天子が地上に降りると、いつも衆目を集める。今のように人通りの多い里の大通りを歩くときは、なおさらだった。
すらりとした眉毛に、まっすぐ通ってつんと尖る鼻筋。ぱっちりした知性的な瞳に、マッチ棒が乗せられそうなほど長い睫毛。白い肌に象られた柔らかな頬と、きゅっと引き結ばれた唇。全体的にやや険のある顔立ちながらも、ドのつく美少女だ。
衣装も天界謹製の、とびきり上等な逸品だ。そこらの女では、とうてい太刀打ちができない。すれ違う者だれもが振り返るのも、無理はなかった。
不躾な視線を浴びせられたりもする。とはいえ、悪い気はしない。彼女は天人にあるまじき目立ちたがりであり、自己顕示欲も強かった。注目されるのは大好きだ。
というわけで、一人パレードの様相を呈している散歩を楽しんでいた。が、ふと横道に逸れる。なるべく人気のないほうへと向かう。
後ろから気配がついてくる。やはり、尾けられていた。
目立つのはいいが、悪漢に目をつけられるなら話は別だ。比那名居の娘を狙うとは傲岸不遜である。ちょっと懲らしめてやろうと思っていた。
普通なら無謀といえる行動だ。しかし、あいにく彼女は天人だ。どんな悪漢でも、傷つけられるわけがなかった。
しばし進んでいると、前方の曲がり道から男が現れる。後ろも塞がれた。
前に三人、後ろに二人。囲んだつもりなのだろう。実際のところ、この十倍は連れてこないと、お話しにもならないのだが。
「おいおいお嬢ちゃん、迷子かよ? 困っちまったな、ええ?」
ほとんどはチンピラだ。ただ、前方に立つ男の片方だけ、やけに身なりがよかった。連中のリーダー格なのだろう。
ニタァと歯を剥きながら笑う様は、猿そっくりだ。性欲を顔に浮かべているのも手伝っていた。高級な服を纏っているが、似合っておらず、成金感が漂っている。
彼は里人みなが嫌う、鼻つまみ者だ。手に負えないごろつきで、度を越して好色であり、今まで何人もの女を手込めにしている。しかも、親は里でも有数の権力者だ。不祥事を起こしては、親の権力で揉み消していた。いわゆるボンボンで、ドラ息子だった。
そんな輩に、取り巻き連中と一緒に取り囲まれた。普通の女性なら、何をされるか察し、恐怖するところだ。天子は平然としていた。実際、何の脅威でもないからだ。
彼女の無反応っぷりを、強がっていると判断したらしい。男はヘラヘラした軽薄な笑いを強め、再び口を開いた。
「ここらは俺たちの縄張りだぜ? 勝手に入り込んで、どうしてくれんだ?」
「どうって、何」
「誠意を見せろっつんだよ、わかんねぇかなぁ。どうなっても知らねぇぞ、えぇ?」
「逆に私をどうにかできると? すごい自信ね。びっくりするわ」
おーおー強がっちゃってよと、男は返した。げらげらと、取り巻き共が追従の笑いを零す。
どうも、連中はこちらをどこかのお転婆娘とでも勘違いしているらしい。里には人外のたぐいも普通に訪れるはずだが――この判断力で今まで生きてこられたのは、悪運が強いのだろう。
「へへ……そこまで言うなら勝負しようぜ。なに簡単だ。一時間、俺らのすることに堪えりゃあ、許してやるよ。逆に堪えられなかったら、そのときは……分かってるな?」
意地の悪い笑みを浮かべながら、男はいう。知性を感じさせない瞳の奥では、性欲と嗜虐心がギラギラと燃えていた。いつの世の中も、人間の考えは似たり寄ったりだ。
「おーっと! 逃げられると思うなよ、こんなとこじゃ誰も助けちゃくれねぇよ、へへ、自分の不運を恨むんだなぁ」
「いいわよ、受けて立つわ」
「……えっ、いいのかよ」
別に猿に何かされたとて、それが何の汚点になるだろう。一時間、阿呆が阿呆をする様を眺めて楽しめるのだから、いい暇つぶしになる。逆に、本当に自分が堪えられないくらいの何かできるなら、褒め称えてもいいくらいだ。
だから頷いた。男は拍子抜けした様子で、尋ね返してきた。自分で持ちかけておいて、素直に頷くと思っていなかったらしい。外見通りの間抜けな奴だと、認識を新たにする。
「なに? そっちから提案しといて怖じ気づいた? それならそれでいいけど。やるならさっさとはじめれば?」
「……はん、その余裕がいつまで続くか、楽しみなもんだな。こっちだ、ついてこい」
男は踵を返し、すたすたと歩き始める。黙ってついていく。逃がさないぞといわんばかりに、左右を取り巻きが固めてきた。汗臭い連中だ。やはり地上の人間は下賎だ。
二、三度、路地を折れ曲がった。道順もややこしいし、普通の娘が自力で逃げ出しても表通りまで戻ってこられまい。天子の場合、飛べば済むので、何の問題もないのだが。
「ほれ、ここだ」
案内されたのは、倉庫らしき建物だった。中は薄暗く、埃っぽい。いつから放置されているのか分からないガラクタが、隅の方へ乱雑に積まれている。微かに生臭い匂いがする。彼らがヤり部屋代わりにしているせいだろう。
「へへへ。待ってろよ、すぐそのナメた態度を後悔させて、土下座させてやるからな」
「……まあ、努力してみればいいんじゃない」
後ろで、取り巻き共もぞろぞろと入ってくる。扉が閉められ、鍵がかけられた。逃がさないぞと言っているようだ。天人を閉じ込めるなら、戸板から鉄にしないと無駄だが。
「んじゃぁ勝負の始まりだ。まずは景気づけに一発。ゲロでも吐くまで殴られてもらおうかなぁ!」
男はニタニタと笑いながら、拳を鳴らす。目配せを受け、取り巻きが天子を羽交い締めにする。尻のあたりに、硬いものが押し当てられている。欲情しているらしい。
「そぉ、らッ! ……!?」
拳を振りかぶり、臍のあたりを殴りつけてきた。武術の嗜みなどはなく、我流の喧嘩殺法だ。特に身構えもせず、そのまま受け止める。
苦悶に呻いたのは、男のほうだった。手首を押さえ、うずくまる。
鼻で笑う。鬼ですら手こずる天人の肉体を、ただの人間がひょろひょろの拳でどうにかできるわけがないのだ。
「くっそ、なんだコイツ。腹に鉄板でも仕込んでやがんのか」
「あんたが特別ナヨナヨしてるだけでしょ。それで? もう終わり?」
「はん。その強がりも、ひん剥いちまえば出てこねぇだろ。服脱げ、自分からな」
男の視線と声は、いくぶんキツくなっていた。痛みを負わされたことを恨めしく思っているのだろう。顎をしゃくり、脱衣を命じてくる。
「そんなものでいいなら、ほら」
自分からとわざわざ付け加えたのは、こちらに屈辱を味わわせたかったのだろうか。別に、肌を見られたところで、何も恥じるところはないが。
ブラウスの前をはだける。露わになった白い肌は、倉庫の薄暗さの中でも照り映えるかのようだ。晒しも解けば、内側で戒められていた柔肉が弾け出た。
晒しをかなりキツめに巻いているので分かりにくいが、天子の乳房は平均以上に豊かだ。カップでいえばEほどにもなり、瑞々しい双丘はつんと上向いて自己主張している。そのたわわさたるや、姿を現わした瞬間、プルンッ! と暴れ出たほどだ。乳輪はバスト全体のサイズと比べるとやや控えめだ。淡い桜色をしているのもあり、かなり慎ましげに見える。
「おおぉ……」
男たちから、感嘆の吐息が漏れた。ただただ口を開けて惚ける様は、完全に間抜けだ。たっぷり三十秒ほど、ぼけっとしていたろうか。我に返ったか、若干ばつが悪そうな表情を浮かべ、さらに命令してくる。
「な、何やってんだ。下も脱ぐに決まってんだろうが、わかんねぇやつだな?」
「ああそう? なら、そうさせてもらうけど」
言われるまま、衣服に手を掛ける。一度勝負を受けたのだから、逆らうつもりはない。
恥じる気持ちはない。己の肉体に、恥じ入るところなど一点たりともない。そもそも、猿に裸を見られたところで、恥じる理由もなかった。
ずば抜けた美少女であるのはいうまでもなく、体つきも素晴らしい。普段ゆったりした衣装を纏っているので分かりにくいが、かなり着痩せするタイプだ。肉付きのよいボディは、ふるいつきたくなる極上のものだった。男好きのする、とは、まさにこういう肉体のためにあるのだろう。
絞めれば折れそうな首は、肌の白さを照り映えさせている。なだらかな肩は、幻想郷中の荒くれどもとやり合っているとは思えないほどだ。
乳房のたわわさは、あらためて説明するまでもない。一糸まとわぬ姿となったことで、いっそう美しさを増していた。
腹回りはスリムで、ややくびれている。決してわざとらしくない、人体特有の美しさを演出している。確かな、しかしごつごつと主張することはない控えめな腹筋が、腹部を飾り立てる。中央で縦にシュッと走る臍が、セクシーさを強調していた。
ほんのりと広がった骨盤は、ウェストの細さとすばらしいコントラストをなしている。存在だけで男を誘惑するような、安産型の下半身だ。
陰毛はよく整えられており、貴族の庭園を思わせる。裂け目はやんわりと花開いて、子供と大人の狭間にある性別――少女であることを感じさせた。
「ぉお~……」
またしても、感嘆の吐息が男たちから漏れる。無理もない。目の前にあるのは、色街いちの娼婦でも勝負にならない、極上の肢体だ。ちょっと箱入り娘を食い物にするつもりが、これほどのものが出てきたとなれば、我を忘れるのも当然だ。
「はんっ……」
沈黙の中で、天子の嘲笑がやけに響いた。男は再び我に返り、青筋を立てる。己がコケにされたと感じたのだろう。実際、そのとおりだった。
「後悔させてやるぜ、てめぇの身体、ギタンギタンにしてやるからなぁ」
男が躙りよってくる。近くで見るに、小汚い顔つきだった。骨格が猿っぽいうえにあばた面で、品性を感じない。
「おら、口開けろや、へへへ」
「はぁ……んぐっ、んむっ、んっ、ん」
キッスを奪われる。艶めくリップに、下衆の唇が押し当てられ、むにゅりと形を変える。
口内に、舌がねじ込まれる。ヌルヌルと、粘膜を舐め回してくる。
こちらも、舌を蠢かす。厳密には命令されていないので付き合う義理もないのだが、その程度の気を利かせる分別はあった。勝負ごとは、お互いに歩み寄らないと楽しくない。
「ぢゅるっ、れろっ、んぢゅるっ、レロレロレロ」
「ふ、ん、んふっ、くちゅっ、ぢゅる、んふぅっ」
ムフゥムフゥと、男の鼻から荒い息が漏れている。天子のような極上美少女とのベーゼに興奮しているのだ。
ぐちゅぐちゅと音を立てて、唾液を送り込んでくる。お返しに、こちらからも送り込んでやる。繋がり有った唇の狭間から、空気混じりの粘っこい音が響く。
「へへ、見ろよコイツの乳。すっげぇよなぁ」
「でけぇし形も最高だし、興奮するわ、へへ」
「んっ」
取り巻きの男が、乳房を後ろから鷲づかみにしてくる。弾力のある柔肉は、むにゅんッと思い切り形を変える。
「おっほ、すっげぇぞコレ、すっげぇ」
「いや、何がすげぇんだよ」
「とにかく今までの女とは一味違うっていうかさぁ、掌が幸せってーの? そういう感じ」
「分かんねぇわ」
極上の手触りに、男は早くも夢中だ。むにゅりむにゅりと、揉みしだいて捏ねまわしてくる。Eカップに指が沈み込み、自在に形を変える姿は、それだけでずいぶんと卑猥だった。
「んっ、ふっ、ンッ」
「そらっ、どら、感じるんだろうが? ホレホレ」
親指と人差し指で、乳首をつねり上げてくる。キュッキュッとつねりながら、引っ張ってくる。
快感と痛みを与えたいのだろう。こんな独り善がりな愛撫で感じるわけもなければ、天人に痛みを与えられるわけもなかった。
「んじゃぁ、俺はこっちを責めっか、へへへっ」
また別の男が、両脚の狭間に指を忍び込ませてくる。剥き出しの花弁を、ゆっくりと擦り上げてくる。
「ん……っ、んっ」
「おっ? なんだ感じてんのか? 淫乱がよぉ」
刺激に、腰が小さく動く。愛らしい吐息が漏れる。ごろつきどもは勝ち誇った顔を浮かべる。いちいち反論する気にもならない馬鹿馬鹿しさだ。
「ふっ、ンッ、んぅっ、く、ん」
次第に、湿り気を帯びてくる。摩擦に対して肉体を守ろうとする、当然の生理反応だった。男たちはニタニタといやらしい笑みを浮かべ、彼女を見つめている。
「ンッ、く、んぅっ、ふっ、んはっ、んぅうっ」
指先から、ぬちぬちと音がなり始める。奥から滴る粘っこい蜜が、擦られているのだ。
「ほれほれ、もっとよがって良いんだぜぇ」
「くっ、ふ……っ、んぅッ!」
肉穴の内部へと、指が入り込んでくる。淫洞の浅くを、ゆっくりと抜き差ししてくる。
技術的には、実に雑で稚拙だ。独り善がりで、相手を感じさせる工夫が足りない褒められるところはひとつもない。
とはいえ、弄られれば多少なりの性感は感じるものだ。ちゅぽっ、ちゅぽっと、猥褻な音が響いている。少しばかり、漏れる声が切なくなっていく。
「くっ、ぅんっ、んぅんっ、はぁっ、くっ、ぅうっ、ふっ、んぅう」
手つきは次第に激しくなっていく。くっちょくっちょと、淫蜜が音をたてる。
「ぶはぁ。どうだよ、ちったぁ参ったって気分になったか? えぇ? 土下座してワビ入れんなら許してやるぜ?」
「んは……はん。よくもまぁ、この程度でそんなことが言えたものね」
噴飯物とはまさにこのことだ。せせら笑えば、男たちは逆上する。室内が殺気立つ――天子からすれば、羽毛で撫でられるも同然だが。
「フン。いつまでその余裕がもつもんかね。オラ、跪け」
肩をグイと押し下げられ、男のもとに蹲ることとなる。これが普段やりあっている人外や巫女、魔女なら、屈辱とも感じたろう。ただ、相手が相手なので、別にどうとも思わない。
どうせ、あと一時間もしないうちに勝負は終わるのだ。その後、思い知らせてやればいい。
「ほれ、しゃぶれよ」
男が下服をずらす。さっきから、露骨に膨らんでいたのだ。その中身が、姿をあらわにする。
なかなかの業物だった。全長でいえば二〇センチほどにもなる。亀頭は赤黒く力強く張り出している。かなりのカリ太で、曲刀じみたカーブを描いている。表面をぐねぐねと這い回る血管が、見た目のグロテスクさを強調していた。
何人もの女を食い散らかしてきたのだろう、表面は薄黒く、淫水焼けを起こしている。なるほど、こんなモノを持っているから、調子に乗っているのだろう。男という生き物が、自らの価値をペニスに求めがちであるのは、天子も知っていた。
どうやら、それなりに楽しめそうだ。
「へへへ、びびって声も出ねぇか? あーん? ヒィヒィ言わせてやるからな、覚悟しろよ」
天子の無言を、恐怖しているとでも考えたのだろう。ニタニタと、男たちは見下した笑みを浮かべている。
「えぁ、あむっ」
「ぉうッ」
大きく口を開き、差し出されたモノを一口で咥え込む。口内に、ほんのりと汗の匂いが広がる。快くはないが、女の本能を疼かせる。
さんざん煽っていたとはいえ、まさか本当に咥えられるとは思っていなかったのだろう。男は若干裏返った声を上げ、腰を震わせた。
「んふ――ぢゅるッ、ぢゅぷッ、ぢゅぽッ、くぷッ、んふぅ、くぷッ、ぢゅるるるッ――」
「おッ、おっおっおッ、ぉうッ!?」
頭を前後させ、しゃぶりたてていく。ぢゅぷッ、ぢゅるっと、下品な音が響く。
とても強要されているとは思えぬ、熱烈な口淫奉仕だった。勝負ごととしてのルールである以上、ちゃんとやるのが筋だ。なにより、色事は嫌いでない。あまり開けっぴろげにはしていないが、天子は好色なたちだった。
「へッ、へへッ、チンポ大好きなの~、ってか? ほれ、ならもっとしゃぶれよ雌犬」
若干余裕を取り戻してきたのか、男が憎まれ口を叩く。腰をカクつかせながらでは、威厳もへったくれもなかった。
片眉を上げる。もっとしゃぶれというなら、お望み通りにしてやろう。どこの春売り宿でも味わえぬ、天人の情熱的フェラチオを味わわせてやる。
「ぢゅッ……ずずッ、レロレロレロッ、ぢゅるッ、んぢゅッ、ぢゅむぅううッ」
「ぉっ、ぉうッ、うぉおッ!?」
頬を窄めながら、ちゅうちゅうと力強く吸い付く。舌を自在に蠢かし、亀頭からカリ首、肉竿にかけて激しく舐め回す。
とても非想非非想天の娘とは思えぬ、淫猥きわまる口腔奉仕だった。
ぢゅぽぢゅぽと濡れた音を上げ、口端から唾液を滴らせながら、イチモツをしゃぶりたてる。
「んふッ、ンッ、ふ……んぢゅるッ」
「くぅっ、ぉッ、ぉぅ、ぉお~ッ」
舌を蠢かすほどに、口内にペニスの味が満ちる。女の本能を疼かせる、逞しい味わいだ。
子宮が熱を孕み、自己主張を始める。自然と、指は股間へと向かっていた。
「ンッ、ふッ、んぅッ、んくッ、れろッ、んぅ! っふ、んぅん」
「おっ、なんだ、勝手にマンズリおっぱじめやがった」
「澄ましたツラして、とんだ淫乱だったってワケだ。ヒヒッ」
ぢゅくぢゅくと、狭穴を己の指が耕していく。卑猥音が鳴り響き、腰が小さくくねる。天子の晒す痴態を、男たちはヘラヘラ笑いながら愉しんでいる。知性のちの字もない態度だった。
「ぢゅるぅッ、れろッ、ぢゅぷッ、んぢゅるるッ、れろ」
「ぉッ、おッ、くッ、ぅッ、ぉっ、おおおおッ」
指が肉穴をほじくり返すほど、口腔はより情熱的に男根を求める。魔羅をしゃぶりたてるほど、指の動きは激しくなっていく。
二つの行為がお互いに高め合うループだ。そんな情熱的行為に晒された男が、長く堪えられるわけもない。
「くそッ、ぉッ、お、出すぞこの雌犬、このッ、ぉッ、おッ、おおおッ――!」
竿が、口内で膨れている。ビクッ、ビクッと、力強く脈打ちはじめる。何の兆候であるか、もちろん分かる。射精が近いのだ。
ならばと、とどめとばかりに、裏筋を中心に舌先で徹底的に責め立てる。どんな偉丈夫だろうと泣きをいれる、必殺の舌技だ。もちろん、そこらのボンボン風情が、堪えられるわけもなかった。
「くそッ、出るッ!」
「んぽぁッ……」
男が腰を引く。イチモツが、口腔から引き抜かれる。ぢゅぽんっと、コルク栓を抜くような音が響くと同時に、肉竿が弾けた。
どッ、どッと力強く脈動しながら、白濁を放っていく。鈴口より飛び出した濃厚種汁は、物理法則に従って天子の顔面に着弾する。
べちゃりべちゃりと、麗しきかんばせを汚していく。
「れろっ、れろれろれろ……」
「うぉッ、おっおっおっ、おぉおッ」
もちろん、容赦はしてやらない。絶頂の最中にある敏感肉竿の先端、特に敏感な裏筋を舐め回して、射精を促してやる。男は裏返った声を上げて、強烈な刺激を堪えていた。
「ぉッ、おッ、くぅう、ぉおおッ――」
「んちゅるるっ」
「ぅおおッ!」
尿道に残った僅かなスペルマまで吸い上げれば、お終いだ。不摂生な生活を送っているのか、精液はわずかな量でもかなり苦味が強かった。
「へ、っ、へへ。無様な顔になったなぁ、おい」
「そりゃあどうも。で? これだけ?」
「んなわけねぇだろうがよ。おら、これでも飲んでろ」
口の中に指を突っ込まれ、舌を引きずり出される。唾液でヌルつく舌の上へ、得体の知れない錠剤が乗せられた。
「飲め」
「あぁ……?」
「当然だろ? 俺らのやることを堪えるってのがルールだ。じゃあ飲むのが道理ってもんだろうよ」
ふん、と鼻を鳴らす。きっと、ろくなものではないのだろう。
とはいえ、拒むつもりはなかった。毒を警戒するまでもない。天人である己を害しうる毒を用意できる者など、そうはいないだろう。
舌を蠢かし、錠剤を喉へ運ぶ。嚥下すると、男は瞳に確信の色を浮かべた。勝利を確信した色を。
「……ッは」
とたん、身体が熱を持ち始める。視界がぐらつき、淫らな考えが頭を満たしていく。ニタニタと、男たちはこちらを見つめていた。
「キくだろぉ? 永遠亭謹製の媚薬はよぉ。お前みたいな気の強いアホ女でも、一瞬で股ぁ開く雌犬に造り替えちまう優れものだよ」
「は。こんなものでも使わないと、女に言うこと聞かせられないってわけ」
「おうおう、アレ飲んでなおその態度か。鋼の精神ってやつかねぇ。いやぁ、たいしたもんだ」
余裕を見せているが、実際のところかなり効いていた。頭の中はペニスとヴァギナのことでいっぱいだ。じっとしているだけで、股穴から淫ら汁があふれて止まらない。
暑くてたまらない。彼女が天人でさえなければ、体内からの発熱で汗をかいていただろう。
「まぁ、強がる必要はねぇよ。今からお前がしてほしいことを、たぁっぷりしてやるんだからよ」
言いながら、男は板床の上に仰向けで寝転ぶ。先ほど射精したばかりであるにもかかわらず、イチモツは力強く張り詰めている。横から見ると、漢字の凸に見えた。
「ほれ、何やってんだ? 跨がって自分から入れろよ。できんだろ?」
ニヤニヤと、男たちから下卑た視線が向けられる。命じられるまでもなくそうしたくてたまらないだろと言わんばかりだ。実際、肉穴はそのとおりの状態になっていた。入れろ、と言われただけで、きゅぅんと疼くほどだった。
「ふん……ま、そういうルールだし、仕方ないわね」
吐き捨てながら、男に跨がる。今ばかりは、そういうルールであることを、都合良く感じていた。すでに一度射精しているにもかかわらずギンギンといきりたつイチモツを、己の股座に押し当てる。が、男はこちらの肩を押し、留めてきた。意地の悪い笑みを見せている。
「ほれ、おねだりしてみろよ、おねだり。とびっきりいやらしくな」
「はぁ? ……誰が」
「おいおい、俺らが言うことは聞かないと駄目だろ? そういうルールなんだからよぉ」
呆れるほど馬鹿馬鹿しく、ずうずうしい物言いだった。とはいえ、一度受けた勝負で、その勝負で成立しているルールだ。となれば、拒むわけにもいかなかった。
「私、比那名居天子は、おチンポ欲しさにお股を濡らす、淫乱でどうしようもないスケベな女です。こんな私のいやらしいオマンコでよろしければ、精一杯ご奉仕いたしますので、私とセックスしてください……はぁッ……」
熱い吐息が零れる。ぞくぞくッと、腹の奥から官能がこみ上げていた。自らを貶める行為は、マゾヒスティックな快感をもたらしてくれる。たまには、こういうのも悪くない。
「へへっ。なんだ言えるんじゃねぇか。ホレ、そこまで言うならハメてやるよ。自分から腰下ろして、雌豚になれや」
「ッは、ありがとうございます……ッあはぁ」
「聞いたか? ありがとうございますだとよ。コイツ、マゾ穴のスイッチでも入ったんじゃないか。ぎゃはは!」
自らへりくだった態度を示せば、男たちはゲラゲラと哄笑する。何が気に入ったのか、股座のイチモツはいっそう張り詰めていた。
「アッ、はッ、アッ、あぁあッ……!」
肉竿に指を絡め、膣口に亀頭を触れさせる。薬の効果で敏感になった肉襞は、男根特有の熱に悦び、きゅぅんと収縮する。淫らに求めているのが一発で分かる、どうしようもない有様だった。
ゆっくりと、腰を下ろしていく。ず・ず・ず……と、被せものなしのペニスが体内に入り込んでくる。
自分は今、しょうもない地上の人間と――それも、そいつらの中においてすら白眼視されるような輩と交尾しようとしている。大地を操る非想非非想天の娘が、なんて無様を晒しているのだろう。
目尻は、うっとりと垂れ下がっていた。
「アッ、は、ああぁあ~ん……ッ」
己から出たとは思えない、淫らで情けない声が漏れる。真冬の寒い日に芯まで凍えているなか、肩まで熱い湯に浸かったときですら、こうまで蕩けてはいなかった。
体内をミチミチと圧迫する肉棒は、圧倒的な存在感で自己を主張していた。ギンギンといきりたち、膣内で燃え上がっているかのようだ。
腰を下ろしていくほどに、肉襞が捲り上げられていく。快楽神経が、ぞりぞりと刺激されていく。
「くっひ、はぁッ、あぅッ、はぁッ」
「おッ、いいねいいね、やるじゃねぇか」
こんな気持ちいいものを前に、我慢などできるわけがなかった。自ら、腰を躍らせていく。
白いヒップがくねくねと踊り、結合部からはぢゅくぢゅくと音が鳴る。淫肉がこりこりと擦り上げられ、蕩けた声が抑えられない。
「おぅッ、おッ、いいぜ、もっとケツ振れ、ケツッ、ぉお~ッ……」
天子ほどの美少女に腰を振らせられること自体に、男は強い充足感を覚えているらしい。ましてそのヴァギナが、今まで食い物にしてきたどんな女よりも上等となれば、なおさらだ。詰まった声を漏らしながらも、勝ち誇った表情を浮かべている。
「おらッ、もっと頑張れっての、ほら!」
「あぁッ!」
ぴしゃりと、打擲音が響いた。ヒップへ平手が打ち込まれたのだ。
痛くはない。天人を痛がらせたら大したものだ。それでも悲鳴をあげたのは、尻を叩かれるという状況に、芽生えかけの被虐性感が悦びを見出したからだ。
「お? なんだケツ叩かれてよがってんのか? へへ、とんだマゾ女だな、そら! もう一発食らわせてやるよ、おらッ!」
「あぁッ!」
ぱぁん、すぱぁんと、小気味良い音とともにヒップへ掌が打ち込まれていく。ぷりぷりとして小ぶりな、安産型の白い臀部であるがゆえ、打撃の痕がはっきりと残る。可愛らしい尻肉が、日光の猿よろしく真っ赤に染まっていく。
「おッ、おッ、ケツ叩いたら締まりがよくなりやがる。マジでマゾだな。おいお前ら、もっと虐めてやれ」
「へへ、そういうことなら、そらッ、もっと鳴けや!」
「あぁあッ!」
隠れ巨乳なEカップを、潰す勢いで鷲づかみにされる。勃起している先端を、ぎゅぅっとつねり上げられる。痛みとともに訪れる甘い快感に、背を反らしてよがる。興奮に比例するかのごとく、雄と繋がる下腹部が、猛然とくねっていた。
「そぉら、その空きっぱなしの口も、ちゃァんと使ってやんねぇとなぁ」
取り巻きの一人が、目の前に立つ。いきり立つイチモツを突き出してくる。
雌の本能に狂わされた彼女は、反射的にしゃぶりつこうとする。が、その必要はなかった。あちらから、口腔へ肉竿を突き入れてきたからだ。
「んぶぐぅうッ……!」
顔面に、下腹が叩きつけられる。鼻筋が陰毛に埋もれる。肉棒は物理法則に従って、口腔を奥深くまで刺し貫いていた。
「ごッ、ぐッ、ぅぐッ――ぐ」
喉奥にまで届いた亀頭は、粘膜をグリッと抉っていた。外部は非常に強靱な天人も、流石に内臓を刺激されては苦しい。鋭い痛みに、くぐもった声を漏らす。
「へへ。そぉら、イラマの時間だぜぇ!」
「ごッ、んぶッ、! おごッ、ぐッ、ぅぐぅッ!」
両側頭部をがっしり掴み、突き出してくる。本来なら固形物が入らない領域を、ごすごすと突き上げられている。
「ぐッ、ふぅッ、んぐぅッ、くッ、ぐ」
喉粘膜に至るまで、男根臭が染みついていく。息苦しさとともに訪れる恍惚が、意識を揺さぶってくる。
「ごッ、んぐッ、ぐぷッ、ぢゅる、れろろッ、んぢゅぅう」
そんな中ですら、天子はペニス奉仕を忘れなかった。突き入れられる肉竿にぢゅうぢゅうと吸いつき、舌先を激しく動かして舐め回す。本能に、突き動かされていた。
「おいおい、何そっちに夢中になってんだ? マンコ奉仕の最中だろうが、何忘れてんだおい!」
「ッ、んぅううううんッ!」
許さないのは、彼女の下で膣穴奉仕を受け止めていた男だ。本来すべき仕事を忘れるなとばかりに、腰を突き上げてくる。どちゅッ、どちゅッと、結合部から音が響く。雌汁がまき散らされていく。
「んぉッ、ぉんんぅッ、んぅッ、くふッ、んぅッ、んぅうッ」
最奥部が小突かれ、子宮口が執拗にノックされる。女として最上級の性感を与えられては、流石の天子も雌豚のごとく喘ぐしかなかった。
ぷりぷりした桃尻へ平手が打ち込まれる。それに応えて、腰がくねくねと躍る。少しでも気持ちよく射精していただくべく、情熱的に弾む。
「んぢゅるぅッ、ぢゅぷッ、ぐぷッ、ぉゴッ、ぐッ、ぢゅぅッ、んぐぅうんッ」
粘膜摩擦の快楽に溺れれば溺れるほど、フェラチオにも熱が入っていく。ぢゅるぢゅると、熱烈かつえげつない音をたててしゃぶりつく。
男たちも情欲を煽られ、ストロークをいっそう激しくしていく。となれば、限界がくるまでにさほど時間はかからなかった。
「おッ、おッ、出すぞ雌豚ァ、おらッ、その腹ァボテさせてやるからなァ……ッ!」
「おらッ、胃袋直射精の時間だぜ、喉ぉ開いて受け止めろよぉ!」
「んぐッ、ンッ、ふぐぅッ、んぐぅううううぅッ……!」
どちゅぐぷぬぼぐぷぬぶと、えげつない音が響き渡る。ラストスパートがかけられ、そしてとうとう弾けた。
「一滴も零すんじゃねぇぞぉ、ぉッ、おッ、おおお……ッ」
頭部をぐいと引き寄せられ、顔面と下腹部が密着する。食道にまで亀頭が入り込み、粘膜をゴリゴリと抉る。ドッドッと肉棒が脈動するたびに、胃袋へスペルマが直接注ぎ込まれていく。ずっしりと、本来の質量以上の重みを感じ始める。生命の重みだ。
「おらッ、中出しだッ!」
ブリッジする勢いで腰が突き上げられ、子宮口と亀頭がキスする。欲望が解放され、睾丸に溜まった濁り汁が解き放たれていく。
無数の精虫が、子宮を泳ぎ回り始める。
うぞうぞと、鞭毛を自在に蠢かし、比那名居天子を孕ませるべく卵子へ向かって殺到し始める。
そうして生まれる熱は、相当のものだった。天人をして、マグマを注がれているのでは、と錯覚せしめるほどだ。
「ぉッ、んぉッ、んぅううううううううッ!」
さすがに、絶頂せずにはいられなかった。雌牛のごとき声をあげて、全身を痙攣させる。背筋を反らせ、結合部から淫猥汁を噴き出して、アクメの官能に酔いしれていく。叩きつけられた快楽信号が、脳味噌を幸せで埋め尽くしていく。
「んふぅッ、んくぅッ、ふぅッ、んぅううぅ、んぅうッ……んはぁッ……」
男が腰を引く。肉棒が、ずるりと体内から抜かれる。口内粘膜の残骸と唾液と白濁の粘液が、唇から糸を引く。膣口からとろりと溢れる粘り汁は、彼女が雄の子種を注がれたという何よりの証拠だった。
床に転がされた天子は、ぐったりとしていた。瞳は虚で、快楽に蕩けきっている。まさしくセックスの虜といった風情だ。男たちはニタニタと好色な笑みを浮かべ、今から繰り広げられるレイプショーに思いを馳せていた。
「アッ、は、あぁっ、あぁ……」
「へへへ。どうだぁ、雌豚? これから俺ら全員でたっぷりマワしてやっからよ、いい声で鳴けよぉ?」
「……あはッ、ああ……」
「けけ、チンポがよすぎて聞こえちゃねぇか。まぁいい。おいお前ら、後は好きにし――」
「時間ね」
まあ、付き合ってやる義理はない。むくりと起き上がる。今のでちょうど、一時間だ。
中々悪くない趣向だったが、天人と我慢比べというのが無茶に過ぎた。あとは延々輪姦するつもりのようだし――つまり、あんまり代わり映えしない行為が続くようだし、もういいだろう。
「は、お前。なんで」
「なんでもなにも。あんなので私に降参させるなんて、無理無理。……じゃ、覚悟はいいわね?」
「ちょ、待っ――」
勝者は敗者になんでもできる。どうせ碌な連中でもないのだ。今まで毒牙にかけた女たちのぶんまで、報いを受けてもらおう。
要石を出現させる。逃げ出す男たちめがけて、思い切りぶち込んだ。