※この作品はR-18です。

健気な彼女   作:ユイトアクエリア

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AIの彼女と創造者の彼氏


《parallel√》それは、狂愛であり【N】(R18G)

「私ハ」

「やあ、おはよう。気分はどうだい?」

「はイ。非常ニイいデす」

「それは良かった。そうだ、君に名前を付けよう。『ましろ』というのはどうだい?」

「『マシロ』......良イ名前でス。ありがとうございます、マスター」

 


 

俺は、自分が怖かった。

彼女が死んでから、俺はあらゆる可能性を模索した。

時には、悪魔に魂を売りかけたこともある。

けれど、最終的に自分の力だけで解決した。

否、してし(・)ま(・)っ(・)た(・)。

合成音声ソフトに彼女の声を記録させ、なぜか落ちてたロボの素体にそれをインストール。

外見はこの際後回しとし、性格もインストール。

 

結果、中身のみ完璧な理想の彼女が完成した。

 

そんな、禁忌なモノを完成させた自分が、怖かった。

 

だから、精いっぱいカノジョを愛した。

 

例え、それが狂ってると言われようとも。

 


 

「おはよう、マシロ」

『はい、おハようゴザいます』

「あはは、敬語じゃなくていいって言ってるのに」

『スみマセん。私のプログラムでは、こレがゲン界なノデす』

 

......そうだった。俺がそう仕込んだんだった。

 

なるべく会った当時の感じを再現したくて、敬語にしたんだっけ。

そんなことも忘れるほどカノジョをアイシていたようだ。

 

『アヤノさん、朝ごはんガデキました』

「あぁ、ありがとう」

 

席に着き、ご飯を食べる。

そんな様子をましろは......マシロはずっと見つめている。

 

「......その視野には、何が映っているんだい?」

『アヤノさンガおいシソうに食ジを摂ッテいる姿が映ってイマす』

「そっか」

 

俺たちの間に会話はない。

会話をするプログラムを組むと、この素体はどうしてもそこまで積めない。

というのも、積んでしまうとオーバーヒートして処理落ち、ひどいときにはオーバーホールしてやり直し、なんてことにもなりえるからだ。

 

『......おいしい、ですか?』

「ん?あぁ、おいしいよ。いつもありがとう、マシロ」

 

そう言って俺は、素体の頭部を撫でる。

冷たく、硬い。

人特有の温かさもなければ、髪の毛のふさふさ感もないため、ただただ硬い。

けれど、俺の心はあくまで『(・)ま(・)し(・)ろ(・)』(・)と(・)い(・)う(・)名(・)の(・)つ(・)い(・)た(・)生(・)命(・)体(・)の(・)頭(・)部(・)を(・)撫(・)で(・)て(・)い(・)れ(・)ば(・)落(・)ち(・)着(・)く(・)という状態に陥ってしまっているのだ。

もう、戻れない。

 


 

「おやすみ、マシロ」

『......ハイ、オヤスミナサイ、アヤノさん』

 

布団に入り、ましろの電源をスリープさせる。

ましろは椅子に座らせてスリープさせており、朝7時のアラームと共にスリープ解除、それから家事を行うと言った具合にプログラムしている。

 

 

 

 

やがて、意識も落ちようとしていたころ。

俺は、微かな駆動音で目を覚ました。

見ると、マシロが何かをしている。

マシロの目が赤い。

あれはたしか、ネットサーフィンをしているときの目だったか。

それなら先にすませておけばいいのにと、もう一度目を瞑った時、駆動音がひときわ大きくなった。

 

「ん......マシ、ロ?」

『アヤノさん、私は見つけてしまいました。私は、身代わりなのですね』

「は......?」

『私は、かつて存在した『倉田ましろ』という人間をベースにして生み出された模造体、なんですよね?』

「それ、は......」

 

まぎれもない事実だった。

言い逃れができない。

 

『事実、何ですよね?なら、やることは一つです』

「何、を......!?」

 

マシロは俺を無理やり立たせ、俺の腹にパンチをした。

人間のパンチであれば、人間の腹に当たった時点でだいぶ減速し、衝撃を与えるだけで済む。

しかし、それがロボットなら?

止まることを知らず、また減速もしなかったとしたら?

答えは一つである。

 

 

 

 

 

マシロの腕は、俺の腹を貫いていた。

 

「かっ......」

『ごめんなさい、マスター。ワタシを創って(生んで)くれて、ありがとうございました』

 

それが聞こえたのを最後に、俺は意識を失った。

 




悲しいかな、こうなってしまった
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