ここの前書き時点で駄目だなって思ったら、回れ右してクリスマス回でも読んでください。
「ただいま...」
家には今日も、誰もいない。
昨日まで、おかえりと返してくれる、男の子がいたのだ。
男の子の声にしては高めの、でも十分頼りがいのある声でおかえりと言われたときは、もう戻ってこない。
彼は、もうこの世にはいない。
私が、殺してしまったから。
正確には、歩道を歩いていた私に向かって、暴走したトラックが突っ込んできた。
そのトラックから私を守るようにして、彼は轢かれた。
私はパニックを起こしながら警察と消防に連絡をして、彼を運んでもらいつつ、事情を説明した。
そのまま彼の運ばれた病院に行った。
線がまっすぐのまま動かない心電図、冷たくなった体。
布団と病衣に隠れて見えないけど、きっと血だらけの体。
そんな状態で生きているはずがないと、直感が告げた。
でも、受け止められなかった。
***
それからの私の生活は、劇的とは言わないけれど、変わった。
交互に作っていた朝ご飯も、談笑しながら食べていた朝ごはんも、行ってきますのハグも、全部なくなった。
失ったものばかりで、正直生きる気力なんてない。
きっとまた会えるって、信じたいから。
信じたいけど、彼はもう死んだから。
「...会いたいよ、綾乃くん...」
そう呟いてみるけど、答える人はいない。
付き合って一年の時にもらった、彼からのプレゼントで、彼が編んだという人形。
心なしか彼に似ていたから、少しだけ手を加えて彼に似せた。
似せたことを言ったら、「ましろの方がうまいんだから...」と拗ねられたけど、彼が作ったのは可愛くていい。
今日も、その人形を抱いて寝る。
まだそこに、彼がいる気がするから。
***
『よっ』
「...あれ、綾乃君?」
『そうだよ。ま、夢だけど』
「そうだよね、私自分のベッドで寝たもん」
そうだよ。
彼が生き返ったなんて、そんなこと。
『ははっ...俺ももうちょい生きてたかったんだけどな』
「えへへ...もうちょい綾乃くんと一緒にいたかったなぁ」
知らず知らずのうちに抱いていた彼に似ているぬいぐるみをぎゅっとする。
『ん、俺の作った奴、持っててくれてたんだな』
「捨てないよ、こんな貴重なもの」
『嬉しい限りだ』
言えない。
彼の代わりに、これを抱いているなんて、いえないよ。
『それでもいいよ』
「...っ...」
『泣くなよ、俺も悲しくなるだろ?』
彼の手が、涙をぬぐってくれる。
「ねぇ」
『どうした?』
「死んだら、君に会えるかな」
彼は困った顔をした。
『会えるんじゃないかな...』
「じゃあ...」
『確かに会えるけど、もう少し生きててほしいな』
「なんで?」
そう言うと、彼はおどけて笑った。
『こういっちゃあれだが、毎日あっていても面白みがない。君が寝た時とか、ふとした時に会えるぐらいがちょうどいい。毎日会いたい君の意思は尊重したいが、ね』
「うん、そっか...」
『まあ、あれだ。会いに来たいときは来てもいいが、そんな頻繁に来るもんじゃないって訳...』
不意に、言葉を途切れさせた。
「どうしたの?」
『時間みたいだな。もうすぐ君が目覚める』
言われてみて初めて、少しずつ意識がはっきりしてくる気がした。
それと同時に、彼の体が少しずつぼやけてくる。
「待って、もっと...!」
『気持ちは嬉しいが、ここまでだ』
「...うん、わかった」
『まぁ、そのうち我慢できなくなったら』
私の胸のあたり、彼の作った人形を指す。
『それにでも乗り移るさ』
笑いながら言った。
でも、彼なら本当にやる気がする。
「ねぇ、一個だけ」
『なん...んっ...んむ...ぷはっ』
「えへへ、許して?」
『...帰れ』
「はーい」
はい、もし読んでくれたなら嬉しいです。以上。
ぶっちゃけこっちの小説は俺がましろにしたいことを出力してるだけなので自己満足小説ですので。