紐パンきつねの海色バカンス 作:ナルキケーネ(ハーメルン支店)
ツヤツヤしたまつりと、腰砕けになったフブキ。対照的な二人は各自の家に朝帰りをし、夜にはそれぞれの枠でまったく別の配信をしていた。
まつりはいつもより上機嫌で配信を楽しんでいたが……フブキはずっと何かを気にしており、たまに「……んっ……♡」と色っぽく言葉を詰まらせて、すこん部たちをザワつかせていた。
何かと落ち着かない時間が過ぎた、次の日の午後。某所のスタジオにはホロメンが集まり、近日に迫ったライブのために、ユニットやグループごとのダンスレッスンが組まれていた。
(……うう……。おとといから、お股が……すごい、ヘンな感じだよぉ……。ぜったい、まつりちゃんのせいだって……)
普段ならなんともないはずの、下着とスパッツの食い込み。汗を吸って強まった密着感のせいで布地が擦れ、たるんだ包皮が守ってくれなかったクリトリスの先端を刺激していた。
「はぁーっ……ふぅーっ……んんっ……♡」
「フブキー、大丈夫かー? さっきからバテバテな感じじゃない?」
「わ、私は大丈夫だよ! それより、ごめんよミオ……! さっき、ステップ間違えて、ぶつかっちゃったね……」
「いやいや、そんなの気にしなくていいから。つらかったら、すぐに休むんだよ?」
「ありがとなーっ、みぉーん……!」
純粋に優しさを向けてくれたミオに、恥ずかしさと申し訳なさを感じたフブキが、慌ててタオルで汗を拭う。
その体臭がやや甘っぽく思えて、いつ異常に気付かれてしまうか心配で仕方なかったが……まとわりつく快感の残響に悶えながらもレッスンに励むフブキであった。
フブキは股間に滞留する、ピリピリと疼くような違和感を我慢しながら、練習をなんとかこなすことができた。
微弱な性感のせいで、少しだけ――とろりと蜜が溢れる粗相を自覚するほどではあったが――愛液が染みてしまったが、うまいこと汗と同化して目立たなかったようだ。
フブキが胸を撫で下ろしていると、チーフトレーナーが後片づけの準備を始めていた。他のメンバーたちも、予定通りにメニューを終わらせたようだ。
「やったー、終わったー!! ししろーん、帰ろーッ!!」
「へいへい、おつかれー……って、ねねちゃんの汗やべーっ!? あ、あたしはいいからさ、スバル先輩の方に行きなって! 回れ右、な!」
「汗だく爆弾をスバルに押し付けようとするんじゃねえよ!?」
「まかせろー! ポイポイポーイ!」
「やめろ、来るな――あぎゃあああああああッ!? 服までべっちょりしてる! べっちょりぃいい!」
「あそこ、なんか汗くせぇのら」
「みんな、レッスン頑張ったもんねぇ♪ 汗は心の涙って言うもんなー」
「それ言う! よーく言いますね! 脳筋界隈では有名な語録ですから!」
「こっちは別の意味で汗くちゃい……ぜってー言わねえのら……」
「……みんな、レッスン直後なのにめっちゃ元気だねぇ……。うち、あんなにはしゃぐ余裕はないなぁ」
「白上もだよ……はぁ……ふぅー……ん、くぅ……♡」
あとは更衣室で着替えて帰るだけ。学校の放課後のような、解放感に包まれた練習後の空気の中だというのに、何故かフブキの疼きは最高潮に達していた。
「そんなに息を切らせてさぁ……やっぱり無理してたんじゃんかー。ほれほれ、もうちょっとで一息つけるからなー。頑張れよー、フブキー!」
「す、すまねぇなぁ、ミオ……はぁー……はぁー……♡」
肩を回してくれたミオに体重を預けながら、フブキがひょこひょこと廊下を渡る。蒸れたパンツの中で、完全にめくれてしまっていた秘芽に刺激がいかないように摩擦を逃がしていた。
汗だくで、密着していた二人のケモ耳少女たち。その仲睦まじい様子を見ながら、一人でストレッチをしていたまつりが、つまらなそうに唇を尖らせた。
「るーなぁー!」
「のらぁー!?」
レッスン終わりの更衣室でアイドルたちが着替えていたとき、まつりがおもむろにルーナへと抱き着いた。
汗だくになったスパッツを脱ごうとしたフブキが、ピタリと手を止める。その下には、まつりとの逢瀬の合図になっていた例のパンツを穿いていた。
「まつりちゃ先輩、やめるのらぁー! ルーナ、まだ着替えてる途中なのらよ……!」
「むふふ、着替えてる途中だからいいんだよ……♪ ルーナのブラとおっぱいが可愛いからさぁ、つい惹かれちゃってね!」
「のらっ……!? ひゃ、きゃーっ!? こいつはガチめのセクハラなのらぁー!?」
まつりの両手が、ピンク色のブラの隙間にするりと入り込む。その中に収められていた、意外と大きな乳房をもにゅもにゅっ♡と楽しんでいた。
「おぉー、元気で良い感触だねぇ♪ ルーナみたいに生意気で、張りのあるおっぱいだよ……この感触、めっちゃ好きだなぁー♪」
「いやぁーん! 下着の中に手を入れてくるのは洒落になってねぇのらーっ!! ちょっ、乳首は触るな!!」
「……お……? ルーナの乳首……ちょっと勃ってね? なんか、すっごい……クニクニしてて、指が気持ちいいんだけど……」
「ぎゃー!? それを言うのはやめれー!? おっぱい触られまくったら、誰だって勝手に先っぽが尖るのらぁ!!」
きゃっきゃと黄色い声を上げながら、アイドルたちが肉肉しく絡んでいた。百合の花の乱舞とまではいかないが、半裸の女神たちによる濃いめの戯れは、とにかく華やかだった。
その様子を遠目に眺めていたミオが、呆れ声を漏らしつつ目を細めた。
「まったく、まつりは相変わらずだなー……そういえば最近、フブキもよくセクハラ受けてたよね」
「うぶっ……!? み、見られてたの……?」
「そりゃそーだろ! あそこまでガッツリと尻を揉まれてたら嫌でも目に付くだろうが!」
「う、うう……! あの、ミオ……恥ずかしいから……あんまり、言いふらさないでよ……?」
「あはは、わかってるよぉ。っていうか、誰が『フブキがまつりに尻を揉まれてる』って話を聞きたがるんだ……?」
「…………マリンちゃん、とか……?」
「マリンかー……まあ、たしかに聞きたがるかもなぁ……」
「はいはい? 船長のこと、呼びましたか?」
グレーのスポブラと幅広のショーツ姿のマリンが、音もなく、ひょいと現れた。
「……び、びっくりした……! マリンちゃんには悪いけど、呼んでないんだよなぁ……」
「ああーん、ツれないこと言わないでよフブちゃーん! あたしら、マブい友達じゃんかよー!」
「あっはっはっはっ! しっかしさぁ、レッスンのときのマリンはホントに色気がねえなぁ」
「ミオ先輩の口悪くねぇ!? 普通にひどいんですけど!? あと言っておきますけどぉ、船長は勝負下着がセクスィーなんですぅー! 普段はちょっとお淑やかに過ごしてる、オトナなオンナ……みたいな?」
「そのたるんだグレーは、お淑やかって言うのかー……?」
「たっ、たるんでないわ! ピチピチ! 船長の身体と一緒で、下着もピチピチなのよ!!」
「あははっ……! 流れるようにディスられてるのは、さすがに茶葉ですなぁ…………ん……?」
フブキがマリンたちと談笑していると、まつりの焼けつくような視線が自分に向いていることに気付いた。
先ほどまで、ルーナと戯れていたはずのまつりは、フブキと目が合った瞬間に、逃げるように目を背けた。
「……ラミィママー! おっぱい吸わせてー!」
「出た出た、まーた始まったよ! まつり先輩、さっきまでルーナ先輩のおっぱい揉んでたでしょ-!?」
「ラミィの巨乳も触りたい気分なんだってー♪ おおーっ、こいつはダイナミック……! むにゅむにゅーって、手がとろけるー♪」
「いやーん……! ねねちゃんみたいなこと言ってる人がいるぅ!! やーめーなーさーいー! ブラのカップが崩れるー!」
「まつりちゃ先輩……浮気なんてひでぇのら……!!」
「え? ルーナ、おっぱいを吸わせてくれんの?」
「それは嫌だけど、放置されるのも許せん」
「ルーナ先輩のカットインが謎すぎるんだが!? あと口調忘れてます! 『なのら』が行方不明になっちゃった!」
「……いいよ。まつりがさ、二人のことを幸せにするからな」
「「そんなの望んどらんわ!!」のら!!」
ラミィの巨乳を揉みしだきながら、ルーナにキスをしようとしているまつり。その姿は、わりといつも通りの光景に見えていた。
しかし、気軽に女の子にスキンシップを図ろうとするまつりを見て、フブキの心はざわつくばかりだった。
「…………むー……」
再び、ちらりと目線が重なる。まつりもまた、スキンシップを楽しみながら、フブキのことを気にしているようだった。
(…………私も、その子たちと同じ位置付け……なのかな……)
胸を締め付けるような苦しさと、その切ない想いを口にできない自分が不愉快だった。
機嫌を損ねたフブキは、そっぽを向くようにまつりとの視線を断ち切った。
マリンやミオとの会話に戻りつつ、目立たないように、素早くスパッツからショートパンツに履き替える。
いつもとは違い、まつりが尻肉を撫でて情事のお誘いをする隙も与えなかった。
「…………フブキ……」
「あっ……ああっ……♡ まつりちゃ先輩、そこ、ばっかりは……はわぁん……♡」
「ルーナ先輩、その声はマズいです!! あーあー!! ラミィには何も聞こえなーい!!」
まつりはルーナとの戯れを再開しながらも、その瞬間には、目線だけをフブキのお尻に向けていた。
あっけなかった『合図』の喪失に、まつりは確かな胸の痛みを感じていた。