※この作品はR-18です。

健気な彼女   作:ユイトアクエリア

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深夜テンションでストリーミングハートとスクランブル交際聞きながら書きなぐった小説
自己解釈が浅いのでただ歌詞の上っ面だけを読んだ文章になります

オリ主もヒロインも名前は出てきません、ご了承下さい


代わりなんて、どこにも【N】

ーー心に、穴が開いている。

 

よく、「なんか寂しい」とか「なんか満足しない」と思う時に、「心に穴が開く」と言うが。

 

こういう時に使うんだと、一年前に味わった。

 


 

「......」

「...目、開けろよ。お前の彼氏が見舞いに来たぞ」

 

目は開かない。

交通事故に巻き込まれた俺の彼女は、よくて記憶喪失、悪ければ死、という状態で。

 

医者は、「目が開いたら、記憶喪失になってる可能性が高い」と。

出来る限りのことをした、と。

 

「...今日も、ダメか。また来るよ」

 

起きない彼女を置いて、俺はドアを閉めた。

 


 

だから、彼女の様態が変化したと聞いても、俺は病室に行く気が起きなかった。

勿論行った。

けど、結果は分かりきっていて。

 

「...そっか」

 

彼女の友人からかかってきた、わかりきった結果の電話も淡々と返して。

 

「ありがとう」

 

中身が全く籠ってない返答をして。

 

「それじゃ」

 

一刻も早く、一人になりたくて。

携帯の電源を落として、ベッドに投げ捨てて。

そのまま自分の体も投げ捨てて。

 

「おやすみ」

 

一人の空間に呟いて、意識を落とした。

 


 

「ーーってことがあってさー...って、聞いてる?」

「...あぁ、聞いてるよ。そうだよな」

「聞いてたらその返答は出ないはずだけど?」

「...悪かったよ」

「よろしい」

 

意味のない流行りの会話をそつなくこなせるほどには、こいつと付き合って来れた、というべきだろうか。

こいつとの会話に意味はない。

それ以上に、この人間について興味は微塵もない。

 

「次もダメ、か」

「どした?」

「いや、選んだやつをミスったなって」

「あーそのゲームね?うちもちょっと詰まっててさーー」

 

...俺はいつまで、君に囚われるんだろう。

 


 

まだ、ダメだ。

俺の心は埋まらない。

いい加減女々しいと怒られてもいいと、むしろ怒られた方が清々しいとさえ思っている。

 

「先輩、大丈夫ですか?」

「ん...あぁいや、悪い」

「眠たいなら、私の膝でも貸すので...」

「...ありがとう」

 

頭を落として、後頭部の温かさを感じながら意識を落とす。

この暖かさは、なんだか一人じゃなかった時を思い出して。

 

「...おやすみ」

「...はい、おやすみなさい」

 


 

とりとめのない感情は、次第に俺の心を壊していく。

元から開いてた穴付近を抉るせいで、その穴がだんだん大きくなっていく。

俺は、いつまでこれを引き摺るんだろう。

 

「いや」

 

分かってるんだ。

俺がこれを捨てない限り、これはずっとついてくる。

けど、捨てられない。

俺は、ずっと。

 

「...なら、幻覚も見えだすか」

 

1年も引き摺っていれば、それはもう呪いにもなるだろう。

だから、彼女によく似た幽霊が見えたっておかしくはない。

 

「久しぶり」

「...あぁ」

 

体は会話をしているのに、脳はこいつと会話するのを拒んでいる。

偽物だ、やめろと。

 

「もう1年、経ってるんだね。早いなぁ」

「...あぁ、そうだな」

 

駄目だ、これ以上はだめなんだ。

 

「ねぇ、私達さーー」

「お前、誰だ」

「...え?」

 

過去を捨てるときは、きっとここだ。

 

「俺の知ってるお前は、やり直そうなんて言わない。お前は、誰だ」

「...君が、私を作ったんだよ?キミが、理想とした彼女像が、ワタシだよ?」

「...そう、か」

 

俺が作り出した虚像なら。

俺がまいた種ならば。

 

「...」

「ね、あきらめて私と付き合お?」

「...それが、一番いいか」

 

そいつは詰め寄ってくる。

半開きの唇を、俺に合わせようとしてくる。

だから。

 

「...っ」

「どうしたの?しないの?」

「...あぁ」

 

片手をそれの首に添えて、親指を押し込む。

 

「...なにを、かんがえ、てるの?」

「弱い自分を捨てるんだよ」

「それと、ワタシを殺すことに、なんの、意味が」

「大ありだよ。俺が作り出したお前を無くして、俺は過去を捨てるんだ」

 

自分でも、相当に痛いやつだってことは承知している。

過去を捨てるとか、お前を殺して上に行くとか、弱い自分にはうんざりだとか。

まぁ、それも思い出として。

開いてる片腕をそれの腰に添えて。

 

「...な、に?」

「...お前のことは、忘れないさ」

「...捨てる、って、言ったのに...?」

「忘れるってわけじゃないぞ。...屁理屈、かな?」

 

それは、首を横に振った。

 

「...なら、良かったよ」

「じゃ、あ、とき、どき、おもいだ、して、くれ、る?」

「...むしろ、忘れないでやるよ」

 

親指を強く押し込んで、それの気道を潰す。

体から力が抜けて、それの重みを受け止める。

 

「...おっも」

 

どこかで乾いた音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 




ホワイトデーの翌日になんてもんあげてんだろうね
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