※この作品はR-18です。

魂の座 一部 凍えた魂   作:伊駒辰葉

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エロシーンはありそうでありません(汗)


九章
面倒だっただけなのに 1


 汗を拭ったタオルを洗濯用のかごに放り込む。多輝は鼻歌を歌いながら結わえていた髪を解いた。ゴムを別のかごに放る。頭を振ると一まとめにしていた長い髪が肩に零れて落ちた。

 

 今日は蒼から一本取れた。この間のようなおまけのようなそれではない。きっちりと蒼を倒すことが出来たのだ。蒼もそんな多輝を手放しで誉めた。多輝はそのことを思い出しながらにやにやと笑った。機嫌よくシャツを脱ぐ。機体には幾つかの痣がある。多輝の機体は他のそれよりはるかに金をかけられている。そのため、機体は殆ど人と同様の働きをするのだ。動けば汗もかくし、酷く打てば痣になる。だが多輝はそれがヒューマノイドとしては特別なのだと気付いていなかった。あー、と言いながら痣を触る。

 

「あの時かあ。派手にぶつけちまったからなあ」

 

 腕に出来た痣を手でそっと包む。目を閉じて意識を集中させる。すると見る間に多輝の痣は消えた。龍神としてのばかげた治癒能力が機体を修復したのだ。

 

 胸を覆うブラジャーを取る。軽くかごに放り込んで続いてジーンズに手をかける。多輝の服は刀であちこちが破れていた。蒼に付き合ってもらうようになってから毎日のように服が駄目になる。だが多輝はそれを気にしていなかった。大きな裂け目の出来たジーンズを脱いでかごに放る。

 

 不意に扉が鳴る。多輝は間延びした返事をしながら最後に残っていた下着を取った。ドアが静かに開く。

 

「失礼致します、多輝様。そろそろ夕食の準」

 

 そこで蒼が言葉を途切れさせる。多輝はあー、と言いながら振り返った。どうしたんだろう。そう思いながら蒼を見る。蒼はドアのところで硬直していた。

 

 多輝は夕闇の中で白い裸体を晒していた。ひきしまった身体が窓の向こうの夕日に映える。固まってしまった蒼に近づき、多輝は顔の前で手を振ってみた。

 

「おーい、蒼? どうした? 大丈夫か?」

「……お召し物はどうなされました」

 

 強張った顔のままで蒼が呻くように告げる。もしかして怒ってるのか。そう思いながら多輝は部屋の中を指差した。するとなるほど、と蒼が呟く。だがその顔は納得している様子がない。怪訝に思いながら多輝は顔をしかめた。

 

「これから風呂に入ろうかなって思ってさ。脱いだんだけど?」

「何ゆえ、お部屋で」

 

 もしかしてバスルームで脱げと言いたかったのか。多輝はぽん、と手を打って笑った。

 

「ごめん。面倒だから脱いで行こうって」

「多輝様」

 

 多輝の言葉を遮って蒼が低い声を出す。多輝は不思議な気分で蒼を見つめた。蒼の顔にいつもの静かな表情が戻ってくる。優雅に身を折って蒼は告げた。

 

「いつ、お客人がこられるかもわかりません。次からはバスルームでお脱ぎになるのがよろしいかと」

「あ、そっか。悪い悪い。今度から気をつけるってば」

 

 笑いながら多輝はすれ違いざまに蒼の肩を軽く叩いた。裸のままで廊下に出る。が、その時、後ろから多輝の肩を何かがつかんだ。訝りながら振り返る。するといつの間にかそこには立城がいた。にっこりと笑いながら多輝の身体を眺めている。

 

「多輝。行儀が悪いね。怒るよ?」

 

 言われた多輝は引きつりながら後ろに下がろうとした。が、意外な力で肩をつかまれているために動けない。立城はにこにこと笑いながら多輝と蒼を見比べた。蒼が恭しく立城に礼をする。にっこりと笑ったままで立城は蒼に軽く手を上げてみせた。

 

「だってさあ。面倒くさくて」

 

 唇を尖らせて多輝はそうぼやいた。どうせ破れた服はごみにしかならない。それなら部屋で始末した方が早いというものだ。立城の笑顔に押される格好で多輝はそう説明した。だが立城の笑みは頑として崩れない。

 

「そ、そんなにまずいか?」

 

 多輝は胸を腕で隠して周囲を見た。が、屋敷は平穏そのもので特に変わったことはない。階段の下を奈月が買い物かごを片手に小走りに駆けている。それを見てから多輝は立城に目を戻した。

 

 背筋が寒くなる。多輝は立城の絶妙な笑み加減に硬直した。

 

「それは僕に抱けと言っていると判断するけれど構わないね?」

「いや、あの、違う!」

 

 確かにヒューマノイドの機体の維持にはある程度の性的快感が必要だ。だが今はストレスが溜まっている訳ではない。多輝は慌てて首を横に振った。だが立城はそんな多輝の両肩をしっかりとつかんで笑っている。

 

「蒼。僕と多輝の夕食は後回しにしてくれと料理長に伝えてくれる?」

「かしこまりました」

 

 蒼が静かに一礼して背を向ける。多輝は蒼に必死で助けを求めた。が、蒼は振り返らない。

 

「ふうん。少しは成長したのかな? 以前より垂れ流し度が下がっているね」

 

 耳元で声がする。そう思った瞬間、多輝は声を上げて仰け反った。立城が唐突に機体の中に手を突っ込んだのだ。多輝の胸に立城の手首までが埋まっている。なのに機体は全く傷ついていない。

 

「蒼も気長に付き合ってくれているようだから、僕が特にすることはないかな」

 

 言いながら立城が手をひねる。多輝はがっくりとその場に膝をついた。痛みと快楽が同時に襲ってくる。じゅうたんの赤い色が目に飛び込んでくる。多輝は荒く息をつきながらじゅうたんに手をついた。立城はあわせるように屈んで多輝の胸の中を弄っている。




蒼が微妙に不憫で……w
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