長いので五分割されてます。
エロシーンが入ってます(間に過去シーンがあります)
待ち合わせ場所にちなりは行けなかった。急いで渡った信号が点滅から赤になる。横断歩道は長かった。ちなりは焦って走っていた。足をもつれさせて転んだ瞬間、目の前に大きなものが迫っていた。
視界一杯に赤いものが広がる。次に気付いた時、ちなりは真っ白な部屋にいた。パパ、ママ。一番に見えた顔に話し掛けようとする。でも声が出せない。ちなりは心配そうに見つめる二人に今度は手を振って見せようとした。なのにどうしても身体が動かなかった。
「ちなりちゃんってさ。これまで何人くらいの男とやった?」
しこったクリトリスを指で攻められる。ちなりは上げた片足を震わせて息をついた。羅木は触るか触らないかという動きでクリトリスを撫ぜている。
「んぅ……わっ、わかんない……いっぱい……」
喘ぎ混じりにちなりは答えた。腿の間に愛液が流れる。じりじりと筋になって落ちていく愛液の動きすら、ちなりには快感になった。
「セックス、そんなに好きなんだ?」
「うん……あっ……好き……なのぉ。だって」
だって繋がっている間は寂しくないから。
待ち合わせ場所にちなりは行けなかった。見知らぬ男性が近づいてくる。眼鏡のその人をちなりはちょっとかっこいいと思った。端正な面立ちがとても印象的だった。だが男性の言っていることをちなりは全く理解できなかった。男性はちなりの両親と会話していた。その会話の中で一つの言葉だけがちなりの心に刻まれる。
ひゅーまのいど。ちなりは頭の中でその言葉を何度か繰り返した。意味は判らなかったが、それが自分を示す言葉だということだけが理解できる。
それからちなりは身動きできない日々を過ごした。父親と母親は交互に訪れてくれる。だがちなりはたった一つのことを気にしていた。カレ、どうしたんだろう。ちなり、行けなかったから怒っちゃったかな。だってずっと待ってくれるって言ってたのに。
そこが病院であることをちなりが知ったのはそれから数日後だった。ちなりには質問する自由もなく、ただベッドに拘束されている日々が続いたのだ。
「俺、どう? これまでの奴と比べて」
指が膣内を出入りする。膣壁を擦る羅木の指の動きはあくまでも優しい。ちなりは快感に震えながら閉じていた目を開けた。視線を落とすと羅木の頭が見える。
「んふっ、羅木くんはぁ!」
事故から数日経ったある日、ちなりは別の場所に移された。その時までにちなりに判ったことは、どうやら自分の身体がかなり損傷が激しいということだった。なんでこんなに簡単に運んじゃうの? どうしてちなりの足はないの? だがそれらの疑問をちなりは口にすることが出来なかった。見知らぬ白衣の男たちに運ばれて車に移される。
黒い黒い空が見える。雲に覆われた空が車の窓に切り取られたように見えた。
「で、俺、どうなの? 結局」
クリトリスに唇を触れさせたまま、羅木が苦笑する。ちなりは目を潤ませて首を振った。
ちなりは目を動かして周囲の様子を探ろうとした。けれど何故か出来ない。困り果てていたちなりの傍に誰かが近づいてくる。白衣に身を包んだ少年はちなりより少し年上に見えた。緊張した面持ちでちなりに手を伸ばす。
あ、この人、このあいだのかっこいい人に似てる……。ちなりはぼんやりとそんなことを考えた。少年はしばらくちなりを触っていたが、その感覚はちなりにはなかった。
次に目が覚めたとき、ちなりは瞬きをした。あっ、目が閉じられるっ。驚きと喜びが心に満ちる。試してみると手も動かすことが出来るようになっていた。次いで足を動かしてみる。ベッドの上でちなりはささやかな身じろぎをした。
機体と上手く適合したみたいだね。良かった。
知らない声が聞こえる。ちなりは慌てて振り向いた。あの少年が近づいてくる。ちなりは不思議そうに少年を見つめた。ちなりに言ってるのかな。そう思いながら口を開く。
あなた、だあれ?
それまでとは全く違う声が出る。ちなりは驚いて何度か試しに声を出してみた。やっぱり違う。これ、ちなりの声じゃないよう。ちなりは驚きの余り泣きそうになった。
僕は吉良優一郎。君の主治医みたいな存在、だと思って欲しい。
そう言いながら優一郎と名乗った少年が近づいてくる。慰めるようにちなりの背を手で撫ぜる。ちなりは嗚咽を堪えて頷いた。
あなた、お医者さんなの? ちなり、カレにまた会える?
ちなりは懸命にそう訊ねた。これまで喋ろうと思っても声も出せなかった。その不満をぶつけるように優一郎に訊ねる。ねえ、カレ、ずっと待ってるってゆったの。だからちなり、行かなきゃ。怒られるかも知れないけど、行かなきゃダメなの。
ベッドの中から訴えるちなりに優一郎はしばし答えなかった。
「うーん、自信あったんだけどなあ。まだまだ精進が足らないか」
そう呟いて羅木が唇を強くクリトリスにあてがう。吸われた瞬間、ちなりは身体を大きく反らした。下腹部を中心に快感が一気に広がる。
「あっ、羅木くんっ! そこぉ!」
弱々しい声で鳴いてちなりは羅木の頭に手を伸ばした。髪を指の間に絡めて羅木の頭を抱える。
震える手を伸ばして優一郎の白衣をつかむ。それだけでもちなりには重労働だった。気を抜くと指先から力が失せてしまいそうになる。
僕は医者じゃない。エンジニアと言ったほうがいいかな? 後、その彼という人物は誰?
そう告げた優一郎の目は穏やかだった。が、ちなりは何故かその目を恐いと思った。どうして。この人、怖いよぅ。ちなりは優一郎の白衣から手を離した。布団を頭から被ろうとする。だが優一郎の動きの方が早かった。ちなりの手を押さえて耳元に唇を寄せる。
教えてくれれば、調べるよ。その、彼、のこと。
耳元に吹き込まれる吐息がくすぐったい。それと同時にちなりは今まで経験したことのない妙な感じを覚えた。下腹部がじん、と熱くなる。ちなりは思わず目を閉じてそっと息をついた。