※この作品はR-18です。

魂の座 一部 凍えた魂   作:伊駒辰葉

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エロまでいかない、朝チュンです。


神江羅木、登場★

 目が覚めると身体がだるかった。ベッドの中で身じろぎをして絵美佳は当然のように傍にある温もりに手を伸ばした。抱き寄せると腕の中で小さな悲鳴が上がる。相変わらず感度は抜群らしい。絵美佳は口許に笑いを浮かべて両腕でしっかりと巴を抱きしめた。

 

 今日は学校も休みだ。絵美佳は大きく欠伸をして瞼を擦った。片目だけを開ける。すると見慣れた光景が見えた。巴の部屋は愛らしく飾ってある。巴がそうしたいと言ったからだ。絵美佳は部屋の様子に苦笑して再度、巴をしっかりと腕に抱いた。

 

「おはよ、巴」

 

 掠れた声で絵美佳は告げた。うーん、我ながら渋い声。そんなことを思いながら巴の髪に口づける。すると唐突に巴が慌てたように毛布から顔を出した。

 

「えっ、えっ、だっ、誰!?」

「俺だよ、俺。わかんない?」

 

 絵美佳はにやりと口許を歪めて巴の頭に手を回した。焦る巴に口づける。すると巴は慌てたように手を振り回す。どうして夢なのに巴は嫌がるのかなあ。ぼんやりとそんなことを考える。夢なら夢主の意志に従うものではないのだろうか。

 

 夢の中で絵美佳は男になっていた。欲しかった男の身体を手に入れたことを絵美佳はとても喜んだ。しかも男になってみるとその容姿は総一郎にとても良く似ていた。そのことが絵美佳を更に喜ばせた。

 

 きっと夢の続きだ。絵美佳は巴に口づけながら楽観的にそう思っていた。が、腕に抱いた巴が必死の面持ちで絵美佳の胸を押す。

 

「お前だって、俺が男のほうがいいだろ?」

 

 そうすれば巴は他の男性にその身体を触らせることもない。絵美佳は欠伸をかみ殺しながらそう告げた。すると巴が真っ赤になる。

 

「どっ、どーしてそんなこと知ってるんですかあ! さては盗み聞きとかしましたね! いやあ! 恥ずかしいよう!」

 

 真っ赤になった巴が腕の中で暴れる。さすがにそこで絵美佳も状況を少しずつ把握し始めた。まだ巴は自分が絵美佳であると気付いていないのだ。

 

「お前のために、男になってやったのにつれないな」

 

 腕の中で暴れる巴の感触はやはり心地よい。絵美佳は唇を歪めて笑ってから巴の胸に手を伸ばした。短い悲鳴を上げて巴が身をよじる。

 

「もっ、もっ、もしかしてっ、えっ、絵美佳先輩!?」

 

 胸を弄られて巴が目を見張る。どうやらその手つきに覚えがあったようだ。絵美佳はそんな巴を笑い飛ばした。

 

「そうよ。俺……じゃなくて、あたしよ。あたし。あんたねー。せっかくこっちが気分出して演技してるんだから、言わなくても気づきなさい!」

 

 笑い混じりに告げて絵美佳は巴に圧し掛かった。巴が愛らしい悲鳴を上げる。だがそれまでの不安な様子はない。嬉しそうに微笑んでいる。

 

 夢はやっぱ、こうでなくちゃ。絵美佳は満足感を込めて頷き、改めて巴の身体を弄り始めた。巴の反応がとても新鮮に見える。きっと夢だからね。絵美佳はそう考えながら巴のネグリジェをめくった。

 

「可愛いぜ。巴」

 

 白い肌に唇をつける。巴は恥じらいに頬を染めている。絵美佳は早速、巴を焦らしにかかった。艶やかな肌に指を這わせて巴の欲情を誘う。巴は次第に愛らしい声で鳴きはじめた。小さな唇が快楽に震えて声を紡ぎだす。それを見た絵美佳の下半身が熱くなる。

 

「あっ……あっ、絵美佳せんぱぁい!」

「絵美佳じゃない。俺は……そうだな。俺はラキ。神江羅木だ」

 

 羅木、と巴が口の中で呟く。そして次に巴は納得顔になった。さかさまに読むと絵美佳先輩なんですね。嬉しそうに告げた巴の頭を絵美佳は小突いた。指先で額を弾く。

 

「違うだろ、ちゃんと呼べ」

 

 少し低い声で絵美佳は告げた。すると慌てたように巴が頷く。

 

「はい、羅木先輩っ」

「よし、いい子だ」

 

 口許に笑いを刻み、絵美佳は巴の胸に顔を伏せた。淡く色づく乳首を口に含む。すると巴が声を漏らし始めた。一度、命令すれば巴はその命令に従う。呟くように巴の唇から羅木の名が漏れる。よしよし、と頷き、絵美佳は手を巴の股間に滑らせた。

 

 朝一番のメンテナンスは順調に終わった。が、そこで絵美佳ははたと気付いた。射精の感覚を思い出す。そう言えば巴と交わっている間、嫌に生々しい感触があった。もしかしてこれは夢ではないのではないか。そんな疑問が頭をもたげてくる。

 

 巴はシャワーを浴びに行っている。絵美佳は静かにベッドから降りた。姿見に自分の姿を映してみる。確かにこれは男の身体だ。顔立ちは総一郎に良く似ている。もしかしたら優一郎よりも総一郎に似ているかも知れない。絵美佳は試しに自分の顔に触れてみた。ついでに頬をつねる。途端に痛みが走った。

 

「さすが、あたしの気合ね! 男になるなんて! すごい!」

 

 鏡に向かってそう叫んだ絵美佳は続いて思い切り顔をしかめた。どうも女言葉を発していると自分がおかまになった気分になってくるのだ。絵美佳は低く呻いて額を押さえた。

 

「やっぱ、俺だな。俺。言葉使いには気をつけないとな」

 

 この時の絵美佳の記憶からは何故男になったのかということは完璧に抜け落ちていた。いや、その前に順と話したことすら絵美佳は覚えていなかった。衝撃が強すぎて記憶が飛んでしまったのだが、その自覚は絵美佳にはなかった。うんうん、と頷いて腕組みをする。

 

 そしてふと気付く。

 

 このままでは学校には行けないのではないか。いや、家に帰ることも出来ないのではないか。優一郎や由梨佳はまあいい。が、総一郎に男になったと知られるのは何故か気が引ける。絵美佳は腕組みをしたままうーん、と頭を捻った。

 

「まあどーせ家には帰ってなかったからいいにしても、要の奴に逃げたと思われるのは嫌だな」

 

 そう、ロボット同士の対戦のこともある。絵美佳は髪の短くなった頭をがりがりとかいた。しばらく呻きながら考えを巡らせる。その間に巴が部屋に戻ってきた。裸で部屋の中に立つ絵美佳を見止め、頬を染める。そして巴は心配そうに絵美佳に近づいた。

 

「あ、あの。風邪ひきますよぅ。そんな格好でいたら」

 

 ガウンに包まれた巴の身体をじっと見つめる。巴は正確に言えばヒューマノイドではない。ヒューマノイドはヒトの脳を機械仕掛けの身体に組み込んだものだ。だから厳密に言えば巴はロボットなのだろう。

 

「男子部員の服、頂くしかないか」

 

 考えを巡らせながら絵美佳は何気なく答えた。さすがに裸のままではいられない。すると巴が目を輝かせて頷く。

 

「ちょっとロッカー覗いてきますね!」

 

 そう言ったかと思うと巴は慌ただしく部屋を出て行った。が、絵美佳は返事もせずにずっと考えを巡らせ続けた。ヒューマノイド、ロボット……。口の中で何度かそう呟く。そして絵美佳は顔を上げた。その顔にはうっすらとした笑みが浮かんでいた。




地の文で『羅木』とほとんど書いていなかった気がします。
なので、口調が男でも『絵美佳』になってるかもです。すみません(汗)
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