ほぼ手癖で書いてる
「はぁ...さっむ」
手を擦り合わせながら、手と手の間に隙間を作ってそこに息を吹き込む。
手袋をしているのにそれを貫通してくる寒さ。
朝の7:30とか人間が活動していい時間じゃない、間違いなく。
「あ、綾乃、くん」
後ろから小走りで声を掛けてきたのは、隣の家の倉田家ご令嬢、ましろだ。
近所付き合いで仲良くしている。
「ん、ましろ。おはよ」
「おはよ...なんか、魔法使いみたいだね」
「どこが...まぁ、なんかローブっぽいか」
厚手のコートが、ましろには魔法使いのローブに見えたらしい。
こういうところも、とても可愛らしい。
「綾乃くんは、今から大学?」
「あぁ。ましろも学校か?」
「うん。なんか、新鮮だね」
「俺は新鮮だけど、ましろはそうでもないだろ。俺の私服なんて見慣れてるだろうし」
「ううん。この時間が、新鮮ってこと」
ちょっと自惚れが過ぎたな、反省。
「ねぇ、綾乃くん」
「ん?」
「明日も、朝から?」
「いんや、明日は昼からだな。朝なのは今日と明後日だけだ」
「そっか」
ましろの頬がちょっと赤い。
冷えたか?
「綾乃くんが良かったら、その、朝からある日は、一緒に行かない?」
「...ましろが起きれたら、一緒に行こうな」
「...!うん!」
笑顔になった。
なんて分かりやすい子なんだろう。
詐欺とか引っかからないかな、大丈夫かな?
「...そんな嬉しいか?」
「うん。綾乃くんと二人で歩くの、楽しいよ?」
「...そうか」
...本当に、なんで俺なんかに懐いてるんだろう。
俺よりもっといいやつとか...いないのか、女子学園だから。
そりゃ父親の次のよく見る近所の兄ちゃんに懐くか。
「綾乃くん?」
「ん?悪い、どうした?」
「綾乃くんの顔が、難しい顔してたから。どうしたのかなって」
「いや、何でもない。...っと、大学こっちだ。じゃな、ましろ」
「あっ...うん、またね、綾乃くん」
逃げるように路地に入って、ため息を一つ。
「...この関係、いつまで続いてくれるんだ」
ましろが、俺を近所のお兄ちゃんだと認識している限りはこの関係は終わらない。
だけど。
「...俺には、その先に進む勇気はない」
彼氏になれるか、と言われれば、それはNoだ。
俺は、彼女を幸せにはできない。
なったとして、きっと彼女を傷つけるタイミングがある。
その時、俺は何をしてあげられる?
「なにも、してあげられない」
俺は、弱いから。
だけど、その弱さを隠して。
今日も偽って生きる。
「お、綾乃、おはー!」
「...ん、おはよう。寝坊しなかったんだな」
「っせ!いつもしとるわけじゃないわ!」
...あの子には、貼り付けた仮面を見せ続けるんだ。
あんまりこういうこと言わないんだけども
感想とか読了とかここすきとかくれっ!!(大声・乞食:救いようがない)