物事はより多角的に捉えるべきだ。
やり方が常人の倫理観にそぐわないというだけで、美優は間違いなく俺を助けてくれている。
俺一人では山本さんを傷つけて距離を置くしかなかったところを、美優が手伝ってくれているからこそ、みんなが幸せになる道があるのだと信じることができた。
そもそもの話、この事態は俺が妹をオカズにしないと抜けないという体質だからこそ引き起こったのであって、だとしたら俺は協力するのではなく、むしろ当事者としての意識を持たなければならない。
意外と難しいことではないのかもしれない。
美優にとっては最後に俺に選ばれることが幸福につながっている。
そこさえ守れば美優の幸せは保証されるのだ。
それを前提として、俺が最後に山本さんに美優を選ぶと伝えたときに、笑顔で送り出してもらえるような、そんな関係を……あるいは、思い出を、山本さんと作っていけたらいい。
そんなことを、俺は天井を見上げながらボヤッと考えていた。
(う、動かん……)
仰向けに寝たまま腕の一本も上げることができずにいた。
どうにか指の関節が曲がるというぐらいで、他は全身麻酔でもかけらているのかと思うほど動かない。
昨日の山本さんとのセックスで肉体の限界を超えてピストンを続けた代償は想像以上に大きかったようだ。
「こんこーん。お兄ちゃん起きてますかー?」
その元凶である妹が俺の部屋にやってきた。
幼い頃からなぜかノックをするときに擬音を口にする。
癖なんだろうか。
「起きてるよ」
「あ、ほんとだ」
ドアの隙間から顔を出して様子を伺ってくる。
頭を一本に編んで、もうお出かけをする格好になっていた。
昨日は帰ってからすぐに寝てしまったし、時計を確認することもできないのでどれぐらいの時間を寝ていたのかもわからない。
おかげで美優ともほとんど話せなかった。
俺のくたびれた様子を見て何があったのか大体のことは把握したようだったが。
「って、美優、出かけるのか?」
「今すぐ出るわけじゃないけど、遥のところには行く予定だよ?」
それは困る。
非常に困る。
何せ今の俺は全く動くことができないのだ。
食事はともかくとしてトイレがやばい。
「首から下がまるで動かなくてな」
「あら大変」
あら大変、じゃないぞ妹よ。
このまま出かけたら俺の部屋が大惨事になる。
「少しも動かせないの?」
美優が俺の真横まで近づいてきて、床に膝をつく。
遥と会うときには甘々コーデにする美優の巨乳フリルが眼前へとやってきてドキドキしてしまった。
「頑張っても立ち上がるのは難しいな」
「えー。じゃあちんちんに管でも通しとく?」
「もうちょっと穏やかな発想はできないのか……」
俺が美優におあずけをくらっている分だけ、美優も俺とのスキンシップする機会も減っている。
なので最近しばらくはドライモードだ。
まあこっちの美優も好きなのだが。
「ほんとに動けない?」
「動けない」
「いまだけ私のおっぱいを好きにしていい言っても?」
「残酷な質問をするものじゃない」
美優は柔らかな胸部の膨らみをベッドの縁に乗せて、俺の目の前でたゆんたゆんと上下に揺らす。
手を伸ばせば鷲掴みにできる距離にあるのに、何もできない己の無力さが悔しくて仕方なかった。
「えっ、全身どこも動かせないんだ」
「だからそう言ってるだろ」
ようやくわかってくれた妹に、どうにか救済の手を差し伸べてもらえないかと、俺は寝ながらに目で訴えかけた。
「なんだかそうまでなるとイタズラがしたくなるよね」
「いや知らんが何をするつもりだ」
美優にイタズラをされるなんて初めてのことだ。
怖いようで楽しみなようで緊張してくる。
「まあエッチな内容なんだけど」
おおよそわかり切っていたことを口にすると、美優はスッと姿勢よく立ち上がり、スカートに手を入れてパンツを脱いだ。
その人差し指に引っ掛けられていたのは、小さなリボンの付いたピンク色の可愛らしいパンツだった。
「まさかそれが取れたらくれるとか」
「それは考えてなかったけど。お兄ちゃんはまだこんなものが欲しいの……?」
美優はもはや蔑むでもなく俺を見下げてくる。
その“こんなもの”が欲しいんだよお兄ちゃんは。
さあ早く妹のパンティをおくれ。
「いまならスカートをめくっても怒らないよ」
「マジか!?」
あまりの衝撃に俺は叫び、そして続けてやってきた腹筋への激痛に俺はまた叫んだ。
あれだけ秘所を見られるのを拒んだ妹が、こんな明るい場所でその割れ目を拝ませてくれるなんて、この先の人生でも一度あるかどうか。
「いくらこの兄が相手とはいえそこまでするとは……マジでやるからな……」
「いいよ。まだ出かけるまで時間があるから、お兄ちゃんで遊んであげるね」
美優はこれみよがしに自分の手でスカートをヒラヒラさせて、かろうじて中が見えないように風を送ってくる。
しかも楽しそうにするでもなく真顔で煽ってくる感じが余裕たっぷりで、余計に腹立たしいというか見下げられている感じがするというか、もうとにかく生意気な妹だった。
ここは兄としての威厳を見せつけてやらねばならない。
しかし、そう思うその心の傍らでは、妹のスカートをめくるのに命を掛ける兄ってどうなんだろうと冷静になる自分がいないでもなかった。
「スカートめくれたら、そのまま舐めてもいいよ」
「なんだと……!!」
美優が手を口に添えてコソコソと、耳打ちにとんでもない提案をしてきて、俺は全てを投げ出して脳からあらゆる神経にパルスを送った。
「うぉおっ……おおおっ……いづあっ、あぁぁ、痛い痛い……ってかちっとも動かない……!!」
どれだけ命令を送っても返ってくるのは痛みだけだった。
やがて頑張る体力すらも底をつき、俺は再びベッドへ沈んだ。
下半身の一部だけは元気になった。
「そっちは動くんだ」
「悲しいことにな」
時間があるならセックスをお願いしたかったが、この状況では美優が主体に動くしかないのでどっちにしても断られていただろう。
昨日あんだけ山本さんとしたのに、何を考えてるんだかな。
「もし俺が動けたら舐めてよかったのか?」
舐めるのだけは頑なに拒んできた妹だ。
そう簡単に許せるはずもない。
「そもそもお月の物の期間なので」
そうだった。
完全に騙された。
「もし期間外だったら舐めてよかったのだろうか」
「約束した以上は舐めさせてたけど、その日からお兄ちゃんのことをちょっとずつ嫌いになってたと思う」
「そんなに嫌なのか……」
「仮に明日お兄ちゃんが死ぬとしてもイヤ」
美優は何事もなかったかのようにパンツを穿き直して、それから、どことなく後ろめたそうにチラッと俺に視線を落とした。
「ん……まあ、死ぬ前ぐらいは、舐めさせてあげるけど」
「死ななきゃ舐めさせてもらえないとはな」
これが優しさと呼べるものかは不明だが、どことなく美優の心の暖かさに触れた瞬間だった。
「生理用にしては随分と可愛いパンツなんだな。てか脱いで大丈夫だったのか?」
「これは特注で遥から貰ったやつ。血は常に出続けるものじゃないから大丈夫だよ。私は比較的コントロールできるほうだし」
そんなものなのか。
女の子の体はよくわからんな。
コントロールができるならやはり舐めさせてもらえたのではないかとも思ったが、まだ俺の知らない女の子の秘密がありそうなのでやめておいた。
「ところでトイレの問題は何も解決してないんだが」
「あっ、そうだった。奏さんに来てもらおっか。あの人なら嬉々としてお世話してくれそうだし」
「そんなに暇ではないと思うけど……」
美優が連絡したところ、「おっけー! すぐ行きます!」とのことだったので、山本さんが来ることになった。
「いいのか? 俺の部屋に呼んで」
「色々あってね」
美優は何を考える様子でもなくスマホをいじっている。
恋人になった俺が他人に触れられるのは美優も嫌だと、はっきりそう口にしていたのにこれはどうしたことか。
山本さんだから特別に許されているんだろうか。
「山本さんがさ、俺を取り合うのは美優との勝負だって言ってたけど、いつの間にそんなことになってたんだ?」
「そうなの? 私は何も聞いてないけど」
「だって昨日山本さんがそう……」
たしかに口にしていた。
俺が山本さんと一緒に過ごしていくことを望めばその通りになるとさえ言ったんだ。
そんな勝負が何の言葉も交わさずに始まるわけがない。
「考え方によっては、そうとも言えるかも? 私がお兄ちゃんをけしかけてるからには、もし二人が両思いになったときに『やっぱりあげません』って言うのは卑怯じゃない?」
「言わんとすることはわかる」
つまりは明確な合意で始まった勝負ではなくて、美優の覚悟の決め方が自然と勝負の形にさせているだけか。
そういや山本さんも、勝負してると言い切ったわけではなかったからな。
「とはいえそうなるなんて微塵も思ってないけどね」
「そこは信頼してもらって構わないよ」
あくまでも目論見通りにならなかった場合の美優の責任の取り方の話だ。
失敗するなど美優は思っていないし、だからこそそれを勝負だとも考えない。
「私としては奏さんが本気になってくれればそれでいいの」
「全力でぶつかれば山本さんも満足するって話か?」
少なくとも俺と山本さんはそう考えている。
というより、でなければここまで俺と山本さんをイチャイチャさせるわけがない。
「そうなんだけど、ニュアンスがちょっと違くて」
美優は正座して俺と顔の高さを合わせる。
「奏さんってさ、完璧超人なのに、普段は天然というか、おっちょこちょいな印象じゃない?」
「たしかにそうだな。たまに見る本気の山本さんは凄いけど」
「そこが要点なんだよ」
美優は食い気味に話を切り込んでくる。
「奏さんは過去のトラウマのせいで、努めて普通の女子高生でいる。それでも何をやっても一番の山本さんは、いつも『その気になればできる』で生きてるわけですよ」
なるほど言われてみると思い当たる節はあるし、かつて資料室で山本さんに悩みを打ち明けてもらったとき、その秀で過ぎた体を呪って、自分はごく普通に生きたいのだと口にしていた。
「それで美優は“傲慢”だって言ったのか」
俺の脳内で紐付いたその情報に、美優は肯く。
俺は聖母のような山本さんと接している時間が長かったからそのイメージばかりを持ってしまっていたが、よくよく思い返してみればあれは自分の可愛さをよく理解している要領のいい気さくな美少女だったな。
「そんな奏さんにとって、お兄ちゃんは自分に興味を持たなかった稀有な存在で、初めて付き合う前にフラれた男で、今ではその恋も手放せないほど惚れ込んでる初恋の人になってて……、まあ、手放せなくしたのは私なんだけど」
そうだろうな。
あの優しい山本さんを暴走させてあまつさえその行為を肯定し続けたのは他ならぬ美優なのだから。
山本さんも見えていながら飛び込んだ罠だったとはいえ、ここまで深みにハマるとは思ってもみなかっただろう。
「要はね、奏さんが身を引いたとしても、奏さんの中でお兄ちゃんが『その気になれば手に入ったはずの相手』でい続けるのが、私は嫌で。中途半端に関係が終わったら、お兄ちゃんの中にもわだかまりが残るだろうし。私はそういう一切を排除したいの」
なんという我が妹の逆ラオウとでも言うべき不遜ぶりよ。
完璧主義というか、潔癖症なのか。
そういやいつだか、この作戦は俺と気兼ねなくイチャイチャするためのものだって言ってたけど、そこは当初から変わってなかったんだな。
「だから奏さんには本気を出してもらって、その上で徹底的に負かすことにした」
目をキッと細めて、しっとりと美優は言い放つ。
もう俺を独り占めにするのをやめたのかと思っていたら、とんでもない独占欲の塊だった。
もとより、俺とイチャイチャし続けることで山本さんが俺への恋に満足するなんて、美優は微塵も思ってはいなかったんだ。
全力を出し切った山本さんを負かさなければ、山本さんが真に満足することはないと理解していたからこそ、美優はそれを引き出すために俺の体を山本さんに預けた。
「それにね」
美優は一呼吸を置いて、俺と視線を交える。
「私たちは少しでも多くの人に祝福してもらわないといけないから」
不意に溢した、美優のその意味深な言葉は、あるいはこれまで話してきた中で一番重要なことだったのかもしれない。
由佳を相手にやってきたことも、これから遥へ恩返しをしに行くこともそうだが、美優はいずれお互いを忘れ去ってしまいそうな微妙な距離感での別れを許さない。
それがどれだけ都合の良い、強欲な願いだったとしても、この妹はそれを真っ当なこととして叶えてしまう人間だということを、俺はこの数ヶ月の間で知ってきた。
俺が当事者の自覚を持たなきゃならないことって、存外そのあたりなのかもな。
「……負かすって意味じゃ、昨日のでだいぶはっきりした勝敗がついた気がするよ」
俺がやるべきは、山本さんと円満にお別れすること。
まずはそれを完遂することに集中するべきだ。
「そうなの。もう大部分は完了してるんだよ」
美優は両手でチョキチョキと指を動かす。
どうやらそのジェスチャーが完了の意味を表しているらしい。
思った通りあれは美優の狙い通りだったんだな。
でも、まだ山本さんには余裕がありそうだった。
美優にとっても解決しなければならない課題があるとか言ってたけど、それは美優がさっき呟いたことだったのだろうか。
なんか、そんな感じじゃなかったんだよな。
……あるいは、美優も自覚していないことなのか?
「あ、奏さんが着いたみたい」
美優のスマホのバイブが鳴って、ディスプレイには一件の通知が表示されていた。
山本さんが家に来たらしく、美優が玄関にまで出迎えにいく。
ほんとにこの部屋に山本さんが来るのか。
なんだか、今までになく緊張するな。
「昨日ぶりだね、ソトミチくん」
ドアを開けて、山本さんが手を振りながら部屋に入ってきた。
見慣れたはずのその姿も、俺の部屋という景色には溶け込めずにいる。
自分の部屋に女の子を呼ぶことなんてそう無いことなんだけどな。
佐知子も由佳も俺の部屋を使ったことがあるし、これで関係を持った子たちはみんな俺の部屋に呼んだことになってしまった。
「見ての通りマグロでして」
美優が俺のことを手で指し示して山本さんに状況を伝える。
「見事なマグロだね」
肩出しニットを中心に大人っぽいコーデの山本さんが髪をかき上げて俺を覗き込んでくる。
美人二人に見つめられて、動かない体が余計にガチガチに固まっていた。
「で、具体的に私は何をすればいいの?」
「まずはトイレとご飯を。お昼からの事はお任せします。夜遅くなるかもしれないので、もしお兄ちゃんが回復しないようなら面倒をみといてください」
美優の説明を聞いて、一日中俺のことを好きにできるとわかり、山本さんは楽しげに「この前のお勉強の続きでもしよっか」と囁いてきた。
さてこの状況、すでに山本さんとの決着は付いているらしいのだが、俺はどう接するべきだろうか。
美優がわざわざこの部屋に呼んだぐらいだから意味はあるはずなんだが、肝心の着地点がわからないのでどう山本さんを誘導すればいいのかもわからない。
「ソトミチくんはおしっこしたい?」
「尿意はそれなりには」
昨日は即寝して、朝からすでにこの状態だからな。
膀胱にはかなりの量が溜まっている。
「出すものはある?」
「ペットボトルならありますよ」
「ならハサミとテープで作っちゃおうか」
勝手に不穏な方向へと話が進んでいって、思わず「えっ」と俺の口から声が漏れる。
「なあ、山本さんなら、俺を担いでトイレぐらい行けるんじゃないか……?」
「えーむりだよー女の子だし」
山本さんがわざとらしくできないアピールをする。
倍の体重がある人でも運べるぐらいの力はありそうなものだが、なぜ尿瓶スタイルにこだわる必要がある。
世話をされる側なので文句も言いづらい。
そうこうしているうちに美優が2リットルのペットボトルを持ってきて、底面をハサミで切り落として切り口をテープで塞いでいった。
「はい、じゃあパンツを脱ごうね」
山本さんが簡易尿瓶を持って笑顔で俺のパンツに手をかける。
「待て待て待て待て!」
介護とご奉仕は紙一重。
そのエロさには明確な隔たりがある。
これは明らかに介護であってエロくない。
俺が美少女だったのならまだしもこの状況は全くエロくない。
俺が美少女だったらよかった!
「お兄ちゃん、無駄な抵抗はやめて奏さんにお任せしないと。口しか動かなくてもやりづらいんだから」
そしてこの場面に妹まで加わる始末。
お前は早く遥のところに行け。
「おしっこしましょうねー」
山本さんは布団を剥がして問答無用でパンツをずり下ろし、俺の下半身を露出させる。
あまつさえ妹の目の前で。
これ以上の陵辱行為があるだろうか。
「あっ、小っちゃい」
「小さいですね」
その言葉にグサリと傷ついた心臓がセメントでも流し込まれているかのように重たい拍動をした。
勃起すればそれなりのモノにはなるようになったものの、縮こまっているときは皮に包まれてしまうので、小さい状態を見られる恥ずかしさは変わらないのだ。
「どんぐりみたいで可愛いよね」
「萎れてくのがいつ見ても不思議でして」
「男の子ってどんな感覚なんだろ。いまだと3センチぐらい?」
「定規当ててみますか?」
「やめろ……!」
こいつら争ってるとか言うわりには仲良く人のペニスで遊びやがって。
もう涙を堪えるので精一杯だ。
「はーい、それじゃあしーしーの時間ですよ。ここに上手に出しましょうね」
山本さんが俺の体を横にして、そこにペットボトルで作った尿瓶を当てがう。
まるで赤ん坊をあやすような言葉を使って。
そして、俺が放尿するのを、二人が観察していた。
「どうしたのかな、ソトミチくん。まだ出なそう?」
「お兄ちゃん早く」
丸っこいちんちんを撫で撫でする山本さんと、膀胱を押して強制的に排尿させようとする美優と。
対照的な二人に俺はいじめられていた。
何がどう拗れてこうなったのか。
俺にはもう訳がわからない。
「ソトミチくん」
「お兄ちゃん」
同時に呼びかけられて、軽く放心状態だった俺が二人の方を見ると、そこには想像もしなかった表情が並んでいた。
いまこの部屋にいるのは、俺がお漏らしによる屈辱を与えてしまった二人なのだ。
それがどれぐらい恨まれているのかは知る由もないが、「まさか女の子にお漏らしをさせておいて自分だけ出さないわけがないよね?」と言わんばかりの目で二人が俺を責め立てていた。
どちらの件も、あれは偶発的なものであって、俺のせいではない。
しかし、結果してそうさせてしまったからには、俺も責任を取らないわけにもいかず。
俺は涙と一緒に流した。
屈辱の放尿を。
その瞬間に立ち込めるニオイと、ボトルに跳ねる音が、俺の自尊心を少しずつ奪い去っていった。
なるほど、これが俺のような元から惨めだった男ならいざ知らず、プライドの高い美少女二人にさせてしまったとあっては、罰を受けないわけにもいかなかったんだな。
「あー……」
そこからしばらくのことは記憶から消した。
そして、なんやかんやがあってひと段落してから、俺はパンツを穿かせてもらえたのだった。
「美優ちゃん、今日は可愛い服を着てるね」
「遥と会う時はだいたいこんな感じなので」
それから美優と山本さんの間で会話が始まった。
そこにはガールズトークとしての壁があって、俺は口を挟むことも出来ずミノムシのようにジッとしていた。
「美優ちゃんの部屋、見てもいい?」
「構いませんよ」
「やった。例の服も見せてよ」
「それはちょっと……」
まるで姉妹のように親しげに話す二人は、俺の部屋を出て隣へと行ってしまった。
(寂しい……)
美少女二人と同じ部屋となれば、三人プレイでイチャコラタイムが始まるものだと、世の男性諸君なら誰もが予期したことだろう。
だが残念ながら今回はそんな嬉しハプニングは起こらなそうだ。
「きゃー美優ちゃんおっぱい大っきい!」
「実は最近また胸が……」
壁越しに美優の部屋からキャッキャうふふな声が聞こえてくる。
非常に気になる内容だが、さすがに全てを聞き取ることはできなかった。
二人っきりで随分と楽しそうだ。
エッチができなければ俺は無用ということだろうか。
最近思うのだ。
俺って体目当てで求められているのではないかと。
いやあれだけ可愛い女の子が相手ならそれでも十分な幸福だと言えるのだが、いざ自分がその方面に満たされてしまうと、もっと人として見てほしいというか。
山本さんが俺に伝えてくれた『好きなところ』を信じるのならばそんな心配をする必要はないのだが、こう現実を突きつけられてしまうと思わずにはいられない。
俺ももっと面白みのある人間だったらよかったな、と。
美優と比較するのは我ながら酷なことだとはわかっていても、部屋の中身からしてもう美優の方は面白の宝庫というか、俺だってもっと美優が部屋にどんなものを置いているのか知りたいし、ノートひとつ取ってもどんな文章を書いているのか非常に興味がある。
「あ、ソトミチくん。戻ってきたよ」
そんなことをうだうだ考えている間に山本さんが俺の部屋に戻ってきた。
どうやら美優は遥のところへ出掛けたらしい。
「さて、どうしよっか」
山本さんは俺の前にしゃがみ込んで、短いスカートからチラリと白いパンツを覗かせた。
今日はパンツの日なのか。
「美優とはどんな話をしてたんだ?」
「んふふ。内緒」
山本さんはニヤニヤしながら立ち上がり、勝手に俺の机にある教科書類を物色し始める。
美優とずいぶんと仲が良いもんだな。
しかし、なぜだろう。
もし美優と山本さんが本物の姉妹だったとしたら、俺の人生はだいぶロクでもないものになっていた気しかしないのは。
「こんな状態でも俺は勉強ができるんだろうか」
「それを色々模索してみるのだよ」
山本さんはベッドに戻ってくると、受験生向けの漢字問題集を俺の目の前にかざした。
「俺は腕が動かせないんだが」
「私が書くから、その読みを答えるの」
「ほう……。して、どこに書くのかな」
「ソトミチくんの胸板とか、おへそのあたりを、こう……指で……」
やっぱりエロい女じゃないか。
「いやね、別に今日はエッチをするつもりはないんだよ? ソトミチくんもそんな感じだし、この部屋でエッチなことするのも、なんだか美優ちゃんに悪いし」
そういう配慮はあるわけだな。
「俺はずっと生殺しなんだが……」
「そこは、ほら。後で出すべき人に出してもらえばいいというか」
「それはそうか」
射精してくれる人がいる幸せ。
それを当たり前のものだと思ってはいけない。
世の男子ならば、いや数ヶ月前の俺だって、渇望するほどにその存在を求めていたのだから。
「……今更、なんだけどさ」
山本さんが本を床に置いて、小さい声で喋りかけてくる。
「ソトミチくんと美優ちゃんって、ほんとにそういうことしてるんだよね」
「ま、まあな」
言わんとしていることはわかる。
話ではいくら聞いたことがあっても、実の兄妹がこのベッドの上でまぐわっているなど想像するのは難しい。
それも、ついさっきまで親しげに話していた少女と、目の前にいるクラスメイトの男の二人だ。
仮にそれがただの友達同士だったとしても、行為に及んでいると知れば顔を逸らしたくもなるものだ。
「なんか……すごいよね……」
ほんのりと赤面する山本さん。
美優に抜いてもらっていると伝えたとき、最も驚いていたのも山本さんだった。
中学生組の性事情が異常なだけで、あれが普通の反応なんだけど。
そういうモヤモヤがあって今は手が出しづらいのかもしれない。
「あっ……それともお腹空いている?」
「そうだな、いつも朝は食べる習慣だから。何かしら入れておきたいかも」
「なら、腕によりをかけて作ってくるね」
山本さんは足取り軽く部屋を出ていった。
もしかしたら、俺と一緒に作りたかったりしたのかな。
それは思い上がりだろうか。
それから、ご飯を食べさせてもらって、山本さんが言った通りエッチはなしで勉強の時間を過ごしていた。
俺は美優の計画のために何ができるのかと考えたものの、結局は俺らしく山本さんに接しているのが一番だという考えに至り、これまでと変わらない団欒を楽しむことに。
一人でも多くの人に祝福されるようにと言った美優の言葉を聞いて、山本さんが好きなままの俺でい続けることが大事なのではと考えたからだ。
それは美優に指示されていた内容と変わらないけど、その意味を理解できただけでも大きな進歩だと思う。
「ソトミチくんさ、腕も動かないの?」
しばらくスキンシップをしたりしなかったりしながら勉強を続けて、ずっと寝返りも打てずにいる俺に山本さんが聞いてくる。
「動くような気がしないでもないんだが、細い枝でも刺さっているような感覚というか、変な痛みと怖さがあってな」
「そうなんだ。そしたら、マッサージしてみよっか」
山本さんは俺の腕を取って布団の上に乗せ、丁寧に肩から指先までを揉み始める。
筋肉痛に対してマッサージが良いとは言えないが、ここまで動けなくなっているのはもはや筋肉痛の問題だけではないようで、そのマッサージはなかなかに効果的だった。
「最初は痛かったけど、かなり楽になったよ」
おかげでどうにか腕は動くようになった。
その様子を見て、山本さんは足のマッサージへと移行する。
「うあっ……ッッ!?」
山本さんが太腿を押した瞬間に焼けるような痛みが全身を駆け抜けた。
腕に関しては支えをなくした山本さんの腰を上げるのに使っていたぐらいだったが、脚と腹筋は延々激しい運動をし続けていたため、その消耗の具合は比ではなかった。
「こっちはまだ難しいかあ」
山本さんは脚へのマッサージを諦め、それでも楽しげに教材を持ってきた。
「腕が動くようになっただけでもよかったね。これで文字は書けるし」
ベッドの縁に両手を着いて、ニットに形作られた二つの膨らみを腕に挟む。
「私のおっぱいで漢字練習でもする?」
やはり基本エロいことしか考えない人だ。
「悪い女教師め……」
そんな誘いを受けてしまっては下半身がピクピクと反応してしまう。
やはりここは美優が帰ってくる前に一度抜いてもらえるようお願いするべきでは。
「えいっ!」
「ぐほっ……?!」
山本さんが俺に飛び乗ってきて、俺は二十秒近く呼吸ができなくなった。
その見た目以上に重量感がある山本さんが飛び乗ってきた衝撃は美優のときの比ではなく、肺にあった空気は一瞬で全て押し出され、内臓の迫り上がりすらリアルに感じた俺は本当に死ぬかと思った。
「そんな大袈裟な反応しなくても」
小恥ずかしそうに咳払いをする山本さん。
言っておくが下手をすれば肋がイッててもおかしくなかったからな。
「実はこんなこともあろうかと水性ペンを持ってきておりまして」
俺の手に渡されたマジックペンには、確かに水性の二文字が書かれていた。
いったいどんな事態を想定したのやら。
「こっちのほうが書きやすいかな?」
腰に両手を伸ばした山本さんは、服の裾を掴んで下乳のあたりまで引き上げた。
そこには引き締まったボディに必要な脂だけを乗せた、スベスベした書きやすそうな肌が露出された。
「おや」
山本さんは体を捻って、その下にある物を興味深そうに見つめる。
「こっちは相変わらず元気だね」
ズボンの上から指でツンツンされて、その棒の形状がはっきりと浮き上がる。
「小さいのも好きだけど、私はやっぱりおっきくなってる方が好きだな」
屈託のない笑みでそう語る山本さんに、俺まで嬉しくなってしまって、それと同時に性欲もムクムクと湧き上がってきた。
「今日も、エッチは禁止なんだよな」
「それは抜いてほしくなっちゃったってこと?」
そういう意味で間違いはない。
「別に禁止ってわけじゃないけど。ほら、美優ちゃん連絡するとは言ってたけど、急に帰ってこないとも限らないじゃない?」
もしエッチをしている最中を目撃でもされたら、この後のことがどうなるかもわからない。
そんな心配をしているらしい。
「それなら大丈夫だよ。美優はあえて口にしたんだと思うし。そういうのは絶対に守るタイプだから」
美優は口約束でも線引きを曖昧にしたままにはしないからな。
あの中学生組とのあれこれがあったからこそ、そんな美優の人格を知ることができた。
あれはあれで有意義な期間だったわけだな。
「信頼されてるね」
山本さんは目を伏して呟く。
その言葉遣いにほのかな違和感を覚えたのは、気のせいではなかったのかもしれない。
「で、お腹で漢字練習はやるのか?」
とんだエロ勉強法だが、モチベーションを高めるという一点においては非常に理に適っている。
……もしかして、もう一般に普及されている勉強法なのだろうか。
そんなはずないか。
「それがね、実際にこの体勢になってみてわかったんだけど」
山本さんは両手で胸の丸みをなぞってから、そのくびれたウエストに沿ってストンと落とした。
「自分の胸が邪魔で、ソトミチくんが何を書いたのかわからないんだよね」
「じゃあダメじゃないか……」
水性ペンこんなものまで用意しておいて、なぜそこは事前に予行演習しておかなかったのか。
「いやね、私が上の服を全部脱げば、おっぱいをこう、ブラインドみたいに開くだけで覗けるわけですよ」
なるほど全裸での予行演習はしていたようだ。
偉いぞ山本さん。
どことなく美優っぽさが出てきている気がするけど。
「脱ぐ?」
「ぬ、脱いでみようか」
そして誘惑に逆らえない俺である。
山本さんは美優のことを知ったからか迷いなく上半身の衣類を脱ぎ去った。
ブラジャーに支えられた胸の丸みも好きだが、重力に引っ張られて少し平らみを帯びたおっぱいも堪らなく良いものだな。
「そしたら、試しに何か書いてみる?」
山本さんが軽く背中を反ってお腹を張る。
もうそれだけでエロい絵面になるのだからズルい人だ。
こうして寝ながら見上げると、山の頂に突起が二つあって、やはりこの景色はいつ見てもいいものだなと想いに浸ってしまう。
てかもう勃起がビンビンでキツい。
(フェラを、してほしい……っと、やば……)
ほんの冗談のつもりが、くっきりと黒文字で山本さんの体に『フェラ』と書いてしまって、女の子を汚してしまった感覚がゾワっと後悔と興奮を湧き上がらせた。
「ソトミチくん……」
何を書かれたのかなんて、確認するまでもなく山本さんにはわかってしまい、むっつりとした視線で俺は見下ろされていた。
「ソトミチくんお勉強する気ないでしょ」
「いや、ほら。せっかくだし、勉強ばっかしてると勿体無いかなって」
「もー。しょうがないんだから」
山本さんは前傾姿勢になると、俺の両腕を膝に挟んで、その豊かな果実をぶら下げた。
デカい。
あといい匂いがする。
「いったい、何を……」
「ソトミチくんがエッチなことばっかり考えてるから、ちょっとお仕置きというか、イタズラがしたくなってきて」
女の子ってみんなそうなのか。
「ふふふっ。今日はこの時間しかおっぱいを吸わせてあげませんよ、ほれほれ」
「うぉっ……ぉおおお……っ!!」
ピキピキと悲鳴を上げる腹筋に鞭を打って、ギリギリ届かない位置に用意されたご褒美を口にしようと必死に体を起こす。
しかし、筋という筋が切れそうなぐらいに力んでも体は一ミリも上がらずに、俺はまたしても惨めに敗北を喫したのだった。
この数分でいくらか首が伸びた気がする。
「ソトミチくん一生懸命で可愛い」
「くっ……」
俺はまた妹を相手にしたときと同じ失態を繰り返してしまった。
しかし、こればかりは我慢ならないのだ。
たとえ一度は味わったことのあるものだとしても、これだけ大きいおっぱいを目の前に晒されては、吸い付かずにはいられないのが男というもの。
「そしたらご要望通りフェラをしてあげるね」
さすがは山本さんというか、エッチをするとなったらノリノリだった。
反対向きになった山本さんは、お尻を俺の顔の辺りまで下げて、四つん這いの体勢になる。
このムチムチしたエロいふともも、落書きがしたくなってくるな。
「また邪なこと考えてる?」
山本さんがおっぱいを腕で押さえて股の間にある俺の顔を覗き込んでくる。
「ああいや、その、昔のAVとかで見た光景を思い出してだな」
俺が遠回しの表現で伝えると、山本さんは数秒思案して、それからまた口を開いた。
「“雌豚”とか書いてみる?」
「いや山本さんを相手にそんな……」
山本さんもその手の動画とか見たことあるんだろうか。
「ソトミチくんなら、“中出し無料”でいいんだよ」
山本さんが悪戯な顔で囁いてくる。
それがまた嘘でないというところが、イヤらしくも悩ましいところだ。
「もしくは、ソトミチくんがこれまで私とセックスした回数分だけ、正の字でカウントしてみるとか」
「やはり凌辱系AVを見たことがあるな?」
「ソトミチくんと違って私は勉強熱心なの」
尤もらしいことを言ってエロビデオを見てただけじゃないか。
男を悦ばせるための努力を惜しまないその姿勢は尊敬するけれども。
「それはともかく抜いちゃいますか」
山本さんは俺のパンツを脱がせて躊躇なく勃起したペニスにかぶりついた。
「おっ……おうふっ……」
やはりいい。
フェラをしてもらうと最高に気分が良くなる。
口内の人肌の温かさも、唾液の粘性に包まれるのも、唇と舌の柔らかさに触れられるのも気持ちいいし、何より女の子自らが男のペニスを気持ち良くするために動いているその姿がどこまでも支配欲を満たしてくれる。
「ふっ……んじゅっ……ぐぢゅっ……」
「あぁ……いいよ、山本さん……上手……」
結局はエッチをしてもらうことになってしまった。
昨日、山本さんが冗談っぽく、デリバリーしてくれてもいいなんて言っていたが、それもその通りになってしまったな。
しかも、口内射精も中出しも無料でできる美少女デリバリーヘルスだ。
この男としての至上の極楽を手放そうとしているのだから、俺が選ぼうとしているものの大きさが改めてわかるというもの。
「はむっ……ちゅっ……ん、んんっ……!」
俺は両手を伸ばして山本さんのおっぱいを揉みしだいた。
美優と違って勝手におっぱいを触っても怒られないところが山本さんのいいところだ。
山本さんのおっぱいがデカすぎて、フェラをしてもらっている様子が見えないこともある。
ただ、腕しか使えないこの状況で、山本さんのおっぱいの重さはかなり手首に来るものがあった。
「ああっ……山本さん……すごいよ……気持ちいい……!」
山本さんが俺のペニスを咥えているところを眺めながら、手のひらいっぱいに乳房の柔らかさを感じて、たまに乳首をイジっては色っぽい声を漏らす山本さんの反応を楽しむ。
腕が疲れてからはふともものあたりを指でなぞったりして、感じながらもフェラを続ける山本さんに、俺の興奮も高まっていった。
「ちゅっ、ちゅぷっ……じゅる……んくっ……じゅぶっ……」
「山本さん、もう……出すよ……!」
このベッドで、この体勢で、俺はまさに美優とエッチなことをしたことがあって、それを思い出せば簡単に妹のオカズは出来上がった。
「山本さん……出るッ……!!」
金玉に溜まった精液を口の中に放出する。
どれだけ繰り返そうがこの至福感だけは無くならない。
「んっ……くっ……ぷはぁ。今日は、飲めたよ」
山本さんはニッコリ笑顔でピースサインをしてきた。
昨日は俺の精液を飲めなかったことにえらくショックを受けていたようだったしな。
俺としても山本さんにはやはり精液を飲んでもらいたい。
俺の欲望が満たされるからというのもあるのだが、山本さんにはそういう女の子でいてほしいという、個人的な願望もあったりするのだ。
「スッキリしたね、ソトミチくん」
エッチができて山本さんも満足したようで、それからは与太話をしながら残り時間を過ごした。
美優から帰ってくるとの連絡があって、入れ替わりで行ってしまうのかと思っていたらそんなことはなく、今度は玄関にまで来た美優を山本さんが迎えに行った。
恋人持ちの男とエッチした後にその恋人を出迎えに行くって、どんな感覚なんだろうな。
まあ俺がやらせたんだけど。
「ただいま、お兄ちゃん」
行きと同じ格好の美優が戻ってきて、その後ろを山本さんがついてきた。
また俺の部屋に美少女二人。
そして、腕が動くようになった俺は、なんとかベッド脇の壁に体を起こすぐらいのことはできるようになっていた。
「だいぶ回復したんだね」
「かなりしんどさは残ってるけどな。あと二日ほどは家で休養したいよ」
「奏さんもありがとうございました」
「いいえ、とっても楽しかったので」
三人で、円満団欒。
最後までこうして仲良くしていられるといいんだが。
俺がやるべきことは理解したけど、どう決着をつければいいんだろうな。
山本さんは身支度を整えて帰宅モードに。
夜飯を一緒に食べたりすることはないか。
そこまでいくと、もう違うっていうのは、なんとなく俺にもわかる。
「そういえば、行くとき言いそびれちゃったけど。私も急に大きくなったタイプだから、実家にほとんど未使用のブラが残ってるかも。あの頃の私のアンダーなら美優ちゃんに合うんじゃないかな?」
唐突な、山本さんから美優への振り。
「え、あ、いや、まだ要ると決まったわけでは」
そして、珍しく美優の焦った表情。
まさか、美優、いやまさかな。
「ともかく、夜道も暗いので。奏さんも気をつけて帰ってください」
会話の繋がり的に物騒な言葉をかけて、美優は山本さんを送っていった。
あれだろうか。
生理になると胸が張るとかそういう話だろうか。
そういや、あと数日でその期間も明けるんだよな。
そしたら、俺は、美優と生でできるんだよな。
中出し、してもいいんだろうか。
また条件とか出されたりしないかな。
念のためコンドームは携帯しておいたほうが良いだろうか。
「お兄ちゃん」
山本さんを見送りした美優が戻ってきた。
「ああ、美優か」
「考え事?」
「いやほら、デート、例の水族館と温泉、行こうと思って。いつなら大丈夫そうだ?」
水族館ならともかく、温泉はそういう時期には行けないものだ。
だからこればかりは美優に日にちを決めてもらうしかない。
「三日後なら平気だよ。その日に行こっか」
「ならそうしよう」
ようやく美優とのデートが決まった。
天候に左右されるものでもないし、何があろうと三日後は美優とデートをするぞ。
「あと、これも念のため、確認しときたい」
「なんでしょうか」
「えっと、だな、ゴムの代わりの、薬のほうについてなんだが」
「ああ、はい」
美優は至って冷静に俺の話を聞いている。
「中に出したくなったら、どうしたらいいだろうか」
この際なので誤魔化さずにはっきり教えてもらうことにした。
「別に人目につくようなところでなければ、どうぞご自由に?」
「えっ。あ、そうか」
コクっと首を傾げて、何を迷っていらっしゃるとむしろ不思議な様子で答える美優。
これまでに比べて条件が緩すぎないか。
中出しは好きにして良くてアソコを舐めるのはあんなにも嫌がるのかこの妹は。
らしいといえばらしいのかもしれないが。
「ん? そのペンは、なんでそこにあるの?」
美優が指差した先にあったもの。
それは俺が枕に挟んだままにしていた水性ペンだった。
「これは、山本さんとの勉強で使ってて」
結局勉強には使わなかったけど。
「ふーん」
美優はさして興味もなさそうな反応をした。
山本さんのように喜んでマゾ化してくれる女の子より、やはりこういう強情な娘を汚すほうがそそられるものがあるんだよな。
「いつか生でするときさ、“中出しOK“とか、そのふとももの辺りに書いてみたい欲はある」
矢印付きで。
「お兄ちゃん、ペン貸して」
美優が手を出してきて、俺はそこに素直にマジックペンを置いた。
あんなことを言えば美優に怒られるのは目に見えていたのだが、それでもしたい欲求は一度は伝えておかなければならないと思ったのだ。
「って、待て、そういうのは男に書いても絵にならないから……!」
これでもう何度美優に待てと言ってきただろうか。
なぜだか美少女たちが受けるべき恥辱を、今日は俺が引き受けることになり。
無残にも全ての服を剥ぎ取られた俺は『変態』『シスコン』『射精脳』とか、色々と酷いことを下半身を中心に書かれ、しばらく放置されたのだった。