※この作品はR-18です。

健気な彼女   作:ユイトアクエリア

30 / 54
ここに投げといて言うことじゃないんだけど、私行為シーン核のクソ遅すぎて向いてないなって思う今日この頃


夏祭りデート【N】

祭りというのは特別なものだ。

普段じゃ絶対に食べないものも食べれば美味しく感じ、たこ焼きなどの定番のものはいつもより3割増ぐらい美味しく感じる。

それに加えて、道行く男女は皆笑顔を咲かせながら歩いている。

野郎同士で来てても楽しいものだ。

 

『もう少しで着くから、もうちょっと待っててくれる?』

「了解、急がなくても平気だぞ」

 

現在、待ち合わせ時間より5分過ぎている。

まあ、浴衣の着付けに時間がかかったということだし、目を瞑ろう。

久しぶりに会えるんだ、そんなことで怒りたくない。

しかし、彼女の友達に呉服屋がいるのは驚いた。

昨日、彼女のチャットで、「明日の夏祭り、完璧に着付けするんで、マジで楽しみにしてて!」って言う文が送られてきた時は、さすがに頭でも打ったかと心配した。

その後、「友達が打ったやつだから」って言う訂正のチャットが来たので、安心した。

...ギャルなましろも、ちょっと興味ある。

という邪な思考を繰り広げつつ、時計を見る。

現在時刻は17:12。

まだまだ序盤だし、花火も結構先だ。

のんびり待つことにしようと考えた時、後ろから声が掛けられた。

 

「ごめんね、遅れちゃった」

 

浴衣を着た彼女は、なんというか、形容しがたい何かがあった。

可愛いとか美しいじゃない何か。

今の子だったら「エモい」って言うんだろうか。分からないが。

とにかく、それぐらいに心を奪われた。

 

「あの?なにか喋ってくれないかな...」

「あ、あぁ...ごめん。すごく似合ってて、見惚れてた」

 

そう言うと、彼女は顔を赤らめて、「そういうのは、いいのに...」と小声で言った。

嫌がっている訳では無いというのは、最近学んだ。

 

「透子ちゃんにやって貰ったから大丈夫だと思うけど...変なところない?」

「どこも平気じゃないか?」

「良かった。じゃあ行こっか?」

 

そう言って手を差し出す彼女。

その手を取って握り返す。

 

「エスコートはお任せを、お嬢様」

「あやくん、飲んだ?」

「いーや、素面だよ。というか、俺はまだ未成年だ」

 

一応まだ19なんでな。

ましろの手を取って、屋台のほうに進む。

地元の祭りではあるが、例年よりちょっとだけ盛り上がってる気がする。

と、ましろがふと足を止めた。

 

「っと...どうした?」

「ベビー...カステラ...」

「あれ、食べたことなかったっけ?」

「カステラと何か違うのかな?」

「じゃあ食べるか」

 

と言って、カステラ(12個入り、300円)を2セット買う。

少し離れたベンチに座り、1セット渡す。

 

「...多いね」

「6個入りのほうが良かったか?」

「ううん、大丈夫。小さいからベビーなんだね」

 

そう言って一個口に含む。

頬が膨らんだ横顔が最高にかわいい。

 

「ん~!おいひい...」

「食いながらしゃべんな...」

 

顔が蕩けて最高にかわいいです。

女神と言っても差し支えないほどに。

 

「あやくんはたべないの?」

「あ、忘れてた」

 

ましろの横顔に見とれていて食べるのを忘れてた。

二個ほど口に含む。うん、うまい。

 

「...これ、作れないかな...」

「まあ、作ろうと思えば作れるんじゃないか?」

「じゃあ、今度作ってあげるね」

「急にどうした?」

「...だって、食べてる時のあやくん、すごい笑顔なんだもん...」

 

ベビーカステラに妬く彼女。

可愛いが過ぎるな。

そう思い、膨らんでる彼女の頬をつつく。

 

「うにゅ...ど、どうして笑ってるの」

「俺の彼女は今日もかわいいなって思っただけだ。お菓子に妬くなよ」

「うう...だってぇ...」

「ましろは知ってるだろ、俺があんま笑わないの」

 

ましろと出会う前、俺は楽しいということを全く知らなかった。

というか、笑顔というものを知らなかった。

だから、こういうことになったのは、全部彼女のおかげだ。

 

「さ、まだまだ時間はあるし、もっと回ろうぜ」

「誤魔化された...」

「...ましろのカステラ、楽しみにしてるよ」

「...!!」

 

全く、わかりやすい子だ。

 


 

祭りの定番、たこ焼きや焼き鳥、チョコバナナやわたあめなんかを買って、さっきのベンチに戻る。

 

「さすがに買いすぎたか」

「どうやって食べよっか...」

 

とりあえず両手がふさがっているので、手に持っているチョコバナナから消化することにした。

 

「...美味いな」

「美味しいね...あ、あやくん、動かないでね」

 

ましろの指が俺の頬を擦る。

 

「チョコ、ついてたよ」

 

そう言って彼女は自分の指を舐める。

可愛らしいんだけど、同時に少しだけ色気を感じる。

 

「甘いののあとに焼き鳥って...」

「まあいいじゃねえの、それも祭りならではだろ。じゃあ口直しにこれ飲むか」

 

少しぬるくなったラムネ。

開け方にコツがいると、姉から教わったがパワーでどうにかなったのでコツなんてもんは知らない。

 

「...これ、どうやって開けるの?」

「それを...そうそう。そのまま押し込んで...」

「ん〜っ...あやくんやって〜...」

 

踏ん張る彼女も可愛かったし、なんなら泣きつく彼女も可愛かった。

まあ素直に助けてやりますかね。

 

「よっと...どーぞ」

「ありがとう...んぐ...ぷは...意外と炭酸強いんだね」

「慣れだよ、慣れ」

 


 

その後も色んな屋台を回って楽しんだ。

途中ではぐれた時はマジで焦ったけど。

 

「さて...そろそろかな。ましろ、移動しようぜ」

「え?どこ行くの?」

「花火がいちばん綺麗に見える特等席」

 

そう言って祭りの場所から離れ、向かう先は丘のてっぺんにある公園。

 

「公園だったら人いっぱい居そうだね?」

「そこがただの公園だったらな」

 

たどり着いた先は葉が生い茂る一見廃墟に見える公園。

 

「ここ、ほんとに公園?」

「あぁ、ここに看板もあるだろ?何とか公園って。...何公園かはわからんけど」

 

まあ、ぶっちゃけ公園自体に用はない。

用があるのは公園の向こう側にある、一面が開けた小さい広場だ。

 

「さて、ここだよ」

「うわぁ...!すごいね、ここ」

「ま、とりあえず座ろう」

 

ブルーシートを敷いて座る。

 

「...おっきくない?」

「サイズミスったんだよ。聞くな」

 

風で飛ばないよう石を置きつつ、さっき買ったわたあめをかじる。

 

「なんでこんなのをガキの頃は好きになるんだろうな」

「ガキって...あやくんも今すっごい子供っぽいよ?」

「いいんだよ。心はいつまでも幼稚園児だ」

 

そう言いつつ、時計を見る。

...7時だ。

 

「来るぞ」

 

ドーン!!

 

「わぁ...!」

 

ドーンドーンと、大きいのが3発打ち上がる。

続いて細々したのがいっぱいに広がり、それを塗りつぶすようにまた大きいのが上がる。

 

「すごい、すごいよ...!」

「あぁ、すげえな」

 

まさかこんなに綺麗に見えるとは思ってなかった。

ある程度開けた場所なら綺麗に見えるだろうと思っていたが、このロケーションも相まって、だいぶ綺麗に見えている。

何より、隣に彼女がいるってだけで、去年とは違う。

隣で花火のような笑顔を見せる彼女に、視線を奪われた。

 

「...?花火、見ないの?」

「あ、いや、その...隣の花火の方が、眩しくて...」

「隣...?...!///」

 

言葉の意味に気づいたましろは顔を赤くする。

 

「ど、どうしてそんなこと平然と言えるの...」

「嘘と隠し事は嫌いだからな。思ったことは正直に言うって知ってるだろうに」

「あう...それは、そうだけど...」

 

正直言って、花火よりましろのほうがきれいだ。

まあそれでも、こんな場所に連れてきたのには訳があって...

 

「ましろ、こっち向いてよ」

「え、な...んんっ...///」

 

これがしたかっただけだ。

花火が上がってる中、彼女を振り向かせてキスをする。

ましろに貸してもらった小説にこんな文面があったので、実行してみたら意外とうまくいった。

うん、満足。

 

「ぷはっ...びっくりした...」

「ごめんな、あの小説、結構面白かったよ」

「あ、読んだんだ...」

 

そう言って顔を伏せ、寂しそうに笑う彼女。

そんな顔をしてほしくなくて、彼女に膝の上にある手を取る。

 

「...?あや、くん?」

「笑っててくれ。少なくとも、俺が隣にいるときは」

「...」

「無理に笑えとは言わないから。理由を話してほしい。俺はそんな顔、見たくない」

 

そう言っても、彼女は強情だ。

首を振るだけで、答えてくれない。

まあ、そんなことはわかりきってるので。

と考えたタイミングで、花火の音が止んだ。

 

「ん、終わったみたいだな」

「...そう、だね」

 

なんとなく気まずい空気が流れる。

...うまくいくかは正直わからないが、この手に掛けるか。

 

「なぁ、もうちょっとだけ付き合ってくれない?」

「え?いいけど...どこ行くの?」

「俺の家。正直久々に会えたんだし、まだ話したりない。いいかな?」

「...うん、わかった」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。