エロシーンなのですが、過去の話が絡んでるので見辛いと思います。
すみません(汗)
経験したことのないその感覚に流されるようにちなりは彼氏のことを打ち明けた。優一郎はそんなちなりを笑うことなく話に頷いていた。時折、思い出したように耳元に囁く。そうなの。ふうん。それだけの言葉なのに、囁かれるたびにじれったさが強くなる。
彼については明日までに調べておくよ。彼のほうも望むなら、一月後あたりには会わせてあげられるかもしれない。
だが優一郎の言葉は後にちなりの予想しなかった結果をもたらした。彼氏はとっくにちなりに愛想をつかして新しい彼女を作っていたのだ。そしてちなりはいつの間にか転校したことになっていた。両親が気遣ってくれたのは判る。ちなりはだがそれを聞いた時に愕然とした。
うそつき! ずっと待っててくれるってゆったのに! パパもママも、ちなりに黙ってそんなことするなんて! 嫌い!
泣きじゃくるちなりを優一郎は慰めた。ベッドの中でカラフルなコードに繋がれたまま、ちなりはしばらく泣いて過ごした。友達との楽しかった日々を思えば思うほど切ない気持ちになる。
「ちなりちゃんのここ、見たいんだけど、その。えっと……。ライトで照らしてもいいかな?」
羅木はちなりの耳元に囁きながらそっと膣口をなでる。ちなりは甘い吐息をついて頷いた。
「いい……よぉ。羅木く……んになら……」
やがて身体が起こせるようになる。その頃になるとちなりは自分が置かれている状況を少しずつ理解できるようになった。自分の身体は既に治せないほどに潰れていたこと。そしてそんなちなりを救う為、生きた脳を機械の身体に組み込んだこと。両親たちは莫大な金をかけてちなりの命を繋いだのだ。
どうして、どうしてそこまでするの! なんで死なせてくれなかったの!
事態の大きさに混乱したちなりは何度もそう叫んだ。部屋を訪れる優一郎に八つ当たりもした。あなた、ちなりを笑ってるんでしょう!? こんなになったら、誰もちなりのこと相手にしてくれないもん!
だが優一郎はそんなちなりの叫びを穏やかに受け止めた。八つ当たりを繰り返したちなりはふと気付いた。何でこの人はちなりに呆れたりしないの? どうしていつもここに来てくれるの?
僕を信頼して。君の新しい身体を作ったのは僕なんだ。君の人生はまだ終わってない。以前と全く変わらなくすることはできないけど、可能なかぎり人に近づけるように努力したつもりだ。だから僕を信頼して。
優一郎に真顔で告げられてちなりは頷いた。うん、わかった。ちなりもがんばる。そう応えて。
本当に心から優一郎が心配してくれていたのだと思った。何故なら他の誰もちなりの許を訪れないのに、優一郎だけは何度も現れたからだ。うん、きっとこの人はちなりのことをいっぱい考えてくれてるんだ。だからこんなにちなりの身体をみてくれる。
やがて季節は過ぎて秋が来る。その頃にはちなりは自由に身体を動かせるようになった。部屋を好きに歩き回れた時、ちなりははしゃいで優一郎にそのことを報告した。優一郎はとても嬉しそうにちなりに頷いて見せた。
だが異変が起こる。機体の調子がどんどん悪くなっていったのだ。最初は些細なことだった。腕を上げて髪を指ですこうとしたのだ。その時、がくん、と腕が途中で止まった。だがすぐに腕は上がってちなりの思う通りに動いた。
そのことを話した時、優一郎は思案顔になった。ちなりは段々と不安になった。日々、身体のあちこちに支障が現れている。今日は足が唐突に止まって転んでしまった。明日はもっと酷くなるかも知れない。
「うわあ、こうやって見るとかなりえっちくさいなあ」
小陰唇を指で分けられてちなりは身体を震わせていた。吐息がかかってくすぐったい。ちなりは頬を染めて目を閉じた。
困惑するちなりに優一郎は静かに告げた。もう、限界かも知れない。その意味をちなりは理解できなかった。もしかしてちなり、壊れちゃうの? 半泣きになりながらちなりは訊ねた。
大丈夫、壊れないよ。だけど……。
今なら判る。優一郎はその時、ちなりが幼い容姿を持っていたためにためらっていたのだ。ヒューマノイドの機体を維持するには性的快楽をインプットしなければならない。だがちなりはその感覚を経験したことはなかった。
教えて! どうすればちなり、壊れないの!?
生きるということを必死で考えたのは、多分この時が初めてだった。ちなりは優一郎の白衣を握り締め、懸命に言った。ちなり、出来ることならなんでもするから! だから見捨てないで!
その、自慰って、知ってるかな?
じい? って、なあに?
ちなりは涙を拭って優一郎に訊ねた。セックスの知識は何とかあったが、それが優一郎の言った自慰と関係しているとは思わなかったのだ。そもそも、ちなりの知識は友達に吹き込まれた程度で詳しいものではない。すると優一郎は少し考えるように天井を向いた。そして決心したように顔を戻す。
じゃあ、セックス、はわかるかい?
訊ねられたちなりは真っ赤になった。え、えっと。あの、男の人の……その。そこまで言って口ごもる。だがちなりの答えを聞いた優一郎はにっこりと笑った。
優一郎は何も知らないちなりに根気よく説明を続けた。ちなりは優一郎の白衣をつかんだまま熱心にその話を聞いた。