エロなのですが過去話が入るので、多分、集中無理だと思います……(汗)
気付くとちなりは一人、研究室に取り残されていた。脱がされたままになっていたブラウスをのろのろと取り上げる。身体を起こすと酷くあちこちが痛んだ。優一郎に抱かれたのだということは理解できる。その証拠に機体の中には優一郎の精液が残っていた。膣から零れたそれを指先にすくい、舐めてみる。
ぽつり、とブラウスに染みができる。ちなりは気付かないうちに泣いていた。その内に嗚咽がこみ上げてくる。ちなりは手にしたブラウスを口許にあてがい、声を殺して泣き続けた。
優一郎は斎姫に見せつけるだけのためにちなりを抱いたのだ。ちなりは泣きながら台を降りた。ふらつく身体を引きずるようにして研究室を出る。廊下に斎姫の甘い声が響いている。ちなりはそちらを一度だけ振り返って歩き出した。
ちなり、セックス好きだからぁ。外でいっぱいしてきてもいい? 次の日、ちなりは片目を閉じて優一郎に告げた。一瞬、優一郎の反応がなくなる。だがすぐに優一郎は微笑みを浮かべた。ちなりの頭を撫ぜて頷く。
君がそう望むなら、かまわないよ。
本当は止めて欲しかった。たとえ嘘でもいい、嫌だと言ってくれれば良かったのに。ちなりは息を潜めて腰をひくつかせた。羅木の息遣いが耳元に聞こえる。まだ、平気かな。熱い快楽を感じる心の隅で冷静に呟く。
「んあっ! もっとぉ、ちょうだぁい!」
甘い声で喘ぐ。ちなりは機体の中の異質な音を耳の奥で聞き取っていた。ざりざりという、何かが擦れる音がしている。だが羅木の耳には届かないだろう。それも判っていた。
その日を境にちなりは外に出るようになった。それまで行ったことのない場所に行くのは怖かった。けれど毎日、街に立った。時折、研究室に戻って保美にメンテナンスをしてもらう。その度に保美は顔をしかめて言うのだ。駄目よ、ちなりちゃん。きちんと直さないと。
そんな保美に申し訳ないと思った。ごめんね、と心の中で詫びながらちなりはえへへと笑った。えー、だってえ。セックスするのに忙しいだもおん。昨日はねぇ、こんな男の人とやったのぉ。お金もいっぱいくれたよ。
保美はそれ以上、ちなりに何も言わなかった。ちなりは笑って保美に手を振ってまた夜の街に繰り出す。次第にちなりは研究室に近づかなくなった。優一郎と鉢合わせになるのが怖かった。もう二度と抱いてくれないだろうな。そう判ってしまうのが辛かったのだ。
日に日に機体の調子は悪くなる。時には行為の後で動けなくなった。そんな時、決まって相手の男は言う。なんだよ、気持ち悪い。おまえ、病気なのかよ。それなら先に言えよ。ちなりにけちをつけ、散々罵倒する。だがちなりはえへへ、と笑ってごめんねぇ、と男に告げる。
お前、頭よわいんじゃねえの? 何度もそう言われた。うん、そうかも。ちなりはその度にそう答えた。だってちなり、もう壊れかけてるんだもん。アタマも壊れかけててもおかしくないもん。そう思って。
でも壊れたくない。だって壊れたら捨てられちゃう。もう二度と見てもらえない。会いたくないと思う心のどこかが優一郎を求める。ちなりは声を殺して仰け反った。深い快感がちなりを絶頂に導く。
壊れたくない。捨てられたくない。心の中で呟くちなりの身体が次第にぎこちなく震え始める。腰を抱いていた羅木が驚愕に目を見張る。
「ちなりちゃん、大丈夫!? 俺、激しくしすぎた!?」
慌てたように羅木がペニスを抜く。膣に満ちていた精液が音を立てて零れる。ちなりはえへへ、と笑って羅木の首に手を回した。
「すごぉい……。羅木、くん……良かった……」
全身に震えが広がる。両腕に抱えられたちなりは目を閉じて羅木の胸に耳をあてた。機体内の雑音が羅木の心臓の音に隠れていく。羅木はちなりを気遣うようにその場に腰を下ろした。
いざという時に使って。そう言われていたことを思い出す。ちなりは震える手をスカートの中にそっと入れた。緊急連絡用にと言われていた回線が開く。
『どうしたんだい?』
聴こえてきた声は冷ややかだった。ちなりは震える唇に微かに声を乗せた。羅木には聞こえないほどの小さな声が唇から零れる。
「壊れ……そう……なの」
本当は優一郎に言えば呆れられるだろうと思った。けれどちなりは勇気を出してそう告げた。
『セックス中? 女性器故障かい?』
その声にちなりは頷いた。はい、と小声で返事する。羅木はよほど慌てているのだろう。懸命にちなりの名を呼んでいる。
『女性器故障なら、なんとか誤魔化して自力で部室に帰れるね? こっちは今、手を離せないんだ』
それだけ言って優一郎は一方的に通信を閉じてしまった。ちなりはそっと目を開いて小さく笑った。反応したからだろう。羅木がちなりの顔を覗き込む。
「大丈夫、なのか? 顔色悪いぞ? 救急車呼んだほうがいい?」
真剣な面持ちで羅木が告げる。えへへ、と笑ってちなりは首を振った。捨てられちゃった。そんなちなりの呟きに羅木がぴくりと眉を上げる。ちなりはまた力なく笑って空を見上げた。
真っ黒な空が見える。ちなりの呼吸は次第に速くなっていった。機体内で何かが暴れている。胸部に組み込まれたシステムが悲鳴を上げて崩れていく。機体内のエラー音が一気に羅木の心臓の音を上回る。
「俺がついててやる。大丈夫だから! しっかりしろって、おい!」
「うん……ありがと……う」
羅木がちなりの手を握る。機体の中のエラー音が別の何かの音になる。ちなりはびくりと大きく跳ねて目を見張った。
捨てないで。殺さないで。だがその願いは優一郎には届かない。ちなりは震える手で羅木の手を握り返し、笑おうとした。だが機体が思うように動かない。
ちなりの目が次第に光を失う。羅木の叫びを最後にちなりの意識は暗闇へと落ちていった。
まだまだ機械が書けてません!!!(自己評価
ごめんなさいー!(どこかに向かって