窓際の席から見える山々は、緑と紅の入り混じった初秋らしい姿だった。
特急電車が揺れるたびにテーブルに置いたペットボトルの中身が大きくうねって、倒れないかと心配にはなるものの、意外なほど安定しているので気にする必要がないことにそろそろ気づき始めたぐらいの時間が経過している。
美優がお菓子を摘むたびに目端に見える萌え袖と、車外の景色を交互を楽しんでいる俺は、兄妹で初めての宿泊旅行に向かっているのだった。
ずっと同じ家で暮らしてきた俺たちにとって、おそらくは一般の恋人たちが抱くほど、お泊まりへの興味はない。
それでも、外出すれば普段は見られない美優の一面を見ることができるし、この旅にも意義はある。
家の中はどうしても二人きりの閉じた世界になるから、美優が他人に対してどう振る舞うのかを見ることはできないからな。
あと二十分ほどで目的の駅に到着する。
いまはそれぞれでスマホをイジってリラックスタイムだ。
なんなら途中、美優は軽く眠ってさえいた。
SNSを眺めて、ゲームがやりたければやって、動画が観たければ観る。
疲れたら目を瞑って休んでもいい。
もはや一人旅行でたまたま隣に恋人が居合わせた程度のユルさだった。
「にしてもまあ、水族館に続いて動物園とは。らしいところを選んだね」
「距離も内容もちょうどいいのがそれしかなかったんだよ」
いくらデートスポットを検索してもピンとくるものがなかったのだ。
出てくるのは、自然公園の散歩や美術館巡りばかりで、後は秋の味覚を楽しむぐらいしか目につくものがなく。
人は寒くなってくると穏やかに時間を過ごすことを好むようになるらしい。
今回のメインは温泉だから、疲れた体を癒すこともできるので、バスで移動できる距離にあって夕方までの時間が潰せれば何でも良かった。
俺にとっては、色んな美優の姿が見れることが一番大切で、どんなにベタな場所だろうと、俺はこれからも美優と共に行きたい。
「果物狩りっていう選択肢もあったんだけどな。前に山本さんと行ったのもあるから、今回はなんとなく」
「まあ私は奏さんほど食べないしね」
美優は食べ進まなくなったお菓子をビニール袋にまとめてリュックに入れる。
宿泊に必要な一式は宿に送ってあって、持ち歩きの荷物はこのリュックだけだ。
旅行では節約より楽を取る方がいい。
「気にする?」
「気にしません」
山本さんとのほうがデートらしい時間を過ごしていたことについてである。
美優が俺に山本さんを恋人として扱えと言ったので、過去に起きた出来事には気にする要素などないだろうが、デートの内容が被ると美優と行くことを無意識に避けてしまうのは振り返ってみると申し訳なくなる。
いずれ気にしなくなる程度の些末な悩ましさではあるけれども、美優はどう感じるのかと尋ねてみたわけだ。
「そういうのを羨む気持ちが恋心なんだって思ってた時期はありましたが」
美優はポニーテールに縛っているゴムをちょんちょんと触って結び目を確認する。
今日は珍しくパンツスタイルで、いつもよりお姉さんの風味があった。
昔の俺は、冬が近づくにつれて女の子の化粧が濃くなっていくことが苦手だったのだが、最近では明るい目元と紅いリップをした美優の顔が好きだったりする。
外にいるときにどんな格好をしていようと、風呂を終えてベッドに入れば素のままの体を堪能できるのだ。
なので美優には自分の趣味で好きなように生きていてほしい。
「体質のことで悩んでたせいで、恋とか愛に固執することになったわけだけど。なんか……ちょっと違うんだよね」
美優は元より、他人への関心が薄い。
というより、自分に対する関心が強いので、相対的に他人がどうでもいい。
そんな美優も、年齢と共に体が成熟し、男に対して強い忌避感を覚えるようになってから、否が応でも人生というレベルで人付き合いを考えさせられるようになった。
兄以外に孕まされることは、美優にとって精神的な死を意味する、というとその深刻さがわかるだろうか。
結果的に、それは恋愛にまつわる悩みになり、根っからの思考の極端さから、俺を求める気持ちが独占欲として表れていた。
とはいえ、本来の美優はこうなのだ。
全く笑うこともなく常に人と距離を置くのは男嫌いにより生まれた過剰反応であったものの、こっそりロリコスを楽しんでいる清楚な自分という理想を見つめ続けた先に、必然的にこの性格には至ったわけで。
俺との将来が確約された今、美優はついに自分らしさを取り戻した状態といえる。
あのドタバタは美優からすると思春期に必要な通行料だったのかもしれない。
俺からも、陰茎に歯形をつけられたりと、結構な通行料を支払ったわけだが。
美優は車両の前方に流れる電光掲示板に目をやる。
そろそろ下車をする時間だ。
「私がいてほしいときにいてくれれば。お兄ちゃんは存在してるだけで安心剤だから」
美優は穴の空いたチケットを俺に手渡す。
特急の乗車券はネット決済で完結させることもできたが、これだけは旅らしさを味わうために紙で発行してくれた。
「俺のこと好きだな」
「どうせお兄ちゃんは妹のことが一番好きだろうしなあと思ってることもあります」
悔しいことにその通りではある。
エロゲの趣味からすると先天的にシスコンだったのは否定しようもない事実だが、あくまでも俺は美優の漢気に惚れていて、たまに垣間見えるデレに萌えて好きになっている。
これは嘘ではない。
「お兄ちゃんとの将来をリアルに考えることも多くなったし。二人で幸せに暮らすために不要な思考は、もう捨てようかなって」
「なるほどな」
さしもの美優も、恋愛経験がなかったが故に、愛で固く結ばれた男女はこうでなければならないという思い込みを抱えることになった。
他人の一切を感知しない世界で性欲の限りを尽くすのも幸せな生き方だが、現実にはそんな生活は何年も続きはしない。
雑然とした世間の中で、人には見せられないような濃密な関係をひっそりと結ぶからこそ、そこに興奮が生まれ、性欲は愛情になるのである。
後半は特に俺と美優に言及した話にはなったが、つまりはそういうことなのだ。
「じゃあ楽しいこと探しに行くか」
「ですね」
電車を降りてからはバスが来るまで駅周辺で食べ歩きをすることになった。
誰に渡すわけでもないのに土産屋を回って、美味しそうだと思ったものをすぐ食べるために買うのである。
女の子は可愛いお財布に現金を入れて持ち歩いているというのは古いステレオタイプで、この妹ときたらプリペイド式の決済を使いこなしており支払いは実にスマートだった。
美優は早くクレカが欲しいと言っていたので、俺が卒業したら作るのもいいかもしれない。
いや、家計管理をされると履歴を見られて変なものを買えなくなるから、それは避けるべきか。
まあそれは美優もお互い様だろうが。
「はい、温泉たい焼きが白と黒で一つずつね」
「どうも」
駅構内に屋台を構えたような暖簾付きの店で、太めの女店主から紙袋を受け取る。
外から触ってもアツアツの出来立てだ。
温泉街ときたら温泉饅頭、というのはありきたりだが、SNSが栄えている昨今ではその派生系みたいな珍しい食べ物がそこかしこに売られているのだ。
中身は普通の饅頭と変わらないとわかっていても、つい目に入って買いたくなってしまう。
隣ではアルバイトの女の子がレジをしていて、美優がスマホを手に支払いをしていた。
一つ前の店で買った濡れおかきを口に咥えているのが、小動物みたいで愛らしい。
「可愛い彼女さんだね」
女店主が美優の姿を見てから満面の笑みを俺に向けてくる。
気さくな性格をしている風体なので、悪気なしに言ったのだろうが、まさかこの時代にあってそんな言葉を掛けられるとは思っていなかった。
「妹です」
「あらそれは失礼。兄妹で仲が良いのは素晴らしいことだね」
反射的に訂正していた。
否定的な気持ちが働いたわけではなく、まだ幼さの抜けきらないあの容姿が視界に入ると、俺は美優をまず妹として認識するのだ。
「先に白を半分もらうね」
美優が俺から紙袋を受け取って中を弄る。
俺と女店主の会話は聞こえていたよな。
「マズかった?」
「私を妹だって言ったこと?」
「うん」
俺が食べ物を持つ係で、乗車の時間を迎えつつあるバス停に向けて歩いていく。
二人で歩くときはあえて堂々と手を繋いだりはしない。
むしろ人気の少ないところでだけそっと繋いで歩いたりしている。
美優はお店から見えなくなったあたりで、俺の腕に抱きついて身を寄せてきた。
「ちょっと良かった」
夜には溺れるようなセックスをする二人なので、むしろ兄妹と認識されるほうが興奮する、ということだった。
「美優も言うようになったな」
「お兄ちゃんが喜ぶかなって」
「なんだよ……」
俺と密着している美優の顔は相変わらずの真顔である。
それでも、目が合えばそのクールな表情の奥に、今を楽しんでいる感情は見て取れた。
心の中では言葉通りのことを感じていそうだな。
さて、それからは動物園に行ってデートをするわけだが、特別なイベントなどないのである。
由佳や山本さんを相手にしていたときのように謎の使命を背負っているわけでもなければ、遥や川藤と話したときのように秘密を教えてもらうわけでもない。
バスを降りたらちょうどお昼頃で、食事は食べ歩きで済ませたので園内のレストランに向かったりもせず、エントランスで受け取った地図を広げて順に動物を眺め歩くだけ。
途中にふれあいコーナーはあって、その一つがカピバラへの餌やりだった。
「美優って好きな動物とかいるの?」
「あんまり考えたことはない」
百円玉をレジ代わりの箱に入れて笹の葉を受け取った美優は、その半分を俺に渡してからカピバラの前にしゃがみ込んだ。
隣では子供がおっかなびっくりに投げるようにして餌をあげていて、カピバラがそれを食べに近づくと悲鳴を上げて逃げ回っている。
美優はカピバラと真正面に向かい合って、同じような仏頂面を突き合わせているのであった。
目をパチクリさせるだけで何も考えてなさそうなこの顔がとても好きだ。
それでも所作は相変わらず流麗で、こうした何気ない姿が美優の可愛さをより一層引き立たせてくれる。
美優は俺に存在してくれるだけでいいと言ったが、それは俺にとっても同じだった。
定期的に俺への好意を仄めかしてくれるという前提において、美優はただそこにいてくれるだけで無限に愛せる。
なんというか、推せる。
死ぬまで推せる。
その対価が愛情として返ってくる現実があまりに幸せすぎる。
「強いて言うなら……犬かな」
いつの間にか笹の葉を食わせ尽くしていた美優が、立ち上がり際にだいぶ遅延した回答を口にした。
カピバラは当然、残りの餌を手にしている俺の方に寄ってきて、俺は突っ立ったまま、ぶら下げていた餌を食われるという形でふれあいを終えたのだった。
美優に手でご飯を食べさせてもらったのかコイツはと思うと、動物相手でさえ悔しさが滲む俺の狭量さである。
「どこが好きなの?」
「誠実さ」
「だろうな」
何の捻りもなく美優らしい回答だった。
餌やりを終えてからはまた園内を練り歩く。
動物園で何を見るのが一番楽しいのかと言われると、ゾウを見ることだ。
感動するために必要なポイントは、知名度、希少性、そしてデカさである。
ゾウほど目にしたときのインパクトのある生き物はいないのだ。
と、人生経験が少ないながらに俺は思う。
園内で見かけるのは家族や、家族と、家族。
そして、たまにカップルと、カメラを持った人。
大抵は子供を連れている。
ちょうど歩き始めの一歳前後と思しき幼児は、芝の敷かれた広場で親の手を借りながら、何度転んでもめげずに立ち上がっていた。
「みんなどうやって子供を産んだんだろうね」
「どうやってって。いつも……やってるようなことだろ」
歩き疲れてベンチに腰を掛けている俺たちは、その微笑ましい光景を眺めていた。
俺の回答がデリカシーに欠如していたためか、えもいわれぬ沈黙が流れている。
「……まあ、あれじゃないか。年齢とか、収入とか、どこかで区切りをつけるんじゃないか」
美優の質問はおそらく、どのようにして子供を作ることを決心したかということだ。
人間の大半には十代の頃から生殖能力が備わっている。
そして、動物的な観点だけで言えば子孫を残すのが使命なわけだが、できるのにしないという自然の摂理に反した俺たちは、子供を作るために生殖能力以外のきっかけを獲得しなければならない。
「あっ、いや、お兄ちゃんが最初に答えた方であってるんだけど」
「あってたのかよ」
なんだじゃあさっきの間は。
「別にさ。ベッドに寝転んで、正面を向き合って、愛を囁きながらするのが正しい、というわけじゃないじゃないですか」
「愛のある正常位どころか、バックでハメる方が交尾として相応しいまであるな」
人間はいかなる体位でも種付けができる。
抱き合ってキスをしながらでなくても、野外で緊縛プレイをしているときに受精させることだってある。
「つまり何が言いたい?」
「恥ずかしいエッチで妊娠しても子供に申し訳なく思う必要はないんだよねって」
「そんなこと考えたこともないがな」
こんな真面目な顔をしていつそんなことを考えているのやら。
いやまあ、兄妹のエッチが興奮するからという理由でセックスをしまくって、その先に生まれた子供が幸せなのかどうなのかみたいな話はあるけれども。
子孫を残すために人間に性欲が搭載されているわけだから、それがどう作用しようとも受精に至れば問題ないわけで。
「理性的な感覚でも、美優は子供は欲しい?」
最近は、俺とのエッチで暴走しない練習をしているものの、本能的に俺の子種を求めてしまう体質は変わらない。
同時に、俺の意思で孕まされたいという欲望が強くあるため──これが本能側の欲求か理性側の欲求かは俺の知るところではないが──、美優は避妊をしてくれている。
その狭間にある感覚として、子供を持つことが幸せに繋がるかどうかは、美優の意思も尊重しながら時間をかけて考えなければならない。
「欲しい……かも」
美優は園内を走り回っている子供たちを眺めながらポツリと呟くように答える。
「この歳でもそう思うものなんだな」
「お金が稼げるようになってから、進路とか仕事とかで悩むことがなくなっちゃったんだよね。悩みがないと望みも生まれないというか。なら、自分の体に従って生きたいように生きるのも、幸せじゃないかなって」
美優はベンチから立ち上がってお尻に着いた埃を手で払う。
俺も同調するように腰を上げて、最後のサバンナゾーンへと足を進めた。
珍しく先を行く美優が手を横に広げて、それが手を繋ぎたい合図に見えたので、俺はさりげなく美優と指を絡めて歩いた。
街中とは違い、デートスポットでは手を繋いでいても目立たないので、好きなだけカップルらしく振る舞ってもよい。
「美優は大人だな」
俺が美優と同じような考えに至るまであと何年かかるやら。
大人だと言ったのは、なんというか、その判断を手放しで賞賛したわけではなくて。
俺が抱いたこれまでの印象通りに、美優らしさを感じた、という意味だ。
「感覚的に欲しいのもあるし、若いうちに子供と遊んで、私が残せるものを託したいっていうのもあるし。お兄ちゃんと子育てするの楽しそうだなって、その……ノートとか書いてて思うこともあるから。ならきっと、私は子供を持ったら幸せなんだよ」
ぶらぶらさせている手を強く握りながら語る美優に、俺は「そうか」と呟いて返す。
「質問を変えると、どれぐらい早く妊娠させていい?」
「お兄ちゃんが大丈夫だって思えばいくらでも。私の体の成長を考えると、三年後かなとは思う」
「最速で三年後か」
答えを聞いて、数秒の思慮。
口に出しづらい妄想が頭を過ぎる。
「ギリギリJKですね」
「人の脳内を覗くな」
美優も言う通り制服の妹を孕ませるのは男の夢ではある。
いますぐとなると体の負担が大きいので躊躇われるが、もう三年もしたら美優も大人とそう変わりない。
制服を着た無避妊の妹とセックスをして、受精せざるを得ないほどの大量の精子を何日もかけて膣に注ぎ込んだらどうなるのか。
JKというエロコンテンツのためだけにあるステータスを持った妹に、性欲の限界まで種付けをしたら、人生で二度と得られないほどのエクスタシーを感じられる気がする。
「まあ。お兄ちゃんがそれで一番良いのが出るならアリなんじゃないですか」
美優の発言は非常に淡白だった。
これが完全なる同意であることを俺は知っている。
気が早いことにムクムクしてきてしまった。
「そろそろ旅館に行くか」
「一応は全部見終わったしね」
遠くにライオンが吠える声を聞きながら、俺たちは動物園発のバスに乗って駅に向かい、そこから更に宿までの送迎車に乗り継いで、客室露天風呂付きの宿へと来たのだった。
その道中にも子連れの夫婦をたくさん見て、「私も動物の名前を教えながら子供と歩いてみたいな」とか、割と本気で子供を望んでるんだなと思わされる発言がちょくちょくあった。
他人へのパーソナルスペースが広い美優だからこそ、未だ見ぬ我が子との繋がりを強く感じるのかもしれない。
先日の妊娠騒動が本物の陽性だったとしても、美優は心から喜んでたんだろうな。
宿のフロントまで来てからは、親の同意書と身分証の提示をしてチェックインを済ませる。
遥と旅行していたときは謎の巨乳エルフ似のお姉様が監督者になっていたのでどこでも泊まり放題だったそうだが、俺たちはそうはいかない。
血の繋がった兄妹であるという身分を証明して、保護者の許可のもとで宿泊し、未成年の淫らな行為が行われないことを宿屋に示すのである。
露天風呂でセックスをするときは絶対に声を聞かれてはならない。
鍵と室内用の浴衣を受け取って、俺たちはついにお泊まり部屋へとやってきた。
旅館自体が個人経営の小さなものであり、全体で十部屋ほどしかなく、しかしそのベランダには余裕を持って二人で入れる円形の露天風呂と、ベンチで涼めるだけのスペースが広々と確保されていたのだった。
外壁はスリット式で内側からだけ壁の向こうが見えるようになっている。
お隣さんとはフラットな壁で完全に仕切られていて、普通に入る分には気にならないほどのしっかりした厚みがあるものの、上側は空いているので喋り声ぐらいは聞こえてしまいそうだ。
まずは届いていた荷物を広げて着替え用の一式を出し、俺と美優はベッドに腰をかけてベランダの先の景色を眺める。
まだ明るい時間で気温もそこそこにあり、夕方よりは昼間に近い時間帯だった。
「ようやく落ち着けるな」
「二人きりじゃないと気疲れするね」
列車でも長いこと座っているだけでも、狭い空間に大勢の人がいるだけで、空気からして落ち着かなくなる。
温泉がちょろちょろと流れる音だけが聞こえるこの空間が、今は何よりの癒しだ。
そして、人間はリラックスをすると、不思議なことに性欲が湧いてくる。
俺は男側の感覚しか知らないが、副交感神経が優位になってムラムラするのは、女の子も同じであってほしいと思う。
「このベランダが今日エッチをしまくる場所か」
「この日のためにスキンシップも我慢してましたものね」
俺は美優を見つめて「だからものすごく性欲が溜まってる」と小声で告げると、「そこそこ従順になってあげる」と嬉しい一言が。
ドライなようでサービス精神旺盛なその対応が、俺の陰茎を大きくする。
性欲は愛情と結びついて、俺たちは自然とキスに及んだ。
舌を絡めるような激しいキスではない。
手を重ねて、唇を重ねて、抱きしめて、見つめあって、またキスをして、腕を触って、脚を触って。
恥部に向けて少しずつ接触範囲を広げる、その合意形成のために口付けをするような感覚だった。
やがてその手は美優の膨らんだ胸元を掴み、揉み上げるたびに伝わってくる重量感が、神経を通じて陰茎にパイズリの記憶を想起させる。
硬さを増して膨張する竿がズボンの布を押し上げ、ピンと張ったテントに美優が一瞬だけ視線を向けたのを、俺は見逃さなかった。
こうして濃密なスキンシップを取っている相手は妹で、この柔らかな肌の感触は、俺以外の男は誰も知らない。
美優のアソコはもうパンツが水分を吸えないほど愛液で濡れているはず。
それを確かめたくて、俺は美優の服に手を入れてお腹の辺りを直で肌に触れながら、その手をズボンの内側へと下ろして美優のアソコに指を入れた。
正確には、パンツのクロッチと、美優の割れ目の間に。
指を挟む程度に手を差し込んで、ヴァギナではなくパンツの濡れ具合を確かめる。
そこは布をローションに浸したかのような重たい水分と滑り気で満たされていた。
座りながらスキンシップを続けていたらズボンにまでシミが移りそうなほど濡れている。
普段は割れ目がぴっちりと閉じて、愛液が溢れにくくなっているはずの美優が、すでにここまでパンツをぐちょぐちょにさせているなんて、一体いつから体を発情させていたのか。
美優がこんなにも濡れやすいものだから、いつもすぐに挿れたくなる。
不意打ちのように、あるいは襲うようにパンツを脱がせて挿入しても、美優は俺のペニスをたっぷりの愛液で受け入れてくれるので、帰宅直後やリビングでリラックスしてるときに即結合したこともあった。
トぶほど興奮したしめちゃくちゃ気持ちよかったが、それはスカートを穿いているときだけできるプレイだ。
「なあ、美優」
俺はキスをやめてパンツからも手を引き出す。
美優はいきなり体の興奮を確認されて「なんてことをするんですか」としかめ面をしていたが、可愛い顔だったのでスルーした。
「俺たちはもう普通の男女ができることは全部やったと思ってたんだが」
「ん……? うん」
手コキやフェラに始まり、メイドコスでのクンニまで、ごくごく普通の、変態プレイを伴わないものは大体やった。
最初のエッチがセルフ射精からの飲精だったのは変態的と言えなくもなかったが、俺たちが兄妹だという事実には目を瞑れば、行為そのものはごくごく健全な範疇でこなされてきた。
「いわゆるシックスナインってしたことなかったなって」
「まあね。子作りに必要ないしね」
必要がないかはともかくとして、俺も今すぐしたいわけではない。
問題なのは、美優のつるぷにのアソコを、俺はもう何度も拝んでいるという事実である。
「せっかく外でもエッチできるし。今日ぐらいは明るいところで美優の裸をじっくり眺めてもいいよな」
会話をしながらも俺は美優にズボンを脱ぐように催促する。
露天風呂つきのこの部屋のカーテンを閉めるなんて、もったいなくてできるはずがないため、陽があるうちのエッチは全て明るいところで行われる。
愛液が糸を引かないように慎重にパンツを脱ぐ美優の姿は、日光を照り返す色白な肌によって、加工された動画のように美しく映えていた。
「お兄ちゃんは節度があるからダメとは言わないけど。……あの期間のことは、ノーカンだからね」
熱に頭がやられていた期間の美優の言動は、本人の意思でなされたものとしてカウントしてはいけないらしい。
つまり、美優はまだ一度として俺に秘部を眺めさせることを許してはいないということ。
それはそれでいい。
そんな美優の裸を見るからこそ興奮する。
「美優。まずは窓のところまでおいで」
「……うん」
俺はカーテン全開の窓の近くに美優を呼び、背後から抱きすくめる。
片側は一面の山で、もう片方は遠くの線路を挟んだ向かいに街並みが広がっていた。
それはスリットの隙間と壁の上から見える狭い範囲であり、ほとんど絵の背景のようなものに近かったから、そうした世界に自分たちが晒されていることに特段の背徳感はなかった。
陽の差し込む窓の近くに裸で立っているというのが興奮するのだ。
もっと言うなら、太陽の下で秘所を晒しているという、ただそれだけで新鮮な刺激になる。
それをより強く美優に感じてほしくて、俺は美優の髪を一本残らず肩の後ろに流してから、乳房をゆっくりと揉みしだいた。
首と、耳に、軽くキスをして、肌を密着させる。
乳首を撫でると、美優は吐息を漏らして、いつもなら身をよじって抵抗するところを、されるがままになってくれている。
「まるで経験たっぷりみたいな手つき」
「美優の体を堪能しようと思うと、自然とこうなるんだよ」
セックスだのなんだのというのも、結局は美優の体を味わうための手段でしかない。
美優の反応、その所作の機微に至るまでが、俺に興奮をもたらし、行為の快楽を増してくれる。
「前にネットでさ、女の人が濡れるのはエッチの最初だけって記事を見たんだ。美優もそう思う?」
「んっ……どうかな。体感ではわからないかも」
正確には、愛液の分泌量が行為の後半で減るという話。
長時間セックスをしていると滑りを感じにくくなるんだとか。
俺は射精までが短いのであまり気にしたことはなかったけど、過去にしたいくつかの長尺セックスを思えば、確かに一番に気持ちよかったのは挿れた瞬間だったかもしれない。
だが、それは何時間とセックスを続けた場合の話。
「俺は美優の濡れやすいところも好きなんだ」
「知っていますけど。恥ずかしいので言わないでもらえますか、ぁ、んっ、……あっ、んむっ……」
残念ながら今日はたくさん恥ずかしいことをする日なので容赦はできない。
俺は美優の胸をなおも揉みしだきながらキスを続ける。
時折美優の陰唇に触れて、アソコが開きっぱなしになるようにしながら。
指先を乳輪に沿ってクルクルと回して、フェザータッチで美優の敏感なところを更に感度を高めるように責め続けた。
するとじんわりと、岩清水のように愛液が滲み出てきて、美優のふとももを滴り落ちていく。
先ほどの会話から俺の目的を察して、美優は身をよじってささやかな抵抗をみせはしたが、そんなものはただの体裁だ。
なんだかんだとこの妹は性欲の溜まった兄に付き合うのが嫌いではない。
たとえそれが、どこまで自分の愛液が分泌されるかを試されているのだとしても。
「んっ……ん、んっ……はむっ……んっ……あっ……」
キスを続けるのは、美優の喘ぎ声を抑えることで、愛液を漏らす羞恥を誤魔化すための配慮でもあった。
乳首は当然ながら敏感なところで、以前にはふとももが非常に感じやすいと美優から直々に教わっている。
そして、俺に触れられるとクリトリスと同じくらい敏感になる第二の性感帯が髪の毛なのだ。
その一つ一つを、じっくり時間をかけて撫で回していく。
アソコの筋がぴっちりと戻ればまた指で優しく開いて、腹部から子宮への刺激も丹念に与えていると、美優の意思に関係なく粘液は割れ目から漏れ続けていた。
美優が陰唇を閉じようとしても膣の収縮に繋がるだけで、奥に溜まっていた愛液が搾り出されてくるだけ。
窓から差し込む太陽の光は肢体を伝う淫らな体液を良く反射するのだった。
ふとももに蜂蜜をかけるように跡は広がり、表面張力によって重たい雫となったそれは、ヴァギナの中心から糸を引いて床に垂れ落ちている。
木目調の床に液体を溢した様子は、美優の清楚な肉体と正反対に品のないものだった。
「ん……お兄ちゃん……もうやりすぎ……」
「見たいのはまだここからだよ」
ここまではまだ俺も目にしたことのある範囲内。
エッチな気分にさえなれば美優はなおも愛液を漏らし続けるのかが俺の知りたい美優の体の秘密だ。
「そろそろ俺も気持ちよくなりたい」
「咥えさせたいだけでしょ」
「わかってるなら話は早いな」
気持ちよくなりたいのは嘘ではない。
それ以上に美優の淫らな体質を知りたいだけで。
俺が密着させていた体を離すと、美優は俺の正面に膝をついて怒張を眼前に据えた。
せっかく窓の近くでするフェラなので、美優のアソコがよく見えるように、窓が横に来るように立ち位置を変えて美優の脚を八の字に開かせる。
これが山本さんが相手とかであればしゃがみ込ませるのだが、どうにも美優が相手だとそこまでやらせる気にはならないので、このあたりで勘弁をすることにした。
床に落ちた愛液にこれから漏れてくる分を継ぎ足せるように位置取れればそれでいい。
俺の亀頭をパクッと咥えて、先走り汁を啜る美優の口に、痺れるような快感がペニスから流れてくる。
アダルトビデオどころかエロアニメでしか見れないほどの真っ白でツルツルの裸を眺めながら尺を受けるのは最高に気持ちがいい。
細身とアンバランスな巨乳には、薄色ながらも乳房の大きさに相応しいだけのしっかりした乳首がついているのも、男の興奮を昂らせる要因になっているのだろう。
美優は硬くなった陰茎を一生懸命に気持ちよくしようとしてくれている。
ただ、窓を開ければ外でフェラをしてもらえるのに、そうしてほしいと熱望する気持ちが生まれないのは、自分でも不思議ではあった。
床に美優の興奮の跡を残したいからという理由がなくとも、思っているほど野外でのセックスにモチベーションが上がらない
美優も愛液を垂らしてはいるが、思ったほどの量は出ておらず、興奮が薄いのかやはり愛液は最初にしか出ないのか。
美優は俺の性欲に引きづられるタイプなので、俺が興奮しないと美優も乗り気にならないのは俺も知っている。
「んちゅっ、んっ……ん? どうかした?」
「いや、なんというか。美優の楽しみ方が間違っている気がしてきた」
「私の体の楽しみ方に正解とかあるの」
「まあそうだな」
美優が相手ともなると、性的な行為をこなすことにそれほど意味はない。
棘のある厳しい美優の一言に興奮できるぐらいなのだ。
フェラだとか野外セックスだとか、それをすることそのものに美優の魅力を引き出す要素はなく、かつては男と絶対にエッチをしない美優だったからこそそうしてもらうことに俺は興奮することができた。
「一度立ってもらえるか」
「はい」
美優は言われるがままにスッと立ち上がる。
従順になるとの発言に偽りはない。
高身長ではない俺からでさえ二十センチは見下げる小柄。
体の半分は視界から見えなくなるほどの巨乳。
毛先が腰にかかるほど長い黒髪。
これなんだ。
俺が味わいたいものは。
存在そのものがエロいこの妹に、余計な味付けは要らない。
どうしたらこの体の一番エロいところを知ることができるだろう。
「あの。お風呂には入らないのでしょうか」
美優も愛液が漏れなくなってきたので、風呂に入って気分をリセットするのはどうかという提案だ。
確かにそれもいい。
リラックスしているうちにまた交尾への熱が再燃するかもしれない。
「……風呂か。まあ結構歩いたしな」
「うん。汗もかいたし」
「そうだよな。汗かいたもんな」
他愛無い会話に、紛れ込む不穏な静けさ。
自らの失言に気づいた美優が、身を翻して窓に手をかける。
「じゃあシャワー浴びてくるね」
「まあまあ。少しぐらいいいだろ」
「そんなに情熱的にならなくても、学校帰りすぐにエッチとかもしてたでしょ」
「あのときはほら。美優の性欲に付き合うのに精一杯で、味わう時間はなかったから」
「私が性欲にダラシないみたいな言い方はやめてください」
自らの失言が巻き起こした事態だというのに、実に不満そうな顔である。
俺だって別に変なことをしたいわけではないのだ。
シックスナインの話題についてはすでに過去のものになっている。
いややりたいにはやりたいのだけれども。
かつて服の匂いには興味を持ったことがあるが、美優の肌の匂いというのは盲点だった。
「まずは首筋からいかせてくれ」
「んっ……もう……お兄ちゃんは気持ち悪いんだから……っ……ふぅ……んん……」
俺はさきほどまで乳首を弄っていたのと同じような体勢になって、美優の首筋に鼻を密着させた。
美優の背後に回ると髪の匂いばかりに意識がいってしまうのは悪い癖だった。
それほど魅力的な髪質をしているのだから仕方がない。
すぅと息を吸い込むほどに、美優の体温によって蒸発した水蒸気が嗅覚を刺激する。
意識して嗅いでみると、香水ほどには華やかすぎない、しかし芳しいほどに豊かな匂いがあった。
お日様の光が体の匂いを増強させているようにも感じられる。
なぜこれほどまでに性欲を奮い立たせる美優の一部を俺は見逃していたのか。
いや、匂いを嗅ぐことを最初から強く否定し続けられていたからこそ、無意識的に選択肢から外していたのかもしれない。
「ん、あっ……」
俺の鼻息が当たるくすぐったさと、体の匂いを嗅がれている恥ずかしさから、美優の体温が上昇していく。
それがさらに香りを引き立たせることになろうと、美優には止めることができない。
もはやフェロモンと匂いは完全に同一のものとさえ考えられる。
「恥ずかしがってるときのほうが良いニオイがするよ」
「言ってることが完全に変態なんですが……あっ、あっ……」
「美優……すごく良い薫りだ……」
「あっ、だめっ、あ、あっ……!」
どうしたことか性感帯を刺激していたときより反応がいい。
勃起時よりさらに一回り大きくなった俺の陰茎がお尻に当たるからだろうか。
美優に抱きつきながら匂いを嗅いでいるとそれだけでペニスが爆発してしまいそうだ。
ここまできたら首筋だけで満足できるはずもない。
俺は窓に美優を押さえつけて正面から姿勢を低くし、乳房の香味を漁ることにした。
動物園で母性が高まったからなのか、美優の乳房からは母乳のような匂いがかすかにして、まろやかながら重厚な香りがどれだけ鼻腔を通っても俺を飽きさせることをしない。
当然ながら俺は母乳の味も匂いも知らないのだが、直感的にそれが母親になった体から漏れるニオイであることがわかった。
乳首に吸いついたら母乳を飲めるかもしれない。
美優の母乳はどんな味がするんだろうか。
「美優のおっぱいを飲むのが楽しみになってきた」
「もう……んっ……早くて三年後だからね」
イヤイヤしているようで孕ませることも母乳を飲むことも同意がなされている。
好き嫌いがわかりづらかった妹も、ずいぶんと心が広くなったものだ。
美優の香りを肺の奥まで思い切り吸い込むと、美優の体から発せられた空気で全身が満たされて、痺れるような快感と共に剛直が上向いていく。
「ふぅ……っ……マズい、射精しそうだからこのあたりにしとくか」
「お兄ちゃんってこういうことしてるときのほうが元気そうだよね」
まあそうだな。
美優にエロいことをしている感覚がないのであれば、セックスの相手はオナホで充分だ。
「次は美優の乳首を吸いたい」
「もう終わりの流れじゃなかったの」
「匂いに関してはな」
「そんな、私の体ばっかり……あっ……んんっ……!」
ぷっくりと膨らんだ芽を強く吸うと、美優はビクンっと体を跳ねさせた。
俺はもう片方の乳房を揉みしだきながらおっぱいを吸っている。
吸うといっても、どうしても乳首で感じる美優の反応が見たくなるので、イヤらしく舐めることになるのだが。
美優の乳首が敏感であることを考えると、行為として正しいと思えるそれも、美優の楽しみ方として考えるとしっくりはこない。
感じている姿を見たいだけならさっさとペニスを入れてしまえばいい。
それが美優の一番喜ぶことなのだから。
「美優。今だけは兄におっぱいを吸わせてくれないか」
「もう吸ってるじゃないですか」
「そうじゃなくて。こう……心から、認めてほしいんだ」
俺が美優の腰に両腕を回して、ただ夢中になって美優の胸に吸いつくだけになると、美優も発言の意図を汲んでくれたみたいだった。
単に乳首を吸わせるのではなく、授乳としての行為を兄に許すのだ。
美優を感じさせるために舌をペロペロを舐め回したりはしない。
先端の感度を上げるために乳輪を舌先でなぞったりもしない。
美優に抱きついて、その女性としての体の厚みを堪能しつつ、おっぱいにむしゃぶりつくのである。
「これはシスコンと言うのか……マザコンと言うのか……どっちなんでしょう……」
「妹だと認識するほうが興奮するからきっと前者だよ」
「そうなんですね」
シスコンという言葉が表す存在が自分自身であることを認識しながら、美優がどう俺の言葉を受け取ったかはわからない。
ただ、怒られもしなかったし、気持ち悪がられもしなかった。
いや気持ち悪いとは思われていたかもしれないが、美優の性格を考えればそれもまた良い。
どちらかから喘ぎ声が漏れるわけでもない、静かなプレイ。
美優は俺に触れられる快感を声に出さないように抑えてはいるが、つまりはそうできる程度のことしかしていないということ。
いつしか美優も俺の顔におっぱいを押しつけるように頭を抱いてくれて、子供をあやすようにヨシヨシと撫でてくれていた。
この兄の性欲に寛容な、なんだかんだでベタベタに甘いこの優しさが美優の好きなところなんだ。
美優の体が温かくて、俺の頭を撫でる手も熱くて、その心地さだけで射精までの限界が迫ってくる。
「美優。ごめん。射精しそう」
「いけません。こんな出し方を覚えては」
さすがに射精までは許してもらえなかった。
美優から体を離すと、俺を見つめるクールな瞳と目が合って、仕方なしに俺のわがままに付き合ってくれていた感があるのが尿道の奥をキュンとさせるのだった。
そんな表情とは裏腹に、その股下にはティッシュを重ねたぐらいでは吸いきれないほどの愛液が、水たまりになってフローリングに浮いている。
すぐに蒸発してしまうはずだった水気も、繰り返し粘液を卑裂から穿たれることによって床の湿り気のほうが勝るようになったようだ。
「美優はやっぱり濡れやすいな。挿れるのがめちゃくちゃ楽しみになってきた」
「この状態でお外で致すのは鬼畜ではないですか」
「でもそれをしないとここに来た意味がないだろ」
「別に兄妹で仲良く温泉入りに来たでいいじゃん」
とは言いつつ俺を後ろ目に見ながら美優は窓の鍵を開けている。
外へと出ると、遠くからわずかに響く電車の音と、風が吹いてピチャピチャと湯桶からお湯が床に落ちる音があるぐらいの静寂で、野外セックスをするのにおあつらえ向きだった。
光を直に浴びることで美優の裸の肌感がよりリアルになる。
一人の少女の裸体がそこにあって、俺はこれからその穴を使ってペニスを擦って気持ちよくすることができるのだ。
宿の敷地内とはいえ外気に晒されながらセックスができる興奮。
俺は美優を壁のスリットの近くに立たせてお尻を上げさせた。
散々とお預けを食らった剛直が今か今かと粘膜の液だまりに期待を弾ませている。
俺は美優に後ろから覆い被さり、両手の指で乳首を弾いて美優を責め立てた。
急激に左右の性感帯から喉元に昇ってきた快感に「あっ、んんっ!」と喘ぎ声を上げた美優だったが、すぐにここが外であることを自覚してギュッと唇を噛んだ。
その最中に俺は勃起したペニスを陰唇に擦りつける。
亀頭の本の先が触れたぐらいで、美優の横顔が緊張に固まったのがわかった。
これから敏感になった膣の奥まで大好きでたまらない兄の生殖器をねじ込まれる、その絶望に染まった顔が狂おしい。
「んっ……んぐぅ……んっ、あっ、だっ、め、あぐんっ……んんぅっっ!!」
挿入に容赦はしてやらなかった。
上向きにそそり立ったペニスが、快感のあまり背中を反る美優の体とぴったりとフィットして、子宮口も突き破って鳩尾にまで亀頭が達している感覚さえあった。
「美優っ……あああっ……美優ぅ……!!」
「んっ、んんっ……!! んんんぅぅんっっ!!」
美優が愛液をたっぷりと溜めていたので、ピストン開始直後からぐちゃぐちゃとイヤらしい音が鳴り響いていた。
美優はなんとか腕で口を塞いで声は抑えているものの、陰茎を叩きつけられるたびに鳴る破裂音は、誰がどう聞いたってセックスのそれでしかなく。
どう頑張っても卑猥な水音を抑えることができない美優は、その自責と羞恥から耳まで赤くしていた。
ペニスを引き抜くたびにカリが膣襞に絡みつくせいで、キツい膣道の気持ちよさに腰が抜けそうになるが、俺も可能な限りの無音に努める。
周囲が静かになればなるほど、美優が漏らすわずかな吐息までもが背徳的なものになるのだ。
スリットを握力の限り強く掴んで、腕で口を隙間なく塞いでも、美優の喉奥で鈍く響いているよがり声はこの静寂では隠しきれなくて、膣内射精で美優を絶頂に導いたらどんな風に鳴くのか期待にペニスが破裂しそうになる。
そんな僅かばかりの淫らな音がする静寂で、興奮のしすぎから頭がおかしくなったのか、隣のベランダからの声を耳が拾った気がした。
兄妹でセックスしていることがバレたくない想いが強い信号として脳髄に流れ込み、脳はその波の強さだけを認識して期待と勘違いしたのだろう。
ありもしない幻聴で俺をより興奮させようとしてるのだ。
そのはずが、美優がこちらを向いてアイコンタクトを取ってきたのだ。
正確には、野外で膣をペニスに蹂躙される性感に耐える中、俺を睨みつけるようにして。
もしあれが俺の脳が作り出した声だったのなら、美優と同時に反応することはありえない。
兄妹が共通的に持つ遺伝子が奇跡的にシンクロでもしない限り、美優と同時に幻聴を聞くはずなどないのだから。
隣の宿泊者が露天風呂に出てきている。
そう思って俺は美優と膣道で繋がったままピストンを止めた。
しばらくは荒くなった吐息に紛れて何も聞こえなかったが、耳をすましてみると、やはり人の声らしきものが聞こえてくる。
すぐそこに人がいるのに、俺たちは生殖器で触れ合わせているのだ。
あまつさえ兄妹で。
ゴムの一枚も隔てることなく。
そこで俺は、あえて美優が声を我慢できなくなるまで責め立てたりはしなかった。
俺たちは別に露出狂でもなく、特殊な性癖があるわけでもなく、温泉にしろベッドにしろ、二人になるとどうしてもセックスをしたくなってしまうだけ。
スリットから手を離した美優が「どうしよっか」と小声で呟きながら、乳を掴んだままの俺の手の甲に自らの手を重ねてくる。
これはセックスを中断するか否かの伺いではなくて、『お兄ちゃんを射精させたいんだけど、どうしたらバレずにセックスを続けられるかな』という意味だ。
であれば部屋に入るのが最も安全だが、どうせなら外で妹に膣内射精までしたいという兄の想いを言わずもがな汲み取っている美優にとって、その選択肢はない。
そこで俺は、セックスをする場所を変えた。
スリットの近くに立っていようと、所詮周囲は山なので、ベランダに出た直後に感じたような興奮はもうない。
シャワーを出せば少しは音を誤魔化せる。
隣のベランダには近くなるが、だいぶ気持ちに余裕は出るだろう。
そう思って、シャワーを全開にして、そのすぐ横に美優を立たせた。
野外のプレイを楽しんでいる割にはかなり安全策を取ったつもりだが、なぜか美優が赤面してこちらを睨んでいる。
「なんというか、上手く言えないんだけど」
美優は正面にある小さな鏡に映る自分の下半身をチラと見て、子宮の輪郭を浮き出させるように入っている鼠蹊部の線から下だけが見えているエロさに、歯痒い表情を浮かべる。
「エッチな声が出ちゃう私のためにしてもらってる感が、こう……情けなさを煽られるみたいで……」
「それは俺がよく美優に抱いてた感情だよ」
俺は鏡を背にするように美優を立たせて、シャンプーなどが置かれた出っ張りに片足を掛けさせ、もう射精したくてたまらないほど膨らんだイチモツを秘裂にあてがった。
さっきより見栄えの良くなった美優のアソコを視界に収め、「ムラムラするだろ」と訊くと、美優は肯定の代わりに腕を縮こめて抱かれる体勢になった。
美優だって兄の性欲に付き合ってしまう性格をしている以上、エムっ気のある側面も持っているのだ。
誰にも厳しい美優が、俺にだけ好き放題される前提で体を預けてくれるのがたまらなく優越感がそそられる。
美優を抱きしめてペニスを奥まで挿入すると、「ああっ……あっ……!!」と美優は周囲も憚らない嬌声を上げた。
本気で我慢するつもりだったのにどうしても抑えきれなかったのだろう。
目を見開いて体を硬直させ、緊張にいつも以上の真顔になっている。
そんな状態でも美優の膣は柔らかかった。
一回だけならお隣も気のせいで終わるだろうと思って、俺はピストンをゆっくりと続ける。
最初から情けなさを煽られていたせいなのか、美優はペニスを突き上げられるたびに、雰囲気で先輩と致すことになってしまった女の子みたいな純情な表情をしていた。
エッチのエの字も知らなかった頃の美優とセックスしているようで楽しい。
そんな妹に中出ししようとしていることに興奮する。
今更だが美優は体が柔らかい。
股間の開き具合はY字バランスとほぼ同じくらいだ。
ペニスが入っている割れ目がよく見えるので、ストロークを大きくして竿の先っぽまで引き抜いてから差し込むピストンをしてみると、結合部の光景は過去最高にエロかった。
「ぁ……ぅ……ぁっ……」
美優は快感から逃れるように遠くを見つめていて、それが何かに絶望しているような面持ちに見えて、また俺の性欲を燃やすのだった。
ただでさえ喉から漏れる声を止める術がないのに、輪をかけてイヤらしいセックスをするのは酷いと、そう訴えかけられているようだった。
竿の半分で美優のGスポットを刺激し、そこから漏れてくる液を使って竿全体を膣に擦る。
あれだけ前戯で濡らしたのに、まだ滴るほどに愛液を分泌させている。
どれだけ兄を悦ばせれば気が済むのか。
というかもう我慢ならん。
美優が可愛すぎる。
こんな妹を相手に射精せずにいられるか。
「美優。最後に一回だけ我慢して」
俺は縁に上げている脚を持ち上げて美優を壁に押しつけ、一番奥にペニスを差し込んだ。
美優からの返事は待たない。
というより返事なんてさせたらシャワーでも誤魔化せないぐらいの喘ぎ声になる。
間髪入れずに射精をした。
ビュルビュルっと、勢いよくマヨネーズを絞ったような音が、体内を通して耳にまで響いてくる。
全開にしているシャワーの音よりもずっと大きい音だった。
美優の耳にもきっと届いただろう。
射精をされている間でも美優の表情は変わらなくて、最後の一射が出切ってから、俺はお疲れ様の気持ちを伝えるためにキスをした。
唇を離すと、美優の全身の緊張が解けて、兄の性処理をする一旦の役目を終えたことを認識する。
ペニスを引き抜くと夥しいほどの精液が膣から溢れてきて、それが排水溝に吸い込まれていくのを眺めているうちに、シャワーの音がだんだんと大きくなってきて現実に戻ってきたことを再認識する。
ずっと二人だけの世界に没頭していた。
幸福感が後を追うように湧き上がってくる。
「歩ける?」
「う、うん」
美優はまだ恥ずかしそうだった。
あられもない姿を見られてそうなったというより、何かときめきのようなものを感じ取って、その感情を持て余しているのだろう。
本能に脳を支配されないままやられ役になるのは、美優にとってまだ少ない経験だったかもしれない。
己の中にある雌を自覚したとき、美優はそれを恋心と認識するのである。
たぶん、きっと、間違いなくそうだ。
「風呂に入るか」
「そうだね」
シャワーで体をキレイにして、本来の利用目的である露天風呂に入る。
バレはしなかったはずだが、冷静になってみるとさっきまでしていたことをとても恥ずかしく感じる。
兄妹で何をやってたんだか。
「外でするの、よかった?」
「ん。まあ。新鮮な刺激はあった。けど、別にお外でなくても良かった気もする」
「まあな」
いわゆる変態プレイに相当するものは、俺たちには向かない。
二人でエッチがしたいという欲望が先にあって、それがたまたま外だったのなら、誰にも見られず誰にも聞かれずひっそりと性欲を処理し合うのである。
いつも引き合いに出して大変心苦しくはあるのだが、これが山本さん相手だったら野外という状況にきっと燃えていた。
そこには、あの天真爛漫さで男の性欲に火をつけ、愛液ダラダラのお尻を振って誘惑してくるような、そんな淫らな姿がセットになってようやくエロスが醸成されるのだ。
野外で声を堪えさせながら激しいセックスをするのは、プレイとしてはお仕置きに近いため、どうしたって女の子側からの挑発が必要になる。
美優が言っていたほど根っからの鬼畜ではない俺には、欲望のままに女の子をハメ倒すなんてことはできなかった。
「いい景色だね」
「だな」
湯桶は一つステップが上がったところに設置されている。
当然、それでも外から見えないようにはされているが、澄んだ青空と山頂からグラデーションになっている色彩は、心を穏やかにさせてくれた。
それほど長いことセックスをしていたわけではないのに、不思議と隣の声はもう聞こえなくなっている。
湯桶に背を預けて息をつく俺と、髪を乳の方に流して景色を眺めている妹の背中。
掛け流しのお湯で揺れる水面を通して見えるのは、女の子座りでわずかに浮いたお尻の、むっちりした肉の丸みである。
「ふぅ……」
繰り返し深く息を吐く。
俺の股間はビンビンだった。
「なあ美優」
俺が美優に後ろから覆い被さり、膨らんだ肉棒をお尻に擦りつけると、美優は前を向いたまま深くため息をついた。
「妹が安らいでいるとなぜお兄ちゃんはムラつくのですか」
「何気ない美優の姿が一番性癖に刺さるんだよ」
「いやまあもう知ってるけどさ」
美優はただ文句を言いたかっただけで。
もちろん、射精したい兄を蔑ろにしたりはしない。
軽蔑するような視線は寄越してくるが。
大歓迎だ。
「どうぞ」
組むようにして湯桶の縁に置いた腕を枕にして、気怠げにこちらを見つめながら下半身を預けてくる少女の姿が、温泉の効能以上にペニスの血行を促進させる。
もう挿入しても喘いではくれないだろうが、膣に射精させてくれるのならそれでよいのだ。
兄は妹の膣に射精がしたい。
そういう性欲が溜まっている。
さっきしたばかりだけれども。
俺はまた後ろから失礼して、誰にバレるわけでもない、とても静かなセックスに及んだ。
妹の体で性処理を行う兄を、ジッと見つめたまま女の穴を使われている美優が、何を考えていたのか。
一度も会話を挟むことなく二度目の射精に至った俺に、美優はその先も声をかけてくることなく前に向き直って、疲れて美優にもたれかかった俺と重なったまま、しばらく目を瞑って自然の音に包まれていた。