よく晴れたわけでもない、しかし、夏にしては涼しい、実にデート日和の天気だった。
美優と出かけるのならばこれ以上を望むべくもない。
絶好の曇り空だ。
「ようやく初デートだね」
電車のドアから外の景色を眺める美優は、珍しく胸元が開放的なシャツを着て、膝上が十分に見えるぐらいに短いスカートを穿いている。
その美優を後ろから眺めていると、腰からお尻のラインにはくっきりとした丸みがあって、胸の大きい子はお尻も大きくなるのかなみたいなことを俺は考えていた。
ちなみに今日はストレートヘアなのでそのお尻に毛先がかかっていたりする。
「ようやくだな」
美優とは服を買いに行ったことはあったが、あれは当時の俺からしたらデートだったというだけのこと。
俺たち二人にとってのデートはこれが初めてになる。
電車に揺られること一時間。
比較的都会にあるその水族館は規模こそ大きくはないものの、周辺に様々なお店が並び立っていて、水族館自体が丸一日時間を潰すには難しいからこそ逆に絶好の寄りどころとして選ばれている。
最寄りの駅に着いて、電車から降りる人は多かった。
美優は体が小さいので人混みに紛れてしまうと見つけるのが大変なため、自然と手を繋ぐ形になって俺たちは歩いていた。
山本さんとは手の大きさが段違いで、心許なさを感じると同時に、歳上としてしっかりしなければならない自覚が芽生えていく。
どちらかというと、兄として、という感覚ではあったが。
「美優って遥とは手を繋いで歩いてたりしたのか?」
「なんで?」
「こうやって歩くのはどれだけ慣れてるのかなって」
「引っ張られるのには慣れてるよ」
美優は半歩後ろを歩いて俺を見上げる。
由佳や遥が相手じゃ、たしかに美優は引っ張られる側かもな。
美優は独立して動くタイプというか、山本さんのようにどんな状況でもぴったり引っ付いて行動してくれるわけではないので、こうして手を繋がなければと思ったのは必然だったのかもしれない。
「俺は水族館の楽しみ方を知らないんだけど、魚に詳しくなくて平気かな」
遊園地と違って、眺めることに特化したその施設には、どんな楽しみがあるのか俺は知らなかった。
昨日までの暇な時間に有名な生き物は調べておいたが、それでもいざ行ってみてどの種類か当てられる自信はない。
「水族館を楽しむポイントは、仲の良い人と行くことだよ」
美優は大人しく俺に手を引かれながら教えてくれる。
駅を出てからは直通の広い歩道橋を進んで、目的の水族館の名前が書いてある標識に従って歩いていた。
「身も蓋もないような……。付き合う前は良くないとか?」
「知らない街を一緒に歩いてるだけで楽しい人とかいるじゃない? そういう人たちが、より盛り上がれる場所、みたいな」
「なるほど」
これまでほとんど家でイチャコラするだけだった俺たちにとっては、むしろ好都合な場所ということか。
「カップルのデート先なんてそんなとこばっかりだけどね」
たしかに、水族館の後に行く予定の温泉にしたってそうだ。
もしそれが旅館ともなったら、どれだけいい湯や美味い食事が目的だったとしても、最後は部屋でストレスなく過ごしていられる相手が最も望ましい。
何気ないことを共有できる相手って大事だよな。
「それなりに並んでんな」
売券の受付にはパッと見だけでも百人以上が複数の列を作っていた。
それでもライブスタッフをやっていた経験があるので面食らうほどではないのだが。
「オンライン予約してあるからコード認証で入れるよ」
美優はスマホの予約完了画面を俺に向けてかざす。
「頼りになるよ」
美優は遊び慣れしているだけあって手際がいい。
男としてはリードしてあげたいところだが、ここは焦らず急がず、今日のデートを楽しもう。
館内に入るとすぐに薄暗い空間になって、エアコンの涼しさに身が包まれた。
入り口からすぐの水槽には大量の魚の群れが。
いるかと思ったらそんなことはなく、オープンスペースに三メートルほどのアザラシのオブジェが置いてあって、そこに写真撮影の列が出来上がっていた。
「なんだあれは」
「この水族館のマスコットキャラだよ。でかアザラシくん」
「でかアザラシくん」
「の、十分の一スケールの像」
「元の設定がデカすぎる」
あれだけキレイにデフォルメされたオブジェなんて、かなりの値段がしただろうに。
「だいたいああいうのは入り口にあって、館内を見終わったら印刷した写真とデータを買えるの」
「無料ってわけじゃないんだな」
「だいたい二千円ぐらいが相場だよ」
「たっか」
「『せっかくの思い出ですので』って言われると、安く感じるものなんだよ」
そうか。
せっかくの思い出、か。
「撮影自体は、無料みたいだな」
これは美優との初デート。
その思い出にと言われてしまうと、たしかに欲しくなってしまう。
「……撮っていくか?」
「そうしよっか」
美優がすんなりOKしてくれたので、俺たちは撮影の列に並ぶことになった。
美優と二人で写真を撮るなんて、家族写真以来な気もするけど。
どんな顔して写ればいいんだ。
「お次の方、どうぞー」
十五分ほど並んでいると、俺たちの番が回ってきた。
スタッフさんたちは撮影の要領は掴み切っていて、俺たちが大人しめなカップルだと見るや否や、腕に抱けるサイズのぬいぐるみを持ってきて、それと一緒に撮るように提案をしてくれた。
なるほどこれなら変なポーズを取る必要もないし、くっ付いていても恥ずかしくないので自然な形で被写体になれる。
問題なのは表情で、ここでまさかの美優が困った様子で「どんな顔をしたらいいかな」と相談してきたのだった。
思えば家を出てからも俺たちは恋人らしい雰囲気を醸してこなかったし、いざカップルとして写真に写れと言われてもどうしたらいいかわからなかった。
俺たちは人前でイチャイチャするのが苦手カップルだったのだ。
それでも後続が待っているし、モタモタしていては適当なタイミングでシャッターを押されてしまう。
だがここで閃くのが兄の頭脳だった。
「このぬいぐるみ、美優が持ってろ。遥との撮影だと思って、ほら、あのカメラにスマイルを」
そう指示すると、美優は即座に言葉の意味を理解して、エビのぬいぐるみを腕に抱きながらほんのり横目線のカワイイスマイルをキメた。
そこでパシャっとカメラのシャッターが切られる。
なお俺はその後ろで若干苦笑い気味の笑顔を作って、手だけはさりげなく美優の腰に回していた。
どうにか二人とも笑顔で撮ってもらうことができたが、なんともカップルらしさはないというか。
俺たちらしさはあるのでよしとするか。
「最初は、ペンギンだね」
「まさかの魚じゃないのな」
水族館を進んで、まず視界に入ったのがクチバシのついた二足歩行生物だった。
まるで集会をするように岩の上でたむろしている種類もいれば、頻繁に水に出入りしている個体もいる。
「ビルに入ってる水族館だと、入口からほとんど魚ってパターンも多いけど。ここは一応専用施設だから、外に近いところは陸の生き物を置いとくんだよ」
「ほう、そういう」
水族館も色々と展示の工夫がされているみたいだ。
奥へと進むと、映画のモチーフになった魚や食用でも有名な甲殻類が並んでいて、さらに進むごとに水深も大きくなってクラゲや深海魚なんかが見れるようになっている。
館内もブラックライトによる光の加減で空間全体を神秘的に見せたりといい雰囲気だ。
「近くで見ると面白い顔の魚って多いな」
「そうそう。女友達と行くと大体『可愛い』と『キモい』って言って回るだけで満足する」
「羨ましい……」
男集団ではできない楽しみ方だ。
こうして実際に回ってみても思ったが、いい歳の野郎が大勢で遊びに来るところとは言い難い。
そのお陰で客層はそこそこ品があるというか、まあ子連れが多いのでかなりうるさいのだけれども、恋人とまったり時間を過ごすにはちょうどよい場所になっている。
(しかし、これって……)
俺は隣を歩いている美優を横目に見て思う。
なんというか、普通に二人で水族館を回っているのだ。
家を出てきた兄妹二人のままというか。
山本さんとデートしたときのように、周囲からの視線が気になることもなければ、連れの存在を自慢げに感じるでもなく、妙な胸騒ぎを覚えることもない。
家にいる時と変わらず、当たり前の時間を過ごしているだけ。
これを恋人とのデートらしい一日と言っていいものか。
やはりイチャつきが足りないんだろうか。
男からイチャイチャしにいくってのも気持ち悪い話だし、ここは美優から『お兄ちゃん大好き』をしてくれるように誘導するしかない。
「これが一番大きい水槽みたいだな」
そこは館内でも一番の人気スペースで、多くの人が立ち止まって大水槽を鑑賞していた。
下にはエイ、上にはサメやイワシなど、多種多様な魚がごっちゃになって泳いでいる。
水槽をすぐ近くで観察したい人用の低い床と、水槽全体を観察したい人用に高い床があって、その二つを分ける手すりにはたくさんの人が密集していた。
着いてすぐは人が多すぎて近寄れなかったものの、数分遠目から眺めているうちにいい隙間ができたので、美優とそこに入ることに。
これならちょうど一人分しか空いてないわけだし、男女でくっついていてもなんらおかしくはない。
薄暗くて目立つこともないしな。
「こういう水槽さ、どこもサメと小魚が一緒になって泳いでるけど、どうして食べられたりしないのかずっと不思議なんだよね」
「調べてみるか?」
「いや、なんか、謎のままのほうがいいというか」
「そうか。楽しみ方もそれぞれだもんな」
そんな会話をしつつ、俺はさりげなく美優に後ろから抱きついて、その細ましくも柔らかい体の感触を堪能する。
嗅ぎ慣れたいい匂いがして、抱き慣れた体温があって、そこでようやく俺は、美優がそこにいる実感を得ることができた。
スキンシップが急に濃くなったことは美優も感じ取ったみたいで、手すりに手をかけながら俺を見上げてきた。
しかし、美優は何も言わず、単に触れ合いがしたかった気持ちが伝わったのか、すぐに前を向き直った。
その状態のまましばらく大水槽を眺めていて、美優の体の柔らかさを感じているうちについ胸の膨らみに手がいってしまい、揉むか揉まないかぐらいの強さで触ってしまう。
するとまた美優がこっちを振り返って、俺をジッと見つめてきた。
『どっち?』
そんな心の声が聞こえてきて、俺もごくごく小さな声で「したいとかではなくて……」と答えると、美優は納得してまた水槽のほうを向いた。
おっぱいは性的な興奮材料だけでなく、そこにあるとつい見たり触ったりしたくなる不思議な魅力がある。
そうしていると、美優が俺の腕を内側へと引っ張ってきた。
どうやら密着の具合が足りないらしく、俺はもう少しだけ美優をキツめに抱きしめる。
だが、それでも美優は物足りなかったようで、腰を何度も後ろに引いて俺にぶつけて、もっと強めるように催促してきた。
俺は全身でベッタリと美優に覆いかぶさって、密着の度合いを更に高めると、思い切って美優の肺が潰れそうなぐらいに体重をかけ、手もおっぱいを掴んだまま強く美優を抱きしめてやった。
美優は苦しそうにしていたが、全く拒むようなそぶりを見せなかったので、このぐらいの強さが正解だったとみて間違いない。
美優って結構、こういうの好きだよな。
「こんな楽しみ方も、あるわけだな」
俺が力を緩めると、美優は数回深呼吸をして、わずかにドヤ混じりの満足顔で振り返った。
「カップルだからね」
そうやって周囲にバレないように美優とイチャイチャを堪能して、手すりから離れてから歩く館内は、先程までと景色が変わっていた。
俺と美優がいる場所にはしっかりとカップル空間が出来上がっていたのだ。
やはりスキンシップは偉大だ。
ようやく恋人としてのラインに立てた気がする。
ただ、悔しいことに、性欲にまで火がついてしまって、下半身のほうも穏やかではいられなくなっていた。
山本さんが来てからの三日間は美優に抜いてもらっていなかったせいもあってすぐにスイッチが入ってしまう。
これではエロ目的で付き合っているだけと思われかねない。
冷静になるんだ、冷静に。
「あと、残ってるのは野外ゾーンだな」
「だいたいカワウソがいるとこだね」
薄暗い廊下に徐々に光が差し込んできて、自動ドアを開けた先には、小さな動物園にも思える緑豊かなオープンガーデンが広がっていた。
美優が言っていた通り、頭上に張り巡らされたパイプにはコツメカワウソがせわしなく行き来していて、若い客がこぞって写真を撮っていた。
どこでも人気の動物らしい。
これだけ開放的なスペースなら性欲も落ち着かせられそうだ。
俺は美優と清らかな気持ちで最後のスペースを眺め歩き、亀やうさぎと触れ合ったりして、最後に例の写真を購入して水族館を出たのだった。
フレーム付きの写真は美優のポーチに入れ、電子データは専用のサイトからダウンロードすることなり、俺は初めて公に見せられる美優の写真を手に入れた。
これで堂々と、彼女として、紹介ができるわけだが。
次の目的地である温泉は、スパをメインとした総合エンタメ施設で、湯につかるだけでなく食事や岩盤浴なども楽しむことができる。
受付でロッカーキーを兼ねるICチップ入りの腕輪を渡され、まずは更衣室で浴衣に着替えることに。
浴衣なんて人生で初めてだからきちんと着れているのか不安でたまらなかったが、これまでのあれやこれやのおかげで体が引き締まってきているからか、鏡に映るその姿に恥ずかしさはなかった。
更衣室を出るとそこには美優の姿があり、ピンク色の浴衣に身を包んで姿勢良く手を前に重ねて立っていた。
「おまたせ。思ってた通り可愛いな」
「そういうときは思ってたよりもって言わないと」
「ああ、悪い」
デート慣れの無さがまたここで露見してしまった。
ほんとエロゲの知識って役に立たないよなこういうとき。
「お兄ちゃんも似合うよ。いい体になったね」
美優は俺の腹筋をバシバシと叩いて、それから腕を組んで歩き出した。
まずは館内をぐるっと一周して美優が案内してくれるらしい。
横髪がさらりと揺れると、どんなときでも釣り上がりで強気な印象になる美優の目に楽しげな輝きが宿っていて、今日はデートしてあげられてよかったなと心底思った。
俺の妹はやっぱり可愛い。
こうした施設に慣れていない俺にとって、ソファーチェアが大量に並んでいるリラクゼーションエリアなんかは壮観で、バイキングにはビールサーバーも設置されており、いつかあれを美優と二人でグラスに注いで一杯やりたいものだ。
もしここが温泉旅館なら、酔った美優と部屋に戻って、浴衣を脱ぐのもそこそこに、なんてのもな。
(……やめろ。落ち着け。考えるな)
俺は瞼を力いっぱい閉じて邪悪な妄想を吹き飛ばす。
美優の浴衣姿がいけなかったのだ。
スパで配られる浴衣は生地が薄かったので、巨乳かどうかわかるぐらいの膨らみが見えてしまっていた。
腕に当たる美優の胸の感触も、普段よりダイレクトに感じられる。
こうした諸要素が間接的に俺の性欲を煽っていた。
それでも美優曰く、ブラジャーの膨らみが目立たないようにワイヤーのないタイプを持参してきたというのだから、この妹の胸のデカさというのが改めて分かるというもの。
思わず脱がせたくなってしまう。
「お兄ちゃん、お風呂場でおっきくしたりしないでよ」
「しないって」
美優のことを考えながら湯に浸かったりなんかしたら、風呂場で一人で勃起する変態になりかねない。
この浴衣だって勃起すればすぐに股間の膨らみがわかってしまうから、この館内にいる限りはエッチな妄想をしてはならないのだ。
だが、それでいい。
エロいことばかりを考えていたら、俺と美優はエッチをするだけの関係になってしまう。
もっと、恋人らしく、彼氏と彼女らしく、しなければならない。
「ここは予約制の個室があるみたいだから、我慢できなくなったらそっちに行ってからね」
「そんなものが」
冷静にならねばと思った矢先に美優がとんでもない情報を持ってきた。
「でも、夏休みだから満室になってるよな……」
そう思ってホームページから予約ページを見ると、予想通り灰色の文字でびっしりと。
しかし、それはまさに奇跡的に、一時間だけ休憩の枠が空いていたのだった。
「まじか、こんな時期にあるのかそんなこと」
「当日だと逆にキャンセルで空くことがあるんだよ」
「そうなのか。よ、予約、しとくか? 三時間後とかだけど」
「お兄ちゃんがしたければどうぞ」
ここで俺にボールパスか。
予約したらエッチがしたいだけだと思われかねない。
だが、せっかくの温泉で偶然にも巡り合った個室に入れるのだから、思い出としては貴重な体験といえようもの。
ざっと見る限り、もう先の予約は二週間ほど満室になっているし、事前にリサーチして個室を使おうと思ってもできなかったはずだ。
「予約したぞ。風呂の前にメシを食いたいんだけど、いいかな」
「いいよ。私も食べたい」
お風呂に入る前に食事をすることになり、フードコートに行って和食をいただくことに。
同じ刺し身の定食を注文して、対面に座って二人で喋って、美味しいごはんを頂いて、ひと休憩。
和室スペースを使っていたこともあり、食べ終わった後は美優も俺の横に来て、二人でダラダラと寝ていた。
俺たち以外にも二人で寝ているカップルがいたので、そう目立つこともなくくっついていられた。
美優の寝顔は可愛くて、頭を撫でるとまた気持ちよさそうに眠るので、愛おしさが倍増する。
これが俺の彼女なんだよな。
(……ただ、なんというか)
美優は俺の理想とする彼女だ。
かつて、俺がエロゲをやっていたころから憧れていた、まさしく妹的な愛嬌のある存在で、他に望むべくもない。
今日のデートだって楽しく過ごせているし、美優のことが心から好きなことに疑いの余地など微塵もなかった。
だからこそ、俺はもう、その事実から目を背けているわけにはいかなかった。
(美優を彼女って呼ぶのには、何故か抵抗があるんだよな)
あくまで言葉遣いとしての問題だと思い込んで避けていた。
美優を俺の彼女だと呼ぶことへの違和感。
互いに他のパートナーを作らない契約関係として、恋人同士であるとは公言していたものの、俺はほとんど美優のことを彼女だと言ったことはなかった。
俺にとっての美優の存在と彼女という言葉の定義が、微妙にズレている気がしたのだ。
美優のことが一番に好きなことに嘘偽りはないものの、正直なところを話してしまえば、『理想の彼女』のイメージを挙げるときに出てくるのは山本さんだった。
(もしかして、これなのか)
山本さんが言っていた、俺が美優か山本さんかを選ぶ余地とやらが、この気持ちの迷いを指しているのだとしたら。
たしかに解決しなければならない大事な課題ではある。
「そろそろ、お風呂に行く?」
「そうしようか。水族館を歩き回って足も疲れたしな」
美優が短い眠りから目覚めたので、そこで二人で別れて浴場に行くことになった。
せっかくカップルできたのに、肝心のお風呂は一人で入らなければならないのが温泉の残念なところだ。
客室露天風呂のある旅館なら混浴で入れるらしいし、美優ならいいところを知ってないかな。
まず間違いなくエッチなことをするだろうけど。
「はぁ……」
シャワーで体の汚れを落としてから、俺はヒノキで作られた円形の風呂に浸かってさっきの続きを考えていた。
俺と美優がイチャイチャしているときは常にエッチをしている。
無論、ドライな関係でいるのが嫌なわけではなし、だからこそエッチに耽る美優が可愛く映る部分もあるわけで。
今の距離感が悪いとは全く思わないのだが、そこにはいわゆる“彼女感”というものはなかった。
(そもそも、要るのか? 彼女感)
なんてことを考えてしまうほどには俺の脳は考え疲れていた。
こんな調子ではせっかくの初デートが台無しになってしまいそうだ。
今日は、いつもの俺でいよう。
美優もエッチをすることに前向きだったし、これまでお預け状態だったのは美優も同じなのだから、むしろ美優だってエッチがしたくてたまらないはず。
しかも中出し解禁日だ。
美優の生の膣内に精液を注ぎ込める日。
本能側の美優はめちゃくちゃ喜んでくれるだろうな。
早く生セックスがしたい。
妹に中出しができるなんて兄として最大の幸福じゃないか。
マジで彼女感とかどうでもよくないか?
あの可愛くて巨乳の妹に中出しできるんだぞ。
しかも、美優が許してくれるなら、このスパの休憩室で、さっそく試射できるわけだ。
ダメか?
ダメだろうか。
初中出しはきちんと俺の部屋のベッドでしてほしいかな。
それもありうる。
なら休憩室でできるのはフェラだけになるわけか。
だが、それでもいい。
美優と家以外でエッチができるなんて、そうない話だろうからな。
それに三日も精液が溜まってるんだ。
ドロドロに濃い精液を飲ませてあげることができる。
早く飲ませたい。
「……ダメだ、落ち着け、何してるんだ俺は」
小声で自分を諌めて気を静める。
妹に中出しがした過ぎて公共浴場で思いっきり勃起してしまった。
美優にもするなと注意されていたのに。
俺は膝を畳んで勃起したペニスを隠し、それが通常サイズに縮まるのを待ってから風呂を出た。
美優とエッチがしたいがまだ二時間以上の待ち時間がある。
ここはいったん、深呼吸だ。
吹っ切れてからの思考速度がヤバすぎた。
なんだって性方面の魅力があんなに高いんだうちの妹は。
これからまた美優と合流だからな。
失言だけはないようにしないと。
「スッキリした?」
湯上がりの美優は髪の毛を結い上げていた。
髪をまとめると顔面の良さがより際立って、その低い身長との対比がよく映えるようになる。
大和撫子然とはこのような姿を指すのか。
「汗もかいてさっぱりだよ」
血流が良くなりすぎて困るほどにな。
さて、どうやって個室までの時間を潰すかな。
「岩盤浴にでも行ってみるか? 俺は名前を聞いたことあるだけで、どんなとこなのか知らないんだよ」
「行こ行こ。そこぐらいしかないし」
そうして俺は美優を引き連れて岩盤浴エリアへ。
どうしてか、このあたりから美優への視線が集まり始めた気がする。
すっぴんの女の子が多いせいで、相対的に美優の美少女度が最高値に達してしまったからなのだろうか。
でも、各カップルの彼女さんたちも、みんな美人ばかりだ。
「すっぴんでも、可愛い子って意外と多いな」
「あれがお兄ちゃんたちの好きなナチュラルメイクってやつだよ」
「えっ、化粧してんの? あれで?」
「公共の場ですっぴんになるわけないじゃないですか。ましてや彼氏の前で」
「そうか……」
美優に教えてもらったポイントに従って目元や眉毛を確認してみると、たしかに人工的な痕跡があった。
あれで肌本体はゴリゴリに濃く美白しているらしい。
とはいえ、それで可愛く見えるのなら、化粧って正義だよな。
「美優はしてるのか?」
「私はあんまり。元のメイクだって薄いし」
「そうなのか」
美優はまだ中学生だもんな。
出かけるときは化粧らしさを感じることはあっても、私生活で化粧した顔をみることはほとんどない。
うちの妹はいついかなるときでも可愛いんだ。
「妹のすっぴんが可愛くてよかったね」
美優が俺にぴったり寄り添って、自慢気にそう囁いてくる。
「ま、まあな」
こういうときはすかさず心の中を読んでくる妹だ。
何にしても素体が良いにこしたことはない。
お風呂に入ってたってベッドの中だって美優は可愛いんだからな。
「二時間後はそんな可愛い妹と二人きり」
「やめろ、俺を盛り上げるな」
美優から追撃の燃料投下。
むくむくとやる気が湧き上がってきてしまう。
体は反応させないようにしなくては。
だが、美優の言う通り、俺はこの顔の良い湯上がり美少女とイチャラブエッチする予定があるんだ。
存分に自慢の妹を眺めていくがいい男子諸君よ。
そして羨ましがるがいい。
なんて、怨念じみたことを考えていたら、本当にあの山本さんとデートをしていたときのように視線が集まってきた。
どうやら、水族館の最後のあたりから俺が欲情しだしたのがきっかけらしく、俺に欲情されるとテンションが上がってしまうこの不埒な妹は、それを機にラブラブオーラを醸し始めたのだった。
やはり女の子からの大好きアピールは誰もが憧れるものなんだな。
「お兄ちゃん、その部屋のとこが二つ空いてるよ」
「なら、そこから行くか」
岩盤浴はその効能によって部屋が分かれている。
これから入る青色ライトの岩盤浴室は全身の筋肉をリラックスさせる効果があるらしく、この間の筋肉痛からいよいよ完全回復ができそうだ。
「下は普通に硬いな」
「それが岩盤浴ですから」
ブランケットを敷いて温められた床に寝転がり、そこで美優と仕切りを挟んで寝る。
美優が一番奥で、俺がその手前。
たしかに全身が内側からポカポカと温まってきて、疲労回復には効きそうだ。
枕まで硬いのは個人的に困りものだが。
(美優はどうしてるかな)
静かなのでしゃべることもできず、寝る以外にやることがない。
そういう施設なので当然なのだが、ふと美優がどんな様子か気になって体を起こしてみる。
(うーん……これは……)
おっぱいが重力に押されて、浴衣の隙間からお肉の丸みが覗いてしまっていた。
それは日常見える谷間ぐらいの隙間ではあったが、他の男の目には入るのは好ましくない。
対面の位置にいる人たちは全員が女性のグループだったので、美優もそのあたりわかっててやっているのだろうが、俺としては気になってしまったのでそっと手を伸ばして美優のおっぱいを隠したのだった。
そうしてようやく安心ができたところでまた寝転がる。
早く時間が過ぎ去ってほしいと願いながら。
これはデートなのだから、一分一秒を惜しみながら楽しむべきなのに。
どうして俺はこうも性欲優先なのだろうな。
これでは山本さんとお外でエッチをしているのと変わらないのではないか。
山本さんは恋人ではないので問題はなかったのだが、それが美優も同じとなってしまっては困るのだ。
たとえ彼女感はなかったとしても、セフレになるのだけはいけない。
それでは俺が山本さんを捨てて美優を選ぶ理由がなくなってしまうんだ。
(ここは一つ、視点を変えてみるか)
美優は俺にどんな彼氏でいてほしい?
美優から見た俺に彼氏感はあるのだろうか?
できることなら頼れる男になって、デートでもぐいぐい引っ張っていってほしいとか、そういう理想はあったりしないか?
考えて、考えて、グルグルとこれまでの美優や山本さんとのやりとりを反芻し、一つの答えを得る。
美優からの要望なんてものは、無い。
これは断言する。
いまの俺でいい。
その結論だけは変わらなかった。
だとしたら、じゃあさっきの彼女感なんてものも、どうでもいいものだったのか?
そう自分に問いただしてみると、一番しっくり来るのは「なくてもいい」という回答だった。
しかし、答えに無責任な感も否めないわけで。
ここだけだ。
彼女感なんてどうでもいい。
これはしっくりくる。
だが現実、美優とは彼氏彼女として付き合っていかなければならなくて、その事実を無視することもできない。
この不協和。
こいつさえ正せれば、俺に迷いなんてものはなくなる。
ならこれだけを、じっくりと考えていくことにするか。
「お兄ちゃん、あとどれぐらい居る?」
「もう出ようかとは思ってて。空いてそうなとこ適当に回ったら、あと汗を流して時間まで休もうか」
せっかく来たので岩盤浴なるものをあるだけ堪能して、体の調子が良くなった気がしてきたところで切り上げる。
最後にその岩盤浴でかいた汗を、もう一度お風呂に入り直してさっぱりと流し、残りの時間はリラクゼーションエリアでまったりすることにした。
のだが、そこは残念ながら人でいっぱいだった。
ポツポツと椅子の空きはあったのだが、二人で並んで座れそうな余裕はない。
ソファーチェアを後ろに倒せば寝ながらテレビが見られることもあって人気のスペースなのだ。
「雑魚寝のほうなら空いてるね」
「そっちにするか」
リラクゼーションエリアの一画にはゴザが敷かれた休憩スペースもあって、そこには四角いたわら枕が規則正しく並べられている。
広さとしてはテニスコート二つ分ほど。
寝ている人は疎だった。
というのも、床にゴロ寝するタイプは低温サウナに似たような場所があって、多くの人はそちらに流れるのだ。
俺と美優はできるだけ入り口から遠く、人の少ない所を選んで横になった。
美優は髪を結い上げていたクリップを外して、その長い髪を下ろす。
内側にこっそりと入れたピンク色のエクステが艶の良い黒髪と混ざり、同じ淡赤色の浴衣とマッチしていて、そこには現代風ながらも奥ゆかしい美少女が寝そべっていたのだった。
和風ってエロい。
「あと三十分もあるね」
美優が俺との距離を縮めてきて、温まった体の湯気すら感じてしまうほど接近した。
思いっきり抱きついて寝ているカップルも何組かいたので、それほど目立つこともないだろうが、こんな公共の場所で美優と触れ合えるなんてドキドキしてしまう。
「休憩室を使うために休んでるって、なんか変な感じだよな」
それだけカップルにとって、個室というのは重要な場所。
『二人きりになれる』という言葉がもたらす付加価値は人類にとって無限大の意味がある。
「休憩する気なんてないくせに」
美優は人差し指を俺の浴衣の隙間に入れて、胸元の重なりを緩める。
美優の言う通り、俺はエッチがしたいから待っているだけだ。
それは美優も同じはずだが。
「美優も期待してるんじゃないのか」
俺も同じように、美優の浴衣の胸元に指を入れて、その隙間を開けるように下ろしていく。
その指先に当たったのは、柔らかい生肌の感触だった。
「着てないのか……?」
美優はTシャツも身に付けずに、下着の上に直に浴衣を羽織っていた。
もうそれだけで俺の心臓の鼓動は最高潮に達して、体が熱くなってくる。
「ほんとはブラも外そうと思ったんだけどね。先っぽが浮いちゃうから」
美優は腕で胸を隠して、その豊満な乳房を寄せ上げた。
エロいなこの妹は。
「奏さんなら全部脱いできただろうけど」
「やりかねないな」
「私はそこまでできないので、これでご容赦いただけますでしょうか……」
「十分だよ、十分すぎる」
俺は美優の浴衣を上から覗き込むようにして、そこに広がる美肉の園に、目が釘付けになっていた。
かつてないほど防御力の低いその装い。
襲いたくなってくる。
「お腹、触っていいか」
「えっ……ぁ…………んっ……」
俺は美優の浴衣の中に手を入れて、サラサラとした肌の感触を手のひら全体で堪能する。
くすぐったいのか感じているのか、時折美優が色っぽい声と共に身を捩って、そんないじらしい姿に俺の性欲がまた燃え滾ってしまう。
「お兄ちゃんのエッチ」
抵抗もしない妹に潤んだ目で見つめられて、そんなありふれた言葉がストレートに俺の性癖に突き刺さった。
トランクスはもう我慢汁でベトベトになっていて、このままだと浴衣まで汚しかねない。
というより、こんなに勃起してしまって、俺はどうやって立ち上がればいいんだろうか。
でもそんなこともどうでも良くなるぐらい、美優の浴衣に手を突っ込んで弄るのは滅茶苦茶に興奮した。
「あ、あんまり、激しく触ると、はだけちゃうよ」
「……っ、すまん、やりすぎた」
俺は浴衣から手を引き抜いて、襟を整えて美優の肌を隠す。
緩んだ帯はそのままなので浴衣全体は乱れたままなのだが。
どの瞬間を切り取っても美優がエロい。
心臓が肋の中心を叩くように激しく拍動している。
今すぐガス抜きをしないともっと破廉恥なことをしてしまいそうだ。
「ずっとおあずけだったもんね。溜まっちゃって大変なんじゃないかな」
美優は勃起した俺のペニスに爪の先を軽く当てて、浴衣の上からツーっと筋に沿ってなぞっていく。
射精できない状況で妹に煽られる多幸感が、限界近い性欲にさらに燃料を投じていた。
「美優だって、ツラいんじゃないのか。ほんとはしたいだろ」
俺がそう尋ねると、美優は上気した頬を緩めて、その本音を口にしてしまうかをしばらく迷ってから、ついには打ち明けた。
「妹はお兄ちゃんに欲情されていれば幸せなので」
いつだかも聞いたその答え。
だが、事実として、美優にとってはエッチをするにあってそれ以上に大事なことはないようだった。
「エロ妹め」
まるで男に興味なんてありませんみたいな顔をしておきながら、兄の前となると淫らな本性を隠せなくなる、どうしようもないブラコン性欲妹だ。
俺はそんな憎らしい妹に仕返しがしたくなって、浴衣の下から手を忍び込ませると、パンツの裏側にある小さな肉芽を爪で軽く弾いた。
「んんっ……あっ……!!」
予想だにしなかったほど大きな声が漏れて、俺も美優もテンパって身を縮こまらせた。
実際には、自分たちで聞こえていたほどの声量ではなかったようなのだが──そこはさすがに美優が耐えた──、周囲の目がこちらに向いていないか怖くて動けなかった。
「お、お兄ちゃん……」
美優が指先でちょこんと俺の服を引っ張って非難の目を浴びせてくる。
仕方がないので勇気を持って周りを確認してみたが、こちらに視線をよこしている人はいなかった。
一番近くで寝ていた女の子組も急にヒソヒソと話を始めたりはしなかったので、あれが喘ぎ声として誰かに届いたことはなかったみたいだった。
「指先で擦ったぐらいであんなに感じるとは思わなくて」
「うっ……、う、うるさい。そういう体質なんだからしょうがないでしょ」
美優は股を隠すように浴衣を下に引っ張る。
「個室が空くまであとどれぐらいだ」
「まだ何分も経ってません」
「なんて生殺しだ……」
こうして手で触り合うだけでなく、美優の柔肌を全身で感じて、勃起したペニスを慰めてもらいたい。
もっと男女で使えるプライベートスペースが増えたらいいのに。
いや、俺たちが寝ているこの場所も、十分に人目につきにくいところではある。
全体が浴室のようなものだから監視カメラも設置されていないし、何もできないわけではないんだ。
「ここは壁際だし、人がいるところからも美優の背中で隠れるから、おっぱいを吸うぐらいはしてもバレない気がする」
「できるわけないでしょうが。声を我慢するのがどれだけ大変だと思ってるんですか」
「そこは、どうにか、美優の努力で……」
そうでもしてくれないと気が収まらない。
何かしら俺の性欲が満足できるご褒美が脳に欲しい。
「そうだ。美優、パンツを脱いでくれないか?」
「えっ、なんで」
そんな露骨に引いた顔をするものじゃない。
「美優がこの場でパンツを脱いでくれるだけで死ぬほど興奮する」
「変態さに正直なのは結構ですが、そうすると妹はノーパンになってしまいます」
「エッチな格好になって恥ずかしがる妹が見たいんだ」
「実の妹に向かってなんてことを」
それでもなお、俺は期待の眼差しで美優を見つめた。
美優に触れるわけじゃない。
性器をイジるわけじゃない。
だからこれはエッチではないのだ。
「いやぁ……それは、ちょっと、ね……」
美優はふとももを擦り合わせてモジモジしている。
どうやらやんごとなき理由がありそうだ。
「これがないと、歩くときにお汁つゆが垂れてしまうので」
美優はなおも股を押さえながら目を泳がせる。
どうやら愛液を受け止めるものがないと、床に垂れ落ちてしまうことを気にしているらしい。
俺とエッチなことをしているとすぐに濡れてしまう美優からしたら大きな問題だ。
だが、脱いでもらわなければ困る。
俺が興奮を抑えきれそうにない。
ここで脳に何か満足する情報を与えないと、大変なことをしでかしてしまいそうだ。
「要は、漏れなければいいんだよな」
俺の頭は驚異的な速度で回転していた。
兄は妹とエロいことをするためならどこまでも進化を遂げられる。
「美優、その点なら大丈夫だ。パンツがなくてもどうにかなるよ」
「そうなの?」
「ああ。だから、まずは兄を信じて脱いでほしい」
「お願いの内容がもう信用ならないんですが」
そうは言いつつも、美優は周囲からの視線がないことを俺にアイコンタクトで確認してきて、誰もこちらを向いていないことを俺も頷きで返した。
それから、浴衣の下から手を入れた美優は、できるだけ上半身の姿勢を変えないまま脚だけを巧みに曲げ伸ばしし、するりするりとパンツを脱いで足先から手に取った。
「ぬ、脱いだよ」
美優はまた目を合わせてくれなくなって、恥ずかしそうにパンツを浴衣の中に隠しながらノーパンになった事実を伝えてくれる。
「なら、そのパンツをまずは俺に」
「いいえこれはポーチに隠します」
「なっ……」
ここまでやっておいて付き合いの悪い妹だ。
別に何をしようってわけじゃないのに。
「せめてこの瞬間だけでも触らせてほしい。美優の温もりを感じたい」
「もー……しょうがないな」
美優は背後にいる人たちから見えないように、低い位置で薄桃色のパンツを外部に晒して、それを俺に触らせてくれた。
髪色にピンクを入れているおかげか、最近の美優は同系色のアイテムがマイブームのようだ。
「うぁ……すっごいあったかい……」
「妹がついさっきまで履いてましたから」
「もうこの中に射精したいんだけど」
「ダメに決まってるでしょ」
美優はそう言って巾着ポーチにパンツを入れてしまった。
俺が三日も射精せずに溜まっている事実は美優も知っていて、だからこそ勝手な射精は許されないのだ。
ましてや美優の体外になど。
「で、私はどうすればいいの。まさか手で押さえて歩けなんて言わないよね」
「それについてはだな」
美優がどんなに興奮しても愛液を垂らさずにノーパンで歩き回れる方法。
それは実にシンプルで、かつ雰囲気を損なわない至高の対処法だった。
「美優のことだから、絆創膏を持ってるんじゃないかなと思って」
ぴっちりツルツルのパイパンだからこそできる最善の策。
美優が無毛なのは絆創膏を貼るためだったのではと思えるほどのジャストアイデアだった。
「悔しいことに持ってるけどさ。その、なに。お兄ちゃんはそんなので興奮するの」
美優は身を守るように体を抱きすくめる。
そんな美優を励ますように、俺は美優の肩を揺らしてありったけの想いを打ち明けた。
「するよ。死ぬほど興奮する。てかもう想像するだけでイキそうだ」
美優が疑問に思う気持ちも理解はできた。
見栄えでエロい部分はもちろんあるが、絆創膏を貼るだけでそこまでの興奮材料になるかと問われるとそうでもなかった。
だが、今回は目的が別。
これから貼る絆創膏には、この公衆浴場で美優をノーパンにするという大事な意味があり、さらには美優の愛液を漏らさないという重要な役割を担っている。
だから、その絆創膏は果てしなくエロいのだ。
その情熱は、俺の意志を込めた告白で美優にも伝わったはず。
「このポーチに入ってるんだよな?」
「化粧品用のミニバッグにありますけども」
美優は嫌がるそぶりを見せながらも絆創膏の存在を教えてくれた。
つまりは、貼る気は満々ということだ。
「よし、あった。俺が貼ってもいいか?」
「え、いや。お兄ちゃん絶対に触るじゃん。それに、貼っても見せないからね」
なんと強情な妹よ。
強気な目がさらに迫真がかって、しかし、これから股に絆創膏を貼るという事実は揺るがないと思うと、それはそれでエッチなのでまあいいかなという気もしてきた。
俺は大人しく絆創膏を美優に渡して、貼るのを任せる。
美優はまずティッシュでアソコを拭おうとして、そこで、実は自分でやるのも結構恥ずかしいということに気がついた。
「そんなに見ないでよ」
トイレで用を足した後の姿を見られるようなものだ。
恥ずかしくないわけがない。
「やっぱり俺がやったほうが」
「い、いいです。自分でやります」
美優はやりづらそうにしながらも、できるだけ股座に手を突っ込んでいるのがわからないよう、何度も浴衣の掛かり具合を調整して、まずは愛液を拭き取った。
それから絆創膏のシールの片方を剥がし、再び下半身へと手を伸ばした。
「ん……んと、ここで、いいのかな……」
美優は割れ目の位置を指で探って、迷いも吹っ切れないまま、自分の股を弄っている姿を俺に見られるのが恥ずかしくて適当にアタリをつけて絆創膏を貼り付けた。
そして、最後にもう片方のシールを引き剥がそうと、指の摘み方を調整しているところで俺がストップをかける。
「片端を貼るのだけでも俺にやらせてくれないか」
「えぇ……まあ、いいけど……」
これで結構押しに弱い美優は、大好きな兄の願望を無下にすることもできず、渋々と俺の手を誘導して絆創膏の端を渡してくれた。
「美優のそういうところ、俺は本当に好きだからな」
「こんな状況で言わないでください」
それでも嬉しそうにするのがうちの可愛い妹で、そんな美優のために俺は丁寧に絆創膏を貼り付けていった。
最後にペロッとそのシールが剥がれると、なんとも言えない達成感と幸福感が俺の身を包んだ。
「念のため、割れ目が隠せてるか確認するからな」
「う、うん……」
俺は絆創膏の上を指でなぞって、その両端に指が沈み込む溝が残っていないことを確認する。
「ん、んっ……なんか、変な感じ……」
絆創膏の上から性感帯を触られるのは、コンドーム越しの感触ともまた違った感覚だろう。
「貼ってるとこ見てもいい?」
「それはダメだって言いました」
ダメなものはダメだった。
しかし、あの美優がアソコに絆創膏を貼ってるなんて。
考えれば考えるほど興奮する。
今後の妄想に影響をきたしそうだ。
そして、ミニバッグに残った絆創膏を見て、俺の脳がさらなる閃きに至る。
「この絆創膏があればトップレスにもなるんじゃないか」
「どれだけ妹を剥きたいんですか」
美優がブラジャーをしてきたのは乳首が浴衣に浮いてしまうからだと言っていた。
であれば絆創膏で乳首を隠しさえすれば、美優は下着の一切を身につけずに浴衣だけになることができる。
さすがにブラ紐を抜くのに浴衣を脱ぐ必要があるのでその願いは叶えてもらえなかったが。
「予約まであと何分あるんだ。俺はいつになったら美優とエッチができる」
「あと十分もないから、もうちょっとだけ待ってね。移動の時間を考えたらすぐだよ」
時間を確認しながら美優もそわそわしている。
性欲が抑えきれないのは俺だけではない。
「美優も早くエッチしたいもんな」
「……うん」
もう正直になるしかない美優に、俺は最後の癒しを求めてもう一度秘部を触りにいった。
今度は美優も抵抗せずに俺の手を受け入れてくれている。
左手で絆創膏に隠されたスジをなぞり、右手は美優のブラジャーに手を突っ込んで、すっかり硬くなっていた乳首を手のひらでグリグリと弄りながら揉みしだく。
「んぁっ……はぁ……お兄ちゃん……」
美優が熱い吐息を漏らして、つい声が漏れそうになると、美優はその瞬間に自らの手で口を塞いだ。
遠くから見ても怪しまれないように、不要な身動ぎをすることもできず、無抵抗にやられている美優はこの世で一番エロかった。
「美優。部屋に着いたら、中に出していいよな?」
二人きりになったらもう我慢なんてできない。
前戯はもう十分に済んでいるし、なんならドアを閉じた直後にペニスをねじ込んでやりたい。
「う、うん。お兄ちゃん、いっぱい溜まってるもんね」
美優の生の膣内に精液を注ぎ込める。
妹のこのいやらしい体に俺の生殖の証を染みつけられるんだ。
「大事な記念だから、今日は子宮に一番近いところで射精しようか」
「うぅ……それは……非常に危ないような気もするのですが……」
美優は俺のペニスで子宮口を小突かれるとすぐに雌化してしまう。
ましてや生の挿入で、互いの生殖器にキスをさせてるような状態で精液を注いだりなんかしたら、美優は本能剥き出しのエロ妹へと変貌しかねない。
それでも出したかった。
その後のことはどうにでもできる自信が、今度は俺の本能の側から湧き上がってきていたからだ。
「美優が一生忘れられないぐらい、思いっきり射精するからな」
俺は美優を抱き寄せて、さりげなく露出させたペニスを美優のお腹に擦り付けた。
その瞬間に美優の膣内がビクビクと脈打って、もしかしたらその瞬間にイッていたのかもしれない。
「優しく、してください……」
エロスイッチが入った美優と、ようやく耐えた三十分。
時間になると、俺と美優はラブラブな生ハメセックスをするために、足をもつれさせながら駆けるように個室へと向かったのだった。