるの、背徳的でちょっと羨ましい」
山本さんが冗談めかしく、しかし艷っぽい声でそう呼んできて、おあずけを食らっていた俺の肉棒が急速に肥大化していく。
たしかにラブホテルに来てのお兄ちゃん呼びはかなり股間に来るものがあるな。
もし制服を持ち込めるのならば、あのクイーンサイズのベッドに中学校の制服を着た妹を座らせて、「お兄ちゃん」と呼ばせてみたい。
制服を着たままラブホでセックスなんて美優が許さないだろうけど。
想像するだけで、射精してしまいそうだ。
「さっそく反応しちゃってるね」
山本さんは問答無用でズボンの腰から手を入れてきて、俺のペニスを握ると前後に動かし始めた。
「や、やばいって……今そんなことされたら……!」
「ソトミチくんってば、美優ちゃんのこと考えるとすぐイっちゃうんだから。そんなので普段のエッチは困らないのかな」
山本さんは意地悪く口角を上げて、俺のズボンをパンツごと脱がすと、しゃがみ込んでペニスにむしゃぶりついてきた。
「んっ……んちゅっ……ちゅぶじゅ……んぐっ……!」
まるで空腹でも満たすかのように、山本さんは俺のペニスを夢中で咥え込んだ。
グボグボと下品な音を立てて、その清楚な装いとは正反対の淫猥な目を俺に向けてくる。
「ああっ……あああっ……山本さん……だめっだ……!」
カフェで散々焦らされた上に、美優のことを考えているところへ不意打ちにフェラなんてされたら、射精するまでは一瞬だった。
しかし、
「んふっ。だーめ」
山本さんは数回ほど口を往復したところで、すぐにペニスを解放してしまった。
急にやってきた冷感に、発射直前だった肉棒も上向きの角度を落としていく。
「何のためにここに来たのか忘れちゃったのかな?」
こんな状況で、山本さんが次に取った行動は勉強道具をテーブルに並べることだった。
俺は下半身裸のまま、性欲の行き場を失った勃起を持て余して立ち尽くしているだけ。
「勉強したら復習しないと。はい、ここ座って」
山本さんは俺の手を取って、パンツを穿き直す暇も与えず、陰部を露出させた俺をソファーに座らせた。
当人は俺の股の間にしゃがみ込んで俺を見上げている。
上目遣いになるといつにも増して可愛い。
清楚さも割増だ。
そんな美少女の巨乳で膨らんだシャツが股間のすぐ近くにあるというだけでペニスが脈打ってしまう。
「いま広げてあるページの問題、大問一つ五分で解いてね」
そう言って山本さんは俺の肉棒を摩り、顔を近づける。
右手に握られていたのはスマホのタイマーだった。
「山本さん、それはまずいかも」
「ん? どうして?」
「たぶん、我慢できない」
俺が小声で白状すると、山本さんはニヤけた表情を奥に隠してぷっくりと怒り顔をした。
「美優ちゃんと同じようなことしたの? ソトミチくんたちってエロカップルだよね」
自らの淫猥さを鑑みないお説教に、しかし返す言葉もなくて俺は黙ってしまう。
すると山本さんは諦めたように嘆息して眉を下げた。
「ソトミチくんが射精するの我慢できそうにないから、ぺろぺろするだけにするね」
山本さんは舌を伸ばして、俺の玉袋や竿を丁寧に舐り始める。
「あっ……ああっ……き、気持ちいい……」
たしかに舐められるだけであれば射精はしないが、これはとんでもない生殺しだ。
それでも山本さんは容赦なくタイマーをスタートさせて、ペンを持つように俺を催促する。
「五分以内に解けるまで、ずっとこうだからね」
問答無用でフェラを始める山本さん。
ひと舐めされるだけで勃起が引き締まり、背筋までもが真っ直ぐに伸びる。
これほどの快感にいつまでも侵されていてはいつか脳がおかしくなってしまう。
こうなっては早く問題を解いてしまうしかない。
(大丈夫、見たことのある式変形が二つあるだけだ……これぐらいなら……ッ)
数式を視認して、二秒後には文字が霞んでいく。
ラブホテルのテーブルは背が低いため、フェラをされている様子が目下に映ってしまう。
女の子のフェラをするときの顔は不思議なことに幼く見えるもので、その表情がシャツを基調とした服装と相まって清楚さを強調するのだ。
しかし、ここはラブホテルで、行われている密事は卑猥そのもの。
山本さんは精子を貪るように玉袋を舐めて、我慢汁が溢れ出すと、その先端を美味しそうに舐めとっていく。
「山本さん、やっぱムリ。頭が回らないよ」
「んっ……もう、ソトミチくん……私も早く咥えたいんだから……頑張って……ちゅっ、へろっ……」
変換公式を頭から引っ張り出そうとしても、ペニスの裏筋を山本さんの舌が滑るたびに脳が痺れ、下半身に意識が集中してしまう。
開始から三分もしないうちに、俺の精神は射精欲に囚われていた。
「せめて、一回出させてくれ……カフェのときからもう我慢しっぱなしで……」
「知ってるよ。先っぽから出てくるの舐めてるだけですっごい濃い味がするもん」
山本さんは切ない視線を向けて舌をいっぱいに伸ばし、俺のペニスをざらざらとした表面全体で舐め上げた。
「久しぶりのソトミチくんの精液の味……早く飲みたいなぁ……」
自らの欲望を垂れ流す山本さんのエロさが、股間に響いて堪らない。
大きく開けたその口内に、これまで溜め込んだ精液をどっぷりと注ぎ込みたくなってくる。
「五分経っちゃった。問題は解けた?」
「まだ、何も……」
「そっかぁ。なら、やり直しだね」
それからも山本さんのフェラ教育は容赦がなかった。
三回目ぐらいからは俺もその環境に適応してきて、なんとか途中式を書けるぐらいにはなったが、どうしても記憶に頼らなければならない部分は脳が働かずに先に進めなくなってしまう。
頭で考えているようでは間に合わない。
視認した数式に対して反射的に変換式を導けるようにならなければ、山本さんのフェラに耐えながら問題を解くことなど到底不可能だ。
(この形は一度式を展開して……ここの乗数を下ろして……あっ……あああっ、ダメだッ……い、イク、イクッ……!)
最初は優しく舐めるだけだった山本さんも、時間が経つにつれて我慢ならなくなったのか、俺がイかないギリギリまで亀頭をしゃぶるようになった。
完全に射精したとは言えないまでも、本気の限界で寸止めされたときは我慢汁とは呼べない量の精液が漏れて、それを飲む山本さんの興奮もピークに達してしまったらしい。
そうして六回目を数えたところで、ようやく時間内に答えを出し切ることに成功した。
山本さんは名残惜しそうに俺のペニスから口を離して立ち上がると、ソファーに座る俺の膝を跨いできて、その途中に一瞬だけ解答に目を通した。
「よくできたね、ソトミチくん」
俺の頭を撫でておっぱいに顔を埋めさせて、それから小さな声で山本さんが囁く。
「二問目の最後のとこの係数だけ、間違ってる、気がするかな……」
あえて確信のない言葉を使って、後ろを振り返ろうとしない山本さん。
それが気づいていないフリだということにはすぐに気づいて、俺が指摘のあったミスだけを直すと、山本さんは待ってましたと丸を付けてくれた。
「ちゃんと解けて偉いね、ソトミチくん。それじゃあ、ご褒美の時間だよ」
もはやそれがどっちにとってのご褒美だったのかはわからない。
山本さんは一人でどんどんと話を進めて、そんなに我慢ならなかったのなら素直にエッチをすればよかったのに、今度こそ本当に飢えた獣のように俺の肉棒にかぶりついてきた。
「ぐちゅ、ちゅぶっ……はぁっ……ソトミチくんの……かたいのすきぃ……んっ……んぐっ……じゅるっ!!」
「あ、あああっ……山本さん……もうほんと保たない……!!」
「んっちゅ、んむっ……いいよ……イッて……いっぱい出して……!!」
俺の腰に両手を回して、絶対に逃さないとばかりに俺の股間に張り付くと、根本まで口内に入れて激しく舌を波打たせながら吸い上げてくる。
山本さんの性欲全開のフェラに数秒と我慢できるはずもなく、金玉から精液が上ってくる感覚と同時にペニスは最高硬度となり、尿道にゼリーが通ったような感触が下腹部に走った。
「はぁっ……ああうっ……出るよ山本さん…………出るッ……!!」
ドロッとした音が体内から響いてきて、俺は山本さんの口の中で排尿に近い射精をした。
喉奥にまで遠慮なく吐き出された精液は、山本さんが嗚咽を隠しきれないほどの液量とニオイを与えて、涙目の美少女の口からその凶悪な性器を引き抜くと白い液体が舌の根を覆い隠すほど溜まっていた。
「うっ……うううっ……」
美優とセックスをするようになってから更に濃くなった精液は、もはや山本さんを以てしてもすんなりと飲み込むことはできないようだった。
それでも山本さんは噛み切るように精液の粘性を減らして、小刻みな呼吸でタイミングを測ってから、ひと思いに精液溜まりを胃に流し込んだ。
「ぷはぁ……このすっごい不味いの……ソトミチくんとエッチしたって感じがして……好き……」
疲弊した様子の山本さんは俺の膝にぐったり倒れ込んできた。
その顔のすぐ横にはまだ勃起したままのペニスが天を衝いている。
「どうしたの、こんなに元気で。最近してなかったの?」
「そんなことはないんだけどな。昨日の午後から出してないぐらいで」
きっと山本さんが清楚な格好でエロいことをするからだ。
美優の普段着に近い服装であるがために、ただでさえ美優と似ている山本さんに俺の本能が反応してしまっている。
「もしかして、まだ出せそう?」
「出せるかと聞かれると、だいぶ出せそう」
自分でも不思議なぐらいまだ射精できそうだった。
そして、俺の答えを聞いた山本さんは、目を輝かせてソファーに飛び乗ってきた。
「ならもっとエッチしよ、ソトミチくん」
疲れなどどこへ行ったやら、勉強会に戻る気もさらさら無さそうで、山本さんは俺と腰を近づけてソファーにペタリと座り込んだ。
すると、俺のペニスに付着した唾液とは異なる、明らかにぬるぬるした液体に、竿を舐められるような感覚があった。
スカートに覆われているから目で見て確かめることはできないが、それがパンツ越しの感触とは思えなかった。
「パンツはいてなかったの?」
「カフェで脱いだときからね。ソトミチくんもムラムラしてたから、挿れたいときに挿れられるようにしておきたくて……」
巨乳をたゆんと揺らして恥ずかしげに語る山本さんは、そんな最中でも俺のペニスに割れ目を擦りつけていた。
男の興奮は視覚情報からくるものだと云われているが、視認できないところでエロいことをされているというのも、なかなかに掻き立てられるものがある。
「な、生だと、さすがに危ないかな」
あらゆる男を一瞬で果てさせる名器に、生で突っ込んでみたい気持ちは正直なところあった。
このまま腰を深くに沈めて蜜口に亀頭をあてがい、挿入して、中出ししたい感情が嘘をつけないほど巨大に渦巻いている。
それでも俺にはきちんとした彼女がいるから、この激情も区別しなくてはならない。
生でのセックスが禁止だと明言されたわけではないけど、まだ美優ともしていないうちに、他の女性と生セックスするのはダメだと俺は思った。
「赤ちゃんは今はできないから、その点は大丈夫なんだけどね」
山本さんからのまさかの返答。
いや、カラオケでエッチしたときも、似たようなことを言っていたか。
「ピルを飲んでるのか」
「ソトミチくんとエッチするための条件だからね。中出しし放題だよ」
山本さんはスカートの裾を両手の指でしとやかに持ち上げる。
俺だってセックスがしたい気持ちがないわけではないが、自分から始めるのは美優に対して申し訳なさも感じる。
「そこの、ティッシュ箱の上に、ゴムが置いてあるから。まずはそれを付けようか」
せめてコンドームを付けるところまではと、俺の方から進めることにした。
そうすればその流れのまま、どっちつかずでセックスを初められるだろう。
しかし、山本さんはソファーから立ち上がろうとせず、悩ましく秘所を肉棒に擦りつけているだけだった。
「んーと……その……ソトミチくんに無理やり襲って貰えると……助かるんだけど……」
エッチが大好きなはずの山本さんが、なぜかセックスになると受け身になる。
レイプ願望もないわけではないのだろうが、最近のやり取りを思い返してみると、どうやら意図的にセックスを避けているようだ。
「本番ができない理由があるのか?」
態度が露骨だったので直球で尋ねることにした。
こうなることは山本さんもわかっていたようで、驚く様子もなく首を縦に振る。
「美優に禁止されてるのかな。俺は聞いてないんだけど」
もし本番禁止を言い渡しているなら美優がそれを教えてくれてもいいはず。
だから、正解とは遠いだろうと思っていると、山本さんは肯定とも否定とも取れないような首の振り方をした。
「禁止は、されてない……けど、私からは、しにくくて……今となっては、有耶無耶な約束なんだけど……」
山本さんのこの微妙なニュアンス。
一方的に自分が誓っているだけだから破ろうと思えば破れるということか。
いまこうしてお互いの性器を重ねているこの状況で、山本さんが勢いで挿入してしまえば、結果的に「してしまった」で済んでしまうのに、それを選ぶ気もなさそうだ。
少なくとも美優が関係していることはわかった。
だとしたら、昨日美優が言っていた手紙が関係している可能性もある。
その手紙があるせいで、山本さんは俺とイチャイチャするほど、どんどん恋を諦めざるを得なくなっていくようだが。
まさかセックスを禁止にすることによって、恋人との境界線をわからせようとでもしているのか。
それなら山本さんがあの手紙を失恋レターだと称した理由もわかるけど。
どうにもしっくりこない。
もう一つぐらい確信的な理由があってもいいはず。
「無理やり犯すのは……申し訳ないけど、難しいとして。……山本さんはどうしたい?」
俺も由佳を相手にレイプまがいのことをした経験はあるが、あれは美優の命令でやったことだし、もし自分から犯したくなることがあるとしても、それは美優を相手に理性が利かなくなったときぐらいなものだろう。
「中に……精液を出されてみたいな……」
どうやら山本さんはまだ中出しをされた経験が無いらしい。
男からすれば貴重な初めては残しておいたほうがよいと考えるものだが、女の子にとっては本気で好きな人にできるだけ早く捧げておきたいもののようだ。
しかし、中出しをするのは俺も初めての経験。
だからその相手は美優にしておきたいし、それは山本さんも理解している。
「そしたら、こういうのはどうかな?」
山本さんはソファーで対面座りをしたまま、ゆさゆさと腰を前後に動かし始めた。
これまでの裏筋を撫でるようなものとは違って、陰唇の内側で肉棒を挟み込み、その全体の面を使って竿の根元から先まで滑らせていく。
「こ、これって……」
美優と素股に近いことをしたことはあるし、背面から擦り付けるだけなら以前のカラオケエッチで山本さんともした。
しかし、こうしてきちんと女の子側に動いてしてもらった素股はこれが初めて。
ピルを飲んでもらっているとはいえ生で性器を触れ合わせているからドキドキする。
「んっ……あっ……これだとやっぱり……ソトミチくんの硬いのいっぱい感じる……」
腰を後ろにグラインドさせるとき、クリトリスがペニスに擦れるため、女の子側にも少なからず快感が伝わる。
そうでなくとも秘部にイチモツが当たるだけで興奮は高まるのだ。
だからこそ、美優が進んで素股をしてくれることはなかった。
俺のペニスを生で感じたい山本さんにとっては、むしろもうこれしかない。
「でも……中に出すのは……」
素股であれば「生セックスはしなかった」と言い訳をすることはできても、最後に精液を膣内に流し込んでしまったら中出しをしたことになるので意味がない。
「だから、あの、後ろに……」
山本さんの求めていたもの。
それは俺にアナルへ射精してもらうことだった。
「前に、ちょっとした事故で、入っちゃったことがあったでしょ? あれ、すごく良くて」
カラオケエッチのときに誤って山本さんのお尻の穴に精液を出してしまったことがあった。
今回はそれを意図的に、膣内への中出しの代わりとしてしてほしいと言うのだ。
「カフェを出るときに、キレイにしておいたから。入り口のとこも、ひとりエッチのときに、ちょっとずつほぐしてあるし」
山本さんは妄想の中で何度も俺にアナルへ射精してもらうことを考えていた。
それがこうしてラブホテルに来ることになって、どうしても実現させたくなったらしい。
「わかった、イキたくなったら、後ろの穴に出すからな」
山本さんが提示してくれた妥協案。
これぐらい乗ってあげられなくては男ではない。
俺の了承を得てすぐ、山本さんは激しく腰を動かし始めた。
「ああんっ……あっ……ソトミチくん……!」
素股とは一方的にご奉仕するもの。
それでいて同時に山本さん自身も気持ちよくなれる。
だからこそこのプレイは山本さんにとって相性がいい。
二人はお互いに下着を脱いだのみで服を着たまま。
とめどなく愛液が継ぎ足される陰裂に、スカートの内側からはぴちゃぴちゃと水を打つ音がくぐもって響いてくる。
その音も感触も、膣内に挿入しているのと変わらないほどに芳醇で、それを包んでいるのがガワが清楚な美少女であるがゆえに、卑猥さが鋭く際立っている。
これまではさり気なく揺らすだけだった胸も、たぷんたぷんと俺の目の前で大きく上下して、催眠術のように視線を釘付けにしていた。
「あっ……ああっ……!」
性感帯は快感に侵され、視覚からは本能を揺さぶられ、射精したばかりの俺のペニスはもう発射準備を再開していた。
胸部の生肌を暴いてしまいたい感情と、清楚なままの体に犯されたい感情がせめぎ合って、混乱した両手は腕を上げることすらできずにいる。
山本さんのやりたいようにやられているだけ。
しかし、それがお互いにとってちょうどよく、結局は俺が情けなく一方的にやられているのが、俺たち二人にとっての理想のセックスだった。
「そ、ソトミチ、くん……あんっ……だ、めっ……イッちゃ……う……ッ!」
体が小刻みに震え始め、それでも体を動かすことはやめられない。
こんなにも早くイクなんて、山本さんも相当に性欲が溜まっていたようだ。
俺が相手でないと得られない快感だからこそ、山本さんは貪欲に求めてくる。
視界の端で揺れる黒髪。
大波のように眼前に押し寄せてくる巨乳。
シャツに包まれたその清純な装いに、俺の脳が何かの錯覚を起して、痺れたようにぼやけていった。
「山本さん……俺も……もう……!!」
いつものように射精感が湧き上がってきたわけではなかった。
だが、感覚的にそれを悟っていた。
俺の脳が山本さんを美優と同種の存在だと認識するために必要な情報は揃っていて、あとはトリガーを引くだけの状態になっている。
「いいよ……出して……!」
そして、それを理解していたかのように、山本さんは俺の耳もとにその言葉を放った。
かつて俺が射精するために美優に何度も命令された言葉。
それは俺にとって、もはや射精をするためのスイッチのようなものになっていた。
「山本さん……イクよ……中に、出すよ……!!」
山本さんの腰が前に来た瞬間を狙って両腕で抱え込み、俺は山本さんのアナルへと勃起したペニスを挿入した。
「ああっ……ああああっ……きひゃっ……あッッ!!」
そこは膣に挿入するより硬く、抵抗する力が強かった。
それでも、普段の鍛錬オナニーの積み重ねで力みを抑えてくれた山本さんのアナルは、ふわりとした柔らかさに満ちて俺のペニスを受け入れてくれた。
「出るッ……出る……!!」
ゴムに覆われていない開放的な射精は、物理的な感触よりも、体内に精液を吐き出している事実により俺の脳内に快楽物質を満たしていた。
「ソトミチくん……射精してる……私の中で……あっ……んんんっ……!!」
それは山本さんも同じだったようで、先の方だけとはいえアナルに挿入された事実に興奮が高まり、まるで初めてのアナルセックスで絶頂したように山本さんはイキ果てた。
やがて射精が落ち着くと、山本さんはふやけた顔のまま腰を上げて、アナルに挿入されていたペニスを抜いた。
「ソトミチくんに、中出ししてもらっちゃった……」
着衣だったのでエッチさえ終わってしまえば見た目上は元通りなのだが、そのフレアスカートの中で俺が出した精液が溜められているのだと思うと、余韻とは呼べないほど男としての歓びが昂ってくる。
「山本さんは満足できた?」
生のペニスを挿れられた嬉しさで山本さんはイッたみたいだが、あれだけ濡れていた膣にはなんの刺激も与えられていない。
美優には手でするのも慣れてきたし、その経験を山本さんに活かしてあげたかった。
「あっ、ちょっ……まって……今は……ダメッ……!」
俺がスカートに手を突っ込んで蜜穴に指を挿れると、山本さんは想像していた以上の感度でビクンと体を跳ねさせた。
イッた直後だから敏感になっているのかもしれないと、そんな山本さんが可愛く思えて、俺はカフェでしたときのように二本の指を感度の良い肉へ押し込んだ。
「んああっ……ああっ……! だ、だめぇっ……!」
これまでにないぐらいか弱く喘ぐ山本さんに、俺も調子に乗って指をグチュグチュと動かしてしまう。
肉棒は再び血液を充満させて、それでも膣内に指を入れているだけで俺の性欲は満たされていった。
「あんっ、あっ、せっかくソトミチくんに、出してもらったのに……漏れっ……ちゃう……ん、ああっ……!」
中出しされた精液が流れてしまわないよう、お尻に力を入れているせいで、膣から伝わる快感に身構えることができず性感スポットの刺激を直に受けてしまっているらしい。
山本さんのことを想えばやめてあげるべきだとも考えたが、俺の本能がとにかく欲望をぶつけろと背中を押し続けていた。
「ひゃっ……もう……イッちゃう……イッ……く──ッ!!」
二度目の絶頂は一回では収まりきらず、俺が指を動かし続けるだけ山本さんはイッた。
俺の脳を支配していたのは、山本さんが精液を漏らすまでイカせてしまえという悪戯心で、少女らしく嬌声を叫ぶ山本さんの体力が尽きるまで愛撫は止まらなかった。
やがては山本さんの口から、か細く「あっ……」と息を漏らすような声がもれて、スカートの中から白い液体が床に垂れていく。
「ううっ……ソトミチくん、ひどい……」
「ご、ごめん。つい気持ちが入っちゃって」
山本さんはおぼつかない足で床に立って、恥ずかしそうにキョロキョロとティッシュの在り処を探す。
自分で漏らしてしまったものは自分で処理したいらしく、俺はできるだけ関わらないように服を着直していた。
「ソトミチくん、エッチなんだから」
最後には笑顔になった山本さんは、なんだかんだで楽しくエッチさえできればいい健康優良児なので、今日の勉強会──勉強会と呼んでいいのかは定かでないが──は大満足の結果だったようだ。
それからもまだ休憩時間は残っていたため、まるっきり勉強する気もなくなった俺たちはベッドで眠るでもなく添い寝をしてまったりしていた。
山本さんのような美人の横で寝ていると、それだけで男としては幸せな気分になる。
得したというと嫌味な言い方にはなるが、男としてこれほどの幸福は他に考え難く、むしろ、美優がいるから山本さんは選べないと気を保ち続けていられる俺は、実は偉いのではないだろうか。
「私も早く満足しないとなー」
隣で寝ている山本さんが天井に向けて呟く。
俺と山本さんにとって、この時間は美優から与えられた猶予期間だ。
フッて必要以上に傷つけてしまった山本さんに対する義理として、せめて俺への恋が満足するまでにと用意されているラブラブOKの譲歩。
そういう風にしか考えられない状況だから山本さんは俺とイチャイチャすることに心を決めた。
「ねえ、明日はデートしない?」
俺を見つめて山本さんが提案する。
今日のような勉強会の建前ではなく、ごく普通にどこかへ出かけて、一緒の時間を楽しもうということだ。
「明日か」
美優も生理の時期のようだし、遥との仕事の手伝いも始まると言っていた。
であれば、これは丁度いいタイミング。
美優の作戦のことも考えれば願ってもないお誘いだった。
「いいよ。どこに行こうか?」
デートの予定といえば、美優とは温泉と水族館に行くことになっていた。
できればそれ以外のところにしたい。
「夏だし、フルーツ狩りとかどうかな? 予定では午後から晴れみたいだけど、雨でも室内でレストランみたいに食べられる農園があるんだ」
「それはいいな」
これまでのどのデートよりも健康的で健全だ。
外を歩くだけで性欲も多少は発散されるはず。
「なら、決定ね!」
次もまた会えるとわかった山本さんは急に元気になって、時間も休憩が終わろうというところだったので俺たちはホテルを出ることにした。
帰りの電車から見える空は曇りがかっているとはいえまだ明るく、妙な気の高ぶりもあったので、座席が空いても俺たちはドアの傍に立っていた。
その分だけ目立ちはするというか、周囲から向けられる視線は朝よりも露骨だったが、不思議なことにそれも気にならなくなっていた。
山本さんも言っていた通り、可愛い彼女を連れていれば羨ましく思われる。
付き合っていなくとも二人きりで話していれば嫉妬もされる。
俺もつい最近まではそういう立場だったからよく分かるのだ。
「周りの人には私たち、どんなカップルに見えてるんだろうね」
「どうだかな。やっぱり、釣り合わないカップルとかじゃないか?」
いつだかバイト帰りの電車でも同じような話をしたな。
冴えない男が美女に弄ばれているだけ。
あるいは、山本さんに同情して、そんな男を選んでしまって可哀想だとすら思っているかもしれない。
でも、その実態は……。
「お尻に注がれた精液を拭き取りもしないで、街中を歩いて、今もこうして電車に乗ってて。私のほうがエッチなお願いを何でも聞いちゃう雌奴隷なんだけどね」
「誰がどう考えてもそんな力関係だとは思わないよな」
山本さんはどんな男より俺を慕ってくれている。
その事実が俺に誇りを与えて支えてくれているんだ。
視線が気にならなくなったのは、今が山本さんとセックスをしてきた直後で、そんな自信の源を再確認できたからだろう。
俺だっていつもまでも冴えない男の殻に閉じこもってもいられない。
俺はあの可愛い妹の恋人なのだから。
「美優とデートするときも似たような感覚になるのかな」
美優だって山本さんに負けず劣らず清楚で巨乳な美少女だ。
向けられる視線の多さも今日と変わらないぐらいだろう。
なにより本物の恋人なのだから、一層イチャラブできるはずだし、そこで俺がどれだけ胸を張って彼氏でいられるかがデートの肝になるのだ。
このデートで得られた経験は、次の美優とのデートにも活かせるはず。
「んー。それはどうかなぁ」
意外なことに山本さんの口から出てきたのは否定的な言葉だった。
それは美優を嘲るでも下に見るでもなく、ただ俺に真実を伝えようとしているだけの声音をしている。
「どういうことだ?」
俺が尋ねても、山本さんは微笑むだけ。
いつもと雰囲気が違う。
「ねえ、ソトミチくん」
そして、そう。
それは初めてのことだった。
「明日のデートは、きっと楽しくなるよ」
誰もがそうだろうと予想することを述べただけなのに。
これまで自然体でいるだけだった山本さんが、あからさまに隠れた意図を匂わせた。
「俺も、楽しみだよ」
感づいているのに突っ込めない。
俺が美優の作戦に組み込まれているからこそボロが出せなかった。
いまにして思えば、作戦の全容を聞かされずにいて本当によかったと思う。
根掘り葉掘り聞かれたらごまかしきれなかった。
「うんうん。楽しみにしてて。満足は、二人でするものだからね」
このときの山本さんは、初めて家を訪れたときと似た空気を纏っていた。
美優からの恩赦を拝受するだけだったように見えた山本さんからの、これは挑戦状なのか。
もし、これが美優の望んだ展開なのだとしたら。
あのたった一枚の手紙に、どれほどの呪いが仕掛けられていたのだろうか。